説明

芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物

【課題】 耐熱性の高い縮合系高分子の原料として有用な新規な芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表される芳香族カルボン酸。
【化1】


(式(1)中、Yは、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を示し、Arは芳香族基を示し、式(1)で表される芳香族カルボン酸上の水素原子は、アダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。nは1〜5の整数である。mは1〜4の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物に関する。
【背景技術】
【0002】
一分子に2つのカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物は、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂及びポリベンゾチアゾール樹脂などの原料として用いられている。これらの樹脂は、その用途に応じて、様々な構造の樹脂が合成されており、芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物も樹脂構造に対応する様々な構造が選択され使用されている。
一方、これらの樹脂は一般的に熱可塑性の高分子であり、高い耐熱性を有していることから、高温の環境にさらされる用途に多く用いられている。また、これらの樹脂において、より耐熱性を高める手段として、熱硬化可能な置換基を導入する試みがなされており、熱硬化可能な置換基を導入した一分子に2つのカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物の技術例が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)が、更にこれらを用いた樹脂の特性である低誘電性、機械的強度における改善が、さらに望まれている。
【非特許文献1】B.J.Jensen and P.M.Hergenrother, Journal of Polymer Science: Polymer Chemistry Edition, Vol.23, 2233−2246, 1985
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記用途に適した、耐熱性に優れる樹脂の原料となる、芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記第(1)項〜第(4)項により、達成される。
【0005】
(1) 一般式(1)で表される芳香族カルボン酸。
【0006】
【化1】

(式(1)中、Yは、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を示し、Arは芳香族基を示し、式(1)で表される芳香族カルボン酸構造中の水素原子は、アダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。nは1〜5の整数である。mは1〜4の整数である。)
【0007】
(2) 前記芳香族カルボン酸は、前記一般式(1)におけるYとして芳香族基を含むものである第(1)項に記載の芳香族カルボン酸。
(3) 前記芳香族カルボン酸は、前記芳香族基としてフェニル基を有するものである第(1)項又は第(2)項に記載の芳香族カルボン酸。
(4) 第(1)項乃至第(3)項のいずれか1項に記載の芳香族カルボン酸において、カルボキシル基がハロゲン化カルボニル基で置換された構造を有する芳香族カルボン酸の酸ハロゲン化物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、一般式(1)で表される芳香族カルボン酸及び該芳香族カルボン酸の酸ハロゲン化物を得ることができ、これらは、高分子、特に縮合系高分子の原料として有用である。高分子に用いる場合、一般式(1)において、nが1である芳香族モノカルボン酸化合物は高分子の側鎖及び末端に導入することができ、nが2である芳香族ジカルボン酸化合物は高分子の主鎖に直接導入することができ、nが3〜5である芳香族カルボン酸化合物は分岐型高分子の主鎖に直接導入することができ、高分子の特性を向上させるのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、一般式(1)で表される芳香族カルボン酸である。前記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸において、Yは、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を示し、Arは芳香族基を示す。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらにより、溶解性を有する樹脂を得ることができる。前記芳香族基としては、フェニル基、ナフタレン基、アントラセン基及びフェナントレン基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの内、フェニル基が、樹脂の溶解性に優れることから、特に好ましい。Yが芳香族基の場合、Y及びArは、互いに同じであっても異なっていても良い。前記芳香族基がフェニル基である例としては、下記式(2)、式(3)及び式(4)などを挙げることができる。
【0010】
【化2】

(式(2)中、Y、n及びmは、上記一般式(1)におけるY、n及びmと同じである。)
【0011】
【化3】

(式(3)中、n及びmは、上記一般式(1)におけるn及びmと同じである。)
【0012】
【化4】

(式(4)中、nは、上記一般式(1)におけるnと同じである。)
【0013】
本発明における芳香族カルボン酸上の水素原子は、アダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。ただし、少なくとも1つのカルボキシル基における水素は置換されない。前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。前記いずれの式おいても、nは1〜5の整数である。mは1〜4の整数である。
