説明

茹で麺の製造装置及び茹で麺の製造方法

【課題】効率的に麺を茹で上げることで麺茹で作業の省力化及び省エネ化を図れるのは勿論、既存の茹で釜に簡易に後付可能な極めて実用性に秀れた茹で麺の製造装置及び茹で麺の製造方法の提供。
【解決手段】
茹で湯22がためられる既存の茹で釜1の開口部2を覆う覆体3を備え、この覆体3の開口部4から前記茹で釜1内に囲体7を垂下配設し、この囲体7の上部開口部から囲体7内に導入される麺10を収納する茹で篭体5を囲体7内で上下方向に移動させる移動機構を備える茹で麺の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茹で麺の製造装置及び茹で麺の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、蕎麦,うどん若しくはラーメン等の麺を茹でる際には、茹で釜でまとめて一人前分若しくは数人前分の麺を茹で、平笊で湯切りしながら取り上げたり、例えば特許文献1に開示されるような、沸騰する茹で湯が貯留される麺茹で槽内に、上部が開口した丸底円筒状の茹で篭(筒笊)を複数設け、この筒笊に一人前分の麺を丸め状態で夫々投入し、適宜ほぐしながら筒笊内で茹でる麺茹で装置を用いたりしているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−164068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、麺を上述のような茹で釜や筒笊内で茹でる場合、麺を均一に茹でるため、茹で釜内の茹で湯に激しい旋回流(対流)を生じさせこの旋回流に乗せて自由に回流させて茹でるか若しくは丸め状態の麺を筒笊内で解しながら茹でており、通常、茹で上げた麺を笊で取り上げた際に麺同士は無秩序に絡み合った状態となっている。
【0005】
そのため、例えば蕎麦を一口分(一箸分)ずつ掴んでひねりながら輪状に盛り付けた所謂手振りに盛った蕎麦を作る際には、麺同士の絡まりを解きながら一口分ずつ取り分けて盛り付ける必要があり非常に手間がかかり厄介である。また、一度に茹で釜や筒笊中に投入する麺の量を少なくすれば上記麺同士の絡まりは生じ難くなるものの、大量の麺を同時に茹で上げることができず現実的でない。
【0006】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、効率的に麺を茹で上げることで麺茹で作業の省力化及び省エネ化を図れるのは勿論、既存の茹で釜に簡易に後付可能な極めて実用性に秀れた茹で麺の製造装置及び茹で麺の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
茹で湯22がためられる既存の茹で釜1の開口部2を覆う覆体3を備え、この覆体3の開口部4から前記茹で釜1内に囲体7を垂下配設し、この囲体7の上部開口部から囲体7内に導入される麺10を収納する茹で篭体5を囲体7内で上下方向に移動させる移動機構を備えたことを特徴とする茹で麺の製造装置に係るものである。
【0009】
また、筒状の前記囲体7の周壁部に通水孔9を設け、前記茹で篭体5を囲体7内で上下方向に移動させた際、前記茹で湯22が前記通水孔9を強制的に通過するように構成したことを特徴とする請求項1記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0010】
また、前記茹で篭体5を支持する支持部を前記囲体7内で上下方向に移動させることで前記茹で篭体5を上下方向に移動させるように前記移動機構を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0011】
また、前記覆体3は前記囲体7の上部開口部を除く前記茹で釜1の開口部全体を閉塞する蓋形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0012】
また、前記覆体3の開口部4を閉塞する閉塞蓋8を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0013】
また、前記囲体7に前記茹で篭体5としてのてぼザルを夫々導入可能なてぼザル導入空間を複数仕切り形成する仕切り体72を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0014】
また、前記仕切り体72に通水孔73を設けたことを特徴とする請求項6記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0015】
また、前記覆体3の開口部4を閉塞する閉塞蓋8を備え、この閉塞蓋8は折り畳み自在に枢着される一対の閉塞片74から成ることを特徴とする請求項6,7のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0016】
また、前記閉塞蓋8に前記てぼザル導入空間に導入された前記てぼザルの握持部79が配設される凹部77を形成したことを特徴とする請求項8記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0017】
また、前記茹で篭体5は前記麺10を複数本ずつ間隔をおいて仕分け収納する複数の細長い載置収納部11を並設状態に設ける構成とし、この茹で篭体5を複数段に積層した状態で前記囲体7内で上下方向に移動させるように前記移動機構を構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置に係るものである。
【0018】
また、シート状の麺生地21を細長く切り分けて複数本の麺10を形成し、この複数本の麺10を、この麺10の軸方向を揃えて並列載置収納し得る茹で篭体5に収納し、この茹で篭体5を請求項1〜5及び請求項10のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置の移動機構により囲体7内で移動させながら麺10を茹でることを特徴とする茹で麺の製造方法に係るものである。
【0019】
