説明

芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース

【課題】大重量等の芯付きロール状物の収容及び取出し作業を容易に行うことができる段ボール製ケースを提供すること。
【解決手段】ケース1の内ケース3は、上面が開口した箱状のものであり、底板2上の左右方向中間部に配置され、且つ、芯付きロール状物10のロール部12を包囲する前側板3a、後側板3a、左側板3b及び右側板3bを有する。ケース1の左支持板5は、底板2上における内ケース3の左側板3bの左側に該左側板3bに対して離間して立設される。右支持板5は、内ケース3の右側板3bの右側に該右側板3bに対して離間して立設される。内ケース3の左側板3bと左支持板5との間、及び、内ケース3の右側板3bと右支持板5との間には、それぞれ、芯付きロール状物10の収容時及び取出し時にその芯材11の左右各端部11aに掛けられる荷役機械Nの掛け部材Naを挿入可能な掛け部材挿入空間7が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム箔材、特に表面に特殊な表面処理が施されたアルミニウム箔材等のシート材が芯材に巻回されてなる芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース、及び、芯付きロール状物の搬送方法に関する。
【0002】
なお本明細書及び特許請求の範囲では、説明の便宜上、芯材が延びる方向を芯付きロール状物及びケースの「左右方向」と定義している。また、アルミニウムの語は、純アルミニウムとアルミニウム合金の双方を含む意味で用いられている。
【背景技術】
【0003】
従来、アルミニウム箔材等のシート材が左右方向に延びた棒状芯材の左右方向中間部に巻回されてなる芯付きロール状物を搬送(輸送)する際には、その搬送用ケースとして一般的に木箱が用いられていた。しかし、木箱は重量が比較的重く取り扱いが不便である。さらに、木箱の組立てや使用後の解体に多大な労力と時間を要してコストを圧迫し、しかも繰り返して使用することが困難であり、解体後は焼却等の手段によって廃棄されるために資源の無駄使いとなっている。
【0004】
そこで、このような木箱の有する問題点を解決するために、下記特許文献1〜3に開示された段ボール製ケースが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−71061号公報
【特許文献2】特開2002−80087号公報
【特許文献3】特開2002−284281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、シート材として例えばアルミニウム箔材が芯材に巻回されてなる芯付きロール状物は軽いものでも30kgf強あり、重いものになると200kgfを超える大重量物となる。しかるに、従来の段ボール製ケースでは、このような大重量の芯付きロール状物をケース内に収容したりケース内から取り出したりすることは困難であった。
【0007】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、軽量の芯付きロール状物はもとより大重量の芯付きロール状物についてもその収容及び取出し作業を容易に行うことができる芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース、及び、該ケースを用いた芯付きロール状物の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1] 左右方向に延びた芯材の左右方向中間部にシート材が巻回されてなる芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケースであって、
底板と、
前記底板上の左右方向中間部に配置されるとともに、前記芯付きロール状物のロール部を前後両側及び左右両側から包囲する前側板、後側板、左側板及び右側板を有し、且つ、上面が開口した箱状の内ケースと、
前記底板上における前記内ケースの左側板の左側及び右側板の右側にそれぞれ該左側板及び該右側板に対して離間して立設された左右一対の支持板と、
前記内ケース及び前記左右両支持板を上方から一括して覆う外蓋と、を具備し、
前記内ケースの左右各側板は、前記芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から支持するものであり、且つ、該左右各側板には、前記芯材の左右各端部を下方から保持する第1保持凹部が該左右各側板の上縁から下方向に凹状に切り欠かれて形成されるとともに、
前記左右各支持板は、前記芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から支持するものであり、且つ、該左右各支持板には、前記芯材の左右各端部を下方から保持する第2保持凹部が該左右各支持板の上縁から下方向に凹状に切り欠かれて形成されており、
前記内ケースの左側板と前記左支持板との間、及び、前記内ケースの右側板と前記右支持板との間には、それぞれ、前記芯付きロール状物の収容時及び取出し時に前記芯材の左右各端部に掛けられる荷役機械の掛け部材を挿入可能な掛け部材挿入空間が形成されていることを特徴とする芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【0010】
[2] 前記掛け部材挿入空間の幅寸法を維持するために、前記第1保持凹部及び前記第2保持凹部で前記芯材の端部が保持された状態のもとで前記掛け部材挿入空間内に上方から抜出可能に差し込まれるスペーサ部材を具備しており、
前記スペーサ部材は、前記掛け部材挿入空間内に上方から差し込まれた状態のもとで前記芯材の端部を上方から押さえる押さえ板を有している請求項1記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【0011】
[3] 前記押さえ板には、前記芯材の端部を上方から保持する第3保持凹部が該押さえ板の下縁から上方向に凹状に切り欠かれて形成されており、
前記押さえ板は、複数枚の段ボール板が互いに重合状態に固着されて構成されており、
