草刈り用作業機械のフィルタ装置
【課題】本発明の草刈り用作業機械のフィルタ装置は、フィルタ面積を増大させて、目詰まりするまでの時間を長くし、作業効率を改善する。
【解決手段】エンジン22の上方には、上部フィルタ機構100が設けられており、ラジエータ23の前面には側部フィルタ機構200が設けられている。上部フィルタ機構100では、凹凸を有するスポンジ状の第2上部フィルタ120を、三角屋根形状となるように向かい合わせで配置する。これにより、凹凸の無いフィルタを平面上に敷き詰める場合に比べて、フィルタ面積が増大する。側部フィルタ機構200には、流入制御部230が設けられている。流入制御部230は、側部フィルタ機構200が上部フィルタ機構100よりも早期に目詰まりしないように、空気量を制限する。
【解決手段】エンジン22の上方には、上部フィルタ機構100が設けられており、ラジエータ23の前面には側部フィルタ機構200が設けられている。上部フィルタ機構100では、凹凸を有するスポンジ状の第2上部フィルタ120を、三角屋根形状となるように向かい合わせで配置する。これにより、凹凸の無いフィルタを平面上に敷き詰める場合に比べて、フィルタ面積が増大する。側部フィルタ機構200には、流入制御部230が設けられている。流入制御部230は、側部フィルタ機構200が上部フィルタ機構100よりも早期に目詰まりしないように、空気量を制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハンマーナイフモア等のような自走式または乗用式の草刈り用作業機械に用いられるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、堤防等の傾斜地や荒れ地等の不整地に生い茂る雑草や樹木を刈り取るために、ハンマーナイフモアのような草刈り用作業機械が用いられる(特許文献1)。草刈り用作業機械は、内蔵エンジンから生じる力を用いて、草や茎を刈取り、破砕する。草刈り用作業機械はフィルタを備えており、このフィルタによって、草や茎その他の破片がエンジン等に供給される空気中に混入するのを防止している。
【0003】
草や茎の破片がフィルタに付着して、フィルタが目詰まりすると、エンジンへの吸気が妨げられたり、車体内部の温度が上昇する。そこで、オペレータは、定期的または不定期に、フィルタを手作業で清掃する。
【0004】
草刈り用作業機械のフィルタ装置に関する技術ではないが、フィルタが目詰まりした場合に、冷却ファンを逆回転させて異物を吹き飛ばすようにした技術が提案されている(特許文献2,特許文献3,特許文献4,特許文献5)。
【特許文献1】特開平11−225530号公報
【特許文献2】実開昭47−29160号公報
【特許文献3】特開2006−262753号公報
【特許文献4】特許第2813655号明細書
【特許文献5】実公平2−20421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの従来技術では、ときどき冷却ファンを逆回転させて、フィルタに付着した空気中の異物を外部に吹き飛ばし、フィルタを自動的に清掃させる。従って、冷却ファンを逆回転可能にするための可動機構が必要となり、構成が複雑化し、メンテナンス性が低下し、製造コストも増大する。
【0006】
別の従来技術では、エンジン室の上部に、複数の平板なスポンジ状のフィルタを屋根型に配置することにより、フィルタ面積を増大させ、フィルタの目詰まりを低減する。しかしながら、エンジン室の上部空間には限りがあるため、十分に広いフィルタ面積を得るのは難しい。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、フィルタの表面積を増大させることのできる草刈り用作業機械のフィルタ装置を提供することにある。本発明の他の目的は、フィルタの清掃作業を軽減できるようにした草刈り用作業機械のフィルタ装置を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、フィルタの表面積を増大させることができ、フィルタが目詰まりする頻度を低減することができる草刈り用作業機械のフィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従う、草刈り用作業機械のフィルタ装置は、走行しながら草を刈る草刈り用作業機械のエンジン室に清浄な空気を供給するためのフィルタ装置であって、エンジン室の上部に設けられ、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する上部フィルタ機構を備えており、上部フィルタ機構は、エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタと、上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタと、を備え、第2上部フィルタは、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成されていることを特徴とする。ここで、比較的大きな異物としては、例えば、刈り取られた草や茎の断片、小石等を挙げることができる。比較的小さな異物としては、例えば、塵埃等を挙げることができる。
【0009】
好ましくは、各第2上部フィルタは、凹部に比較的小さな異物を溜めることができ、凸部が露出するように形成される。
【0010】
さらに、エンジン室の側部には、冷却ファンの近傍に位置して、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する側部フィルタ機構が設けられており、側部フィルタ機構は、比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタと、第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタと、第2側部フィルタと冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部を介して空気を流入させる流入制御部とを備えて構成することもできる。
