説明

芳香族アミン類の精製方法

【課題】芳香族ニトロ化合物の還元により得られる芳香族アミン類の精製方法。
【解決手段】芳香族ニトロ化合物の還元により得られた芳香族アミン類は、相分離後に得られた粗アミンをアルカリ金属水酸化物水溶液と混合され、かつ蒸留塔上でこの混合物のその後の蒸留により精製される。蒸留塔は、少なくとも上部及び下部の濃縮部及び回収部を有する。蒸留塔の缶出液は、部分的にないし完全に洗い流され、かつ主蒸発器及び少なくとも1つの下流の再蒸発器中で部分的に蒸発され、かつ部分的に塔へ返送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族ニトロ化合物の還元により得られる芳香族アミン類の精製方法に関する。本明細書において使用される通りの芳香族アミン類は、芳香環上に少なくとも1つのアミノ基を有する化合物類を意味する。後者は、置換されていてよいか又は他の芳香環と縮合されていてよい。
【背景技術】
【0002】
芳香族アミン類は、安価にかつ大量に入手可能でなければならない重要な中間体である。例えば、アニリンの製造のためには、故に、極めて高い生産能力を有する設備が建設されなければならない。アニリンは、例えば、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)の製造における重要な中間体であり、かつ例えば、独国特許出願公開(DE-A)第2201528号明細書;独国特許出願公開(DE-A)第3414714号明細書;米国特許(US)第3136818号明細書;欧州特許(EP-B1)第0 696 573号明細書;及び欧州特許(EP-B1)第0 696 574号明細書に記載されているように、通例、水素でのニトロベンゼンの接触還元によって大工業的規模で製造される。
【0003】
芳香族アミン類の製造のための接触還元において、水及び有機の副次成分類は、所望の生成物(類)に加えて形成される。これらの有機副次成分類("副生物類")は、芳香族アミン(類)のさらなる使用前に、分離されなければならない。これらの副生物類は、"低沸点物質類"、すなわち、製造されるべきアミンの沸点を下回る沸点を有する個々の成分類の化合物類又は共沸(azeotropically boiling)混合物類、及び"高沸点物質類"、すなわち、製造されるべきアミンの沸点を上回る沸点を有する個々の成分類の化合物類又は共沸混合物類を含む。アニリン(沸点=184℃)へのニトロベンゼンの還元の場合に、例は、低沸点物質類の群についてベンゼン(沸点=80℃)及び高沸点物質類の群についてジフェニルアミン(沸点=302℃)である。例として挙げたこれらの2つの不純物類は、蒸留により容易に分離されることができる、それというのも、それらの沸点は、製造されるべきアミンの沸点とは極めて異なるからである(それぞれΔTB=104K及び118K)。製造されるべきアミンの沸点と極めて類似している沸点を有するそれらの副次成分類の分離は、はるかに問題がある、それというのも、蒸留費用がかなり高くなるからである。ニトロベンゼンの還元の場合に、フェノール(沸点=182℃)及び目的生成物アニリン(沸点=184℃)の分離は特に、蒸留技術にとって大きな挑戦である。この分離の困難さは、投資及びエネルギーの相応して高い費用を伴う高い分離段数及び高い還流比を有する長い蒸留塔が使用されるという事実から明白である。フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類、すなわち、芳香環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物類は、芳香族アミン類の後処理において一般的に問題がありうる。アニリンの場合に、既に挙げたフェノールに加えて、多様なアミノフェノール類も問題がある。
【0004】
故に、芳香族アミン類の精製は些細なものではなく、かつ大いに工業的に重要である。最近のアプローチは、特に、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類に関して挙げられる問題を解決することに向けられている。1つのアプローチは、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類を、適した塩基類との反応により相応する塩類に変換することである。前記塩類は、分離するのがはるかに容易な不揮発性化合物である。このために、アルカリ金属水酸化物は、抽出に使用されるか、又はアルカリ金属水酸化物は、蒸留中に添加される。
【0005】
特開昭(JP-A)49-035341号公報には、精製されるべきアミンであるアニリンが、固定床中で固体のアルカリ金属水酸化物と接触され、ついではじめて蒸留へ移されるか、又は蒸留が、蒸留されるべきアニリンの量を基準として0.1〜3質量%の量の固体のアルカリ金属水酸化物の存在で実施されることによる方法が記載されている。重要な成分類、例えばアミノフェノール類の分離は、この手段によって単純化される。しかしながら、この方法の欠点は、除去されるべき酸性の副次成分に対して固体のアルカリ金属水酸化物類の高いモル過剰量を使用すること及びアルカリ性化合物の正確な計量供給が不可能であることである。このことは、過剰の計量供給の場合の蒸留塔中の腐食問題、沈殿物及び高粘度缶出液相、及び不足した計量供給の場合の重要な成分類の不完全な除去をまねきうる。