また、前記麺10を茹でた後、前記茹で篭体5から前記麺10を複数本ずつ取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項11記載の茹で麺の製造方法に係るものである。
【0020】
また、前記麺10を複数本ずつ間隔をおいて仕分け収納する載置収納部11を複数並設状態に設けた前記茹で篭体5に前記麺10を収納し、前記麺10を茹でた後、前記各載置収納部11に仕分け収納される複数本の麺毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項12記載の茹で麺の製造方法に係るものである。
【0021】
また、前記茹で篭体5に、収納される前記麺10の軸方向と直交する水平方向に間隔をおいて仕分け用凸部23を複数設けて、前記載置収納部11を複数並設状態に設け、この各仕分け用凸部23間の各載置収納部11に仕分け収納される複数本の麺毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項13記載の茹で麺の製造方法に係るものである。
【0022】
また、前記載置収納部11の軸方向途中部に夫々設けられた底部突抜口を突き抜けて各載置収納部11に夫々仕分け収納される前記複数本の麺10の軸方向途中部10aを夫々この茹で篭体5から離間するように押し上げる麺押上用突部24により前記麺10の軸方向途中部10aを押し上げた後、この複数本の麺10を前記各載置収納部11毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項13,14のいずれか1項に記載の茹で麺の製造方法に係るものである。
【0023】
また、前記麺押上用突部24により前記麺10の軸方向途中部10aを押し上げることで、この麺10を掴んで盛り付ける際に前記茹で篭体5と前記麺10との間に指体を挿入可能な指挿入用間隙25を形成することを特徴とする請求項15記載の茹で麺の製造方法に係るものである。
【0024】
また、前記茹で篭体5を、複数の前記麺押上用突部24を有する麺押上体26に積層することで、この麺押上用突部24により前記各載置収納部11に収納される夫々の前記麺10の軸方向途中部10aを押し上げることを特徴とする請求項15,16のいずれか1項に記載の茹で麺の製造方法に係るものである。
【0025】
また、前記茹で篭体5を複数積層した状態で前記移動機構の支持部に支持せしめて茹で釜1内に導入し、この茹で篭体5を複数積層した状態のまま前記茹で釜1内で移動させながら麺を茹でることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の茹で麺の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上述のように構成したから、効率的に麺を茹で上げることで麺茹で作業の省力化及び省エネ化を図れるのは勿論、既存の茹で釜に簡易に後付可能な極めて実用性に秀れた茹で麺の製造装置及び茹で麺の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】茹で釜の概略説明斜視図である。
【図2】実施例1の概略説明斜視図である。
【図3】実施例1の要部の拡大概略説明斜視図である。
【図4】実施例1の要部の分解説明斜視図である。
【図5】実施例1の要部の拡大概略説明断面図である。
【図6】実施例1の要部の拡大概略説明断面図である。
【図7】実施例1の工程概略説明図である。
【図8】実施例1の茹で篭体の概略説明斜視図である。
【図9】実施例1の茹で篭体の分解説明斜視図である。
【図10】実施例1の茹で篭保持体の概略説明斜視図である。
【図11】実施例1の別例の概略説明斜視図である。
【図12】実施例1の麺押上体の概略説明斜視図である。
【図13】実施例1の茹で篭体と麺押上体の概略説明断面図である。
【図14】実施例1の茹で篭体と麺押上体とを積層した状態の概略説明断面図である。
【図15】実施例1の麺形成装置の概略説明斜視図である。
【図16】実施例1の麺形成装置の作動概略説明図である。
【図17】実施例1の麺形成装置の作動概略説明図である。
【図18】実施例2の概略説明斜視図である。
【図19】実施例2の要部の分解説明斜視図である。
【図20】実施例2の囲体の拡大概略説明斜視図である。
【図21】実施例2の要部の概略説明図である。
【図22】実施例2の要部の拡大概略説明断面図である。
【図23】実施例2の要部の拡大概略説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0029】
麺10を収納した茹で篭体5を茹で湯22が溜められる茹で釜1の囲体7内に導入し、この茹で篭体5を囲体7内で上下方向に移動させながら麺10を茹で、茹で篭体5を囲体7内から引きあげて茹で篭体5から麺10を取り出し、盛り付ける。
【0030】
この際、茹で釜1の囲体7内で茹で篭体5を移動させながら麺10を茹でることで、茹で湯22を攪拌して茹で湯22の温度を均一化することができ、また、麺10に良好に茹で湯22を行き渡らせて麺自身を対流に乗せて回流させずとも麺10を全方向から均等に加熱することが可能となる。
【0031】
また、覆体3により茹で釜1を覆った状態で麺10を茹でることができ、茹で釜1を加熱するガス火炎(ガスバーナー)等の熱エネルギーをより効率的に利用できることになり、それだけ省エネ化を図ることができ、二酸化炭素の排出量も低減できることになる。尚、閉塞蓋8により覆体3の開口部4を閉塞した状態することで、茹で釜1の開口部全部を閉塞した状態で茹でることが可能となり、一層省エネ化を図ることが可能となる。
【0032】
更に、囲体7を設けることで、この囲体7内で茹で篭体5を移動させる際に茹で釜1の下方から上方に旋回流を生じさせることが可能となり、この仕切られた領域内で茹で湯22を効率的に回流させることが可能となり(茹で篭体5の移動先の茹で湯22が周囲に逃げにくくなり)、ぬめりを効率的に取り除けるなど、麺10を効率良く美味しく茹で上げることが可能となる。
【0033】
