説明

芳香族ポリカーボネートの連続的分解方法およびその装置

【課題】本発明の目的は、有機溶媒を使用せず、且つ、工業的に実用性の高い連続式プロセスによる芳香族ポリカーボネートの加水分解方法およびその装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、A)芳香族ポリカーボネートを反応器に供給する工程、
B)水蒸気を反応器に供給する工程、
C)反応器内で芳香族ポリカーボネートを、0.0001g/cm以上0.315g/cm未満の密度の水により加水分解させる工程、および
D)分解生成物を回収する工程、
を同時に行なうことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの連続的分解方法および分解装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に芳香族ポリカーボネートを分解、回収する方法および連続式分解装置に関する。さらに詳しくは、芳香族ポリカーボネートを、水蒸気と連続的に接触させることによって、芳香族ポリカーボネートを連続的に効率良く加水分解させると共に、分解生成物を連続的に回収する方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネートは、優れた耐熱性、機械特性、耐衝撃性、および寸法安定性等を有し、OA機器分野、自動車分野、電気・電子部品分野等の用途に広く用いられ、その需要量の伸びはエンジニアリングプラスチックの中でも特に大きくなっている。一方で、芳香族ポリカーボネートは、原料のほとんどを石油資源に依存するという側面も有している。
近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、使用済みの廃樹脂を埋立てや燃焼廃棄するのではなく、分別回収して再利用することが幅広く行われるようになってきた。しかしながら、芳香族ポリカーボネートは、製品においては種々の物質が配合された樹脂組成物として使用されることが多いこと、廃製品からの分別回収や、それら回収品の使い分けが複雑で実用的でないことなどから、大量の廃樹脂を一括して再利用するのは困難であった。
【0003】
芳香族ポリカーボネートを主成分とする廃樹脂から、芳香族ポリカーボネートを加水分解させて原料モノマーであるビスフェノール化合物を得る方法は、最初と同等の特性を有する樹脂が得られるため工業的にも極めて有益な方法である。よって、これまで多くの提案がなされてきている。
芳香族ポリカーボネートが超臨界水や亜臨界水により短時間でモノマーに分解されることは知られている(特許文献1〜3)。しかしながら、これらの方法は、超臨界水、亜臨界水を得るのに多大なエネルギーを要すること、超臨界水または亜臨界水と芳香族ポリカーボネートを接触させるためには、相対的に多くの量の水が必要であること、また超臨界、亜臨界状態に達する過程や減圧、冷却過程でも芳香族ポリカーボネートの分解が起こるため、分解反応の制御が実用上容易でないなどの問題点がある。
【0004】
また、加水分解により生成するビスフェノールAなどのビスフェノール化合物は、超臨界水、亜臨界水、および高温高圧水により更に分解されるため(非特許文献1〜4)、加水分解後に速やかに停止させるなど、モノマーを選択的に得るためには分解反応の厳密な制御が必要になってくる。
温度、圧力条件がより低い状態で超臨界または亜臨界状態に達するアルコール類の超臨界または亜臨界流体中にて芳香族ポリカーボネートがモノマーへ分解されることも知られている(特許文献4〜8)。得られたビスフェノール化合物から芳香族ポリカーボネートも再生されている(特許文献9)。また、二酸化炭素の超臨界流体中で水やアルコール類、フェノール類により分解させる方法も提案されている(特許文献10)。しかしながら、これらの方法では有機溶媒を用いることによる環境負荷、流体中にて分解反応を行なうことによる制御の困難さが課題として残る。
【0005】
モノマーへの分解を促進するため、アルカリ化合物、アミン化合物、フェノール化合物などを共存させた水中で加水分解させる方法も多く提案されている(特許文献11〜12など)。これらの方法においては、比較的温和な条件で反応を行なうことができるものの、加水分解後にモノマーであるビスフェノール化合物を純度の高い状態で得るために、分離・精製のプロセスを引き続き行う必要があるという点で工業的には課題が多い。
このように、芳香族ポリカーボネートの加水分解によるモノマーへのリサイクル方法において、超臨界状態、亜臨界状態、または高温高圧状態の各種流体中で行なう方法は種々試みられているものの、制御の容易な方法とはいえず、工業的な利用においては未だ課題が多いのが現状である。
