説明

苗移植機

【課題】本発明の課題は、苗移植機において、苗供給装置の苗収容体へ苗を補給する作業を自動化しようとすることである。
【解決手段】走行装置1を備えた機体フレーム2b上に、苗収容体45をループ状に周回する苗供給装置42を設け、該苗供給装置42の下部に苗供給装置42から受け取った苗を圃場に移植する苗植付け体4を設けた苗移植機において、苗供給装置42の近くに設ける苗トレイ72中の苗の茎を把持して苗収容体45上に移動し補給する苗補給装置76を設けたことを特徴とする苗移植機とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗を畝に移植する苗移植機に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体を自走させる走行装置と、上下動するよう設けて上位で上方から苗を受入れて下位で受入れた苗を圃場に移植する苗植付け体と、該苗植付け体に上方から苗を落下させて供給する苗供給装置とを備え、前記苗供給装置には、上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し複数の苗収容体と、該苗収容体を前記苗植付け体の上方を通過する状態で周回動させる苗収容体移動機構と、前記苗収容体の底蓋を苗植付け体の上方位置で開放する底蓋開放機構を設けた苗移植機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−4813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の苗移植機は、苗供給装置の苗収容体へ苗を補給する作業を作業者が歩行しながら或いは機体上の座席に座って人手で行っている。本発明の課題は、苗移植機において、苗供給装置の苗収容体へ苗を補給する作業を自動化しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行装置1を備えた機体フレーム2b上に、苗収容体45をループ状に周回する苗供給装置42を設け、該苗供給装置42の下部に苗供給装置42から受け取った苗を圃場に移植する苗植付け体4を設けた苗移植機において、苗供給装置42の近くに設ける苗トレイ72中の苗の茎を把持して苗収容体45上に移動し補給する苗補給装置76を設けたことを特徴とする苗移植機とする。
【0006】
この構成で、苗トレイ72中の苗が苗補給装置76で苗供給装置42の苗収容体45に補給し、苗植付け体4で苗を畝に植え付ける。
請求項2に記載の発明は、苗補給装置76は複数の把持フィンガ88,89を有し、同時に複数の苗を苗収容体45に補給すべくしたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とした。
【0007】
この構成で、苗の補給が効率的に行われる。
請求項3に記載の発明は、苗供給装置42は苗収容体45を直線的に移動する区間を有するループ状に周回させ、該苗収容体45が直線的に移動する区間で苗補給装置76が複数の苗を同時に把持して苗収容体45に補給することを特徴とする請求項2に記載の苗移植機とした。
【0008】
この構成で、苗トレイ72の苗が効率良く苗収容体45に補給され、苗植付け体4で苗を移植する前に苗の状態をチェックすることが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明で、作業者が苗を苗収容体45に補給する作業が必要なくなり、移植作業が楽になる。
請求項2或いは請求項3の発明で、苗移植機を速く走行させて作業能率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】苗移植機の全体側面図である。
【図2】苗移植機の全体平面図である。
【図3】苗移植機の伝動構成を示す伝動線図である。
【図4】苗収容体の連結構成を示す斜視図である。
【図5】苗供給装置の一部を示す平面図である。
【図6】苗供給装置の一部を示す側断面図である。
【図7】苗供給装置から苗植付け体への苗供給部を示す正面図である。
【図8】苗供給装置から苗植付け体への苗供給部を示す平面図である。
【図9】苗トレイの側断面図である。
【図10】苗補給装置のバンド部の平面図である。
【図11】苗補給装置のバンド部の側面図である。
【図12】別実施例の苗補給装置のバンド部の平面図である。
【図13】さらに別実施例の苗補給装置のバンド部の平面図である。
【図14】さらに別実施例の苗補給装置のバンド部の平面図である。
【図15】別実施例の苗トレイ台の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の一実施形態としての苗移植機を以下に説明する。尚、以下の図示例で、前又は後というときは、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン5を配置した側を前としていう。そして、右又は左というときは、機体後部において機体前部側を前側として立つ作業者から見て右手側を右とし、左手側が左としていう。
【0012】
苗移植機は、走行装置1と操縦ハンドル2を備えた機体に、昇降駆動するリンク機構3と連結して昇降動作する開閉可能なくちばし状の苗植付け体4,4を左右に二体備えた構成としている。
【0013】
走行装置1は、図示例では、エンジン5と、該エンジン5の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪6,6と、該後輪6,6の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪7,7とを備えたものとしている。