また、例えば、使用時に細長く切り分けて複数本の麺10を形成するシート状の麺生地21を用いる場合には、麺を丸め状態で保管しておく場合に比し、極めて小さいスペースで麺(麺生地21)を保管可能となり、例えば乾燥防止用の介在シートに覆われて交互に積層された状態で保管しておくことも可能で、よって、それだけ乾燥し難く、より長期にわたって良好な状態で麺(麺生地21)を保管可能となり、それだけコスト安に茹で麺を製造可能となる。更に、冷凍保存も可能となり、冷凍保存によって一層長期にわたって保管可能となる。
【0034】
特に、例えば、前記麺10を複数本ずつ間隔をおいて仕分け収納する載置収納部11を複数並設状態に設けた前記茹で篭体5の各載置収納部11に、麺10を一人前分に満たない小分量ずつ小分け状態で載置収納した茹で篭体5を一つ若しくは複数段積層し、この一つ若しくは複数段に積層した茹で篭体5を茹で釜1内に導入して麺10を茹でた後、茹で篭体5を茹で釜1から取り出し、例えばこの茹で篭体5を例えば複数の麺押上用突部24を有する麺押上体26に積層することで、この各麺押上用突部24により各載置収納部11に収納される夫々の麺10の軸方向途中部10aを茹で篭体5から離間するように押し上げた場合には、押し上げられた麺10の軸方向途中部10aと茹で篭体5(と麺押上用突部24)との間には間隙(指挿入用間隙25)が形成されることになり、この間隙に指体を挿入することで麺10の軸方向途中部10aを簡単にすくい上げたり掴んだりすることが可能となる。従って、例えばこの間隙に人差し指若しくは中指(または双方)を挿入すると共に麺10の上側を親指で押さえることで麺10の軸方向途中部10aを簡単に掴むことができ、容易に各載置収納部11に収納される麺10の軸方向途中部10aをまとめて掴むことが可能となる。
【0035】
また、この場合、例えば、茹で篭体5の積層段数を変えるだけで茹でる麺10の量を可変でき、例えば単に積層数を増やすだけで大量の麺10同士を絡ませることなくに短時間で均一に茹で上げることが可能となる。
【0036】
また、載置収納部11を設けた場合、麺10は丸め状態ではなく載置収納部11に少本数ずつ軸方向を揃えて例えば約一口分(一箸分)の本数ずつ小分けに収納されることで絡まり難く、麺10が移動したとしても載置収納部11内での(平行)移動に留まり、麺10は載置収納部11上でその軸方向を揃えて横たわった状態のまま加熱される。
【0037】
従って、載置収納部11を設けた場合には、麺10を予め所定分量ずつ載置収納部11に分割収納し、この分割収納した所定量ずつの麺10の軸方向途中部10aを掴んで盛り付けるだけで麺を小分量ずつ美しく盛り付けることが可能となり、よって、誰でも麺を美味しく茹で上げることができると共に美しく盛り付けることが可能となる。
【実施例1】
【0038】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0039】
実施例1は、茹で湯22がためられる既存の茹で釜1の開口部2を覆う覆体3を備え、この覆体3に設けた開口部4から前記茹で釜1内に垂下配設され、麺10を収納する茹で篭体5を複数段に積層した状態で支持する支持部を有し、この支持部を移動させることで前記茹で篭体5を移動させるように構成した移動機構を前記覆体3に設け、前記茹で篭体5は前記麺10を複数本ずつ間隔をおいて仕分け収納する複数の細長い載置収納部11を並設状態に設ける構成とし、前記覆体3の開口部4を閉塞蓋8で閉塞した状態で前記茹で篭体5に収納された麺10をこの茹で篭体5を移動させながら茹でるように構成したものである。
【0040】
更に、実施例1は、前記覆体3の開口部から茹で釜1内に囲体7を垂下配設し、この囲体7には囲体7の内外を連通させる通水孔9を設け、この囲体7内に前記茹で篭体5及び前記移動機構の支持部を配設したものであり、前記囲体7に前記移動機構の支持部の移動をガイドするガイド部を設けている。
【0041】
図2に図示したように、実施例1においては、覆体3として既存の茹で釜1の開口部2を丁度覆える大きさ(開口部2よりわずかに径大)の円形盆状の蓋体を採用している。茹で釜1は、例えば火力調節ツマミや支持脚を有するガス台27に設けられ、ガス火炎により加熱される一般的な金属製丸底茹で釜である(図1参照)。尚、実施例1においては、覆体3として茹で釜1の開口部2を丁度覆うようなものを採用しているが、例えば図11に図示したように、ガス台27のテーブル部70と略同様の大きさのテーブル体を採用してもよい。この場合、テーブル体の四隅に設けた脚部に夫々高さ調節ねじ71を設けると良好に茹で釜1の開口部2を覆うことができる。
【0042】
また、図3,4に図示したように、上下が開口する角筒状(断面方形状)の前記囲体7の上端部には、前記覆体3の方形状の開口部4の開口周縁部に係止する水平方向に延びる鍔部12を設け、この鍔部12を前記覆体3の開口周縁部に係止させて茹で釜1内に垂下配設する構成としている。また、囲体7の外周形状は覆体3の開口部形状と略合致する形状に設定している。また、囲体7の周壁部の上部寄り位置には、夫々4つずつ円形の通水孔9を略水平に並設している。従って、この囲体7内で茹で篭体5を上下方向に移動させると、下方開口部から茹で釜1の茹で湯22が囲体7内に強制的に導入され上部の通水孔9から排出されるなど、囲体7内で下方から上方に向かう対流(回流)が形成され効率よく麺10が茹でられることになる。
【0043】
また、覆体3の開口部4(囲体7の開口部13)は閉塞蓋8により閉塞し得るように構成し、覆体3と閉塞蓋8とで茹で釜1の開口部全部を閉塞し得るように構成している。符号14は鍔部12の先端に設けた立設壁部、15は把手、16は温度や圧力を計測する計測器、17は給水部である。閉塞蓋8の外形状は前記立設壁部の内形状に略一致する形状に設定している(後記移動体の前方に設けた配設凹部のみを逃げる形状)。
【0044】
また、覆体3には麺10を収納する茹で篭体5を複数段に積層した状態で支持する支持部を有し、この支持部を移動させることで前記茹で篭体5を移動させるように構成した移動機構を設けている。具体的には、支持部は、平面視において前記囲体7の内形状(断面形状)と同様の方形状でこの囲体7内を摺接状態で若しくは僅かな隙間を介して上下方向(垂直方向)に移動可能な形状に設定された水平な支持板18と、この支持板18と覆体3の上面に設けられた一般的な油圧等のシリンダ機構により往復垂直移動せしめられる移動体20とを連結する断面視コ字状の連結体19とで構成している。支持板18には多数の通水孔を設けている(パンチングメタル製等を採用できる。)。従って、実施例1においては囲体7の周壁部が夫々支持板18の垂直移動をガイドするガイド部として働くことになる。
