説明

芯入り電極使用の交流溶接方法

【課題】芯入り電極使用の交流溶接プロセスにおいて、コンタミを少なくする減少したアーク長さをもつ交流溶接機及びその使用方法を提供する。
【解決手段】第一の形状でそして第一の時間をもつ正の波形を形成し、第二の形状でそして第二の時間をもつ負の波形を形成し、該第一及び第二の形状の片方を該形状の他方の大きさよりも大きくし、そして該第一及び第二の時間の相関割合を調節して与えられたレベルよりも低いRMSを得ることを特徴とする芯入り電極使用のアーク溶接方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気アーク溶接分野そしてより特徴的には特に芯入り電極のために開発された交流溶接方法及びこの新規な方法を達成するための溶接機に関する
【背景技術】
【0002】
本発明は交流(AC)溶接サイクルにおける種々の部分形状波を発生させるための波形発生器又は変調器付き波形調節パルスをもつ変換器ベースの動力源に関する。この種の溶接機及び溶接方法のためのユニークな調節システムは特許文献1に示されている。この特許はここでは参照として取り込まれている。本特許に開示されている調節システム及び溶接機を使用して得られる個々の交流波は、多くの電流パルスが少なくとも18kHzの周波数で、波形形成器又は波形発生器によって調節される各電流波の量で起こるような独特な技術を構成している。そのような波形技術は交流溶接技術における波形形状を開示している特許文献2まで遡る。この電気アーク溶接のための交流波の初期形成は主に固体溶接ワイヤーのために使用された。波形発生器又は波形形成器を使用して変換器によって得られる交流波形は芯入り電極で使用するために採用できることが提案されてきた。特に交流波形を構成することによって、波形は特定の芯入り電極と調和しそれにより鞘と芯は所望の速度で燃焼することができる。この場合、交流溶接は芯入り電極で成功裡に使用できることが見出された。過去においては、通常直流(DC)溶接が芯入り電極用に使用されていた。交流波形用の特定のプロフィールを形成することによって、全体の溶接プロセスは芯入り電極で使用するのに適しているが、芯入り電極で交流波形を調和させるこのタイプは非常に正確な波形形成を必要とする。この目標はクリーブランド、オハイオのザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって開拓されたこの種の波形技術を使用することによってのみ到達されてきた。芯入り電極で使用される交流波を正確に制御することによって、ベース金属中への浸透、電極の融解速度、ベース金属への熱入力、及び溶接伝播時間、同様にワイヤー供給速度のような溶接プロセスの特性が最適化される。
【0003】
【特許文献1】USP6,472,634
【特許文献2】USP5,278,930
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、芯入り電極使用の交流溶接プロセスにおいて、コンタミを少なくする減少したアーク長さをもつ交流溶接機及び交流溶接機を使用する方法を提供することである。また本発明の別の課題は、コンタミを防ぐ“キリング”剤のアルミニウムを電極の芯中にほとんど含まないレベルまで減少させる方法を提供することである。さらにまた、芯入り電極中で、溶接金属中のアルミニウムのレベルを低下させるか削減して溶接金属の靭性を改良する細かいミクロ構造を形成している新規なスラグ系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
波形技術はクリーブランド、オハイオのザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって開拓されたように芯入り電極の交流(AC)溶接における使用のために発展してきた。芯入り電極は所望のビーズの機械的な特性に特化された溶接ビーズ合金及び制限の少ない溶接操作条件でより厳密に溶接条件をコントロールすることができる。しかしながら、アーク(電弧)安定性及び適切な融解温度と速度、交流プロセスのための実際の波形コントロールを与えることは非常に困難である。アーク溶接過程での溶接金属のコンタミは芯入り電極のための交流溶接を使用する際にいまだなお問題となっている。溶接操作後における溶接金属中の窒素のようなコンタミは空隙、割れ及びその他のタイプの溶接金属欠陥を引き起こす。
【0006】
結果として、アーク溶接プロセスに挑戦する主要な設計者は、窒素のような元素をアーク環境から取除くための又はそのような潜在的に有害な不純物を中和するための技術を規定してきた。コンタミの潜在的な発生源としては、溶接電極を構成する材料、作業片それ自身及び周囲の環境中の不純物を包含する。公知のように、フラックス芯入り電極は顆粒状の充填物を内包する管状の金属製鞘から構成される。この充填物はフラックス又はスラグ剤、同様に合金成分を包含する。成分の幾つかは分解してガスを発生して環境から溶接金属をシールド(遮蔽)するように設計される。芯入り電極はアルムニウム、マグネシウム、ジルコニウム及びチタンのような潜在的なコンタミ物質と化学的に結合して溶接金属中での空隙の形成や有害物の内包を防止する“キリング”剤を含む。
【0007】
本発明は全体のアーク長さを減少させるようにアーク電流又はアーク電圧を修正することによって周囲の雰囲気へのアーク及び熔融金属の曝露を減少させる。アーク長さの減少は熔融金属がアークを横切って移動する過程の曝露時間を減少させそしてまたその熔融状態における金属の温度を低下させる。過去において、フラックス芯入り電極使用の溶接は通常直流を使用しそして一般には負の直流(DC)電流を使用していた。しかしながら、上述のような新規に開発された溶接用動力源は交流を使用して或るフラックス芯入り電極で溶接することを可能にさせた。そのような動力源は交流波形の正の部分と負の部分の変数をそれぞれ独立に調節することを可能にさせた。このように、本発明は、芯入り電極で溶接するために使用される交流動力源の独特の調節法を採用することによってフラックス芯入り電極を使用するときにより良い溶接結果を得るためのものである。
【0008】
本発明は芯入り電極で使用するための交流波形の負及び正の部分の実際の形状を調節する能力を利用する。波形発生器又は波形形成器付き変換器ベースの動力源の発達は動力源に交流波形の波形バランスを変化させることを可能にさせた。波形バランスは溶接サイクル時間が合計サイクル時間に対して正である間の相関割合である。これらの動力源はまた直流オフセットを変化させることもできる。直流オフセットは波形の正の部分と波形の負の部分との間の大きさの差でありそして通常20のような数として表される。−20のオフセットは波形の負の部分が大きいことを示している。正の部分は負の部分より20%小さい。同様に、+20のオフセットは波形の正の部分が大きいことを示している。負の部分は正の部分より20%小さい。このオフセットは交流波の電圧又は電流のどちらかであることができる。クリーブランド、オハイオのザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって販売されている電力波動力源は波形バランスと直流オフセットの両方を調節する能力をもっている。この特質は本発明においては溶接工業において公知のフラックス芯入り電極の利点を得るために使用されるときに交流溶接プロセスの操作モードを調節するために使用される。
【0009】
本発明は溶接プロセスの有効アーク長さを減少させそれによって溶接金属のコンタミ傾向を減少させるために波形バランスと直流(DC)オフセットとの間の相関関係を使用する芯入り電極での使用のための交流溶接機の操作を包含する。負の電圧がアーク安定性を維持するのに十分でない正のオフセットであるときは、溶接プロセスは低い波形バランスから生ずる周期的な高い正の電圧スパイクによって行われることが見出されてきた。換言すれば、+DCオフセットをもつことによって、波形の負の部分の電圧は、もしそれがアーク安定性を維持するために直流で溶接されるのに必要な電圧よりも低くすることができる。各交流波形の過程で少ない正の部分の使用は溶接プロセスの過程でアークに安定性を与える。このように、波形の電圧RMSは低くそしてアーク長さもまた小さい。この+DCオフセットと低波形バランスによる溶接モードは溶接金属中で窒素の低回収率を維持する。このモードは約35−40%のような与えられたバランスに到達するまで使用される。それゆえに、本発明を使用する操作の第一のモードは低波形バランスの+DCオフセットである。このモードは本発明の好ましい操作である。AC波形の正の部分の大きさよりも大きな負の部分の大きさである−DCオフセットを使用することによって、窒素回収率は波形バランスが増加するに従って減少する。この事実は、+DCオフセットによる窒素回収率の減少は−DCオフセットでの増加した波形バランスによって起こる増大した窒素回収率よりも小さくなった後で溶接モードを変えるために使用される。このように、本発明は溶接金属の低コンタミを維持するようなDCオフセットと波形バランスの調節を包含する。これは低波形バランスで+DCオフセットを使用しそして高波形バランスで−DCオフセットを使用することによって可能となる。AC波形のこれらの二つの変数の調節は溶接プロセスのアーク長さを最小化するのに十分低いレベルまで波形の電圧RMSを低下させるために使用される。
【0010】
AC波形のDCオフセットと波形バランスは溶接金属中の窒素レベルを調節するために操作することができる。このタイプの操作はまた溶接金属中の酸素と水素のレベルを減少及び調節することが可能である。コンタミの全体レベルを減少させることによって電極の芯中にアルミニウムのような“キリング”剤の必要性が少なくなる。この必要性が少ないことは電極設計者にとって溶接金属中で最適な物理的性質を達成させるための合金剤レベルの最適化に集中させることができる。
【0011】
フラックス芯入り電極でのアーク溶接プロセス過程で溶接金属の雰囲気からのコンタミを最小化するために、AC(交流)波形はアーク安定性と電極から溶接パッドルへの金属のスムースな移動のための必要性に一致した平均アーク長さを最小化するために波形バランスと関係するDCオフセットを一致させることによって調節される。アーク長さはアーク電圧の関数であり、その関係は線形ではないが、高電圧は長いアークを与えそして逆もまた同じである。それゆえに、芯入り電極を使用するAC溶接のための波形バランスとDCオフセットの操作は減少したアーク長さを可能にさせる。この波形の独特な調節は安定なアークを維持するために高電圧が必要な通常のDC溶接に対する改良点である。使用可能なアーク長さの下限は電極の先端で高電圧を必要とする。本発明を使用することによって、AC波形は芯入り電極のために使用可能でそしてアーク長さは減少する。アーク安定性はたとえ短いアーク長さであったとしてもそれによって達成される。本発明は本目的を達成するために三つの変数を設定する。AC波形の正部分の過程での電圧RMS、AC波形の負部分の過程での電圧RMS及び波形バランスがこれらの変数である。波形の二つの部分のRMSは波形バランスの調節によって決定される低レベルで維持される。+DCオフセットで、波形のRMSは波形バランスが増加するにつれて増加する。反対に、−DCオフセットで、RMSは波形バランスが増加するにつれて減少する。このように、低波形バランスにおいては、+DCオフセットが使用される。高波形バランスにおいては、−DCオフセットが採用される。どちらの場合においても、その目的は溶接プロセスの過程でアーク長さと熔融金属によって曝露されるコンタミ量を減少させるためにRMSを制御することである。
【0012】
本発明によるより短い全アーク長さの設定はこのように二つの新規な溶接モードに反映されている。正部分における高電圧での短いサイクル又は低波形バランス又は負部分における高電圧での長いサイクルと高波形バランスである。このように、本発明は短い平均アーク長さを生ずる交流サイクルの大部分のための低電圧を含み、一方では反対側で高電圧の短いパルスはアーク安定性を維持する。そのような結果は本発明を採用することによって得られる。最適な波形設定は本発明の制限を使用することによって選択される。このようにして、短いアーク長さと溶接金属で減少したコンタミが実現できる。しかしながら、異なった電極のための実際の波形は異なっている。電極芯中で異なったイオン的性質をもつ材料は正又は負極のいずれかでアーク安定性を変える。本発明の指示どおりの波形オフセットと波形バランスを設定することと組み合わせてイオン化種を適切に選択することは電極特性の別の観点、例えば、溶接形状、浸透性、及び物理的性質を最適化するために使用される。本発明は、スラグ系、又は合金化剤と組み合わせたフラックス系を含むタイプの芯入り電極のためのAC溶接を使用するときにこの結果を達成する。当業界では公知の理由により、溶接プロセスで必要となるキリング剤、特にアルミニウムの量は減少する。この減少はフィル(充填物)中で10%以下のレベルまでそして好ましくはフィル中で5%以下まで又は実質上アルミニウムを含まないレベルである。本発明の使用は溶接金属中で低コンタミをもたらし、そしてそれゆえに、アルミニウムのようなキリング剤の必要性を減少させる。
【0013】
本発明に従えば、芯入り電極でのアーク溶接方法が提供される。その方法は、第一の形状でそして第一の時間をもつ正の波形を形成し、第二の形状でそして第二の時間をもつ負の波形を形成し、該第一及び第二の形状の片方を該形状の他方の大きさよりも大きくし、そして該第一及び第二の時間の相関割合を調節して与えられたレベルよりも低い電圧RMSを得ることを含む。電圧RMSの与えられたレベルは選択される溶接プロセスのアーク安定性レベル以上である。
【0014】