【0014】
エンジン5の後部には、ミッションケース8を配置し、そのミッションケース8は、その左側部からエンジン5の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン5の左側部と連結している。このケース部分にエンジン5の出力軸が入り込んでミッションケース8内の走行部系変速伝動部C1と作業部系変速伝動部C2(図3参照)に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース8の左右両側部に伝動ケース9,9を回動自在に取り付け、この伝動ケース9,9の回動中心にミッションケース8から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース8内の走行部系変速伝動部C1を経た走行用の動力が伝動ケース9,9内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース9,9内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端側に突出する車軸10,10に伝動し、後輪6,6が駆動回転するようになっている。
【0015】
また、伝動ケース9,9のミッションケース8への取付部には、上方に延びるアーム11,11を一体的に取り付けていて、これがミッションケース8に固定された昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆13の左右両側部と連結している。その連結部の右側はロッド14で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ15で連結している。
【0016】
昇降用油圧シリンダ12が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム11,11は後方に回動し、これに伴い伝動ケース9,9が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ12のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右のアーム11,11は前方に回動し、これに伴い伝動ケース9,9が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ12は、機体に対する畝上面高さを検出する接地センサSの検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した昇降レバーLの人為操作によって機体を上昇或は下降させるよう作動する構成ともしている。
【0017】
また、前記左右水平制御用油圧シリンダ15が伸縮作動すると、前記天秤杆13が、その左右中央部の昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端と連結する上下軸心周りに回動して左右の伝動ケース9,9を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ15は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサ(図示省略)の検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0018】
前記左右前輪7,7は、エンジン5下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム16の左右両側部の下方に延びるアーム部分の下端部側方に固定した車軸17,17に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪7,7は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
【0019】
前記操縦ハンドル2は、ミッションケース8に前端部を固定した機体フレーム2bの後端部に取り付けている。機体フレーム2bは、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム2bの後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0020】
尚、上記走行装置1は、四輪構成としたものであるが、左右一対の駆動輪のみの2輪構成でもよいし、前輪の替わりに畝上面を転動する鎮圧輪としてもよい。また、クローラ式の走行装置としてもよい。
【0021】
次に、リンク機構3及び苗植付け体4について説明する。
リンク機構3は、ミッションケース8内の作業部系変速伝動部C2を経た苗移植作業部駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース18に装着している。
【0022】
図示のように、植付け伝動ケース18は、その前部がミッションケース8の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部18aと、この第一ケース部18aの上部左側部に固定されそこから後方に延びる第二ケース部18bを有するものとしている。これら第一ケース部18a、第二ケース部18b内にリンク機構3を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。
【0023】
