説明

苗移植機

【課題】隣接位置に植え付けたい草などの苗に干渉することなく苗を植え付けることができる苗植付部を備えた苗移植機を提供すること。
【解決手段】走行車体10の後部に連結し、圃場への苗植付をする苗植装置12を備えた苗移植機の前記苗植装置12には、走行車体10側からの動力を伝動する伝動機構を装着した縦植付フレーム31と該フレーム31の後端部に配置され、該フレーム31内の動力伝動機構により駆動する苗植付具17と該フレーム31の両側で該フレーム(31)又はフロート18,19に支持された苗ガイド(60;61;18a,19a)を設けたので、該苗ガイドに向けて圃場に植え付けた苗が倒れてきても苗ガイドが受け止めるので苗植付具17側に巻き込まれるおそれはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水稲苗やい草苗を圃場に移植する苗移植機に関し、特にい草苗の植付部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機では、苗植装置の苗タンク上に載せたマット状の苗の他に予備の苗箱を多数走行車体に積載し、苗タンク上の苗を苗植付部で圃場に順次植え付ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−165424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の発明のように、い草を植え付ける場合に植え付けたい草の条間は水稲苗に比べて狭くすることが慣行農法として行われているので、隣接位置に植え付けたい草に干渉することがある。
そこで、本発明の課題は、隣接位置に植え付けたい草などの苗に干渉することなく苗を植え付けることができる苗植付部を備えた苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行車体(10)と、該走行車体(10)の後部に連結し、圃場への苗植付をする苗植装置(12)を備えた苗移植機において、苗植装置(12)には、走行車体(10)側からの動力を伝動する伝動機構を装着した縦植付フレーム(31)と、苗植装置(12)を圃場面上に安定的に接地させる平面を有するフロート(18,19)と、該縦植付フレーム(31)の後端部に配置され、該縦植付フレーム(31)内の動力伝動機構により駆動する苗植付具(17)と、前記縦植付フレーム(31)の両側に、該縦植付フレーム(31)又はフロート(18,19)に支持された苗ガイド(60;61;18a,19a)を設けたことを特徴とする苗移植機である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記苗ガイド(60)は、平面視で「レ」字状に折れ曲がった板材からなり、その短片側の先端が縦植付フレーム(31)の両側に設けた支持部材(31c)に取り付けられた鉛直方向に平面を有する板材からなることを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記苗ガイド(61)は、水平面を有する板材からなり、フロート(18,19)に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記苗ガイド(18a,19a)は、苗植装置(12)を圃場面上に安定的に接地させる平面を有するフロート(18,19)の両側面に設けた凸部(18a,19a)からなることを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、苗ガイド(60;61;18a,19a)に向けて圃場に植え付けた苗が倒れてきても苗ガイド(60;61;18a,19a)が受け止めるので苗植付具(17)側の部材(例えば植付クランク17a,17b)に巻き込まれるおそれはない。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、平面視で「レ」字状に折れ曲がった板材から苗ガイド(60)に向けて圃場に植え付けた苗が倒れてきても柔軟性のある折曲形状の苗ガイド(60)が受け止めるので苗植付具(17)側の部材(例えば植付クランク17a,17b)に巻き込まれるおそれはない。