説明

芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる方法

【課題】 芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】 xylN遺伝子を微生物に導入し、発現させることにより芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる方法に関する。この方法により膜透過性を向上させた微生物は、芳香族化合物の分解、芳香族化合物を原料とする有用化合物の生産、芳香族化合物の検出などの用途に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】微生物によって芳香族化合物から有用物質を生産すること(バイオコンバージョン)や微生物によって芳香族化合物で汚染された環境を浄化すること(バイオレメディエーション)は従来から数多く行われてきた。例えば、バイオコンバージョンについては、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)によりイソオイゲノールからバニリンを生産する方法(Shimoni et al., J.Bacteriol. 2000 78(1):1-9)、メチロシナス・トリコスポリウム(Methylosinus trichosporium)によりトルエンから安息香酸とp-クレゾールを生産する方法(「バイオテクノロジー等による石油留分等からのファインケミカルズの創出調査」報告書、1990.3石油産業活性センター)などが知られており、バイオレメディエーションについては、シュードモナス(Pseudomonas sp.)によりベンゼン、トルエンを分解する方法(Chang et al. Chemosphere. 1997 35(12):2807-15)、ラルストニア・エウトロファ(Ralstonia eutropha)により2,4,6-トリクロロフェノールを分解する方法(Padilla et al. J Basic Microbiol. 2000;40(4):243-9)などが知られている。
【0003】また、遺伝子の中には、芳香族化合物の存在によって発現が誘導されるものがある。例えば、TOLプラスミドのupper operonに含まれる遺伝子群は、芳香族化合物の存在により発現が誘導される。このような遺伝子をマーカー遺伝子とつなげ融合遺伝子とすることにより、その遺伝子を持つ微生物を芳香族化合物検出のためのバイオセンサーとして利用できると考えられる。
【0004】以上のバイオコンバージョン、バイオレメディエーション、バイオセンサーは、すべて芳香族化合物が微生物細胞内に取り込まれることにより、その目的が達成される。しかし、微生物の細胞表層には芳香族化合物の取り込みを妨げる様々な障壁が存在し、必ずしも意図したとおりの取り込みが行われるわけではない。特にグラム陰性細菌では、細胞表層における多糖類や外膜が芳香族化合物の透過を妨げ、芳香族化合物の効率的な取り込みが行われない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】微生物内への芳香族化合物の取り込みが効率的に行われないと、低濃度の芳香族化合物の分解、検出は難しい。芳香族化合物の微生物細胞内への透過性を向上させる技術があれば、このような問題は解決できるが、過去にそのような技術は存在しなかった。
【0006】本発明は、以上のような技術的背景のもとになされたものであり、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる手段を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)の持つTOLプラスミド上にコードされるxylN遺伝子産物の機能解析を行い、このタンパク質が外膜に局在する膜タンパク質であり、芳香族化合物の膜透過性を向上させる機能を持つことを見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明の第一は、以下の(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子を微生物に導入し、発現させることにより芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる方法である。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(c)配列番号1記載の塩基配列により表されるDNA又はそれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードする細菌由来のタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(d)CumHタンパク質、CymDタンパク質、TodXタンパク質、IpbHタンパク質、PorAタンパク質、PhlXタンパク質、又はTbuXタンパク質また、本発明の第二は、上記(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している芳香族化合物に対する膜透過性が向上している微生物である。
【0009】本発明の第三は、芳香族化合物分解能を有する微生物を、芳香族化合物で汚染された環境中で培養することにより環境中の芳香族化合物を分解する方法であって、微生物が上記(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している微生物であることを特徴とする芳香族化合物の分解方法である。
【0010】本発明の第四は、芳香族化合物を有用化合物に変換する能力を有する微生物を、芳香族化合物を含む培地で培養し、培地中から有用化合物を採取することにより有用化合物を生産する方法であって、微生物が上記(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している微生物であることを特徴とする有用化合物の生産方法である。