【0011】
流入制御部に設けられる各開口部の合計開口面積は、上部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量と側部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定することができる。
【0012】
側部フィルタ機構には、各開口部を遮蔽するための遮蔽部を着脱可能に設けることもできる。
【0013】
側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に作業者に報知する制御回路を設けてもよい。
【0014】
本発明の他の観点に従う、草刈り用作業機械のフィルタ装置は、エンジン室の上部に設けられ、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する上部フィルタ機構を備えており、上部フィルタ機構は、エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタと、上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタと、を備え、エンジン室の側部には、冷却ファンの近傍に位置して、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する側部フィルタ機構が設けられており、側部フィルタ機構は、比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタと、第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタと、第2側部フィルタと冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部を介して空気を流入させる流入制御部とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材からなる複数の第2上部フィルタを三角屋根形状となるように向かい合わせに配置するため、フィルタ面積を大きくすることができる。つまり、三角屋根形状とすることにより、各第2上部フィルタを同一平面上に配置する場合よりもフィルタ面積を増大させることができる。さらに、各第2上部フィルタを凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材からそれぞれ形成することにより、平板状のフィルタ素材を用いる場合に比べて、第2上部フィルタのフィルタ面積を増加させることができる。フィルタ面積が増大することにより、異物によって第2上部フィルタが目詰まりする時期を遅らせることができ、草刈り作業の効率が低下するのを抑制することができる。
【0016】
凹部に比較的小さな異物を溜めることができ、凸部が露出するように第2上部フィルタを形成すれば、凹部が目詰まりした場合でも、凸部の頂上付近を介してエンジン室内に空気を送り込むことができ、エンジンが過熱状態になるのを抑制することができる。
【0017】
さらに、冷却ファンの近傍に側部フィルタ機構を設けることにより、上部フィルタ機構と相俟って、合計フィルタ面積を増加させることができる。これにより、上部フィルタ機構及び側部フィルタ機構の両方が目詰まりする可能性を少なくし、エンジンが過熱状態になるのを抑制できる。
【0018】
側部フィルタ機構に設けられる流入制御部により、上部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量と側部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定すれば、側部フィルタ機構が上部フィルタ機構よりも早期に目詰まりするのを防止でき、上部フィルタ機構と側部フィルタ機構とをほぼ均等に使用することができる。
【0019】
側部フィルタ機構に、各開口部を遮蔽するための遮蔽部を着脱可能に設ければ、側部フィルタ機構を介してエンジン室内に流入する空気を遮断することができる。これにより、第1側部フィルタ及び第2側部フィルタに付着した異物を、草刈り作業中に生じる振動や重力によって自然に落下させることができる。
【0020】
側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に作業者に報知する制御回路を設ければ、作業者は、遮蔽部を取り付けて、側部フィルタ機構を介する空気の流れを停止させ、第1側部フィルタ及び第2側部フィルタを、草刈り作業中に自然に清掃させることができる。
【0021】
本発明の他の観点によれば、上部フィルタ機構及び側部フィルタ機構を備えるため、合計のフィルタ面積を増加させることができ、上部フィルタ機構及び側部フィルタ機構の両方が目詰まりする可能性を少なくし、エンジンが過熱状態になるのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、草刈り用作業機械として、ハンマーナイフモアを例に挙げて説明する。以下に詳述するように、本実施形態では、ハンマーナイフモア1の上部及び側部にそれぞれ別々のフィルタ機構100,200を設ける。上部フィルタ機構100では、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材からなる複数の第2上部フィルタ120を、三角屋根形状となるように向かい合わせに配置する。側部フィルタ機構200では、流入制御部230によって空気量を制限し、側部フィルタ210,220が早期に目詰まりするのを防止する。
【実施例1】
【0023】
図1〜図12に基づいて第1実施例を説明する。先に、図1に基づいて、本実施例によるフィルタ装置の概略を説明し、次に、図2及び図3に基づいてハンマーナイフモア1の全体構成を説明し、次に、図4〜図11に基づいてフィルタ装置の詳細な構成例を説明し、最後に、図12に基づいて本実施例によるフィルタ装置の作用を説明する。
【0024】
図1は、ハンマーナイフモア1(図2参照)に設けられるフィルタ装置の概略を示す説明図である。より詳細な構成は図を改めて後述する。