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、水平面を有する板材からなる苗ガイド(61)に向けて圃場に植え付けた苗が倒れてきても苗ガイド(61)が受け止めるので苗植付具(17)側の部材(例えば植付クランク17a,17b)に巻き込まれるおそれはない。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、フロート(18,19)の両側面に設けた凸部(18a,19a)に向けて圃場に植え付けた苗が倒れてきても凸部(18a,19a)が受け止めるので苗植付具(17)側の部材(例えば植付クランク17a,17b)に巻き込まれるおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】苗移植機の全体側面図である。
【図2】苗移植機の全体平面図である。
【図3】図1の移植機の苗取出ガイドの一部拡大平面図である。
【図4】図1の移植機の苗押え杆部の側面図である。
【図5】図1の移植機の苗押え杆部の平断面図である。
【図6】図1の移植機の苗植装置の縦植付フレームとその両側に取り付けた苗ガイド部分の構成を示す側面図である。
【図7】図1の移植機の苗植装置の縦植付フレームとその両側に取り付けた苗ガイド部分の構成を示す平面図である。
【図8】図7の側面図(図8(a)と背面図(図8(b))である。
【図9】図6の変形例の平面図である。
【図10】図9の側面図(図10(a))と背面図(図10(b))である。
【図11】図6の変形例の苗植装置の縦植付フレームとその両側に取り付けた苗植付具の構成を示す図(図11(a)は平面図、図11(b)は側面図)である。
【図12】図11の変形例の苗植装置の縦植付フレームとその両側に取り付けた苗植付具の構成を示す平面図(図12(a))と側面図(図12(b))とい草巻き込み防止カバーの斜視図(図12(c))である。
【図13】図1の移植機の他の実施例の苗植装置の縦植付フレームとその両側に取り付けた苗植付具の構成を示す平面図である。
【図14】図1の移植機の走行車体から苗植装置への動力伝達機構の要部を示す側面図(図14(a))と背面図(図14(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい一つの実施形態について説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明を用いた一実施例のい草苗用の苗移植機の側面図と平面図であって、苗箱に入れた床土に縦横所定ピッチで一株分ずつのい草苗を挿して所定期間育苗したい草マット状苗から一株を掻き取って圃場に移植するものである。
【0015】
乗用型走行車体10の後側に昇降リンク11を介して苗植装置12を連結する。この苗植装置12は、昇降リンク11の後端側において、ロ−リング軸13周りに回動可能に連結される苗植フレーム14上に、苗を載せて繰出供給する繰出ベルト15を有した多条植形態の苗タンク16と、この各苗タンク16の後下端に繰り出される苗を分離して土壌面に挿植する苗植付具17等を設けている。この縦植付フレーム14の下側には、土壌面を滑走しながら圃場面を均平する中央部のセンタフロート18、及び左右両側のサイドフロート19が設けられている。
【0016】
乗用型走行車体10の中央部にある運転席20を支持するエンジンカバー21の下にはエンジン22を搭載し、ステアリングハンドル23の旋回操作で操向される左右前輪24と左右後輪25を配置して、エンジン22の駆動にて走行する四輪駆動走行形態の構成としている。
【0017】
そして、運転席20の前方及び左右側方に配置したステップフロア26の前部左右側には支柱38を立設し、この支柱38に補給用苗箱載台27を五段に設けて、ステップフロア26に居る作業者が補給用苗箱載台27から苗箱を取り出して後方の苗タンク16へ苗を補給可能にしている。なお、補給用苗箱載台27は樹脂製の板状体であり、同一形状のものを片側五段に配置しているが、最下段の補給用苗箱載台27には、苗箱を外側寄りに載せるように規制具を取り付けて、運転席20に座った作業者が補給用苗箱載台27に設けるスリットからサイドマーカを見ることが出来るようにしている。
【0018】
苗植フレーム14内には、図4、図5に示すように左右方向に設けた駆動軸46の第1駆動ベベルギヤ47と縦植付フレーム31の前部に縦方向に回転自在に支架した縦回転軸48の前部に設けた第1従動ベベルギヤ49とを噛合させて、駆動軸46の回転動力を縦回転軸48に伝動している。
【0019】