【0011】本発明の第五は、芳香族化合物により特定の遺伝子を発現させる機構を持つ微生物を、被検試料と接触させ、該遺伝子が発現するかどうかにより被検試料中の芳香族化合物を検出する方法であって、微生物が上記(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している微生物であることを特徴とする芳香族化合物の検出方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明は、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質に関するものである。このようなタンパク質としては、以下の(a)〜(d)のタンパク質を例示することができる。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(c)配列番号1記載の塩基配列により表されるDNA又はそれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードする細菌由来のタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(d)CumHタンパク質、CymDタンパク質、TodXタンパク質、IpbHタンパク質、PorAタンパク質、PhlXタンパク質、又はTbuXタンパク質(a)のタンパク質は、シュードモナス・プチダが持つTOLプラスミドのupper operonに含まれるxylN遺伝子がコードするタンパク質(XylN)である。このタンパク質は、以下の理由から芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有すると考えられる。
1)xylN遺伝子が破壊された菌株は、低濃度の芳香族化合物を効率的に資化できなくなる(実施例3)。
2)XylNは、外膜に局在する膜タンパク質である(実施例4)。
3)xylN遺伝子は、芳香族化合物分解酵素をコードする一群の遺伝子(xylC、xylM、xylA、xylB)とオペロンを形成している(S.Harayama et al., J.Bacteriol1989 Sep; 171(9):5048-5055)。
【0014】(b)のタンパク質は、(a)のタンパク質に、膜透過性向上機能を失わせない程度の変異が導入されたタンパク質である。このような変異は、自然界において生じる変異のほかに、人為的な変異をも含む。人為的変異を生じさせる手段としては、部位特異的変異誘発法(Nucleic Acids Res. 10, 6487-6500, 1982)などを挙げることができるが、これに限定されるわけではない。変異したアミノ酸の数は、膜透過性向上機能を失わせない限り、その個数は制限されないが、通常は、30アミノ酸以内であり、好ましくは20アミノ酸以内であり、更に好ましくは10アミノ酸以内であり、最も好ましくは5アミノ酸以内である。あるタンパク質が芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を持つかどうかは、放射性同位元素によりラベルした芳香族化合物の細胞内への取り込み量を測定することにより判断することができる。
【0015】(c)のタンパク質は、DNA同士のハイブリダイゼーションを利用することにより得られる細菌由来の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質である。(c)のタンパク質における「ストリンジェントな条件」とは、特異的なハイブリダイゼーションのみが起き、非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。このような条件は、通常、「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度であり、好ましくは「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度であり、更に好ましくは「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」程度である。ハイブリダイゼーションにより得られるDNAは、配列番号1記載の塩基配列により表されるDNAと通常高い相同性を有する。高い相同性とは、60%以上の相同性、好ましくは75%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性を指す。
【0016】(d)のタンパク質は、下表に示すタンパク質である。
【0017】
【表1】


これらのタンパク質をコードする遺伝子は、xylN遺伝子と同様に芳香族化合物を分解する細菌の分解系遺伝子オペロンに含まれるものである。また、これらのタンパク質は、そのアミノ酸配列から外膜に局在すると推測されている。さらに、これらのタンパク質は、上表に示すように、XylNと一定の相同性を示す。以上の理由からこれらのタンパク質はXylNと同様に芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有すると推定される。なお、TbuXについては、実験的にトルエンの細胞内への輸送に関与する可能性が示唆されている(Kahng et al.2000 182(5):1232-1242)。
【0018】上述のタンパク質をコードする遺伝子を微生物に導入し、発現させることにより、その微生物の芳香族化合物に対する膜透過性を向上させることができる。遺伝子を微生物に導入し、発現させる方法は、常法に従って行うことができる。例えば、目的の遺伝子を適当な発現ベクターに挿入し、それを接合伝達法、電気パルス法などにより微生物に導入すればよい。使用する発現ベクターとしては、RSF1010、pMMB24、pMMB22を使用することができる。遺伝子の導入対象とする微生物は特に限定されないが、芳香族化合物の取込能力の低いグラム陰性菌を対象とするのが好ましい。具体的には、エッシェリキア(Escherichia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物を導入対象とするのが好ましい。