【0045】
前記移動体20は、覆体3の上面にシリンダ機構のシリンダ側と共に固定される固定柱28が挿通せしめられる挿通部29を有しシリンダ機構のピストン軸30が連結された構成であり、前記固定柱28にガイドされ良好に往復垂直移動が行われる(図5,6参照)。また、実施例1においては、固定柱28を補強するため補強柱31及びこの補強柱31と固定柱28とを連結する連結部材32を設けている。符号33はシリンダ34が固定されるシリンダ固定板35と覆体3の上面とを固定する固定ねじである。
【0046】
移動体20の前面部には前記連結体19の上部が配設される配設凹部36が設けられ、この連結体19は固定ピン37によりその上端部が移動体20に連結(枢着)されている。従って、連結体19は支持板18の後端部から略垂直に立設する構成となり、側面視略L字状で連結され、この状態で垂直方向に往復移動する。符号38は、連結体の位置(囲体7との間隔)調整用の調整ねじである。
【0047】
以上のように構成した茹で麺の製造装置を用いて、麺10を複数本ずつ間隔をおいて仕分け収納する載置収納部11を複数並設状態に設けた茹で篭体5に麺10を収納し、茹で釜1内で麺10を茹でた後、引きあげ、各載置収納部11に仕分け収納される複数本の麺毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付ける。
【0048】
実施例1においては、図8,9に図示したような載置収納部11を有する茹で篭体5及び図12に図示したような麺押上用突部24を有する麺押上体26と、図15に図示したような麺形成部及び茹で篭体5載置部を有する麺形成装置と、上記茹で麺の製造装置とを用い、蕎麦を一口分(一箸分)ずつ掴んでひねりながら輪状に盛り付けた所謂手振りに盛った蕎麦を作る場合について以下に説明する。
【0049】
茹で篭体5は、収納される麺10の軸方向と直交する水平方向に間隔をおいて仕分け用凸部23(及び仕切り壁39)を複数設けて、載置収納部11を複数並設状態に設け、この各仕分け用凸部23(及び仕切り壁39)間の各載置収納部11に仕分け収納される複数本の麺10毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付けできるように構成したものである。尚、仕切り壁39を設けた方が仕分け用凸部23のみの場合より一層良好に仕分け収納することができる。
【0050】
具体的には、実施例1においては、図8,9に図示したように方形浅箱状であり、周面部42及び楕円状の通水孔を多数設けた底面部43を夫々金属(ステンレス等)で形成し、前記仕分け用凸部23及び仕切り壁39を設けた仕分け用枠体40を底面部の左右に夫々載置し、所定間隔で設けた複数の山状の仕分け用凸部23及び薄板状の仕切り壁39により、隣接する載置収納部11に収納される麺10同士を仕分けている。即ち、仕分け用凸部23及び仕切り壁39により各載置収納部11に収納される麺10が絡まり合うことを防止している。
【0051】
また、実施例1においては、各仕分け用枠体40の仕分け用凸部23及び仕切り壁39の並設間隔は夫々同一として細長い略直線状の載置収納部11が形成されるように構成している。
【0052】
この仕分け用凸部23が山状に形成されることにより麺10は、各仕分け用凸部23間の各載置収納部11の中央側に寄せられると共に、麺10の軸方向と直交する水平方向への移動が抑制される。図中、符号41は積層した場合に各茹で篭体5のズレを防止するためのズレ防止体である。
【0053】
また、茹で篭体5の底面部中央部寄り位置にはスリット44が2か所設けられており、このスリット44は後述する底部突抜口に設定されている。
【0054】
茹で篭体5は平面視方形状とし、載置収納部11の軸方向長さは麺10の長さの1/2よりやや長く設定し、二つ折りにされた麺10が載置収納部11の前後端部から飛び出さずに丁度収納されるように設定している。また、載置収納部11の幅(仕分け用凸部23の並設間隔)は、一口分(一箸分)の麺10の本数が並列載置収納し得る幅に設定している。
【0055】
尚、実施例1において「麺10の軸方向を揃えて並列載置収納」とは、1本の麺10を折り返さずにそのまま載置する場合も、例えば二つ折り等、折り返して収納する場合も含む概念である。
【0056】
具体的には、茹で篭体5の載置収納部11は夫々略一口分若しくは一箸分(20〜40cm程度の麺10を20〜30本程度、茹でる前の重さで約7〜20g)の麺10が載置収納される容量に設定し、一つの茹で篭体5の載置収納部11に略半人前分から一人前分(茹でる前の重さで約70〜160g)の麺10が載置されるように前記載置収納部11の並設数(6〜10)を設定している。実施例1においては茹で篭体5は200mm×215mmで載置収納部11を7列並設した構成とし、各載置収納部11に長さ40cm程度(二つ折りにすると20cm程度)の麺を25本程度並列収納し得る容量に設定している(一つの茹で篭体5に80g程度)。
【0057】
麺押上体26は、図12に図示したように、支持体、具体的には金属製の方形浅箱トレイ状で茹で篭体5に残存する水分(冷却水等)を受ける水受体45と、この水受体45の底面にして水受体45の周壁一辺側寄り位置に立設され茹で篭体5が積層された際にこの茹で篭体5の一辺及びその両端角部を囲むように近接して設けられる平面視コ字状の薄板状のガイド体46と、水受体45の底面に茹で篭体5の底部突抜口と対応して軸方向及び幅方向に複数並設状態に設けられる麺押上用突部24とで構成している。具体的には、ガイド体46に沿って茹で篭体5を積層することで、各底部突抜口(スリット44)に夫々麺押上用突部24を挿通させることができるように、ガイド体46と麺押上用突部24とを設けている。尚、箱状の水受体45に限らず、底部が平板状で安定的に麺押上用突部24やガイド体を支持できる支持体であればどのような支持体を採用しても良い。