そして、縦回転軸48の後方に左右方向に設けた第1横軸50aと第2横軸50bとを回転自在に支架し、縦回転軸48の後部に設けた第2駆動ベベルギヤ51と第1横軸50aに設けた第2従動ベベルギヤ52とを噛合させ、第1横軸50aと第2横軸50bとに各々設けたギヤ53,54を噛合させて、第2横軸50bに動力を伝動する構成としている。そして、該第2横軸50bに設けた駆動スプロケット55と苗植付具17の駆動軸56に設けた従動スプロケット57との間に伝動チェ−ン58を設けて、苗植付具17の駆動軸56に回転動力を伝達する構成としている。
【0020】
前記駆動回転クランク17aは該苗植付具17の駆動軸56に固定されている。そして、揺動クランク17bは縦植付フレーム31の後部に設けた回動支軸59に上端を回転自在に枢支し、下端を苗植付具17の後部に回転自在に装着されている。従って、駆動軸56の回転動力により駆動回転クランク17aが回転して、該駆動回転クランク17aの回転により揺動クランク17bが前後方向に揺動して、苗植付具17は苗タンク16に載置されたい草マット状苗を苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分ずつ取出して、圃場に植付ける作動軌跡Aを作動する構成としている。
【0021】
なお、駆動回転クランク17aには、駆動軸56の反対方向に向けて一体的にバランサ17cが設けられており、苗植付具17が円滑に作動する構成となっている。そして、い草苗移植機の場合には条間が21cmと狭いので(田植機の場合は条間が30cm)、隣接する苗植付具17間の空間は狭くなっている。従って、該バランサ17cの揺動クランク17bの下端が苗植付具17の後部に回転自在に装着されている枢支部位に対応する部分を凹部(図5参照)としてあり、狭い隣接する苗植付具17間の空間内にバランサ17cが配置できる構成となっている。
【0022】
図3は図2に示す苗タンク16の最下部の苗取出ガイド34と苗取出口39に苗植付具17の先端が位置した時のの拡大平面図を示しているが、図3に示す苗取出ガイド34の最下端部は、図5に示すように縦植付フレーム31の左右のケ−ス体31a,31bをボルト45にて固定する部分の間に配置された構成となっており、苗取出ガイド34が更に低い位置になって、図3に示すように苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなり、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれるようになっている。
【0023】
左右方向中央部の縦植付フレーム31の下側にはセンタフロート18を設け、左右外側の縦植付フレーム31の下側にはサイドフロート19が配置されている。これら各フロート18,19は、苗植フレーム14の下側を横方向に沿う支持軸40周りに上下回動調節可能に設けられる支持アーム41の後端に設けたフロート軸42によってその前部が上下揺動自在に支持される。センタフロート18とサイドフロート19には、後部上にブラケット43を取り付けて、このブラケット43を各フロート18,19毎に対応して設けられる支持アーム41にフロート軸42によって枢支する。これら各フロート軸42は、苗植付具17の昇降作動位置近くに設けられ、各フロート18,19の前部上下揺動による苗植付具17の支持高さの変化が少ないように構成している。
【0024】
このようにして、センタフロート18とサイドフロート19は、各別にフロート軸42周りに前部が上下揺動自在に支架されるが、このうちセンタフロート18の前部上下揺動によって、リンク機構44を介して、前記リフトシリンダ28の油圧回路の制御弁を作動させて、このセンタフロート18が大きく上動すると、このリフトシリンダ28を伸ばして苗植装置12を上昇させ、又、センタフロート18が下動すると、リフトシリンダ28を縮少して苗植装置12を下降させて、圃場の耕盤の深浅変化に拘らず略一定した苗植付深さを維持するように制御する構成としている。
【0025】
前記昇降リンク11は平行リンク形態に構成されて、乗用型走行車体10との間に設けられるリフトシリンダ28の伸縮によって昇降する構成としている。車体10の後部にはPTO軸29を設けて、前記苗植装置12の苗植フレーム14に設けられるロ−リング軸13の軸芯上の入力軸30をPTO軸29に連結して、苗植装置12の各連動部に動力を伝動する。
