説明

芳香活性テルペンの製造法

テルペン炭化水素から芳香活性テルペンを製造するための記載された方法により、微生物を用いた選択的な生体内変化の範囲において、有利には深部培養において凍結乾燥された菌糸を使用し、該菌糸をまず再水和し、次いで基質と混合する。特にエナンチオ選択的、立体選択的および/またはレギオ選択的に実施することができるこの方法により、フザリウム属、ヒラタケ属、ペニシリウム属およびケトミウム属の種を用いて、とりわけ細胞状の区画または分画から単離されるべきテルペノイドアルコール、エポキシド、アルデヒド、ケトン、多価のアルコール、カルボニルおよびカルボニルアルコールが得られる。とりわけ攪拌反応器、表面反応器、固定床反応器中で実施されるべき方法は、有利には2相系において減少された炭素源の割合で行われる。そのように得られた芳香活性テルペンはにおい物質、フレーバー物質および香料として、有利には食品工業、化粧品工業および薬品工業において使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、選択的な生体内変化を用いた芳香活性テルペンの製造法である。
【0002】
香料およびにおい物質は、今日の社会において重要な役割をはたす。におい活性物質は、日々の生活の多数の製品、例えば香水、化粧品、食料品、薬物および家庭用製品において使用される。例えば、市場にある全ての食料品の15%は添加物により芳香をつけられている。抽出または蒸留を用いた芳香物質の取得は、今日でもなお多種多様の植物部分(果実、花、種子、根等)から行われる。抽出物または単離された化合物も高価な製品として(例えば香料工業において「essence absolue(エッソンス・アプソリュ)」として)市場に出ている。
【0003】
さらに増大する芳香物質の高い需要は、天然の抽出物によるだけではもはや応じきれないため、芳香物質の製造は約80%までが化学合成により行われる。合成工程はたいてい費用がかかり、ほとんど特殊なものではなく、そのため香料令(2001年6月18日付の形式)に従った製品は、食品法的に「天然と同一の」と呼ばれうるにすぎなく「天然の」とは呼ばれない。香料令によれば天然の香料は「酵素または微生物による方法により植物または動物由来の出発物質から」製造されうる。それゆえ天然の芳香物質を製造するための生物工学の方法の発展は有効な選択肢である。生体内変化、すなわち例えば微生物の代謝による出発成分から合成産物への生体触媒反応を用いた香料の製造は、製造された芳香物質に応じて引き続き「天然の」との評価が与えられ、それにより該香料はとりわけ消費者において決定的により大いに受け入れられるようになる。
【0004】
芳香物質の重要な一群は、テルペン炭化水素およびその酸化生成物、テルペノイドを形成する。広く行き渡った天然物質としてそれらの感覚的または薬理的な作用はもうずっと以前から公知である。モノテルペンおよびセスキテルペンは、植物界および動物界における2次物質代謝の産物として誘引物質としてか、またはその毒性作用に基づいて食害保護として使用される。同様に、これらはシグナル物質および植物ホルモンとして作用する。従って、例えば植物性養分により摂取され、かつ代謝されたテルペンは社会性ホルモンまたはコミュニケーションフェロモン(Kommunikationspheromone)として昆虫に使用される。たいてい嗅覚活性テルペンは、極めて低い臭気閾値により優れており、いわゆる「キャラクターインパクトコンパウンド」(「character impact compounds」)として、特定のアロマノート、例えば典型的なオレンジ香料としての0.5μgkg−1の臭気閾値を有するゼラニウム香のためのローズオキサイドの芳香を形成する内容物質を形成する。
【0005】
テルペノイドを製造するための出発化合物として、その天然の前駆物質が考えられる。あまり関心を引かないこれらのモノテルペン炭化水素ならびにセスキテルペン炭化水素も高価なテルペノイドから分離され、かつ「廃物」として何トンという規模で発生する。従ってモノテルペンのR−(+)−リモネンはオレンジ油加工からの廃棄物質として年間100,000トンを上回る量で産出し、かつ割安に取引される。これは90%を上回る含有率を有するオレンジ皮油の主成分として存在し、かつ精留の際に発生する。そのほぼ無限の入手性とその構造的な類似性とに基づいて、テルペン炭化水素は化学合成または生体触媒合成により、対応する酸化生成物を製造するための理想的な原料を形成する。
