説明

茎葉収穫機

【課題】
圃場に植生する茎葉を寄せて刈り取り、茎葉を傷つけることなく選別搬送して収穫できる茎葉収穫機を提供することを課題とする。
【解決手段】
機体下部に機体を前後進させる走行装置Aを設け、機体の左右一側部に機体を操作する操縦部Bを設け、機体の左右他側部に茎葉を収容した収容体23を載置する載置部Cを設け、機体前部に茎葉を寄せる茎葉寄せ装置Dを設け、該茎葉寄せ装置Dの後部に茎葉を刈り取る刈取装置Eを設け、該刈取装置Eの後部に茎葉を後方に搬送する搬送装置Fを設け、該搬送装置Fの後部に茎葉を収容する収容部Gを設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表に露出している甘藷や馬鈴薯等の作物の蔓や茎や葉(以下、単に茎葉という)を切断して収穫する茎葉収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の茎葉処理機には、特許文献1に示されるように、甘藷や馬鈴薯を収穫する前工程として、圃場に植生する茎葉を挟持して引きちぎりながら機体後部へ搬送して排出し、甘藷や馬鈴薯を収穫しやすくする技術がある。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、切断刃で引きちぎれにくい茎葉を切断して機体後部へ搬送して排出する技術がある。
【特許文献1】特開2002−253019号公報
【特許文献2】特開平11−266640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される茎葉処理機は、甘藷や馬鈴薯を収穫する前工程として茎葉を引き抜き処理することが目的であるため、挟持して引きちぎられた茎葉は損傷が激しく、商品として扱うことができないというものであった。
【0005】
また、特許文献2に記載される茎葉処理機は、引きちぎりにくい茎葉を機体前部の切断刃で切断して後方に搬送するように構成されているが、この切断刃が茎葉を挟持する前に切断してしまうことがあり、切断された茎葉は圃場に残されてしまうので、収穫作業後に残された茎葉の回収作業を行う必要があり、作業者の負担を増大させてしまうという欠点がある。
【0006】
さらに、茎葉を挟持した後であっても、切断されるのが遅いと地中に埋まっている甘藷や馬鈴薯等を引き抜いてしまうことがあり、茎葉の商品価値だけでなく甘藷や馬鈴薯等の商品価値までも低下させてしまうという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために次の技術的手段を講じた。
請求項1記載の発明は、機体下部に機体を前後進させる走行装置(A)を設け、機体の左右一側部に機体を操作する操縦部(B)を設け、機体の左右他側部に茎葉を収容した収容体(23)を載置する載置部(C)を設け、機体前部に茎葉を寄せる茎葉寄せ装置(D)を設け、該茎葉寄せ装置(D)の後部に茎葉を刈り取る刈取装置(E)を設け、該刈取装置(E)の後部に茎葉を後方に搬送する搬送装置(F)を設け、該搬送装置(F)の後部に茎葉を収容する収容部(G)を設けたことを特徴とする茎葉収穫機とした。
【0008】
従って、機体の左右一側部に操縦部(B)を設け、左右他側部に載置部(C)を設けたことによって、作業者が機体に搭乗し収容体(23)を載置部(C)に載置した時に機体の左右バランスがよくすることができ、また収容部(G)に設けた収容体(23)が茎葉で満杯になる度に載置部(C)に収容体(23)を載置することによって、圃場に収容体(23)を圃場に下ろすことなく作業を続けることができる。
【0009】
そして、茎葉寄せ装置(D)の後部に刈取装置(E)と搬送装置(F)と収容部(G)を設けたことによって、茎葉寄せ装置(D)で圃場に植生する茎葉を寄せて刈取装置(E)で刈り取り、刈り取られた茎葉を搬送装置(F)によって後方へ搬送し、収容部(G)に設けた収容体(23)へ収容する作業を連続して行うことができると共に、茎葉の搬送経路が短くなるので機体をコンパクトに構成することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、茎葉寄せ装置(D)に、搬送装置(F)の前方左右側に設けた左右引起し装置(32)と、該左右引起し装置(32)よりも機体内側に設けた左右掻き上げ装置(40)と、搬送装置(F)の搬送始端部上方かつ左右掻き上げ装置(40)の間に設けた掻き込み装置(50)とを設けたことを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機とした。