【0025】
ハンマーナイフモア1のエンジン室20(図4参照)には、エンジン22が設けられている。エンジン室20の上部には、上部フィルタ機構100が設けられており、エンジン室20の側部には側部フィルタ機構200が設けられている。先に上部フィルタ機構100の概略を説明し、次に、側部フィルタ機構200の概略を説明する。
【0026】
上部フィルタ機構100は、例えば、エンジン室20の上部に設けられる上部フィルタ室9(図4参照)に設けられる。上部フィルタ機構100は、第1上部フィルタ101,102(図6,図8参照)と、複数の第2上部フィルタ120と、取付部130(図6,図9参照)と、接続部140とを備えている。
【0027】
取付部130は、各第2上部フィルタ120を着脱可能に取り付けるための部材であり、図9に示すように各第2上部フィルタ120に対応する格子状の取付面131が設けられている。接続部140は、各第2上部フィルタ120により形成される、断面三角形状の空間とエンジン室20内とを連通し、空気を流通させるための部材である。接続部140は、平板状に形成されている。接続部140の一端側には、ラジエータ23の位置に対応して、空気流通口141が設けられている。
【0028】
第1上部フィルタ101,102は、上部フィルタ室9と外部との境界に設けられ、例えば、パンチングボードのような、多数の穴を有する平板なフィルタ部材として形成されている。第1上部フィルタ101,102は、例えば、草や茎あるいは小石等のような、比較的大きな異物を除去する。第1上部フィルタ101,102を通過した空気は、矢示A11に示すように、各第2上部フィルタ120に向けて流入する。各第2上部フィルタ120は、例えば、塵埃等の比較的小さな異物を除去する。
【0029】
本実施例では、2枚の第2上部フィルタ120を向かい合わせに配置して、三角屋根形状に形成する。さらに、本実施例では、三角屋根形状の第2上部フィルタ120のセットを、2組配置している。従って、本実施例では合計4枚の第2上部フィルタ120を使用している。理解の便宜上、図1では、各第2上部フィルタ120にそれぞれを識別するための符号(1)〜(4)を添えている。
【0030】
図示の構成は一例であって、本発明はその構成に限定されない。例えば、第2上部フィルタ120(1)と120(4)、120(2)と120(3)を、それぞれ三角屋根形状に一体的に形成してもよい。この場合、第2上部フィルタ120の部品点数は、合計「2」となる。あるいは、第2上部フィルタ120(1)と120(2)、120(3)と120(4)とをそれぞれ長尺な平板状に一体化してもよい。この場合の第2上部フィルタ120の部品点数は合計「2」となる。さらに、120(1)〜120(4)を一つの三角屋根形状として一体化してもよい。この場合、第2上部フィルタ120の部品点数は合計「1」となる。
【0031】
各第2上部フィルタ120は、図1の上側に示すように、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成される。矢示A11から第2上部フィルタ120内に流入する空気は、第2上部フィルタ120により比較的小さな異物が取り除かれる。
【0032】
一方、矢示A12で示すように、第2上部フィルタ120の側面からも空気が上部フィルタ室9内に流入する。第2上部フィルタ120の側面は、板部132によって遮蔽されている。このため、矢示A12から流入した空気は、矢示A13に示すように第2上部フィルタ120の正面に回り込み、第2上部フィルタ120内に流入する。そして、各第2上部フィルタ120により異物の除去された空気は、矢示A14に示すように、空気流通口141を介してエンジン室20内に流入する。なお、エンジン室20内に流入した空気は、ラジエータ23から熱を奪った後、エンジン室20内の隙間を介して、外部に排出される。
【0033】
各第2上部フィルタ120を空気が通過すればするほど、各凹部122には塵埃がそれぞれ蓄積されていく。これにより、凹部122の底面及び凹部122の側面(凸部121の側面でもある)は、溜まった塵埃により目詰まりを起こす。しかし、外方に向けて突出する凸部121の頂上付近には、塵埃は溜まりにくいため、凸部121の頂上付近は、目詰まりを起こしにくい。このため、凹部122に多くの塵埃が蓄積された場合でも、各凸部121の頂上付近を介して、空気を取り込むことができ、エンジン22の過熱状態を防止することができる。
【0034】
側部フィルタ機構200の構成を説明する。側部フィルタ機構200は、ラジエータ23の外面側に位置している。図11に示すように、ラジエータ23の後面側には冷却ファン24が設けられる。従って、側部フィルタ機構200は、冷却ファン24の近傍に位置して設けられていると言うこともできる。
【0035】
側部フィルタ機構200は、最も外側に位置する第1側部フィルタ210と、第1側部フィルタ210の内側に位置する第2側部フィルタ220と、第2側部フィルタ220の内側に位置する流入制御部230と、を含んで構成される。
【0036】
第1側部フィルタ210は、第1上部フィルタ101,102と同様に、パンチングボードのような多数の穴を有する平板なフィルタ部材として形成される。矢示A20に示すように、最初に外気は第1側部フィルタ210を通過する。第1側部フィルタ210は、流入する空気に含まれる比較的大きな異物を除去する。第2側部フィルタ220は、例えば、平板なスポンジ状のフィルタとして構成されており、空気中に含まれる比較的小さな異物を除去する。
【0037】
流入制御部230は、例えば、複数の開口部231を有する平板として構成されており、第2側部フィルタ220とラジエータ23との間に設けられている。矢示A21に示すように、第2側部フィルタ220により異物の取り除かれた空気は、各開口部231を介してエンジン室20内に流入し、ラジエータ23から熱を奪う。
【0038】
従って、流入制御部230に設ける開口部231の数、その面積、その位置によって、第2側部フィルタ機構200を介してエンジン室20内に供給される空気の量や向きを、ある程度は制御可能である。
【0039】