なお、第一ケース部18a内に内装した伝動機構には、リンク機構3及び苗植付け体4,4をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構Kと、リンク機構3及び苗植付け体4,4の昇降動を停止させるクラッチ手段CL2とを備える。間欠駆動機構Kによって停止する時間は、該間欠駆動機構Kの伝動上手側に設けた株間変更用変速部C3によって調節され、この調節によって苗植付け体4,4による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0024】
そして、リンク機構3は、左右の苗植付け体4,4の前側の開閉支点となる軸19の左右二個所で回動自在に連結する第一昇降アーム20と、苗植付け体4の後側の開閉支点となる軸21の左側部に回動自在に連結する第二昇降アーム22とを備える。そして、第一昇降アーム20の下端部は、第二ケース部18bの下部にから右側に延びる取付軸に揺動自在に取り付けた第一揺動アーム23の先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム22の下端部は、第二ケース部18bの後部側下部にから右側に延びる取付軸に揺動自在に取り付けた第二揺動アーム24の先端部と回動自在に連結する。
【0025】
また、第一昇降アーム20の中間部は、第二ケース部18bの右側部から突出し駆動回転する第一駆動軸25に固定されて駆動回転する第一駆動アーム26の先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム22の中間部は、第二ケース部18bの後部側右側部から突出し駆動回転する第二駆動軸27に固定されて駆動回転する第二駆動アーム28の先端部と回動自在に連結する。
【0026】
従って、第一駆動アーム26と第二駆動アーム28とが植付け伝動ケース18内の伝動機構によって動力が伝達されて駆動回転すると、第一昇降アーム20と第二昇降アーム22が揺動しながら昇降動し、その結果、左右の苗植付け体4,4の下端部が側面視で上下に長い閉ループ軌跡Tで昇降動する。
【0027】
また、第一駆動アーム26と第二駆動アーム28とは、共に、左側方から見て反時計回りに回転して左右の苗植付け体4,4の下端部が左側方から見て反時計回りに閉ループ軌跡Tで昇降回動する。従って、作業走行しながら左右の苗植付け体4,4が上記回転方向で前記軌跡Tを描くように昇降回動すると、軌跡Tの下端部で苗植付け体4,4の下端部が圃場の畝Uの土壌中に付き刺さったとき、苗植付け体4が畝Uに対して前後に大きくずれないようになり、前後に大きく植え跡を残さずに適確な姿勢で苗を植付けることができる。
【0028】
なお、くちばし状の苗植付け体4、4は、その昇降動最下位まで下降すると前後に開いて苗植付け体4,4内の苗を畝Uの土壌に放出する。
左右の苗植付け体4,4は、それぞれ下方に向かって延びるくちばし状に形成したもので前後に開閉可能に構成している。このくちばし状部の前側部分である前側くちばし部4F,4Fは、その上部側が後方にアーム状にのびてその先端部が苗植付け体4,4の後側の開閉支点となる軸21に回動自在に連結し、くちばし状部の後側部分である後側くちばし部4B,4Bは、その上部側が前方にアーム状にのびてその先端部が苗植付け体4,4の前側の開閉支点となる軸19に回動自在に連結する。
【0029】
そして、前側くちばし部4F,4F上部の後方にのびるアーム状部と後側くちばし部4B,4B上部の前方にのびるアーム状部とは、それぞれ前側の軸19と後側の軸21との前後中央位置に設けた長孔に横軸方向の軸部を有するナットを嵌めて連結し、前側くちばし部4F,4Fと後側くちばし部4B,4Bの一方側は他方側の動作に連動して回動し両者が前後に開閉動作するようになっている。
【0030】
また、前側くちばし部4Fと後側くちばし部4Bとはスプリングにて苗植付け体4を閉じる方向互いに連結している。
更に、第一昇降アーム20と第一揺動アーム23とが互いに連結する軸部分に、左右の苗植付け体4,4を開閉動作させるための開閉アーム31を回動自在に連結し、その開閉アーム31の先端部と左右の前側くちばし部4F,4Fの各上部から上方に延びる各アーム部を互いに左右に連結する連結軸とを連結ロッド32で連結している。
【0031】
開閉アーム31の中間部には、苗植付け体4,4がその昇降動最下位まで下降したときに、第一昇降アーム20を回動自在に連結している第一駆動アーム26の先端部に固定の軸に固定したカム34と該カム34に開閉アーム31を圧接させるスプリングの作用によって前後揺動して開閉アーム31が前後に回動し、開閉アーム31が後方に回動すると左右の前側くちばし部4F,4Fを後側の回動支点である軸21周りに上方回動し、これとともに後側くちばし部4B,4Bを前側の回動支点である軸19周りに上方回動して、苗植付け体4が開く。そして、苗植付け体4,4が上昇途中でカム34の開き作用から開放され苗植付け体4,4が閉じる。
【0032】
なお、上記のカム34、開閉アーム31、連結ロッド32等は、苗植付け体4の開閉機構を構成するが、公知の別の開閉機構を採用してもよい。
苗植付け体4,4の上部には、苗植付け体4,4内に苗を案内する筒状の案内体35,35を取り付けている。この案内体35,35は、苗植付け体4,4の開閉支点となる軸19,21より上方に突出させて設けていて、上方から投入された苗を苗植付け体4,4内の下端部に苗を案内する。
【0033】
上記苗植付け体4,4が植付けた苗に対して覆土鎮圧するための接地転動輪36を、左右の苗植付け体4,4の苗植付け個所の各後方左右両側近傍位置に一個ずつ設けている。該接地転動輪36は、機体フレーム2bの途中部に前部が左右軸回りに回動自在に取付けた支持フレーム37の後部側にそれぞれ横軸回りに回転自在に取付けている。