前記第3保持凹部は、前記押さえ板を構成する複数枚の段ボール板のうち最外側に配置された段ボール板には設けられておらず、当該最外側の段ボール板は、前記芯材の端面に当接することで芯材の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされている前項2記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【0012】
[4] 前記左右各支持板は、複数枚の段ボール板が互いに重合状態に固着されて構成されており、
前記第2保持凹部は、前記左右各支持板を構成する複数枚の段ボール板のうち最外側に配置された段ボール板には設けられておらず、当該最外側の段ボール板は、前記芯材の端面に当接することで芯材の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされている前項1〜3のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【0013】
[5] 前記内ケースの左右各側板の内面又は/及び外面に、該左右各側板を補強する補強板が重合されており、
前記補強板に、前記芯材の左右各端部を下方から保持する第4保持凹部が該補強板の上縁から下方向に凹状に切り欠かれて形成されるとともに、前記第4保持凹部の内面が前記第1保持凹部の内面と面一に配置されている前項1〜4のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【0014】
[6] 前記第1保持凹部における上部側の開口幅が、前記第1保持凹部における底部側の開口幅よりも大きくなっている前項1〜5のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【0015】
[7] 前記底板の底部に複数の脚部が設けられるとともに、互いに隣り合う2つの前記脚部間にフォークリフトのフォーク爪挿入用隙間が形成されている前項1〜6のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【0016】
[8] 左右方向に延びた芯材の左右方向中間部にシート材が巻回されてなる芯付きロール状物を、前項1〜7のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース内に収容した状態で搬送することを特徴とする芯付きロール状物の搬送方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下の効果を奏する。
【0018】
前項[1]記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケースによれば、段ボールで製作されているので、木箱に比べて軽量であり、しかも組立て等の取り扱いが容易であり、且つ安価に製作することができる。
【0019】
さらに、このケースは、芯付きロール状物のロール部を包囲する前側板、後側板、左側板及び右側板を有する内ケースを具備しているので、芯付きロール状物のロール部を内ケースによって保護することができる。しかも、外蓋によってもロール部が包囲されるので、ロール部をより強固に保護することができる。
【0020】
その上、内ケースの左右各側板が芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から支持するものであり、更に、左右各支持板もまた芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から支持するものであり、しかも、左右各支持板が内ケースの左右各側板に対して離間しているから、芯付きロール状物を確実に且つ強固に支持することができる。その上、内ケースの左右各側板及び左右各支持板にはそれぞれ芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から保持する保持凹部が形成されているので、芯付きロール状物を安定良く保持することができる。
【0021】
さらに、内ケースの左側板と左支持板との間、及び、内ケースの右側板と右支持板との間には、それぞれ、芯付きロール状物の収容時及び取出し時に芯材の左右各端部に掛けられる荷役機械の掛け部材を挿入可能な掛け部材挿入空間が形成されていることから、芯付きロール状物の芯材の左右各端部に掛け部材を掛けた状態のままで芯付きロール状物のロール部を内ケース内に上方から入れることができるとともに、その芯材の左右各端部を内ケースの左右各側板の第1保持凹部及び左右各支持板の第2保持凹部内に入れて保持させることができる。また同じく芯付きロール状物の芯材の左右各端部に掛け部材を掛けた状態のままで芯付きロール状物のロール部を内ケース内から上方に取り出すことができる。そのため、芯付きロール状物の収容及び取出し作業を容易に行うことができる。さらに、その際にケースは破損することはなく、そのためケースを繰り返し使用することができる。
【0022】
すなわち、大重量等の芯付きロール状物をケース内に収容する際には、芯付きロール状物の芯材の左右各端部に荷役機械(フォークリフト、クレーン等)の掛け部材(フォーク爪、スリング等)を掛け、荷役機械の動力で芯付きロール状物を内ケースの上方まで搬送する。そして、芯付きロール状物の芯材の左右各端部に掛け部材を掛けた状態のままで、各掛け部材を各掛け部材挿入空間内に上方から挿入するように芯付きロール状物を下降させることにより、ケースが破損することなく芯付きロール状物のロール部を内ケース内に上方から入れることができるとともに、その芯材の左右各端部を内ケースの左右各側板の第1保持凹部及び左右各支持板の第2保持凹部内に入れて保持させることができる。次いで、各掛け部材を各掛け部材挿入空間内から取り出したのち、外蓋によって内ケース及び左右両支持板を上方から一括して覆うことにより、芯付きロール状物がケース内に収容される。
【0023】
一方、芯付きロール状物をケース内から取り出す際には、外蓋を上方に持ち上げて該外蓋を取り外す。次いで、荷役機械の各掛け部材を各掛け部材挿入空間内に挿入して芯付きロール状物の芯材の左右各端部に掛け、この状態のままで荷役機械の動力で上方に持ち上げる。これにより、ケースが破損することなく芯付きロール状物のロール部が内ケース内から取り出される。
【0024】
