説明

茶葉摘採機

【課題】摘採された短い茶葉をコンテナに確実に収容する。
【解決手段】茶畝を跨いで茶畝に沿って走行可能な門型枠を有する機体と、門型枠の下部に配置された刈刃25と、この上方に下側開口部が開口して上方へ延び、刈刃25で摘採された茶葉を上向きの圧力風により移送する移送ダクト30と、この機体進行方向後側に配設され、内部に取り込まれた下向きの圧力風を上向きの圧力風として移送ダクト30内に送り込む背面ダクト40と、移送ダクト30で移送された茶葉を収容するコンテナと、刈刃25の機体進行方向前側の上方位置に配置され、機体幅方向に延びる回転軸65に突設された毛材67aの先端側が刈刃前方から後方側へ移動するように回転自在に支持された回転ブラシ60を備える。回転ブラシ60は、これと機体間に設けられた上下位置調節機構85によって高さ調節可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、茶畝に沿って走行しながら茶葉を摘採し、摘採した茶葉を移送して収容可能な茶葉摘採機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
刈刃によって摘採された茶葉を圧力風により移送してコンテナに収容する茶葉摘採機が開発されている。この茶葉摘採機は、例えば、特許文献1に示すように、茶畝を跨いで茶畝に沿って走行可能な走行装置が設けられた門型枠を有する機体と、機体の門型枠の下部に配置されて刃先が機体進行方向前側を向くバリカン式の刈刃と、刈刃の上方に下部開口部を有して上方へ延び、刈刃によって刈り取られた茶葉を上向きの圧力風により移送する移送ダクトと、移送ダクトの機体進行方向後側に配設され、内部に取り込まれた下向きの圧力風を移送ダクトの下部開口部の下側から上向きの圧力風として移送ダクト内に送り込む背面ダクトと、機体の後部に配設され、移送ダクトにより移送された茶葉を収容するコンテナを有してなる。
【0003】
この茶葉摘採機は、背面ダクトから移送ダクト内に送り込まれた上向きの圧力風の吹出口付近に負圧が生じ、この負圧によって刈り取られた茶葉が刈刃の機体進行方向後側に引き寄せられる。そして、この引き寄せられた茶葉は上向きの圧力風によって移送ダクト内を上昇してコンテナに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−11785号公報(段落0012、図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、刈り取られた茶葉が短いものは、上向きの圧力風を受けにくく、また圧力風の吹出口付近に生じる負圧の作用も受けにくい。このため、短い茶葉は刈刃の上面に溜まり、バリカン式の刈刃の機体幅方向の運動によって飛ばされ、落下してコンテナに収容されない場合がある。また、刈刃の上面に溜まった短い茶葉は円滑な茶葉の摘採を妨害し、摘採面の刈跡を荒らすため、茶樹が病気に生り易くなる。
【0006】
また茶葉摘採機が機体進行方向に対して斜め下方又は上方に傾斜する畝地上を走行する場合には、短い茶葉は上向きの圧力風や吹出口付近に生じる負圧吸引作用が受けにくくなり、コンテナに収容されない虞がさらに増大するという課題がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、摘採された短い茶葉を、摘採面の刈跡を悪くすることなくコンテナに確実に収容可能な茶葉摘採機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明の茶葉摘採機は、茶畝を跨いで茶畝に沿って走行可能な走行装置が設けられた門型枠を有する機体と、機体の門型枠の下部に配置されて刃先が機体進行方向前側を向くバリカン式の刈刃と、刈刃の上方に開口部(実施の形態における下部開口部33)を有して上方へ延び、該刈刃によって刈り取られて開口部内側に移動した茶葉を上向きの圧力風により移送する移送ダクトと、移送ダクトの機体進行方向後側に配設され、内部に取り込まれた下向きの圧力風を移送ダクトの開口部の下部から上向きの圧力風として移送ダクト内に送り込む背面ダクトと、移送ダクトによって移送された茶葉を収容する収容部と、刈刃の機体進行方向前側の上方位置に配置され、機体幅方向に延びる回転軸に突設された送出部材(実施の形態における毛材67a)が刈刃の前方から後方側へ回転するように機体に回転自在に支持された回転体(実施の形態における回転ブラシ60)を備え、回転体は、機体に設けられた上下位置調節機構によって刈刃に対して高さ調節可能に設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
移送ダクトは、上向きの圧力風を送ることが可能であればよく、具体的には、鉛直方向、斜め上方のいずれの方向に延びてもよい。
【0010】
回転体は、機体幅方向に延びる回転軸に突設された送出部材が刈刃の前方から後方側へ移動するように機体に回転自在に支持される。回転体は、複数の回転体を回転軸方向に回転可能に連結したものでもよい。送出部材は、摘採された茶葉を傷つけることなく刈刃の後方側へ送り出すことが可能なものであればよく、具体的には、多数の毛材が植毛されたブラシユニットや、ゴム板製の板状部材や、布等でもよい。
【0011】