このような課題を解決するため、芳香族ポリカーボネートを特定範囲の温度、圧力、密度を有する高温高圧水蒸気で処理する方法が提案されている(特許文献13)。この方法は、副反応が少なくビスフェノール化合物を選択的に得ることができる優れた方法である。しかし、大量の芳香族ポリカーボネートを工業的に処理するには更なる改良が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平9−501458号公報
【特許文献2】WO05/77515号公報
【特許文献3】特開2005−343840号公報
【特許文献4】特公平6−25086号公報
【特許文献5】特開2003−41049号公報
【特許文献6】特開2004−323373号公報
【特許文献7】特開2004−323374号公報
【特許文献8】特開2004−339147号公報
【特許文献9】特開2004−339340号公報
【特許文献10】WO03/35592号公報
【特許文献11】特開2003−231774号公報
【特許文献12】特開2005−8773号公報
【特許文献13】特開2008−195646号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】石油学会誌,第40巻,291頁(1997)
【非特許文献2】J.Org.Chem.,第69巻,4724頁(2004)
【非特許文献3】Green Chem.,第6巻,222頁(2004)
【非特許文献4】Polymer Degradation and Stability,第64巻,282頁(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、有機溶媒を使用せず、且つ、工業的に実用性の高い連続式プロセスによる芳香族ポリカーボネートの加水分解方法およびその装置を提供することにある。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究の結果、芳香族ポリカーボネートと水とを連続的に反応器に供給し、反応器内で両者を接触させながら加水分解させ、分解生成物を回収すると、連続的に分解が進行することを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、
A)芳香族ポリカーボネートを反応器に供給する工程(工程A)、
B)水を反応器に供給する工程(工程B)、
C)反応器内で芳香族ポリカーボネートを、0.0001g/cm以上0.315g/cm未満の密度の水により加水分解させる工程(工程C)、および
D)分解生成物を回収する工程(工程D)、
を同時に行なうことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの連続的分解方法である。
【0010】
また本発明は、芳香族ポリカーボネートを連続的に加水分解する装置であり、
a)芳香族ポリカーボネートを定量的に反応器に供給する手段、
b)水を定量的に反応器に供給する手段、
c)反応器、および
d)反応器から分解生成物を回収する手段、
を具備する分解装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超臨界状態、亜臨界状態に比べ温和な条件で芳香族ポリカーボネートを連続的に分解することができる。また本発明によれば、有機溶媒を用いることなく芳香族ポリカーボネートを連続的に分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の芳香族ポリカーボネートを連続的に加水分解する装置の具体例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の芳香族ポリカーボネートの連続的分解方法は、以下の工程A〜Dを同時に行うことを特徴とする。
工程A)芳香族ポリカーボネートを反応器に供給する工程。
工程B)水を反応器に供給する工程。
工程C)反応器内で芳香族ポリカーボネートを、0.0001g/cm以上0.315g/cm未満の密度の水により加水分解させる工程(工程C)。
工程D)分解生成物を回収する工程。
工程A〜Dは、以下の手段a〜dを具備する装置で行なうことが好ましい。
手段a)芳香族ポリカーボネートを定量的に反応器に供給する手段。
手段b)水を定量的に反応器に供給する手段。
手段c)反応器。
手段d)反応器から分解生成物を回収する手段。
【0014】
(芳香族ポリカーボネート)
以下、本発明の分解対象である芳香族ポリカーボネートについて、具体的に説明する。
芳香族ポリカーボネート(以下、単に“ポリカーボネート”と称することがある)は、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法および環状カーボネート化合物の開環重合法等を挙げることができる。
【0015】
