説明

芳香剤容器及び芳香具

【目的】容器の上下反転状態に関係なく、芳香効果を十分発揮させること可能な芳香剤容器を提供する。
【構成】内部に収容される板状芳香剤Mからの芳香気体を外部に放散させるための換気孔115(112),123を有し、前記芳香剤の上下両面が内壁面に接触しない状態に該芳香剤Mを局部的に支持する支持手段100を備え、桶形容器本体11とこの容器本体11に外嵌される倒桶形カバー12から構成され、前記容器本体11の底壁内面に形成された前記支持手段100が、前記芳香剤Mを下方から局部的に支持する下側凸部111と、前記カバー12の上壁内面に形成されて前記芳香剤に対して上方から局部的に支持する上側凸部121から構成される芳香剤容器1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などで使用される芳香剤や消臭剤を収容する芳香剤容器およびこの容器を備えた芳香具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の芳香剤容器として、容器本体の底壁内面に芳香剤を下方から局部的に支持する支持部を形成し、芳香剤からの芳香気体を放散させる換気孔が形成されたカバーを前記容器本体に結合するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公昭60−19719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のものは、芳香剤を支持する支持部が容器本体側のみに形成されているから、容器を上下反転姿勢にして使用する場合には、反転したカバーの上壁内面に芳香剤が密に接触した状態となり、芳香剤におけるカバーとの密着面から芳香気体が放散することが阻止されていまい、芳香効果が半減してしまう。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、容器の反転状態に関係なく、芳香効果を十分発揮させることが可能な芳香剤容器およびこの容器を備えた芳香具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために為されたものであり。本発明の第1の形態は、内部に収容される板状芳香剤からの芳香気体を外部に放散させるための換気孔を有し、前記芳香剤の上下両面が内壁面に接触しない状態に該芳香剤を局部的に支持する支持手段を備えている芳香剤容器である。
【0006】
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、桶形容器本体とこの容器本体に外嵌される倒桶形カバーとからなり、前記支持手段は、前記容器本体の底壁内面に形成されて、前記芳香剤を下方から局部的に支持する下側凸部と、前記カバーの上壁内面に形成されて前記芳香剤に対して上方から局部的に支持する上側凸部とから構成され、前記下側凸部及び/又は前記上側凸部が前記芳香剤の表面に当接して前記芳香剤を支持する芳香剤容器である。
【0007】
本発明の第3の形態は、前記第2の形態において、前記容器本体にカバーが外嵌された状態で該カバーを回動操作して前記容器本体の周壁の換気孔とカバーの周壁の換気孔とが全体で重なる換気孔全開状態から前記容器本体の周壁の換気孔がカバーの周壁の非換気孔部位で閉じられる換気孔全閉状態まで連続的に開口面積を可変可能に構成されており、前記容器本体の換気孔とカバー側の換気孔のいずれか一方を4角形に形成し、他方を前記カバーの周方向に先細り状の三角形に形成した芳香剤容器である。
【0008】
本発明の第4の形態は、前記第1〜3のいづれかの形態において、車両内に配備されているサンバイザーに挿脱可能に装着されるフックを備えている芳香剤容器である。
【0009】
本発明の第5の形態は、前記第2〜4のいづれかの形態において、前記カバーの周壁内面に係止突部を設ける一方、前記容器本体の周壁外面に、前記カバーを容器本体に外嵌させてから結合回動操作方向へ回動変移させた際に、前記係止突部に係脱可能に係合される溝条を前記周壁外面に沿って円弧状に形成した芳香剤容器である。
【0010】
本発明の第6の形態は、前記第5の形態において、前記容器本体における溝条の入り口付近に、カバ−の取り外し回動操作方向前方へ向かって上り勾配のガイド斜面を設け、前記カバーを結合位置から取り外し回動操作方向へ変移させた際に、前記溝条から出てきた前記係止突部を前記ガイド斜面に登らせるように設定されている芳香剤容器である。