【0014】
本発明の芳香族カルボン酸は、縮合系高分子などの高分子の原料として用いることができ、その場合、例えば、一般式(1)において、nが1である芳香族モノカルボン酸化合物は高分子の側鎖及び末端に導入することができ、nが2である芳香族ジカルボン酸化合物は高分子の主鎖に直接導入することができ、nが3〜5である芳香族カルボン酸化合物は分岐型高分子の主鎖に直接導入することができ、高分子の特性を向上させることができる。
【0015】
前記アダマンタン構造を含む基としては、アダマンタン構造を基本単位とするダイヤモンドイド構造を有する基及び2つ以上のアダマンタンが結合しているポリアダマンタン構造を有する基等が挙げられる。上記ダイヤモンドイド構造を有する基としては、例えば、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基、ウンデカマンチル基、アダマンチルフェニル基、ジアマンチルフェニル基、トリアマンチルフェニル基、テトラマンチルフェニル基、ペンタマンチルフェニル基、ヘキサマンチルフェニル基、ヘプタマンチルフェニル基、オクタマンチルフェニル基、ノナマンチルフェニル基、デカマンチルフェニル基、ウンデカマンチルフェニル基、アダマンチルフェノキシフェニル基、ジアマンチルフェノキシフェニル基、トリアマンチルフェノキシフェニル基、テトラマンチルフェノキシフェニル基、ペンタマンチルフェノキシフェニル基、ヘキサマンチルフェノキシフェニル基、ヘプタマンチルフェノキシフェニル基、オクタマンチルフェノキシフェニル基、ノナマンチルフェノキシフェニル基、デカマンチルフェノキシフェニル基及びウンデカマンチルフェノキシフェニル基等が挙げられ、上記ポリアダマンタン構造を有する基としては、1,1’−ビアダマンチル基及び2,2’−ビアダマンチル基などのビアダマンチル基、1,1’,1’’−トリアダマンチル基及び2,2’,2’’−トリアダマンチル基などのトリアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’−テトラアダマンチル基及び2,2’,2’’,2’’’−テトラアダマンチル基などのテトラアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’,1’’’’−ペンタアダマンチル基及び2,2’,2’’,2’’’,2’’’’−ペンタアダマンチル基などのペンタアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’,1’’’’,1’’’’’−ヘキサアダマンチル基及び2,2’,2’’,2’’’,2’’’’,2’’’’’−ヘキサアダマンチル基などのヘキサアダマンチル基、ヘプタアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基、ウンデカアダマンチル基、ビアダマンチルフェニル基、トリアダマンチルフェニル基、テトラアダマンチルフェニル基、ペンタアダマンチルフェニル基、ヘキサアダマンチルフェニル基、ヘプタアダマンチルフェニル基、オクタアダマンチルフェニル基、ノナアダマンチルフェニル基、デカアダマンチルフェニル基、ウンデカアダマンチルフェニル基、ビアダマンチルフェノキシフェニル基、トリアダマンチルフェノキシフェニル基、テトラアダマンチルフェノキシフェニル基、ペンタアダマンチルフェノキシフェニル基、ヘキサアダマンチルフェノキシフェニル基、ヘプタアダマンチルフェノキシフェニル基、オクタアダマンチルフェノキシフェニル基、ノナアダマンチルフェノキシフェニル基、デカアダマンチルフェノキシフェニル基及びウンデカアダマンチルフェノキシフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらにより、耐熱性を有する樹脂を得ることができる。
【0016】
前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらにより、溶解性、耐熱性を有する樹脂を得ることができる。
【0017】
本発明の芳香族カルボン酸として、例えば、ジカルボン酸としては、
3−(1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、4−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3,4−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)フタル酸、3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)フタル酸、等のフタル酸、
4−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、5−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、4,6−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸、等のイソフタル酸、
2−(1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2,3−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、2,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)テレフタル酸、等のテレフタル酸が挙げられ、
モノカルボン酸としては、
2−(1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、2−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、4−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3,4−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸、3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸、等の安息香酸が挙げられ、
トリカルボン酸としては、