テルペン生体内変化のために、ほぼ無限の数の生体触媒、例えば細菌、酵母菌、菌類および植物細胞を使用することができ、その際、菌類がとりわけ活性な生体触媒であると判明した。今日の知識水準によれば共生菌糸(菌類)の領域から100,000を上回る種類が公知であり、このうち幾つかの生体は一連の重要な化合物、例えば抗生物質、ビタミン、有機酸の製造への道を産業にもたらす。この場合、生物工学において新規の製造、つまり生体細胞系による物質代謝産物としての直接的な分離と、構造的に類似した前駆物質(プレカーサー)が適切な機能性反応により変化し所望された目標生成物になる生体内変化とは区別される。直接的な製造以外に多数の微生物も、生体異物および高分子の基質を分解し、かつ代謝することができる。
【0006】
とりわけ高等な菌類、例えば担子菌はその天然の生息場所により木材分解のために酸化作用する多数の酵素を有している(例えばラッカーゼ、ペルオキシダーゼ)。それゆえ、現在までに公知の約30,000種の担子菌は、とりわけテルペン炭化水素の酸化的生体内変化に適している。例えば植物から分離された防御物質α−ピネンは微生物酸化により解毒されうる。下等生体、例えば細菌類に対する菌類の利点は、高い酸化能力を有する酸化還元酵素が本質的に多様に備わっていることであり、これがとりわけ生体異物の物質の酸化を可能にしている。
【0007】
その構造的な複雑性に基づいて、しかしながらセスキテルペノイドの化学的な全合成は香料工業に並々ならぬ問題を突きつける。最も容易には、該全合成は天然の前駆物質を官能化することにより実施されうるが、その際、化学合成工程はほとんど選択的でないことが判明した。
【0008】
それゆえ従来技術の公知の問題から、本発明のために選択的な生体内変化の範囲内で、かつ綱の子嚢菌、担子菌および不完全菌類の微生物を用いて実施されるテルペン炭化水素からの芳香活性テルペンの製造法を提供する課題が立てられた。その際、酵素による方法の選択的な特性が利用され、かつ容易に手に入れられ費用のかからない出発物質から出発して、とりわけ食料品技術の適用にふさわしい際立った純度を有する高価な製品をもたらす、容易かつ経済的な方法で実施されるべき方法の提供が重要な位置を占めた。
【0009】
この課題は、凍結乾燥された菌糸を使用し、該菌糸はまず再水和され、次いで基質と混合される相応する方法を用いて解決された。
【0010】
その際、意想外にも凍結乾燥措置による菌糸−細胞の穿孔の方法工程により酵素系を総細胞培養において利用することができ、その際、培地に付加的な活性剤を添加する必要がないことが判明した。課題設定によれば、この方法により所望された芳香活性テルペンが優れた品質で得られるだけでなく、適切な微生物の選択により所望された化合物をエナンチオ選択的、立体選択的もしくはレギオ選択的に製造し、かつ方法技術的に簡易な措置により反応媒地から得ることも可能である。とりわけこれまで生体内変化によるモノテルペノイドのエナンチオ選択的な製造は、適切な生体および酵素の不足に基づいてただ非常に制限されてのみ可能であった。化学的方法から公知であるが、しかし生体内変化の変法からも公知であるような従来の問題点に基づいて、本発明による方法の利点はこの特徴において期待することができなかった。
【0011】
すでに示唆したように、本発明による方法の本発明の本質的な利点は、凍結乾燥された菌糸が使用されるという点に見られるべきである。この方法特徴の利点をさらに上手く利用しうるために、本発明はその細胞が付加的に超音波処理および/または押出により透過性にされた(permeiert)菌糸が使用されることを予定する。
【0012】
それゆえ、使用される細胞状の生体触媒はその使用前に本来のトランスフォーメーション反応(Transformationsreaktion)において、まず出発化合物が細胞壁を透過し、引き続き細胞膜に拡散しうるように前処理する。これにより浸透圧障壁としての細胞膜の欠点が克服され、かつそれと通常は結びついた、生体内変化の従来公知の阻害(これは例えば基質の内向きのフラックスと生成物の外向きのフラックスとの遅延の形で起きる)が軽減されるかまたは完全に回避されうる。穿孔措置により基質の交換が明らかに促進されうる。というのも主として凍結乾燥により膜の完全性の妨害が引き起こされるからであって、その際、しかしながらその中に含まれる酵素系は損なわれずにあり、同時にしかしより容易に得られる。
【0013】
提案された方法が深部培養において実施される場合にとりわけ有利であることが判明した。本発明による方法のさらに別の利点は、生体内変化がエナンチオ選択的、立体選択的および/またはレギオ選択的に実施されうる点に見られる。
【0014】
適切な微生物の選択は、本発明による方法の成功のための重要な任務である。この関連において、本発明は生体触媒として、フザリウム属(Fusarium)、ヒラタケ属(Pleurotus)、ペニシリウム属(Penicillium)およびケトミウム属(Chaetomium)の主なものが使用される変法を考慮する。フザリウム・プロリフェラトス(Fusarium proliferatus)、プレウロトス・サピドス(Pleurotus sapidus)、ペニシリウム・シトリヌム(Penicillium citrinum)およびケトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum)がとりわけ適切であると判明した。