【0058】
この麺押上用突部24は薄板状で、茹で篭体5の幅方向に仕分け用凸部23と同じ間隔で載置収納部11の並設数と同数(7つ)並設され、また、茹で篭体5の各載置収納部11ごとにその軸方向に2つずつ並設されている。尚、麺押上用突部24は薄板状に限らず、各載置収納部11に収納される麺10を可及的に漏れなく支承できる形状であれば、どのような形状としても良い。
【0059】
また、麺押上用突部24の高さは、茹で篭体5を麺押上体26に積層した際に、茹で篭体5の周壁面と押し上げた麺10の軸方向途中部10aとの間に成人の指が挿入可能な間隙を形成し得る高さに設定している。実施例1においては、指(人差し指、中指若しくは薬指)一本分よりやや広い間隙を形成する高さに設定している。また、麺押上用突部24の各載置収納部11の軸方向の並設間隔は、少なくとも成人の指(人差し指、中指若しくは薬指)が1本以上挿入可能な間隔に設定する。
【0060】
従って、実施例1においては、茹で篭体5を麺押上体26に積層すると、図13,14に図示したように、載置収納部11に収納される麺10の軸方向途中部10aは、二箇所で麺押上用突部24により支承されて押し上げられ、二つの麺押上用突部24間に掛け渡される(架設される)ことになる。よって、麺10の軸方向途中部10aの架設部分と二つの麺押上用突部24と茹で篭体5の周壁面により囲まれる部分が指挿入用間隙25となる。尚、実施例1においては麺押上用突部24は載置収納部11の軸方向に二つ並設した構成としているが、三つ以上並設した構成とし、各麺押上用突部24間に一若しくは二本の指が挿入できるようにしても良い。また、麺押上用突部24を各載置収納部11に一つずつ設けた場合でも、この麺押上用突部24の両側に麺10の軸方向途中部10aを斜辺とする(直角)三角形状の指挿入用間隙25が形成されることになる。
【0061】
また、麺押上用突部24の先端中央部には麺10をこぼさずに確実に支承できるように平底U字状の凹状保持縁47を設けている。また、麺10の収納可能量を可及的に多くして各載置収納部11に収納される全ての麺10を収納できるように、この凹状保持縁47は可及的に幅広に設け(各仕分け用凸部23の間隔と同じか若干広く設定し)、この凹条保持縁47間の肉48は可及的に薄く(幅狭に)し、また、凹状保持縁47(肉48)の高さは茹で篭体5の積層を阻害しない範囲で高くしている。尚、麺押上用突部24の先端の凹条保持縁47の形状は、平底U字状に限られず、麺10をこぼし難く、麺10の十分な収納可能量を確保できる形状であれば、どのような形状としても良い。
【0062】
また、麺押上用突部24は、水受体の底面に設けられた下向きコ字状の薄板で形成されるこの底面より一段高い段差部49上に立設し、茹で篭体5を積層した際に茹で篭体5の底部がこの段差部に当接して支承され、茹で篭体5が水受体45の底面に直接載置されることを防いで、茹で篭体5の麺10が水受体45に溜まる水分に浸らないようにしている。
【0063】
従って、麺押上体26に茹で篭体5をこの茹で篭体5の底部突抜口(スリット44)に夫々麺押上用突部24が挿通するように積層すると、各麺押上用突部24が各底部突抜口を突き抜けて各載置収納部11の麺10の軸方向途中部10aを夫々支承し、各麺押上用突部24の先端部の凹状保持縁47により、各載置収納部11に収納される麺10の全てを夫々漏れなく確実に押し上げることが可能となる。
【0064】
上記茹で篭体5を複数積層状態で茹で釜1(囲体7)内に導入する際には、図10に図示したような茹で篭保持体50を用いる。茹で篭保持体50は、載置枠部51と該載置枠部51上に立設される一対の支柱52と該支柱52間に架設される架設板部53と、載置枠部51に載置される茹で篭体5の外周の一部に沿ってコ字状に設けられる立設壁部54とで構成された構成であり、茹で篭体5を係止する係止機構を有するものである。
【0065】
係止機構は、架設板部53と、この架設板部53に設けられた挿通孔55を挿通状態に設けられた押し付け体とで構成されている。具体的には、押し付け体の軸体56には周囲180°間隔で一対設けられる突起57が上下方向に複数組(実施例1においては3組)並設されており、前記挿通孔55は軸体56が挿通する(径大な)中央挿通部と前記突起57が挿通する(径小な)突起挿通部とで構成され、突起挿通部と突起57との位置が一致した場合にのみ突起57と架設板部53とが干渉せずにフリー状態で押し付け体を上下動できるように構成している。図中、符号58はハンドル部、59は最上段の茹で篭体5を覆うメッシュ状等の通水孔を有する金属製の脱落防止体60を押し付けるための押し付け部である。
【0066】
従って、載置した茹で篭体5の数に応じて所定位置の突起57が突起挿通部を通過するように押し付け体(押し付け部59)を脱落防止体60に押し付け(茹で篭体5の高さ寸法は一定であるため、特に意識せずともある程度強く押し付けることで所定位置の突起57が突起挿通部を通過する)、この状態で突起57と突起挿通部との位置が合わなくなるように押し付け体を回動せしめることで、この突起57を架設板部53(の下面)と干渉させて押し付け状態を維持し(係止固定し)、茹で篭体5が脱落しないように構成している。よって、架設板部等を持って岡持ち状態で茹で篭保持体50を移動させることが可能となる。
【0067】
尚、実施例1においては上述したような茹で篭保持体50を採用しているが、例えば茹で篭体5を積層するのではなく、水平方向に複数の茹で篭体保持部を並設し、複数の茹で篭体を水平方向に並設した状態で保持する構成等、他の構成としても良い。また、茹で篭体5として方形浅箱状のものに限らず、てぼザル(振り切りザル)等を採用しても良い。
【0068】
また、実施例1では、麺形成装置を用いて、麺生地21よりやや縦横に大きい乾燥防止用の方形状の介在シート61(ビニール製)に覆われた状態で複数積層された状態で保管される方形状のシート状の麺生地21を細長く切り分けて複数本の麺10を形成する。この場合、既に製造された麺10を丸め状態でトレイ上に複数並べて保管しておく場合に比し、極めて小さいスペースで同分量の麺10(の麺生地21)を保管可能となり、また、乾燥もし難く、より長期にわたって保管可能となり、一括大量仕入れが可能でそれだけコスト安に茹で麺を製造可能となる。更に、冷凍保存も可能となり、冷凍保存によって一層長期にわたって保管可能となる。