【0006】
特開平(JP-A)08-295654号公報には、蒸留によるアニリンからのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類の除去の代替法として、希水酸化ナトリウム水溶液又は希水酸化カリウム水溶液(濃度0.1〜0.7質量%、アルカリ金属水酸化物溶液の質量を基準として)での抽出が記載され、前記抽出により、大部分のフェノールは、アルカリ金属フェノラートとして水相中へ移送され、かつ前記フェノラートは、その後の相分離によって分離される。フェノール含量の効率的な低下のためには、3:1〜100:1の範囲内のNaOH:フェノールのモル比が必要とされる。この方法の欠点は、高いNaOH消費(モル過剰量)、− 低濃度のアルカリ金属水酸化物溶液の結果としての − アルカリ金属フェノラートを含有する極めて大量の廃水の発生、これは付加的な廃棄コストをまねく、及び抽出のための付加的な投資費用である。
【0007】
米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書には、蒸留の前に、塩基が、場合によりポリオール類の存在で、"フェノール性化合物類"を基準として1:1〜4:1のモル比で、精製されるべきアミンに添加されることによる、芳香族アミン類からフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類("フェノール性化合物類")を分離する方法が記載されている。米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書には、"フェノール性化合物類"と塩基類との反応において形成される塩類に起こることは詳細に教示されていない。実施例6には、過剰の固体KOHが、ポリエチレングリコール(PEG)の添加により溶解されることが述べられているに過ぎない。これに付随される結果は、米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書に見出すことはできない。米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書は、"フェノール性化合物類"自体の塩類に関して、少しも詳述していない。
【0008】
しかしながら、塩類、過剰の塩基、及びフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類の塩類は一般的に、芳香族アミン類へ僅かに溶けるに過ぎないので、蒸留塔中、蒸留塔の缶出液中及び/又は蒸留の蒸発器中で溶解限度を超えて濃縮されるようになり、ついで沈殿析出するという大きな危険が存在する。そのような固体の沈殿物は、蒸留方法を激しく妨害しうるので、蒸留操作における中断が必要になる。そのような中断は、かなりの困難及び連続的に大規模の工業的方法における生産損失すらまねきうる。しかしながら、米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書は、前記方法の信頼性及び耐用寿命の問題に関心がない。また、当業者は、米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書から、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類と塩基類との反応の間に形成された塩類の存在が、固体の堆積、汚損及び/又は蒸留中の高い粘度増加をまねきうることを学ばない。米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書は、蒸留技術を少しも詳述していない。故に当業者は、米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書から、高い確率を伴って起こるこれらの問題をどうやって解決するかを学ばない。米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書には、過剰の固体KOHを溶解させるために、PEGを場合により添加することのみが教示されている。しかしながら、蒸留へのPEGのそのような添加は、芳香族アミン類(特にアニリン)の製造における高い生産能力の理由で経済的に受け入れることができない。米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書に記載された方法の、連続的製造方法における使用は記載されていない。
【0009】