上記2価フェノールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの中でも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特にビスフェノールA(以下“BPA”と略称することがある)が汎用されている。
【0016】
本発明では、汎用のポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネートを主対象とするが、それ以外にも、他の2価フェノールを用いて製造した特殊なポリカーボネ−トも対象となる。工業的な回収という意味においては、芳香族ポリカーボネートを構成する、ビスフェノール単位の好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上がビスフェノールAであることが好ましい。
【0017】
例えば、2価フェノールの一部または全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体または共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に用いられている。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いられたものでもよく、2種以上を適宜混合して使用されたものでもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用されたものでもよい。
これらの特殊なポリカーボネートの製法および特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報および特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
【0018】
一方、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは2価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
このような2価フェノールとカーボネート前駆体とから界面重合法によってポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、2価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。また、ポリカーボネートは3官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。ここで使用される3官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0019】
また、芳香族ポリカーボネートは、芳香族もしくは脂肪族(脂環族を含む)の2官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート、2官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート並びにかかる2官能性カルボン酸および2官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また、得られたポリカーボネートの2種以上をブレンドした混合物でも差し支えない。
ここで用いる脂肪族の2官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の2官能性のカルボン酸としては、例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。2官能性アルコールとしては、脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が例示される。
【0020】
さらに、本発明では、ポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
芳香族ポリカーボネートは、上述した2価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等の各種ポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。さらに、製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネート等を2種以上混合したものも対象となる。
界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献および特許公報などで良く知られている方法である。
【0021】
芳香族ポリカーボネートの分子量(M)は特に限定されないが、分解の容易性から、実施例記載の方法で測定した分子量(M)が、20,000〜60,000の範囲が好ましい。