アルミニウムは溶接金属中の窒素量を減少させるために電極の芯にしばしば使用される。たしかに、通常芯充填物の5−20%はアルミニウムである。しかしながら、溶接金属中のアルミニウムは拡散変形を遅くしそしてせん断変形を促進する。特に、アルミニウムの追加がラスベイナイトの形成を引き起こすために、FCAW−S電極中の針状鉄ミクロ構造に到達するのは困難であった。それゆえに、微小粒ミクロ構造の形成はアルミニウムを含む溶接金属中では本来的に困難である。溶接金属中のアルミニウムのレベルを低下させるか削除することが望ましくそうすればより細かな溶接ミクロ構造が得られ、それは溶接金属の靭性を改良する。本発明を使用することによって、アルミニウムは芯充填物中で5%以下そして或る電極の場合は2%又は実質上アルミニウム0にまで減少させることができる。これは芯入り電極での溶接における実質上の改良である。本発明の好ましい態様においては、AC波形の正形状は負形状の大きさよりも大きい。この+DCオフセットモードにおいては、波形バランスは50%以下でありそして好ましくは約35%以下である。しかしながら、波形バランスは5%より大きく溶接操作は断続的な高い正電圧スパイクにおいて低い基本負電圧をもつ。これらの短いパルスは溶接操作の安定性を維持しながら低いDC溶接操作の利点を与える。それゆえに、高い正スパイクでの低RMSは、実際の溶接の電圧又は電流がアーク安定性に十分でなくても、アークを安定に保つ。DCオフセットが負のときは、負電圧又は負電流のためにより高い量がAC波形において使用される。このオフセットが使用されるときは、波形バランスの相関割合は30%のような値より大きい。両方の例において、低レベルで実質上の電圧がそして高レベルでスパイク電圧が存在する。これは、安定性を維持しながら、RMSとアーク長さを減少させる。
【0015】
広義でいえば、本発明は芯入り電極でのアーク溶接方法を提供する。この方法は、第一の形状でそして第一の時間をもつ正の波形を形成し、第二の形状でそして第二の時間をもつ負の波形を形成することを含む。その形状の片方は他方の形状よりも大きく、より大きい形状の時間が実質上他方の形状の時間よりも少なくなるように調節された第一及び第二の時間の相関割合をもつ。正及び負の波形の電圧RMSは設定されたアーク安定性レベル以上である。この電圧RMSは正及び負の波形を含むACサイクルの波形バランスを変えることによって調節される。この正及び負の波形はACサイクルを形成するために合体する。この相関関係はしばしば正及び負部分でのAC波形と呼ばれる。この二つの表現は同一の意味である。
【0016】
本発明の態様に従えば、波形の片方の部分のより大きい時間は他方の部分の時間の少なくとも2倍である。たしかに、大きい時間は他方の時間の少なくとも8倍である。大きさが小さい波形は他方の波形の大きさの約0.7−0.9倍か又はより大きな形状をもつ。この場合、低電圧RMSは波形の大部分で低電圧又は低電流によって得られ、一方高電圧又は高電流スパイクはアーク安定性を維持するために使用される。小さな高電圧又は高電流部分は約5−15%の波形バランスである。そのオフセットは低電流又は低電圧が高電圧又は高電流の大きさの約0.70−0.90である。これらのオフセットでそして小さなスパイク部分を使用すると、低電圧RMSはアーク安定性を維持する。溶接金属中のコンタミは減少する。
【0017】
本発明の別の態様においては、波形発生器付きの変換器を含む電気アーク溶接機を提供することである。発生器は、第一の形状で第一の時間をもつ正の波形を形成するための第一入力及び第二の形状で第二の時間をもつ負の波形を形成するための第二入力をもっている。第一及び第二の形状の片方は該形状の他方の大きさよりも大きく、そして回路は、設定されたアーク安定性レベル以上である与えられたレベルよりも低い電圧RMSを得るために該第一及び第二の時間の相関割合を調節するために用意される。一方の大きさが他方の大きさを超えそして合計時間の短い時間のみをもつことによって、低電圧RMSがアーク安定性を維持するための反対側のスパイクにおいて得られる。
【0018】
AC波形は公知の周波数で形成される。この周波数は一般に30−120Hz、そして好ましくは50−60Hzの範囲である。
本発明の主要な目的は、アーク長さを減少させ、そして溶接金属のコンタミを起こさせる機械的物理的な性質を減少させるために減少した電圧RMSをもっている、芯入り電極でのAC溶接の使用方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、比較的長い小さな部分と比較的短い大きな部分のあるAC波形を含む上記のような方法を提供することである。大きさの大きい部分は合計波形サイクルのほぼ5−15%である。
【0020】
本発明の別の目的は、上記で定義したように、芯中のアルミニウムの使用を10%以下のレベルまでそして好ましくは実質上アルミニウムを芯中にほとんど含まないレベルまで減少させる方法を提供することである。この場合、溶接金属の粒子サイズは改善される。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、波形発生器付きの変換器を含む電気アーク溶接機を提供することである。波形発生器は、第一の形状で第一の時間をもつ正の波形を形成するための第一入力及び第二の形状で第二の時間をもつ負の波形を形成するための第二入力をもっており、そこでは第一及び第二の形状の片方は該形状の他方の大きさよりも大きい。相対的な大きさを調節するために単一波形の個々の部分を描き出す能力は、クリーブランド、オハイオのザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって製造されているような波形技術タイプの動力源の能力である。この溶接機はまた、アーク安定性を維持するための電圧又は電流の短いスパイクで低RMSを得るために第一及び第二の時間の相関割合を調節する能力をもっている。周波数は好ましくはほぼ30−120Hzの範囲である。
【0022】
本発明の広義な目的は、交流溶接プロセスを使用しそしてコンタミを少なくする減少したアーク長さをもつ交流溶接機及び交流溶接機を使用する方法を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、芯入り電極中で、溶接金属中のアルミニウムのレベルを低下させるか削減して溶接金属の靭性を改良する細かいミクロ構造を形成している新規なスラグ系を提供することである。スラグ系はアルミニウムを酸化するか又はアルミニウムの代わりにマグネシウム、シリコン、ジルコニウム又はチタンで置換する。このように、スラグ系の使用はアルミニウムの削減で、脱酸化剤として振る舞い、ナトリウムアーク安定剤が芯入り電極中で使用できるようにする。
これらの及び他の目的と利点は添付の図面を参照して以下の記載を読めば明らかとなるであろう。
【0024】
次に本発明とその好ましい態様について要約して述べる。
1.(a)第一の形状でそして第一の時間をもつ正の波形を形成し(b)第二の形状でそして第二の時間をもつ負の波形を形成し、(c)該第一及び第二の形状の片方を該形状の他方の大きさよりも大きくし、そして(d)該第一及び第二の時間の相関割合(percentage relationship)を調節して与えられたレベルよりも低いRMSを得ることを特徴とする芯入り電極使用のアーク溶接方法。
2.該与えられたレベルが設定されたアーク安定性レベル以上である1記載の方法。
3.該芯入り電極が芯中のアルミニウム含有量が10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下、最も好ましくは実質的に0%である1又は2の方法。
4.該正の波形が該負の波形より大きい1−3の方法。
5.該相関割合が50%以下である4の方法。
【0025】
6.該相関割合が5%以上である4又は5の方法。
7.該負の波形が該正の波形より大きい1−3の方法。
8.該相関割合が30%より大きい7の方法。
9.該波形が電圧波形である1−8の方法。
10.該波形が電流波形である1−8の方法。
【0026】
11.該芯が最終生成物スラグのスラグ系で、TiO:5−35%、ZrO:5−35%、NaO:0−5%、LiO:0−5%、MgO:15−45%(いずれもスラグ当り)を含む1−10の方法。
12.該スラグ系が、Al:1−35%、MgO:10−40%、Fe:5−20%、ZnO:0−20%、LiO:0.5%を含む1−10の方法。
13.該芯がTiO、Al、Fe及び/又はZrOとMgOからなるスラグ成分を含む最終製品スラグのスラグ系をもつ1−12の方法。
14.該芯がアルミニウムを酸化させるための化合物粒子を含む1−13の方法。
15.さらに(e)波形発生器によって制御される短いパルスの連続によって該波形を形成している1−14の方法。
【0027】
16.波形発生器付きの変換器、第一の形状で第一の時間をもつ正の波形を形成するための該波形発生器への第一入力、第二の形状で第二の時間をもつ負の波形を形成するための該波形発生器への第二入力、ここで該第一及び第二の形状の片方は該形状の他方の大きさよりも大きい、そして、設定されたアーク安定性レベル以上である与えられたレベルよりも低い電圧RMSを得るために該第一及び第二の時間の相関割合を調節するための回路、からなる電気アーク溶接機。
17.該正の形状が該負の形状よりも大きい16の溶接機。
18.該負の形状が該正の形状よりも大きい16の溶接機。
19.該波形が電圧波である16の溶接機。
20.該波形が波形発生器によって制御される短いパルスの連続からなる16の溶接機。
【0028】
21.(a)正の部分と負の部分をもつ交流波を形成し、(b)該部分の片方を該部分の他方より大きくし、(c)該第一及び第二部分の相関割合を調節し、(d)与えられた第一の量より大きな該正の部分と与えられた第一の量より低い該相関割合をもつ第一の操作モード又は与えられた第二の量より大きな該負の部分と与えられた第二の量より高い該相関割合をもつ第二の操作モードを選択することからなる芯入り電極使用のアーク溶接方法。
22.(a)正の部分と負の部分をもつ交流波を形成し、(b)該部分の片方を該部分の他方より大きくし、(c)該第一及び第二部分の相関割合を調節し、そして(d)与えられた量より大きな該正の部分と与えられた量より低い該相関割合をもつ操作モードを選択することからなる芯入り電極使用のアーク溶接方法。
(a)正の部分と負の部分をもつ交流波を形成し、(b)該部分の片方を該部分の他方より大きくし、(c)該第一及び第二部分の相関割合を調節し、そして(d)与えられた量より大きな該負の部分と与えられた量より高い該相関割合をもつ操作モードを選択することからなる芯入り電極使用のアーク溶接方法。
23.(a)第一の形状でそして第一の時間をもつ正の波形を形成し(b)第二の形状でそして第二の時間をもつ負の波形を形成し、(c)該第一及び第二の形状の片方を該形状の他方の大きさよりも大きくし、そして(d)大きな形状の時間が他方の形状の時間より実質上少なくなるように該第一及び第二の時間の相関割合を調節することからなる芯入り電極を使用するアーク溶接方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明の芯入り電極を使用する交流溶接方法により、アーク長さを減少させ、溶接金属のコンタミを少なくし、低電圧RMSをもつ効率的な交流溶接が可能になり、芯入り電極中のキリング剤としてのアルミニウム量も少なくでき、また溶接金属の靭性も改良される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図を参照して本発明を説明するが、図は単に本発明の好ましい態様を説明する目的のためであり本発明を限定する目的のためではない。本発明を実施するための系は図1、2、4、5及び16に詳細に示される。図2及び6−15は開示されている背景となる溶接系の態様を記載している。図17及び18に記載されている溶接機は図20に示される特定の電極に特化されている波形形成器又は波形発生器を使用するAC波形の厳密なプロフィールを作成するために使用される。これらの電極プロフィールは図19−27に記載された方法で系を形成する溶接方法を実施する際に使用される。まとめとしては、図1−16はオハイオ、クリーブランドのザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって開発された波形技術を使用するAC波形を提供する先行システムを開示している。図17−27は与えられた芯入り電極AC波形を誂えるための公知の技術の使用法を教示している。この情報は図28−45に開示されている本発明の背景となっており、そこではAC波形の形状に誂える能力は二つの独特のモードをもつ新規な溶接方法で使用されそしてRMS又はアーク長さLを減少させることによって溶接金属のコンタミを減少させるために使用される。
【0031】
波形技術の一般的な開示(図1−16)