特開(JP-A)2005-350388号公報はかなり一般的にアニリンの後処理の改善に関係している。アニリン蒸留塔の缶出液の一部が除去され、かつ気相中へ別個に、すなわち、前記塔の実際の蒸発器とは異なる第二の蒸発器へ移送されることによる方法が記載されている。このようにして得られた気相は、純アニリン塔へ再循環され;蒸発されることができない高沸点内容物は分離される。この方法で、アニリン蒸留塔の温度は相対的に低く保持されることができ、かつ不純物の量は低下されることができ;高沸点物質類の分離におけるアニリン損失は同様に低下される。この方法の欠点は、実際のアニリン蒸留塔の前に、低沸点物質類及び水が、装置に関して費用がかかる方法において脱水塔中での付加的な蒸留によって別個に分離されることである。特開(JP-A)2005-350388号公報には、蒸留のためのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類に伴う特別な問題が述べられていない。故に、この日本国特許公開公報からは、目的生成物アニリンからのこれらの分離が、そこに記載された方法を用いて改善されることができるかどうかも確認されることができない。
【0010】
欧州特許出願公開(EP-A)第07075103号明細書には、蒸留前又は蒸留中にアルカリ金属水酸化物水溶液を添加することによるアニリンの精製方法が記載されている。欧州特許出願公開(EP-A)第07075104号明細書には、アルカリ金属水酸化物水溶液での抽出によるアニリンの精製方法が記載されている。本明細書に対比して、これらの公開された開示のいずれも、アニリン蒸留塔の缶出液の部分的又は完全な洗い流し及び直列又は並列に接続された2つの蒸発器(E1)及び(E2)を介してのその部分的な蒸発を教示しない。以下により詳細に記載される本発明の手順によって、蒸留塔の缶出液中の価値のあるアミンの最大の減損は、最小の装置及びエネルギーの費用を伴って達成される。
【特許文献1】独国特許出願公開(DE-A)第2201528号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開(DE-A)第3414714号明細書
【特許文献3】米国特許(US)第3136818号明細書
【特許文献4】欧州特許(EP-B1)第0 696 573号明細書
【特許文献5】欧州特許(EP-B1)第0 696 574号明細書
【特許文献6】特開昭(JP-A)49-035341号公報
【特許文献7】特開平(JP-A)08-295654号公報
【特許文献8】米国特許出願公開(US-A)第2005/080294号明細書
【特許文献9】特開(JP-A)2005-350388号公報
【特許文献10】欧州特許出願公開(EP-A)第07075103号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開(EP-A)第07075104号明細書
【非特許文献1】G. Kaibel, "Distillation Columns with Vertical Partitions", Chem. Eng. Technol. 1987, 10, 92 - 98
【非特許文献2】G. Kaibel, "Industrieller Einsatz von Trennwandkolonnen und thermisch gekoppelten Destillationskolonnen", Chemie Ingenieur Technik 2003, 75, 1165-1166
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
故に、本発明の対象は、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類の分離を、固体の堆積、汚損及び/又は蒸留中の高い粘度増加のような問題を引き起こすことなく改善し、生成物収率を改善し、かつ耐用寿命及び低いエネルギー消費と同時に少ない装置費用を保証する、芳香族アミン類の精製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この対象は、芳香族ニトロ化合物類の還元により製造される芳香族アミン類を、還元から得られた生成物混合物が、本明細書に明記された順序で特別な精製工程にかけられることによって、精製する方法によって達成された。
【0013】
図1は、塔の底部における二段階のエネルギー供給を有する蒸留塔の図である。
【0014】
図2は、塔の底部における二段階のエネルギー供給及び第二の蒸発器段階におけるH2O添加を有する蒸留塔の図である。
【0015】
図3は、塔の底部における二段階のエネルギー供給及び中間体抽出を有する蒸留塔の図である。
【0016】
図4は、塔の底部における二段階のエネルギー供給を有する仕切塔(partition column)の図である。
【0017】
図5は、塔の底部における二段階のエネルギー供給及び中間体抽出を有する仕切塔の図である。
【0018】
本発明において、芳香族アミン類の精製は、還元から得られた生成物混合物から、還元の間に形成された反応水の大部分を、当業者に知られた任意の技術による相分離により除去することによって実施される。この相分離により得られた有機相("粗アミン")はついで、アルカリ金属水酸化物の水溶液と共に蒸留塔へ移される。この蒸留塔中で、低沸点物質類は、塔頂留出物として除去され、高沸点物質類は、缶出液として除去され、かつ精製された芳香族アミン("純アミン")は、側留中で除去される。前記塔は、少なくとも3つの区間、すなわち上部濃縮部、下部濃縮部及び回収部から構成される。回収部からの流出物は、主蒸発器を用いて部分的に蒸発される。蒸発されない液体の流れの一部はついで、再蒸発器中で濃縮され、気相は、前記塔中へ返送され、かつ液相は、部分的に又は完全に洗い流される(sluiced out)。前記塔の缶出液中の価値のあるアミンの最大の減損は、このようにして最小の装置及びエネルギーの費用と共に保証される。