5−(1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(n−ヘキシル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(1−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(2−アダマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(1−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(2−ジアマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(1−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(2−テトラマンチル)フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、5−(4−(4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))フェニル)−1,3−ブタジイニル)−1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、等の1,2,3−ベンゼントリカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
また、本発明の一般式(1)で表される芳香族カルボン酸において、カルボキシル基がハロゲン化カルボニル基で置換された酸ハロゲン化物としては、上記芳香族カルボン酸において、カルボキシル基に含まれるヒドロキシ基を、フッ素、塩素及び臭素などのハロゲン原子で置換した化合物である。
【0019】
本発明の一般式(1)で表される芳香族カルボン酸の製造方法としては、例えば、エチニル基を有する芳香族カルボン酸とエチニル基を有する化合物とをカップリング反応させることにより得ることができ、さらには、これをハロゲン化剤で処理することにより、その酸ハロゲン化物を得ることができる。その代表例の一つとして、前記一般式(2)で表される芳香族カルボン酸の場合、例えば、以下のルートによって合成することができる。
【0020】
【化5】

式(7)及び式(8)中、Y1は、トリメチルシリル基、ヒドロキシプロピル基、アルキル基、又は芳香族基を示し、式(2)及び式(5)中、Yは、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を示す。式(2)、式(5)、式(6)、式(7)、及び式(8)中、水素原子は、アダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。nは1〜5の整数である。mは1〜4の整数である。式(5)中のXはハロゲン原子を表す。
【0021】
上記出発原料として用いる、エチニル基を有する芳香族カルボン酸化合物(一般式(6))は、特許文献(特開2002−201158号公報、p1−p10)に記載の方法に準じて合成することができる。
【0022】
上記一般式(7)で表されるエチニル基を有する化合物において、置換基Y1としては、保護基として働く基が挙げられ、この場合、好ましくは、トリメチルシリル基及びヒドロキシプロピル基等が挙げられ、また、置換基Y1としては、アルキル基及び芳香族基が挙げられる。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらにより、溶解性を有する樹脂を得ることができる。前記芳香族基としては、フェニル基、ナフタレン基、アントラセン基及びフェナントレン基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、フェニル基が、樹脂の溶解性に優れることから、特に好ましい。
上記一般式(7)で表されるエチニル基を有する化合物で、置換基Y1がトリメチルシリル基である例としては、例えば、トリメチルシリルアセチレン等が挙げられ、置換基Y1がヒドロキシプロピル基である例としては、例えば、2−メチルー3−ブチンー2−オール等が挙げられる。
【0023】
上記一般式(7)で表されるエチニル基を有する化合物で、置換基Y1がフェニル基である例としては、例えば、エチニルベンゼン、4−(1−アダマンチル)−1−エチニルベンゼン、4−(2−アダマンチル)−1−エチニルベンゼン、4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−1−エチニルベンゼン、4−(2−(1,3−ジメチルアダマンチル))−1−エチニルベンゼン、4−(1−ジアマンチル)−1−エチニルベンゼン、4−(2−ジアマンチル)−1−エチニルベンゼン、4−(1−テトラマンチル)−1−エチニルベンゼン、4−(2−テトラマンチル)−1−エチニルベンゼン、4−(3−(1,1’−ビアダマンチル))−1−エチニルベンゼン、4−(2−(1,1’−ビアダマンチル))−1−エチニルベンゼン、4−(7−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))−1−エチニルベンゼン、及び4−(2−(1,1’−(3,5,3’,5’−テトラメチルビアダマンチル)))−1−エチニルベンゼン、等が挙げられる。
【0024】
まず、一般式(6)で表されるエチニル基を有する芳香族カルボン酸化合物と、一般式(7)で表されるエチニル基を有する化合物とを、カップリング反応させることによって、一般式(8)で表される芳香族カルボン酸化合物が得られる。前記カップリング反応においては、触媒を用いると良く、例えば、銅などの遷移金属触媒が挙げられる。
【0025】
次に、上記で得た一般式(8)で表される芳香族カルボン酸化合物において、置換基Y1が保護基として働く基である場合、脱保護剤で処理することによって、一般式(2)で表される芳香族カルボン酸化合物が得られる。一方、置換基Y1が、アルキル基、又は芳香族基である場合は、一般式(8)と一般式(2)は同一化合物である。
【0026】
次に、上記で得た一般式(2)で表される芳香族カルボン酸化合物を、ハロゲン化剤で処理することによって、一般式(5)で表される酸ハロゲン化物を得ることができる。
【0027】
以下、製造法の例について、更に具体的に説明する。