【0015】
獲得されるべき芳香活性テルペンに顧慮して、本発明からモノテルペンおよびセスキテルペンが出発テルペン炭化水素として有利であり、その際、リモネンおよびとりわけR−(+)−リモネンまたはS−(−)−リモネンならびにピネン、バレンセン、ファルネセン、チモールおよびジメチルアリルアルコールがとりわけ適切であると考えられるべきである。
【0016】
特定の場合において、凍結乾燥された菌糸において本来の生体内変化の前に酵素誘導を実施することが有利でありえ、そのために基質の添加が適切であることが判明した。通常、菌糸の凍結乾燥物は緩衝液中での再水和の後に特定の量の基質と混合され、これにより菌類培養が順応され、かつテルペン酸化に適している酵素の誘導が達成される。その際、出発テルペン炭化水素の本来の添加は数時間後から2日目までに行う。
【0017】
本発明はさらに別の有利な変法として、生体内変化を水と有機相からの2相系において実施することを予定し、その際、とりわけn−デカンが適切な相であると判明した。とりわけ有利には、生体内変化は補助溶媒を添加しないで実施されるが、このことは本発明が同様に考慮している。
【0018】
本発明による方法のさらに別の利点は、炭素源の減らされた量Mを有し、その他の点では通例の炭素源、例えばグルコースを含有する培地において生体内変化反応を実施することができることにあり、それにより記載された基質のより高い生体内変化が行われる。Mは有利には<50gL−1、より優れて有利には<25gL−1、最も優れて有利には<10gL−1である。
【0019】
通常、生体内変化反応は水性系で実施され、その際、出発物質および基質/生成物の分配平衡が水性媒地において不利である場合、有機溶剤の使用が親油性の基質の入手性を高める。すでに記載したように、適切な溶剤は、n−デカンが有機相である2相系の形であることが判明した。それに対して、n−デカンが補助溶媒として使用される場合、それは使用される菌糸に依存して酵素の活性阻害となるので、本発明はまた補助溶媒を放棄することも推奨する。
【0020】
最終生成物を顧慮して、本発明による方法は該最終生成物を菌糸の細胞成分または細胞分画から単離することを予定する。通常、親油性の基質は菌糸において、かつこの場合はとりわけ細胞壁部および膜部において90%を上回って蓄積される。約5%のみのごくわずかな部分が水性培地において発見される。
【0021】
成果のある生体内変化のために任意の酸素供給も必要とされるので、提案された方法を、本発明がとりわけ推奨する相応する装置、例えば攪拌反応器、表面反応器(Oberflaechenreaktoren)および固定床反応器中で実施することが推奨される。そのつどの微生物中のテルペンの物質代謝経路は多数の生体内変化の際に重要な役割を果たす。この場合、さらなる酸化および代謝が行われることなく、幾つかの微生物に関してテルペン基質の共酸化が役割を果たすことが公知である。とりわけ、栄養素に富んだ培地が使用される場合、C−源としてのテルペンの代謝は不要であると思われる。他方において、テルペン炭化水素は唯一のC−源として役立ち、かつβ−酸化を経て代謝されうる。とりわけ培地中に存在する炭素源を顧慮して、本発明に関してG≦0.5%を有するグルコース−含有率Gがトランスフォーメーション活性のバイオマスの培養に足りることが有利であると明白になった。同様に培地の有機主成分、つまり炭素および窒素がトランスフォーメーション収率に決定的な影響を有していることが確認された。この場合、すでに言及したように酸化生成物の割合を高めるために炭素の乏しい培地が使用される場合にもまた同様に有利であると判明し、その際、さらに進行する目的生成物の無機化を防止するのに成功する。
【0022】
とりわけ、同様にすでに言及した振盪装置には、酸素がテルペン炭化水素の酸化に不可欠の補助基質であり、そのためなかでも偏性好気性菌類、例えば子嚢菌類が、生命に不可欠な過程の維持のため、かつ任意のバイオマス生成物のために十分な酸素量を必要とする点でさらに別の重要な役割がある。これにより酸素の自由な使用性が培養の間、十分に保証されるべきであり、これは言及した攪拌反応器、表面反応器または固定床反応器により成功する。それに加えて振盪培養の付加的な表面拡大が行われ、これは高められたガス交換および改善された物質移動係数が伴う。
【0023】