回転体は、上下位置調節機構によって回転体の全体が上下方向に移動可能に支持されていることを特徴とする(請求項2)。このため、回転体が回転軸方向の複数連結したものでは、これら複数の回転体は、一体的に上下方向に移動可能に支持される。回転体を上下方向に移動させる手段は、手動でもよいし、駆動源の動力を利用したものでもよい。駆動源を用いる場合には、電動モータ、電動式油圧シリンダ、油圧シリンダ等を用いることができる。
【0012】
回転体は、上下位置調節機構によって複数段階に高さ調整可能に支持されていることを特徴とする(請求項3)。複数段階とは、具体的には2段階以上をいい、摘採される茶葉の長さに応じて高さ調整の段階の数が設定される。
【0013】
また回転体は、上下位置調節機構によって無段階に高さ調整可能に支持されていることを特徴とする(請求項4)。無段階とは、例えば、回転体の移動範囲内の任意の位置に回転体を移動させることをいう。具体的には、回転体を支持する枠体と機体との間に油圧シリンダ等のアクチュエータを設け、アクチュエータの動力を枠体に伝達して回転体を上下方向に移動させる。回転体の上下位置は、所望する上下位置に応じたセンサを機体に設け、センサからの信号に応じてアクチュエータの作動を制御して、回転体を所望の上下位置に移動させる。
【0014】
回転体は、回転軸の軸方向両端部を回転自在に支持する一対の支持板により支持され、一対の固定板の機体幅方向の各外側に一対の支持板が配置されて、上下位置調節機構を介して一対の支持板が固定板に支持される(請求項5)。
【0015】
上下位置調節機構は、回転体の移動をロックするロック機構と、回転体の上下移動を案内する案内機構とを有してなる(請求項5)。ロック機構は、具体的には、固定板に上下方向に所定間隔を有して設けられた複数のロック孔と、支持板に支持されて固定板に対して接近及び離反可能であり、複数のロック孔のいずれかに係合して回転体の移動をロックするロックピンとを有してなる(請求項6)。
【0016】
ロック孔は、刈刃に対する回転体の上下位置に応じて固定板に設けられる。このため、回転体の位置を多段階に調整する場合には、多段階に対応する数のロック孔を固定板に設ける。このようにすると、回転体を案内孔に沿って上下方向に移動させ、複数のロック孔のいずれかにロックピンを挿通すると、ロック孔に対応した上下位置に回転体を移動させた状態で、回転体を固定板にロックすることができる。
【0017】
ロックピンは、ロック孔に挿抜される係合軸部と、貫通孔に挿通された係合軸部のうち固定板と反対側へ突出する係合軸部の端部に繋がって該係合軸部に対して略直交する方向に延びる把持部とを有してなる(請求項6)。ロックピンの把持部は、係合軸部に対して略直交する方向に延びているので、把持部を把持してこれを手前側に引くと、係合軸部をその軸方向に移動させることができる。また、把持部を把持してこれを押すと、係合軸部をその軸方向に移動させることができる。このため、ロック孔に対してロックピンを挿抜する操作を容易にすることができる。
【0018】
案内機構は、具体的には、固定板の機体幅方向外側の面に突設された案内ピンと、案内ピンと対向する支持板に上下方向に延設されて案内ピンを挿通し、回転体の上下移動を案内するとともにロックピンを複数のロック孔の各ロック孔に対向配置させる案内孔とを有してなる。案内孔は、上下方向に直線状に延びたものや、斜め上方に直線状に延びたものでもよい。
【0019】
上下位置調節機構は、長い茶葉の摘採時に回転体の影響がでないようにするため、回転体を、長い茶葉を摘採するときの回転体の支持位置よりも上方の位置又は機体進行方向に対して斜め上方の位置に移動可能に支持することを特徴とする(請求項7)。
【0020】
上下位置調節機構は、具体的には、長い茶葉の摘採時に回転体の影響がでないようにするため、長い茶葉を摘採するときの回転体の上下位置よりも上方の位置に対応したロック孔を固定板に設けるとともに、このロック孔にロックピンが対向配置されるような案内孔を支持板に設けて構成される。このため回転体をより高い上方位置に移動させることで、圧力風によって長い茶葉を移送ダクト内で移送時に、回転体が長い茶葉の移送を邪魔することがなくなり、摘採された長い茶葉を収容部に確実に収容することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、回転体が上下位置調節機構によって刈刃に対して高さ調節可能に設けられ、回転体の送出部材が刈刃の前方から後方側へ移動するように回転体が回転自在に支持されることで、短い茶葉を摘採する場合、回転体を刈刃に接近する方向に位置調節すると、刈刃によって摘採された短い茶葉は回転体の送出部材によって移送ダクト内に強制的に送り込まれる。このため、短い茶葉は刈刃の上面上に溜まる虞はなく、移送ダクト内を流れる上向きの圧力風により移送される。また茶葉摘採機が機体進行方向に対して斜めに傾斜する畝地上を走行する場合でも、摘採された短い茶葉は回転体の送出部材によって移送ダクト内に強制的に送り込まれる。このため、摘採された短い茶葉を収容部に確実に収容することが可能となるとともに、茶葉が摘採された摘採面も良好な茶葉摘採機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる茶葉摘採機の要部斜視図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態に係わる茶葉摘採機の側面図を示す。
【図3】本発明の一実施の形態に係わる茶葉摘採機の正面図を示す。