【0019】芳香族化合物に対する膜透過性を向上させた微生物は、例えば、1)芳香族化合物の分解方法、2)有用化合物の生産方法、3)芳香族化合物の検出方法、などに利用することができる。以下、これらについて説明する。
1)芳香族化合物の分解方法芳香族化合物分解能を有する微生物を、芳香族化合物で汚染された環境中で培養することにより、環境中の芳香族化合物を分解することができるが、この際、微生物として芳香族化合物に対する膜透過性を向上させた微生物を用いれば、芳香族化合物の分解を効率的に行うことが可能になる。
【0020】芳香族化合物分解能を有する微生物としては、例えば、下表に示すような微生物を挙げることができる。
【0021】
【表2】


また、上記微生物のほかに、これらの微生物が持つ酵素をコードする遺伝子を導入し、発現させた微生物も使用することができる。
2)有用化合物の生産方法芳香族化合物を有用化合物に変換する能力を有する微生物を、芳香族化合物を含む培地で培養し、培地中から有用化合物を採取することにより、有用化合物を生産することができるが、この際、微生物として芳香族化合物に対する膜透過性を向上させた微生物を用いれば有用化合物の生産を効率的に行うことが可能になる。
【0022】
【表3】


また、上記微生物のほかに、これらの微生物が持つ酵素をコードする遺伝子を導入し、発現させた微生物も使用することができる。
3)芳香族化合物の検出方法芳香族化合物により特定の遺伝子を発現させる機構を持つ微生物を、被検試料と接触させ、該遺伝子が発現するかどうかにより、被検試料中の芳香族化合物を検出することができるが、この際、微生物として芳香族化合物に対する膜透過性を向上させた微生物を用いれば、より低濃度の芳香族化合物についても検出することが可能になる。
【0023】芳香族化合物により特定の遺伝子を発現させる機構としては、例えば、下表に示すものを挙げることができる。
【0024】
【表4】


上述した機構を持つ微生物、あるいはそのような機構を人為的に導入した微生物を、被検試料と接触させ、該遺伝子が発現するかどうかにより、被検試料中の芳香族化合物を検出することができる。ここで、検出の指標とする遺伝子は、マーカー遺伝子か、又はマーカー遺伝子との融合遺伝子であることが好ましい。マーカー遺伝子としては、GFP遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、CAT遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などを例示することができる。
【0025】
【実施例】〔実施例1〕 xylN遺伝子破壊株の作製シュードモナス・プチダの持つTOLプラスミドpWW0に含まれるupper operonの下流部分がサブクローニングされたプラスミドpFC121よりxylN構造遺伝子を含むPvuII-ClaI断片(2.8 kb)を抽出した。酵素処理により末端を平滑化した後に、pHSG398のSmaI部位に挿入してプラスミドpXN960を得た。さらにpXN960のxylN中のDraII部位にカナマイシン耐性GeneBlockを挿入し変異導入用プラスミドpXN961を得た。
【0026】シュードモナス・プチダでは形質転換等の一般的な遺伝子操作の効率が悪いことよりTOLプラスミドへの変異導入はすべて大腸菌内(Escherichia coli)で行った。まずTOLプラスミド(pWW0-161)を有するシュードモナス・プチダKT2440より接合伝達体法によりpWW0-161をE. coli JM110に導入した。その際の接合伝達体の選択はストレプトマイシン耐性、アンピシリン耐性、栄養要求性を指標として行い、最終的にはカテコール2,3酸素添加活性を検出することにより確認した。次に接合伝達体E. coli JM110(pWW0-161)を変異導入用プラスミドpXN961で形質転換し、カナマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性となった形質転換体を得た。この形質転換体JM110(pWW0-161, pXN961)をカナマイシン(0.05mg/ml)を含むLB培地で48時間培養後、pWW0-161のxylN遺伝子内でdouble crossoverを起こした相同組換体JM110(pWW0-161 xylN::Km)をクロラムフェニコール感受性を指標として選択した。次に相同組換体よりシュードモナス・プチダ Paw94にpWW0(xylN::Km)を接合伝達した。接合伝達体の選択はカナマイシン耐性及びm-トルイル酸の資化能を指標として行った。次に得られた伝達体のTOLプラスミドがxylN::Km変異を有することをPCRにより確認した。野生株DNAを鋳型とした場合には289bp、接合伝達体DNAを鋳型とした場合には1,571bpの断片が増幅されてきたことにより目的のxylN::Km変異の導入が確認された。
〔実施例2〕xylN遺伝子産物の局在解析シュードモナス・プチダ野生株とxylN遺伝子破壊株を芳香族化合物(m-キシレン)存在下で生育させ、upper operonに含まれる遺伝子の発現を誘導した後、細胞を破壊した。ショ糖密度勾配遠心で外膜画分を回収した後、10% SDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析し、野生株にのみ見られる47kDのバンドを検出した。このバンドを回収しアミノ酸配列をプロテインシーケンサーを用いて解析し、xylN遺伝子産物であることを確認した。