【0034】
支持フレーム37の左右内側2つのフレームの後部と左右外側2つのフレームの後部はそれぞれ互いに連結する連結部38,38を有し、該連結部38,38と、機体後部側に設けた支持部材39,39に下降下限位置を設定して上下動自在に取付けた後部支持ロッド40,40の下端部を横軸回りに取付けて支持している。この後部支持ロッド40,40には、接地転動輪36に設定した鎮圧力を与えるようウエイト41,41を装着している。
【0035】
上記構成の苗移植機は、苗植付け体4,4に上方から苗を落下させて供給する苗供給装置42を備える。
即ち、機体を自走させる走行装置1と、上下動するよう設けて上位で上方から苗を受入れて下位で受入れた苗を圃場に放出する苗植付け体4,4と、該苗植付け体4,4に上方から苗を落下させて供給する苗供給装置42とを備え、前記苗供給装置42には、上下に開口する筒状体43…と該筒状体43…の下側の開口部43a…を開閉する底蓋44…とを有し互いにループ状に連結する複数の苗収容体45…と、該苗収容体45…を前記苗植付け体4,4の上方を通過する状態で機体平面視非円形のループ状の軌跡で周回動させる苗収容体移動機構46と、前記苗収容体45…の底蓋44…を苗植付け体4,4の上方位置で開放する底蓋開放機構47を設けた構成としている。
【0036】
この苗供給装置42は、以下のように作用するものとなる。
走行装置1によって機体が自走すると、その走行中に苗植付け体4,4は上下動し、上位に位置するときに苗供給装置42から落下供給された苗を上方から苗を受入れて、下位に位置するときに受入れた苗を圃場に放出して苗を圃場に移植する。苗供給装置42は、上下に開口する筒状体43…と該筒状体43…の下側の開口部43a…を開閉する底蓋44…とを有した苗収容体45…が複数備えられて互いにループ状に連結し、苗収容体移動機構46によって苗植付け体4,4の上方を通過する状態で機体平面視非円形のループ状の軌跡で周回動する。そして、底蓋開放機構47により苗植付け体4,4の上方位置で苗収容体45…の底蓋44…が開放される。
【0037】
従って、苗収容体45…の中に収容された苗は、苗収容体45…の周回動によって苗植付け体4,4の上方位置まで移送されそこで落下し苗植付け体4,4に供給される。
そして、苗供給装置42は、前記苗収容体45…の外周に円筒外周部43c…を形成し、該円筒外周部43c…に外側から回動自在に係合する係合部48を有して二つの苗収容体45,45を連結する連結体49を複数設け、該連結体49…の前記係合部48…を苗収容体45…の前記円筒外周部43c…に回動自在に係合し該円筒外周部43c…を回動軸として隣の苗収容体45…が回動自在に連結する状態として前記複数の苗収容体45…を互いに連結した構成としている。
【0038】
これにより、この苗移植機は、苗収容体45…は、苗収容体45…の円筒外周部43c…を回動軸として隣の苗収容体45…が回動しながら周回動することになって、苗収容体45…の間隔の変動が生じ難いものとなり、よって、苗植付け体4,4に対する苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができ、また、苗収容体45…の個数と周回動する範囲を設定したうえで、苗収容体の上側開口部43b…を可能な限り広く形成できて、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体45…への苗供給作業をできるだけ容易に行えるものとなる。
【0039】
また、苗供給装置42は、前記苗収容体45…の筒状体43…に底蓋44…を開閉回動可能に取付け、該苗収容体45…のそれぞれに前記連結体49…を一つずつ一体的に取付け、該連結体49…の前記係合部48を隣の苗収容体45…の前記円筒外周部43c…に回動自在に係合させて苗収容体45…を互いに連結した構成としている。
【0040】
これにより、この苗移植機は、苗収容体45…は、苗収容体45…の円筒外周部43c…を回動軸として隣の苗収容体45…が回動しながら周回動し、しかも、苗収容体45…が周回動するとき、連結体49…が周回方向に沿う姿勢で移動するとともに、連結体49…を筒状体43…に一体的に取付けた苗収容体45…も、底蓋44…の取付部50…が周回方向に対し設定方向に位置する状態を維持しながら移動することになる。
【0041】
よって、苗収容体45…の底蓋44…は、苗植付け体4,4の上方位置においていつも同じ方向に開放動作するものとなり、底蓋開放機構47による底蓋44…の開放が適確に作動するようになり、苗植付け体4,4に対する苗供給が一層適正に行われて適確な苗の移植ができるものとなる。
【0042】
以下に、苗供給装置42の苗収容体移動機構46の構成について説明する。
即ち、ループ状に連結した苗収容体45…を巻き掛ける移動作用体51,51を機体の左右に設け、該移動作用体51を駆動回転する構成として、ループ状に連結した苗収容体45…を機体平面視で左右に長い長円軌跡を描かせて周回移動する構成としている。
【0043】
移動作用体51の外周には、その外周に巻き掛けられた苗収容体45…の円筒外周部52…に係合する凹部を苗収容体45…の連結間隔に対応する間隔で複数形成して、苗収容体45…を確実に移動させられるように設けている。
【0044】
移動作用体51の駆動構成は、苗植付け体4,4を間欠駆動する前記間欠駆動機構Kの伝動上手側で前記株間変更用変速部C3の伝動下手側の伝動経路から動力を取出して移動作用体51を連続回転駆動し、苗収容体45…を連続的に周回移動させるように構成している。