本発明で使用されている波形コントロールタイプを説明するために一般的な背景波形技術に転ずると、図1は溶接部署WSでアークとして交流を形成するための単一セル形態の単一電気溶接系Sを開示している。この系又はセルはパイプシームジョイントの形態又は他の溶接操作中で電極E及び作業片Wとつながっている出力ライン10、12を備えた第一のマスター溶接機Aを含む。ホール効果電流変換器14はライン16で溶接機Aの電流に比例する電圧を与える。溶接パラメーターのような短時間の臨界データは離れた中央制御18で生み出される。同様にして、従属溶接機Bは溶接部署WSを溶接するための付加的なAC電流に直結するためにライン10、12と並列に接続されているライン20、22を含む。ホール効果電流変換器24は溶接操作過程で溶接機Bでの電流レベルを具現する電圧をライン26で形成する。単一の従属制御装置又は従属溶接機Bが示されているが、電極Eと作業片Wを横断する交流を作り出すために、如何なる数の追加の溶接機をマスター溶接機Aと並列に接続してもよい。交流電流は極性切り替えネットワークに先立つ代わりに溶接部署で結合される。各溶接機はマスター制御器と動力源30の組み合わせ及び従属制御装置と動力源32の組み合わせのように示されている制御器と変換器ベースの動力源を含む。制御器30、32はパラメーターデータと同期データを比較的低レベルの論理回路から受け取る。パラメーター情報又はデータは各動力源が電流、電圧及び/又はワイヤー供給速度のような所望のパラメーターとして供給されるような特定の動力源である。低レベルのデジタル回路はパラメーター情報を与えることができるが、しかしながら、逆の極性をもつAC電流が同じ時間で生ずる。“同じ”時間は10μs以下の差異をもち好ましくはほぼ1−5μsの範囲の時間を示す。動力源30及び動力源32からのAC電流の厳密な整合性を達成するためには、切り替え点と極性情報は時間が正確でないような一般的な論理回路からは与えることができない。個々のAC動力源は、高速の、“ゲートウエイ”と呼ばれるより厳密なDC論理回路によって整合化される。図1に示すように、動力源30、32は、それぞれ42m、42sの二方向の線によって指示される必要な操作パラメーターとして与えられる。この時間に敏感でない情報は図1に示されるデジタル回路によって与えられる。マスター動力源30は、単一方向のライン40によってそのAC出力電流の制御器操作時間に指示されるような同期信号を受け取る。マスター動力源30のAC電流の極性はライン46によって指示されるように出力される。マスター動力源30のAC電流の実際の切り替え命令はライン44で出力される。切り替え命令は、変換器形態の動力源Sに“切断(kill)”、電流の劇的な減少を命令する。言い換えれば、これは極性を逆にする切り替え信号である。“切り替え点(switching points)”又はライン44上の命令は特許文献4に示される“切り替え点”を利用する“切断”及び電流逆転命令である。このように、時間的な切り替え点又は命令はライン44によって動力源30から出力される。切り替え点又は命令は低電流又は単に電流逆転点での切り替え準備(ready)信号によって伴われる“切断”動力源を含む。切り替え“準備(ready)”は変換器が設定電流以下となるまで実際に逆転しないために“切断”概念が遂行されるときに使用される。この概念は図16によりよく記載されている。制御器30の切り替え器の極性はライン46の論理を制御する。従属動力源32はライン44b上で切り替え点又は命令論理を受け取りそしてライン46bで極性論理を受け取る。これらの二つの論理信号は、ゲートウエイ50、変換ゲートウエイ、ゲートウエイ52、44a、46a上の受容ゲートウエイとして示される高度に正確な論理接点を介してマスター動力源と従属動力源間を連結させている。これらのゲートウエイは、ライン44b、46b上の論理がそれぞれライン44、46上の論理に時間的に近くなるように各動力源のための回路接点カードである。実際に、回路接点カード又はゲートウエイ50、52はこの論理を10μs以内そして好ましくは1−5μs以内に制御する。低精度回路は個々の動力源を、ゲートウエイ又は接点カードによって与えられるように示されているライン42m、42sを介して中央制御器18からのデータを制御する。これらのラインは、時間に敏感でなくそしてゲートウエイの精度特性を使用しない中央制御器18のような離れた領域からのデータを含む。逆転切り替えをタイミング良く行うための高度に正確なデータは回路接点カード50、52を介して連結されている論理信号を使用する。図1の系は単一のACアーク用の単一セルであるが、しかしながら、本発明は、パイプ溶接で見出される大きな隙間を満たすための二以上のACアークが形成されるようなタンデム電極に限定されない。しかしながら、背景の系はこの用途のために示されている。このように、第一電極用のマスター動力源30は、第一電極、即ちアーク1のための系Sのタイミング又は位相操作を決定する同期信号を受け取る。系Sは他の同一の系と一緒に同期出力84、86及び88によってアーク2、3、そして4を時系列的に発生させるために使用できる。この概念は概略、図5に示される。同期又は位相設定信号82−88はタンデム電極一個のみについて図1に示される。中央制御コンピューター及び/又はウエブサーバー60を含む情報ネットワークNは、幾つかの系における特定の動力源又はタンデム操作での異なった電極を制御するセルに関するデジタル情報又はデータを与える。インターネット情報62はローカル接続ライン70a、70b、70cをもつエターネットネットワークの形態でのローカルエリアネットワークに向けられる。同様の接続ラインはタンデム溶接操作のアーク2、3、そして4を形成する4個のセル内で使用される各動力源に向けられる。系又はセルSの記述は他の電極におけるそれぞれのアークに適用される。もしAC電流が使用されるなら、マスター動力源が使用される。或る場合には、単にマスター動力源が特定の同期信号セルと一緒に使用される。もし高電流が必要なら、系又はセルは、図1の系Sに関して記載されているようにマスター及び従属動力源の組み合わせを包含する。二以上のACアークは発生器80によって同期化される。しばしばDCアークがタンデム電極溶接操作のリード電極として使用され、二以上の同期化されたアークがそれに続く。DC動力源は同期化する必要が無く、極性論理及び切り替え点又は命令の厳密な接続も必要ない。いくつかのDC動力電極は正と負の間で切り替えられるが、しかしAC駆動電極の周波数とは異なる。アークの形成に拘わり無く、エターネット又はローカルエリアネットワーク70は、タンデム電極操作で使用される種々の系の特定の動力源のために指名されたコード様式で同定されたパラメーター情報を含む。このネットワークはまた系が時間相関関係でオフセットがあるような幾つかのセル又は系のための同期信号を使用する。これらの同期信号は図1のライン40によって示されるようなマスター動力源によって解読及び受け入れられる。この場合、ACアークは時間基準のオフセットである。これらの同期信号はネットワークカード又はゲートウエイ50、52を通して切り替え点として厳密であることを必要としない。データネットワーク上の同期信号は可変パルス発生器80の形態でネットワーク接続によって受け止められる。発生器はライン84、86及び88においてオフセット同期信号を形成する。これらの同期信号はタンデム操作での分離電極のための個々の交流電流セルの相を定める。同期信号はインターフェース80によって発生することができ又は実際にネットワーク70を介して発生器によって受け止められる。ネットワーク70は単に多くの同期信号パターンの遅れを形成するために発生器80を活性化する。また、発生器80は、もしそれがタンデム溶接操作で望ましいなら同期パルスの周波数によって個々のセルの周波数を変化させることができる。
【0032】
種々の制御器及び動力源が図1に記載されているような系を実施するのに使用できるが、しかしながら、好ましい系の遂行は動力源PSAが制御器及び動力源30と組み合わせられそして動力源PSBが制御器及び動力源32と組み合わせられている図2に説明されている。これらの二つのユニットは本質的に同一構造でありそして適切なときには同じ数でラベル化されている。動力源PSAの記述は動力源PSBにも等しく当てはまる。変換器100は3相ライン電流L1、L2、及びL3を受け取るための入力整流器102をもつ。出力変換器110は出力整流器112を介して反対側の極性スイッチQ1、Q2を駆動する通電された誘導子120に接続されている。動力源PSAの制御器140a及びPSBの制御器140bは、制御器140aが調節器140bにタイミング情報を出力する点を除けば本質的に同一である。切り替え点又はライン142、144は、ライン142、144の論理で指示された時間で極性を逆転させるための極性スイッチQ1、Q2の伝導条件を制御する、これについては、ここでは参照として取り込まれている特許文献4により詳細が説明されている。制御は論理プロセッサーによるデジタル制御であり、それゆえに、A/D変換器150はフィードバックライン16又はライン26の情報を、アナログエラーアンプとして示されているエラーアンプ152からの出力レベルを制御するデジタル値に変換する。実際に、これはデジタル系でありそして制御様式にはさらなるアナログ信号は含まれない。しかしながら、上述のように、アンプは変換器150からの第一入力152a及び制御器140a又は140bからの第二入力をもつ。ライン152bの電流命令信号は溶接部WSを横切るAC電流に必要な波形を含む。これは特許文献5のようなリンカーンエレクトリック社の幾つかの特許によって教示されている標準的な実践である。また特許文献6も参照されたい。アンプ152からの出力は、実行ソフトウエアのタイミングプログラムである、発振器164で制御される周波数でパルス幅変調器(PWM)162を駆動するために変換器160によってアナログ電圧信号に変換される。アークの波形形状は電圧又はライン152bにおけるデジタル数である。発振器164の周波数は18kHzよりも大きい。この系の全体の様式は本発明の好ましい態様においてデジタル化されそしてアナログ信号への再変換は含まない。この表現は説明目的のための概要であって本発明を実施するために使用される動力源の種類を限定する意図はない。その他の動力源も使用可能である。
【0033】
図1及び2の概念を利用する背景技術の系を図3及び4に示す。作業片200はそれぞれ個々の動力源PS1、PS2、PS3によって駆動されるタンデム電極202、204及び206によって一緒に溶接される配管の隙間である。動力源は特許7の技術に従った一以上の動力源を含むことができる。例示された態様は鉛電極202のためのDCアーク及びタンデム電極204、206のそれぞれのためのACアークを含む。タンデム電極の形成された波形はAC電流でありそして既述の波形技術に従って波形形成器又は波形発生器によって形成される波形を含む。電極202、204及び206が溶接経路WPに沿って動くとき熔融金属パッドルPはそれぞれ電極202、204及び206からの沈積物212、214及び216によって伴われる開口部210でパイプの隙間200に沈積する。既述のように、二以上のAC駆動電極は図15の波形によって説明及び例示されるように、隣接する電極のAC電流に関しては本発明によって操作することができる。動力源は、図4に示されるように、それぞれが整流器222からDCリンクを受け取る変換器220を含む。リンカーン波形技術に関しては、内部でプログラム化されたパルス幅変調器(PWM)224は発振器226によって18kHz以上そして好ましくは20kHz以上の周波数で駆動される。発振器226はパルス幅変調器224を駆動するので、出力電流はライン242における電圧又はデジタル数のように波形形成器240から出力された波形によって方向付けされた波形をもつ。出力導線217、218は電極202、204及び206と直列である。リアルタイムでの形状は比較器230として例示された段階によってホール効果変換器228からのライン232の実際のアーク電流と比較され、ライン234の出力はAC波形の形状を制御する。ライン234のデジタル数又は電圧はライン224aの出力信号を決定しアークの電流波形が波形形成器240から出力された選択されたプロフィールに従うように変換器220を制御する。これは既述のように標準のリンカーン波形技術である。動力源PS1は鉛電極202でDCアークを形成し、それゆえに、この動力源の波形形成器240からの出力は定常状態でDC電流の大きさを指示する。本発明はDCアークの形成に関するものではない。反対に、本発明は電極204、206のようなタンデム電極の二つの隣接するACアークでの電流制御である。本発明に従えば、波形形成器240はAC波形の所望の形状又はプロフィールを選択するために使用される入力250を含む。この形状は変位プログラム252として表される内部プログラムによってリアルタイムで変位することができる。波形形状器240はライン254の優先信号である出力をもつ。実際に、優先信号は論理ビットであり、図7に示される。論理1は波形形成器240によって発生した波形の負極を示しそして論理0は正極を示す。この論理信号又は動力源に向けられたビット制御器220は図16に議論される技術に従って読み取られる。変換器はライン254の論理ビットの変化によって初期化した特定の“準備”時間で正極から負極へ切り替えるか、又は逆にする。実際に、このビットは図1及び図5に示される可変パルス発生器から受け取る。図3及び4に示される背景技術の溶接系は、有益な結果、即ち一般的に静止した熔融金属パッドル及び/又はアーク溶接で使用される波形と交換可能な合成された正弦波形を得るために電極204及び206におけるACアーク電流の形状を使用する。図3及び4に示される電気溶接系は波形形成器240のための“選択”プログラムで波形を選択するためのプログラムを有する。独特の波形はタンデム電極によって使用される。ACアークを形成するための動力源の一つは概略、図5に例示される。動力源は図1に示される可変パルス発生器80によって制御される。発生器からの信号260は第一アークのための動力源を制御する。この信号は、ライン254上の波形形成器240によって出力される極性ビットと一緒に波形の同期化を含む。ライン260a−260nは本発明の溶接系によって操作される引き続き起こる所望のタンデムACアークを制御する。これらの信号のタイミングは他の波形のスタートを変位する。図5は単に図4と結びつけて説明されるように連続アークを制御するための可変パルス発生器80の相関関係を示す。
【0034】