【0011】
従って、請求項1の作用に加え、搬送装置(F)の前方左右側に左右引起し装置(32)を設け、該左右引起し装置(32)よりも機体内側に左右掻き上げ装置(40)を設けたことによって、圃場に植生する茎葉が左右引起し装置(32)によって引き起こされ、引き起こされた茎葉が左右掻き上げ装置(40)によって刈取装置(E)へと送られるため、茎葉を刈取装置(E)で刈り取り易くすることができると共に、搬送装置(F)の搬送始端部上方で左右掻き上げ装置(40)の間に掻き込み装置(50)とを設けたことによって、左右掻き上げ装置(40)に掻き上げられた茎葉を掻き込み装置(50)が搬送装置(F)へと掻き込むため、圃場に落ちる茎葉を減らすことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、左右掻き上げ装置(40)の下部を左右引起し装置(32)に回転駆動自在に取り付け、該左右掻き上げ装置(40)の上端部を開放して設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の茎葉収穫機とした。
【0013】
従って、請求項1又は2の作用に加え、左右掻き上げ装置(40)の上端部が開放されていることによって、茎葉が絡みついて左右掻き上げ装置(40)が作動不能になることを防止することができると共に、適切に左右掻き上げ装置(40)にて茎葉を掻き上げることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、左右引起し装置(32)を、左右別々に高さ調節自在に設けたことを特徴とする請求項1乃至3記載の茎葉収穫機とした。
従って、請求項1乃至3の作用に加え、圃場の条件等によって機体が傾斜している場合でも、左右引起し装置(32)を左右別々に高さ調節し、機体の傾斜に対応した作業高さに左右引起し装置(32)を左右別々に合わせることによって、圃場条件等に対応した作業を行うことができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、茎葉を引き起こす左右引起し装置(32)の引起し体(27)に切断刃(28)を設けたことを特徴とする請求項1乃至4記載の茎葉収穫機とした。
従って、請求項1乃至4の作用に加え、引起し体(27)に切断刃(28)を設けたことによって、茎葉を引き起こす引起し体(27)の上昇にて切断刃(28)が左右引起し装置(32)に絡み付く茎葉を切断するため、左右引起し装置(32)に茎葉が絡み付いて左右引起し装置(32)が作動不能になることを防止できる。
【0016】
請求項6記載の発明は、刈取装置(E)を搬送装置(F)の搬送始端部の前部下方位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至5記載の茎葉収穫機とした。
従って、請求項1乃至5の作用に加え、刈取装置(E)が搬送装置(F)の搬送始端部よりも前部下方位置に設けたことによって、刈取装置(E)で刈り取って落下させる茎葉が搬送装置(F)に向かって落下しやすくなるので、圃場に落ちる茎葉を減らすことができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、搬送装置(F)を、前後一対の回転体(55a,55b)に弾性無端帯(56)を巻き掛けて構成したことを特徴とする請求項1乃至6記載の茎葉収穫機とした。
【0018】
従って、請求項1乃至6の作用に加え、搬送装置(F)が前後一対の回転体(55a,55b)に弾性無端帯(56)を巻き掛けて構成されることによって、刈取装置(E)にて切断した茎葉は弾性無端体(56)上に載って機体後方へと搬送されるので、茎葉が潰されたり引き摺られたりすることが減るため茎葉が傷付くことを防止することができると共に、上方が開放されているため、茎葉を選別することができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、機体の左右一側部に操縦部(B)を設け、左右他側部に載置部(C)が設けられていることによって、作業者が機体に搭乗したり収容体(23)を載置部(C)に載置したりしても機体の左右バランスがよく、走行や旋回がスムーズに行われるため作業能率が向上する。
【0020】