〔実施例3〕xylN遺伝子機能の解析シュードモナス・プチダ野生株とxylN遺伝子破壊株を芳香族化合物(m-キシレン)存在下で生育させ、upper operonに含まれる遺伝子の発現を誘導した後、細胞を回収し50 mMリン酸バッファーにけん濁した。細胞内に残存する炭素源を枯渇させるため30℃で、5時間振とう培養を行った後、芳香族化合物を添加し、低濃度の芳香族化合物が存在する条件下での酸素消費量を調べた。この結果を図1に示す。図1に示すように、野生株の方が、xylN遺伝子破壊株よりも多くの酸素を消費しており、より効率よく低濃度の芳香族化合物を資化することができる。
〔実施例4〕XylNのアミノ酸配列の解析外膜に局在するタンパク質には特有のシグナル配列と呼ばれる外膜への移行に関与するアミノ酸配列が存在する。SignalP (version 1.1; Center for Biological Sequence Analysis [http://www.cbs.dtu.dk])( Nielsen, H., J. Engelbrecht, S. Brunak, and G. von Heijne. 1997. Identification of prokaryoticand eukaryotic signal peptides and prediction of their cleavage sites. Protein Engineering 10:1-6)は、このシグナル配列を特定するためのコンピュータープログラムである。このプログラムを使い、XylNのアミノ酸配列の解析を行ったところ、 N末端に24アミノ酸からなるシグナル配列の存在が確認された。
【0027】PSORT [http://psort.nibb.ac.jp]( Nakai, K., and M. Kanehisa. 1991. Expert system for predicting protein localization sites in Gram-negative bacteria. PROTEINS: Structure, Function, and Genetics 11:95-110)は、タンパク質の局在を予想するコンピュータープログラムであり、あるタンパク質が外膜に局在する可能性があるかどうかを調べることができる。このプログラムを使い、XylNのアミノ酸配列の解析を行ったところ、XylNが外膜に局在することが示唆された。
【0028】
【発明の効果】xylN遺伝子又はこれと同様の機能を有する遺伝子を微生物に導入し、発現させることにより、その微生物の芳香族化合物に対する膜透過性を向上させることができる。このような膜透過性を向上させた微生物を利用することにより、効率的なバイオコンバージョン及びバイオレメディエーションが可能になる。また、この微生物を利用したバイオセンサーは、低濃度の芳香族化合物も検出することが可能になる。
【0029】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> MARINE BIOTECHNOLOGY INSTITUTE CO., LTD<120> METHOD FOR INCREASING MEMBRANE PERMEABILITY OF MICROORGANISM TO AROMATIC COMPOUNDS<130> P01-031<160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.1<210> 1<211> 1395<212> DNA<213> Pseudomonas putida<220> <221> CDS<222> (1)..(1395)<400> 1atg aaa ata aaa aat tta ccc aat aaa gta att agt ggt gcg atc ttg 48 Met Lys Ile Lys Asn Leu Pro Asn Lys Val Ile Ser Gly Ala Ile Leu 1 5 10 15 ggt atc gca tca agc cat gcg ata gcg acg gat ggt ttg ttc ttg gag 96 Gly Ile Ala Ser Ser His Ala Ile Ala Thr Asp Gly Leu Phe Leu Glu 20 25 30 ggc ttt gga gca att tct agg agc atg ggt gga acg gct gtt gcg cat 144 Gly Phe Gly Ala Ile Ser Arg Ser Met Gly Gly Thr Ala Val Ala His 35 40 45 tat gtc ggg ccc gcg tcg atg atg gtc aac cca gcg acc atg gat tta 192 Tyr Val Gly Pro Ala Ser Met Met Val Asn Pro Ala Thr Met Asp Leu 50 55 60 tct gat tct gcc ggc gaa ctg ttg ctc gga ttc gat ctt atc act aca 240 Ser Asp Ser Ala Gly Glu Leu Leu Leu Gly Phe Asp Leu Ile Thr Thr 65 70 75 80gac att ggc gcc act aac ccg gag acc ggg caa cat gtg tcg tcg agt 288 Asp Ile Gly Ala Thr Asn Pro Glu Thr Gly Gln His Val Ser Ser Ser 85 90 95 gac cat tcg aac aac aga gga ccc tat gtt gcc ccc cag ttt gct tat 336 Asp His Ser Asn Asn Arg Gly Pro Tyr Val Ala Pro Gln Phe Ala Tyr 100 105 110 atc cac aag gtt tcc aac tgg acc ttc ggt gcg ggc gtg ttt gca caa 384 Ile His Lys Val Ser Asn Trp Thr Phe Gly Ala Gly Val Phe