特許文献1の溶接系においては、AC波形は図6に示されるように形成され、そこでは電極204のアークAC1のための波形形成器は正の部分272及び負の部分274をもつ信号270を形成している。電極206の第二のアークAC2は正の部分282及び負の部分2874をもつ波形形成器からの信号280によって制御される。これらの二つの信号は同一であるが、しかし図6に示されるように、発生器80aから距離xの信号によって変位されている。電流パルス又はアークの一つにおける波形を形成する波形技術は図6の底部において示される正の部分290及び負の部分292をもつ波形である。波形形成器からの論理ビットは、波形が正から負に切り替えられるとき及びその逆のときに、決定される。特許文献4の開示(ここでは参照として取り込まれている)に従えば、パルス幅変調器224は一般的に点291及び291bにおいて低レベルに変位している。それから電流波100アンペアのような固定したレベルに到達するまで減少する。結果として、スイッチは点294及び294bにおいて極性を変化させる。これは、電流が正の部分290と負の部分292の間で変化するとき垂直ライン又は形状296a、296bを作り出す。これは類似の波形が磁気干渉を避けるために変位している特許文献1に開示されている系である。波形部分290、292はアークAC1及びアークAC2と同一である。これは熔融金属パッドルを制御し及び/又はこれまで採用されなかったやり方で正弦波形を合成する目的のためにAC1及びAC2において波形をカスタマイズすることに関する本発明とは異なっている。図6の開示は波形を変位する概念を示すためになされる。極性間の垂直変化を作り出すための同じ切り替え手順が本発明の好ましい態様において使用される。図6に示される溶接系からバランスしていない波形への変換が一般的に図7に示される。ライン254の論理は部分300での論理1及び部分302での論理0として示される。論理又はビット数の変化は図16の系が極性をシフトするときに時間の信号を出す。これは図6のグラフ下側の点294a、294bに概略示される。隣接するACアークのそれぞれに対する波形形成器240は極性の片方に対して第一の波形310そしてもう一方の極性に対して第二の波形312をもつ。310、312の波形のそれぞれはライン254の論理と一緒に取り出されるライン234の論理によって形成される。このように、図7に示されるようなパルス310、312は正の部分と負の部分で異なったパルスとなる。パルス310、312のそれぞれは図示されるように分離したそして異なった電流パルス310a、312aによって形成される。極性の切り替えは図6に示されるように実施され、そこでは波形形成器から発生する波形は一般的な波形形状310、312をもつものとして示されている。正極は浸透を制御し負極は沈積を制御する。波形の正及び負のパルスは異なっておりそして切り替え点は、アークの一つのAC波形が波形形成器240の出力によって形成される特定の波形をもつように負極及び正極の両方で制御されるように、制御される。図7に示されている電流をもつアークに隣接しているアークのための波形は図8に示される利点を得るためにそれぞれ別に制御される。アーク1の波形は図8の上側部分にある。それは電流パルス320aによって示される正の部分320及びパルス322aによって形成される負の部分322をもつ。正の部分320は最大値a及び幅又は経過時間bをもつ。負の部分322は最大値d及び時間又は周期cをもつ。これら四つのパラメーターは波形形成器240によって調節される。例示された態様において、アークAC2は図8の底部で示される波形をもち、そこでは正の部分330は電流パルス330aによって形成されそして高さ又は大きさa’及び時間長さ又は周期b’をもつ。負の部分332は電流パルス332aによって形成されそして最大アンペアd’及び時間長さ又は周期c’をもつ。これらのパラメーターは波形形成器240で調節される。本発明に従えば、アークAC1上の波形成器からの波形はアークAC2の波形と相が異なる。二つの波形は、(a)浸透と沈積が制御されそして(b)パッドルPが類似極性又は反対の極性である特定の極性相関関係になるのに時間が掛からないように調節されるパラメーター又は寸法をもつ。この波形を調合する概念は、図9及び10に示されているように長期間の極性相関関係を妨げる。図9においては、電極204、206は或る与えられた時間での隣接する電流波形によって決定される同じ極性をもつ。この場合、電極204の磁気フラックス350及び電極206の磁気フラックス352は同じ方向にありそして電極間の中央領域354でお互いを相殺し合う。これは、矢印cによって表されるように、熔融金属部分360、362を電極204、206から熔融パッドルP中に互いに移動させる。この内部への一緒の動き又は電極204間のパッドルP中の熔融金属のつぶれは、もし非常に短時間、即ち約20ms以下で停止しなければ、究極的には上方への噴出の動きを引き起こす。図10に示されるように、パッドルの反対側の動きは電極204、206が反対の極性をもつときに起こる。それから、磁気フラックス370及び磁気フラックス372は電極間の中央部374に集積し増加する。電極間の強い力はパッドルP中の熔融金属部分364、366をお互いに反発するか又は強制的に離れさせられる。これは矢印rで示される。そのようなパッドルP中の熔融金属の外側への力は、もしそれが一般的には10ms以下である実質的な時間続くならば、溶接ビーズの分裂を引き起こす。図9、10から明らかなように、電極の波形の極性が同一極性であるか又は反対の極性であるかの時間は限定することが望ましい。図6に示されるような波形は、同じ極性であるか又は反対の極性であるかの特定の極性相関関係が長時間共存することを防止する目的を達成する。図8に示されるように、同一極性と相反する極性はAC1とAC2における波形のサイクル長さよりも非常に短い時間だけ保持される。正及び負領域における異なった形状及び異なった比率をもつパルスの新規な概念での長時間に亘る極性関係の共存を防止するためのこの積極的な開発は、通常の変換動力源またはリンカーン波形技術の通常使用での溶接ではこれまで得られなかったようなパッドル制御、透過制御及び沈積制御に結びついている。
【0035】
図11では、波形成器240からのAC波形の正及び負の部分は、波形の負の部分に較べて異なった正の部分エネルギーをもつ合成された正弦波形である。合成された正弦波又は波形の正弦波部分は波形を変換器溶接回路と共存させそして正弦波溶接の評価と矛盾しない。図11において、波形370はアークAC1でのものでありそして波形372はAC2におけるものである。これらのタンデムアークは図11に示されるAC溶接電流を使用しており、そこでは小さな正の正弦波部分370aはアークAC1における浸透を制御し、一方大きな負の部分はアークAC1における金属の沈積を制御している。図7で議論したように、論理ビットの変化を伴う極性間には切り替えスイッチがある。正弦波370は垂直ライン370cによって示されるようにゼロ電流から垂直にほぼ100アンペア落ち込む。負極370bと正極370a間の変化はまた切り替え点において垂直変化を開始し、垂直変化370dとなる。同様にして、相変位したアークAC2の波形372は小さな浸透部分372a及び大きな負の沈積部分372bをもつ。極性間の変化は垂直ライン372c及び372dによって示される。波形372はパッドルの動力学が隣接するアークAC1、AC2の極性によって引き起こされるパッドル中の熔融金属の過度のつぶれや反発無しで制御されるように波形370に対して変位する。図11においては、正弦波形状は同じで周波数も同じである。それらは単に特定の極性相関関係が長時間発生することを防ぐために変位(シフト)する。
【0036】
図12では、波形380はアークAC1のために使用されそして波形382はAC2のために使用される。部分380a、380b、382a、及び382bは正弦波として合成されそしてほぼ同じ大きさであるものとして示される。これらの二つの波形を90゜シフト(変位)させることによって、発生する極性の領域は領域390、392、394及び396として同定される。正弦波プロフィールで変位した波形を使用することによって、同じ極性又は相反する極性は如何なる長さの時間も保持されない。それゆえに、熔融金属パッドルはかき乱されず静止状態を保つ。この利点は、与えられた波形の正極及び負極部間のエネルギーの差異の概念を組み合わせている本発明を使用することによって得られる。図12は併発する極性相関関係の定義及びそれらがほんの短い時間の間でのみ存在すべきであるという事実を示すための例示である。この目的を達成するために、本発明の別の態様が図13に例示されており、そこでは前に定義した波形380はAC2(a)の鋸歯状波形として示される波形400、又はAC2(b)の波形として示される脈動波形と組み合わされている。波形380を異なった波形400、異なった波形402と組み合わせると併発する極性相関関係410、412、414、等々の非常に小さな領域又は時間を生ずる。図14においては、片方のアークで発生するAC波形は他方のアークで発生するAC波形とは劇的に異なっている。本発明で使用するための劇的に異なった波形の同じ概念は図14に例示されており、ここでは波形420はACパルスプロフィールの波形であり波形430は波形420の約1.5倍の周期をもつ正弦波プロフィールの波形である。波形420は直線的変位点420cと共に小さな浸透極性部420a及び大きな沈積部420bを含む。波形430は垂直変位点430cと共に正の部分430a及び負の部分430bを含む。これらの二つの異なった波形をもつことによって、合成された正弦波概念は共に片方の電極で採用されそして併発する極性相関関係は長い時間は続かない。それゆえに、熔融金属パッドルPはアークAC1、AC2両者による溶接操作過程で静止したままとなる。
【0037】
図15においては、波形450、452、454及び456は四つのタンデムアーク、アークAC1、アークAC2、アークAC3及びアークAC4のそれぞれのための動力源の波形成器240によって発生する。隣接するアークは対応する波形及び負極から正極に変化するときを規定する同期信号460によって指示される様に配列される。この同期信号は開始パルスがあることを除けば、図1に示される発生器80によって形成される。本発明のこの態様においては、第一の波形450は、隣接している波形452、454及び456の正極と負極の両者と同期している正の部分450aをもっている。例えば、正の部分450aは波形452の正の部分452aと負の部分452bと同期しており、そして相関している。同様に、波形452の正の部分452aは波形454の正の部分454aと負の部分454bと同期しており、そして相関している。同じ相関関係は正の部分454a及び波形456の部分456a、456b間にも存在する。負の部分450bは一列に並んだ波形452の二つの相反する極性部分と同期しそして相関している。同じタイミング関係が負の部分452bと波形454の間に存在する。換言すれば、各隣接アークにおいて波形の一極性部は隣接するアークの全体の波形と相関している。この場合、パッドルPの崩壊及び反発力は、図9及び10を結びつけて議論されたように、正反対に制御される。一以上の正の部分又は負の部分は図11及び12に開示された波形を結びつけて議論されたような合成された正弦波であることができる。
【0038】
図1及び2に示されるように、マスタースイッチコントローラーが切り替えられるとき、切り替え命令は動力源30のマスターコントローラー140aに出される。これは“切断”信号を、切断信号と極性論理が単一の電極に接続された1以上の従属動力源の制御器に急速に伝達されるようにマスターによって受け取らせる。もし、標準AC動力源が極性スイッチと平行な大きな切断器と共に使用されるなら、従属制御器または制御器は、マスター動力源が切り替え命令を受け取った後1−10μs以内で直ちに切り替えられる。これは高精度のインターフェースカード又はゲートウエイの利点である。実際に、平行な動力源の電流を逆転させるための現実の切り替えは出力電流が与えられた値、即ち約100アンペア以下となるまで起こらない。これはより小さなスイッチの使用を許容する。
【0039】
単一のACアークのための全ての動力源の切り替え手段は実際の切り替えが全ての動力源が与えられた低電流レベル以下になった後でのみ起こるような遅延スイッチ技術を使用する。遅延プロセスはデジタルプロセッサーのソフトウエアで実行されそして図16の概略レイアウトによって示される。マスター動力源500の制御器がライン502によって表されるような命令信号を受け取るとき、動力源は切り替えシーケンスを開始する。マスターは、マスターの極性切り替えに対応する従属制御機器の切り替えのための所望の極性を与えるためにライン504上の論理を出力する。命令されたスイッチシーケンスにおいては、マスター動力源500の変換器は切断又は停止され、電極Eへの電流はホール効果変換器510によって読み取られるように減少する。ライン502の切り替え命令はライン512によって表されるように即座の“切断”信号を並列の従属動力源520、522の調節器へ与え、ホール効果変換器532、534によって測定されるように、電流を接続点530に流れさせる。全ての動力源は変換器が切断又は停止された切り替えシーケンス中にある。ソフトウエア比較回路550、552、554は減少した電流をライン556の電圧によって参照される与えられた低電流と比較する。動力源が与えられた値以下に減少するとき、信号はライン560、562、及び564内でサンプルの入り口に現れそしてそれぞれ回路570、572、及び574を保持する。回路はストロボ信号によって動力源のそれぞれからライン580に出力される。設定された論理が回路570、572、及び574内に貯蔵されるとき、イエス論理がストロボ信号の時間内でライン準備1、準備2、及び準備3上に現れる。この信号は動力源内で発生しそして25μsの周期をもつが、しかしながら、他の高速度ストロボは使用できない。その信号はマスター動力源の制御器Cに向けられ、図16の破線で示される。アンドゲート584によって現されるソフトウエアアンド関数は全ての動力源が極性切り替えの準備中であるときにライン582上のイエス論理出力をもつ。この出力条件はライン504上に現れるように切り替えられた極性の所望の論理として与えられるそのDターミナルをもつソフトウエアフリップフロップのターミナルECLK600を可能にするクロックに向けられる。発振器又はタイマーはライン602の信号によって約1MHzクロックのフリップフロップでターミナルCKに作用した。これは、ライン612上の同一の論理がマスター動力源500に切り替えると同時にこのライン610の論理を従属制御装置520、522に切り替えるためにライン504の極性命令論理をQターミナル604に移転させる。切り替え後、504の極性論理は、マスター動力源が切り替え周波数に基づく次の切り替え命令を待っている間に、相反する極性に変位させる。他の回路が切り替えシーケンスの遅延効果のために使用できるが、しかしながら、図16の例示が本発明のスキームである。