【0069】
麺形成装置は、図15に図示したように、回転する一対の回転切断ローラ62間に導入した前記シート状の麺生地21を挟みながら細長く切断して複数本の麺10を形成する麺形成部と、前記一対の回転切断ローラ62の下方位置に設けられ前記一対の回転切断ローラ62によって形成された前記麺10が前記各載置収納部11に夫々導入されるように前記一対の回転切断ローラ62に導入される前記シート状の麺生地21とその幅方向を揃えて前記茹で篭体5が載置される茹で篭体載置部63とを有するものとし、シート状の麺生地21から麺10を形成すると共に、麺10を茹で篭体5の各載置収納部11に収納する(麺10の形成工程と収納工程とを一連に行う)ことができるようにしている。図中、符号68は、シート状の麺生地21を回転切断ローラ62間に導入する際に麺生地21を載置する麺生地載置部である。従って、麺生地21の厚さ及び長さと仕分け用凸部23の間隔設定により載置収納部11に収納される麺10の量を設定可能となる。
【0070】
また、麺形成装置は、前記茹で篭体5が載置される前記茹で篭体載置部63が、前記一対の回転切断ローラ62の回転と連動して前記シート状の麺生地21の幅方向と交差する方向に移動するように構成し、前記一対の回転切断ローラ62により前記シート状の麺生地21を切断しつつ前記茹で篭体載置部63及びこの茹で篭体載置部63上の前記茹で篭体5を移動させて前記麺10の受け取り位置を変化させることで、前記一対の回転切断ローラ62により前記シート状の麺生地21から前記麺10を形成すると共に、前記麺10を前記各載置収納部11にその軸方向を揃えた二つ折り整列状態で収納することができるようにしている。
【0071】
具体的には、例えば、図15に図示したように一対の支柱部64間に回転自在に一対の回転切断ローラ62を架設し、この一方の回転切断ローラ62とハンドル65とを連結してハンドル65を回転させることで一方の回転切断ローラ62が同期回転するように両者を連結し、また、他方の回転切断ローラ62は一方の回転切断ローラ62の回転力を受けて回転するように構成している。この回転切断ローラ62同士は、端部に設けた歯車機構やスプロケット・チェーン機構等の適宜な連動機構により連動回転するように構成する。尚、手動に限らず、自動で回転切断ローラ等を駆動する構成としても良い。
【0072】
回転切断ローラ62は、幅方向に所定間隔(麺幅間隔)で薄円盤状の切断刃を設けるか、同様の間隔で凹凸条を交互に幅方向に連続形成することで、双方のローラで挟んで麺生地21を切断するように構成している。この回転切断ローラ62は、一方の回転切断ローラ62の切断刃若しくは凸条と他方の回転切断ローラ62の切断刃若しくは凸条同士が互いに対向するように全く同じローラを用いるか、対向した際に一方の切断刃若しくは凸条と他方の切断刃若しくは凸条とがローラ幅方向に若干ずれるように切断刃若しくは凸条の位置が一致しないローラを用いる。実施例1においては後者を採用している。尚、切断刃若しくは凸条の位置が一致しないローラを用いる場合には、切断刃間に切断刃を逃げる逃げ部を設けたり、凸条の頂面と凹条の底面との間に空間が形成されるように凸条及び凹条を形成しても良い。
【0073】
図中、符号66は回転切断ローラ62により切断されて形成した麺10を、対応する茹で篭体5の載置収納部11へと導くためのガイドローラである。ガイドローラ66は一対ずつ上下に切断形成された麺10が確実に所定の載置収納部11に向かってガイドして垂下させ得るように設けている。このガイドローラ66には、仕分け用凸部23の並設間隔と略同間隔で略対応する位置に麺10のローラ幅方向への移動を阻止する薄円盤状の凸条67を設け、回転自在に一対の支柱部64間に架設している。尚、実施例1においてはガイドローラ66はフリーローラとしているが、回転切断ローラ等と適宜な連動機構により連動回転するように構成しても良い。また、一対のガイドローラ66同士の間隔は麺10の厚さより僅かに広い間隔として麺10の基端(上端)が回転切断ローラ62を通過しても直ちに落下しないように構成し、茹で篭体載置部63の水平スライド移動に応じて少しずつ載置収納部11内に導入されるように構成している。
【0074】
茹で篭体載置部63は、一対の支柱部64間にして回転切断ローラ62及びガイドローラ66の下方位置に設けられ、中央部に茹で篭体5より若干幅広に形成した茹で篭体載置用の凹部を有するトレイ体で構成している。この茹で篭体載置部63は一対の回転切断ローラ62の回転と連動してシート状の麺生地21の幅方向と交差する方向に移動するように、茹で篭体載置部63の(例えば幅方向端部の)裏面側に設けたラックと噛合するピニオンを、歯車機構やスプロケット・チェーン機構等の連動機構を介して回転切断ローラ62(ハンドル65)の回転と同期回転するように構成し、ハンドルの回転と連動して水平スライド移動するように構成している。
【0075】
この麺形成装置は、茹で篭体載置部63に載置される茹で篭体5の各載置収納部11の軸方向先端部が回転切断ローラ62による麺10の切断形成位置の真下位置よりやや後方(例えば回転切断ローラ62から茹で篭体載置部63までの長さ分だけ後方)に位置させた状態で、シート状の麺生地21を回転切断ローラ62間に導入し、ハンドル65を回転する(回転切断ローラ62を回転させる)ことで麺10を形成しつつ茹で篭体載置部63(茹で篭体5)を水平スライド前進させ、茹で篭体5の各載置収納部11の軸方向先端部が回転切断ローラ62による麺10の切断形成位置の真下位置に到達すると同時にこの載置収納部11の軸方向先端部に麺10の先端(下端)が収納されるようにし(図16)、更にハンドル65を回転すると、麺生地21を切断しつつ茹で篭体載置部63を移動させて麺10の途中部を徐々に各載置収納部11の底部へと接触させながら軸方向先端部から軸方向基端部に順次収納し、麺10の略中央部分が載置収納部11の軸方向基端部に収納されると(図17)茹で篭体載置部63を戻り移動(水平スライド後退)して麺10を折り返し状態で載置収納部11の軸方向基端部から軸方向先端部に順次収納することで、この麺10を各載置収納部11にその軸方向に沿って順次二つ折り整列状態で収納することができる。