本発明による方法は、最終生成物としてテルペノイドアルコール、エポキシド、アルデヒド、ケトン、多価のアルコール、カルボニルおよびカルボニルアルコールが得られることがとりわけ適切であると判明した。とりわけ有利にはこの関連において、ピペリトン、イソピペリトン、イソピペリテノール、イソピペリテノン、ペリラアルデヒド、カルボン、カルベオール、リナロール、酸化リナロール、テルピネオールならびにヌートカトールおよびヌートカトンが考えられる。
【0024】
最後に、本発明はさらに、適切に芳香活性テルペンが製造されうる変法も考慮する。例えば、まずエナンチオ選択的にR−(+)−リモネンを生体内変化しcis−(+)カルベオールに、かつS−(−)−リモネンを生体内変化しtrans−(−)−カルベオールにすることが推奨され、このためにとりわけ特殊なフザリウム属の種が生体触媒として適していることが判明した。
【0025】
引き続き、そうして得られたtrans−(−)−カルベオールを反応させR−(−)−カルボンにしてよく、この場合、次いでヒラタケ属の種−株が使用されるべきである。
【0026】
同様に本発明は2環式セスキテルペンのβ−ヌートカトールへの、引き続きヌートカトンへの生体内変化を包含し、このためにケトミウム属の種が推奨される。
【0027】
記載された方法およびその異なった変法以外に、本発明はそれにより得られるテルペンのにおい物質、フレーバー物質および香料としての使用も考慮し、その際、とりわけそれらの使用は食品工業、化粧品工業および薬品工業において有利であるとみなされるべきである。
【0028】
記載された方法は、特定のテルペン炭化水素、例えばリモネン、バレンセンおよびファルネセンの微生物の生体内変化による高級芳香活性化合物、例えばカルボン、ヌートカトンおよび7−ヒドロキシ−ファルネセンへの改良を可能にする。その際、所望された芳香活性テルペンを適切な菌類培養の選択により、かつとりわけそれから獲得された凍結乾燥された菌糸の使用により経済的に有利な方法で大量かつ非常に良い品質で得ることが可能であり、その際、生体触媒の反応処理は全て容易に深部培養において適切な装置中で実施することができる。
【0029】
以下の実施例は、請求された方法の利点を具体的に説明する。
【0030】
実施例
以下の実施例に関して、生体触媒として深部培養において24℃および150rpmで培養した菌糸体を使用した。
【0031】
3日〜7日までの成長時間の後に、これらの前培養からホモジェネートされた培地10mLをSNLHの培地200mL中に移し、かつ24℃および150rpmで培養した。培養の順応のため、引き続きそのつどのテルペン20μLを3日〜5日までの成長時間の後、培養に添加した。次いで細胞集団を遠心分離(2000g、10分)により分離し、0.9%の塩化ナトリウム溶液により洗浄し、かつ液体窒素下でショック凍結した。フリーズドライもしくは凍結乾燥(装置Finaqua Lyovac GT2)を室温で、かつ2×10−5バールで1〜4日間(培養に応じて)実施した。
【0032】
トランスフォーメーション条件:
フリーズドライされた細胞集団の再水和のため、トランスフォーメーション培地(例えばMOPS−緩衝液、4−[N−モルホリノ]ブタンスルホン酸、Sprecher およびHansenによる酵母菌の栄養培地(Naehmedium)[1982])において粉砕した凍結乾燥物を1〜24時間培養した。テルペン炭化水素の添加(1〜300mM)は直接または溶剤の使用下で行った。テルペノイド形成はアリクォットの連続的なサンプリングにより決定した。テルペノイドが溶剤抽出により得られた。化合物の同定はGC−MSにより基準試料を用いて、定量化はGC−FIDおよび使用された内部標準試料を用いて行った。
【0033】
実施例1:
リモネンのトランスフォーメーションのために、プレウロトス・サピドスの菌糸50mgをMOPS−緩衝液(0.1M;pH7.0)1.5mL中に添加し、かつ乾燥された細胞集団を1時間、200rpmおよび24℃で再水和した。カルボンの製造のために、リモネン41mMを直接、再水和された培養に適用した。反応は24時間、150rpmおよび24℃で行った。試料は内部標準試料の添加の後(例えばリモネントランスフォーメーションのためのショウノウ)共沸ペンタン/エーテルの混合物2mLを用いて抽出し、遠心分離機にかけ、一晩かけてNaSOにより乾燥させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的な生体内変化による、かつ綱の子嚢菌、担子菌および不完全菌類の微生物を用いたテルペン炭化水素からの芳香活性テルペンの製造法において、凍結乾燥された菌糸を使用し、該菌糸をまず再水和し、次いで基質と混合することを特徴とする、芳香活性テルペンの製造法。
【請求項2】