【0040】
図1−16に記載されているように、他の利点を達成するための溶接機のための溶接機、及び制御系は背景情報として提出されている。この背景技術はザリンカーンエレクトリックカンパニー社、本出願の出願人によって開発されてきた。この背景の記述は波形技術溶接機の説明のために提出されている。波形は記載された溶接機によって達成されるようなDC又は同じ技術を使用するACであることができる。この技術は溶接プロセスで使用されるAC波形の正確なプロフィールを“描写”するために使用できることが見出されてきた。
【0041】
芯入り電極のためのAC波形の“描写”(図17−27)
精密なAC波形がプログラム700を使用することによって芯入り電極用に得られる。この“描写された”AC波形は図1−16に示される技術を使用して特定の芯入り電極で調和的に働く。
【0042】
溶接機及び/又は溶接系の波形技術は図4及び5に示されるように、図19及び20に示されるタイプの特定の芯入り電極用に使用するために与えられた精確な波形プロフィールを厳密に設定するために制御プログラム700によって操作される。プログラム700は図17に開示されており、そこでは溶接機705は選択電気回路網250による溶接波形の一般的なタイプに設定するための波形成器240をもつ。選択された波形は、波形の連続によって与えられた溶接プロセスを実施するための所望のAC波形である。本発明に従ったこの波形は特定の芯入り電極用に使用できるように設定される。波形制御プログラム700は精確な、所望の波形プロフィールと与えられた芯入り電極のために使用できる設定されたプロフィールを実質上変化させること無しで波形のエネルギー又は電力を調節するための大きさ制御回路を設定するためのプロフィール制御電気回路網710をもつ。この特定のACプロフィールは、対応する電極が溶接プロセスで使用されるときのために図21及び28に開示される溶接機中に供給される。正の部分及び負の部分の両者でAC波形を調節する概念は本発明の性能を可能にする。
【0043】
プログラム又は制御電気回路網700はAC溶接プロセスを構成している波形の連続においてそれぞれの波形の一般的な精確なプロフィールを制御するための波形成器240に接続されている。波形の一般的なプロフィールの厳密な相乗的な設定を行うこの目的を達成するために、四つの別々のプロフィールパラメーターがそれぞれ調節される。第一のパラメーターは、ライン724として表される出力の値を設定するために接続電気回路網722によって手動で又は自動で調節される回路720によって波形プロフィールに設定される周波数である。この値はAC波形プロフィールの周波数の設定を制御する。もちろん、これは実際に波形の周期である。同様に、波形のデューティーサイクル又は波形バランスは、AC波形の正の半サイクル及び負の半サイクル間の相関関係を制御するための値を発現させるための調節可能な接続電気回路網732及び出力ライン734をもつ回路730によって制御される。このプロフィールパラメーターは回路730からのライン734の論理又はデータによって設定される。信号又はライン724のデータ及びライン734のデータによって、波形のACプロフィールは設定される。これは波形の個々の部分のエネルギーレベルに関係しないが、しかし単に波形の一般的に固定されたプロフィールである。波形の上昇ランプ速度を制御するために、波形の設定されたプロフィールが負極から正極に変化する速度を設定するための手動又は自動で調節する電気回路網742及びライン744の出力信号をもつ回路740が準備される。同様に下降ランプ回路750が調節用インターフェース及び出力ライン754で用意される。ライン724、734、744及び754の値の大きさは個々の波形のプロフィールを設定する。これらのパラメータープロフィールは一緒に設定されるが、しかしながら、好ましくは全てのプロフィールパラメーターは波形プロフィールを規定するために設定される。
【0044】
溶接プロセスにおけるそれぞれの波形によって変換されるエネルギー又は電力のためのAC波形プロフィールを制御するために、プログラム700は二つのそれぞれの領域760、762に分割されている回路又は電気回路網712を含む。回路のこれらの領域は、プロフィール制御電気回路網710によって設定される一般的なプロフィールに実質上影響を与えること無しで極性のそれぞれの過程でエネルギー又は波形レベルに関連した他の電力を制御する。領域760はライン774の入力値とライン776の出力値間の相関関係を制御するためにインターフェース制御電気回路網772によって調節されるレベル制御回路770を含む。レベル制御回路770は本質的に発生した設定波形プロフィールの正の部分を通じて電流、電圧及び/又は電力を制御するためのデジタルエラーアンプ回路である。選択器250aは回路770を電流、電圧又は電力モードにシフトする。領域760は、制御電気回路網710で設定される一般的なプロフィールの変化をもつ正の部分を通してエネルギー、又は電力又は他の熱レベルを制御する。同様にして、第二の領域762は入力ライン784の値が出力ライン786のレベル又は信号を制御するように制御電気回路網782によって設定されるか又は調節されるデジタルエラーアンプ回路をもっている。結果として、ライン776及び786のデジタルレベルはプロフィール制御電気回路網710によって設定される半サイクルのそれぞれを通して電流、電圧及び/又は電力を制御する。選択器250bは回路780を電流、電圧又は電力モードにシフトする。
【0045】
プログラム700の別の特徴に関しては、波形成器240は高位制御回路712のみによって制御されそしてプロフィールは図4及び5に示される背景技術の波形制御系で使用される電気回路網又はプログラム250によって設定される。電気回路網250はプロフィールを設定しないが、しかし図21及び28の開示で説明されるような公知のAC波形タイプを選択する。高められたプログラム700の利点は高位回路770、780と一緒に回路720、730、740及び750を使用して全てのプロフィールパラメーターを設定することによって実現する。もちろん、これらの回路のいずれか一つによって制御されるAC波形は図1−16の一般的な背景技術に対して改良されている。プログラム700は、AC波形のそれぞれの極性を通して全てのプロフィールパラメーター及び高位の値を相乗的に調節しそれによって波形は特定の芯入り電極に対応する。
【0046】
プログラム700の可能性を説明するために、二つのAC波形が図18に概略例示されている。AC波形800は、共に急速に形成された連続的な電流パルス800aによって製造される正の部分802及び負の部分804をもつ。波形800は、周波数制御又は波形の周期及び正の部分802:負の部分804の比を説明するために単に矩形波として示されている。これらのパラメーターは、電気回路網450によって以前に選択されたAC波形のタイプを変形させるためにプログラム700を使用することによって厳密に設定される。このAC波形の概略説明において、上昇ランプ速度と下降ランプ速度は本質的に0である。もちろん、特許文献4に教示された切り替え概念は特許文献4に記載された利点を得るために正及び負の波形部分間でシフトさせるために使用される。第二の例示された波形810は周波数f、正の部分812及び負の部分814をもつ。この例示において、上昇ランプ速度816は下降ランプ速度818とは独立に制御される。これらのランプ速度は、極性間のシフトの過程でそれらが波形のリーディングエッジ及びトレーリングエッジで存在することを示す矢印として例示される。プログラム700は、回路720、730、740及び750によってそれぞれの波形の精確なプロフィールの物理的な設定に関係する。いくつかの波形パラメーターはAC波形を所望のプロフィールに本質的に“描写”するために調節される。AC波形の一般的なプロフィールを使用する非常に厳密な溶接プロセスは、プログラム700のような制御プログラムを使用する、ザリンカーンエレクトリックカンパニー社による電力波のような波形技術制御溶接機によって実施される。このプログラムは、それぞれの芯入り電極のAC波形を“描写”し、溶接プロセスで使用されるAC波形と電極を適合させるために使用される。
【0047】
図17のプログラム700は、図19及び20に示される電極910のようなそれぞれ同定された芯入り電極のそれぞれのために最適化されたそして特別に誂えられたAC波形を構成又は形成するために使用される。溶接機900は電極910を作業片Wに向けるためのトーチ902を有している。アークACは電極910の末端と作業片Wの間で形成される。電極は鞘912と内部充填芯914をもつ芯入り電極である。芯は粒子914aによって表されるようなフラックス成分を含む。これらの成分914aの目的は(a)熔融金属をスラグで被覆することによって熔融した溶接金属を大気汚染からシールドし、(b)溶接品質に与える負の効果を最小にするために大気中の汚染物と化学的に結びつき及び/又は(c)アークシールドガスを発生させることである。標準的な実施に関しては、芯914は、芯914の充填物を与えるために組み合わせられた他の種々の粒子914cと一緒に粒子914bと呼ばれる合金成分もまた含んでいる。溶接操作を最適化するために、外部のシールドガスと一緒に固体ワイヤーを使用することが必要になってきた。しかしながら、特定の機械的及び金属学的性質をもつ溶接を行うためには、特定の合金が必要だが、それは固体ワイヤー形態で得ることが困難である。コンタミは外部シールドガスを必要とする溶接プロセスを使用するときには防ぐことが困難である。それゆえに、周囲環境が溶接に影響を与えないような自己シールド芯入り電極を使用することには利点がある。芯入り電極は鞘と芯で異なった燃焼速度となる。これらの困難性の全ては固体ワイヤーと外部シールドガスでなされる多くのパイプライン溶接において生ずる。これらの問題点を克服するために、STT溶接がパイプライン溶接のためにザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって開発された。そのような溶接は表面張力が熔融金属を移動させる短回路プロセスを採用する。このプロセスは溶接プロセス、特に開先溶接の過程での熱を低下させる。AC動力源と芯入り電極での両者の溶接の利点は溶接波形が特定の芯入り電極のために最適化されていないために得られなかった。波形技術を使用するAC波形を制御することによって、これらの困難性は克服することができる。図17に示されるプログラム700のようなプログラムを使用することによって、精確なAC波形が溶接操作のために発生しそして与えられた芯入り電極に特別に対応する。与えられた芯入り電極に対応したAC波形のための精確なプロフィール又は形状は溶接操作を最適化する。特定の電極に適応するために正確に描かれた波形での溶接操作を使用することが現在は可能である。芯入り電極を使用するAC溶接は図17−27に開示された技術によって容易になる。
【0048】
溶接機900は芯入り電極を使用するAC溶接を実施し溶接操作を特定の電極に対して最適化するために本発明に従って組み立てられる。溶接機900の詳細は図21に示されそこでは動力源920は整流器920aによって駆動される。電極910は鞘912と芯914をもつ芯入り電極である。溶接機900の動力源920は溶接プロセスで使用される特定の電極910を同定するためのライン924の電極確認信号を形成するための貯蔵装置、ユニット又は回路922を有している。読み取り装置921は図21の頂部に示される読み取り装置によって通過する特定の電極910を同定する。このように、ライン924の信号は電極910を同定する。装置921aは手動で特定の電極910が使用されている読み取り装置921を識別する。換言すれば、読み取り装置921は溶接操作で使用されるべき特定の芯入り電極に設定される。この装置は手動で特定の電極を指示するように調節される。電極910はバーコード又はその他の読み取り技術を使って保管装置922によって同定される。バーコードは電極ワイヤー910を含むスプール又はドラム上に置かれる。換言すれば、装置921はワイヤー又は電極910の同定に自動的に感応するか又はブロック921aによって示されるように電極を示すための手動入力を受け取る。921bの信号は溶接機900によって使用されるべき全ての電極のためにデータ形態で信号が保管されている保管装置922に向けられる。ライン911bの信号は特定のデータを特定の芯入り電極に対応している保管装置922に回す。このデータはプロフィール信号をライン924に適合するようにする。この信号は波形参照装置926を活性化させその装置はライン928でプロフィール信号を出力する。この信号は選択回路250に特定の芯入り電極のためのプログラム700によって形成された特定の保管プロフィールを選択するように命令する。図17に示されるプログラム700は保管した波形を特定の電極に特化させる。動力源920の残りは予め記載されてきた。ライン928のプロフィール信号は回路250と連動したメモリー中に保管された特別に構成され又は形成されたAC波形を選択する。特定の芯入り電極の特定の組み合わせ及び構成体に特化されたAC溶接波形はライン242に出力される。別法としては、ライン928の特定の信号は電極とワイヤーの供給速度によって決定される。装置930はライン932に出力される設定点をもっている。それゆえに、ライン924及び925の論理又はデータはライン928のプロフィール選択信号を決定する。波形発生器250のメモリー中に保管された所望のプロフィールが使用される。このプロフィールは特定の電極及び/又は特定の設定点ワイヤー供給速度に基づいている。