一般式(8)で表される芳香族カルボン酸化合物を得る方法としては、一般式(6)で表されるエチニル基を有する芳香族カルボン酸化合物と、一般式(7)で表されるアセチレンの片側が保護基Y1、アルキル基又は芳香族基Y1で置換された化合物とを、触媒存在下で、窒素、アルゴン及びヘリウム等の不活性ガス雰囲気中で、0〜150℃の温度範囲でカップリング反応することによって反応生成物が得られる。この時、反応時間は特に制限されない。このようにして得られた反応生成物に対して、濃縮、再沈殿等の分離操作を施すことにより、一般式(8)で表される化合物を得ることができ、これは必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、再結晶等により、精製することができる。
【0028】
一般式(7)で表されるアセチレンの片側が保護基Y1で保護された化合物としては、保護基Y1がアルカリ金属の水酸化物で脱保護できる化合物であれば、制限は無いが、保護基Y1がトリメチルシリル基であるトリメチルシリルアセチレンや、ヒドロキシプロピル基である3−メチルー1−ブチンー3−オールが好適である。
一般式(7)で表される化合物は、一般式(6)で表される化合物が有するm個のエチニル基に対して、理論上は1当量倍で十分であるが、反応を完全に進行させるために、1から20当量倍の範囲で添加量を調節すると良い。
【0029】
前記触媒系としては、通常炭素−炭素結合を形成し得る触媒系ならば、特に制限無く用いることができるが、例えば、酢酸銅(II)一水和物を用いることが望ましい。酢酸銅(II)一水和物の添加量としては、特に規定されないが、一般式(6)で表される化合物が有するm個のエチニル基に対して、1から30当量倍の間であることが好ましい。
【0030】
この反応に用いられる溶媒としては、触媒反応を促進するために、アミン系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。アミン系溶媒としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン及びトリブチルアミン等の3級アミン類、ピリジン及びピペリジン等の環状アミン類などが挙げられる。この中で、ピリジンが好ましい。アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール及びイソプロパノールなどが挙げられる。この中で、メタノールが好ましい。アミン系溶媒とアルコール系溶媒の混合比率としては、アミン系溶媒に対してアルコール系溶媒が、体積比で0.1倍から10倍の間であることが好ましい。その使用量としては特に特定されないが、上記合成に用いる原料に対して、2から50重量倍を用いることが好ましい。また、これらの溶媒は、副反応や触媒の失活等を防ぐために、あらかじめ蒸留しておくことが望ましい。
【0031】
次に、一般式(2)で表される芳香族カルボン酸化合物を得る方法としては、一般式(8)で表される化合物を溶媒中、アルカリ金属水酸化物存在下で処理することによって、置換基Y1が、トリメチルシリル基及びヒドロキシプロピル基等の保護基の場合、脱保護を行うことにより、反応生成物を得る。この時、反応温度及び反応時間は特に制限されないが、反応温度については、室温ないし溶媒の還流温度の範囲で行うと良い。得られた反応生成物を、冷却により析出した結晶を分離し、メタノール、エタノール、ブタノール及びイソプロパノール等のアルコール系溶媒で洗浄し、その後、乾燥することで、一般式(2)で表される芳香族カルボン酸化合物を得ることができる。一方、置換基Y1が、アルキル基、又は芳香族基である場合は、一般式(8)と一般式(2)は同一化合物である。
【0032】
前記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましく、添加量は、一般式(8)で表される化合物に対して3当量倍以上であり、これより多くても差し支えない。
【0033】
反応溶媒としては、アルカリ金属水酸化物と反応しうるエステル類以外であれば、特に制限はないが、アルカリ金属水酸化物の溶解性が高い、メタノール、エタノール、ブタノール及びイソプロパノール等のアルコール系溶媒が好ましい。溶媒量は特に制限されないが、操作性の問題から、一般式(8)で表される化合物に対して5から50重量倍を用いるのが良い。
【0034】
本発明の一般式(5)で表される芳香族カルボン酸の酸ハロゲン化物のうち、酸塩化物、酸臭化物及び酸フッ化物は、上記で得られた一般式(2)で表される芳香族カルボン酸を、溶媒中又は、過剰量のハロゲン化剤を溶媒として用い、0〜150℃の温度範囲で反応させた後、溶媒を留去し、得られた固形物を溶媒で洗浄し、更に再結晶させることで、得ることができる。
【0035】
前記一般式(5)で表される酸ハロゲン化物の合成におけるハロゲン化剤としては、塩素化剤として塩化チオニル等、臭素化剤として三臭化リン等、フッ素化剤としてフッ化スルホン酸等を用いるのが好ましい。ハロゲン化剤の使用量は、一般式(2)で表される芳香族カルボン酸に対して、2当量倍以上が好ましく、特に上限はなく、溶媒を用いない場合には、10当量倍以上の大過剰で用いても差し支えない。また、前記酸ハロゲン化物において、酸ヨウ化物については、酸塩化物を得た後に、ヨウ化リン等のヨウ素化剤を作用させることで得ることができる。
前記溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン及びクロロベンゼン等の塩素化溶媒が挙げられる。これらは、一般式(2)で表される芳香族カルボン酸に対して、任意の量を使用できる。
【0036】
更には前記一般式(5)で表される酸ハロゲン化物の合成の反応を促進するために、N,N−ジメチルホルムアミド及びピリジン等の塩基を添加しても良い。
また、エチニル部位での重合を抑制するために、ヒドロキノン及びヒドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を添加しても良い。
【0037】
本発明の一般式(5)で表される芳香族カルボン酸ハロゲン化物は、有機合成化学、第39巻、第4号、p.312〜p.321(1981)に記載された方法により、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシスクシンイミド又は2−ヒドロキシピリジンなどで活性エステル化して、高分子の原料として用いることができる。
【0038】