そして、載置部(C)に茎葉を収容した収容体(23)を載置できることによって、収容部(G)に設けた収容体(23)が茎葉で満杯になる度に、圃場に収容体(23)を下ろす作業が省略されるので作業能率が向上すると共に、収穫作業後に茎葉で満杯となった収容体(23)を圃場から回収する作業が省略でき、作業者の労力が軽減される。
【0021】
また、茎葉寄せ装置(D)の後部に刈取装置(E)と搬送装置(F)と収容部(G)を設けたことによって、茎葉寄せ装置(D)で圃場に植生する茎葉を寄せて刈取装置(E)で刈り取り、刈り取られた茎葉を搬送装置(F)によって後方へ搬送し、収容部(G)に設けた収容体(23)へ収容する作業を連続して行うことができるので作業能率が向上すると共に、茎葉の搬送経路が短くなるので機体をコンパクトに構成することができる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、圃場に植生する茎葉が左右引起し装置(32)によって引き起こされ、引き起こされた茎葉が左右掻き上げ装置(40)によって刈取装置(E)へと送られるため、刈取装置(E)が茎葉を刈り残すことが少なくなると共に、左右掻き上げ装置(40)に掻き上げられた茎葉を掻き込み装置(50)が搬送装置(F)へと掻き込むため圃場に落ちる茎葉が減り、刈り残した茎葉や圃場に落ちた茎葉を回収する作業が省略されるので作業者の労力が軽減される。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、請求項1及び2記載の発明の効果に加えて、左右掻き上げ装置(40)の上端部が開放されていることによって、掻き上げられる茎葉は左右掻き上げ装置(40)の上端部で開放されるため、絡み付いた茎葉が左右掻き上げ装置(40)を作動不能にしてしまうことが少なくなり、作業能率が低下することを防止できる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3記載の発明の効果に加えて、圃場の条件等によって機体が傾斜している場合でも、左右引起し装置(32)の高さを左右別々に調節することによって圃場条件等に対応した作業を行えるので、作業能率が低下することを防止できる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至4記載の発明の効果に加えて、引起し体(27)の上昇にて切断刃(28)が左右引起し装置(32)に絡み付く茎葉を切断するため、絡み付いた茎葉が左右引起し装置(32)を作動不能にすることが少なくなり、作業能率が低下することを防止できる。
【0026】
請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至5記載の発明の効果に加えて、刈取装置(E)で刈り取られた作物が搬送装置(F)上に落ち易くなるため、圃場に落ちる茎葉が減り、収穫作業後に圃場に落ちている茎葉を回収する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0027】
請求項7記載の発明によれば、請求項1乃至6記載の発明の効果に加えて、搬送装置(F)上に茎葉を載せて搬送することができるため、茎葉が潰されたり引き摺られたりして傷付くことが少なくなり、また搬送途中で茎葉を選別することができるため、茎葉の商品価値を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜4に示すように、実施例の一つとして示す甘藷の茎葉収穫機は、機体を走行させる走行装置Aと、操縦者が機体を操作するために搭乗する操縦部Bと、茎葉を収容する収容体23を載置する載置部Cと、茎葉を機体内側へ寄せる茎葉寄せ装置Dと、該茎葉寄せ装置Dで寄せられた茎葉を刈り取る刈取装置Eと、該刈取装置Eで刈り取られた茎葉を後方に搬送する搬送装置Fと、該搬送装置Fにて搬送されてきた茎葉を収容する収容袋23を取り付ける収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0029】
まず、走行装置Aの構成について説明する。