【0011】
本発明の第7の形態は、前記第1〜6のいずれかの芳香剤容器と、この芳香剤容器内に収容された芳香剤とを備えている芳香具である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の形態によれば、内部に収容されている板状芳香剤の上下両面が支持手段によって内壁面に接触しないように局部的に支持されているから、容器が反転された状態でも芳香剤の上下両面からの芳香気体を有効に放散させることができ、芳香気体の放散効果が高められる。
【0013】
本発明の第2の形態によれば、芳香剤が容器本体側の下側凸部とカバー側の上側凸部とで上下方向から局部的に挟持される状態となるから、芳香剤が安定的に保持されて芳香気体が放散される。下側凸部と上側凸部が芳香剤の上下両面に当接する場合には、芳香剤が確実に不動状態に固定されるから、芳香剤が容器内でガタつくことはない。下側凸部の頂点と上側凸部の頂点の間の間隔が、芳香剤の厚みより多少大きく設定されていてもよい。このとき、容器本体が正立された場合には、芳香剤は重力で下側凸部に当接し、上側凸部との間には隙間が形成される。しかし、この隙間が小さければ、芳香剤が容器内で少しガタついても、大きく位置ずれを起こすことは無く、しかも芳香の両面発散が実現される。容器本体が反転された場合でも、芳香剤は重力で上側凸部に当接し、下側凸部との間には隙間が形成される。前述と同様に、この隙間を小さく設定しておけば、芳香剤が容器内で少しガタついても、大きく位置ずれを起こすことは無く、しかも芳香の両面発散が実現される。上記隙間は、寸法の誤差を許容する程度に設定することが好ましい。
【0014】
本発明の第3の形態によれば、容器本体及びカバーのいずれか一方の4角形の換気孔と他方の三角形の換気孔とによる開口面積がカバーの回動操作に伴って指数関数的に可変するので、一気に換気孔の開口面積を変えることができる。例えば、正確な三角形の場合には、回動距離(開口部の横長)をXとすると、開口部の縦長はXに比例し、開口面積はXに比例することになる。三角形の形状を曲線も含めた変形三角形とした場合には、開口面積はXに比例するようにも設計できる。このように、回動量を調節することにより、開口面積を微小開口から極大開口まで自在に変更制御することが可能になる。
【0015】
本発明の第3の形態によれば、フックを介して容器を車両内のサンバイザーに簡単に取り付けることができるから、容器が車内などで邪魔にならず、また、サンバイザーの角度変更などに左右されることもなく、芳香剤の芳香気体を放散させることができる。特に、サンバイザーを回動させると、容器が正立から反転まで連続的に姿勢が変化するが、芳香剤が上下から確実に支持されているから、どのような姿勢でも芳香剤の両面から芳香発散させることが可能になる。
【0016】
本発明の第5の形態によれば、前記カバーを容器本体に外嵌させてから結合回動操作方向へ変移させれば、カバー側の係止突部が容器本体周壁の溝条に係脱可能に係合するから、芳香剤の交換なども簡単に行えるばかりか、結合状態で不用意にカバーが外れるおそれもない。
【0017】
本発明の第6の形態によれば、前記カバーを結合位置から取り外し回動操作方向へ変移させた際に、前記溝条を脱した前記係止突部が前記ガイド斜面を登るから、カバーが強制的に容器本体から離反され、カバーの取り外しが容易、かつ迅速に行える。同時に、カバーを装着する際にも、前記係止突部が前記ガイド斜面を緩やかに下るから、カバーの装着がスムーズに行える利点も有している。
【0018】
本発明の第7の形態によれば、容器が上下反転姿勢で使用される場合でも、芳香剤の上下両面からの芳香気体を十分放散させることができる芳香具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施形態にかかる芳香剤容器を備えた芳香具を示す分解斜視図、図2は、同じく芳香具を換気孔全閉状態で示す断面図、図3は同じく芳香具を換気孔全閉状態で示す半切断面図である。
【0020】
図1〜図3において、この芳香具10は、芳香剤容器1と、サンバイザー取付用フック2と、芳香剤Mとを備えている。芳香剤Mは、芳香剤母剤から平面形状が厚肉の円形板形に成形されている。勿論、円形に限らず、例えば多角形などであってもよい。また、前記芳香剤容器1は、容器本体11とカバー12とから構成されている。
【0021】
前記カバー12は、合成樹脂などから浅い倒桶形に成形されており、前記容器本体11の周壁11bに外嵌して回動操作で結合されるようになっている。
