説明

茹で麺の製造方法及び冷凍麺の製造方法

【課題】高歩留りに茹でたにもかかわらず、麺らしいしっかりとした食感を有するローカロリーの茹で麺が得られる茹で麺の製造方法を提供すること。
【解決手段】グルテンを0.5〜15質量%含む乾麺を、250〜400質量%の歩留りに茹でることを特徴とする茹で麺の製造方法。好ましくは、この製造方法で得られた茹で麺を冷凍処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカロリーの茹で麺が得られる茹で麺の製造方法及び該製造方法で得られる茹で麺を冷凍処理した冷凍麺の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麺を高歩留りに茹でれば、茹で麺の水分含量が増える分、ローカロリーの茹で麺となる。しかし、従来の茹で麺の製造方法では、麺を茹ですぎると、食感の軟弱化、麺線の形状の崩れなどが生じ、麺らしいしっかりとした食感を有する茹で麺が得られなかった。
そのため、従来のローカロリーの茹で麺としては、こんにゃく粉などを配合したもの(特許文献1)が提案されている。しかし、例えば、こんにゃく粉を配合した茹で麺は、食感が所謂こんにゃくの食感となってしまい、麺本来の食感とはかけ離れたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−289133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高歩留りに茹でたにもかかわらず、麺らしいしっかりとした食感を有するローカロリーの茹で麺が得られる茹で麺の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、種々検討した結果、特定量のグルテンを含む乾麺が、高歩留りに茹でても、食感の軟弱化及び麺線の形状の崩れが生じることがなく、麺らしいしっかりとした食感を有する茹で麺が得られることを知見した。また、該茹で麺を冷凍処理することにより、該茹で麺の食感がさらに改善されることを知見した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、グルテンを0.5〜15質量%含む乾麺を、250〜400質量%の歩留りに茹でることを特徴とする茹で麺の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の本発明の茹で麺の製造方法で得られた茹で麺を冷凍処理することを特徴とする冷凍麺の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の茹で麺の製造方法により得られる茹で麺は、高歩留りに茹でているにもかかわらず、食感の軟弱化及び麺線の形状の崩れがなく、麺らしいしっかりとした食感を有する茹で麺であり、且つ高歩留りに茹でているため、ローカロリーの茹で麺である。
また、本発明の冷凍麺の製造方法により得られる冷凍麺は、上記茹で麺の食感がさらに改善されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる乾麺は、グルテンを0.5〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%含む。乾麺のグルテンが少なすぎると、麺らしいしっかりとした食感が得られない場合があり、乾麺のグルテンが多すぎると、カロリーの低下の効果が得られない場合がある。
【0009】
乾麺の製法としては、制限されるものではなく、どのような製法で製造された乾麺でもよく、水分が15質量%以下、特に10〜13質量%のものが好ましい。上記乾麺の種類も、制限されず、例えば、スパゲティ、マカロニ、素麺、うどん、きしめん、冷麦、中華麺、日本そば等のいずれであってもよいが、特に、スパゲティ、マカロニ等、密度の高い、硬いものが好ましい。
【0010】
乾麺を、250〜400質量%の歩留り、好ましくは260〜300質量%の歩留りに茹でる。
歩留りが250質量%未満では、カロリーの低下の効果がなく、また歩留りが400質量%超であると、麺の食感が柔らかくなる場合がある。
【0011】
このようにして得られた茹で麺は、冷凍処理して冷凍麺としてもよい。この冷凍処理を行うことにより、茹で麺の食感がさらに改善される。
上記冷凍処理は、常法に従って行えばよく、例えば、茹で麺を冷水に浸漬し、水をきって、成型トレーに麺を盛り付けてから約−40℃のディープフリーザーで冷凍する。
【実施例】
【0012】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
【0013】
実施例1〜6及び比較例1〜2(茹でスパゲティ)
表1に示す量のグルテンを含む乾麺(水分13質量%)を270質量%の歩留りに茹でて、茹でスパゲティをそれぞれ得た。
得られた各茹でスパゲティについて、食感を表2に示す評価基準に従ってパネラー10名に採点させた。その評価結果(パネラー10名の平均点)を表1に示す。
【0014】
【表1】


【0015】
【表2】

【0016】
実施例7〜12
実施例1〜6で得られた各茹でスパゲティ180gを冷水に浸漬し、水を切り、成型トレーに麺を盛り付けて、約−40℃で冷凍した。冷凍3日後、各冷凍茹でスパゲティを電子レンジで解凍し、食感を表2に示す評価基準に従ってパネラー10名に採点させた。その評価結果を表3に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルテンを0.5〜15質量%含む乾麺を、250〜400質量%の歩留りに茹でることを特徴とする茹で麺の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法で得られた茹で麺を冷凍処理することを特徴とする冷凍麺の製造方法。