芳香族ポリカーボネートの利用形態、入手形態については特に制約はないが、製品としてのペレット状、シート・フィルム状の芳香族ポリカーボネートだけでなく、目的の製品を製造するための加工工程により形成された樹脂成形品から回収された樹脂が主対象になり、例えば使用済みの製品から分別回収された樹脂成形品、製品製造時に不良品として発生したものから分別回収された樹脂成形品、並びに成形加工時に生じるスプルー・ランナーなどの不要部分などからなる樹脂成形品が代表的に例示される。
前記使用済みの製品としては、防音壁、ガラス窓、透光屋根材、および自動車サンルーフなどに代表される各種グレージング材、風防や自動車ヘッドランプレンズなどの透明部材、水ボトルなどの容器、並びに光記録媒体などが好ましく挙げられる。これらは多量の添加剤や他樹脂などを含むことがなく、目的の品質が安定して得られやすい。殊に透明なポリカーボネート樹脂成形品表面にハードコート被膜が積層されてなる成形品が好ましい態様として例示される。かかる成形品は良好な透明性を有しながら、ハードコート剤の影響で着色する場合が多いためである。かかる成形品の具体例としては、各種グレージング材、風防や自動車ヘッドランプレンズなどの透明部材が例示される。
【0022】
またこれら芳香族ポリカーボネートは、前記の不要となった樹脂成形品の粉砕物、および粉砕物を再溶融押出して製造されたペレットのいずれも使用できる。さらに樹脂成形品が印刷塗膜、シール、ラベル、化粧塗装膜、導電塗装、導電メッキ、金属蒸着などが施されている場合には、かかる部分を除去した粉砕物(除去後の粉砕、粉砕後の除去のいずれであってもよい)、並びに該粉砕物を再溶融押出して製造されたペレットのいずれも使用可能である。前記印刷塗膜などを含む場合には、これらと生成したモノマーを分離する必要が生じることから、印刷塗膜など除去することが本発明において好適である。かかる印刷塗膜やメッキなどを除去する方法としては、2本のロール間で圧延する方法、加熱・加圧水、各種溶剤、酸・アルカリ水溶液などに接触させる方法、かかる除去部分を機械的に削り取る方法、超音波を照射する方法、およびブラスト処理する方法などを挙げることができ、これらを組み合わせて使用することも可能である。
【0023】
一方、透明なポリカーボネート樹脂成形品表面にハードコート被膜が積層されてなる成形品においては、粉砕物をそのまま配合することがより効率的であり、環境負荷の低減に貢献する。粉砕物は公知の粉砕機を用いて樹脂成形品を粉砕することにより製造することができる。
また芳香族ポリカーボネートは、各種添加剤、配合剤などが混練された樹脂組成物であっても構わない。これらは、電気電子機器、OA機器、家電機器、カメラなどの精密機器、自動車、雑貨などにおいて筐体、シャーシなどの構造材料や内部部品として使用されている。
【0024】
ここでいう添加剤、配合剤の代表的な例としては、弾性重合体からなる衝撃改良剤、無機充填材(タルクやマイカなど)、繊維状補強材(ガラス繊維や炭素繊維など)、難燃剤(ハロゲン系化合物、リン系化合物、シリコーン系化合物など)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系など)、光安定剤(HALSなど)、離型剤(飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、フッ素化合物、パラフィンワックス、蜜蝋など)、流動改質剤(ポリカプロラクトンなど)、着色剤(カーボンブラック、二酸チタン、各種の有機染料、メタリック顔料など)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、並びにフォトクロミック剤紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0025】
また、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、並びにフェノキシまたはエポキシ樹脂など)などを配合したものでも構わない。
芳香族ポリカーボネートが、他の成分と共に樹脂組成物中に存在する場合、芳香族ポリカーボネートの分解効率やビスフェノール化合物回収の点から、芳香族ポリカーボネートの含有率は一定値以上であることが好ましい。即ち、樹脂組成物中の芳香族ポリカーボネートの含有率は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。
【0026】
(工程A:芳香族ポリカーボネートの供給)
芳香族ポリカーボネートは、手段aにより反応器に供給される。手段aにおいて、反応器に供給される芳香族ポリカーボネートは、固体状態であっても溶融状態であってもよい。
