説明

苗植機

【課題】 簡潔な機体構成で作業性の良い苗植機を得ることを課題とする。
【解決手段】 苗箱が載置できる苗箱載せ部を有する予備苗載台(70)を装備した苗植機において、該予備苗載台(70)に複数段の苗箱載せ部を設けて複数個の苗箱を載置できる構成とし、該複数段の苗箱載せ部をその機体内側よりも外側が高くなる構成とし、前記複数段の苗箱載せ部の全体又は一部を枠体にて構成し、該枠体の内方に複数段の苗箱載せ部を上下方向に貫通する空間部を形成し、該空間部は苗箱を挿通できる構成として、下段の苗箱載せ部に該苗箱載せ部の下方で苗箱を支持する受け部材(85)を固定して設けた苗植機とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用型田植機や乗用型野菜移植機や乗用型イ草移植機等の苗植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、予備苗載台を装着した色々な形態の苗植機において、空になった苗箱を収納する空箱収納部を予備苗載台とは別に設けたものがある。
【特許文献1】特開平8−116736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、この発明は、簡潔な機体構成で作業性の良い苗植機を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、苗箱が載置できる苗箱載せ部を有する予備苗載台(70)を装備した苗植機において、該予備苗載台(70)に複数段の苗箱載せ部を設けて複数個の苗箱を載置できる構成とし、該複数段の苗箱載せ部をその機体内側よりも外側が高くなる構成とし、前記複数段の苗箱載せ部の全体又は一部を枠体にて構成し、該枠体の内方に複数段の苗箱載せ部を上下方向に貫通する空間部(B)を形成し、該空間部(B)は苗箱を挿通できる構成として、下段の苗箱載せ部に該苗箱載せ部の下方で苗箱を支持する受け部材(85)を固定して設けた苗植機とした。
【発明の効果】
【0005】
よって、苗箱が載置できる苗箱載せ部を有する予備苗載台70を装備した苗植機において、該予備苗載台70の苗箱載せ部に上下方向に貫通した空間部Bを形成し、該空間部Bは苗箱を挿通できる構成として、その下方に苗箱を支持する受け部材85を設けた苗植機としたものであるから、構成簡潔にして予備苗載台70に苗箱を載置する機能と空になった苗箱を収納する機能とを持たせることができる。
【0006】
また、予備苗載台70に複数段の苗箱載せ部を設けて複数個の苗箱を載置できる構成とし、その複数段の苗箱載せ部に上下方向に貫通した空間部Bを形成し、下段の苗箱載せ部に該苗箱載せ部の下方で苗箱を支持する受け部材85を固定して設けたから、複数段の苗箱載せ部を空になった苗箱の支持構成に兼用できて安定した空の苗箱の収納が達成できる。
【0007】
また、苗箱載せ部の全体又は一部を枠体にて構成し、該枠体の内方を空間部Bとしたから、枠体を採用することにより軽量な構成とすることができ、然も、枠体自体の内方空間部Bを空の苗箱の収納部として兼用できるので、構成が更に簡潔となる。
【0008】
また、予備苗載台70の苗箱載せ部をその機体内側よりも外側が高くなる構成としたから、苗箱の機体外側への移動は苗箱載せ部の傾斜にて防止することができるので、苗箱の機体外側への移動を防止する係止部が無くすことができ、予備苗載台70に外側方から苗箱を載置する際に、その苗箱載置作業が容易に且つすばやく行なえて作業能率が良い。また、予備苗載台70の左右幅を小さくすることができて小型軽量の苗植機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に示すこの発明の一実施例である乗用型田植機について説明する。1は乗用型走行車輌であって、機体は、前部に配置されたミッションケース2と機体後部に配置された左右後輪伝動ケース3・3とをフレーム4で連結して構成されている。ミッションケース2の後部にはその左右側面に左右フロントアクスルケース5・5を固着し、該左右フロントアクスルケース5・5の下部には左右操向駆動前輪6・6が設けられている。
【0010】
7・7は左右駆動後輪であって、各々上記左右後輪伝動ケース3・3外側に軸架されている。8はエンジンであって、フレーム4上部に搭載され、該エンジン8より機体前部のミッションケース2に動力が伝えられ、ミッションケース2より前輪デフ機構を介して左右フロントアクスルケース5・5内の伝動軸にて左右操向駆動前輪6・6に動力を伝動し、ミッションケース2の後端壁からは左右後輪駆動軸9・9が突出して設けられており、前記左右後輪伝動ケース3・3に駆動力を伝達して、左右駆動後輪7・7が駆動回転される構成になっている。