機体前部側の左右転輪2,2と機体後部側の左右駆動スプロケット3,3と、該左右転輪2,2と左右駆動スプロケット3,3との間に取り付けた転輪4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右一対のクローラ1L,1Rを構成する。また、機体フレーム6の後部下部にギアボックス7を取り付け、該機体フレーム6の上面の左側部にエンジン9と油圧ポンプ10を取り付ける。そして、該エンジン9の駆動軸11aと油圧ポンプ10の駆動軸11bの各々の左端部にプーリ12a,12bを取り付けると共に、該プーリ12a,12b間にベルト13を巻き掛ける。さらに、該エンジン9の駆動軸11aの右端部にプーリ15a取り付け、該プーリ15aとギアボックス7の入力軸7aに取り付けるプーリ15bとの間にベルト16を巻き掛ける。そして、前記ギアボックス7から左右方向にドライブシャフト8を延出させ、該ドライブシャフト8の両端にクローラ1L,1Rの駆動スプロケット3,3を軸着させて機体フレーム6の下部に一定の左右間隔を設けて取り付けた左右クローラ1L,1Rを駆動する構成としている。
【0030】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
前記機体フレーム6の上面の左側部に操縦台17を取り付け、該操縦台17には左右クローラ1L,1Rの回転方向や回転速度を調節して、機体の前後進や速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bと、後述する茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19b,19cと、搬送装置Fを昇降動作させる昇降レバー19dを取り付ける。そして、該操縦台17の後部に操縦者が搭乗する座席20を取り付けている。
【0031】
上記のように、機体の前後進や走行速度を切り換える左右走行操作レバー18a,18bや茎葉寄せ装置Dを昇降動作させる昇降レバー19a,19b,19cや搬送装置Fを昇降動作させる昇降レバー19dが操縦台17に設けられていることによって、操縦者は座席20に着座したまま機体の操作を行うことができるため、操縦者の労力を軽減することができる。
【0032】
次に、載置部Cの構成について説明する。
前記機体フレーム6の右側部に回動軸21を取り付け、該回動軸21に載置板22を折りたたみ可能に取り付けている。
【0033】
上記のように、載置板22を折りたたみ可能に設けていることにより、刈り取られた茎葉を収容する収容袋23が満杯になったとき、載置板22を展開することによって満杯になった収容袋23を機体フレーム6と載置板22の上に載置することができ、収容袋23を圃場に下ろす作業が省略されるため、作業能率を向上させることができると共に、圃場に下ろした収容袋23を回収する作業が省略されるため、作業者の労力が軽減される。
【0034】
次に、茎葉寄せ装置Dの構成について説明する。
左右カバーフレーム24,24の上端に左右スプロケット25a,25aを取り付け、該左右カバーフレーム24,24の下端に左右スプロケット25b,25bを取り付けると共に、該上端の左右スプロケット25a,25aと下端の左右スプロケット25b,25bとの間に左右チェーン26,26を無端状に巻き掛ける。そして、該左右チェーン26,26に引起しラグ27を取り付けると共に、該引起しラグ27には切断刃28を取り付ける。また、該左右カバーフレーム24,24の機体外側上部に左右モーター29,29を取り付け、該左右モーター29,29の駆動軸に左右スプロケット25a,25aを軸着する。さらに、該左右カバーフレーム24,24の下端部に左右分草体30,30を取り付け、該左右分草体30,30の機体内側に、後述する左右掻き上げ装置40,40に沿わせて茎葉を左右掻き上げ装置40,40へと案内する左右ガイド棒31,31を取り付ける。そして、後述する搬送装置Fの左右フレーム41,41に左右リンクアーム42,42を取り付けると共に、左右油圧シリンダ43,43の基部を左右フレーム41,41に枢着し、該左右油圧シリンダ43,43の前端を左右リンクアーム42,42に枢着して左右引起し装置32,32を構成する。
【0035】
そして、前記左右分草体30,30の機体内側に左右ギアケース33,33を取り付け、該左右ギアケース33,33の後部に左右モーター34,34を取り付けると共に、左右ギアケース33,33の上部に左右螺旋ブラシローラ36,36を上端部ほど機体内側寄りになるように取り付ける。さらに、該左右ギアケース33,33内の左右ベベルギア35,35を左右モーター34,34の左右駆動軸37,37に取り付けると共に、左右ベベルギア38,38を左右螺旋ブラシローラ36,36の回動軸39,39に取り付けることによって、左右モーター34,34にて左右螺旋ブラシローラ36,36が茎葉を上方に掻き上げるように駆動回転させられる、上端部が開放された左右掻き上げ装置40,40を構成する。