芳香族ポリカーボネートを固体状で反応器に供給する手段aとしては、水に芳香族ポリカーボネート微粉を懸濁させたスラリーをスラリーポンプで定量的に送液する方法が挙げられる。また、かかるスラリーがペースト状の高粘性スラリーとなる場合には、モノーポンプによる定量供給も可能となる。
芳香族ポリカーボネートを溶融状態で反応器に供給する手段aとしては、あらかじめヒーターで予備加熱、溶融させた芳香族ポリカーボネートをシリンジポンプなどにより定量的に送液する方法、押出機など樹脂の溶融可塑化装置から吐出される溶融樹脂をそのまま反応器に供給する方法などが挙げられる。
【0027】
手段aとしては、工業的簡便さ、および芳香族ポリカーボネートの定量供給性の観点から、図1に示す押出機(1)とギアポンプ(2)の組合せが特に好ましく挙げられる。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機などの多軸押出機などを挙げることができる。
押出機(1)に供給する芳香族ポリカーボネートの形状に特に制約はなく、ペレット状、フレーク状、粉砕された粒状、粉状などのいずれの状態のものも使用できる。押出機(1)で混練することにより溶融された芳香族ポリカーボネートを反応器に供給することが好ましい。
反応器に供給される芳香族ポリカーボネートの圧力は、好ましくは0.1〜23MPa、より好ましくは0.5〜20MPa、さらに好ましくは1〜18MPaである。また温度は、好ましくは270〜374℃、より好ましくは280〜360℃、さらに好ましくは290〜355℃である。
手段aによる芳香族ポリカーボネートの供給量は、手段bによる水の供給量とは独立に制御可能であることが好ましい。
【0028】
(工程B:水の供給)
水は、手段bにより反応器に供給される。水は反応器中で高温高圧の水蒸気として存在させる必要があるが、反応器へ供給する段階では、水は気相状態であっても液相状態であっても構わない。
手段bとしては、高温高圧水蒸気をあらかじめ製造しておき、これをインテンシファイアーポンプやシリンジポンプで昇圧して反応器に供給する方法、インテンシファイアーポンプやシリンジポンプで液相の水を加熱器に高圧で送液し、加熱器を通過させる際に気相状態として、反応器に供給する方法、などが挙げられる。
中でも反応器への水の定量供給性の観点からは、常圧液相の水を定量ポンプにてプレヒーターに送液して予備加熱すると共に、その温度における飽和水蒸気圧以上に加圧することによって高圧液相の水を得、かかる高圧液相の水を反応器へ導入する際に圧力の一部を開放させて飽和水蒸気圧未満の圧力とすることによって、反応器中で高温高圧水蒸気として水を存在させる方法が手段bとして特に好ましい。かかる手段bを実現する装置の一例として、図1に示す純水タンク(6)、デガッサ(7)、ポンプ(8)、プレヒーター(9)、背圧弁(11)、バルブ(12)からなる装置構成が特に好ましく例示される。ここで、反応器に供給される水の初期圧力は、背圧弁(11)によって、バルブ(13−3)を閉じた状態でポンプ(8)にてプレヒーター(9)へ送液予備加熱された水の飽和水蒸気以上に制御される。
【0029】
ポンプ(8)としては、液体を定量的に供給できる機構を備えたポンプであれば特に制限は無く、具体的にはプランジャーポンプ、メンブレンポンプ、シリンジポンプなどが挙げられる。プレヒーター(9)で水は、270〜374℃、好ましくは280〜370℃、さらに好ましくは290〜365℃の温度まで昇温する。
手段bの水の供給量は、手段aの芳香族ポリカーボネートの供給量とは、独立に制御可能であることが好ましい。手段bにおける水の供給量は、芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜45重量部、さらに好ましくは4〜40重量部である。
【0030】
(工程C:加水分解)
工程Cは、反応器c内で芳香族ポリカーボネートを加水分解させる工程である。
反応器cにおいては、各々独立、定量的に供給された芳香族ポリカーボネートと高温高圧の水蒸気とが接触することによって加水分解反応が進行する。かかる接触方式には特に制限は無く、芳香族ポリカーボネートと水とを対向流として接触させる交流接触方式、押出機内部で溶融された芳香族ポリカーボネート中に高温高圧水蒸気を導入して溶解させるなど、両者を同じ方向に流しながら接触させる並流接触方式のいずれをも採用することができる。
並流接触方式を実施する簡便な方法として、図1に例示される通り、各々独立に定量供給される芳香族ポリカーボネートと水との流路配管をTユニオンなどを用いて合流させた後に、反応器cへと導入する方法が挙げられる。
【0031】
反応器にて加水分解反応が連続的に行われている定常状態においては、反応器中の高温高圧水蒸気の圧力は、装置の水配管に設置された圧力調整機構よって制御される。圧力調整機構としては、背圧弁、リリーフ弁、各種バルブ類が例示される。図1は、かかる装置構成の好適な一例であり、ニードルバルブ(14)によって反応器内の圧力は定常的に一定に保持される。