前項[2]記載のケースによれば、芯付きロール状物のロール部を内ケース内に入れた後で各スペーサ部材を各掛け部材挿入空間内に上方から挿入することにより、各掛け部材挿入空間の幅寸法が維持されるとともに、更に、各スペーサ部材の押さえ板で芯材の各端部が上方から押さえられる。これにより、ケースの搬送中に芯付きロール状物が上下左右にがたつくのを確実に防止することができ、そのため芯付きロール状物を確実に安定良く搬送することができる。
【0025】
前項[3]記載のケースによれば、押さえ板には、芯材の端部を上方から保持する第3保持凹部が該押さえ板の下縁から上方向に凹状に切り欠かれて形成されているので、芯付きロール状物を更に安定良く保持することができる。
【0026】
さらに、押さえ板は、複数枚の段ボール板が互いに重合状態に固着されて構成されているので、押さえ板の厚さが厚くなってその機械的強度が高められている。そのため、芯付きロール状物をしっかりと押さえることができる。
【0027】
さらに、第3保持凹部は、押さえ板を構成する複数枚の段ボール板のうち最外側に配置された段ボール板には設けられておらず、当該最外側の段ボール板は、芯材の端面に当接することで芯材の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされているので、当該最外側の段ボール板によって芯材の左右方向への位置ずれを防止することができる。
【0028】
前項[4]記載のケースによれば、左右各支持板は、複数枚の段ボール板が互いに重合状態に固着されて構成されているので、各支持板の厚さが厚くなってその機械的強度が高められている。そのため、芯付きロール状物をしっかりと支持することができる。
【0029】
さらに、第2保持凹部は、左右各支持板を構成する複数枚の段ボール板のうち最外側に配置された段ボール板には設けられておらず、当該最外側の段ボール板は、芯材の端面に当接することで芯材の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされているので、当該最外側の段ボール板によって芯材の左右方向への位置ずれを防止することができる。
【0030】
前項[5]記載のケースによれば、内ケースの左右各側板を補強板により補強することができる。さらに、補強板に第4保持凹部が形成されるとともにこの第4保持凹部の内面が第1保持凹部の内面と面一に配置されているの 芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から確実に安定良く保持することができる。
【0031】
前項[6]記載のケースによれば、第1保持凹部における上部側の開口幅が、第1保持凹部における底部側の開口幅よりも大きくなっているので、芯付きロール状物の芯材の端部を第1保持凹部内に容易に入れることができる。
【0032】
前記[7]記載のケースによれば、底板の底部に複数の脚部が設けられるとともに、互いに隣り合う2つの前記脚部間にフォークリフトのフォーク爪の挿入用隙間が形成されているので、この隙間内にフォークリフトのフォーク爪を挿入してケースを搬送することができる。
【0033】
前項[8]記載の芯付きロール状物の搬送方法によれば、芯付きロール状物を安定良く搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケースの分解斜視図である。
【図2】図2は、荷役機械としてフォークリフトを用いて同ケースの内ケース内に芯付きロール状物のロール部を入れる途中の状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、同ケースの内ケース内に芯付きロール状物のロール部を入れた後で各スペーサ部材を各掛け部材挿入空間に挿入する途中の状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、外蓋で同ケースの内ケース及び左右両支持板を上方から一括して覆う途中の状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、同ケース内に芯付きロール状物を収容した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、同ケース内に芯付きロール状物を収容した状態を示す断面図である。
【図7】図7は、荷役機械としてクレーンを用いて同ケースの内ケース内に芯付きロール状物のロール部を入れる途中の状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態に係る芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケースの分解斜視図である。
【図9】図9は、同ケース内に芯付きロール状物を収容した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0036】
図1において、1Aは本発明の第1実施形態に係る搬送用段ボール製ケースであり、10は被収容物としての芯付きロール状物である。
【0037】
芯付きロール状物10は、左右方向に延びた中空棒状の芯材11の左右方向中間部にシート材が巻回されてなるものである。この芯付きロール状物10では、そのロール部12の左右各端面の中心部から芯材11の左右各端部11aが突出している。芯材11は例えば紙管からなるものであり、その断面形状は円形状である。さらに、この芯付きロール状物10の全体は、図示していないが薄くて柔軟な防湿用包装袋によって包装されている。シート材は、表面に特殊な表面処理(例えば、カーボンコート処理)が施されたアルミニウム箔材等からなるものである。そのため、芯付きロール状物10は、その重量が30kgfを超えた大重量のものである。
【0038】
本第1実施形態のケース1Aは、図5及び6に示すように、芯付きロール状物10の搬送(「輸送」を含む)の際に、その内側に芯付きロール状物10を収容するものであり、図1に示すように、底板2と、内ケース3と、左右一対の支持板5、5と、左右一対のスペーサ部材6、6と、外蓋8等を主要な構成部材として具備している。これら部材は全て段ボール製である。
【0039】