【0022】
このカバー12の上壁12aの内面には、例えば図5に示すように、平面形状が円形のリブ121aと十字形のリブ121bとが組み合わされて一体形成されており、その円形リブ121aと十字形リブ121bの任意の交差部位に、芳香剤Mの上面に局部的に当接する突起状の上側凸部121が一体形成されている。勿論、この上側凸部121は、突起状に限られるものではなく、また、カバー12の上壁12aの内面に直接形成したものであってもよい。前記十字形リブ121b又は円形リブ121aで前記上側凸部121を構成したものであってもよいが、このとき芳香剤の上面通風を確保するために、十字形や円形を小さくすれば効果的である。
【0023】
前記カバー12の周壁12bにおける内面の開口縁近傍には、図5に示すように、容器本体11側に係合させるために、円周方向で等配された複数、例えば2個の係止突部122,122が一体形成されている。
【0024】
また、前記カバー12の周壁12bには、前記芳香剤Mからの芳香気体を放散させるために、円周方向で等配された複数、例えば4個の換気孔123・・・がそれぞれ形成されている。この換気孔123は略三角形に形成されており、後述する長方形の換気孔115(112)と合致して芳香発散用の開口部が形成される。三角形と長方形が相互に位置をずらして合致すると、その開口面積はずれ量をXとしたとき、開口面積はXに比例する。従って、微妙にXを調節すると、開口面積がXに比例して極小から極大にまで芳香発散量を調整できる利点がある。
【0025】
更に、前記カバー12の周壁12bの内面上部には、図5に示すように、円周方向へ沿って二組の開口面積調節用の凹凸部124群が一体形成されている。この凹凸部124は後述する調節用小突起116と任意の位置で係合し、前記開口面積を任意の位置で固定し、その位置で設定された開口面積を確実に保持することができる。カバー12を回動することにより、前記係合位置を前記凹凸部124の間で任意位置に設定でき、開口面積の任意設定と保持を与える。
【0026】
一方、前記容器本体11は、合成樹脂などから浅い桶形に成形されており、その底壁11aの中央部が円形底上げ部111aとなっており、この底上げ部111aの上面には、芳香剤Mを下方から支持する円弧状リブのような複数の下側凸部111が周方向へ等配されて一体形成されている。
【0027】
これら下側凸部111は、前記カバー12側の上側凸部121と共に、芳香剤Mに対する支持手段100を構成している。勿論、前記底上げ部111aを形成しないで、下側凸部111を設けてもよく、また、この下側凸部111の形状も円弧状リブに限らず、芳香剤Mを下方から局部的に支持できるものであれば、任意の形状を採用できる。
【0028】
なお、この例では、前記底壁11aの内面には、図6および図9に示すように、底上げ部111aを中心にして放射状に配列された複数のリブ130が一体形成されている。また、底壁11aの外周には、環状鍔部11cが一体形成されている。
【0029】
前記容器本体11の周壁11bには、芳香剤Mからの芳香気体を放散させるために、円周方向へ等配された複数、例えば2個の換気孔115,115が形成されている。
【0030】
更に、前記周壁11bには、図4および図9に示すように、これら換気孔115,115の間に位置して、前記カバー12の結合操作時に前記係止突部122、122を受け入れさせるための係合突部進入用受入部112,112がそれぞれ形成されており、これら係合突部進入用受入部112,112も、上端が開放された換気孔として機能するようになっている。
【0031】
すなわち、容器本体11の周壁11bには、図9に示すように、前記カバー12側の4個の換気孔123・・・にそれぞれ対応して実質的に4個の換気孔115,112,115,112がこの順で円周方向へ沿って形成されている。
【0032】
前記各係合突部進入用受入部112は、カバー12を容器本体11側に外嵌させる操作に伴って前記カバー12側の係止突部122を容器本体12の周壁12bの根本付近まで進入させて外嵌状態となるのを許容するものである。
【0033】
前記容器本体11の周壁11bの下部には、図4に示すように、係止突部進入用受入部112,112にそれぞれ隣接して、各受入部112の根本に達した前記係止突部122,122に対する係合用の溝条113,113が周壁11bの外面に沿って円弧状に形成されている。
【0034】