【0036】
また、掻き込みローラ44にナイロンパイプ等の軟質材からなる掻き込み爪45を取り付けると共に、該掻き込みローラ44は回動軸47を軸着されている。そして、前記左右フレーム41,41に左右油圧シリンダ49,49の基部を枢着し、該左右油圧シリンダ49,49の前端を左右リンクアーム46,46に枢着すると共に、該左右リンクアーム46,46の前端部に掻き込みローラ44の回動軸47を取り付けて掻き込み装置50を構成する。
【0037】
上記のように、圃場に植生する茎葉を引き起こす左右引起し装置32,32と、畝溝に垂れている茎葉を機体内側へと掻き上げる左右掻き上げ装置40,40が設けられていることによって、圃場に植生する茎葉が左右引起し装置32,32によって引き起こされ、引き起こされた茎葉が左右掻き上げ装置40,40によって刈取装置Eへと送られるため、刈取装置Eで茎葉が刈り取られやすくなるので茎葉の刈り残しが少なくなるとともに、掻き込み装置50が刈取装置Eで刈り取られた茎葉を搬送装置Fに掻き込むため、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり、圃場に落下する茎葉が少なくなるため作業能率が向上すると共に、茎葉の回収作業が省略されるため作業者の労力を軽減することができる。
【0038】
そして、左右掻き込み装置40,40の上端部が開放されていることによって、茎葉は左右掻き上げ装置40,40によって上方に向かって掻き上げられ、上方から適切に搬送装置F上に落下排出されるため、左右掻き上げ装置40,40に茎葉が絡み付いて停止させてしまうことが防止され、作業能率が向上する。
【0039】
また、左右引起し装置32の引起しラグ27に切断刃28が設けられていることによって、絡み付く茎葉を引き上げ中に切断することができ、地中の甘藷が引き抜かれて甘藷の育成が阻害されることを防止できる。
【0040】
さらに、操縦部Bの左右昇降レバー19a,19bを操作して左右油圧シリンダ43,43を左右独立して伸縮させて左右引起し装置32,32を左右各々昇降させると共に、昇降レバー19cを操作して掻き込み装置50を昇降させることによって茎葉寄せ装置Dを茎葉を寄せるのに最適な作業位置に調節することができ、作業能率が向上する。
【0041】
次に、刈取装置Eの構成について説明する。
前記左右フレーム41,41の前端下部にレシプロカッター51を取り付け、左右フレーム41,41の左右一側部にモーター52を取り付け、該モーター52の駆動軸53に偏心カム54を取り付けると共に、該偏心カム54をレシプロカッター51に取り付けている。
【0042】
次に、搬送装置Fの構成について説明する。
前記左右フレーム41,41の前後端にローラ55a,55bを取り付け、該ローラ55a,55b間に弾性材より構成する平ベルト56を巻き掛けると共に、ローラ55bの回動軸にモーター57を取り付ける。そして、前記左右フレーム41,41の略中央部下部に左右フレーム41,41を連結する第1繋ぎフレーム58を取り付け、該第1繋ぎフレーム58と機体フレーム6との間に油圧シリンダ59を取り付ける。また、前記左右フレーム41,41の前部下部に左右フレーム41,41を連結する第2繋ぎフレーム60と第3繋ぎフレーム61を取り付ける。そして、左右転輪63,63を各々左右アーム63a,63aにて上下動自在に取り付け、該左右アーム63a,63aを第3繋ぎフレーム61に回動自在に取り付けると共に、第2繋ぎフレーム60に左右油圧シリンダ62,62の基部を枢着する。また、各左右アーム63a,63aの上端より後部に延出した左右延出部材63b,63bの後部に左右油圧シリンダ62,62の前端を枢着している。
【0043】
上記のように、刈り取られた茎葉が弾性材より構成される平ベルト56の上面に載せられて搬送されることによって、茎葉が潰されたり引き摺られたりして傷付きにくくなると共に、搬送途中に選別作業を行えるので作物の商品価値を高めることができる。
【0044】
また、操作レバー19dを操作して油圧シリンダ59及び左右油圧シリンダ62,62を伸縮させることによって、搬送装置Fの平ベルト56と左右転輪63,63との傾斜角度を作業条件に適した角度に調節することができ、刈取装置Eで茎葉が刈り取られやすくなると共に、刈り取られた茎葉が搬送装置Fに載り易くなり作業能率が向上する。