反応器中における水の状態は、温度(T)が270℃以上374℃未満であって、且つその圧力(P)が下記式(1)を満たしていることが好ましい。
≦P<P(T) (1)
(Pは標準大気圧、P(T)は温度Tにおける飽和水蒸気圧)
水の温度、圧力が上記条件を満たさない場合には、水は高圧熱水、亜臨界水、超臨界水のような状態となり、かかる場合には反応後の条件変化の制御や副反応の制御など、反応制御が容易でないため実用上好ましくない。
反応器中における水の密度は、0.315g/cm未満であることが必要であるが、0.315g/cmは水の臨界密度であり、これは即ち水が液相ではなく気相であることを表している。反応器中における水の密度は、0.0001g/cm以上0.315g/cm未満であるが、加水分解反応を制御するためには、0.01〜0.15g/cmであることが好ましい。
【0032】
反応器cは温度と圧力が制御できる容器であれば特に制限はないが、温度と圧力が容易に変更できること、酸性またはアルカリ性化合物の副生によっても腐食等が起こりにくい材質であることが望ましい。また芳香族ポリカーボネートと水蒸気との接触時間を増すことが加水分解反応の促進に好ましく、図1に示すような管状の反応器であることが好ましい。
加水分解反応時にビスフェノール化合物を存在させると、ビスフェノール化合物が芳香族ポリカーボネートに対して一種の可塑剤として作用して、芳香族ポリカーボネートの分解を促進する。よって、加水分解の開始時にビスフェノール化合物を存在させることが好ましい。
反応時間は長すぎると副反応が起こる。副反応を抑制してビスフェノール化合物を選択的に得るためには、芳香族ポリカーボネートの好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%が分解するまで行う。
【0033】
(工程D:分解生成物の回収)
工程Dは、手段dにより分解生成物を回収する工程である。
反応器cの後段では、芳香族ポリカーボネートはビスフェノール化合物を含む分解生成物流体となっており、手段dに含まれる反応器内の圧力を調節する機構によって大気圧に開放される。
手段dとして、手段dに含まれる圧力調整機構の前に、高温高圧状態でも使用可能な回収槽を設置し、ビスフェノール化合物の沸点以下の温度に設定することによって、ビスフェノール化合物を含む分解生成物を溶融もしくは固体状態でその他副生物から分離、回収する方法が好ましく例示される。また、回収槽の代わりにフィルターを設置することによっても、同様の分離、回収が可能となる。この場合、手段dに含まれる圧力調整機構の前に、かかる回収槽ないしフィルターを2個以上設置して、随時切替えながら使用することで、ビスフェノール化合物を含む分解生成物の分離、回収を連続的に行うことが可能となる。
さらに、図1に示すとおり、手段dに含まれる圧力調整機構によって分解生成物流体が大気圧に開放された後に、これを回収槽内に流出させる方法は、未反応の水と副生物である二酸化炭素から簡便にビスフェノール化合物を含む分解生成物を分離、回収できる方法として特に好ましい。この際、バグフィルターなど固体を捕集する手段を併用することは、固体状のビスフェノール化合物を含む分解生成物の分離、回収効率を高める簡便な方法である。
【0034】
手段dの圧力調節機構としては、各種バルブ類が挙げられる。特に、図1に示すニードルバルブ(13)をかかる圧力調整機構として用いることは、分解反応生成物を連続的に大気圧に開放しつつ、反応器c内の圧力をその開度で精度良く制御することも同時に可能となるため特に好ましい。
手段dの圧力調整機構としてキャピラリー管を利用することもできる。キャピラリー管を分解生成物流体が通過する際に受ける圧力損失分の圧力が開放されることによって、反応器c内の圧力を定常的に保持しつつ、分解生成物を連続的に回収することが可能となる。この場合、反応器c内の圧力は、キャピラリー管の圧力損失の大きさ、即ちキャピラリー管の内径によって制御される。かかるキャピラリー管の内径としては、0.02〜0.5mm程度が適切である。
【0035】
分解生成物は、芳香族ポリカーボネートの原料であるビスフェノール化合物、そのオリゴマーなどの低分子量物である。本発明により得られた分解生成物を用い通常の方法で芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
よって、本発明は、本発明により得られた分解生成物を原料とする芳香族ポリカーボネートを包含する。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
(1)分解装置
図1に示す構成の連続式分解装置を使用した。
(2)芳香族ポリカーボネート試料