ここで、本実施例では、以下のように流入制御部230の開口面積を決定している。まず、上部フィルタ機構100のフィルタ面積(4枚の第2上部フィルタ120の合計面積)と側部フィルタ機構200のフィルタ面積(1枚の第2側部フィルタ220の面積)との比をθFとする。次に、上部フィルタ機構100からの空気をエンジン室20内に導くための空気流通口141の面積と側部フィルタ機構200からの空気をエンジン室20内に導くための各開口部231の合計面積との比をθHとする。
【0040】
本実施例では、θF≒θHとなるように、流入制御部230の開口率を決定する。つまり、1個当たりの開口部231の面積と開口部231の合計数を決定している。本実施例では、円形状の開口部231を12個形成する場合を図示するが、本発明は図示の例に限定されない。例えば、矩形状や三角形状等の他の形状の開口部231を、12個以下または12個以上形成してもよい。
【0041】
θF≒θHとなるように流入制御部230を設計することにより、側部フィルタ機構200が上部フィルタ機構100よりも先に目詰まりして閉塞してしまう事態を抑制することができる。換言すれば、上部フィルタ機構100と側部フィルタ機構200とを比較的均等に長時間使用することができる。
【0042】
次に、ハンマーナイフモア1の構成を説明する。図2は、ハンマーナイフモア1の斜視図である。ハンマーナイフモア1は、後述のように、ハンマーのようなカッター16(図3参照)を高速回転させながら走行することにより、雑草や小型の樹木等を破砕する装置である。ハンマーナイフモア1は、例えば、車両本体2と、クローラ3と、作業機4とを備えて構成される。
【0043】
車両本体2の下側には、走行体としてのクローラ3が設けられている。車両本体2には、後述のように、エンジン22や油圧装置(図示せず)を収容するためのエンジン室20,機械室30(図4参照)が設けられている。車両本体2の外側は、外装5によって覆われている。
【0044】
車両本体2の上側には、カバー6が開閉可能に取り付けられている。カバー6の基端側は、車両本体2の前側に回動可能に取り付けられている。カバー6の先端側は、操縦装置8側に向けて延びるようにして設けられている。これにより、カバー6は、車両本体2の上側を覆うようにして、開閉可能に設けられる。カバー6を開くことにより、オペレータは、エンジン室20や機械室30の整備等を行うことができる。車両本体2の後側下部には、ステップ7が設けられている。オペレータは、ステップ7に立って、ハンマーナイフモア1を操作する。車両本体2の後側には、後述の操縦装置8が設けられており、操縦装置8を操作するオペレータを取り囲むようにして保護バー8Aが設けられている。
【0045】
車両本体2の前側には、「草刈り部」としての作業機4が上下に揺動可能に設けられている。作業機4は、例えば、カッターケース10と、カッターカバー11と、左右両側のリンク12と、左右両側のバネ13と、左右両側のソリ14と、回転軸15及び複数のカッター16とを備えて構成される。
【0046】
カッターケース10は、図3に示すように、回転軸15及びカッター16を収容するものである。カッターケース10の前側の下部には、カッターカバー11がリンク12及びバネ13を介して、開閉可能に取り付けられている。この構成により、刈取り対象物である雑草等の背丈に応じて、カッターカバー11の開口量が変化する。
【0047】
雑草の背丈が低い場合、カッターカバー11の開く量は小さくなる。これにより、小石等がカッターケース10内から前方に飛散するのを防止する。雑草の背丈が高い場合、カッターカバー11には開方向(上方向)への力が加わり、カッターカバー11の開く量は大きくなる。これにより、背丈の高い雑草を大量にカッターケース10内に取り込んで、破砕することができる。カッターケース10の両側面の下側には、ソリ14が設けられている。
【0048】
図3は、カッターカバー11を開いた状態で示す正面図である。カッターケース10内に設けられた回転軸15は、例えば、油圧モータ等によって回転される。回転軸15には、その軸方向に離間して、ハンマナイフ型のカッター16が複数設けられている。
【0049】
図4は、ハンマーナイフモア1の側面図である。車両本体2は、エンジン室20,機械室30を備える。エンジン室20は車両本体2の後側に、機械室30は車両本体2の前側にそれぞれ位置する。エンジン室20は、例えば、エンジン22やラジエータ23等を収容する。機械室30は、例えば、燃料タンク31及び作動油タンク32等を収容する。エンジン室20と機械室30との間には、隔壁(不図示)が設けられる。
【0050】
エンジン室20の上部とカバー6との間には、上部フィルタ室9が設けられている。上部フィルタ室9には、上部フィルタ機構100が設けられる。エンジン室20の側面には、側部フィルタ機構200が設けられる。各フィルタ機構100,200は、エンジン室20内に清浄な空気を供給するためのものである。その詳細は後述する。
【0051】
操縦装置8は、車両本体2の後側に設けられている。操縦装置8は、例えば、走行レバー8B、駐車ブレーキレバー、カッタークラッチレバー、作業機昇降スイッチ、エンジン回転数調整レバー、エンジン始動スイッチ、モニタパネル等を備えて構成される。なお、図中では、走行レバー8Bに符号を付し、他のレバーやスイッチ類は適宜省略することとする。
【0052】
図5は、操縦装置8側から拡大して見た斜視図である。操縦装置8の構成等を簡略化して示している。図5に示すように、操縦装置8側には、ハンマーナイフモア1の左右両側に延びるようにして、一つの第1上部フィルタ101が設けられている。図8に示すように、ハンマーナイフモア1の上部側面には、他の一つの第1上部フィルタ102が設けられている。第1上部フィルタ101は、作業者の正面に位置するため上部正面フィルタと呼ぶことができる。他の第1上部フィルタ102は、ハンマーナイフモア1の側面に位置するため上部側面フィルタと呼ぶことができる。
【0053】
図6は、上部フィルタ機構100とエンジン室20との関係を示す説明図である。図6では、図1に示す板部132を除いた状態で示す。図6中の右側は、ハンマーナイフモア1の後側に対応し、図6中の左側はハンマーナイフモア1の前側に対応する。