Ala Gln 115 120 125 gcc ggt gta ggg gtg gaa tat ggg aat gac agt ttt ttg tcg cgc ggt 432 Ala Gly Val Gly Val Glu Tyr Gly Asn Asp Ser Phe Leu Ser Arg Gly 130 135 140 gat gtt ggt gga aag ggt tat gct gcc ggg gcg gac acc ggt ctt gaa 480 Asp Val Gly Gly Lys Gly Tyr Ala Ala Gly Ala Asp Thr Gly Leu Glu145 150 155 160aat gct agc cgt ttg ttt atc ctt gat ata cct ttt gct gcg agc ttt 528 Asn Ala Ser Arg Leu Phe Ile Leu Asp Ile Pro Phe Ala Ala Ser Phe 165 170 175 aaa gtt aac gat cgc ctg gcc att ggc ggt tca ctt gat gcc aag tgg 576 Lys Val Asn Asp Arg Leu Ala Ile Gly Gly Ser Leu Asp Ala Lys Trp 180 185 190 act ggc ttg aat ctt gat tat tta ctt gga atg aac cag cta ggg agt 624 Thr Gly Leu Asn Leu Asp Tyr Leu Leu Gly Met Asn Gln Leu Gly Ser 195 200 205 cta gcg ggg gat ggg cga gcg tcc ggc tcc tta atg ggg gtg att gga 672 Leu Ala Gly Asp Gly Arg Ala Ser Gly Ser Leu Met Gly Val Ile Gly 210 215 220 acc ttg ccc gac cca cgg ggt gtc cat ttg agc gtt agc aaa aac aaa 720 Thr Leu Pro Asp Pro Arg Gly Val His Leu Ser Val Ser Lys Asn Lys225 230 235 240gag atg tcg agt ggc gtt gat ggg tgg ggg tat tcg gcc aga tta ggg 768 Glu Met Ser Ser Gly Val Asp Gly Trp Gly Tyr Ser Ala Arg Leu Gly 245 250 255 tta ttg tac aag gtg gcc ccc aca acg aat gtg ggt gtc tcc tac atg 816 Leu Leu Tyr Lys Val Ala Pro Thr Thr Asn Val Gly Val Ser Tyr Met 260 265 270 ttc aaa agt cac atg aac gac ttg aaa ggg aag ggg act gtt aca gcg 864 Phe Lys Ser His Met Asn Asp Leu Lys Gly Lys Gly Thr Val Thr Ala 275 280 285 gtg gac ggt att gcc ggt aat gtg cct atc gaa ggc gag gtt cgg ttt 912 Val Asp Gly Ile Ala Gly Asn Val Pro Ile Glu Gly Glu Val Arg Phe 290 295 300 ttg gac ttc aat acg cca gcc aag ctt gat gtg ggt atc agc cat cag 960 Leu Asp Phe Asn Thr Pro Ala Lys Leu Asp Val Gly Ile Ser His Gln305 310 315 320gtc acg gat aaa tgg ttg atc gct ttt gat gtt tct cgc gtt ttc tgg 1008 Val Thr Asp Lys Trp Leu Ile Ala Phe Asp Val Ser Arg Val Phe Trp 325 330 335 aag gat gct ttg aag gac att aaa ttg ggg ttc gcc agt ggg atg ggc 1056 Lys Asp Ala Leu Lys Asp Ile Lys Leu Gly Phe Ala Ser Gly Met Gly 340 345 350 gat gtt gac tta aag ctg ccg cag gat gcc aag gat caa acg atc atg 1104 Asp Val Asp Leu Lys Leu Pro Gln Asp Ala Lys Asp Gln Thr Ile Met 355 360 365 gcg att ggt acg tcg tat tcg gta acc ccg cgt tta acc ctg cga gca 1152 Ala Ile Gly Thr Ser Tyr Ser Val Thr Pro Arg Leu Thr Leu Arg Ala 370 375 380 gga tac cgt cat gcc acg cag cca ttc aat gac gaa ggg ctg ctg gcg 1200 Gly Tyr Arg His Ala Thr Gln Pro Phe Asn Asp Glu Gly Leu Leu Ala385 390 395 400ctg att cca gca gtg cta cag gat cat gcc tct tta gga ttt agt tat 1248 Leu Ile Pro Ala Val Leu Gln Asp His Ala Ser Leu Gly Phe Ser Tyr 405 410 415 cag tta