芳香族ポリカーボネート試料としては、120℃にて24時間熱風乾燥機中で予備乾燥させたパンライトAD−5503(帝人化成(株)製)ペレットを用いた(分子量(M)=29400)
(3)分子量測定
日本分光(株)製HPLC測定装置LC−2000 Plusシリーズ(検出器:UV−2070、日本分光(株)製)、カラムとして昭和電工(株)製KF−801とKF−803とを使用し、移動相としてテトラヒドロフラン、かかるテトラヒドロフラン100g当り0.5gの試料を溶解した溶液20μlを測定試料として、カラム温度40℃および流量1ml/分の条件にてGPC測定を実施した。
(i)分子量(M):実施例および比較例で得られた芳香族ポリカーボネート分解物の分子量分布曲線のピークトップの分子量を、ポリスチレン換算で求めた。
(ii)分子量低下(ΔM):未反応の芳香族ポリカーボネート試料のポリスチレン換算分子量をMとして、下記式で表される。
ΔM=M−M
【0038】
<実施例1>
[水供給部の準備]
水供給部が反応器3から切断されている状態(ストップバルブ13−3閉、ストップバルブ13−4開、ストップバルブ13−5閉)にてポンプ8を起動し、純水タンク6からの純水をデガッサ7を経由してストップバルブ13−3までの流路に流量0.4cm/minにて供給し、反応開始圧20MPaまで昇圧した。かかる水供給部の圧力は背圧弁11にて調整される。引き続き、水供給部プレヒーター9の温度を熱電対T12でモニターしながら反応温度300℃まで昇温させると共に、チラー10による背圧弁流入水の冷却を開始、水供給部の温度、圧力をそれぞれ熱電対T13、圧力計P3をモニターしながら定常状態とした。
【0039】
[芳香族ポリカーボネート供給部および反応部の準備]
芳香族ポリカーボネート供給部が反応器3から切断されている状態(ストップバルブ13−2閉、ストップバルブ13−1開)にて、押出機1のシリンダーおよびギアポンプ2を300℃まで昇温した。昇温完了後、ギアポンプ2の運転を開始、続いて押出機1のホッパーに芳香族ポリカーボネート試料を投入し、押出機運転を開始、9.5g/minの流量で定常状態となるまで、ストップバルブ13−1から溶融芳香族ポリカーボネートを吐出させた。反応器3が反応温度に昇温されていることを熱電対T10で確認した後、流路を切換え(ストップバルブ13−2開、ストップバルブ13−1閉、ニードルバルブ14開)、溶融芳香族ポリカーボネートを反応器3に導入し、熱電対T11の温度をモニターしながら定常状態とした。
【0040】
[反応開始]
水供給部、芳香族ポリカーボネート供給部および反応部が各々定常状態となった後、水の流路を切換えて(ストップバルブ13−3開)反応器3に導入した。反応物が回収容器15に吐出されるのを確認した後に、ニードルバルブ14の開度を変更し、反応器内圧力を8.0MPaとなるよう調整し、定常状態とした。尚、反応温度は熱電対T11の計測値、また反応圧力は圧力計P3の計測値とした。
【0041】
[反応物採取および分析]
反応温度、圧力が定常状態となった後、回収容器15内に吐出された芳香族ポリカーボネート分解物を採取した。得られた芳香族ポリカーボネート分解物の標準ポリスチレン換算分子量Mは23,700、未反応芳香族ポリカーボネートからの分子量低下ΔMは5,700であった。
【0042】
<実施例2〜4>
水供給部プレヒーター9および反応器3を反応温度350℃まで昇温させ、反応器内圧力を表1記載の圧力となるよう調整した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0043】
<実施例5〜6>
水供給量を0.8cm/minとし、水供給部プレヒーター9および反応器3を350℃まで昇温させ、反応器内圧力を表1記載の圧力となるよう調整した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0044】
<比較例1>
反応開始時のニードルバルブ14の開度を、反応圧力9.0MPaとなるように調整した以外は実施例1と同様に実施した。かかる条件では、(反応器内の水の凝縮による体積収縮により、)ストップバルブ13−3を通して溶融芳香族ポリカーボネートが水供給部に流入し、定常的に装置の運転を継続することができなかった。結果を表1に示す。
【0045】
<比較例2>
反応開始時のニードルバルブ14の開度を、反応圧力17.0MPaとなるように調整した以外は実施例2〜4と同様に実施した。かかる条件では、(反応器内の水の凝縮による体積収縮により、)ストップバルブ13−3を通して溶融芳香族ポリカーボネートが水供給部に流入し、定常的に装置の運転を継続することができなかった。結果を表1に示す。
【0046】
<比較例3>