【0054】
上部フィルタ機構100は、上部フィルタ室9と外部との間を仕切るようにして設けられる2つの第1上部フィルタ101,102と、上部フィルタ室9内に設けられる三角屋根型フィルタ部110とから構成される。
【0055】
三角屋根型フィルタ部110は、複数の第2上部フィルタ120と、取付部130と、接続部140とを備える。図8に示すように、取付部130は、全体として上向きに突出する三角形状ないし山形状に形成されており、格子状の取付面131を備えている。図7では、便宜上、取付面の格子を取り除いた状態で示す。
【0056】
図7に示すように、三角屋根形状の取付部130の底面側には、平板状の接続部140が設けられている。接続部140には、ラジエータ23に対応する位置に、矩形状の空気流通口141が形成されている。
【0057】
図6に戻る。外気は、矢示A10に示すように、第1上部フィルタ101を介して上部フィルタ室9内に流入する。また、図1で述べたように、矢示A12に示すように、側面の第1上部フィルタ102を介して、別の外気が上部フィルタ室9内に流入する。各フィルタ101,102は、外気中の比較的大きな異物を除去する。
【0058】
上部フィルタ室9内に流入した空気は、矢示A11に示すように、各第2上部フィルタ120を通過し、取付部130内の空間133に流入する。また、図1で述べたように、ハンマーナイフモア1の上部側面から上部フィルタ室9内に流入した空気は、図1中の矢示A13のように回り込んで、各第2上部フィルタ120に流入する。各第2上部フィルタ120によって、空気中の比較的小さな異物が取り除かれる。そして、清浄な空気は、矢示A14に示すように、エンジン室20内に流入してラジエータ23を冷却する。そして、ラジエータ23を冷却した空気は、エンジン室20内の隙間を介して、外部に排出される。
【0059】
図6に示すように、各第2上部フィルタ120は、凹凸122,121を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成される。第2上部フィルタ120の縦寸法をL1、横寸法をW1とすると、凹凸122,121を考慮しない投影面積は、L1×W1となる。本実施例では、凹凸122,121によってフィルタ表面積がL1×W1の約1.5倍程度となるように、第2上部フィルタ120の凹凸形状を決定する。なお、以上の数値は例示であって、本発明はそれに限定されない。
【0060】
図8は、上部フィルタ機構100,側部フィルタ機構200及びエンジン室20等の関係を示す斜視図である。図9は、各第2上部フィルタ120,第1側部フィルタ210,第2側部フィルタ220及びエンジン22を取り除いた状態を示す斜視図である。
【0061】
図10は、側部フィルタ機構200の組み立て斜視図である。図1で述べたように、外側から順番に、第1側部フィルタ210,第2側部フィルタ220,流入制御部230が着脱可能に設けられている。
【0062】
図11は、ラジエータ23及び冷却ファン24と各フィルタ機構100,200との関係を模式的に示す説明図である。エンジン22の駆動軸22Aには、冷却ファン24が設けられている。冷却ファン24の前側には、ラジエータ23が設けられている。ラジエータ23の前側には、側部フィルタ機構200が設けられている。ラジエータ23の前側と側部フィルタ機構200との間には隔壁20Aが設けられている。また、ラジエータ23の上方には、上部フィルタ機構100が設けられている。
【0063】
ラジエータ23は、エンジン22から奪った熱を冷却するための熱交換装置である。ラジエータ23は、多数のフィン23Aを備えている。ラジエータ23は、各フィン23Aの表面から空気中に熱を放出させることにより、水等の媒体を冷却する。
【0064】
エンジン22の駆動力を利用して冷却ファン24が回転すると、ハンマーナイフモア1の外側にある空気は、各フィルタ機構100,200を介して、エンジン室20内にそれぞれ流入する。上部フィルタ機構100を通過した空気は、矢示A14に示すように、隔壁20Aと車体側部との間の隙間を介して、ラジエータ23に向かう。矢示A20に示すように、側部フィルタ機構200を通過した空気は、前記隙間を介して、ラジエータ23に向かう。
【0065】
空気は、矢示A21に示すように、各フィン23A間を通過してラジエータ23から熱を奪う。ラジエータ23からの熱を吸収した温かい空気は、冷却ファン24の後方に流れ、図示せぬ排気口から外部に排出される。
【0066】
上述の通り、第2上部フィルタ120は、凹凸122,121を備えており、傾斜して設けられている。凹部122には塵埃等が徐々に蓄積されていくため、やがて目詰まりを生じる。これに対し、凸部121の頂部は、塵埃が蓄積されにくいため、目詰まりを生じにくい。
【0067】
図12は、本実施例による作用効果を示す説明図である。図中の縦軸はラジエータ23の水温を、図中の横軸は時刻をそれぞれ示す。横軸には8時から18時までの時刻が1時間刻みで表示されている。図中の太線は本実施例の場合を示す。二点鎖線(仮想線)は、複数の平板状のフィルタを屋根型に配置しただけの従来技術の場合を示す。この従来技術は、車体側部のフィルタを備えていない。また、従来技術で使用されるフィルタは、平板状であり、凹凸を備えない。図12は、朝の8時から作業を開始し、昼食時間(12時から13時までの1時間)の休憩をはさんで、夕方5時(17時)に作業を終了した場合の、ラジエータ水温の変化を示している。なお、草の刈取り量が比較的多い場合を例に示している。
【0068】
従来技術の場合、ほぼ1時間毎に、ラジエータ水温が上限値HLに到達し、そのたびにフィルタを清掃する必要がある。これに対し、本実施例では、上部フィルタ機構100及び側部フィルタ機構200を備え、かつ、上部フィルタ機構100では、凹凸のあるスポンジ状のフィルタ120を屋根型に配置しているため、フィルタ表面積が従来技術よりも大幅に増大する。従って、図12の太線に示すように、ラジエータ水温の上昇は従来技術に比べて緩やかとなり、清掃頻度を少なくすることができる。