【0011】
尚、ミッションケース2内には、主変速レバー40にてエンジン8の回転駆動力が変速される主変速機構と前輪用デフ機構とが内蔵されている。41はFRPにて成型された車体カバーであって、エンジン8の周囲を覆うエンジンカバー部41aと前記エンジン8の前方及び左右側方に設けられたステップ30とハンドルポスト部42aの下部を覆う前部カバー41bとにより構成され、各々が機体上に固定されている。尚、ステップ30は、後述の主クラッチペダル53aや左右ブレーキペダル53L・53Rの貫通孔部にて前部ステップ30aと後部ステップ30bとに分割構成されており、後部ステップ30bには左右駆動後輪7・7の上方を覆うフェンダー部30cと乗降用ステップ30dが一体形成されている。そして、ステップ30は操縦ハンドル42の左右両側から前方まで延設されて左右通路A・Aを構成している。
【0012】
43は操縦座席であって、エンジンカバー部41aの上部に装着されている。44は上部リンクと下部リンクとにより構成されるリンク機構であって、その基端部は、フレーム4の左右後部より上方に延設された支持フレーム45に枢着され、後端部は、苗植装置46をローリング自在に支持するローリング軸が設けられた縦枠48に枢着されている。
【0013】
49は油圧シリンダー装置であって、シリンダーの基部はフレーム4に枢着され、ピストンの先端が下部リンクに枢着されている。前部カバー41bの上面は、各種表示装置やメータ類が設けられた操作パネルになっている。そして、前部カバー41bの左側部には前記主変速レバー40と機体前方若しくは側方から操作できる手動クラッチレバー50が設けられ、前部カバー41bの右側部には植付クラッチの操作及び苗植装置46の上下操作を行う操作レバー52とが設けられている。尚、手動クラッチレバー50は、後述の主クラッチペダル53aとミッションケース2内のブレーキと連繋しており、イ方向に操作すると、主クラッチが切れて車輪にブレーキがかかるように構成されている。この手動クラッチレバー50は、機体の畦越え時やトラックへの積込時等に操縦者が機体から降りて操作できるので、安全に機体の畦越え時やトラックへの積込が行なえる。また、この手動クラッチレバー50は、機体に乗った状態(操縦座席43に操縦者が着座した状態)でも操作できるので、とっさの時に、この手動クラッチレバー50を操作して機体を止めることができる。
【0014】
53aは該前部カバー41bの左側方に設けられた主クラッチペダル、53L・53Rは左右ブレーキペダルである。苗植装置46は、前記縦枠48のローリング軸にローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース54と、該植付伝動ケース54に設けられた下部支持部材55及び左右上部支持部材56・56に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台57と、植付伝動ケース54の後端部に装着され前記苗載台57の下端より1株分づつの苗を分割して圃場に植え付ける4つの苗植付け装置58…と、植付伝動ケース54の下部にその後部が軸59にて枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体である3つの整地フロート60a・60b・60c等にて構成されている。
【0015】
そして、下部支持部材55には、苗植付け装置58…が苗載台57の下端より苗を一株づつ分離する苗分割口が設けられている。また、左右上部支持部材56・56は、植付伝動ケース54に基部が固定された左右の苗載台支持フレーム56a・56aの上端部に設けられている。その左右の苗載台支持フレーム56a・56aは、機体正面視で、各々リンク機構44と左右駆動後輪7・7間に配置されている。従って、乗用型走行車輌1に対して苗植装置46はローリング自在であるが、苗植装置46がローリング作動しても乗用型走行車輌1の左右駆動後輪7・7に干渉することがないので、苗植装置46を乗用型走行車輌1の後部に装着するにあたり、苗植装置46を乗用型走行車輌1の後部に近付けて配設することができ、機体の全長を短くして小型の乗用型田植機を得ることができる。また、下部支持部材55を上下移動調節して苗植付け装置58…が苗載台57の下端より一株づつ分離する苗の取り出し量を調節する苗取り量調節レバー55aを図1に示すようにリンク機構44と左駆動後輪7との間に配置(整地フロート60a・60b・60cの枢支部59の上下位置を調節して苗の植付深さを調節する植付深さレバーは、リンク機構44と右駆動後輪7との間に配置)することにより、更に、苗植装置46がローリング作動しても乗用型走行車輌1の左右駆動後輪7・7に干渉することなく、苗植装置46を乗用型走行車輌1の後部に近付けて配設することができ、機体の全長を更に短くして小型乗用型田植機を得ることができる(このように小型軽量の乗用型田植機を得る課題を解消する構成がとられている)。