【図4】茶葉摘採機に搭載された移送ダクトの下部に設けられた回転ブラシの斜視図を示す。
【図5】回転ブラシを下部に設けた移送ダクトの部分構造を示し、同図(a)は移送ダクトの部分平面図であり、同図(b)は移送ダクトの部分正面図であり、同図(c)は移送ダクトの部分側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係わる茶葉摘採機の回転ブラシの前方斜視図を示す。
【図7】回転ブラシを示し、同図(a)は回転ブラシの平面図であり、同図(b)は回転ブラシの正面図であり、同図(c)は回転ブラシの側面図である。
【図8】回転ブラシの上下位置調節をする上下位置調節機構の一部断面図を示す。
【図9】回転ブラシの上下位置をロックするロックピン及びこれを支持する台座部の斜視図を示す。
【図10】刈刃に対する回転ブラシの位置を説明するための茶葉摘採機の要部説明図である。
【図11】刈刃に対する回転ブラシの位置を説明するための茶葉摘採機の要部正面図である。
【図12】回転ブラシの位置に応じた茶葉の摘採の作用を説明するための茶葉摘採機の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0024】
本発明の茶葉摘採機1は、図2(側面図),図3(正面図)に示すように、乗用型の摘採機である。この茶葉摘採機1は、茶畝を跨いで茶畝に沿って走行可能な走行装置3が設けられた門型枠11を有する機体10と、門型枠11の下部に配置されて刃先が機体進行方向前側を向くバリカン式の刈刃25(図10参照)と、刈刃25によって刈り取られた茶葉を上向きの圧力風により移送する移送ダクト30と、移送ダクト30の機体進行方向後側に配設され、内部に取り込まれた下向きの圧力風を上向きの圧力風として移送ダクト30内に送り込む背面ダクト40(図10参照)と、移送ダクト30によって移送された茶葉を収容するコンテナ50と、刈刃25の機体進行方向前側の上方位置に回転自在に支持された回転ブラシ60を有して構成される。
【0025】
機体10は、茶畝を跨ぎながら走行可能となるように正面視門型に形成された門型枠11を構成する前側フレーム12及び後側フレーム13と、これら前側フレーム12及び後側フレーム13の上部間を連結する左右一対の上部連結フレーム14と、前側フレーム12及び後側フレーム13の下端部間を連結する左右一対の下部連結フレーム15とを備えて構成される。
【0026】
前側フレーム12及び後側フレーム13は、その幅方向に延びる横フレーム部12a,13aが2重管構造によって伸縮自在とされていると共に、横フレーム部12aの幅方向中央部には、ラックアンドピニオン式の軌間伸縮機構が内蔵されており、茶葉摘採機1の軌間伸縮を可能としている。
【0027】
下部連結フレーム15には、油圧式の駆動輪4、従動輪5、ゴム製或いは鉄製のクローラ6を備えた走行装置3が一体的に組み付けられている。一方の走行装置3の上方には、機体に装着された各種油圧アクチュエータを作動させるための作動油を貯留する油圧タンク(図示せず)が配設されていると共に、他方の走行装置3の上方には、茶葉摘採機1の動力源としてのエンジンの燃料タンク(図示せず)が配設されている。なお、走行装置3は、クローラを用いたものに限定されるものではなく、例えば、車輪、レール式等であってもよい。
【0028】
前側フレーム12の機体進行方向に対して幅方向に延びるフレーム部12aの上面には、オペレータや重量物を搭載可能な上部デッキが設けられている。この上部デッキの幅方向一端部側には、操縦部17、操作ハンドル(図示せず)及び操縦席18が配設され、上部デッキの幅方向他端部側には、油圧ポンプ一体型のエンジン(図示せず)が配設され、上部デッキの幅方向中央部には、送風機(図示せず)が配設されている。
【0029】
操縦部17は、機体操作及び茶園管理作業(摘採作業)を行うための制御ユニットが組み込まれたタッチパネル式(例えば、入力数値としては刈刃25の刈り取り高さ、軌間伸縮量等)の入力操作表示部、イグニションスイッチ、作業形態に応じて入力操作表示部の表示高さと実際の剪枝高さとに誤差を生じさせないための作動切換スイッチ等(いずれも
図示せず)を備えている。
【0030】
さらに、この操縦部17の制御ユニットは、車載された各種検出手段からの検出値や走行履歴情報、入力情報等に基づいて摘採装置の姿勢制御、例えばきめ細かな刈り取り高さ制御等を行うように予め設定されていると共に、GPS(ナビゲーションシステム)による走行履歴情報、例えば走行距離情報、走行スピード情報等を記憶、表示、且つ通信回線を介して送出可能とする機能を備えている。
【0031】
なお、GPSの構成に代えて、制御ユニットから送出された走行距離情報、走行スピード情報及び作業内容(例えば、日付・時間・作業時間・天候・作業場所・作業の種類・作業条件等の情報データ)を、茶葉摘採機1に搭載した図示しない制御機器(例えば、PCL:プログラマブルロジックコントローラ)に自動的に記憶格納するように構成することが可能である。そして、この制御機器とパソコンとを繋ぐことによって、制御機器内部に記憶格納した情報データがパソコンから取り出される。これにより、GPSを用いることなく作業の内容を容易に管理することが可能となり、しかも、茶葉摘採機1のコストを抑えることができる。
【0032】
この操縦部17の後方に、操作ハンドル(図示せず)、オペレータが着座する操縦席18が配設されている。