【0045】
具体的は、植付け伝動ケース18の第一ケース部18aの左側部から連続回転する回転軸53aを突出させ、該回転軸53aに自在継ぎ手を介して伝動軸53bを連結し、該伝動軸53bにて機体左側に設けた伝動ケース54に伝動し、該伝動ケース54から上方に突出させた回転軸55に一体回転するように取付けた左側の移動作用体51を駆動回転する構成としている。
【0046】
また、回転軸55にはスプロケット56も一体回転するように取付け、該スプロケット56と、右側の移動作用体51の回転軸57に一体回転するように取付けたスプロケット58とに伝動チェン59を巻き掛けて、左右の移動作用体51の両方を駆動回転する構成としている。
【0047】
なお、前記伝動ケース54内の伝動機構は、該伝動ケース54の前側に突出する入力軸60が、その前端部が前記伝動軸53bの後端部と自在継ぎ手を介して連結して伝動回転し、伝動ケース54内で、入力軸60の後端部に形成したベベルギヤ61が、前記移動作用体51の回転軸55と一体回転するように取付けたベベルギヤ62と噛み合うように設けている。(図6参照)
従って、前記伝動軸53bを介して伝動されてきた回転動力は、この伝動ケース54内で上下方向の前記回転軸55回りの回転に変換されて前記移動作用体51を伝動回転する構成としている。
【0048】
苗供給装置42を駆動する動力は、前記のとおり、苗植付け体4,4を間欠駆動する前記間欠駆動機構Kの伝動上手側で、前記株間変更用変速部C3の伝動下手側の伝動経路から取出している。これにより、苗植付け体4,4は間欠的に駆動し、苗供給装置42は連続的に駆動する構成とした苗移植機にあって、苗植付け体4,4が昇降軌跡Tの上位において間欠的に停止する時間を変更して苗植付株間を変更可能とするよう株間変更用変速部C3を間欠駆動機構Kの伝動上手側に設けた構成において、上記のように苗供給装置42を駆動する動力を取出す構成としたので、間欠駆動する苗植付け体4,4の間欠停止時間を変更して苗植付株間を変更しても、それに対応して、連続的に駆動される苗供給装置42の動作速度も変更されるので、苗供給装置42から苗植付け体4,4への苗の供給が良好に行われ、作物等の種類に応じて、適宜、苗植付株間を変更調節しても良好に苗移植作業が行えるものとなる。
【0049】
また、苗供給装置42への伝動を入り切りするクラッチ手段CL1を、苗供給装置42を駆動する動力を前記間欠駆動機構Kの伝動上手側で、前記株間変更用変速部C3の伝動下手側から移動作用体51を回転駆動する回転軸55への伝動経路に設け、一方、苗植付け体4,4への伝動を継続して切ることを可能とするクラッチ手段CL2を前記間欠駆動機構Kに設けている。
【0050】
そして、苗供給装置42側のクラッチ手段CL1と苗植付け体4,4側のクラッチ手段CL2は、操縦ハンドル2側に設けた一つの人為操作具(例えば操作レバー等)によって同時に切り操作及び入り操作されるように構成している。
【0051】
前記間欠駆動機構Kには、苗植付け体4,4を一サイクル植付け動作させて自動的に停止させる一回転停止機構とこの一回転停止機構による苗植付け体4,4を一サイクル植付け動作の開始操作を行う一回転開始機構を備えて、その一回転開始機構の作動タイミングが前記株間変更用変速部C3によって調節される構成となる。
【0052】
従って、前記一回転開始機構の作用部と一回転停止機構の非作用部との位置関係を作用しあわない位置に変更操作するだけで、苗植付け体4,4を設定位置で継続的に停止できる。このように、間欠駆動機構Kを利用して前記クラッチ手段CL2を構成すれば、苗植付け体4,4を設定位置で停止でき、且つ、構成の簡略化が図れる。
【0053】
一方、苗供給装置42は連続的に駆動するため、前記クラッチ手段CL1は間欠駆動機構Kの伝動上手側に設けることになり、苗植付け体4,4側の前記クラッチCL2を上記ように間欠駆動機構Kを利用すると当該クラッチCL2と共用できない。しかしながら、苗供給装置42側のクラッチ手段CL1と苗植付け体4,4側のクラッチ手段CL2を一つの人為操作具によって同時に切り操作及び入り操作するように構成することによって、苗植付け体4,4側の前記クラッチCL2を上記ように間欠駆動機構Kを利用する利点を生かしながら、連続的に駆動される苗供給装置42の停止及び駆動再開を、苗植付け体4,4の停止及び駆動再開のタイミングに合わせて行うことができる。
【0054】
なお、前記苗供給装置42側のクラッチ手段CL1は、伝動負荷が設定値以上になると自動的に動力を切断する機構を備えている。また、苗植付け体4,4側と苗供給装置42側とに動力が分岐する前の作業部系伝動経路にも、伝動負荷が設定値以上になると自動的に動力を切断する機構を有するクラッチ手段CL3設けている。そして、該クラッチ手段CL3において自動的に動力を切断する伝動負荷の設定値は、前記苗供給装置42側のクラッチ手段CL1において自動的に動力を切断する伝動負荷の設定値よりも高い値に設定している。
【0055】
これにより、前記苗供給装置42への苗供給作業中に作業者等が誤って接触して苗収容部45…の周回移動を強制的に停止させるような過負荷状態が苗供給装置42の駆動系に生じても、前記クラッチ手段CL1が作動して苗供給装置42の駆動系の破損を適宜回避できるようになる。この苗供給装置42への伝動を自動的に遮断するのを苗植付け体4,4側と苗供給装置42側とに動力が分岐する前の作業部系伝動経路に設けた前記クラッチ手段CL3にて動作させようとすると、圃場に苗を植付けるために土壌中に突入するために伝動負荷が苗供給装置42の駆動系よりも大きいものとなる苗植付け体4,4の駆動が適確に継続することができなくなる。