【0019】
より詳しくは、本発明の方法において、還元から得られた生成物混合物は、次の順序で次の精製工程にかけられる:
I. 相分離による還元の間に形成された反応水を分離する工程、その際にこのようにして得られた粗アミン中で、粗アミンへの水の溶解度に相応する水の残存含量が確立され、前記含量は、圧力及び温度及び粗アミンの正確な組成に依存し、かつ粗アミンの質量を基準として、2〜10質量%、好ましくは4〜10質量%であり、
II. 工程Iから得られた粗アミンをアルカリ金属水酸化物の水溶液と混合する工程、
III. 工程IIからの混合物を蒸留塔(K)へ供給する工程、その際にこの蒸留塔(K)は、上部濃縮部(VT2)、下部濃縮部(VT1)及び回収部(AT)を少なくとも有しており、
IV. 回収部(AT)の下方の領域から缶出液を部分的にないし完全に除去する工程、
V. 工程IVから除去されるこの缶出液を主蒸発器(E1)及び少なくとも1つの下流の再蒸発器(E2)中で部分的に蒸発させる工程、その際に再蒸発器(E2)は、主蒸発器(E1)よりも高い温度で操作されて、再蒸発器(E2)の流出物中の芳香族アミンの残存含量は0〜98質量%に低下され、
VI. 工程Vにおいて得られた気相を完全に再循環させ、かつ液相を、回収部(AT)の下方又は上方のいずれかで塔(K)へ部分的に再循環させ、かつ再蒸発器(E2)中で得られた液相を部分的に又は完全に洗い流す工程。
【0020】
本発明による方法は、式
【化1】

[式中、R1及びR2は互いに独立して水素、メチル又はエチルを表し、その際にR1は付加的にアミノを表してもよい]で示されるアミンが精製されるべきである場合に特に有利である。本発明は、ニトロベンゼンの還元により得られたアニリンが精製されるべきである場合に極めて特に有利である。
【0021】
本発明による方法は、アルカリ金属水酸化物が水溶液として使用され、かつこれらの溶液中のアルカリ金属水酸化物の含量が>0.7質量%及び≦55質量%である場合に殊に有利である。
【0022】
本発明の方法は、添加されるアルカリ金属水酸化物の絶対量が、
0.01 < n(MOH)/[Σ{i・n(Ar(OH)i)}] < 1.5
の範囲内である場合に特に有利であり、ここで、
n=物質のモル量、
M=アルカリ金属、
Ar(OH)i=i個のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物及び
iは自然数を表す。
【0023】
[Σ{i・n(Ar(OH)i)}]
という用語はそれに応じて、粗アミン中の全てのフェノール性ヒドロキシル基の総和、例えばフェノール及び多様なアミノフェノール類からのヒドロキシル基の総和を意味する。この用語の決定のためには、アルカリ金属水酸化物水溶液との混合前に粗アミン中のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類の濃度の決定が必要である。この決定は、任意の通常の分析方法によって、好ましくはガスクロマトグラフィーによって行われる。
【0024】
本発明の方法は、蒸留塔(K)が、10〜1,000mbarの絶対圧下及び0.05〜3の還流比で操作される場合に特に有利である。
【0025】
本発明の方法はまた、再蒸発器(E2)が、主蒸発器(E1)と同じ圧力下に操作される場合に特に有利である。
【0026】
本発明の方法の有利な他の実施態様において、再蒸発器(E2)は、堆積物を形成する生成物類、すなわち、表面上に堆積物を形成する傾向のある生成物類の処理にも適している。可能な再蒸発器は、例えば、強制循環式のプレート熱交換器又は管束熱交換器及び薄層蒸発器、流下薄膜蒸発器又はスパイラルチューブ蒸発器である。
【0027】
本発明の方法において、再蒸発器(E2)が、水、好ましくは反応水で一定の間隔においてフラッシングされる場合に有利である。しばしばそのような清浄操作がどのように実施されるかは、使用される蒸発器のタイプに依存する。
【0028】
本発明の方法の実施において、主蒸発器(E1)の缶出液流出物を水、好ましくは反応水で抽出することも有利である。
【0029】
本発明の方法はまた、純アミン中の極めて低い含水量(例えば、c(H2O)<<1,000ppm)が望ましい場合にも有利である、それというのも、この目的は、蒸留塔(K)を仕切塔として設計することにより極めて単純な方法で達成されることができるからである。
【0030】
仕切塔の機能化の一般的な原理は、例えば、G. Kaibel, "Distillation Columns with Vertical Partitions", Chem. Eng. Technol. 1987, 10, 92 - 98及びG. Kaibel, "Industrieller Einsatz von Trennwandkolonnen und thermisch gekoppelten Destillationskolonnen", Chemie Ingenieur Technik 2003, 75, 1165-1166に記載されている。
【0031】