【0033】
エンジンは、複数の通気孔が穿設された箱型のエンジンカバー19内に配設されている。このエンジンに一体化された油圧ポンプによって、走行装置3及び摘採作業用の各油圧アクチュエータに作動油が供給されるようになっている。各油圧アクチュエータに送られた作動油は、ファン式オイルクーラ(図示せず)で冷却されてから作動油タンクに戻されるようになっている。
【0034】
送風機は、操縦部17に隣接して配置されたファンカバー20内に配設されている。この送風機は、ベルト駆動式であり、茶樹から刈り取った茶枝葉をコンテナ50側に向かって移送する圧力風を発生すると共に、操縦席18の横に設けられ切り替えレバー(図示せず)によって駆動、停止の切り替えが行われる。この送風機が発生した圧力風は、フレキシブル管(図示せず)を介して背面ダクト40(図10参照)に送られるようになっている。
【0035】
この上部デッキと後側フレーム13との間には、刈刃25、移送ダクト30及び背面ダクト40が配設されている。
【0036】
移送ダクト30は、図2に示すように、その下部が、後側フレーム13の脚部13bに沿って昇降可能に設けられた左右一対の第1の昇降体22に連結部材(図示せず)を介して連結固定されて、刈刃25の刈り取り高さ位置を調整できるようになっている。また、この第1の昇降体22は、コンテナ50を下方側から離脱可能に支持している。
【0037】
左右の第1の昇降体22間には、刈刃25の中心を左右の走行装置3の軌間中心に正確に位置合せを行う図示しない自動中心機構部が設けられている。この自動中心機構部には、後側フレーム13の上部に取り付けられ、且つ制御ユニットにより駆動制御される図示しない油圧式の巻取装置から同期して繰り出される左右一対のチェーンの下端部がそれぞれ係止されており、チェーンの繰り出し或いは巻取りによって一対の第1の昇降体22を同期して昇降させることができる。これにより、第1の昇降体22の昇降動作に応じて移送ダクト30、後述する茶葉分離枠55及びコンテナ50が昇降可能である。茶葉分離枠55はコンテナ50の上部に配置されて移送ダクト30に連通し、移送ダクト30から移送された茶葉を圧力風から分離してコンテナ50内に落下させるための金網(図示せず)を備えている。
【0038】
移送ダクト30は、図2、図4、図5(a)、図5(b)、図5(c)に示すように、刈刃25の直上部からやや斜め後方に傾いて上方へ延びてコンテナ50の上方に臨むように形成される。移送ダクト30は、その途中が二股状に分岐して延びる一対の分岐管31を備え、これらの分岐管31によって茶葉は機体幅方向に分けて移送される。分岐管31の上部には後ろ向きに開口して茶葉分離枠55に連通する上部開口部(図示せず)が設けられている。これらの分岐管31は、移送ダクト30の下側を構成する管部32に接続されている。管部32の下部には前向きに開口する下部開口部33(図5(b)参照)が設けられている。
【0039】
下部開口部33は、詳細は後述するが、正面視において、刈刃25の全体を含むように長方形状に開口している。
【0040】
背面ダクト40は、移送ダクト30の後面部30aに沿って併設されている。この背面ダクト40の上面部40aは、山型に形成され、その頂部にはフレキシブル管が接続される接続口41が設けられている。フレキシブル管に取り込まれた下向きの圧力風は、背面ダクト40の前端下部に開口する吹出口48(図10参照)によって上向きの圧力風となって移送ダクト30内に送り込まれる。吹出口48の詳細については後述する。
【0041】
刈刃25は、図4、図10に示すように、刃先が前側に向くように配置された上下2枚のバリカン刃を備えている。この刈刃25は、内部に下方から上方に向かって圧力風が流れる移送ダクト30の下端部に配設され、かつ背面ダクト40の下面部40bから着脱可能に張り出し支持された刈刃支持フレーム43に支持される。刈刃25の2枚のバリカン刃は、移送ダクト30の下部開口部33から機体外側に張り出されたガードによって防護された油圧モータ27によって幅方向に往復動される。刈刃は機体3の前方から見ると上方に凸状に湾曲して形成されている。実施例では曲率半径が約3000mmの場合を示している。
【0042】
なお、下部開口部33よりも機体外側に油圧モータ27を張り出したのは、茶樹幅(例えば1800mm)よりも幅広の刈刃(例えば1900mm)を用いることよって、刈り残しがないようにするためである。油圧モータ27は、下部開口部33の一端部側に配置しても他端部側に配置してもよい。
【0043】
油圧モータ27とエンジンの油圧ポンプとを結ぶ油路には、流量優先取出弁としてのプライオリティバルブ(図示せず)が介設されている。プライオリティバルブは、油圧ポンプが吐出する油圧(ポンプ流量)に関係なく、常に一定の油圧(流量)を優先して取り出すことができるバルブであって、エンジン回転数の増減にかかわらず刈り取り作業に応じた刈刃25の駆動スピードが常に得られる油圧を油圧モータ27に供給する。このため、エンジン回転数を増大すると送風機が発生する空気流は増大するが、刈刃スピードが速まるようなことはなく、刈り取り作業に応じた刈刃スピードが常に保たれるようになっている。
【0044】