菌糸−細胞をさらに超音波処理および/または押出により透過性にすることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
深部培養において生体内変化を行うことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
生体内変化をエナンチオ選択的、立体選択的および/またはレギオ選択的に実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
生体触媒として、フザリウム属、ヒラタケ属、ペニシリウム属およびケトミウム属の主なものおよびとりわけ、フザリウム・プロリフェラトス、プレウロトス・サピドス、ペニシリウム・シトリヌムおよびケトミウム・グロボスムを使用することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
テルペン炭化水素として、モノテルペンおよびセスキテルペンおよびとりわけ有利にはリモネン、とりわけR−(+)−リモネンまたはS−(−)−リモネン、ならびにピネン、バレンセン、ファルネセン、チモールおよびジメチルアリルアルコールを使用することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
凍結乾燥された菌糸において生体内変化の前に基質の添加により酵素誘導を実施することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
生体内変化を2相系において、かつ有利には補助溶媒を用いないで実施することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
生体内変化を培地中で炭素源の減少された量Mにより実施し、その際、Mが有利には<50gL−1であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
反応を攪拌反応器、表面反応器または固定床反応器において実施することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
芳香活性テルペンとして、テルペノイドアルコール、エポキシド、アルデヒド、ケトン、多価のアルコール、カルボニルおよびカルボニルアルコール、かつとりわけピペリトン、イソピペリトン、イソピペリテノール、イソピペリテノン、ペリラアルデヒド、カルボン、カルベオール、リナロール、酸化リナロール、テルピネオールならびにヌートカトールおよびヌートカトンが得られることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
トランスフォーメーション産物を細胞状の区画または分画から単離することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
まず、とりわけ有利には生体触媒としてのフザリウム属の種により、エナンチオ選択的にR−(+)−リモネンを生体内変化させcis−(+)−カルベオールにし、かつS−(−)−リモネンを生体内変化させtrans−(−)−カルベオールにし、引き続きtrans−(−)−カルベオールを、とりわけ有利には生体触媒としてのヒラタケ属の種によりR−(−)−カルボンにすることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
2環式セスキテルペンを、とりわけ有利にはケトミウム属の種によりトランスフォーメーションしβ−ヌートカトールにし、引き続きヌートカトンにすることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の方法により製造されたテルペンのにおい物質、フレーバー物質および香料としての、有利には食品工業、化粧品工業および薬品工業においての使用。

【公表番号】特表2007−521826(P2007−521826A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552546(P2006−552546)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001346
【国際公開番号】WO2005/078110
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506264063)マクセンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Maxens GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Str. 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】