底板2は、左右方向に長い平面視長方形状の段ボール板で製作されている。この底板2の底部の左右両端部及び中間部には、それぞれ脚部2aが接着剤等の固着手段により固着されて下側に突出して且つ前後方向と平行に取り付けられている。互いに隣り合う2つの脚部2a、2a間にはフォークリフトのフォーク爪挿入用隙間2bが形成されている。脚部2aの数は全部で3つである。各脚部2aは、厚さが厚くなるように複数枚の段ボール板が互いに重合状態に接着されて製作されている。なお本発明では、脚部2aの数は3つであることに限定されず、2つ以上であれば良い。
【0040】
内ケース3は、一枚の段ボールから上面が開口した四角箱状に組み立てられて製作されたものであり、底面板3c、前側板3a、後側板3a、左側板3b及び右側板3bを有している。前側板3a、後側板3a、左側板3b及び右側板3bは、それぞれ底面板3cの前縁、後縁、左縁及び右縁から立ち上がり状に折り曲げられたものであり、更に、芯付きロール状物10のロール部12を前後両側及び左右両側から包囲するものである。また、こうしてロール部12を包囲した状態では、前側板3a及び後側板3aはロール部12に接触していない。そして、この内ケース3は、図2及び6に示すように、底板2上の左右方向中間部に該内ケース3の底面板3cが接着剤等の固着手段により重合状態に固着されて配置されている。
【0041】
この内ケース3において、左右各側板3bは、芯付きロール状物10のロール部12が宙吊り状態になるように即ちロール部12が底板2(内ケース3の底面板3c)に接触しないように(図6参照)、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から支持するものである。さらに、左右各側板3bには、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から保持する第1保持凹部3dが、該左右各側板3bの上縁の前後方向中間部から下方向に凹状に切り欠かれて形成されている。
【0042】
第1保持凹部3dは、その開口幅が第1保持凹部3dの底部から上方に進むにつれて漸次増大するように形成されており、したがって第1保持凹部3dの上部側の開口幅は底部側の開口幅よりも大きくなっている。さらに、第1保持凹部3dの底部の曲率半径は芯材11の半径に対して同寸又は若干大寸に設定されており、これにより、第1保持凹部3dの底部の断面形状は芯材11の断面形状に対応した円弧状に形成されて、第1保持凹部3dが芯材11の端部11aを安定良く保持し得るものとなされている。
【0043】
左右一対の支持板5、5において、左支持板5は、底板2上における内ケース3の左側板3bの左側に該左側板3bに対して離間して底板2に対して立ち上がり状に接着剤等の固着手段により固着されて取り付けられている。右支持板5は、底板2上における内ケース3の右側板3bの右側に該右側板3bに対して離間して底板2に対して立ち上がり状に接着剤等の固着手段により固着されて取り付けられている。各支持板5は、厚さが厚くなるように複数枚の段ボール板5xが互いに重合状態に接着されて製作されている。
【0044】
左右各支持板5の上縁の高さは、内ケース3の左右各側板3bの上縁の高さよりも低く設定されており、詳述すると内ケース3の左右各側板3bの上縁の高さの約半分の高さに設定されている。
【0045】
さらに、左右各支持板5は、芯付きロール状物10のロール部12が宙吊り状態になるように即ちロール部12が底板2(内ケース3の底面板3c)に接触しないように(図6参照)、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から支持するものである。さらに、左右各支持板5の上縁には、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から保持する第2保持凹部5aが、該左右各支持板5の上縁の前後方向中間部から下方向に凹状に切り欠かれて形成されている。
【0046】
第2保持凹部5aの曲率半径は芯材11の半径に対して同寸又は若干大寸に設定されており、これにより、第2保持凹部5aの断面形状は芯材11の断面形状に対応した半円状に形成されて、第2保持凹部5aが芯材11の端部11aを安定良く保持し得るものとなされている。
【0047】
内ケース3の左右各側板3bの内面には、該左右各側板3bを補強する補強板4が接着剤等の固着手段により重合状態に固着されて取り付けられている。各補強板4は、1枚の段ボール板から又は複数枚の段ボール板が互いに重合状態に接着されて製作されている。
【0048】
左右各補強板4の上縁には、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から保持する第4保持凹部4aが、該左右各補強板4の上縁の前後方向中間部から下方向に凹状に切り欠かれて形成されている。第4保持凹部4aの曲率半径は芯材11の半径に対して同寸又は若干大寸に設定されており、これにより、第4保持凹部4aの断面形状は芯材11の断面形状に対応した半円弧状に形成されて、第4保持凹部4aが芯材11の端部11aを安定良く保持し得るものとなされている。さらに、この第4保持凹部4aの内面は第1保持凹部3dの内面と左右方向に面一(つらいち)に配置されている。
【0049】
なお本発明では、各補強板4は、内ケース3の左右各側板3bの内面ではなく外面に重合状態に固着されて取り付けられても良いし、左右各側板3bの内面及び外面にそれぞれ重合状態に固着されて取り付けられても良い。
【0050】
そして、図2、3及び6に示すように、内ケース3の左側板3bと左支持板5との間、及び、内ケース3の右側板3bと右支持板5との間には、それぞれ、芯付きロール状物10の収容時及び取出し時に芯材11の左右各端部11aに掛けられる荷役機械Nの掛け部材Naを挿入可能な掛け部材挿入空間7が形成されている。
【0051】
この左右各掛け部材挿入空間7は、内ケース3の左右各側板3bの第1保持凹部3d、左右各補強板4の第4保持凹部4a部及び左右各支持板5の第2保持凹部5aで芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aが保持された状態において、芯材11の左右各端部11aの周囲(即ち、芯材11の左右各端部11aの上下両側及び前後両側)が全周に亘って空いた空間からなるものであり、詳述すると、芯材11の左右各端部11aの上方、前方及び後方が開放されるとともに下方には隙間をおいて底板2が配置されている。各掛け部材挿入空間7の幅は、芯材11の左右各端部11aに掛けられた荷役機械Nの各掛け部材Naを各掛け部材挿入空間7内に各掛け部材Naが内ケース3の左右各側板3b及び左右各支持板5に接触しないように上方から挿入可能な寸法に設定されており、即ち各掛け部材Naの幅に対して若干大寸に設定されている。