刈刃25を支持する刈刃支持フレーム43は、図10に示すように、前後にずれた状態で固定された上下2枚の平板部材43a,43bを有して構成される。下側の平板部材43bの上面側に背面ダクト40の下面部40bが着脱可能となるようにボルト固定されている。また、上側の平板部材43aの上面には、背面ダクト40内に取り込まれた下向きの圧力風を上向きの圧力風として移送ダクト30内に送り込むためのアングル等を用いた変向部材44が一体的に結合固定されている。
【0045】
背面ダクト40内の下向きの圧力風と移送ダクト30内の上向きの圧力風とは、移送ダクト30の後面部30aによって隔てられていると共に、この移送ダクト30の後面部30aの下端部30a1は、上方から変向部材44に向かって斜めに下降したのち、変向部材44の垂直面部44aに対して所定の横幅(距離)w1をあけて対向するようにほぼ水平に折り曲げられている。この際、例えば横幅w1を4mmとすると、移送ダクト30の後面部30aの下端部30a1と変向部材44の水平面部との間の高さ(距離)h1は7mmとするのが望ましい。これは、吹出口48から吹き上げる圧力風の風速を上げるためである。なお、上述した吹出口48を形成するw1,h1の数値は一例であり、それに限定されるものではない。また、カセット刃及びユニット刃の場合のw1,h1は任意である。
【0046】
このように、移送ダクト30の後面部30aと変向部材44が設けられた刈刃支持フレーム43とによって、背面ダクト40内に取り込まれた下向きの圧力風を上向きの圧力風として移送ダクト30内に送り込むための吹出口48が形成される。
【0047】
吹出口48を形成する移送ダクト30の後面部30aの機体幅方向中央と背面ダクト40の下面部40bの幅方向中央との間には、背面ダクト40内の圧力風による移送ダクト30の後面部30aの振動を規制するための振動規制部材46が設けられている。
【0048】
回転ブラシ60は、図6(斜視図)、図7(a)、図7(b)、図7(c)に示すように、機体幅方向に延びる枠体61に回転自在に支持される。枠体61の幅方向一方側端部には油圧モータ70が設けられ、これによって回転ブラシ60は回転駆動する。枠体61は、機体幅方向両側に対向配置された一対の支持板62と、これらの支持板62の上端部間を連結する連結部材63を有してなる。
【0049】
連結部材63は、図7(b)に示すように、正面視山型状に形成され、連結部材63の機体幅方向中央部には連結部材63の下面から下方へ延びる中央ステー64が設けられている。回転ブラシ60は、中央ステー64と一方側の支持板62との間及び、中央ステー64と他方側の支持板62との間にそれぞれ設けられている。つまり、回転ブラシ60は、枠体61に機体幅方向に連結された状態で2つ配設されている。
【0050】
回転ブラシ60は、支持板62と中央ステー64との間で回転自在に支持された回転軸65と、回転軸65に軸方向に沿って突設された2つの取付フレーム66と、これらの取付フレーム66に着脱可能に取り付けられたブラシユニット67とを備えている。
【0051】
各回転ブラシ60の回転軸65は、軸方向内側が外側よりも上方に位置するように斜めに傾いた状態で設けられている。回転軸65の外側の端部は支持板62に設けられたベアリング(図示せず)に回転自在に支持され、各回転軸65の内側の端部は、中央ステー64に設けられる自在継ぎ手72を介して回転自在に連結支持されている。一方側の支持板62の外側に油圧モータ70が設けられ、この油圧モータ70は回転ブラシ60の回転軸65に動力伝達可能に接続されている。このため、油圧モータ70が駆動すると、2つの回転ブラシ60が同時に回転する。回転ブラシ60の回転方向は、図10の矢印Aに示すように、回転ブラシ60の毛材67aが刈刃25の前側から後側に進む方向である。
【0052】
2つの取付フレーム66は、図7(b)に示すように、回転軸65の軸方向中央に対して軸方向一方側と他方側に配置されるとともに、回転軸65の中心軸線に対して対称位置に配置されている。このため、一方の取付フレーム66に設けられたブラシユニット67が回転軸65に対して下方位置に回転すると、他方のブラシユニット67は回転軸65に対して上方位置に移動する。取付フレーム66は、回転軸65の軸方向中央側から軸方向端部側に進むに従って突出長さが長くなるように形成されている。
【0053】
ブラシユニット67は、図1に示すように、複数の毛材67aとこれらの毛材67aを植毛したブラシ台67bを有してなる。毛材67aは、取付フレーム66の長手方向に対して隣接する外側の毛材67aが内側の毛材67aよりも僅かに長く延びて刈刃25の湾曲に倣うように形成されている。
【0054】
回転ブラシ60を支持する支持板62は、側面視において略長方形状を有し、支持板62の前側下部に回転ブラシ60の回転軸65を支持するベアリング(図示せず)が設けられている。また連結部材63は、支持板62の前側上部に取り付けられている。このため、支持板62は、回転ブラシ60の回転軸65に対して後方側へ突出した状態になっている。この後方側へ突出した部分の上部及び下部には、上下方向に延びる2つの案内孔62aが設けられている。
【0055】
これらの案内孔62aは、詳細は後述するが、後側フレーム13に取り付けられた固定板75に突設された案内ピン76を挿通して、回転ブラシ60の上下方向の移動を案内する。これらの案内孔62aは長孔状に形成され、略同一の幅寸法及び長さを有して形成される。上部に配設された案内孔62aは下部に配設された案内孔62aよりも前側にずれた位置に設けられて、回転ブラシ60の上下移動の際の回転ブラシ60の前後方向の傾きを抑えている。