tcc aaa tca ggc aga ttc gat gct gcc tac tcg cac gcc ttc 1296 Gln Leu Ser Lys Ser Gly Arg Phe Asp Ala Ala Tyr Ser His Ala Phe 420 425 430 aag gaa agt atg acc aac cgg tcg gct tac aac acc tca tcg ccc gtg 1344 Lys Glu Ser Met Thr Asn Arg Ser Ala Tyr Asn Thr Ser Ser Pro Val 435 440 445 aaa tcg tcc ata gcg caa gat aat ttc gtc ctg gcc tat aat tat tca 1392 Lys Ser Ser Ile Ala Gln Asp Asn Phe Val Leu Ala Tyr Asn Tyr Ser 450 455 460 ttc 1395 Phe465 <210> 2<211> 465<212> PRT<213> Pseudomonas putida <400> 2Met Lys Ile Lys Asn Leu Pro Asn Lys Val Ile Ser Gly Ala Ile Leu 1 5 10 15 Gly Ile Ala Ser Ser His Ala Ile Ala Thr Asp Gly Leu Phe Leu Glu 20 25 30 Gly Phe Gly Ala Ile Ser Arg Ser Met Gly Gly Thr Ala Val Ala His 35 40 45 Tyr Val Gly Pro Ala Ser Met Met Val Asn Pro Ala Thr Met Asp Leu 50 55 60 Ser Asp Ser Ala Gly Glu Leu Leu Leu Gly Phe Asp Leu Ile Thr Thr 65 70 75 80 Asp Ile Gly Ala Thr Asn Pro Glu Thr Gly Gln His Val Ser Ser Ser 85 90 95 Asp His Ser Asn Asn Arg Gly Pro Tyr Val Ala Pro Gln Phe Ala Tyr 100 105 110 Ile His Lys Val Ser Asn Trp Thr Phe Gly Ala Gly Val Phe Ala Gln 115 120 125 Ala Gly Val Gly Val Glu Tyr Gly Asn Asp Ser Phe Leu Ser Arg Gly 130 135 140 Asp Val Gly Gly Lys Gly Tyr Ala Ala Gly Ala Asp Thr Gly Leu Glu 145 150 155 160 Asn Ala Ser Arg Leu Phe Ile Leu Asp Ile Pro Phe Ala Ala Ser Phe 165 170 175 Lys Val Asn Asp Arg Leu Ala Ile Gly Gly Ser Leu Asp Ala Lys Trp 180 185 190 Thr Gly Leu Asn Leu Asp Tyr Leu Leu Gly Met Asn Gln Leu Gly Ser 195 200 205 Leu Ala Gly Asp Gly Arg Ala Ser Gly Ser Leu Met Gly Val Ile Gly 210 215 220 Thr Leu Pro Asp Pro Arg Gly Val His Leu Ser Val Ser Lys Asn Lys 225 230 235 240 Glu Met Ser Ser Gly Val Asp Gly Trp Gly Tyr Ser Ala Arg Leu Gly 245 250 255 Leu Leu Tyr Lys Val Ala Pro Thr Thr Asn Val Gly Val Ser Tyr Met 260 265 270 Phe Lys Ser His Met Asn Asp Leu Lys Gly Lys Gly Thr Val Thr Ala 275 280 285 Val Asp Gly Ile Ala Gly Asn Val Pro Ile Glu Gly Glu Val Arg Phe 290 295 300 Leu Asp Phe Asn Thr Pro Ala Lys Leu Asp Val Gly Ile Ser His Gln 305 310 315 320 Val Thr Asp Lys Trp Leu Ile Ala Phe Asp Val Ser Arg Val Phe Trp 325 330 335 Lys Asp Ala Leu Lys Asp Ile Lys Leu Gly Phe Ala Ser Gly Met Gly 340 345 350 Asp Val Asp Leu Lys Leu Pro Gln Asp Ala Lys Asp Gln Thr Ile Met 355 360 365 Ala Ile Gly Thr Ser Tyr Ser Val Thr Pro Arg Leu Thr Leu Arg Ala 370 375 380 Gly Tyr Arg His Ala Thr Gln Pro Phe Asn Asp Glu Gly Leu Leu Ala 385 390 395 400 Leu Ile Pro Ala Val Leu Gln Asp His Ala Ser Leu Gly Phe Ser Tyr 405 410 415 Gln Leu Ser Lys Ser Gly Arg Phe Asp Ala Ala Tyr Ser His Ala Phe 420 425 430 Lys Glu Ser Met Thr Asn Arg Ser Ala Tyr Asn Thr Ser Ser Pro Val 435 440 445 Lys Ser Ser Ile Ala Gln Asp Asn Phe Val Leu Ala Tyr Asn Tyr Ser 450 455 460 Phe 465