【0052】
左右各スペーサ部材6は、前後方向に互いに離間して配置された前後一対の挿入脚6a、6aと、該両挿入脚6a、6aの上部同士を連結した押さえ板6bと、を有している。
【0053】
左右各スペーサ部材6の前後両挿入脚6a、6aは、スペーサ部材6の本体として機能するものであり、各掛け部材挿入空間7の幅寸法を維持するものである。すなわち、内ケース3の左右各側板3bの第1保持凹部3d、左右各補強板4の第4保持凹部4a及び左右各支持板5の第2保持凹部5aで芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aが保持された状態のもとで、左右各スペーサ部材6の前後両挿入脚6a、6aが各掛け部材挿入空間7内に上方から抜出可能に挿入されることで各掛け部材挿入空間7の幅寸法が維持される。挿入脚6aは、厚さが厚くなるように複数枚の段ボール板が互いに重合状態に接着されて製作されている。挿入脚6aの幅は、掛け部材挿入空間7の幅と同寸に設定されている。
【0054】
左右各スペーサ部材6の押さえ板6bは、その前後両挿入脚6a、6aが掛け部材挿入空間7内に上方から挿入された状態のもとで、各支持板5の上縁上に配置され且つ芯材11の左右各端部11aを上方から押さえるものである。各押さえ板6bの下縁には、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部を上方から保持する第3保持凹部6cが、押さえ板6bの下縁の前後方向中間部から上方向に凹状に切り欠かれて形成されている。第3保持凹部6cの曲率半径は芯材11の半径に対して同寸又は若干大寸に設定されており、これにより、第3保持凹部6cの断面形状は芯材の断面形状に対応した半円状に形成されて、第3保持凹部6cが芯材11の端部11aを安定良く保持し得るものとなされている。さらに、押さえ板6bは、厚さが厚くなるように複数枚の段ボール板6xが互いに重合状態に接着されて製作されている。押さえ板6bの厚さは支持板5の厚さと略同寸である。
【0055】
外蓋8は、内ケース3及び左右両支持板5、5を上方から一括して覆うものであり、一枚の段ボールから下面が開口した四角箱状に組み立てられて製作されたものである。したがって、この外蓋8は前後左右の四側板と天板と有している。図5及び6に示すように、この外蓋8の下縁は、該外蓋8によって内ケース3及び左右両支持板5、5を上方から一括して覆った状態において底板2の外周縁部上に載置される。
【0056】
次に、本第1実施形態のケース1A内に芯付きロール状物10を収容する手順(方法)について図2〜4を参照して以下に説明する。図2及び3では、荷役機械Nとしてフォークリフト20を用いて芯付きロール状物10を収容する場合を示している。
【0057】
まず、図2に示すように、ケース1Aの底板2上の左右方向中間部に内ケース3をその底面板3cを接着剤等の固着手段により固着して配置するとともに、左右各側板3bの内面に補強板4を接着剤等の固着手段により重合状態に取り付ける。そして、該内ケース3の左側板3bの左側及び右側板3bの右側に、それぞれ左側板3b及び右側板3bに対して離間させて左支持板5及び右支持板5を底板2上に接着剤等の固着手段により取り付ける。次いで、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aにフォークリフト20(荷役機械N)の掛け部材Naとしての左右各フォーク爪20aを下方から掛けてフォークリフト20の動力で持ち上げ、内ケース3の上方まで芯付きロール状物10を搬送する。そして、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aに各フォーク爪20aを掛けた状態のままで、各フォーク爪20aを各掛け部材挿入空間7内に上方から挿入するように芯付きロール状物10を下降させ、これにより、芯付きロール状物10のロール部12を内ケース3内に上方から入れるとともに、その芯材11の左右各端部11aを内ケース3の左右各側板3bの第1保持凹部3d、左右各補強板4の第4保持凹部4a及び左右各支持板5の第2保持凹部5a内に上方から入れて保持させる。この状態では、ロール部12は、ケース1Aの底板2(内ケース3の底面板3c)に接触しておらず、更に内ケース3の前後両側板3a、3aにも接触してしない。こうすることにより、芯付きロール状物10のロール部12が宙吊り状態になるように芯付きロール状物10が内ケース3の左右両側板3b、3b、左右両補強板4、4及び左右両支持板5、5によって下方から支持される。
【0058】
次いで、各フォーク爪20aを若干下降させることにより、芯材11の左右各端部11aに掛けられた各フォーク爪20aを芯材11の左右各端部11aから外す。そして、図3に示すように各フォーク爪20aを各掛け部材挿入空間7内から前方(又は後方)へ取り出す。
【0059】
次いで、各スペーサ部材6の前後両挿入脚6a、6aを各掛け部材挿入空間7内に、芯材11の各端部11aが前後両挿入脚6a、6aの間に配置されるように上方から挿入する。これにより、図4に示すように各掛け部材挿入空間7の幅寸法を前後両挿入脚6a、6aによって維持するとともに、各スペーサ部材6の押さえ板6bを各支持板5の上縁上に配置し且つその各第3保持凹部6c内に芯材11の各端部11aを入れて保持する。この状態では、芯材11の各端部11aは第2保持凹部5aと第3保持凹部6cとで上下から適合状態に挟持されており、そのためしっかりと保持されている。
【0060】
次いで、外蓋8を上方から内ケース3及び左右両支持板5、5に対して被せることにより、該外蓋8によって内ケース3及び左右両支持板5、5を上方から一括して覆う。この状態では、外蓋8の下縁は底板2の外周縁部上に載置されている。
【0061】
次いで、図5及び6に示すように、外蓋8の複数(4つ)の天板構成片8aを閉じ合わせて粘着テープ9で開かないように貼着保持する。勿論、外蓋8の各天板構成片8aを先に粘着テープ9で貼着しておき、予め箱状に成形した外蓋8を覆うようにしてもよい。その後、複数(2つ)の結束バンド9bで外蓋8と底板2とを結束固定する。