【0056】
支持板62の後側上部には、ロックピン78が設けられている。このロックピン78は、固定板75に設けられたロック孔75aに係合して回転ブラシ60を機体10にロックする。ロックピン78は、図8(部分断面図)、図9に示すように、逆L字に形成され、支持板62に設けられた貫通孔62bに挿通されてロック孔75aに係合する係合軸部78aと、係合軸部78aの端部に繋がって係合軸部78aに対して略直交する方向に延びる把持部78bを有してなる。なお、ロック孔75aとロックピン78を併せて、以下、ロック機構74と記す。
【0057】
係合軸部78aの先端側には外側へ張り出す板状の突出部78cが設けられ、この突出部78cは支持板62に設けられた後述する台座部80に挿抜される係止ピン82が固着されている。この係止ピン82は、係合軸部78aがロック孔75aに挿入された状態で後述する台座部80の天板部80aに設けられた孔部80dに挿通され、係合軸部78aがロック孔75aから抜脱されると係止ピン82も孔部80dから抜脱された状態となり、ロックピン78を回転させると、係止ピン82の先端部が天板部80aに対向して当接する。このため、係合軸部78aがロック孔75aから抜脱された状態を維持することができる。
【0058】
突出部78cよりも先端側の係合軸部78aには圧縮コイルばね83が挿着されている。この圧縮コイルばね83の一方側端部は、この支持板62側の端部に取り付けられた止め輪84に接触し、圧縮コイルばね83の他方側端部は突出部78cに接触して、圧縮コイルばね83は縮小状態で係合軸部78aに挿着されている。このため、ロックピン78をロック孔75aに挿入時には、圧縮コイルばね83は縮小した状態から伸長してロックピン78のロック孔側への移動を容易にする一方、ロック孔75aからロックピン78を抜脱する時には、圧縮コイルばね83は圧縮されてロックピン78の抜脱方向への移動を抑えるように作用する。
【0059】
ロックピン78を支持する台座部80は、支持板62に設けられた貫通孔62bを跨ぐように配置され、係合軸部78aを挿通する孔部80bを有した天板部80aと、天板部80aの両端部から支持板側に延びる一対の脚部80cを有して構成される。これらの脚部80cの先端部が支持板62に固着されて、台座部80は支持板62に設けられている。天板部80aには、前述した係止ピン82を挿通する複数の孔部80dが設けられている。
【0060】
長孔状に延びる案内孔62aは、図1に示すように、固定板75に突設された案内ピン76が案内孔62aの上端位置に移動すると、回転ブラシ60の毛材67aの先端部が刈刃25の表面の近傍位置に移動して短い茶葉を摘採可能な下方位置PL(図5(b)、図10参照)に回転ブラシ60を移動させるように形成される。また案内孔62aは、固定板75に突設された案内ピン76が案内孔62aの下端位置に移動すると、長い茶葉を摘採可能な上方位置PU(図10、図11参照)に回転ブラシ60を移動させるように形成される。
【0061】
案内ピン76は固定板75に突設されたものであればよく、本実施例ではボルトが用いられて固定板75に対して着脱可能である。このよう案内ピン76としてボルトを用いると、回転ブラシ60を茶葉摘採機1に装着する際に、支持板62を固定板75に対向配置した状態で案内ピン76を固定板75に取り付けることができるので、回転ブラシ60の組み立て作業の作業性を向上させることができる。
【0062】
固定板75に設けられるロック孔75aは、回転ブラシ60を上方位置PUに移動させたときにロックピン78の係合軸部78aの先端部が対向する位置と、回転ブラシ60を下方位置PLに移動させたときに係合軸部78aの先端部が対向する位置に設けられている。つまり、固定板75には2つのロック孔75aが上下方向に離間して設けられている。このため、図10に示すように、回転ブラシ60を下方位置PLに移動させた状態で、回転ブラシ60を機体10にロックすることができ(図1参照)、また回転ブラシ60を上方位置PUに移動させた状態で、回転ブラシ60を機体10にロックすることができる(図11参照)。
【0063】
なお、案内ピン76及び案内孔62aを併せて、以下、案内機構77(図1参照)と記す。また、ロック孔75a、ロックピン78、案内ピン76、案内孔62aを併せて、以下、上下位置調節機構85と記す。つまり、上下位置調節機構85は、ロック孔75a及びロックピン78からなるロック機構74と案内機構77を有して構成される。
【0064】
移送ダクト30の下部開口部33は、図10に示すように、回転ブラシ60が下方位置PL又は上方位置PUに移動した状態で回転させても回転ブラシ60の毛材67aが接触しない大きさに開口している。つまり、下部開口部33は刈刃25の上面から、回転ブラシ60が上方位置PUに移動させた状態で回転ブラシ60の毛材67aの先端部の回転軌跡の上端より上方へ隙間を有した位置まで開口するように形成されている。また、連結部材63と移送ダクト30の前面との隙間には、圧力風の漏れを防止するためのゴム板35等が設けられている(図1参照)。
【0065】
コンテナ50は、図2に示すように、周囲に通気孔付きパネル材を張り巡らせたアルミ枠で構成され、このコンテナ50を機体後方側に向かって回動可能に支持する枠体状のコンテナ支持フレーム51を介して機体10に支持されている。機体10とコンテナ50との間には、左右一対の転位用油圧シリンダ52及びリンク機構(図示せず)が配設されて、コンテナ50は機体後方側に向かって回動可能である。