各溝条113は、前記各係止突部122が係止突部進入用受入部112に進入された状態で前記カバー12を結合回動操作方向(矢印a方向)へ回動操作するに伴って、各係止突部122を進入させて係脱可能に係合するようになっている。
【0035】
前記容器本体11の周壁11bの外面上部には、図1に示すように、前記カバー12側の開口面積調節用の凹凸部124,124に対応して、調節用小突起116,116が一体形成されている。この調節用小突起116は、前記カバー12を容器本体11に外嵌して回動操作した際に、前記カバー12側の調節用凹凸部124と噛み合って該回動操作に節度を与えるようになっている。前記カバー側の換気孔123は、前記調節用微小突起116が始点凹部124aと係合するとき、全閉状態となり、終点凹部124bと係合するとき、全開状態となる。従って、前記調節用凹凸部124と係合しながら前記調節用微小突起116が始点凹部124aから終点凹部124bまで移動することにより、前記カバー側の換気孔123の開口面積を段階的に調整することができる。
【0036】
更に、図1及び図4の各溝条113の内部には、図12及び図13に示すように、前記カバー12を結合回動操作方向へ一定量回動変移させた際に前記係止突部122に係止させる第1位置決め部131と、さらに結合回動操作方向へ一定量回動変移させた際に、前記係止突部122を停止させる第2位置決め部132とがそれぞれ一体形成されている。更に、第2位置決め部132の後段には、完全係止部133が一体形成されている。
【0037】
前記係止突部122が第1の位置決め部131に係止された位置では、図12に示すように、前記容器本体11側の各換気孔115(112)がカバー12側の周壁12bの非換気孔部位で全閉される状態となり、また、前記係止突部112が第2の位置決め部132に係止された位置では、図13に示すように、前記容器本体11側の各換気孔115(112)がカバー12側の換気孔123に重なって全開状態となる。従って、前述したように、前記調節用凹凸部124によって、前記各換気孔115(112)の開口面積が段階的に調整されると共に、前記係止突部112、前記第1位置決め部131及び第2位置決め部132により、前記各換気孔115(112)の全閉位置と全開位置で前記カバーを確実に係止することができる。更に、前記完全係止部133により、第2位置決め部132の係止位置から外れた係止突部122が完全に係止され、前記各換気孔115(112)が全開状態から更に回動することを防止することができる。
【0038】
なお、この例では、第1位置決め部131は、図12および図13に示すように、2個の小突部131a,131a間に前記係止突部122を嵌入させるようにしてあるが、これに限定されるものではない。また、第2位置決め部132も、図12および図13に示すように、2個の小突部132a,132a間に前記係止突部122を嵌入させるようになっているが、これに限定されるものではない。更に、前記係止突部112、前記第1位置決め部131及び第2位置決め部132を設けずに、前記各換気孔115(112)の開閉を前記調節用凹凸部124と前記調節用微小突起116だけで行うこともできる。
【0039】
更に、図4に示すように、前記容器本体11における各係止突部進入用受入部112の前には、各溝条113の入り口側に近接して、前記カバー11の取り外し回動操作方向(矢印b方向)前方へ向かって上り勾配のガイド斜面114が形成されている。このガイド斜面114は、その上端が前記換気孔115の底辺より低位置になるように形成され、前記カバー12を回動操作する場合に、前記換気孔123の開口面が周壁により塞がれないように構成されている。
【0040】
図14のガイド斜面114の上端部には、ガイド面114aが設けられ、上述のように、前記カバー12を回動操作する場合に、前記カバー側の換気孔123の開口面が塞がれないように構成されている。前記ガイド斜面114及びガイド面114aは、前記カバー12を容器本体11から取り外し回動操作方向bへ回動操作し、前記カバー12側の係止突部122が溝条113の入り口から後退した際に、その係止突部122が前記ガイド斜面114を通過するに伴ってカバー12を容器本体11から離反方向(図14の矢印c方向)へ強制変移させるように作用し、カバー12を容器本体11から容易に取り外すことができる。逆に、カバー12を容器本体11に回動装着する場合にも、係止突部122,122が前記ガイド面114aからガイド斜面114を下り、円滑な装着を可能にする。