【0062】
以上の手順により芯付きロール状物10がケース1A内に収容される。その後、このケース1Aをトラックの荷台等に搬送する場合には、フォークリフト20の各フォーク爪をケース1Aの底板2の2つの脚部2a、2a間の隙間2bに挿入し、ケース1Aの搬送を行う。そして、このケース1Aを、芯付きロール状物10を必要する工場等の目的場所に搬送(輸送)する。
【0063】
一方、ケース1A内から芯付きロール状物10を取り出す場合には、上述した収容手順を逆に行えば良い。その取出し手順を簡単に説明すると次のとおりである。
【0064】
すなわち、結束バンド9bをケース1Aから取り外し、次いで外蓋8を上方に持ち上げて該外蓋8を取り外す。その後、各スペーサ部材6の前後両挿入脚6a、6aを各掛け部材挿入空間7内から上方に抜出して各スペーサ部材6を取り出す。次いで、フォークリフト20の各フォーク爪20aを各掛け部材挿入空間7内に前方(又は後方)から挿入して芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aに下方から掛け、この状態のままでフォークリフト20の動力で上方に持ち上げる。これにより、芯付きロール状物10のロール部12が内ケース3内から取り出される。
【0065】
ここで、図2及び3では荷役機械Nとしてフォークリフト20を用いた芯付きロール状物10の収容及び取出し手順について説明したが、本第1実施形態では、その他に、図7に示すように、荷役機械Nとしてクレーン21を用いて芯付きロール状物10の収容及び取出し作業を行っても良い。その手順を簡単に説明すると次のとおりである。
【0066】
すなわち、図7に示すように、クレーン21(荷役機械N)の掛け部材Naとしての左右各スリング21a(詳述すると例えば両端アイ形ベルトスリング)を芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aに掛けてクレーン21の動力で持ち上げ、内ケース3の上方まで芯付きロール状物10を搬送する。そして、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aに各スリング21aを掛けた状態のままで、各スリング21aを各掛け部材挿入空間7内に上方から挿入するように芯付きロール状物10を下降させ、これにより、芯付きロール状物10のロール部12を内ケース3内に上方から入れるとともに、その芯材11の左右各端部11aを内ケース3の左右各側板3bの第1保持凹部3d、左右各補強板4の第4保持凹部4a及び左右各支持板5の第2保持凹部5a内に上方から入れて保持する。
【0067】
次いで、各スリング21aの一端又は両端をクレーン21の吊下げハンガー21bのフック部21cから外して該各スリング21aを各掛け部材挿入空間7内から上方に取り出す。その後の収容手順は、上記の図3〜5で説明した手順と同じである。
【0068】
一方、ケース1A内から芯付きロール状物10を取り出す場合には、上述した収容手順を逆に行えば良い。
【0069】
而して、本第1実施形態に係るケース1Aは次の利点がある。
【0070】
このケース1Aは、段ボールで製作されているので、木箱に比べて軽量であり、しかも組立て等の取り扱いが容易であり、且つ安価に製作することができる。
【0071】
さらに、このケース1Aは、芯付きロール状物10のロール部12を包囲する前側板3a、後側板3a、左側板3b及び右側板3bを有する内ケース3を具備しているので、芯付きロール状物10のロール部12を内ケース3によって保護することができる。しかも、外蓋8によってもロール部12が包囲されるので、ロール部12をより強固に保護することができる。
【0072】
その上、内ケース3の左右各側板3bが芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から支持するものであり、更に、左右各支持板5もまた芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から支持するものであり、しかも、左右各支持板5が内ケース3の左右各側板3bに対して離間しているから、芯付きロール状物10を確実に且つ強固に支持することができる。その上、内ケース3の左右各側板3b及び左右各支持板5にはそれぞれ芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から保持する保持凹部(即ち第1保持凹部3d及び第2保持凹部5a)が形成されているので、芯付きロール状物10を安定良く保持することができる。
【0073】
さらに、内ケース3の左側板3bと左支持板5との間、及び、内ケース3の右側板3bと右支持板5との間には、それぞれ、芯付きロール状物10の収容時及び取出し時に芯材11の左右各端部11aに掛けられる荷役機械N(フォークリフト20、クレーン21等)の掛け部材Na(フォーク爪20a、スリング21a等)を挿入可能な掛け部材挿入空間7が形成されていることから、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aに各掛け部材Naを掛けた状態のままで芯付きロール状物10のロール部12を内ケース3内に上方から入れることができるとともに、その芯材11の左右各端部11aを内ケース3の左右各側板3bの第1保持凹部3d及び左右各支持板5の第2保持凹部5a内に入れて保持させることができる。また同じく芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aに各掛け部材Naを掛けた状態のままで芯付きロール状物10のロール部12を内ケース3内から上方に取り出すことができる。そのため、芯付きロール状物10の収容及び取出し作業を容易に行うことができる。さらに、その際にケース1Aは破損することはなく、そのためケース1Aを繰り返し使用することができる。
【0074】
さらに、芯付きロール状物10のロール部12を内ケース3内に入れた後で各スペーサ部材6の前後両挿入脚6a、6aを各掛け部材挿入空間7内に上方から挿入することにより、各掛け部材挿入空間7の幅寸法が維持されるとともに、更に、各スペーサ部材6の押さえ板6bで芯材11の各端部11aが上方から押さえられる。これにより、ケース1Aの搬送中に芯付きロール状物10が上下左右にがたつくのを確実に防止することができ、そのため芯付きロール状物10を確実に安定良く搬送することができる。