【0066】
このように,回転ブラシ60は上下位置調節機構85によって茶葉摘採機1に上下方向に位置調節可能に設けられている。ところで、前述したように、短い茶葉を摘採するときに、回転ブラシ60が無い場合、短い茶葉が刈刃25の上面後側に溜まり、この溜まった短い茶葉は円滑な茶葉の摘採を妨害し、摘採面の刈跡を荒らすため、茶樹が病気に生り易くなる。このため、刈刃25上に短い茶葉が溜まらないようにする必要がある。そこで、回転ブラシ60を下方位置Pdに移動させ、回転ブラシ60の回転によって刈刃25上の短い茶葉を強制的に移送ダクト40内に移動させるようにしている。
【0067】
一方、長い茶葉を摘採するときに、回転ブラシ60が刈刃25に近い位置にある場合、長い茶葉が回転ブラシ60の回転軸65に当たって長い茶葉の移動が規制され、茶葉が運動する刈刃25に接触して刈跡が悪くなり、またコンテナ50に収容されない虞が増大する。このため、回転ブラシ60の回転軸65に長い茶葉が当たらないようにする必要がある。そこで、回転ブラシ60を長い茶葉の摘採時に回転ブラシ60の影響がでない上方位置に移動させて、回転ブラシ60の回転軌跡の下側と刈刃との間の移送空間を広げるようにしている。
【0068】
このように構成された茶葉摘採機1によって、短い茶葉Tsを摘採する場合には、刈刃25の上下位置を調節した後に、回転ブラシ60を下方位置PLに移動させる。そして、茶葉摘採機1を前進走行させながら、回転ブラシ60を矢印A方向に回転させると、刈刃25によって茶樹Tの上側が刈り取られて長さの短い茶葉Tsが摘採される。摘採された茶葉Tsは回転ブラシ60の毛材67aの回転によって強制的に刈刃25の後側に移動され、吹出口48から上向きに吐出する圧力風によって移送ダクト30内を上方へ移送されて、コンテナ50(図2参照)に収容される。
【0069】
このため、短い茶葉Tsが刈刃25の後側に溜まる虞を確実に防止して、茶葉Tsの刈跡を良くすることができ、摘採された短い茶葉Tsの殆どをコンテナ50に収容することができる。また茶葉摘採機1が機体進行方向に対して斜めに傾斜する畝地上を走行する場合でも、摘採された短い茶葉Tsは回転ブラシ60の毛材67aによって移送ダクト30内に強制的に送り込まれるので、機体10の傾斜に拘わらずに摘採された短い茶葉Tsをコンテナ50に確実に収容することができる。
【0070】
一方、図12(b)に示すように、長い茶葉TLを摘採する場合には、刈刃25の上下位置を調節した後に、回転ブラシ60を上方位置PUに移動させる。そして、茶葉摘採機1を前進走行させながら、回転ブラシ60を矢印A方向に回転させると、刈刃25によって茶樹Tの上側が刈り取られて長さの長い茶葉TLが摘採される。摘採された茶葉TLは、吹出口48から上向きに吐出する圧力風によって移送ダクト30内を上方へ移送されて、コンテナ50に収容される。なお、回転ブラシ60と移送ダクト30の後面部30aとの間には、空間部87が設けられているので、刈刃25によって長い茶葉TLが摘採されても、この長い茶葉TLは空間部87を通って上方へ移動するので、圧力風による長い茶葉TLの移送が回転ブラシ60によって邪魔にされる虞はない。
【0071】
このため、摘採された長い茶葉TLの殆どを刈跡が良い状態でコンテナ50に収容することができる。
【0072】
また、機体幅方向に配設された2つの回転ブラシ60は枠体61に一体的に設けられているので、これらの回転ブラシ60は一体的に上下移動する。このため、回転ブラシ60全体の上下位置調節作業の作業性を向上することができる。
【0073】
なお、回転ブラシ60を上方位置PUから下方位置PL、又は下方位置PLから上方位置PUに移動させる場合には、図1、図8、図9に示すように、機体幅方向に設けられた一対のロックレバー78のうち一方側のロックレバー78の把持部78bが支持板62から離反する方向に移動するように、ロックレバー78を移動させる。ロックレバー78が移動すると、圧縮コイルばね83の附勢に抗して、ロックレバー78の係合軸部78aがロック孔75aから抜脱される。これと同時に突出部78cに設けられた係止ピン82が孔部80dから抜脱される。そして、ロックピン78の把持部78bを、係合軸部78aを回動中心として回転させると、係止ピン82の先端部が天板部80aに対向して当接する。このため、係合軸部78aがロック孔75aから抜脱された状態を維持することができる。
【0074】
また他方側のロックレバー78を前述した一方側のロックレバー78と同様に操作して、係合軸部78aがロック孔75aから抜脱された状態に維持する。そして回転ブラシ60を下方位置PL又は上方位置PUに移動させる。回転ブラシ60が下方位置PL又は上方位置PUに移動すると、係止ピン82の先端部が孔部80dに対向する位置に移動するように一方側のロックレバー78を回動させる。係止ピン82の先端部が孔部80dに対向した位置に移動すると、圧縮され圧縮コイルばね83が伸長して、係止ピン82が孔部80dに挿入されるとともに、係合軸部78aがロック孔75aに挿入されて、回転ブラシ60の他方側が機体10にロックされる。
【0075】
従って、2つの回転ブラシ60はその軸方向両側が機体10にロックされた状態になり、回転ブラシ60全体の上下位置調整作業が終了する。