【0056】
しかしながら、上記のように構成したことにより、苗植付け体4,4と苗供給装置42の駆動を適確に継続できるようにし、且つ、苗植付け体4,4に対して生じた過負荷と苗供給装置42に対して生じた過負荷をそれぞれ前記クラッチ手段CL1,CL3にて適確に解放できて、苗植付け体4,4と苗供給装置42の両駆動系を適確に保護することができる。
【0057】
上記苗供給装置42の支持構成は、以下のように構成している。左右の前後車輪6,7の間にエンジン5とミッションケース8を配置した機体前部側から、機体下部側を後方に向って延びて後部側を後上がり状態に形成した機体フレーム2bを設けて該機体フレーム2bの後端部に操縦ハンドル2を装着するとともに、前記機体前部側から機体上部側を後方に向って延びる第一支持フレーム63を設けて該第一支持フレーム63の後部側を前記機体フレーム2bと連結し、該支持フレーム63から左右両外側方に延びる第二支持フレーム64を設け、該第二支持フレーム64の左右両側部で、ループ状に連結した苗収容体45…を機体平面視で左右に長い長円軌跡を描かせて周回移動させる左右の移動作用体51の回転軸を支持する構成とした。
【0058】
また、第二支持フレーム64を、第一支持フレームと連結する側の基部側フレーム部64aと、移動作用体51の回転軸を支持する側の支持部側フレーム部64bとで分割構成し、基部側フレーム部64aに対して支持部側フレーム部64bを左右方向に移動調節可能に設けている。これにより、左右の移動作用体51の外周に巻き掛けられるループ状に連結した苗収容体45…の緊張状態を適宜調節することが容易に行え、組み立てやメンテナンスが容易になる。
【0059】
苗供給装置42には、苗収容体45…を、その周回移動軌跡に沿う移動を案内するガイド体65,65,65を苗収容体45…の周回移動軌跡の内側と外側とに設けている。一方、苗収容体45…には、周回移動軌跡の内側と外側に突出する突出部66を形成し、前記ガイド体65,65,65が前記突出部66の上側に位置し且つ苗収容体45…を周回移動軌跡の内外から挟み込むように配置した構成にしている。
【0060】
苗収容体45…の周回移動軌跡の下方には、苗収容体45…の周回移動中で且つ苗植付け体4,4の上方位置以外で、苗収容体45…を、下方回動により開放動作する底蓋44が閉じた状態となるようにして支持する支持体67を周回移動軌跡に沿って設けている。
【0061】
従って、前記ガイド体65,65,65と前記突出部66の上記構成は、苗収容体45…の底部に設けた底蓋44が周回移動中に開いて苗収容体45…内に収容した苗が底蓋44が開いて生じた隙間からはみ出て苗を傷めることも防止するものとなる。
【0062】
また、本例では、苗収容体45…のそれぞれに一体的に設けた連結体39…に上記突出部66を形成したので、構成の簡略化が図れている。なお、前記支持体66と前記ガイド体65,65,65は、第一支持フレーム63に取付けた取付部材68に取付けて支持している。
【0063】
苗供給装置42の苗収容体45…の周回移動軌跡の内側部位は、上側をガバー体69で覆い、その上部に苗補給装置76の取付ベース82を支持枠74で取り付けている。
苗補給装置76は、前側に設ける苗トレイ台75の苗トレイ72から苗の茎を把持して苗収容体45に供給する装置で、取付ベース82から前に延ばす第一アーム79と第二アーム78の先端にハンド部77を設け、第一シリンダ80と第二シリンダ81の伸縮でハンド部77を苗トレイ台75上苗位置から苗収容体45上に移動する。
【0064】
苗トレイ台75は、植付け伝動ケース18から立設する支脚73で支持し、左右に幅広く二つの苗トレイ72の底枠を嵌めて左右に並べて置けるスペースで、左右片側で空になった苗トレイ72を取り除き、左右他側に置く苗トレイ72を横スライドして補給位置に移動するようにしている。この苗トレイ台75の底部には、図9に示す如く、苗トレイ72のポット孔72aの底穴に突き刺さる突起75aを設けて、苗トレイ72を置いた際に該突起75aがポット孔72aの底穴に突き刺ささって苗を浮き上がらせて取り出し易くする。
【0065】
前記苗補給装置76のハンド部77は、左右片側の苗トレイ72に対して一列目が終わると二列目のように第一アーム79と第二アーム78を延ばして苗トレイ72の全ての苗を把持して取り出すようにする。
【0066】
苗トレイ台75は、図15に示す如く、前後二つの苗トレイ台75を支持軸110で前後位置交換可能にして、片側の苗トレイ台75の苗補給が終わると反転して直ちに苗補給を続けるようにすると良い。この苗補給を続けながら前の苗トレイ台75に新しい苗トレイ72を載せる。
【0067】
ハンド部77は、図10と図11に示す如く、第二アーム78の先端に取り付けたスライダ支持体84に前スライダ85と後スライダ86を横スライド可能に係合し、前スライダ85と後スライダ86から前方に向けて苗トレイ72の苗カップピッチで四対の把持フィンガ88,89を設けている。各把持フィンガ88,89の対抗面にはゴム板やスポンジ等の柔軟弾性体で構成した把持体88a,89aを取り付けている。把持フィンガ88,89は、側面視でZ字状に屈曲し、先端を上下から尖らせて苗の茎に侵入して挟むようにしている。なお、ハンド部77は、苗供給装置42の苗収容体45が直線的に移動する区間の右半分の横幅で、苗収容体45の周回を停止させて苗の補給動作を行う。
【0068】