【0045】
さらに、左右操作レバー19a,19bを操作して左右油圧シリンダ43,43を縮小させて左右引起し装置32,32を上昇させ、操作レバー19cを操作して左右油圧シリンダ49,49を縮小させて掻き込み装置50を上昇させることによって茎葉寄せ装置Dを上昇させると共に、操作レバー19dを操作して油圧シリンダ59を縮小させて搬送装置Fを上昇させることにより、旋回時に茎葉寄せ装置D及び搬送装置Fの下端部が圃場に接触しにくくなるため旋回動作がスムーズに行われ、作業能率が向上する。
【0046】
次に、収容部Gの構成について説明する。
前記機体フレーム6の後部に回動軸65を取り付け、該回動軸65に茎葉を収容する収容袋23を載置する載置台64を折りたたみ可能に取り付けると共に、左右フレーム41,41に収容袋23を吊り下げる吊り下げ枠66を取り付けている。
【0047】
上記のように、茎葉を収穫する収容袋23を吊り下げ枠66のフックに吊り下げて取り付けていることにより、該収容袋23が茎葉で満杯になったときは吊り下げ枠66のフックから満杯になった収容袋23を外して載置部Cの載置板22等に載置し、新しい収容袋23を吊り下げ体66のフックに引っ掛けるだけで収容を再開できるので、交換作業が簡単になる。
【0048】
また、載置部Cの載置板22と収容部Gの載置台64が折りたたみ可能であることによって、該載置板22と載置台64とを折りたたむことによって機体サイズをコンパクトにすることができ、軽トラック等にも積み込みやすくなる。
【0049】
なお、本実施例では茎葉を収容する手段として収容袋23を例示しているが、載置台64上にコンテナ等を載置して茎葉を収容してもよい。
以下、本件甘藷の茎葉収穫機の別実施例を説明する。
【0050】
図5で示すように、掻き込み装置50の掻き込み爪45の先端部に、樹脂材より構成される掻き込み板67を取り付ける。
これによって、刈取装置Eで刈り取られた茎葉は該掻き込み板67に載せられて搬送装置Fへと掻き込まれるため、搬送装置Fに茎葉が載せられ易く作業能率が向上すると共に、茎葉が圃場に落下することが減り、落下した茎葉を回収する作業を省略することができるため作業者の労力が軽減される。
【0051】
図6、図7で示されるように、搬送装置Fの左右フレーム41,41の前端上部に左右延設フレーム68a,68aを取り付け、左右フレーム41,41の後端上部に左右延設フレーム68b,68bを取り付ける。そして、該左右延設フレーム68a,68aの前端にローラ69aを取り付けると共に、左右延設フレーム68b,68bの後端にローラ69bを取り付ける。また、該ローラ69a,69b間に左右押さえベルト70を2本巻き掛けると共に、ローラ69bの回動軸に搬送装置Fのモーター57と逆方向に回転するモーター71を取り付け、搬送装置Fと同一の搬送方向とした押さえ搬送装置Hを構成する。
【0052】
上記のように構成することによって、搬送装置F上を搬送される茎葉は押さえ搬送装置Hの押さえベルト70によって押さえられるため、収穫作業中に強風が吹くようなことがあっても茎葉が吹き飛ばされて圃場に落とされることが少なくなるため、圃場に落ちた茎葉の回収作業が省略でき作業者の労力が軽減されると共に、強風などによって作業環境に変化があっても収穫作業を継続することができるため、作業能率が向上する。
【0053】
また、押さえ搬送装置Hの押さえベルト70は茎葉の一部だけを押さえるとともに、搬送装置Fの平ベルト56と押さえ搬送装置Hの押さえベルト70との間には空間があるため茎葉にかかる挟持力は弱く、茎葉を潰したり傷つけたりしにくいため、商品価値の低下を防止することができる。
【0054】
さらに、押さえ搬送装置Hは搬送装置Fよりも搬送距離が長いため、搬送装置Fの搬送終端部から茎葉が排出されやすくなるので、収容部Gに茎葉が落下しやすく、作業能率が向上する。
【0055】
なお、本実施例では押さえベルト70を2本取り付けているが、押さえベルト70は1本としてもよく、また3本以上としてもよい。