【0076】
このような麺形成装置を用いて麺10を形成すると共に各載置収納部11に麺10を整列状態で収納した茹で篭体5を一つ若しくは複数積層し、例えば、茹で釜1の茹で湯22(囲体7)内に蕎麦麺10を収納した複数段の茹で篭体5(茹で篭保持体50)を浸漬し、閉塞蓋8により閉塞して茹で篭体5(茹で篭保持体50)を囲体7内で垂直移動させ、茹で湯22により麺10を扱きながら茹で湯22を攪拌して茹で湯22の温度を均一化させて、設定温度(若しくは設定時間)に達したら加熱を停止し(または加熱し続けてもよい)、閉塞蓋8を閉じたまま所定時間待機して麺10を茹で上げ、茹で上がった麺10が載置収納される複数の茹で篭体5を取り出し、冷水によって麺10を冷却する(例えば冷却水の溜まった冷却槽69に複数段積層したまま茹で篭体5を導入する)。そして、麺10を冷却した茹で篭体5を、麺押上体26上に(一つずつ)積層し、麺押上用突部24により形成される指挿入用間隙25を利用して麺10を各載置収納部11毎に掴んで盛り付け容器に盛り付けることで、容易に所謂手振りに盛った蕎麦を盛り付けることができる(図7)。
【0077】
よって、実施例1は、大量の麺を絡ませることなく同時に短時間で均一に茹で上げることができ、例えば蕎麦を一口分ずつ掴んでひねりながら輪状に盛り付けた所謂手振りに盛った蕎麦を極めて容易に盛り付けることができる極めて実用性に秀れたものとなる。
【実施例2】
【0078】
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
【0079】
実施例2は、図18〜23に図示したように、茹で篭体5として(一人前分若しくは一杯分の蕎麦、ラーメン、うどんなどの麺が投入される)てぼザル(振り切りザル)を採用した例である。
【0080】
具体的には、図19、20に図示したように、囲体7内に各てぼザルが仕切られる仕切り体72を設けている。実施例2では、薄板状の仕切り壁部80(囲体7の前後方向に延びる左右壁部構成仕切り壁部と、囲体7の左右方向に延びる前後壁部構成仕切り部)により、断面長方形状のてぼザルのザル部78が導入されるてぼザル導入空間を複数(6つ)形成するように構成している。てぼザル導入空間の断面形状は、てぼザルのザル部78の断面形状と略同形で丁度1つ分のてぼザルのザル部78が導入できるようにザル部78より若干大きい構成としている。
【0081】
また、この仕切り体72には囲体7に設ける通水孔9と同様の通水孔73を囲体7の通水孔9と同じ高さ位置に設けている。この通水孔9・73は、各てぼザル導入空間の前後壁部には2つずつ、左右壁部には1つずつ設けた構成としている。尚、この通水孔は、てぼザル導入空間の前後方向壁部に1つ若しくは3つ以上設けても良いし、てぼザル導入空間の左右方向壁部に2つ以上設けても良い。
【0082】
また、仕切り体72は囲体7の上方側寄りに設けている(囲体7の下端部から所定距離離れるように仕切り体72の垂直方向長さを設定している。)。これは支持部の移動範囲を確保するためであり、支持部は少なくとも囲体7の下端部から仕切り体72の下端部までの範囲で往復上下移動し得るように構成している。また、てぼザルが脱落しないように、移動範囲はてぼザルのザル部78以下の範囲に設定すると良い。
【0083】
また、囲体7の開口部13(覆体3の開口部4)を閉塞する閉塞蓋8は、一対(2枚)の薄板状の閉塞片74を折り畳み自在に蝶番75で枢着したもので、一側の閉塞片74を摘部76を持ち上げて他側の閉塞片74に折り畳み重合させるように開き回動することで、半分(3つ)のてぼザルの導入出が可能となるようにしている(図21)。従って、てぼザル導入空間全部を一度に使用するのではなく、半分ずつ使用することができ、より柔軟且つ効率的に注文に対応できる。また、閉塞片74には夫々各てぼザルの握持部79を逃げる凹部77が形成されている。従って、てぼザル導入空間は夫々握持部79が配設される凹部77を除いて閉塞される。なお、2枚の薄板に限らずより多数の薄板、例えば各てぼザル導入空間に対応した枚数の薄板(閉塞部材)を夫々独立して開閉できるように構成しても良い。例えば中心軸体に対して左右3対の薄板を夫々枢着する構成などを採用しても良い。
【0084】
また、実施例2の囲体7内を摺接状態で若しくは僅かな隙間を介して上下方向に移動する支持部は格子状の支持枠81とし、より開口面積を大きくして底面側からの対流が一層良好に行われるように構成している。支持枠81(の底面部)はシリンダ機構のピストン軸82と連結部材83を介して連結される側面視L字状の連結体84と溶接等で連結されており、シリンダ機構のピストン軸82の突没動に応じて垂直方向(上下方向)に移動するように構成されている(図22、23)。また、シリンダ機構のシリンダ85は覆体3の上面に固定される固定部材86に固定されている。図中、符号87は連結体が挿通する挿通部材、88は連結体84が挿通する挿通孔、89は連結体84が通過するスリット部、90は覆体3を茹で釜1に固定するための固定ねじである。
【0085】
従って、実施例2は、囲体7の各てぼザル導入空間にてぼザルを導入し、てぼザルに麺10を投入し、閉塞蓋8で閉塞した状態で、移動機構によりてぼザルを支持する支持枠81を囲体7内で垂直移動(上下移動)させることで、囲体7内の茹で湯22で麺10を扱いてぬめりを取りつつ、茹で湯22を良好に対流させて、てぼザルに投入された麺10を効率的に短時間で茹でることが可能となる。よって、それだけ省エネ化を図ることができ、二酸化炭素の排出量も低減できることになる。特に、実施例2においては、てぼザルを用いた場合でもてぼザルに投入された蕎麦のぬめりを取り除いて美味しく茹で上げることが可能となり、てぼザルを用いてざる蕎麦等を提供可能となる。
【0086】
その余は実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0087】