前スライダ85と後スライダ86のスライド駆動部は、電動モータ90でベルト91とチェン94で回転する前後回転体92,93に偏芯して連結した前後リンク95,96を前スライダ85と後スライダ86にそれぞれ連結していて、電動モータ90が回転すると前スライダ85と後スライダ86が左右往復でスライドして、把持フィンガ88,89が開閉して把持動作をする。なお、苗トレイ72の上面と苗収容体45の上面を略同一高さにしてハンド部77の移動を少なくしている。
【0069】
前スライダ85と後スライダ86のスライド駆動部は、図12に示すようにしても良い。すなわち、前スライダ85と後スライダ86の片側端部に偏心ローラ87F、87Bを当接し、それと反対側に圧縮スプリング98F,98Bを介在し、把持フィンガ88,89が開く側で偏心ローラ87F、87Bが作用し、把持フィンガ88,89が閉じる側で圧縮スプリング98F,98Bが作用することで苗の茎を挟み潰さないように作用する。片側の圧縮スプリング98Fには調圧ネジ99を設けて押圧力を調整する。
【0070】
また、前スライダ85と後スライダ86のスライド駆動部は、図13に示すようにしても良い。すなわち、偏心ローラ87F、87Bを前スライダ85と後スライダ86の片側にまとめて設け、圧縮スプリング98F,98Bを他方にまとめて設けることで、駆動構成を簡単にする。偏心ローラ87F、87Bに当接する前スライダ85と後スライダ86の端部には当接部材100,101を交換可能に取り付けている。当接部材100,101の取付位置を前スライダ85と後スライダ86のスライド方向に変更するとスライド幅を変更出来、圧縮スプリング98F,98Bの圧縮力を変更することで、茎を挟む力を変更出来る。
【0071】
なお、後スライダ86から長く伸びる後スライダ86を偏心ローラ87Bで閉じ作動し短い前スライダ85を圧縮スプリング98Fで閉じ作動するようにすれば茎を挟む力を弱く出来る。
【0072】
また、ハンド部77は、図14に示すように、左右両端を除く中間部の把持フィンガ88,89の先端左右両側に把持体88a,89aを設けて、中間部の把持体88a,89aが片側ずつ交互に把持作用するようにしても良い。
【0073】
前スライダ85と後スライダ86のスライド駆動部は、噛み合わせたギヤ102,103にそれぞれ固着した駆動円盤104,105の偏芯位置に連結したリンク106,107を前スライダ85と後スライダ86の軸端に枢支連結している。従って、ギヤ102,103の間欠逆回転で、把持体88a,89aが中立・右・左に左右動して苗トレイ72のポット孔72a一つ置きに把持作用するようになる。このようにすると、せまい間隔で配設したポット孔72aの苗を取り出せるようになる。
【0074】
以上の構成で、把持フィンガ88,89が一回目の苗取り動作をした後に苗トレイ台75がポット孔72aの1ピッチ分横移動して苗取り動作を行い、さらに次の苗取り動作ではポット孔72aの1ピッチ分戻り移動してハンド部77が二列目まで伸びるようにして、さらに前記の動作を繰り返す。
【0075】
以上の苗補給装置76は、操縦ハンドル2の前に設けているので、操縦している作業者が苗の補給状態を確認し易く、もし欠株が有れば作業者が補充する。
以下、苗供給装置42の苗収容体45…の底蓋44…を苗植付け体4,4の上方位置で開放する底蓋開放機構47について説明する。
【0076】
まず、前記のとおり、苗収容体45…の周回移動軌跡の下方には、苗収容体45…の周回移動中で且つ苗植付け体4,4の上方位置以外で、苗収容体45…を、下方回動により開放動作する底蓋44が閉じた状態となるようにして支持する支持体67を周回移動軌跡に沿って設けている。この支持体67は、苗植付け体4,4の上方位置では、底蓋44が下方回動して開放動作可能となるように底蓋44の下方領域から退避した位置に変位させて設けている。また、底蓋44を下方回動可能に取付けている取付部50を苗収容体45…の周回移動方向Dの上手側になるように構成している。
【0077】
更に、この支持体67は、左右の苗植付け体4,4のそれぞれに対応して苗を供給する苗収容体45…を設定しており、例えば、本例のように、苗植付け体4,4を左右に二体並べて設けて同時に2条植付け可能に構成した場合には、前記のように、右側の苗植付け体4に落下供給する苗収容体45と左側の苗植付け体4に落下供給する苗収容体45とを交互に連結している。
【0078】
従って、右側の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が右側の苗植付け体4の上方を通過するときにのみその苗収容体45の底蓋44が開放されるようにし、且つ、左側の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が左側の苗植付け体4の上方を通過するときにのみその苗収容体45の底蓋44が開放されるようにする必要がある。このため、底蓋44に苗収容体45…の周回移動軌跡に対して外側に突出する突出部44aを設けたものと、内側に突出する突出部44bを有するものを設け、外側突出部44aを設けた底蓋44と内側突出部44bを設けた底蓋44とを互いに連結する苗収容体45…に対して交互に設ける。
【0079】
そして、先に苗植付け体4の上方を通過することになる右側(周回移動方向Dの上手側)の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が右側の苗植付け体4の上方を通過するとき、前記支持体67は、前記突出部44a或は44bを支持する位置から退避し、且つ、反対側に突出する突出部44b或は44aを支持する位置に変位するように設ける。