【0026】
前記苗植フレーム14には、3つの縦植付フレーム31を後方に向けて延出して設け、この3つの各縦植付フレーム31の各後端部に、駆動回転クランク17aと揺動クランク17bにて昇降駆動される苗植付具17が装着されている。苗植フレーム14の上側には機体横方向に沿うリ−ドカム軸32や苗タンク16の横移動を案内支持する支持フレーム33及び苗取出ガイド34を設け、このリ−ドカム軸32の伝動回転によって苗タンク16を苗植付条間隔にわたって左右往復移動させる。
【0027】
苗取出ガイド34には、図3に苗取出ガイド34の一部拡大平面図を示すように苗取出口39の左右に鋸刃を形成した根切り刃107を取り付けて苗植付具17による苗の掻き取り時に苗の根切りを行うようにしている。また、苗取出口39の奥に第二根切り刃108を設けるか苗取出口39自体に鋸刃を形成するのも良い。さらに、左右の根切り刃107と第二根切り刃108を一体にしたコ字状根切り刃にしても良い。
【0028】
6条植え形態に仕切られる苗タンク16の底部には、繰出ベルト15が下部の駆動軸35と上部の遊転軸36間に張設されて、ラチェット機構37(図1)を介して間欠的に駆動される。
各縦植付フレーム31の後端部には、上記左右両側に駆動回転クランク17aの回転によって昇降駆動される一対の苗植付具17が設けられ、この苗植付具17を前記苗取出ガイド34に形成の苗取出口39と圃場との間で植付軌跡A(図1)を描いて作動させることによって、各苗タンク16の繰出ベルト15によって繰り出される苗を分離保持して挿植することができる。
【0029】
い草の植付間隔は水稲苗の植付間隔に比べて狭いので、植え付け済みのい草に苗植付具17が干渉するおそれがあるのを防ぐために、従来は縦植付フレーム31と苗植付具17の間に棒状の苗ガイドを配置していた。しかし、このような構成を採用した場合に、圃場に植え付けたい草がフロート18,19の有る側に傾いた場合、苗植付具17の通過時にクランク17a,17bに巻き込まれることがあった。苗がクランク17a,17bに巻き込まれると本数が減ったり欠株になる。また、たびたびクランク17a,17bに巻き付いたい草を取り除く作業が発生する。
【0030】
さらに、棒状の苗ガイドを縦植付フレーム31に取付た構成は強固でなく、振動で棒状の苗ガイドの縦植付フレーム31への取付部が破損してしまうおそれがある。また、フロート18,19の脚部に棒状の苗ガイドを取り付ければ植付深さ調節の際に棒状の苗ガイドの高さが変化してい草の巻き付き防止の機能が落ち、また棒状の苗ガイドの取り付け方が難しい。
【0031】
これに対して本実施例では図6と図7に示すように縦植付フレーム31の両側に衝撃があっても柔軟に対応できる苗ガイド60を設けた。図6の側面図と図7の平面図に縦植付フレーム31とその両側に取り付けた苗ガイド部分の構成を示す。
【0032】
苗ガイド60の前後方向の長さが苗植付具17の前後方向の長さとほぼ同一であり、機体側面視で苗植付具17で圃場に植え付けられた苗のほぼ半分の高さ位置に取り付けられている。また、苗ガイド60は平面視で「レ」字状に折れ曲がった形状をなし、その短片側の先端が縦植付フレーム31の両側に設けた支持部材31cに取り付けられている。
【0033】
こうしてフロート18,19側から真下にかけて折曲状の苗ガイド60を設けたことにより、植えた苗がフロート18,19側に倒れてきても柔軟性のある折曲状の苗ガイド60で受け止められるのでクランク17a,17b側まで入ってこないので巻き込まれない。
【0034】
また、一対の折曲状の苗ガイド60が苗植付具17の前後方向の中間位置で縦植付フレーム31の下部に平面視で縦植付フレーム31を挟むようにして取り付けられているので、苗の植付深さ調節に関係なく固定的な位置でかつ強固に縦植付フレーム31に取り付けが可能になった。
【0035】
また、図8(図8(a)は側面図、図8(b)は背面図)の実施例は図6に示す一対の折曲状の苗ガイド60に代えて、金属製の板状苗ガイド61をフロート18,19の上面に設けた苗植装置部分の構成を示す。図8(b)の背面図に示すように板状苗ガイド61は鉄板を折り曲げて縦植付フレーム31の両側に取り付け、一対の板状苗ガイド61の間を板材で接続して該板材部分をフロート18,19の上面に配置してフロート18,19にボルトより固定して取り付ける。
【0036】