反応開始時のニードルバルブ14の開度を、反応圧力17.0MPaとなるように調整した以外は実施例5〜6と同様に実施した。かかる条件では、(反応器内の水の凝縮による体積収縮により、)ストップバルブ13−3を通して溶融芳香族ポリカーボネートが水供給部に流入し、定常的に装置の運転を継続することができなかった。結果を表1に示す。
なお、上記機器については、下記のものを使用した。
押出機1:単軸押出機;ユニオン・プラスチックス(株)製UEV型20耗20103
ギアポンプ2:川崎重工業(株)製、KHP−1H
反応器3:マントルヒーターで保温された、内径4.57mm、長さ3mのSUS316管
デガッサ7:ラボコーテック製、GT−104
ポンプ8:日本精密科学製、NP−CX−20
チラー10:柴田科学製、C−305
背圧弁11:TESCOM製、26−1762−24
ストップバルブ13−1〜5:Swagelok製、SS−3NBS4−G
【0047】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、芳香族ポリカーボネートのリサイクル産業に利用することができる。また本発明により得られる分解性生物は、芳香族ポリカーボネートの原料に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1.単軸押出機
2.ギアポンプ
3.反応器
4.マントルヒーター
5.リボンヒーター
6.純水タンク
7.デガッサ
8.ポンプ
9.プレヒーター
10.チラー
11.背圧弁
12.リリーフバルブ
13−1〜5.ストップバルブ
14.ニードルバルブ
15.回収容器
P2、P3:圧力計
T9〜T13:熱電対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)芳香族ポリカーボネートを反応器に供給する工程(工程A)、
B)水を反応器に供給する工程(工程B)、
C)反応器内で芳香族ポリカーボネートを、0.0001g/cm以上0.315g/cm未満の密度の水により加水分解させる工程(工程C)、および
D)分解生成物を回収する工程(工程D)、
を同時に行なうことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの連続的分解方法。
【請求項2】
工程Cにおける水の状態が、温度(T)が270℃以上374℃未満であって、且つその圧力(P)が下記式(1)を満たす請求項1記載の分解方法。
≦P<P(T) (1)
(Pは標準大気圧、P(T)は温度Tにおける飽和水蒸気圧)
【請求項3】
工程Cにおける水の密度が、0.01〜0.15g/cmである請求項1または2に記載の分解方法。
【請求項4】
工程Bにおける水の供給量が、芳香族ポリカーボネート100重量部に対し1〜50重量部である請求項1〜3のいずれか一項に記載の分解方法。
【請求項5】
工程Aにおける芳香族ポリカーボネートが溶融状態である請求項1〜4のいずれか一項に記載の分解方法。
【請求項6】
芳香族ポリカーボネートは、50モル%以上のビスフェノールA由来の繰り返し単位を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の分解方法。
【請求項7】
30重量%以上の芳香族ポリカーボネートを含有する樹脂組成物を反応器に供給する請求項1〜6のいずれか一項に記載の分解方法。
【請求項8】
加水分解の開始時に反応器内にビスフェノール化合物を存在させる請求項1〜7のいずれか一項に記載の分解方法。
【請求項9】
芳香族ポリカーボネートを連続的に加水分解する装置であり、
a)芳香族ポリカーボネートを定量的に反応器に供給する手段、
b)水を定量的に反応器に供給する手段、
c)反応器、および
d)反応器から分解生成物を回収する手段、
を具備する分解装置。
【請求項10】
芳香族ポリカーボネートの供給量および水の供給量が各々独立に制御可能である請求項9記載の分解装置。
【請求項11】
a)芳香族ポリカーボネートを反応器に定量的に供給する手段が、押出機とギアポンプの組合せからなる請求項9または10記載の分解装置。
【請求項12】
d)反応器から分解生成物を回収する手段が、反応器内の圧力を調節する機構を備える請求項9〜11のいずれか一項に記載の分解装置。


【図1】
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【公開番号】特開2011−219626(P2011−219626A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90355(P2010−90355)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000215888)帝人化成株式会社 (504)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】