上記で得られた芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物は、ジアミン化合物及びビスアミノフェノール化合物と縮合反応させることにより、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体及びポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体などへと変換させることができる。
前記ジアミン化合物としては、ベンゼンジアミン及びナフタレンジアミンなどが挙げられ、ビスアミノフェノール化合物としては、ジヒドロキシジアミノベンゼン及びジヒドロキシジアミノビフェニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明を説明するために実施例を示すが、これによって本発明を限定するものではない。
得られた化合物は、特性評価のため、質量分析、元素分析、1H−NMR測定、及び融点測定を行った。各特性の測定条件は次のとおりとした。
【0040】
試験方法
(1)質量分析(MS):日本電子(株)製JMS−700型を用いてフィールド脱着(FD)法で測定した。
(2)元素分析:炭素及び水素はPERKIN ELMER社製2400型を用いて、塩素はフラスコ燃焼滴定法で測定した。
(3)1H−NMR測定:日本電子製JNM−GSX400型を用いて、共鳴周波数400MHzで測定した。
(4)融点測定:セイコー電子製DSC−200型示差走査熱量計(DSC)を用い、10℃/min.の昇温速度で測定した。
【0041】
(実施例1)
(1)[5−エチニルイソフタル酸の合成]
特許文献(特開2002−201158号公報、p1−p10)に記載の方法にしたがって、5−エチニルイソフタル酸を合成した。
【0042】
(2)[5−エチニルイソフタル酸から5−(4−フェニルー1,3−ブタジイニル)イソフタル酸の合成]
温度計、窒素導入管及び攪拌機を備えた4つ口の1リットルフラスコに、酢酸銅(II)一水和物89.6g(0.449mol)、ピリジン250ml及びメタノール250mlを仕込み、フラスコ中に窒素を流し、氷浴中でフラスコを冷却しながら撹拌して、懸濁液を得た。30分後、5−エチニルイソフタル酸3.90g(0.0205mol)とエチニルベンゼン5.01g(0.0491mol)を加え、氷浴中で冷却しながら6時間、さらに室温で1時間反応させた。その後、反応液を水3500mlに投入し、析出した固形物を濾取し、この固形物を50℃で減圧乾燥することにより、5.12gの5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸を得た(収率86%)。
【0043】
(3)[5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸から5−(4−フェニルー1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物の合成]
温度計、ジムロート冷却管及び攪拌機を備えた2Lの4つ口フラスコに、上記の操作を繰り返して得た5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸69.7g(0.24mol)及び1,2−ジクロロエタン400mlを仕込み、0℃に冷却した。これに、塩化チオニル391g(4.5mol)を5℃以下の雰囲気で1時間かけて滴下した。その後、ジメチルホルムアミド4ml及びヒドロキノン4gを加え、45〜50℃で3時間撹拌した。冷却後、濾過により冷却時に生じた結晶を除き、その結晶をクロロホルム150mlで洗浄した。濾液と洗浄液とをあわせて、40℃以下で減圧濃縮し、得られた残渣を、ジエチルエーテル200mlで2回抽出濾過した。抽出液からジエチルエーテルを減圧留去することで、半固体の粗生成物を得た。これを、乾燥したn−ヘキサンで洗浄し、続いて、ジエチルエーテルで再結晶することで、14.9gの5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物を得た(収率19%)。
【0044】
上記得られた5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸及び5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物のスペクトルデータを以下に示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
【0045】
[5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸(C18104)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):290(M+
元素分析:理論値 C:74.48% H:3.47%
実測値 C:74.12% H:3.14%
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6):δ7.5(m,3H),7.6(m,2H),8.2(d,2H),8.5(t,1H)
【0046】
[5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物(C188Cl22)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):326(M+
元素分析:理論値 C:66.08% H:2.46% Cl:21.67%
実測値 C:66.41% H:2.08% Cl:21.70%
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ7.4(m,3H),7.5(m,2H),8.5(d,2H),8.7(t,1H)
融点:104℃(DSC,10℃/min.)
【0047】
(実施例2)
(1)[4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェノールの合成]
温度計、ジムロート冷却管、窒素導入管、及び攪拌機を備えた2リットルフラスコに、フェノール77.4g(0.822mol)及び1−ブロモ−3,5−ジメチルアダマンタン20.0g(0.0822mol)を仕込み、フラスコ中に窒素を流し、オイルバスで140℃に温度を調節しながら30分間加熱還流した。その後、水800mLを加えて、オイルバスで10分間加熱還流することにより、2層に分離した溶液を得た。この溶液を氷浴で冷やすことにより、下層の橙色溶液を白色固体化させ、デカンテーションにより白色固体を取り出し、2%水酸化ナトリウム水溶液500mL中で2回、水500mL中で2回攪拌し、濾過することにより、7.8gの4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェノールを得た(収率37%)。