このような板状苗ガイド61を備えた構成により圃場に植え付けたい草などの苗がフロート18,19のある側に傾いている間に揺動するクランク17a,17b側まで入ってこないので、クランク17a,17bに巻き込まれるおそれがない。
また、図9および図10(図9は平面図、図10(a)は側面図、図10(b)は背面図)にはフロート18,19の両側面に、該両側面より外側に突出した凸部(ブロー形成)18a,19aを設けた構成を示す。フロート18,19の両側面の凸部18a,19aが苗植付具17の通過時にクランク17a,17bに植え付けた苗が巻き込まれることを防止することができる。
【0037】
機体側面視で、圃場に植え付けた苗が通過する区間でフロート18,19の中央部に凸部18a,19aが設けられているので圃場に植え付けた苗がフロート18,19の側には倒れず、クランク17a,17bに巻き込まれることがない。
【0038】
また、図11(図11(a)は平面図、図11(b)は側面図)には苗植付具17の回動中心軸62を中心に一端が揺動自在に連結した駆動回転クランク17aは、縦植付フレーム31から駆動回転クランク17aに駆動軸56から伝達される動力で回動し、該駆動回転クランク17aの回動に連動して苗植付具17が回動することは既に説明したとおりである。
【0039】
苗植付具17が回動時に、苗植付具17の回動軸62の駆動回転クランク17a側に圃場に植え付けた苗が倒れ込むとクランク17a,17bに巻き込まれるおそれがあるので、苗植付具17の回動軸62の駆動回転クランク17a側に揺動カバー63を設けて、苗植付具17の回動軸62に苗が巻き込まれるのを防止する。
【0040】
揺動カバー63の一端が回動軸62を覆い、他端は揺動クランク17bの揺動中心である回動支軸59に支持されて摺動する構成である。すなわち、揺動カバー63の揺動中心である回動支軸59側には長孔63aが設けられており、該長孔63aを貫通して揺動クランク17bが回動支軸59から抜けないように摺動自在に支持されている。
【0041】
そのため苗植付具17が軌跡Aのように回動している間には揺動カバー63は揺動カバー63’と揺動カバー63”で示す位置を順次経由しながら揺動し、しかも苗植付具17の回動軸62をカバーした状態を保つことができ、植込クランク17a、17b及び苗植付具17の隙間にい草が巻き込まれることが無くなる。
【0042】
図12(a)、図12(b)に苗植付具17とその周囲の構成の平面図と側面図をそれぞれ示し、図12(c)にい草巻き込み防止カバーの斜視図を示すように、苗植付具17の回動軸62の駆動回転クランク17a側の表面だけにい草巻き込み防止カバー65を取り付けてもよい。この場合のい草巻き込み防止カバー65はクランク17a,17bの苗植付具17への取り付け時に回動軸62部分に嵌め込んでおく。
こうして、圃場に植えたい草がフロート18,19側に傾いた場合にもクランク17a,17bに巻き込まれることを防ぐことができる。
【0043】
図13の苗植付具17とその周囲の構成の平面図に示す実施例では、縦植付フレーム31の両側に回動自在に取り付ける揺動クランク17bと苗植付具17の連結部を図6等で示すように苗植付具17に対して駆動回転クランク17a側に設けるのではなく、苗植付具17に対して駆動回転クランク17aの反対側に設けた構成である。
【0044】
図6では苗植付具17の連結部にある揺動クランク17bの回動軸64に設けられるボルト66の装着部分は駆動回転クランク17aのバランサ(重り)17cにはボルト装着部に接触しないように凹部を設ける必要があるが、図13に示す構成では揺動クランク17bの回動軸64に設けられるボルト66の装着部分は苗植付具17を中心に植込クランク17aの重り17cとは反対側にあるので、駆動回転クランク17aのバランサ(重り)17cには凹部を設ける必要がなく、左右同一形状の駆動回転クランク17aの製作をするだけで良いので製作時のコストダウンができる。
【0045】
また、図14(a)の側面図と図14(b)の背面図に入力軸30への機体本体側からの動力伝達機構の要部を示す。
走行車体10のトランスミッション(図示せず)から車体10の後部に設けたPTO軸29に動力が伝達され、該PTO軸29からの動力が入力軸30を介して苗植付部12の駆動が行われる。
このとき、PTO軸29と苗植装置12側の入力軸30の間に微少刻みに株間を変更できる株間ミッション68を走行車体10の支持フレームである上下左右フレーム70を避けるように後付け可能に設けた。