【0049】
典型的なAC波形は図22に例示されており、ここではプロセス曲線950は正の部分952及び負の部分954を含む連続波形を含む。波形は、実質上18kHzより大きな速度で形成されそしてパルス幅変調器224の出力ライン224aで形成された多くのパルス960によって形成されている。これは高切り替え速度変換器を制御している。曲線950は、zとして示される負の部分954の長さで正の高さx及び負の高さyをもつ。溶接操作の熱を制御するために、デューティーサイクル又は波形バランスzは、図22に示されるAC波形が特定の芯入り電極のために構成されるときに調節される。図22の曲線950の負部分954は作業片に入力される全ての熱を制御する。正の部分952は電極に多くの熱を与えそして作業片に少ない熱を与える。それゆえに、デューティーサイクル又は波形バランスの変化によって、作業片に入る全体の熱は変化又は制御することができる。AC溶接プロセスは波形成器又は特定の波形発生器240の出口で形成される。選択された波形は特定の芯入り電極910での使用を最適化するために厳密に調節される。溶接操作における熱を制御するために、波形はプログラム700によって制御されるデューティーサイクルzをもつ。AC波形が固定された後で、それは選択回路250からの論理に基づく波形発生器240にセットされる。溶接機900は、特定のAC波形を特定の芯入り電極と相関させて電極910を形成する構成成分によって示される溶接プロセスの操作を固定する。
【0050】
AC波形は好ましくは図22に示されるような矩形波であるが、しかしながら、初期加熱を制御するために図23に示されるようなプロセス曲線970が正の部分972及び負の部分974をもつ波形を含む矩形でないAC波形を与えることは溶接機900の能力範囲内である。これらの部分のそれぞれは図22の曲線950について説明されたように複数のそれぞれのパルス960によって形成される。これらのそれぞれのパルス960は18kHz以上の周波数で形成されそして通常は変換器タイプの動力源で使用されそして図1−16を含む一般的な技術部分で記載されている波形技術のパルスである。加熱速度を減少させるために、部分972、974はランプ部分976、977、978および979と共に与えられる。その他のプロフィールもAC溶接を芯入り電極で最適化するために可能である。
【0051】
芯入り電極をプロフィールの制御無しで使用するときに生ずる一般的な問題点は図24に示される。溶接プロセスは、熔融した上方末端982によって示されるように、電極の周りで上方に熔けた熔融金属980部分を与えるために鞘912を熔かす。このように、電極の鞘は芯よりも急速に融解する。このことは熔融金属材料を保護ガス又は芯914の内部構成成分の熔融によって形成される化学反応無しで電極910の出口末端に存在させることになる。このように、アークACは電極910の金属を未保護のままの雰囲気中で熔かすことになる。熔融金属をシールドする必要性は鞘と芯が同じ速度で融解するときに起こる。熔融金属を芯よりもより急速に熔かす問題点はさらに図25の図上説明によって示される。鞘912からの熔融金属990は、芯が熔ける機会をもつ前に作業片Wと既に結合してしまう。それでは溶接プロセスのために必要なシールドを与えることができない。図24及び25は、芯入り電極を使用するAC溶接が過疎地のパイプライン溶接及びその他のパイプライン溶接に使用されて来なかった理由を示している。上述のAC波形は電極を使用するときに熱入力を制御する。
【0052】
溶接プロセスで使用されるAC波形の厳密なプロフィールを制御することによって、鞘912及び芯914はほぼ同じ速度で熔かすことができる。芯の融解とシールドの融解を適切に調和させることの失敗が芯入り電極でのAC溶接の使用を拒んできた一つの理由である。AC波形のプロフィールを調節する利点は外部シールドガスが必要ないプロセスの創生である。これが起こるとき、シールドガス及び他のシールド構成成分が鞘912からの熔融金属に先立って発生する。この特徴はプログラム700を使用する溶接操作のための波形を厳密に描くことによって得ることができる。過去のそのような同等物においては可能ではなかった。プログラム700又は類似のプログラムは、芯入り電極を溶接操作の過程で熔融金属の雰囲気からのコンタミを防ぐようなAC溶接プロセスで使用できるようにするそれぞれの芯入り電極のために特別に誂えられたAC波形を発生させる。
【0053】
芯入り電極で溶接するときは、鞘と芯を同じ速度で融解させることが望ましい。この操作は、熔融材料混合物が周囲のコンタミの影響に化学的に耐えるように、或る芯材料と外部鞘との均一な混合を促進させる。溶接金属の所望の機械的及び金属学的な性質を生み出すために必要な合金元素が溶接金属中に均一に分散している。さらに、スラグ及び/又はガス生成用構成成分に由来するこの防護的な利点は最適化される。この状態は図26に示される。これに対して、図25は鞘が芯よりより急速に熔融する状態を示す。鞘912からの熔融金属990は芯914が熔融する機会を得る前に作業片Wと既に結合してしまっている。金属990は、もし、未熔融の芯構成成分が実際に熔融してしまったなら得られるであろう程度に周囲のコンタミの影響から防護されない。さらに、所望の機械的及び金属学的な性質を達成するために必要な合金元素は熔融金属990から失われてしまう。
【0054】
代替プロセスは図27に示され、ここでは選択回路992はブロック994からのライン994aのデータに従って波形Bを選択する。このブロックは特定の電極Aを同定するデータをもっている。電極は選択回路992の波形Bに順応する組成をもっている。ワイヤー供給速度ブロック996からのライン996aの設定点は、電極のための波形であるのみでなく特定の設定点における電極Aのためのものでもある波形Bを選択するために使用される。これは、AC溶接プロセスの波形をブロック994で同定される芯入り電極Aに誂えられるように制御するために波形発生器240の出力を調節する。電極Aは波形Bを活性化するために使用される。波形は、特定の芯入り電極を使用するとき所望の操作を実施するために形成される。特定の芯入り電極を同定しそれに調和したAC波形を活性化することによって、所望の溶接プロセスが電極と作業片の間で実施される。芯の構成成分と鞘のサイズはAC溶接プロセスで使用される最適な波形プロフィールを決定する。これは、波形技術を使用するタイプの電気アーク溶接プロセスで使用される波形のプロフィールを厳密に設定しそして修飾するための図17のプログラム700のようなプログラムの使用によって可能になる。
【0055】
図17−27は図1−16の波形技術がAC溶接又は芯入り電極を使用するためにどのようにして使用できるかを示している。この可能性を発展させることによって、図28−45に開示される本発明の新規な溶接方法が可能となる。
【0056】
本発明(図28−45)
前の節で示したように、波形技術を使用するタイプの電気溶接機は図28に示される電極1000のような芯入り電極を使用するAC溶接用に使用できる。そのような電極は、合金金属及びスラグ又はフラックス材料を含む特定の材料で形成された芯1004の周りの外側に鉄製鞘1002を含む。内部にフラックス又はスラグ材料をもつことによって、溶接操作過程での外部シールドガスを必要としない。芯1004に合金材料を含むことにより、作業片1010上の溶接金属パッドル1012は精確な合金構成成分をもつように修飾する事ができる。これは、合金が溶接ワイヤーの実際の構成成分によって達成されなければならない固体溶接ワイヤーの代わりに、芯入り電極を使用する実質上の利点と理由である。溶接金属のための合金化の調整は固体溶接ワイヤーを使用するとき非常に困難であり、それゆえに、前の節で議論したように、芯入り電極を採用することは高性能溶接において非常に利点がある。アークARは鞘1002を熔かしそして構成成分又は芯1004内の充填物を本質的に同じになるように制御できる速度で熔かす。水素、窒素及び酸素のような、溶接金属1012のコンタミ成分は空隙の問題、溶接金属中のクラッキングやその他のタイプの物理的欠陥を引き起こす。このように、溶接プロセスを熔融した溶接金属からコンタミを排除するプロセスをデザインすることは挑戦的である。“キリング”剤、典型的には潜在的なコンタミ物質と化学的に結合して空隙の形成や溶接金属中への有害物の取り込みを防止するための、シリコン、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウムを使用するのが普通である。さらに、溶接金属から水素を取除くための薬剤を含む“スカベンジャー”もまた水素と反応させるために添加される。終始一貫して健全な溶接金属1012を沈積させるためには、展性や低温靭性のような溶接金属の性質に有害な量のそのようなキリング剤を加える必要がしばしばでてくる。このように、電極1000から作業片1010へ通過する金属のコンタミを防ぐためにアークAR中の熔融金属の曝露を減少させることが望ましく、そうすればキリング剤は最小化することができる。本発明は、AC波形の正及び負の形状が全体のアーク長さL を減少させるために修飾されるような芯入り電極1000のためのAC溶接を使用することである。この方法においては、大気への曝露が少なくそして金属が熔融する過程の時間が短い。もちろん、アーク長さを減少させることによって、電極から溶接金属パッドルへ移るときの熔融金属の温度も下げることができる。正及び負領域で異なった形状をもつAC溶接プロセスを実施できる溶接機を使用することによってのみ、芯入り電極でのAC溶接は現場で効果的に使用することができる。前節で説明したように、交互に変化する波形の正及び負部分のパラメーターは選択された電極1000のための鞘1002及び芯1004の両方を熔かすのを補償及び最適化するために独立に調節することができる。本発明は、正及び負部分の形状が独立に制御されるような芯入り電極でのAC溶接機及び溶接方法におけるさらなる改良に関する。本発明に従った波形制御技術はアーク安定性を維持しながらアーク長さL を減少させる。このように、芯入り電極でのAC溶接プロセスを実施するための溶接機は、電気アーク溶接分野でこれまで知られていない又は使用されていない特定の方法を実施するために本発明に従って修正される。
【0057】
改良された電気アーク溶接プロセスの基本的な態様は図29に示されるグラフ1020によって示される。このグラフは、0.062インチの直径をもつ自己シールドフラックス芯入り電極で作られた連続溶接試験の結果を示す。特定のフラックス芯入り電極はリンカーン社のインナーシールドNR−233であった。溶接は一定のワイヤー供給速度と移動速度で行われた。動力源は三つの通路又は並んだビーズを置くために約60Hzの周波数の交流で操作された。それから並んだビーズの二つの通路は第一の三つの通路又はビーズ頂点の第二の層に置かれた。板の表面を溶接に先立って、スケール及びコンタミを取除くためにショットブラストした。第二層の溶接金属はフラックス芯入り電極を使用する溶接品質のために取除く必要のあるコンタミの一つである窒素含量を分析した。NR−233中には故意に窒素が含まれているわけではないので、溶接金属中の窒素は周囲の大気中からのコンタミであると仮定した。これらの溶接操作を実施するための動力源はクリーブランド、オハイオのザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって販売されている電力波のような可変の波形で電流を変化させるために特に組み立てられた動力源である。AC波形の二つの性質はグラフ1020に示される結果を得るように修正された。第一のテストの場合、20%の−DCオフセットが形成され正領域の電圧は負領域の電圧より20%低かった。テストにおいては、負電圧は23ボルト、正電圧は18ボルトであった。曲線1022は0から50%に周期的に変化する波形バランスによって形成された。波形バランスはAC波形の正部分:AC波形の周期の比である。50%の波形バランスで、AC波形の正領域と負領域は同一である。窒素回収率は波形バランスの種々の値に対して測定された。これは一般的に曲線1022のための統計ラインを作り出し、そのラインは一般的には0.036の許容できない窒素レベルから下方に窒素回収率0.029をもつ点1022aまで伸びている。曲線1022は領域1022bによって示されるように、減少した窒素回収率のために下方に伸びる。テストの第二セットはAC波形の負領域が正領域より20%少ない20%+DCオフセットで実施された。このテストは曲線1044を作り出し、それは一般的には0.020の窒素回収率から上方に曲線1022の点1022aに対応する点1024aまで伸びている。その後、窒素回収量は曲線1024の領域1024bによって示されるように増加する。曲線1022と1024は破線1026で示される窒素回収レベルである点1022a、1024aで交差する。グラフ1020の曲線1022と1024は、波形が波形バランス量に応じて変化するとき、−DCオフセットAC波形及び+DCオフセットAC波形の傾斜のタイプを示す代表例である。テストによって+DCオフセットは低い波形バランスで低いコンタミレベルをもつことが見出された。同様に、AC波形の−DCオフセットはより高い波形バランスで低いコンタミレベルをもつ。この知見は芯入り電極のためのAC溶接を使用するときのコンタミを減少させるための波形修正の基礎となる。負のオフセットを使用するときは、波形バランスは点1022cによって示されるように約30%以上であるべきである。波形バランスは点1024cによって示されるように約50%以下であるべきである。全ての場合において、波形バランスは本発明を使用することによってアークのために十分な電圧RMSであることを確実にするレベルでなければならない。この低いレベルはライン1024を波形バランスが約5%である点1024dで交差する。このレベルは1022の継続によって対応する低い点1022dを形成する。点1022dは点1024dを通る同じ低レベルのラインとライン1022の交点である。このように、曲線1020によって表されるテストは、低アーク長さ及びこのように減少した雰囲気からのコンタミを生み出すためにオフセットと波形バランスを調節することによってAC波形の制御方法を規定している。テストは60Hzで行われたが、しかしながら、30−120Hzの間でもまた行われた。