【0041】
前述したように、前記容器本体11側の換気孔115とカバー12側の換気孔123のうちの一方、例えば容器本体11側の換気孔115は、周方向へ長い長方形に形成されており、他方であるカバー12側の換気孔123は、結合回動操作方向へ向かって先細り状の三角形に形成されている。
【0042】
ついで、前記サンバイザー取付用のフック2は、図10および図11に示すように、前記容器本体11の底壁11aの下面に対する取付用固定片部21と、この固定片部21の基端からU字形に折り返されて、図15および図16に示すサンバイザーSの一方の面を押圧する押圧片部22とからなり、例えば金属ばね板などを使用して全体的には概ねΩ形に成形されている。
【0043】
前記フック2における固定片部21の先端は、上面側で基端側へ折り返されたU字形係止片21aとなっており、また、前記固定片部21の基端側には、上面側から基端側に向かって折曲されたL形片21bが切り起こし形成されている。
【0044】
前記容器本体11の底壁11aの下面の半径方向の端部には、図8に示すように、前記フック2におけるU字形係止片21aを半径方向外方から係止させる突出部111bが形成され、さらに、突出部111bとは反対側の端部には、前記フック2におけるL形片21bを半径方向内方から係合させる係合孔部111cが形成されている。勿論、上記フック2をカバー12の上壁外面など、他の部位に取り付けるようにしてもよい。
【0045】
つぎに、上記構成の芳香具1の使用手順を説明する。
まず、前記容器本体11内に芳香剤Mを収容してから、前記カバー12を装着し、例えば図15に示すように、自動車のダッシュボードD上に載置して使用する。
【0046】
前記カバー12を装着するには、このカバー12の周壁12bの内面における各係止突部122を容器本体11の周壁11bにおける各係止突部進入用受入部112に位置させてから該カバー12の周壁12bを容器本体11の周壁11bに差し込む。カバー12側の係止突部122が前記容器本体11側の周壁12bのガイド斜面114に当接するから、そのまま係止突部122を降下させると、前記係合用溝条113の入り口に達する。
【0047】
その時点で前記カバー12を結合回動操作方向へ回動操作すると、前記係止突部122が溝条113に入り込み、前記カバー12が容器本体11に結合状態となる。つまり、前記カバー12側の係止突部122を容器本体11に対して嵌め込んでから回動させるだけで、簡単に結合させることができるうえ、結合状態のカバー12が不用意に外れるおそれはない。
【0048】
そして、この係止突部122が図12に示すように、所定の変移位置に達すれば、第1の位置決め部131に係合してカバー12が完全に結合された状態となる。この位置では、前記容器本体11側の各換気孔115(112)がカバー12側の周壁12bの非換気孔部位に重ねられて全閉状態に保持される。
【0049】
カバー12をさらに結合回動操作方向へ回動変移させると、前記前記容器本体11側の各換気孔115(112)が開き始め、さらに一定の変移位置では、図13に示すように、前記係止突部122が第2位置決め部132に当たって係止される。この位置では、前記容器本体11側の各換気孔115(112)カバー12側の換気孔123に重なって全開状態に保持される。
【0050】
ところで、前記カバー12の回動操作によって係止突部122が前記容器本体11側の溝条113に入ってから第1位置決め部131を経て、第2の位置決め部132に達するまでの間は、前記カバー12側の調節用凹凸部124が容器本体11側の調節用小突起116に噛み合うから、前記カバー12の回動操作に節度が与えられ、該カバー12を微細に変移させることができ、任意の位置で留めることができる。
【0051】
前記容器本体11にカバー12が完全に結合されると、内部に収容された芳香剤Mが容器本体11側の下側凸部111で下方から局部的に支持される一方、カバー12側の上側凸部121により上方から局部的に押し付けられるから、該芳香剤Mは、その上下面が前記容器本体11の底壁11a内面およびカバー12の上壁12a内面に全面的に接触することなく支持される。
【0052】
いま、前記カバー12の一定の回動位置で、前記容器本体11側の換気孔115(112)と前記カバー12側の換気孔123とが完全又は一部重なって全開状態などの開放状態であれば、芳香剤Mからの芳香気体が換気孔115(123)から外部に放散されて、芳香作用が発揮される。