【0046】
株間ミッション68は3段切替可能なギヤ群から構成され、該ギヤ群は株間チェンジレバー71で切替自在な構成である。しかも3段切替機構を構成するギヤ群の駆動ギヤ72を従動ギヤ73の上位に配置している。また、駆動ギヤ72と従動ギヤ73を上下に配置しているので株間変更ミッション68の配置スペースが大きくならないだけでなく、この株間ミッション68を含む動力伝達機構を走行車体10のフレーム70に後付けできる利点がある。
【0047】
このように駆動ギヤ72を上位に配置し、従動ギヤ73を下位に配置することで、3段切替可能なギヤ群を上側に配置し、その後端にユニバーサルジョイント75を介して連結する入力軸30を下側に配置して機体側面視でこれらの伝動機構を階段状に配列できるので、ユニバーサルジョイント75の折れ角を小さくできる。
【符号の説明】
【0048】
10 乗用型走行車体 11 昇降リンク
12 苗植装置 13 ロ−リング軸
14 苗植フレーム 15 繰出ベルト
16 苗タンク 17 植付具
17a 駆動回転クランク 17b 揺動クランク
17c バランサ 18 センタフロート
19 サイドフロート 20 運転席
21 エンジンカバー 22 エンジン
23 ステアリングハンドル 24 前輪
25 後輪 26 ステップフロア
27 補給用苗箱載台 28 リフトシリンダ
29 PTO軸 30 入力軸
31 縦植付フレーム 31a,31b ケ−ス体
31c 支持部材 32 リ−ドカム軸
33 支持フレーム 34 苗取出ガイド
35 駆動軸 36 遊転軸
37 ラチェット機構 38 支柱
39 苗取出口 40 支持軸
41 支持アーム 42 フロート軸
43 ブラケット 44 リンク機構
45 ボルト 46 駆動軸
47 第1駆動ベベルギヤ 48 縦回転軸
49 第1従動ベベルギヤ 50a 第1横軸
50b 第2横軸 51 第2駆動ベベルギヤ
52 第2従動ベベルギヤ 53,54 ギヤ
55 駆動スプロケット 56 駆動軸
57 従動スプロケット 58 伝動チェ−ン
59 回動支軸 60 苗ガイド
61 板状苗ガイド 62 回動軸
63 揺動カバー 64 回動軸
66 ボルト 68 株間ミッション
70 上下左右フレーム(走行車体の支持フレーム)
71 株間チェンジレバー 72 駆動ギヤ
73 従動ギヤ 75 ユニバーサルジョイント
77 苗取り板 78 L字状のレバー
79 刃物 107 根切り刃
108 第二根切り刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(10)と、該走行車体(10)の後部に連結し、圃場への苗植付をする苗植装置(12)を備えた苗移植機において、
苗植装置(12)には、
走行車体(10)側からの動力を伝動する伝動機構を装着した縦植付フレーム(31)と、
苗植装置(12)を圃場面上に安定的に接地させる平面を有するフロート(18,19)と、
該縦植付フレーム(31)の後端部に配置され、該縦植付フレーム(31)内の動力伝動機構により駆動する苗植付具(17)と、
前記縦植付フレーム(31)の両側に、該縦植付フレーム(31)又はフロート(18,19)に支持された苗ガイド(60;61;18a,19a)
を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記苗ガイド(60)は、平面視で「レ」字状に折れ曲がった板材からなり、その短片側の先端が縦植付フレーム(31)の両側に設けた支持部材(31c)に取り付けられた鉛直方向に平面を有する板材からなることを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記苗ガイド(61)は、水平面を有する板材からなり、フロート(18,19)に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項4】
前記苗ガイド(18a,19a)は、苗植装置(12)を圃場面上に安定的に接地させる平面を有するフロート(18,19)の両側面に設けた凸部(18a,19a)からなることを特徴とする請求項1記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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