【0058】
図30は負のオフセット曲線1032と正のオフセット曲線1034をもつ曲線1030を示す。これは図29に示されるテスト結果から得られ、そこでは曲線1032は点1032cと1032dの間の操作範囲を与える。この場合、−DCオフセットでAC波形は約30%と50%の間のバランスをもつ。+DCオフセット波形は5%と50%の間の波形バランスをもつ。図30に示されるように本発明に従った二つの操作モードは二つの空間点間の範囲をもつが、好ましくは正のオフセット波形は約5と15%の間の波形バランスをもつ。負のオフセット波形は85と95%の間の波形バランスをもつ。これらの方法は低コンタミを生み出しそして本発明の好ましい手段である。図30のグラフ1030は本発明の例示であり、そこではAC波形は+DCオフセットに対して低波形バランスそして−DCオフセットに対して高波形バランスが使用される。好ましい手段は+DCオフセット波形の使用である。
【0059】
図31及び32はAC波形1040及びAC波形1040Aを示す。波形のそれぞれは波形技術に従った電圧又は電流パルス1050の連続によって組み立てられ、好ましくは本発明の実施において採用される。波形技術は波形発生器又は波形成器によって制御されるパルス幅変調器を利用し正領域1042、1042a及び負領域1044、1044aの実際のプロフィールは特定の形状に描かれる。図31において誂えられた形状は本発明の好ましい形態である矩形波であるが、しかしながら、本発明はまた図32に示されるような矩形波でない形状によって実施することもできる。両方のAC波形において、正の領域はRMS1として表されるRMSをもちそして負の領域はRMA2として表されるRMSをもつ。本発明に従えば、オフセットはその差異が既にオフセットとして定義されているような他の領域のRMSより大きい或る領域のRMSを包含する。図32に示されるように、波形1040aはいかなる特定の芯入り電極に誂えることもできる。しかしながら、本発明は、図28に示されるように、芯入り電極1000のためのAC溶接操作において使用されるAC波形の正及び負領域間のRMSの所望の関係を達成するための波形バランスと調和したオフセットという広い概念を包含している。本発明を実施するための好ましい波形は図31、32に開示されているような同じ波形技術を使用する図33及び34に示されている。本発明の好ましい態様においては、正オフセットの波形1100は、AC波形を生み出すための電圧Vaの正領域1102をもち、負領域1104は0.75−0.90Vaの範囲の大きさの電圧をもっている。高電圧スパイク正領域1102は合計波形のほぼ5−15%の時間をもっている。これは短い正の時間1110と長い負の時間1112との間の関係である。波形1100は好ましくは電圧波形であるが、電流波形であることもできる。負領域の電圧はアーク安定性を維持するのに十分ではないが、しかしながら、周期的な高電圧スパイク1102はアークを維持している。このように、波形1100は低電圧で波形の主要部分をもつことによって低RMSをもち、そして単に反対の極性で周期的なスパイクを使用する。波形1120が高電圧の負の部分1122及び低電圧の正部分1124をもつ−DCオフセット波形であるような同じ一般的な概念が図34に例示されている。波形1120の主要部分でのRMSはAC波形の負領域によって制御されるが、しかしながら、安定性は高電圧の負領域1122によって維持される。AC波形の高電圧と低電圧の相対時間は時間1130及び1132として説明され、その時間は図33の波形1100の対応する時間と同じ相関関係をもっている。本発明は図30で示される二つの空間点の間で、点1032c、1032d及び点1034cと1034dとしての使用を期待しているのではあるが、図33及び34で説明した相関関係が好ましい態様である。操作の第一モードは5−15%の一般的な範囲の波形バランスをもつ+DCオフセットでありそして操作の第二モードは85−95%の一般的な範囲の波形バランスをもつ−DCオフセットである。波形1100及び1120の両方の波形は調節可能なオフセットと調節可能な波形バランスをもち、それはザリンカーンエレクトリックカンパニー社によって最初に開発されたタイプの波形技術を使用する溶接機の使用によって達成される。もちろん、その他の技術も図30及び図33と34で一般的に説明したように本発明を実施するために使用できる。実際上は、波形1100及び1120の周波数は30−120Hzの一般的な範囲である。
【0060】
本発明の一つの特徴はAC波形の正領域と負領域の大きさに実質上の差異があるときの波形バランスを変化させることである。この場合、波形バランスは、アーク長さが比較的小さい値にAC波形の電圧RMSを減少させるためのAC波形の電圧RMSを調節するために使用できる。これは波形が電圧なら真実であるが、しかし電圧RMSは電流波形で制御することもできる。この目的を達成するために、DCオフセットは図29及び30で議論されたように、好ましくは10−30の間の値をもつ。換言すれば、実際の溶接操作に使用されるAC波形のより小さい又はより少ない大きさの領域はアークを安定化させるために使用される短い高電圧領域のより大きな大きさより約10−30%小さい。波形バランスを調節することによって、AC波形の電圧RMSは減少させることができる。これは正のオフセット曲線1200が電圧RMSのためのx値に対応する点1202及び点1204の間で本発明に従って操作している図35及び36に例示されている。この値はライン1210によって表される。広義にいえば、本発明は正のオフセット曲線1200が37%を超えるところで使用できるが、しかしながら、図29のグラフ1020を生み出すために行われたテストにおいては、−20のDCオフセットのための所望の電圧RMSは37%の波形バランスで得られた。同様に、負の曲線1300は約37%でRMSレベル1210で点1302に到達した。図35及び36の表現は単に本発明が一般的に10−20の範囲のDCオフセットをもつことによってそして波形バランスを調節することによってAC波形の電圧RMSを制御するために使用されることを例示しているだけである。波形バランスとオフセットは本発明の目的を達成するために独立に調節されている波形の負及び正領域を作り出している。この波形は波形成器又は波形発生器によって形成される電圧波形として例示されているが、しかしながら、波形は同じ技術によって得られる電流波形として形成することもできる。
【0061】
本発明の利点は芯入り電極での溶接のためにAC波形を使用してアーク長さを減少させる能力である。過去において、電極はしばしば溶接過程での窒素によるコンタミをなくすために合金化剤として10%を超えるアルミニウムを含んでいた。本発明の使用によって、RMSは減少しそれはアーク長さLを減少させそれによってアルミニウムのような“キリング”剤の必要量を減少させる。この概念は概略、図37及び38に例示されておりそこでは曲線1400は芯入り電極中に必要な“キリング”剤又はアルミニウムの%はアーク長さに比例することを示している。アーク長さが減少すると、雰囲気に曝露されるアーク中の熔融金属が少なくなるので、必要な又は要求されるアルミニウム量もまた減少する。通常の実施においては、アルミニウムは電極中で実質上充填物の10%を越える量で使用される。本発明を使用することによって、アーク長さは、芯充填物中に約2%のアルミニウムを必要とする1402より少ないレベルにまで減少させることができる。曲線1400は代表例でありそしてアーク長さが本発明の使用によって減少するので、アルミニウムの量もまた減少することを示している。前述の曲線は基本的にRMSに比例するが、しかしながら、図38の曲線1410が現れるとき、この関係は厳密には直線ではないが、電圧RMS及びアーク長さはほぼ直接の比例関係をもつ。このように、電圧RMSに関して既に議論された曲線はアーク長さに等しく適用される。
【0062】
まとめとしては、図39は窒素回収率が正のオフセット波形1510のための曲線1500によって説明されるときの本発明の操作モードを表す。この曲線は点1502の最小窒素回収率から点1504で示されるような最大窒素回収率に伸びている。この操作モードに従えば、所望の低RMSは破線1506のように示される。この線はAC溶接プロセスの波形バランスを規定している交点1508を与えるために溶接操作の所望のアーク長さに調節される。正のオフセット波形1510は、その大きさの差異が所望の窒素回収率を与えるための波形バランスを調節させるような23ボルトの正の領域1512と18ボルトの負の領域1514を含む。所望のRMSの垂直変位は点1508で線1506を線1500と交差させる。芯入り電極を使用する−(ゼロ波形バランス)DCでの溶接は不安定なアークを生ずる。この不安定な状態は点1502によって表される。しかしながら、この操作点は非常に低い窒素コンタミを生み出す。正の領域1512は波形バランスが点1502で0値から増加するときにおいてのみ形成される。これが起こるとき、バランスは増大しそして窒素レベルもまた増大する。このように、正のオフセット波形1510が本発明の第一の操作モードを実行するために使用されるときには、波形バランスは約5−15%の間のわずかの量でのみ増加することが好ましい。第二操作モードは図40に示され、ここでは曲線1600は小さな正の領域1612と大きな負の領域1614をもつ負のオフセット波形1610によって形成されている。曲線1600は点1602からDC−で、しかし高電圧で進む。点1602は高い負電圧のために高い窒素回収率を形成する。曲線1600は許容できないDC−操作点1602から低窒素回収率の点1604に進む。点1604で、溶接操作は実質上18ボルトで実質上DC+である。これはまた不安定なアークを作り出す。同じことは不安定な18ボルトの点1502で起こるDC−についても当てはまる。曲線1600上の所望の操作点1608を与えるために、RMS線1506は、図39に示されるように、交点1608を作るように調節される。この交差は第二の操作モードのための所望の波形バランスを同定し、そこでは負のDCオフセットAC波形が採用される。図39及び40は本発明の二つの手段を例示している。溶接機又は制御器は+DCオフセット又は−DCオフセットのいずれかで二つの操作モード間でシフトすることができる。
【0063】
波形技術動力源を使用することによって、本発明の波形バランスは、波形のサイクル長さを一定に維持しながら波形の正領域を変化させることによって変えることができる。しかしながら、波形形状における他の変化は効果的な波形バランスを修正するために作ることができる。代表的な波形バランス概念は概略、図41−43に例示されている。AC波形1602はサイクル長さmをもつ正の領域1622と負の領域1624をもつ。これは標準技術である。しかしながら、波形技術タイプの電気アーク溶接機を使用することによって、他の組み合わせも使用することができ、その一つは図42に示される。AC波形1630は正の領域1632と負の領域1634をもっている。波形バランスは垂れた(trailing)末端1636の外側への動きにより負領域1634を増加させることによって調節できる。このように、サイクル長さはいまやm+aとなりそして負領域1634が増加するにつれ波形バランスは減少する。同様に、図43のAC波形1640は正の領域1642と負の領域1644を含む。サイクル長さは領域1644の垂れた(trailing)末端1646の左側への動きによりm−bに減少させることができる。結果として、図41−43に示されるように、正の領域と負の領域の異なった形状を作り出し領域の大きさの調節と一緒に波形バランスを修正するためにAC波形に種々の調節を行うことができ、これがDCオフセットを変化させる。波形バランスを変えるためのAC波形のその他の調節は熟練した当業者が容易になしうる範囲である。
【0064】