【0069】
さらに、側部フィルタ機構200の各フィルタ210,220に付着した草やゴミ等の少なくとも一部は、昼食時等の休憩中や作業終了後に自然に落下するため、フィルタの性能が自然に回復する。
【0070】
このように構成される本実施例によれば、以下の効果を奏する。本実施例では、凹凸122,121を有するスポンジ状の第2上部フィルタ120を、三角屋根形状となるように向かい合わせに配置する。従って、凹凸122,121による表面積増大効果と、三角屋根形状とすることによる面積増大効果とが相俟って、上部フィルタ機構の合計フィルタ面積を増大させることができる。これにより、エンジン室20内により多くの清浄空気を供給することができ、フィルタが目詰まりする時間を延ばし、エンジン22が過熱状態になるのを抑制することができる。従って、メンテナンス性を改善することができ、草刈り作業の作業効率を高めることができる。
【0071】
本実施例では、塵埃を溜める凹部122が目詰まりした場合でも、凸部121の頂上付近を介して、エンジン室20内に空気を送り込むことができる。従って、必要最低限の空気量を確保して、エンジン22が過熱状態になるのを抑制することができる。
【0072】
本実施例では、冷却ファン24の近傍に側部フィルタ機構200を設けることにより、上部フィルタ機構100と相俟って、合計フィルタ面積を増加させることができる。これにより、フィルタが目詰まりする時間間隔を長くすることができ、メンテナンス性を改善することができる。
【0073】
本実施例では、流入制御部230により、上部フィルタ機構100からエンジン室20内に流入する空気量と側部フィルタ機構200からエンジン室20内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定する。これにより、冷却ファン24に近い側部フィルタ機構200が上部フィルタ機構100よりも先に目詰まりするのを防止することができ、各フィルタ機構100,200を、ほぼ均等に使用することができる。
【実施例2】
【0074】
図13,図14に基づいて第2実施例を説明する。本実施例は、第1実施例の変形例に相当するため、第1実施例との相違点を中心に説明する。本実施例では、側部フィルタ機構200の使用を停止させるための遮蔽部240を着脱可能に設け、かつ、制御回路300等により、遮蔽部240の使用をユーザに通知する。
【0075】
遮蔽部240は、例えば、鉄板や樹脂板等のような空気を実質的に通過させない平板状の部材として構成されており、側部フィルタ機構200に着脱可能に設けられる。遮蔽部240は、例えば、第2側部フィルタ220と流入制御部230との間に設けることができるが、本発明はこれに限定されない。側部フィルタ機構200を使用する通常時では、遮蔽部240は側部フィルタ機構200から取り外されている。第2側部フィルタ220を清掃するメンテナンス時になると、遮蔽部240は、側部フィルタ機構200に取付けられる。遮蔽部を遮蔽板と呼ぶこともできる。
【0076】
エンジン室20には、側部フィルタ機構200の目詰まり状態を検出するための目詰まり検出センサ310が設けられている。例えば、エンジン室20内の温度や圧力に基づいて、第2側部フィルタ220の目詰まり具合を検出可能である。フィルタ220が目詰まりすると、側面から流入する空気量が減少し、エンジン室20内の温度及び圧力がそれぞれ変化するためである。また、第2側部フィルタ220を挟むようにして、発光部と受光部とを設け、受光部に入射する光量変化に基づいて第2側部フィルタ220の目詰まり具合を検出する構成としてもよい。
【0077】
装着検出センサ320は、遮蔽部240が側部フィルタ機構200に取り付けられたか否かを検出するためのセンサである。装着検出センサ320は、例えば、近接スイッチや光電スイッチ、静電容量スイッチ、機械式スイッチ等のように構成される。装着検出センサ320は、装着状態検出センサと呼ぶこともできる。
【0078】
制御回路300は、目詰まり検出センサ310からの信号に基づいて、第2側部フィルタ220が目詰まりしたか否かを判定し、目詰まりしたと判定した場合は、報知部330を作動させて作業者に通知する。報知部330は、例えば、ランプやブザー、音声合成によって作業者に報知する。
【0079】
図14は、本実施例による側部フィルタ機構200の清掃処理を示すフローチャートである。制御回路300は、センサ310からの信号を読込み(S10)、第2側部フィルタ220に目詰まりが生じたか否かを判定する(S11)。
【0080】
目詰まりが生じている場合(S11:YES)、制御回路300は、報知部330を介して作業者に報知する(S12)。この報知を受けて、作業者は、遮蔽部240を側部フィルタ機構200に取り付ける(S13)。制御回路300は、センサ320によって、遮蔽部240が側部フィルタ機構200に装着されたことを確認すると(S14)、タイマをスタートさせる(S15)。
【0081】
制御回路300は、タイマ経過時間tが予め設定される所定時間tsに達したか否かを判定する(S16)。t≧tsとなった場合(S16:YES)、制御回路300は報知部330を介して、遮蔽部240の取り外しを作業者に通知する(S17)。例えば、ランプ点灯している状態またはブザーが鳴動している状態を「遮蔽部240の取付け指示」とし、ランプが消灯している状態またはブザーが停止している状態を「遮蔽部240の取り外し指示」として使用することができる。
【0082】
制御回路300は、センサ320からの信号に基づいて、遮蔽部240が側部フィルタ機構200から取り外されたことを確認すると(S18)、タイマをリセットし(S19)、S10に戻る。
【0083】
遮蔽部240が側部フィルタ機構200に取り付けられると、空気は、側部フィルタ機構200を通過できなくなり、側部フィルタ機構200のフィルタ機能は停止する。つまり、遮蔽部240によってエンジン室20内の負圧が遮られ、第1,第2側部フィルタ210,220に空気を吸い込む力が作用しなくなる。
【0084】