図8、図9で示すように、左右引起し装置32の左右分草体30,30に左右フレーム72,72を取り付けると共に、該左右引起し装置32の左右カバーフレーム24,24の機体内側に左右ギアケース73,73を取り付ける。そして、該左右フレーム72,72と左右ギアケース73,73との間に左右搬送ブラシローラ75,75を取り付けると共に、左右ギアケース73,73に左右モーター74,74を取り付ける。また、該ギアケース73,73内の左右ベベルギア76,76を左右搬送ブラシローラ75,75の回動軸に取り付けると共に、左右ベベルギア77,77を左右モーター74,74の回動軸に取り付けて左右掻き上げ装置78を構成する。
【0056】
上記のように、左右モーター74,74で左右搬送ブラシローラ75,75を回転させる構成とすることによって、左右ギアケース73,73や左右モーター74,74が圃場から離れるため、左右ギアケース73,73や左右モーター74,74に泥土が侵入しにくくなるのでメンテナンス性が向上する。
【0057】
また、左右搬送ブラシローラ75,75を左右フレーム72,72とギアケース73,73の間に設けていることによって、左右搬送ブラシローラ75,75の姿勢が安定するため茎葉が刈取装置Eへと安定して供給され、刈取装置Eに刈り残される茎葉が減って茎葉の刈り残しを回収する作業が省略されるので、作業者の労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】茎葉収穫機の側面図である。
【図2】茎葉収穫機の平面図である。
【図3】茎葉収穫機の要部の正面図である。
【図4】茎葉収穫機の要部の側面図である。
【図5】茎葉収穫機の別実施例の要部の正面図である。
【図6】茎葉収穫機の別実施例の側面図である。
【図7】茎葉収穫機の別実施例の平面図である。
【図8】茎葉収穫機の別実施例の要部の正面図である。
【図9】茎葉収穫機の別実施例の要部の側面図である。
【符号の説明】
【0059】
23 収容体
27 引起し体
28 切断刃
32 左右引起し装置
40 左右掻き上げ装置
50 掻き込み装置
55a,55b 回転体
56 弾性無端帯
A 走行装置
B 操縦部
C 載置部
D 茎葉寄せ装置
E 刈取装置
F 搬送装置
G 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体下部に機体を前後進させる走行装置(A)を設け、機体の左右一側部に機体を操作する操縦部(B)を設け、機体の左右他側部に茎葉を収容した収容体(23)を載置する載置部(C)を設け、機体前部に茎葉を寄せる茎葉寄せ装置(D)を設け、該茎葉寄せ装置(D)の後部に茎葉を刈り取る刈取装置(E)を設け、該刈取装置(E)の後部に茎葉を後方に搬送する搬送装置(F)を設け、該搬送装置(F)の後部に茎葉を収容する収容部(G)を設けたことを特徴とする茎葉収穫機。
【請求項2】
茎葉寄せ装置(D)に、搬送装置(F)の前方左右側に設けた左右引起し装置(32)と、該左右引起し装置(32)よりも機体内側に設けた左右掻き上げ装置(40)と、搬送装置(F)の搬送始端部上方で左右掻き上げ装置(40)の間に設けた掻き込み装置(50)とを設けたことを特徴とする請求項1記載の茎葉収穫機。
【請求項3】
左右掻き上げ装置(40)の下部を左右引起し装置(32)に回転駆動自在に取り付け、該左右掻き上げ装置(40)の上端部を開放して設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の茎葉収穫機。
【請求項4】
左右引起し装置(32)を、左右別々に高さ調節自在に設けたことを特徴とする請求項1乃至3記載の茎葉収穫機。
【請求項5】
茎葉を引き起こす左右引起し装置(32)の引起し体(27)に切断刃(28)を設けたことを特徴とする請求項1乃至4記載の茎葉収穫機。
【請求項6】
刈取装置(E)を搬送装置(F)の搬送始端部の前部下方位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至5記載の茎葉収穫機。
【請求項7】
搬送装置(F)を、前後一対の回転体(55a,55b)に弾性無端帯(56)を巻き掛けて構成したことを特徴とする請求項1乃至6記載の茎葉収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−17709(P2008−17709A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189570(P2006−189570)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】