本発明による方法は、以下により詳細に記載される。
【0032】
芳香族アミン(類)は、本発明の方法において、相応するニトロ化合物(類)の接触還元により製造される。出発物質として使用されるニトロ化合物類は、芳香環が、目的化合物のアミノ基(類)の代わりに、1個のニトロ基又は複数個のニトロ基を有する化合物類である。
【0033】
本発明の方法において、所望の芳香族アミン類を得るためのニトロ化合物類の還元は、工業的に、好ましくは水素での還元(水素化)により、より好ましくは気相水素化により実施されることができる任意の方法によって実施されることができる。
【0034】
この気相水素化は、最も好ましくは、固定位置の不均一系担持触媒、例えば酸化アルミニウム又は炭素担体上のPd上で、固定床反応器中で1〜50barの絶対圧及び150〜600℃の範囲内の温度下に断熱条件下で、循環ガス方式で、すなわち水素化の間に反応しない水素を再循環しながら、実施される。そのような方法は、例えば、欧州特許(EP-B1)第0 696 573号明細書及び欧州特許(EP-B1)第0 696 574号明細書に記載されている。
【0035】
芳香族ニトロ化合物を還元してアミンを得る間に形成された反応水は最初に、当業者に知られた任意の技術を用いる相分離によって分離される。そのような分離は、粗アミンの含水量を、与えられた条件(圧力、温度、組成)下での粗アミン中への水の溶解度に相当する値に減損させ、この反応水の残存含量は、2〜10質量%、好ましくは4〜10質量%である。他の低沸点物質類の除去は、この段階において行われない。
【0036】
相分離に続く精製工程は、図1〜5に関連して詳細に説明される。これらの図は、本発明による方法の例証となる実施態様を示すに過ぎず、かつ本発明の唯一の実施態様であると理解されるものではない。
【0037】
図1は、このようにして得られた粗アミン(1)がどのようにして、− 相応するアルカリ金属塩類へのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類の実質的な転化のために − アルカリ性水溶液、好ましくはアルカリ金属水酸化物水溶液(2)と、フィード加熱器(E3)中で混合され、かつフィード(3)として蒸留塔(K)へ直接移されるかを示す。使用されることができるアルカリ金属水酸化物溶液(2)は、任意のアルカリ金属水酸化物を含む溶液、好ましくは、水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液、最も好ましくは水酸化ナトリウム溶液である。しかしながら、任意のアルカリ金属類の水溶液が、原則的に使用されることができる。その他の水溶性の塩基性化合物類、例えばアルカリ土類金属水酸化物類又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩類又は重炭酸塩類は原則的に、アルカリ金属水酸化物類の代わりに使用されることもできる。しかしながら、経済的な理由のために、アルカリ金属水酸化物類が好ましい。
【0038】
アルカリ性溶液中のアルカリ金属水酸化物の含量は、>0.7質量%及び≦55質量%、好ましくは≧1質量%及び≦50質量%、最も好ましくは≧5質量%及び≦35質量%である。添加されるべきアルカリ金属水酸化物の絶対量は、
0.01 < n(MOH)/[Σ{i・n(Ar(OH)i)}] < 1.5、
好ましくは、
0.50 < n(MOH)/[Σ{i・n(Ar(OH)i)}] < 1.0、
最も好ましくは
0.90 < n(MOH)/[Σ{i・n(Ar(OH)i)}] < 1.0
の範囲内であるように選択される。
【0039】
最も少ない量の過剰のアルカリ金属水酸化物を使用することにより(本発明による方法の好ましい実施態様において、過剰のアルカリ金属水酸化物は、完全に回避される)、蒸留方法をかなり妨害するか又はそれを完全に不可能にすらしうる蒸留塔の缶出液中及び/又は蒸留装置の蒸発器中の蒸留塔中の固体堆積物の形成が防止される。
【0040】
蒸留塔(K)は、10〜1,000mbar、好ましくは50〜800mbar、最も好ましくは100〜500mbarの絶対圧下に及び0.05〜3、好ましくは0.1〜2、最も好ましくは0.1〜0.9の還流比で操作される。この特定の場合に、下部濃縮部(セグメント(VT1)の上端部で導入された液体の量対側留(4)中で除去される液体の量の比は還流比と呼ばれる。蒸留塔(K)は、下部濃縮部(VT1)、上部濃縮部(VT2)及び回収部(AT)を少なくとも有する。高沸点物質類は下部濃縮部(VT1)中で分離される。これらは、アミンの一部と共に回収部(AT)へ達し、そこでそれらは濃縮される。低沸点物質類及び水は、上部濃縮部(VT2)中で濃縮され、かつ蒸気(12)は、頭部の上方で除去され、かつ低沸点物質類及び水の分離のためには、n個の凝縮器(C1)、(C2)、…(Cn)(図中に管路(14)を介して接続されている2つの凝縮器のみが示されているという事実は、限定として理解されるものではない)を通過し、ここでnは、自然数であり、かつ1〜5、好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2の範囲内であってよい。n個の凝縮器から得られたn個の凝縮物(この場合に流れ3及び15)は、合一され、かつ相分離にかけられる。この手段により、水相(7)は排出され、かつ本方法において他の位置へ、好ましくは工程I.に記載された相分離へ再循環されるか、又は廃棄される。芳香族アミンを実質的に含んでなる有機相(16)は、蒸留塔(K)の頭部へ再循環される。特別な実施態様において、一部のn個の凝縮物(20及び21)が、低沸点物質類の付加的な分離及び除去の目的のために洗い流される。デフレグメーター手法として当業者に知られているさらなる実施態様において、低沸点物質類は、残存蒸気流(8)で部分的にないし完全に(0.01〜100%)洗い流される。純アミンは、2つの濃縮部(VT1)及び(VT2)の間の側留(4)中で除去される。