【0075】
さらに、押さえ板6bには、芯材11の端部11aを上方から保持する第3保持凹部6cが該押さえ板6bの下縁から上方向に凹状に切り欠かれて形成されているので、芯付きロール状物10を更に安定良く保持することができる。
【0076】
さらに、押さえ板6bは、複数枚の段ボール板6xが互いに重合状態に接着されて構成されているので、押さえ板6bの厚さが厚くなってその機械的強度が高められている。そのため、芯付きロール状物10をしっかりと押さえることができる。
【0077】
さらに、左右各支持板5は、複数枚の段ボール板5xが互いに重合状態に接着されて構成されているので、各支持板5の厚さが厚くなってその機械的強度が高められている。そのため、芯付きロール状物40をしっかりと支持することができる。
【0078】
さらに、内ケース3の左右各側板3bの内面に、該左右各側板3bを補強する補強板4が重合されているので、左右各側板3bを補強板4により補強することがきる。さらに、補強板4に第4保持凹部4aが形成されるとともにこの第4保持凹部4aの内面が第1保持凹部3dの内面と面一に配置されているので、芯付きロール状物10の芯材11の左右各端部11aを下方から確実に安定良く保持することができる。
【0079】
さらに、第1保持凹部3dにおける上部側の開口幅が、第1保持凹部3dにおける底部側の開口幅よりも大きくなっているので、芯付きロール状物10の芯材11の端部11aを第1保持凹部3d内に容易に入れることができる。
【0080】
さらに、底板2の底部に複数の脚部2aが設けられるとともに、互いに隣り合う2つの脚部2a、2a間にフォークリフトのフォーク爪の挿入用隙間2bが形成されているので、この隙間2b内にフォークリフトのフォーク爪を挿入してケース1Aを搬送することができる。
【0081】
図8及び9は、本発明の第2実施形態に係る搬送用段ボール製ケースを説明する図である。このケース1Bについて上記第1実施形態のケース1Aと相異する点を中心に以下に説明する。
【0082】
本第2実施形態のケース1Bでは、左右各支持板5は複数枚の段ボール板5xが互いに重合状態に接着されて構成されているが、これらの段ボール板5xのうち最外側に配置された段ボール板5xaには第2保持凹部5aは設けられていない。すなわち、第2保持凹部5aは、これらの段ボール板5xのうち最外側の段ボール板5xa以外の段ボール板5xに設けられている。これにより、図9に示すように、最外側の段ボール板5xa(詳述すると、最外側の段ボール板5xaにおける第2保持凹部5aとの対応部)は、第2保持凹部5aで保持された芯材11の端部11aの端面11bに当接することで芯材11の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされている。なお、段ボール板5xの枚数は、本第2実施形態では3枚であるが、本発明ではその他に2枚であっても良いし、4枚以上であっても良い。
【0083】
また、左右各スペーサ部材6の押さえ板6bは、複数枚の段ボール板6xが互いに重合状態に接着されて構成されているが、これらの段ボール板6xのうち最外側に配置された段ボール板6xaには第3保持凹部6cは設けられていない。すなわち、第3保持凹部6cは、これらの段ボール板6xのうち最外側の段ボール板6xa以外の段ボール板6xに設けられている。これにより、最外側の段ボール板6xa(詳述すると、最外側の段ボール板6xaにおける第3保持凹部6cとの対応部)は、第3保持凹部6cで保持された芯材11の端部11aの端面11bに当接することで芯材11の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされている。なお、段ボール板6xの枚数は、本第2実施形態では3枚であるが、本発明ではその他に2枚であっても良いし、4枚以上であっても良い。
【0084】
このケース1Bの他の構造は上記第1実施形態のケース1Aと同じである。
【0085】
本第2実施形態のケース1Bによれば、上記第1実施形態のケース1Aと同じ利点がある上、更に、次の利点がある。
【0086】
すなわち、第3保持凹部6cは、左右各スペーサ部材6の押さえ板6bを構成する複数枚の段ボール板6xのうち最外側に配置された段ボール板6xaには設けられておらず、当該最外側の段ボール板6xaは、芯材11の端面11bに当接することで芯材11の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされているので、当該最外側の段ボール板6xaによって芯材11の左右方向への位置ずれを防止することができる。
【0087】
さらに、第2保持凹部5aは、左右各支持板5を構成する複数枚の段ボール板5xのうち最外側に配置された段ボール板5xaには設けられておらず、当該最外側の段ボール板5xaは、芯材11の端面11bに当接することで芯材11の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされているので、スペーサ部材6の押さえ板6bの最外側の段ボール板6xaだけではなく更に当該最外側の段ボール板5xaによっても芯材11の左右方向への位置ずれを防止することができる。したがって、芯材11の左右方向への位置ずれを確実に防止することができる。
【0088】
なお、上記第2実施形態では、押さえ板6bと左右各支持板5とがそれぞれストッパ部として機能する段ボール板6xa、5xaを備えているが、本発明では、その他に、押さえ板6bだけ又は左右各支持板5だけがストッパ部として機能する段ボール板を備えることを排除するものではない。
【0089】
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に示したものであることに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々に変更可能であることは言うまでもない。
【0090】