【0016】
61は中央の整地フロート60cの前部上面と植付伝動ケース54との間に設けられた連繋ワイヤであって、その他端は乗用型走行車輌1側に設けられた油圧バルブに連繋されており、整地フロート60cの前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられた時にはミッションケース2の左側面に装着された油圧ポンプにてミッションケース2内から汲み出された圧油を油圧シリンダー49に送り込んでピストンを突出させリンク機構44を上動させて苗植装置46を所定位置まで上昇せしめ、また、整地フロート60cの前部が適正範囲以上に下がった時には油圧シリンダー49内の圧油をミッションケース2内に戻してリンク機構44を下動させて苗植装置46を所定位置まで下降せしめ、そして、整地フロート60cの前部が適正範囲にあるとき(苗植装置46が適正な所定位置にある時)には油圧シリンダー49内の圧油の出入りを止めて苗植装置46を一定位置に保持せしめるべく設けられている。
【0017】
前部カバー41bの右側方より突出して操縦ハンドル42の右下側に設けられた操作レバー52は、ミッションケース2内に設けられたPTOクラッチを操作して苗植装置46への動力を入切り操作できるように構成されていると共に、油圧バルブ38を操作して手動にて苗植装置46を上下動できるように構成されている。即ち、操作レバー52を「固定」位置にすると、PTOクラッチが切れ苗植装置46の作動が停止し且つ油圧バルブ38が油圧シリンダー49内の圧油の出入りを止めて苗植装置46を一定位置に保持せしめる位置に切換えられ苗植装置46は上昇も下降もしない。そして、操作レバー52を後方に操作して「下」位置にすると、PTOクラッチは切りで苗植装置46の作動は停止したままであるが油圧バルブ38は整地フロート60cの上下動にて切換えられる自動制御状態となる。そして、更に、操作レバー52を「入」位置にすると、PTOクラッチが入り苗植装置46が駆動され且つ油圧バルブ38は整地フロート60cの上下動にて切換えられる自動制御状態となる。逆に、操作レバー52を前方に操作して「上」位置にすると、PTOクラッチが切れ苗植装置46の作動が停止し且つ油圧バルブ38が強制的に苗植装置46を上昇する側に切換えられ、苗植装置46が上昇される。
【0018】
62は左右操向駆動前輪6・6の伝動系中の前輪デフ機構のデフロックペダルである。63は前部カバー41bの前面下部に設けられた前照灯である。70・70は左右予備苗載台であって、機体フレーム4に下端が固着されたフレーム71の上端に設けた機体左右方向に延びるパイプ体72の左右両端部に固着した支持パイプ73・73に上下方向に差し込んで設けた左右支持フレーム74・74の上部に各々苗箱が一個づつ載置できる苗載せ枠75・75が2段に設けられている。この左右予備苗載台70・70は同様の構成であるので、左予備苗載台70について詳述する。
【0019】
先ず、左支持フレーム74の上部に予備苗載台70の2段の苗載せ枠75・75が各々溶接固定されている。そして、各苗載せ枠75は、左支持フレーム74に溶接固定した太いパイプ材よりなる平面視コ字状のフレーム枠76と該フレーム枠76のコ字状の両開放端部に各々その先端部を嵌合して溶接固定した枠体77とフレーム枠76の上部に溶接固定した閉四角状枠体78とフレーム枠76に設けたピン体79にその係合孔部80を係合させてボルト81にフレーム枠76に設けたアーム82に固定した平板状載せ部83とにより構成されている。83aは、平板状載せ部83に設けた2つの貫通孔である。
【0020】