1 茹で釜
2 開口部
3 覆体
4 開口部
5 茹で篭体
7 囲体
8 閉塞蓋
9 通水孔
10 麺
10a 軸方向途中部
11 載置収納部
21 麺生地
22 茹で湯
23 仕分け用凸部
24 麺押上用突部
25 指挿入用間隙
26 麺押上体
72 仕切り体
73 通水孔
74 閉塞片
77 凹部
79 握持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茹で湯がためられる既存の茹で釜の開口部を覆う覆体を備え、この覆体の開口部から前記茹で釜内に囲体を垂下配設し、この囲体の上部開口部から囲体内に導入される麺を収納する茹で篭体を囲体内で上下方向に移動させる移動機構を備えたことを特徴とする茹で麺の製造装置。
【請求項2】
筒状の前記囲体の周壁部に通水孔を設け、前記茹で篭体を囲体内で上下方向に移動させた際、前記茹で湯が前記通水孔を強制的に通過するように構成したことを特徴とする請求項1記載の茹で麺の製造装置。
【請求項3】
前記茹で篭体を支持する支持部を前記囲体内で上下方向に移動させることで前記茹で篭体を上下方向に移動させるように前記移動機構を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置。
【請求項4】
前記覆体は前記囲体の上部開口部を除く前記茹で釜の開口部全体を閉塞する蓋形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置。
【請求項5】
前記覆体の開口部を閉塞する閉塞蓋を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置。
【請求項6】
前記囲体に前記茹で篭体としてのてぼザルを夫々導入可能なてぼザル導入空間を複数仕切り形成する仕切り体を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置。
【請求項7】
前記仕切り体に通水孔を設けたことを特徴とする請求項6記載の茹で麺の製造装置。
【請求項8】
前記覆体の開口部を閉塞する閉塞蓋を備え、この閉塞蓋は折り畳み自在に枢着される一対の閉塞片から成ることを特徴とする請求項6,7のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置。
【請求項9】
前記閉塞蓋に前記てぼザル導入空間に導入された前記てぼザルの握持部が配設される凹部を形成したことを特徴とする請求項8記載の茹で麺の製造装置。
【請求項10】
前記茹で篭体は前記麺を複数本ずつ間隔をおいて仕分け収納する複数の細長い載置収納部を並設状態に設ける構成とし、この茹で篭体を複数段に積層した状態で前記囲体内で上下方向に移動させるように前記移動機構を構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置。
【請求項11】
シート状の麺生地を細長く切り分けて複数本の麺を形成し、この複数本の麺を、この麺の軸方向を揃えて並列載置収納し得る茹で篭体に収納し、この茹で篭体を請求項1〜5及び請求項10のいずれか1項に記載の茹で麺の製造装置の移動機構により囲体内で移動させながら麺を茹でることを特徴とする茹で麺の製造方法。
【請求項12】
前記麺を茹でた後、前記茹で篭体から前記麺を複数本ずつ取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項11記載の茹で麺の製造方法。
【請求項13】
前記麺を複数本ずつ間隔をおいて仕分け収納する載置収納部を複数並設状態に設けた前記茹で篭体に前記麺を収納し、前記麺を茹でた後、前記各載置収納部に仕分け収納される複数本の麺毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項12記載の茹で麺の製造方法。
【請求項14】
前記茹で篭体に、収納される前記麺の軸方向と直交する水平方向に間隔をおいて仕分け用凸部を複数設けて、前記載置収納部を複数並設状態に設け、この各仕分け用凸部間の各載置収納部に仕分け収納される複数本の麺毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項13記載の茹で麺の製造方法。
【請求項15】
前記載置収納部の軸方向途中部に夫々設けられた底部突抜口を突き抜けて各載置収納部に夫々仕分け収納される前記複数本の麺の軸方向途中部を夫々この茹で篭体から離間するように押し上げる麺押上用突部により前記麺の軸方向途中部を押し上げた後、この複数本の麺を前記各載置収納部毎に取り出して順次盛り付け容器に盛り付けることを特徴とする請求項13,14のいずれか1項に記載の茹で麺の製造方法。
【請求項16】
前記麺押上用突部により前記麺の軸方向途中部を押し上げることで、この麺を掴んで盛り付ける際に前記茹で篭体と前記麺との間に指体を挿入可能な指挿入用間隙を形成することを特徴とする請求項15記載の茹で麺の製造方法。
【請求項17】
前記茹で篭体を、複数の前記麺押上用突部を有する麺押上体に積層することで、この麺押上用突部により前記各載置収納部に収納される夫々の前記麺の軸方向途中部を押し上げることを特徴とする請求項15,16のいずれか1項に記載の茹で麺の製造方法。
【請求項18】
前記茹で篭体を複数積層した状態で前記移動機構の支持部に支持せしめて茹で釜内に導入し、この茹で篭体を複数積層した状態のまま前記茹で釜内で移動させながら麺を茹でることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の茹で麺の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−31624(P2013−31624A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227252(P2011−227252)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(592050135)株式会社たかの (4)
【Fターム(参考)】