【0048】
(2)[1−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−4−トリフルオロメタンスルホニロキシベンゼンの合成]
温度計、窒素導入管、及び攪拌機を備えた4つ口の100ミリリットルフラスコに、上記で得た4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェノール4.0g(0.0157mol)及びピリジン20mLを仕込み、フラスコ中に窒素を流して、攪拌溶解した。その後、氷/メタノール浴で冷やすことにより−15℃にし、滴下ロートを用いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を滴下し、滴下終了後、室温で2時間攪拌した。反応溶液に、酢酸エチル100mL及び飽和塩化ナトリウム水溶液100mLを加えて、分液ロートに移した。酢酸エチル層を取り出し、飽和塩化ナトリウム水溶液100mLで2回洗浄した。その後、ロータリーエバポレーターにより酢酸エチルを減圧留去し、5.4gの1−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−4−トリフルオロメタンスルホニロキシベンゼンを得た(収率88%)。
【0049】
(3)[1−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−(1−ブチニル))ベンゼンの合成]
温度計、ジムロート冷却管、窒素導入管及び攪拌機を備えた4つ口の100ミリリットルフラスコに、上記で得た1−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−4−トリフルオロメタンスルホニロキシベンゼン2.0g(0.0051mol)、トリフェニルホスフィン0.4g(0.0015mol)、ヨウ化銅0.2g(0.0010mol)及び2−メチル−3−ブチン−2−オール1.1g(0.0134mol)を仕込み、フラスコ中に窒素を流した。続いて、脱水トリエチルアミン10ml及び脱水ピリジン10mlを加え、撹拌溶解した。1時間窒素を流し続けた後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.2g(0.0003mol)を素早く添加し、オイルバスで110℃に温度を調節しながら1時間加熱還流した。その後、トリエチルアミン及びピリジンを減圧留去し、粘稠な褐色溶液を得た。これを水500mlに注ぎ、析出した固形物を濾取し、さらに、水500ml、5mol/L塩酸500ml、水500mlで各2回洗浄した。この固形物を50℃で減圧乾燥することにより、1.5gの1−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−(1−ブチニル))ベンゼンを得た(収率91%)。
【0050】
(4)[4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−1−エチニルベンゼンの合成]
温度計、ジムロート冷却管及び攪拌機を備えた5Lの4つ口フラスコに、n−ブタノール3リットル及び水酸化カリウム(85%)226g(2.72mol)を仕込み、加熱還流して溶解した。これに、上記の操作を繰り返して得た1−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−(1−ブチニル))ベンゼン110.0g(0.341mol)を加えて30分間加熱還流した。これを氷浴にて冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶をエタノール1リットルで2回洗浄し、60℃で減圧乾燥することによって、81.1gの1−(4−エチニルフェニル)−3,5−ジメチルアダマンタンを得た(90%)。
【0051】
(5)[5−エチニルイソフタル酸の合成]
実施例1(1)に記載の方法に従って、5−エチニルイソフタル酸を合成した。
【0052】
(6)[5−エチニルイソフタル酸から5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)ー1,3−ブタジイニル)イソフタル酸の合成]
実施例1(2)において、エチニルベンゼン5.01g(0.0491mol)の代わりに、実施例2(4)で得た4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))−1−エチニルベンゼン12.98g(0.0491mol)を用いたこと以外は同様にして、7.98gの5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸を得た(収率86%)。
【0053】
(7)[5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸から5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物の合成]
実施例1(3)において、5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸69.7g(0.24mol)の代わりに、実施例2(6)の操作を繰り返して得た5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸108.61g(0.24mol)を用いたこと以外は同様にして、22.32gの5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物を得た(収率19%)。
【0054】
上記得られた5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸及び5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物のスペクトルデータを以下に示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
【0055】