【0080】
また、後に苗植付け体4の上方を通過することになる左側(周回移動方向Dの下手側)左側の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が左側の苗植付け体4の上方を通過するとき、前記支持体67は、前記突出部44b或は44aを支持する位置から退避し、且つ、反対側に突出する突出部44a或は44bを支持する位置となる個所に変位するように設ける。
【0081】
これにより、右側の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が右側の苗植付け体4の上方を通過するときは、その苗収容体45の底蓋44が開放可能となり、且つ、左側の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が右側の苗植付け体4の上方を通過するときは、その苗収容体45の底蓋44は閉じた状態に支持される。
【0082】
また、左側の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が左側の苗植付け体4の上方を通過するときは、その苗収容体45の底蓋44が開放可能となり、且つ、右側の苗植付け体4に落下供給するよう設定した苗収容体45が左側の苗植付け体4の上方を通過するときは、その苗収容体45の底蓋44は閉じた状態に支持される。
【0083】
従って、この構成を採用すれば、左右の苗植付け体4,4の上方位置に移動した苗収容体45…の底蓋44は、苗供給すべき苗植付け体4に対応して支持体67による支持状態が解除されて開放動作することになる。よって、左右の苗植付け体4,4に対して適確に苗を落下供給でき、良好に苗移植作業が行える。
【0084】
更に、本例では、苗収容体45が、苗植付け体4,4の上方位置に移動しても、苗植付け体4,4が苗収容体45の直下に位置する個所まで上昇するまで底蓋44を閉じた状態で支持し、且つ、苗植付け体4,4が苗収容体45の直下に位置する個所まで上昇すると前記底蓋44の支持状態を解除して底蓋44を開放動作させる可動支持体70を設けている。
【0085】
この可動支持体70は、底蓋44を閉じた状態に支持する底蓋支持位置と底蓋44を開放可能にする底蓋非支持位置とに移動可能に設けて、苗植付け体4,4とともに昇降動する昇降部材71,71と接当することにより可動支持体70が底蓋支持位置から底蓋非支持位置に移動し、前記昇降部材71,71が接当しないときにはスプリング等の弾性部材によって底蓋支持位置に位置するように構成している。
【0086】
従って、苗植付け体4,4が間欠駆動機構Kによって間欠的に動作するのに対し苗収容体45が連続的に周回移動する構成にあっても、苗植付け体4,4が苗収容体45の直下に位置する個所まで上昇してから底蓋44が開放動作することになって、苗収容体45から苗植付け体4,4への苗の落下供給が良好に行われる。
【0087】
ところで、本例では、苗植付け体4,4を左右に二体並べて設けて同時に2条植付け可能に構成したものであるが、この構成で1条植えを行うときには、植付けを行わない苗植付け体4に苗を供給するように設定している苗収容体45…の上側開口部45b…を閉じる蓋(図示省略)を装着する構成としている。これにより、植付けを行う左右一方側の苗植付け体4に苗を供給するように設定している苗収容体45…のみに苗を供給することが容易に行え、2条植えと1条植えとが容易に行えるものとなる。尚、苗植付け体4の下部をその上部から着脱可能に構成し、上記のようにして1条植えを行う場合に、植付けを行わない苗植付け体4の下部を取外せば、植付けを行わない苗植付け体4が圃場面に孔を形成することがなくなり、一層良好な1条植えが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 走行装置
2b 機体フレーム
4 苗植付け体
42 苗供給装置
45 苗収容体
75 苗トレイ台
76 苗補給装置
88,89 把持フィンガ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(1)を備えた機体フレーム(2b)上に、苗収容体(45)をループ状に周回する苗供給装置(42)を設け、該苗供給装置(42)の下部に苗供給装置(42)から受け取った苗を圃場に移植する苗植付け体(4)を設けた苗移植機において、苗供給装置(42)の近くに設ける苗トレイ(72)中の苗の茎を把持して苗収容体(45)上に移動し補給する苗補給装置(76)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
苗補給装置(76)は複数の把持フィンガ(88,89)を有し、同時に複数の苗を苗収容体(45)に補給すべくしたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
苗供給装置(42)は苗収容体(45)を直線的に移動する区間(SS)を有するループ状に周回させ、該苗収容体(45)が直線的に移動する区間(SS)で苗補給装置(76)が複数の苗を同時に把持して苗収容体(45)に補給することを特徴とする請求項2に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−23973(P2012−23973A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162978(P2010−162978)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】