【0053】
特に、芳香剤Mが上側および下側凸部121,111で局部的に支持されているから、容器1を上下反転した状態で設置した場合でも、芳香剤Mの上下両面に空間が存在することになり、通風によりその芳香剤Mの上下両面からの芳香気体を有効に放散させることができ、芳香効果が十分発揮される。
【0054】
前記芳香剤容器1として、芳香剤Mの支持手段100を設けることにより、初期の目的を達成させることができるが、このことに限っては、前記容器本体11やカバー12として、桶形以外の任意のものものにも採用できるものであり、結合構造なども回動操作の要らない任意の構成を採用可能である。その場合、支持手段100としては、前記凸部111,121以外に芳香剤Mを局部的に支持できる任意の構造、例えな容器1内に芳香剤用抱き持ち部などを設ける構成などを採用可能である。
【0055】
なお、前記上下の凸部111,121のうちの少なくともいずれか一方を弾性片で構成することも可能である。その場合、芳香剤Mを一層がたつきなく保持させることができるうえ、弾性反力によってカバー12の結合状態を一層しっかりと保持させることが可能となる。
【0056】
ところで、前記容器本体11側の換気孔115と前記カバー12側の換気孔123の両方が長方形であってもよいが、その場合、カバー12の回動操作による実効開口率の変化が一次関数的に変化するので、芳香気体の拡散量を一気に増減変化させるのは難しい。
【0057】
この点につき、この例では、カバー12側の換気孔123が三角形であり、この三角形の換気孔123と容器本体11側の長方形の換気孔115(112)との組み合わせにより、カバー12の回動操作による実効開口率が二次関数、更には指数関数的に変化するから、芳香気体の拡散量を一気に増減調整させることができ、便利である。
【0058】
また、前記カバー12を取り外し回動操作方向へ回動変移させれば、前記カバー12側の係止突部122が前記取り外し回動操作方向へ変移し、容器本体11側の溝条113から脱すると、係合が解除される。前記カバー12をさらに取り外し回動操作方向へ変移させれば、図14に示すように、係止突部122が前記ガイド斜面114を登るので、これに伴って前記カバー12が強制的に容器本体11から離反されることになる。従ってカバー12を容器本体11から簡単に取り外すことができる。
【0059】
ところで、前記芳香具10を図16に示すように、自動車のサンバイザーSに取り付けて使用したい場合には、まず、前記フック2を容器本体11の底壁11aの外面に装着しておく。
【0060】
フック2における固定片部21の先端のU字形係止片21aを前記容器本体11の突出部111bに係合し、この状態から前記フック2における固定片部21をやや撓ませながら前記L形片21bを容器本体11の係合孔部111cに半径方向内方から係合させれば、前記フック2が容器本体11の底壁11aの外面に装着される。
【0061】
そして、前記フック2をサンバイザーSに差し込めば、該フック2の押圧片部22が前記サンバイザーSを厚み方向から弾性的に押し付けるから、芳香容器1がサンバイザーSにしっかりと装着され、サンバイザーSの角度変更などで外れたりするおそれもない。
【0062】
芳香容器1をサンバイザーSに装着すると、この芳香容器1が車内で邪魔になったりすることもなく、普通に使用することができる。また、前記芳香具10が上下で反転した状態であっても、前記サンバイザーSにフック2を差し込んで使用できるうえ、その反転状態でも、前述したように、芳香剤Mの上下両面から芳香気体を放散させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
前記芳香具10は、容器1内に、芳香剤に代えて消臭剤を収容すれば、消臭具として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施形態にかかる芳香容器を備えた芳香具を示す分解斜視図である。
【図2】同じく芳香具を換気孔全閉状態で示す断面図である。
【図3】同じく芳香具を換気孔全開状態で示す半切断面図である。
【図4】芳香容器における容器本体の一部を示す斜視図である。
【図5】芳香容器におけるカバーを示す底面図である。
【図6】容器本体を示す平面図である。
【図7】同じく容器本体を示す側面図である。
【図8】同じく容器本体を示す底面図である。
【図9】図7のA−A線に沿った平面断面図である。
【図10】フックを示す上面図である。