[5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸(C30284)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):452(M+
元素分析:理論値 C:79.62% H:6.24%
実測値 C:79.12% H:6.14%
【0056】
[5−(4−(4−(1−(3,5−ジメチルアダマンチル))フェニル)−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物(C3026Cl22)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):488(M+
元素分析:理論値 C:73.62% H:5.35% Cl:14.49%
実測値 C:73.41% H:5.08% Cl:14.70%
【0057】
(実施例3)
(1)[4−エチニル安息香酸の合成]
特許文献(特開2002−201158号公報、p1−p10)に記載の方法にしたがって、4−エチニル安息香酸を合成した。
【0058】
(2)[4−エチニル安息香酸から4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸の合成]
実施例1(2)において、5−エチニルイソフタル酸3.90g(0.0205mol)の代わりに、実施例3(1)の操作を繰り返して得た4−エチニル安息香酸3.00g(0.0205mol)を用いたこと以外は同様にして、4.34gの4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸を得た(収率86%)。
【0059】
(3)[4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸から4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物の合成]
実施例1(3)において、5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸69.7g(0.24mol)の代わりに、実施例3(2)の操作を繰り返して得た4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸59.10g(0.24mol)を用いたこと以外は同様にして、4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物12.07gを得た(収率19%)。
【0060】
上記得られた4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸及び4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物のスペクトルデータを以下に示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
【0061】
[4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸(C17102)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):246(M+
元素分析:理論値 C:82.91% H:4.09%
実測値 C:82.12% H:4.14%
【0062】
[4−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物(C179Cl11)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):264(M+
元素分析:理論値 C:77.14% H:3.43% Cl:13.39%
実測値 C:77.12% H:3.14% Cl:14.39%
【0063】
(実施例4)
(1)[5−エチニルイソフタル酸の合成]
特許文献(特開2002−201158号公報、p1−p10)に記載の方法にしたがって、5−エチニルイソフタル酸を合成した。
【0064】
(2)[5−エチニルイソフタル酸から5−(5−ヒドロキシー5−メチルー1,3−ヘキサジイニル)イソフタル酸の合成]
実施例1(2)において、エチニルベンゼン5.01g(0.0491mol)の代わりに、2−メチルー3−ブチンー2−オール4.13g(0.0491mol)を用いたこと以外は同様にして、4.80gの5−(5−ヒドロキシー5−メチルー1,3−ヘキサジイニル)イソフタル酸を得た(収率86%)。
【0065】
(3)[5−(5−ヒドロキシー5−メチルー1,3−ヘキサジイニル)イソフタル酸から5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸の合成]
温度計、ジムロート冷却管、攪拌機を備えた4つ口フラスコにn−ブタノール3L、水酸化カリウム(85%)182.00g(2.76mol)を仕込み、加熱攪拌して溶解した。これに実施例4(2)の操作を繰り返して得た5−(5−ヒドロキシー5−メチルー1,3−ヘキサジイニル)イソフタル酸92.57g(0.34mol)を加えて30分間加熱還流した。これを氷浴にて冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶をエタノール1リットルで2回洗浄し、60℃で減圧乾燥することによって、固体を得た。この固体を20mLのイオン交換水に溶解し、5C濾紙にて濾過することによって不溶物を除去した。この濾液に5mol/L塩酸をpHが1になるまで攪拌しながら加えた。析出した固形物を濾取し、更にイオン交換水での洗浄、濾過を2回繰り返した。得られた固形物を50℃で減圧乾燥することにより、70.63gの5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸を得た(収率97%)。
(4)[5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸から5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物の合成]