また、上記実施形態では、荷役機械Nとしてフォークリフト20及びクレーン21が用いられているが、本発明では、荷役機械Nはその他の機械であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、アルミニウム箔材等のシート材が芯材に巻回されてなる芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース、及び、芯付きロール状物の搬送方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1:ケース
2:底板
2a:脚部
2b:フォーク爪挿入用隙間
3:内ケース
3b:左右各側板
3d:第1保持凹部
4:補強板
4a:第4保持凹部
5:支持板
5a:第2保持凹部
6:スペーサ部材
6a:挿入脚
6b:押さえ板
6c:第3保持凹部
7:掛け部材挿入空間
8:外蓋
10:芯付きロール状物
11:芯材
11a:芯材の左右各端部
11b:芯材の左右各端面
12:ロール部
20:フォークリフト
20a:フォーク爪
21:クレーン
21a:スリング
N:荷役機械
Na:掛け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に延びた芯材の左右方向中間部にシート材が巻回されてなる芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケースであって、
底板と、
前記底板上の左右方向中間部に配置されるとともに、前記芯付きロール状物のロール部を前後両側及び左右両側から包囲する前側板、後側板、左側板及び右側板を有し、且つ、上面が開口した箱状の内ケースと、
前記底板上における前記内ケースの左側板の左側及び右側板の右側にそれぞれ該左側板及び該右側板に対して離間して立設された左右一対の支持板と、
前記内ケース及び前記左右両支持板を上方から一括して覆う外蓋と、を具備し、
前記内ケースの左右各側板は、前記芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から支持するものであり、且つ、該左右各側板には、前記芯材の左右各端部を下方から保持する第1保持凹部が該左右各側板の上縁から下方向に凹状に切り欠かれて形成されるとともに、
前記左右各支持板は、前記芯付きロール状物の芯材の左右各端部を下方から支持するものであり、且つ、該左右各支持板には、前記芯材の左右各端部を下方から保持する第2保持凹部が該左右各支持板の上縁から下方向に凹状に切り欠かれて形成されており、
前記内ケースの左側板と前記左支持板との間、及び、前記内ケースの右側板と前記右支持板との間には、それぞれ、前記芯付きロール状物の収容時及び取出し時に前記芯材の左右各端部に掛けられる荷役機械の掛け部材を挿入可能な掛け部材挿入空間が形成されていることを特徴とする芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【請求項2】
前記掛け部材挿入空間の幅寸法を維持するために、前記第1保持凹部及び前記第2保持凹部で前記芯材の端部が保持された状態のもとで前記掛け部材挿入空間内に上方から抜出可能に差し込まれるスペーサ部材を具備しており、
前記スペーサ部材は、前記掛け部材挿入空間内に上方から差し込まれた状態のもとで前記芯材の端部を上方から押さえる押さえ板を有している請求項1記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【請求項3】
前記押さえ板には、前記芯材の端部を上方から保持する第3保持凹部が該押さえ板の下縁から上方向に凹状に切り欠かれて形成されており、
前記押さえ板は、複数枚の段ボール板が互いに重合状態に固着されて構成されており、
前記第3保持凹部は、前記押さえ板を構成する複数枚の段ボール板のうち最外側に配置された段ボール板には設けられておらず、当該最外側の段ボール板は、前記芯材の端面に当接することで芯材の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされている請求項2記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【請求項4】
前記左右各支持板は、複数枚の段ボール板が互いに重合状態に固着されて構成されており、
前記第2保持凹部は、前記左右各支持板を構成する複数枚の段ボール板のうち最外側に配置された段ボール板には設けられておらず、当該最外側の段ボール板は、前記芯材の端面に当接することで芯材の左右方向への位置ずれを防止するストッパ部として機能するものとなされている請求項1〜3のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【請求項5】
前記内ケースの左右各側板の内面又は/及び外面に、該左右各側板を補強する補強板が重合されており、
前記補強板に、前記芯材の左右各端部を下方から保持する第4保持凹部が該補強板の上縁から下方向に凹状に切り欠かれて形成されるとともに、前記第4保持凹部の内面が前記第1保持凹部の内面と面一に配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【請求項6】
前記第1保持凹部における上部側の開口幅が、前記第1保持凹部における底部側の開口幅よりも大きくなっている請求項1〜5のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【請求項7】
前記底板の底部に複数の脚部が設けられるとともに、互いに隣り合う2つの前記脚部間にフォークリフトのフォーク爪挿入用隙間が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース。
【請求項8】
左右方向に延びた芯材の左右方向中間部にシート材が巻回されてなる芯付きロール状物を、請求項1〜7のいずれかに記載の芯付きロール状物の搬送用段ボール製ケース内に収容した状態で搬送することを特徴とする芯付きロール状物の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131558(P2012−131558A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287174(P2010−287174)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(501428187)昭和電工パッケージング株式会社 (110)
【Fターム(参考)】