【図11】図10のX−X線に沿った断面図である。
【図12】カバーの結合時の動作を換気孔の全閉状態で示す部分平面断面図である。
【図13】カバーの結合時の動作を換気孔の全開状態で示す部分平面断面図である。
【図14】カバーを外す場合のガイド斜面の動作説明図である。
【図15】芳香具の設置使用状態の説明図である。
【図16】芳香具を自動車のサンバイザーに取り付けた使用状態の説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 芳香剤容器
2 サンバイザー取付用フック
10 芳香具
11 容器本体
11a 容器本体の底壁
11b 容器本体の周壁
11c 環状鍔部
12 カバー
12a カバーの上壁
12b カバーの周壁
21 フックの固定片部
21a フックのU字形係止片
21b L形片
22 押圧片部
100 支持手段
111 下側凸部
111a 容器本体の底上げ部
111b 突出部
111c 係合孔部
112 係止突部進入用受入部(換気孔)
113 溝条
114 ガイド斜面
114a ガイド面
115 容器本体側の換気孔
116 容器本体側の調節用小突起
121 上側凸部
121a 円形リブ
121b 十字形リブ
122 カバー側の係止突部
123 カバー側の換気孔
124 カバー側の調節用小突起
124a 始点凹部
124b 終点凹部
130 リブ
131 第1位置決め部
131a 小突部
132 第2位置決め部
132a 小突部
133 完全係止部
a 結合回動操作方向
b 取り外し回動操作方向
c カバー離反方向
D ダッシュボード
M 芳香剤
S サンバイザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容される板状芳香剤からの芳香気体を外部に放散させるための換気孔を有し、前記芳香剤の上下両面が内壁面に接触しない状態に該芳香剤を局部的に支持する支持手段を備えていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】
桶形容器本体とこの容器本体に外嵌される倒桶形カバーとからなり、前記支持手段は、前記容器本体の底壁内面に形成されて、前記芳香剤を下方から局部的に支持する下側凸部と、前記カバーの上壁内面に形成されて前記芳香剤に対して上方から局部的に支持する上側凸部とから構成され、前記下側凸部及び/又は前記上側凸部が前記芳香剤の表面に当接して前記芳香剤を支持する請求項1に記載の芳香剤容器。
【請求項3】
前記容器本体にカバーが外嵌された状態で該カバーを回動操作して前記容器本体の周壁の換気孔とカバーの周壁の換気孔とが全体で重なる換気孔全開状態から前記容器本体の周壁の換気孔がカバーの周壁の非換気孔部位で閉じられる換気孔全閉状態まで連続的に開口面積を可変可能に構成されており、前記容器本体の換気孔とカバー側の換気孔のいずれか一方を4角形に形成し、他方を前記カバーの周方向に先細り状の三角形に形成した請求項2に記載の芳香剤容器。
【請求項4】
車両内に配備されているサンバイザーに挿脱可能に装着されるフックを備えている請求項1〜3のいずれかに記載の芳香剤容器。
【請求項5】
前記カバーの周壁内面に係止突部を設ける一方、前記容器本体の周壁外面に、前記カバーを容器本体に外嵌させてから結合回動操作方向へ回動変移させた際に、前記係止突部に係脱可能に係合される溝条を前記周壁外面に沿って円弧状に形成した請求項2〜4のいずれかに記載の芳香剤容器。
【請求項6】
前記容器本体における溝条の入り口付近に、カバ−の取り外し回動操作方向前方へ向かって上り勾配のガイド斜面を設け、前記カバーを結合位置から取り外し回動操作方向へ変移させた際に、前記溝条から出てきた前記係止突部を前記ガイド斜面に登らせるように設定されている請求項5に記載の芳香剤容器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の芳香剤容器と、この芳香剤容器内に収容された芳香剤とを備えていることを特徴とする芳香具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−271811(P2006−271811A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98217(P2005−98217)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】