図44及び図45は本発明の二つの操作モードのための二つの波形を示す。図44の波形1700は高い正の領域1710と低い負の領域1712をもつ。これは、波形が小さな波形バランスと調和している好ましい態様で使用される+DCオフセット波形である。同様に、図45の−DCオフセット波形1720は低い正の領域1722と高い負の領域1724をもつ。この波形は大きなバランスが採用される操作モードのために使用される。これらの二つの波形は、図44に示されるような本発明の好ましい操作及び図45に示されるような波形を使用する他の操作モードを表すために示されている。正及び負の両方のオフセット電圧のための本発明の好ましい態様は図44及び45に示される。実際には、図44に示される概念が使用される。
【0065】
本発明は波形の正及び負の領域がそれぞれ目的とする小さなアーク長さを達成しそしてコンタミを減少させるために調節されているAC溶接を包含する。この方法を使用する際には、新規なスラグ又はフラックス系が自己シールド性フラックス芯入り電極として使用できるように設計される。これらのフラックス系は第二のスラグ修飾剤としてMnO、SiO、CaO及びBaFを使用する。これらの新規な系を内包している電極はシールドガス無しで使用されそして雰囲気からのコンタミをさらに防止するための芯中の脱酸素剤及び脱窒素剤に依存する。第一の新規なスラグ系は下記に示すが、ここで%は最終製品スラグ中の量である。
【0066】
【表1】

【0067】
このスラグ系はFCAW−S電極のためのFCAW−Gスラグ系に似ている。このスラグ系と本発明のAC法を使用することによって、アルミニウムは脱酸素剤として取除かれ、それゆえに、ナトリウム安定剤がスラグ系で使用できる。
第二の新規なスラグ系は以下の通りである。
【0068】
【表2】

【0069】
Fe+2Al → Al+2Fe
この第二の新規なスラグ系は溶接金属中のアルミニウムレベルを制御しそしてテルミット反応を促進させるために酸化鉄を使用することによって酸化アルミニウム生成レベルを自発的に制御することを試みる。溶接金属中のアルミニウムレベルを制御することによって、ミクロ構造は許容し得る機械的性質を得るのに最適化される。この酸化物の多いスラグ系の酸化鉄はまた熔融金属の融点を低下させる助けとなる。これは電極を垂直上昇方向の位置からの溶接に適したものとする。
【0070】
その他のスラグ系も本発明の実施において使用できるが、しかしながら、これらの新規なスラグ系、実施例1及び2がテストされ、そしてDCオフセットと波形バランスが前述のように制御されるフラックス芯入り電極のためのACプロセスにおいて有益であることが証明された。
【0071】
二つの新規なスラグ系の一つを使用して又は使用すること無しで、本発明の概念を用いながら芯入り電極を使用する開示されたAC溶接方法には種々の変形が可能である。
【0072】
【特許文献4】USP6,111,216
【特許文献5】USP5,278,390
【特許文献6】USP6,207,929
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の溶接方法は、溶接金属のコンタミが少なく、キリング剤としてのアルミニウムも少なくでき、溶接金属の靭性等が改良されるので、芯入り電極を使用する交流溶接方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を実施するために使用できる溶接系のブロックダイアグラムである。
【図2】それぞれがスイッチ出力を含みそして本発明を実施するのに使用できる、並列動力源の連結ダイアグラムである。
【図3】図1及び2で開示された動力源によって制御される3個のタンデム型電極の側面断面図である。
【図4】USP6,472,634及び6,291,798の開示を使用し、そこでは三つの動力源が図17に示されるようなプログラムによって厳密に仕立てられた波形形成に使用されている三つの電極のための溶接系のブロック形態の概略レイアウトである。
【図5】USP6,472,634に開示されそして本発明の実施のために使用される可変パルス発生器の付いた図4に示されるような系によって駆動される単一電極を示すブロックダイアグラムである。
【図6】二つの例示同期パルスの一つとタンデム電極のバランスしたAC波形を示す電流グラフである。
【図7】図17、21及び27に示されるような本発明を実施できる溶接機で使用するときの波形の極性を決定するための論理回路をもつ極性信号に加えられる電流グラフである。
【図8】図8は与えられた芯入り電極のためのそして図21及び27で示される溶接機によって出力されるプロフィールをもつ波形の概要を示す電流グラフである。
【図9】タンデム電極の調和極性相関関係の過程で溶接パッドルの動力学を説明する概略図である。
【図10】タンデム電極の調和極性相関関係の過程で溶接パッドルの動力学を説明する概略図である。
【図11】本発明の背景を形成している変換器によって発生させることのできる2個の隣接するタンデム電極上の波形を示す電流グラフの一組である。
【図12】各波形が与えられた電極と調和することのできる調和極性相関関係の領域をもつ隣接するタンデム電極上のAC波形を示す電流グラフの一組である。
【図13】調和極性相関関係の時間を制限するために片方の電極のAC波形が他方の電極の波形と実質上異なっているような隣接するタンデム電極上の波形を示す電流グラフである。
【図14】隣接する電極と異なった形状の本発明の系によって操作される隣接している電極の二つの正弦波形の電流グラフである。
【図15】本発明の態様に従って形状化され同期化されているタンデム電極の四つの隣接しているACアークの波形を示す電流グラフである。
【図16】同等のスイッチ命令が行われそして次の位置の同じ信号が作り出されるとすぐに並列の動力のスイッチを供給させる公知のソフトウエアプログラムの概略レイアウトである。
【図17】図21及び27に示されるようなプログラムに従って与えられた芯入り電極に誂えた波形を使用してAC溶接操作が実施できるように図1−16に示される系を使用して実際の波形プロフィールを制御するためのコンピューター化した溶接制御器において使用されるプログラムのブロックダイアグラムである。
【図18】図17に示されるプログラムによって与えられた芯入り電極のために使用される特注のAC波形を示す概略説明図である。
【図19】本発明のAC波形を制御するための図17及び27における系の使用法を説明するブロックダイアグラムの側面図である。
【図20】図19のほぼ線20−20に沿った拡大断面図である。
【図21】本発明を遂行するために好ましい系を開示するブロックダイアグラムである。
【図22】図21に示されるような系を説明する際に溶接プロセス中で使用されるAC波形を示す電流、電圧又は電力曲線のグラフである。
【図23】与えられた電極のために形成されたAC波形においてそして図28−45に示される本発明の好ましい態様を実施するために得ることができる或る変形を示すための図22のグラフに類似したグラフである。
【図24】鞘及び芯が異なった速度で融解する芯入り電極を示す拡大した概略図である。
【図25】芯入り電極での溶接用に特化した波形を採用することに失敗した場合の欠点を示すための図24と同様の図である。
【図26】図21で示された本発明の系を使用した溶接プロセスの操作を示すための図24及び25に同様の図である。
【図27】固定された芯入り電極が波形発生器から出力されるように与えられた波形を活性化している本発明の系の変形を使用する図21に示される溶接機と同様の溶接機を示すブロックダイアグラムである。
【図28】本発明で使用されるときのそして長さが本発明の使用によって最小化されるときの芯入り電極を示す部分的側面図である。
【図29】本発明を実施するための二つの分離モードを使用することによって得られる窒素回収率を示すグラフである。
【図30】AC波形の合計波形バランスに対する本発明の手段を説明するための図29と同様のグラフである。
【図31】本発明の実施において調節されたパラメーターをもつAC電圧波又は電流波である。
【図32】本発明を使用するときに可能な追加の変形をもつ図30の波形と同様の波形である。
【図33】+DCオフセットモードであるときの本発明の好ましい態様を示す電圧のグラフである。
【図34】−DCオフセットモードであるときの本発明の好ましい態様を示す図33と同様なグラフである。
【図35】バランスに従ってRMSに相関するときの+DCオフセット操作モードを説明するグラフである。
【図36】−DCオフセットモードを使用する好ましい態様の操作を示すための図37のグラフと同様なグラフである。
【図37】本発明の使用によって減少させられるときの芯入り電極中のアルミニウム量のグラフである。
【図38】アーク長さとRMS間の直接の相関関係を一般的に示すグラフである。
【図39】本発明の+DCオフセット操作モードの場合の窒素回収率:バランスの相関関係を示すためのグラフと対応する波形である。
【図40】本発明の−DCオフセット操作モードの場合のバランス及び窒素回収率間の相関関係を示すための図39に示したグラフと波形の同様の組み合わせ図である。
【図41】波形バランスの概念を示すグラフである。
【図42】波形バランスの概念を示すグラフである。
【図43】波形バランスの概念を示すグラフである。
【図44】+DCオフセットモードのときの本発明の好ましい操作を説明するグラフである。
【図45】−DCオフセットモード操作のときの本発明の好ましい操作を説明するための図44のグラフと同様のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一の形状でそして第一の時間をもつ正の波形を形成し(b)第二の形状でそして第二の時間をもつ負の波形を形成し、(c)該第一及び第二の形状の片方を該形状の他方の大きさよりも大きくし、そして(d)該第一及び第二の時間の相関割合を調節して与えられたレベルよりも低いRMSを得ることを特徴とする芯入り電極使用のアーク溶接方法。
【請求項2】
該与えられたレベルが設定されたアーク安定性レベル以上である請求項1記載の方法。
【請求項3】
該正の形状が該負の形状よりも大きい請求項1記載の方法。
【請求項4】
該負の形状が該正の形状よりも大きい請求項1記載の方法。
【請求項5】
該波形が電圧波である請求項1記載の方法。
【請求項6】
該波形が電流波である請求項1記載の方法。
【請求項7】
該芯が実質上アルミニウムを含まない請求項1記載の方法。
【請求項8】
該芯がTiO、Al、Fe、ZrO及びそれらの組み合わせ及びMgOからなるクラスから選択されるスラグ成分を含む最終製品スラグのスラグ系をもつ請求項1記載の方法。
【請求項9】
該芯がアルミニウムを酸化させるための化合物粒子を含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
さらに(e)波形発生器によって制御される短いパルスの連続によって該波形を形成している請求項1記載の方法。
【請求項11】
波形発生器付きの変換器、第一の形状で第一の時間をもつ正の波形を形成するための該波形発生器への第一入力、第二の形状で第二の時間をもつ負の波形を形成するための該波形発生器への第二入力、ここで該第一及び第二の形状の片方は該形状の他方の大きさよりも大きい、そして、設定されたアーク安定性レベル以上である与えられたレベルよりも低い電圧RMSを得るために該第一及び第二の時間の相関割合を調節するための回路、からなる電気アーク溶接機。
【請求項12】
該正の形状が該負の形状よりも大きい請求項11記載の溶接機。
【請求項13】
該負の形状が該正の形状よりも大きい請求項11記載の溶接機。
【請求項14】
該波形が電圧波である請求項11記載の溶接機。
【請求項15】
該波形が波形発生器によって制御される短いパルスの連続からなる請求項11記載の溶接機。
【請求項16】
(a)正の部分と負の部分をもつ交流波を形成し、(b)該部分の片方を該部分の他方より大きくし、(c)該第一及び第二部分の相関割合を調節し、(d)与えられた第一の量より大きな該正の部分と与えられた第一の量より低い該相関割合をもつ第一の操作モード又は与えられた第二の量より大きな該負の部分と与えられた第二の量より高い該相関割合をもつ第二の操作モードを選択することからなる芯入り電極使用のアーク溶接方法。
【請求項17】
(a)正の部分と負の部分をもつ交流波を形成し、(b)該部分の片方を該部分の他方より大きくし、(c)該第一及び第二部分の相関割合を調節し、そして(d)与えられた量より大きな該正の部分と与えられた量より低い該相関割合をもつ操作モードを選択することからなる芯入り電極使用のアーク溶接方法。
【請求項18】
(a)正の部分と負の部分をもつ交流波を形成し、(b)該部分の片方を該部分の他方より大きくし、(c)該第一及び第二部分の相関割合を調節し、そして(d)与えられた量より大きな該負の部分と与えられた量より高い該相関割合をもつ操作モードを選択することからなる芯入り電極使用のアーク溶接方法。
【請求項19】
(a)第一の形状でそして第一の時間をもつ正の波形を形成し(b)第二の形状でそして第二の時間をもつ負の波形を形成し、(c)該第一及び第二の形状の片方を該形状の他方の大きさよりも大きくし、そして(d)大きな形状の時間が他方の形状の時間より実質上少なくなるように該第一及び第二の時間の相関割合を調節することからなる芯入り電極を使用するアーク溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2006−102813(P2006−102813A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144934(P2005−144934)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(399011597)リンカーン グローバル インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】