これにより、各フィルタ210,220に付着した塵埃等の異物は、重力や振動等によって自然に落下する。ハンマーナイフモア1は、土手のような不整地の草刈り作業に使用されるため、通常の使用状態においても相当の振動が発生する。この振動により、地面にほぼ垂直に設けられるフィルタ210,220の表面に付着した異物は落下し、フィルタ210,220が清掃される。
【0085】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例では、側部フィルタ機構200の機能を停止させるための遮蔽部240を側部フィルタ機構200に着脱可能に設けるため、遮蔽部240を取り付けて草刈り作業を続けるだけで側部フィルタ210,220を清掃することができる。上述の通り、本実施例では、フィルタ面積の大きい上部フィルタ機構100を備えているため、側部フィルタ機構200が一時的に機能を停止しても、特に不都合は無い。
【0086】
本実施例では、第2側部フィルタ220の目詰まりを自動的に検出して作業者に報知するため、作業者は、必要な場合にのみ遮蔽部240を側部フィルタ機構200に装着することができる。さらに、本実施例では、遮蔽部240を取り付けた後、所定時間tsが経過した場合は、遮蔽部240の取り外しを作業者に指示する。従って、遮蔽部240を取り付けたままの状態で草刈り作業が行われるのを防止することができる。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、草刈り用作業機械として、車両の後方にオペレータが立って操作する形式のハンマーナイフモアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、乗用車型の草刈り作業機械や手押し式の草刈り作業機械、または各種農業機械にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】フィルタ機構の構成を模式的に示す説明図。
【図2】ハンマーナイフモアの斜視図。
【図3】作業機の正面図。
【図4】ハンマーナイフモアの側面図。
【図5】操縦装置の側から部分的に拡大して示す斜視図。
【図6】フィルタ機構及びエンジン等の関係を模式的に示す説明図。
【図7】取付部及び接続部を示す斜視図。
【図8】フィルタ機構等を拡大して示す斜視図。
【図9】第2上部フィルタ、第2側部フィルタ及びエンジン等を取り除いた状態で示す斜視図。
【図10】側部フィルタ機構の組立斜視図。
【図11】ラジエータ及び冷却ファンと各フィルタ機構との関係を示す説明図。
【図12】本実施例の作用を示すグラフ。
【図13】第2実施例に係るフィルタ装置の要部を示す説明図。
【図14】側部フィルタ機構を自動的に清掃する処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0089】
1:ハンマーナイフモア、2:車両本体、3:クローラ、4:作業機、5:外装、6:カバー、7:ステップ、8:操縦装置、8A:保護バー、8B:走行レバー、10:カッターケース、11:カッターカバー、12:リンク、13:バネ、14:ソリ、15:回転軸、16:カッター、20:エンジン室、20A:隔壁、22:エンジン、22A:駆動軸、23:ラジエータ、24:冷却ファン、30:機械室、31:燃料タンク、32:作動油タンク、100:上部フィルタ機構、101,102:第1上部フィルタ、110:三角屋根型フィルタ部、120:第2上部フィルタ、121:凸部、122:凹部、130:取付部、131:取付面、132:板部、133:空間、140:接続部、141:空気流通口、200:側部フィルタ機構、210:第1側部フィルタ、220:第2側部フィルタ、230:流入制御部、231:開口部、240:遮蔽部、300:制御回路、310:目詰まり検出センサ、320:装着検出センサ、330:報知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハンマーナイフモア等のような自走式または乗用式の草刈り用作業機械に用いられるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、堤防等の傾斜地や荒れ地等の不整地に生い茂る雑草や樹木を刈り取るために、ハンマーナイフモアのような草刈り用作業機械が用いられる(特許文献1)。草刈り用作業機械は、内蔵エンジンから生じる力を用いて、草や茎を刈取り、破砕する。草刈り用作業機械はフィルタを備えており、このフィルタによって、草や茎その他の破片がエンジン等に供給される空気中に混入するのを防止している。
【0003】
草や茎の破片がフィルタに付着して、フィルタが目詰まりすると、エンジンへの吸気が妨げられたり、車体内部の温度が上昇する。そこで、オペレータは、定期的または不定期に、フィルタを手作業で清掃する。
【0004】
草刈り用作業機械のフィルタ装置に関する技術ではないが、フィルタが目詰まりした場合に、冷却ファンを逆回転させて異物を吹き飛ばすようにした技術が提案されている(特許文献2,特許文献3,特許文献4,特許文献5)。
【特許文献1】特開平11−225530号公報
【特許文献2】実開昭47−29160号公報
【特許文献3】特開2006−262753号公報
【特許文献4】特許第2813655号明細書
【特許文献5】実公平2−20421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの従来技術では、ときどき冷却ファンを逆回転させて、フィルタに付着した空気中の異物を外部に吹き飛ばし、フィルタを自動的に清掃させる。従って、冷却ファンを逆回転可能にするための可動機構が必要となり、構成が複雑化し、メンテナンス性が低下し、製造コストも増大する。
【0006】