実施例1(3)において、5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸69.7g(0.24mol)の代わりに、実施例4(3)の操作を繰り返して得た5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸51.40g(0.24mol)を用いたこと以外は同様にして、11.45gの5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物を得た(収率19%)。
【0066】
上記得られた5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸及び5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物のスペクトルデータを以下に示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
【0067】
[5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸(C1264)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):214(M+
元素分析:理論値 C:67.30% H:2.82%
実測値 C:67.12% H:2.14%
【0068】
[5−(1,3−ブタジイニル)イソフタル酸二塩化物(C124Cl22)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):250(M+
元素分析:理論値 C:57.41% H:1.61% Cl:28.24%
実測値 C:57.12% H:1.14% Cl:28.39%
【0069】
(実施例5)
(1)[3,5−ジエチニル安息香酸の合成]
特許文献(特開2002−201158号公報、p1−p10)に記載の方法を参考にして、3,5−ジエチニル安息香酸を合成した。
【0070】
(2)[3,5−ジエチニル安息香酸から3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸の合成]
実施例1(2)において、5−エチニルイソフタル酸3.90g(0.0205mol)の代わりに、実施例5(1)の操作を繰り返して得た3,5−ジエチニル安息香酸1.75g(0.0103mol)を用いたこと以外は同様にして、3.28gの3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸を得た(収率86%)。
【0071】
(3)[3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸から3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物の合成]
実施例1(3)において、5−(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)イソフタル酸69.7g(0.24mol)の代わりに、実施例5(2)の操作を繰り返して得た3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸88.90g(0.24mol)を用いたこと以外は同様にして、3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物17.73gを得た(収率19%)。
【0072】
上記得られた3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸及び3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物のスペクトルデータを以下に示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
【0073】
[3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸(C27142)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):370(M+
元素分析:理論値 C:87.55% H:3.81%
実測値 C:87.12% H:3.14%
【0074】
[3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジイニル)安息香酸一塩化物(C2713Cl11)]
外観:白色粉末
MS(FD)(m/z):389(M+
元素分析:理論値 C:83.40% H:3.37% Cl:9.12%
実測値 C:83.12% H:3.14% Cl:9.39%
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明により得られる一般式(1)で表される芳香族カルボン酸及びその酸ハロゲン化物は活性エステル化することができ、これから得られる樹脂は、誘電特性や機械特性などを向上することができることから、これらは、高分子、特に縮合系高分子の原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される芳香族カルボン酸。
【化1】

(式(1)中、Yは、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を示し、Arは芳香族基を示し、式(1)で表される芳香族カルボン酸構造中の水素原子は、アダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。nは1〜5の整数である。mは1〜4の整数である。)
【請求項2】
前記芳香族カルボン酸は、前記一般式(1)におけるYとして芳香族基を含むものである請求項1に記載の芳香族カルボン酸。
【請求項3】
前記芳香族カルボン酸は、前記芳香族基としてフェニル基を有するものである請求項1又は2に記載の芳香族カルボン酸。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の芳香族カルボン酸において、カルボキシル基がハロゲン化カルボニル基で置換された構造を有する芳香族カルボン酸の酸ハロゲン化物。

【公開番号】特開2007−56000(P2007−56000A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53837(P2006−53837)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】