【0041】
回収部(AT)からの流出物は、主蒸発器(E1)を用いて部分的に蒸発される。蒸発されなかった液体(11)の部分流又は全流はついで、再蒸発器(E2)中で濃縮され、その際に気相(10)は前記塔へ返送され、かつ液相(5)は洗い流される。再蒸発器(E2)は、ここで、主蒸発器(E1)よりも100Kまで高い温度で操作される。蒸留塔(K)の缶出液は、このようにして効率的にかつ穏やかに濃縮される。形成されるフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類のアルカリ金属塩類は、蒸留塔(K)又は主蒸発器(E1)の缶出液中に濃縮されてくる。この濃縮は好ましくは、溶解限度の直下まで行われ、これは物理的な構成条件(圧力、温度、組成)に依存する。(反応されなかった、すなわち依然としてそれらのOH官能基を有するフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類の、依然として存在しているいずれかの少しの残存量は、高沸点物質類又は低沸点物質類と共に分離され、その際に特に沸点に依存する。)第二の蒸発器段階は、第一の蒸発器段階と同じ圧力下に操作される。しかしながら、第一の蒸発器段階の流出物(11)中の高沸点物質類は、さらになお濃縮される、すなわち、再蒸発器(E2)は主蒸発器(E1)よりも高い温度で好ましくは操作される。再蒸発器(E2)の缶出液の濃度は、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類の塩類の溶解限度を超えて操作されることができるけれども、この点で場合により生じる固体の堆積物による問題は、恐れるべきものではない、それというのも、本発明による方法の好ましい実施態様において、再蒸発器(E2)は、堆積物を形成する生成物の処理に適しており、特に清浄にしやすく、かつ及び水、好ましくは反応水で一定の間隔においてフラッシングされるからである。再蒸発器(E2)からの洗い流しは、当業者に知られた排出装置、例えばポンプ又はスクリューによって実施される。再蒸発器(E2)のための可能な実施態様は、強制循環式のプレート熱交換器又は管束熱交換器又は薄層蒸発器、流下薄膜蒸発器又はスパイラルチューブ蒸発器を含み、これらは当業者に知られている。この手順により、蒸留塔の缶出液中の価値のあるアミンの最大の減損は、最小の装置及びエネルギーの費用と共に達成される。再蒸発器(E2)の流出物中の残存アミン含量は、0〜98質量%、好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%及び最も好ましくは20〜40質量%の値に調節される。
【0042】
主蒸発器(E1)から得られた気相(9)は、回収部(AT)の下方で蒸留塔(K)へ返送される。再蒸発器(E2)から得られた気相(10)は、同様に蒸留塔(K)の回収部(AT)の下方で蒸留塔(K)へ移して戻され、かつ再蒸発器(E2)の底部流出物(5)は、廃棄される。
【0043】
図2は、図1に記載された蒸留塔の選択的な実施態様を示す。図2中で、水は、存在する任意の堆積物を除去するために、供給流(6)を経て再蒸発器(E2)へ導入される。この場合に、フラッシング溶液は、残っている残留物(5)と共に廃棄される。
【0044】
図3は、底部流出物(11)が水(6)、好ましくは反応水で抽出されることによる図2に説明された装置の選択的な実施態様を説明する。アルカリ金属塩類は、ここで有機相から洗浄され、かつ水相へ移送される。このためには、冷却ユニット(E4)を通過した後に、混合物(17)は、抽出器(Ex)へ移され、ここで有機相及び水相はついで、当業者に知られた相分離によって分離される。このようにして得られた有機相(18)は、再蒸発器(E2)へ移され、かつ水相(19)は、残っている廃水と共に廃棄される。このようにして、設備のトラブルのない連続操作が保証され、かつ蒸留方法においてかなり妨害するか又は完全に不可能にすらしうる沈殿、例えばアルカリ金属フェノラート類の形成が回避される。
【0045】
精製されたアミンの含水量に特別な要求が課される(例えばc(H2O)<<1,000ppm)場合には、蒸留塔は、仕切塔(隔壁蒸留塔(dividing wall distillation column))として好ましくは設計される。
【0046】