【図面の簡単な説明】
【図1】低濃度の芳香族化合物存在下での野生株とxylN破壊株の酸素消費量を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子を微生物に導入し、発現させることにより芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる方法。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(c)配列番号1記載の塩基配列により表されるDNA又はそれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードする細菌由来のタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(d)CumHタンパク質、CymDタンパク質、TodXタンパク質、IpbHタンパク質、PorAタンパク質、PhlXタンパク質、又はTbuXタンパク質
【請求項2】 以下の(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している芳香族化合物に対する膜透過性が向上している微生物。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(c)配列番号1記載の塩基配列により表されるDNA又はそれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードする細菌由来のタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(d)CumHタンパク質、CymDタンパク質、TodXタンパク質、IpbHタンパク質、PorAタンパク質、PhlXタンパク質、又はTbuXタンパク質
【請求項3】 芳香族化合物分解能を有する微生物を、芳香族化合物で汚染された環境中で培養することにより環境中の芳香族化合物を分解する方法であって、微生物が以下の(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している微生物であることを特徴とする芳香族化合物の分解方法。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(c)配列番号1記載の塩基配列により表されるDNA又はそれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードする細菌由来のタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(d)CumHタンパク質、CymDタンパク質、TodXタンパク質、IpbHタンパク質、PorAタンパク質、PhlXタンパク質、又はTbuXタンパク質
【請求項4】 芳香族化合物を有用化合物に変換する能力を有する微生物を、芳香族化合物を含む培地で培養し、培地中から有用化合物を採取することにより有用化合物を生産する方法であって、微生物が以下の(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している微生物であることを特徴とする有用化合物の生産方法。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(c)配列番号1記載の塩基配列により表されるDNA又はそれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードする細菌由来のタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(d)CumHタンパク質、CymDタンパク質、TodXタンパク質、IpbHタンパク質、PorAタンパク質、PhlXタンパク質、又はTbuXタンパク質
【請求項5】 芳香族化合物により特定の遺伝子を発現させる機構を持つ微生物を、被検試料と接触させ、該遺伝子が発現するかどうかにより被検試料中の芳香族化合物を検出する方法であって、微生物が以下の(a)〜(d)のタンパク質をコードする遺伝子が導入され、発現している微生物であることを特徴とする芳香族化合物の検出方法。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列により表されるタンパク質(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(c)配列番号1記載の塩基配列により表されるDNA又はそれと相補的なDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAがコードする細菌由来のタンパク質であって、芳香族化合物に対する微生物の膜透過性を向上させる機能を有するタンパク質(d)CumHタンパク質、CymDタンパク質、TodXタンパク質、IpbHタンパク質、PorAタンパク質、PhlXタンパク質、又はTbuXタンパク質

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2002−325576(P2002−325576A)
【公開日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−133469(P2001−133469)
【出願日】平成13年4月27日(2001.4.27)
【産業再生法】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成13年度新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(591001949)株式会社海洋バイオテクノロジー研究所 (33)
【Fターム(参考)】