84・84は補強材であって、左支持フレーム74と各苗載せ枠75のフレーム枠76・76との間を連結補強すべく溶接固定されている。そして、各苗載せ枠75は、図1の左予備苗載台70の位置において、機体正面視で外側が高くて左支持フレーム74側が低くなるように図の傾斜線Cに沿うように傾斜して左支持フレーム74に溶接固定されている。また、平板状載せ部83の上面と枠体77の外側上端77aとはその傾斜線Cに沿った位置関係になっており、各苗載せ枠75に苗箱を載置すると、図に示すように、平板状載せ部83の上面と枠体77の外側上端77aとで苗箱の底面を受け、苗箱の前後移動は閉四角状枠体78の前後の折り曲げて立ち上がった部分で支持され、苗箱の機体内側への移動はフレーム枠76の内側の折り曲げて立ち上がった部分支持され、苗箱の機体外側への移動は苗載せ枠75の傾斜(機体正面視で外側が高くて左支持フレーム74側が低くなるように図の傾斜線Cに沿うように傾斜)にて防止されて、苗箱は各苗載せ枠75に安定良く載置される。また、苗箱の機体外側への移動は苗載せ枠75の傾斜にて防止する構成であって、苗箱の機体外側への移動を防止する係止部が無いので、各苗載せ枠75に外側方から苗箱を載置する際に、その苗箱載置作業が容易に且つすばやく行なえて作業能率が良い。また、枠体77の外側上端77aは平板状載せ部83の上面と傾斜線Cに沿った位置関係として苗箱の底面を受ける構成であるから、左右予備苗載台70・70の左右幅を小さくすることができ(枠体77の外側上端77a部で苗箱の機体外側への移動を防止する構成にすると、枠体77の外側は載置された苗箱の外側壁まで延ばさないといけない)、小型軽量の田植機を得ることができる。
【0021】
また、85は空箱の下端を受ける受け部材としての空箱支持アームであって、上端が下段の苗載せ枠75の枠体77中央部に溶接固定されており、図1の左予備苗載台70の位置で、機体正面視でL字状に構成されている。この空箱支持アーム85の使用方法を説明すると、作業者が苗箱から苗掬い板にて苗を掬い取り苗載台57に苗を供給した後の空になった苗箱を、上下2段の苗載せ枠75・75の平面視で閉四角状枠体78の一辺と枠体77とにより形成される各空間部B・Bに挿し込んでその下端を空箱支持アーム85にて受けることにより、この上下の空間部B・B内に2つの空になった苗箱と苗掬い板とを収納できるようになっている。このように、空になった苗箱や苗掬い板を枠内に挿通収納することにより、空になって軽くなった苗箱が機体の振動や強い風等で予備苗載台70から落ちることが防止できる。尚、この苗箱と苗掬い板とを収納した状態で、その前後及び左右方向の倒れは上下2段の苗載せ枠75・75の各閉四角状枠体78・78の一辺と枠体77・77で規制され、下方への落下は空箱支持アーム85にて規制されて、苗箱と苗掬い板は収納支持される。
【0022】
一方、前記支持パイプ73・73に上下方向に挿し込んで設けた左右支持フレーム74・74の下端部には、各支持パイプ73・73の上面に設けた鍔部73a・73aに接当して下方への移動を止める鍔部74a・74aが溶接固定されており、更に、該各鍔部74a・74aには2つの貫通孔74b・74bが設けられていて、各支持パイプ73・73の上面に設けた鍔部73a・73aより上方に突出して設けられた支持ピン73b・73bに挿通係合できるように構成されている。また、左右支持フレーム74・74の最下端部には各々貫通孔74c・74cが設けられており、左右支持フレーム74・74を各々支持パイプ73・73に上下方向に挿し込んだ後に、図に示すように該各貫通孔74c・74cに割ピン74d・74dを装着することにより、各支持パイプ73・73から左右支持フレーム74・74が上方に抜けるのを防止している。
【0023】
また、支持パイプ73の底面と割ピン74dとの間隔Lは、支持ピン73bの高さHよりも大きく設定されており、左右支持フレーム74・74を作業者が上方に持ち上げて、支持ピン73bから鍔部74aの貫通孔74bを抜くことにより、左右支持フレーム74・74は自由に回動させることがでる。即ち、支持ピン73bに対して鍔部74aの前後に設けられた2つの貫通孔74b・74bを選択して係合させることにより、左右予備苗載台70・70は図1に実線で示す機体前方に位置させた作業状態(各苗載せ枠75が支持フレーム74よりも外側に位置して各苗載せ枠75が機体外方に突出した状態)と仮想線に示す機体後方に位置させた収納状態(各苗載せ枠75が支持フレーム74よりも内側に位置して各苗載せ枠75が機体内方に収納された状態)とに固定することができる。
【0024】
尚、上記の実施例では、苗箱載せ部は平板状載せ部83と枠体77の外側上端77aとで構成されているが、全体を枠体のみで構成しても良く、また、平板のみで構成しても良い。最後に、右予備苗載台70は、上記左予備苗載台70と左右対象の同様の構成である。