故に、図4は、図1からの蒸留塔(K)の選択的な設計であり、しかしながらその際に、仕切塔が使用される。前記仕切塔は、図1による変法における場合とも同じように、上部濃縮部(VT2)及び回収部(AT)と、下部濃縮部(VT1)の代わりに、仕切の領域内の少なくとも4つの区間とを有するので、この実施態様における区間の総数は、少なくとも6である。仕切の領域内で、区間(VT1LO)は、供給流(3)中に含まれる高沸点化合物類を減損するのに利用され、区間(VT1LU)は、供給流(3)中に含まれる低沸点物質類、特に水を減損するのに利用され、区間(VT1RO)は、(VT2)を流れ出る液体中に含まれている低沸点物質類をさらに減損するのに利用されるので、これらはアミン中へ入らず、かつ区間(VT1RU)は、(AT)から出てくる蒸気中に含まれている高沸点物質類を減損するのに利用される。エネルギーの導入は、図1に相応する変法に類似している。
【0047】
図4による手順の代替法は、図5に説明されている。図5には、図3のように、抽出装置(Ex)は、水、好ましくは反応水での底部流出物の抽出のために用意される。前記仕切塔は、図3による変法と同じように、上部濃縮部(VT2)及び回収部(AT)を有する。図3に略述された方法の代わりに、仕切の領域内の下部濃縮部(VT1)の代わりに、少なくとも5つの区間が存在するので、この実施態様における区間の総数は少なくとも7である。仕切の領域内で、区間(VT1LO)は、供給流(3)中に含まれる高沸点化合物類を減損するのに利用され、区間(VT1LU1)及び(VT1LU2)は、供給流(3)中又は蒸気流(10)中に含まれる低沸点物質類、特に水を減損するのに利用され、区間(VT1RO)は(VT2)を流れ出る液体中に含まれる低沸点物質類をさらに減損するのに利用されるので、これらはアミン中へ入らず、かつ区間(VT1RU)は(AT)から出てくる蒸気中に含まれる高沸点物質類を減損するのに役立つ。エネルギーの導入は、図3に相応する変法に類似している。エネルギーの導入は、図3に相応する変法に類似する。再蒸発器(E2)からの蒸気(10)は、仕切塔の区間(VT1LU1)と(VT1LU2)との間へ、それらの含水量のために供給される。この手段により、再蒸発器(E2)の蒸気(10)中に含まれる水が、アミン中へ入ることを防止する。
【0048】
前記の方法は、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物類に遭遇する分離問題の実施可能な解決手段であり、かつ蒸留塔の缶出液中の価値のあるアミンの最大の減損を最小の装置及びエネルギーの費用を伴い保証する。
【実施例】
【0049】
例1(本発明による)):360mbar及びR/E0.3下での蒸留(シミュレーション計算から)
【表1】

から構成された粗アニリン流(1.994kg/h)を、10%濃度の水酸化ナトリウム溶液(6.1g/h)と混合した。このようにして得られた混合物を、
1. 10の理論段を有する上部濃縮部;
2. 12の理論段を有する下部濃縮部;及び
3. 12の理論段を有する回収部を有する
蒸留塔(直径:70mm)に供給した。
【0050】
この塔を、360mbarの圧力下に操作した。塔の凝縮系は、二段階であった。第一段階を、65℃の凝縮温度で、及び第二段階を45℃の温度で操作した。得られた凝縮物を30℃に冷却し、相分離に供給した。有機の(同時にまた重い)相を、塔の頭部で導入して戻した。
【0051】
上部濃縮部の下方で、アニリン(1.95kg/h)が、99.94%の純度及び次の不純物を有して得られた:
【表2】

【0052】
除去される生成物流対上部濃縮部を流れ出る液体流の比は0.23であり、0.3の還流比となった。
【0053】
エネルギーを、前記塔へ二段階で導入した。第一段階において、塔を流れ出る液体を、流下薄膜蒸発器(主蒸発器)中でナトリウムフェノラートの溶解限度(3質量%)に濃縮した。アニリン濃度は、ここで92質量%に減損された。底部温度は152℃であった。缶出液をついで、さらに濃縮しかつアニリン損失を最小限にするために、薄層蒸発器(再蒸発器)に供給した。アニリン含量は、ここで49.3質量%に減損し、その結果として、ナトリウムフェノラート濃度が19.5質量%に増加した。底部温度は165℃に上昇した。
【0054】
例2(本発明による):150mbar及びR/E=0.8下での蒸留(シミュレーション計算から)
塔を150mbarの頂部圧力下に、それ以外は例1において使用されたのと同一の条件下で、操作した。塔の凝縮系は、二段階であった。第一段階を、45℃の凝縮温度で、及び第二段階を35℃の温度で操作した。得られた凝縮物を30℃に冷却し、相分離に供給した。有機の(同時に重い)相を、塔の頭部で導入して戻した。
【0055】
上部濃縮部の下方で、99.96%の純度を有するアニリン(1.95kg/h)及び次の不純物が得られた:
【表3】

【0056】
除去される生成物流対上部濃縮部を流れ出る液体流の比は0.44であり、これは0.8の還流比に相当する。
【0057】
エネルギーを、前記塔へ二段階で導入した。第一段階において、塔を流れ出る液体を、流下薄膜蒸発器(主蒸発器)中でナトリウムフェノラートの溶解限度(3質量%)に濃縮した。アニリン濃度は、ここで92質量%に減損された。底部温度は129℃であった。缶出液をついで、さらに濃縮しかつアニリン損失を最小限にするために、薄層蒸発器(再蒸発器)に供給した。アニリン含量は、ここで49.3質量%に減損し、その結果として、ナトリウムフェノラート濃度が19.5質量%に増加した。底部温度は141℃に上昇した。