【0076】
このように、回転ブラシ60の上下位置調整作業は、ロックレバー操作、回転ブラシ60の上下移動操作によって行われる。このため、回転ブラシ60の上下位置調整作業には難しい操作がなく、回転ブラシ60の位置調整作業を容易に行うことができる。
【0077】
なお、前述した実施例では、図10に示すように、回転ブラシ60を上方位置PUに移動させると、移送ダクト30の内面と回転ブラシ60との間に空間部87が形成され、この空間部87を通って長い茶葉を移送させることができる。しかしながら、この空間部87は移送ダクト30の内部空間30bと比較すると狭いので、長い茶葉が回転ブラシ60の回転軸65に当たったり巻き付いたりして、摘採された茶葉の一部がコンテナ50に収容されない虞がある。
【0078】
そこで、二点鎖線Bで示すように、長い茶葉を摘採する場合には、回転ブラシ60の位置を上方位置PUよりも前方斜め上方であって下部開口部33の外側の格納位置PKに移動させてもよい。このようにすると、刈刃25によって摘採された茶葉は、回転ブラシ60に邪魔されることなく、空間部87よりも広い内部空間30b内を流れる。このため、摘採された長い茶葉を確実にコンテナ50に収容することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 茶葉摘採機
3 走行装置
10 機体
11 門型枠
25 刈刃
30 移送ダクト
33 下部開口部(開口部)
40 背面ダクト
50 コンテナ(収容部)
60 回転ブラシ(回転体)
62 支持板
62a 案内孔
65 回転軸
67a 毛材(送出部材)
74 ロック機構
75 固定板
75a ロック孔
76 案内ピン
77 案内機構
78 ロックピン
78a 係合軸部
78b 把持部
85 上下位置調節機構
TL 長い茶葉


【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶畝を跨いで前記茶畝に沿って走行可能な走行装置が設けられた門型枠を有する機体と、
前記機体の前記門型枠の下部に配置されて刃先が機体進行方向前側を向くバリカン式の刈刃と、
前記刈刃の上方に開口部を有して上方へ延び、該刈刃によって刈り取られて前記開口部内側に移動した茶葉を上向きの圧力風により移送する移送ダクトと、
前記移送ダクトの機体進行方向後側に配設され、内部に取り込まれた下向きの圧力風を前記移送ダクトの前記開口部の下部から上向きの圧力風として前記移送ダクト内に送り込む背面ダクトと、
前記移送ダクトによって移送された茶葉を収容する収容部と、
前記刈刃の機体進行方向前側の上方位置に配置され、機体幅方向に延びる回転軸に突設された送出部材が前記刈刃の前方から後方側へ回転するように前記機体に回転自在に支持された回転体を備え、
前記回転体は、前記機体に設けられた上下位置調節機構によって前記刈刃に対して高さ調節可能に設けられていることを特徴とする茶葉摘採機。
【請求項2】
前記回転体は、前記上下位置調節機構によって前記回転体の全体が上下方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の茶葉摘採機。
【請求項3】
前記回転体は、前記上下位置調節機構によって複数段階に高さ調整可能に支持されていることを特徴とする請求項2に記載の茶葉摘採機。
【請求項4】
前記回転体は、前記上下位置調節機構によって無段階に高さ調整可能に支持されていることを特徴とする請求項2に記載の茶葉摘採機。
【請求項5】
前記門型枠の機体幅方向両側には、機体進行方向に沿って延びる一対の固定板が設けられ、
前記回転体は、前記回転軸の軸方向両端部を回転自在に支持する一対の支持板により支持され、前記一対の固定板の機体幅方向の各外側に前記一対の支持板が配置されて、前記上下位置調節機構を介して前記一対の支持板が前記一対の固定板に支持され、
前記上下位置調節機構は、前記回転体の移動をロックするロック機構と、前記回転体の上下移動を案内する案内機構とを有してなることを特徴とする請求項3に記載の茶葉摘採機。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記固定板に上下方向に所定間隔を有して設けられた複数のロック孔と、前記支持板に支持されて前記固定板に対して接近及び離反可能であり、前記複数のロック孔のいずれかに係合して回転体の移動をロックするロックピンとを有してなり、
前記ロックピンは、前記ロック孔に挿抜される係合軸部と、前記貫通孔に挿通された前記係合軸部のうち前記固定板と反対側へ突出する前記係合軸部の端部に繋がって該係合軸部に対して略直交する方向に延びる把持部とを有してなることを特徴とする請求項5に記載の茶葉摘採機。
【請求項7】
前記上下位置調節機構は、長い茶葉の摘採時に前記回転体の影響がでないようにするため、前記回転体を、長い茶葉を摘採するときの前記回転体の支持位置よりも上方の位置又は機体進行方向に対して斜め上方の位置に移動可能に支持することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の茶葉摘採機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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