【0025】
90・90は左右条合わせマーカーであって、その上端が左右予備苗載台70・70の各フレーム枠76・76にナットにて各々固定されており、田植作業時に作業者はこの条合わせマーカー90を前行程で水田に植付けた苗に沿わせて機体を操向操作することにより、前行程にて植付た苗に沿って苗を植付ける作業が行なえる。また、田植作業時には左右予備苗載台70・70を作業状態の機体外方に張り出した位置にしているので、この左右予備苗載台70・70の各フレーム枠76・76に設けられた左右条合わせマーカー90・90は、必然的に、機体外方に位置し、その支持部90a・90aは短い構成で済み、簡潔な構成にて左右条合わせマーカーを構成できる。更に、路上走行時や納屋に機体を収納する場合には、左右予備苗載台70・70を機体内方に収納した位置にしているので、左右条合わせマーカー90・90も自動的に収納されている。
【0026】
上記のように構成された乗用型田植機を水田圃場に入れ、左右予備苗載台70・70を作業状態の機体外方に張り出した位置として、各苗載せ枠75に苗を載置して、エンジン8を始動し主変速レバー40を「植付速」位置にして操作レバー52を「入」位置にして各部を駆動し機体を前進せしめれば、苗植装置46は自動的に適正位置に上下制御され田植作業が行われる。
【0027】
そして、苗載台57上の苗が残り少なくなると、操縦者は左右予備苗載台70・70に載置した各苗箱から苗掬板にて苗を取り出して苗載台57に苗を供給して田植え作業を続行する。この時、空になった苗箱と苗掬い板を左右予備苗載台70・70の各空間部Bに挿し込んでその下端を空箱支持アーム85にて受けて収納することにより、空になって軽くなった苗箱が機体の振動や強い風等で左右予備苗載台70・70から落ちることが防止できて、能率良く田植作業が行なえる。その後、左右予備苗載台70・70の苗も無くなれば、畦に対して機体が直角になるように乗用型走行車輌1前部を畦に着けて、畦から左右予備苗載台70・70の空になった苗箱を降ろした後に新しい苗箱を供給する。そして、田植作業を継続する。
【0028】
このようにして田植作業を終えて、機体をトラックに積み込む場合には、左右予備苗載台70・70を収納状態の位置にすれば、左右予備苗載台70・70は機体平面視で乗用型走行車輌1の側端と略同じ位置になるので、機体幅が短くなって小型のトラック(軽四輪トラック)にも積載が可能となり、また、納屋等に収納する場合も収納面積が狭くてすみ、効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】左予備苗載台70の正面図である。
【図4】左予備苗載台70の側面図である。
【図5】左予備苗載台70の平面図である。
【図6】左予備苗載台70の作用説明用正面図である。
【図7】左予備苗載台70の側断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1:乗用型走行車輌、46:苗植装置、70:予備苗載台、85:受け部材(空箱支持アーム)、B:空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗箱が載置できる苗箱載せ部を有する予備苗載台(70)を装備した苗植機において、該予備苗載台(70)に複数段の苗箱載せ部を設けて複数個の苗箱を載置できる構成とし、該複数段の苗箱載せ部をその機体内側よりも外側が高くなる構成とし、前記複数段の苗箱載せ部の全体又は一部を枠体にて構成し、該枠体の内方に複数段の苗箱載せ部を上下方向に貫通する空間部(B)を形成し、該空間部(B)は苗箱を挿通できる構成として、下段の苗箱載せ部に該苗箱載せ部の下方で苗箱を支持する受け部材(85)を固定して設けた苗植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−54082(P2007−54082A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323470(P2006−323470)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【分割の表示】特願2000−134875(P2000−134875)の分割
【原出願日】平成12年5月8日(2000.5.8)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】