【0058】
例3(本発明による):400mbar下に再蒸発器としての薄層蒸発器を用いる実験室中での蒸留
主蒸発器(E1)の流出物の組成を代表するフィード混合物(組成については以下の表参照)を、一段階の蒸発を用いて400mbarの絶対圧及び150℃の頂部温度下に、ここで再蒸発器(E2)として利用される薄層蒸発器中で熱的に分離した。このためには、800g/hの供給流を、計量供給ポンプを介して薄層蒸発器へ連続的に供給した。蒸発器の加熱(約160℃)を、供給流の86〜87質量%が留出物として得られるように調節した。留出物を、一段階の凝縮後に完全に除去した。残っている液体の質量流(13〜14質量%)を、薄層蒸発器の底部で除去した。
【0059】
薄層蒸発器中のフィード混合物の後処理についての実験室の研究の結果は、次の通りであった:
【表4】

【0060】
本発明は、説明の目的のために前記で詳細に記載されているけれども、そのような詳細が、専らその目的のためであり、かつ変更が、請求の範囲により限定されうるものを除き、当業者により本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその中でなされることができることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】塔の底部における二段階のエネルギー供給を有する蒸留塔の図。
【図2】塔の底部における二段階のエネルギー供給及び第二の蒸発器段階におけるH2O添加を有する蒸留塔の図。
【図3】塔の底部における二段階のエネルギー供給及び中間体抽出を有する蒸留塔の図。
【図4】塔の底部における二段階のエネルギー供給を有する仕切塔の図。
【図5】塔の底部における二段階のエネルギー供給及び中間体抽出を有する仕切塔の図。
【符号の説明】
【0062】
1 粗アミン、 2 アルカリ金属水酸化物水溶液、 3 フィード、 4 側留、 5 液相、 6 供給流、 7 水相、 8 残存蒸気流、 9,10 気相、 11 液体、 12 蒸気、 14 管路、 15 流れ、 16 有機相、 17 混合物、 18 有機相、 19 水相、 20及び21 凝縮物、 K 蒸留塔、VT1 下部濃縮部、 VT2 上部濃縮部、 VT1LO,VT1LU,VT1RO,VT1RU,VT1LU1,VT1LU2 区間、 AT 回収部、 E1 主蒸発器、 E2 再蒸発器、 E4 冷却ユニット、 Ex 抽出器、 C1,C2 凝縮器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ニトロ化合物の還元により製造され、その際に生成物混合物が芳香族ニトロ化合物を還元することにより得られる芳香族アミンの精製方法であって、生成物混合物を工程I.〜VI:
I. 相分離による還元の間に形成された反応水を分離する工程、その際にこのようにして得られた粗アミン中で、粗アミンへの水の溶解度に相応する水の残存含量が確立され、前記含量は、圧力及び温度及び粗アミンの正確な組成に依存し、かつ粗アミンの質量を基準として、2〜10質量%であり、
II. Iからの生成物混合物をアルカリ金属水酸化物の水溶液と混合する工程、
III. 工程IIからの混合物を、上部濃縮部(VT2)、下部濃縮部(VT1)及び回収部(AT)を少なくとも有する蒸留塔へ供給する工程、
IV. 回収部(AT)の下方の領域においていずれの缶出液の少なくとも一部を除去する工程、
V. 工程IVにおいて除去された缶出液の一部を(i)主蒸発器(E1)及び(ii)主蒸発器よりも高い温度で操作される少なくとも1つの下流の再蒸発器(E2)中で蒸発させて、再蒸発器の流出物中の芳香族アミンの残存含量は0〜98質量%に低下させる工程、及び
VI. 工程Vにおいて得られたいずれの気相を完全に再循環させ、かつ工程Vにおいて得られたいずれの液体を、前記回収部の下方又は上方のいずれかで前記塔中へ部分的に再循環させ、かつ前記再蒸発器中で得られた液相を部分的に又は完全に洗い流す工程
にかけることを特徴とする、芳香族アミンの精製方法。
【請求項2】
アルカリ金属水酸化物が、
0.01 < n(MOH)/[Σ{i・n(Ar(OH)i)}] < 1.5
[式中、
nは、物質のモル量を表し、
Mは、アルカリ金属を表し、
Ar(OH)iは、i個のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を表し、かつ
iは、自然数を表す]の範囲内の量で使用される、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−67782(P2009−67782A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−209713(P2008−209713)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(504213548)バイエル マテリアルサイエンス アクチエンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】