別の従来技術では、エンジン室の上部に、複数の平板なスポンジ状のフィルタを屋根型に配置することにより、フィルタ面積を増大させ、フィルタの目詰まりを低減する。しかしながら、エンジン室の上部空間には限りがあるため、十分に広いフィルタ面積を得るのは難しい。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、フィルタの表面積を増大させることのできる草刈り用作業機械のフィルタ装置を提供することにある。本発明の他の目的は、フィルタの清掃作業を軽減できるようにした草刈り用作業機械のフィルタ装置を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、フィルタの表面積を増大させることができ、フィルタが目詰まりする頻度を低減することができる草刈り用作業機械のフィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従う、草刈り用作業機械のフィルタ装置は、走行しながら草を刈る草刈り用作業機械のエンジン室に清浄な空気を供給するためのフィルタ装置であって、エンジン室の上部に設けられ、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する上部フィルタ機構を備えており、上部フィルタ機構は、エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタと、上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタと、を備え、第2上部フィルタは、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成されていることを特徴とする。ここで、比較的大きな異物としては、例えば、刈り取られた草や茎の断片、小石等を挙げることができる。比較的小さな異物としては、例えば、塵埃等を挙げることができる。
【0009】
好ましくは、各第2上部フィルタは、凹部に比較的小さな異物を溜めることができ、凸部が露出するように形成される。
【0010】
さらに、エンジン室の側部には、冷却ファンの近傍に位置して、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する側部フィルタ機構が設けられており、側部フィルタ機構は、比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタと、第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタと、第2側部フィルタと冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部を介して空気を流入させる流入制御部とを備えて構成することもできる。
【0011】
流入制御部に設けられる各開口部の合計開口面積は、上部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量と側部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定することができる。
【0012】
側部フィルタ機構には、各開口部を遮蔽するための遮蔽部を着脱可能に設けることもできる。
【0013】
側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に作業者に報知する制御回路を設けてもよい。
【0014】
本発明の他の観点に従う、草刈り用作業機械のフィルタ装置は、エンジン室の上部に設けられ、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する上部フィルタ機構を備えており、上部フィルタ機構は、エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタと、上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタと、を備え、エンジン室の側部には、冷却ファンの近傍に位置して、外気中の異物を除去してエンジン室内に供給する側部フィルタ機構が設けられており、側部フィルタ機構は、比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタと、第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタと、第2側部フィルタと冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部を介して空気を流入させる流入制御部とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材からなる複数の第2上部フィルタを三角屋根形状となるように向かい合わせに配置するため、フィルタ面積を大きくすることができる。つまり、三角屋根形状とすることにより、各第2上部フィルタを同一平面上に配置する場合よりもフィルタ面積を増大させることができる。さらに、各第2上部フィルタを凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材からそれぞれ形成することにより、平板状のフィルタ素材を用いる場合に比べて、第2上部フィルタのフィルタ面積を増加させることができる。フィルタ面積が増大することにより、異物によって第2上部フィルタが目詰まりする時期を遅らせることができ、草刈り作業の効率が低下するのを抑制することができる。
【0016】
凹部に比較的小さな異物を溜めることができ、凸部が露出するように第2上部フィルタを形成すれば、凹部が目詰まりした場合でも、凸部の頂上付近を介してエンジン室内に空気を送り込むことができ、エンジンが過熱状態になるのを抑制することができる。
【0017】
さらに、冷却ファンの近傍に側部フィルタ機構を設けることにより、上部フィルタ機構と相俟って、合計フィルタ面積を増加させることができる。これにより、上部フィルタ機構及び側部フィルタ機構の両方が目詰まりする可能性を少なくし、エンジンが過熱状態になるのを抑制できる。
【0018】
側部フィルタ機構に設けられる流入制御部により、上部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量と側部フィルタ機構からエンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定すれば、側部フィルタ機構が上部フィルタ機構よりも早期に目詰まりするのを防止でき、上部フィルタ機構と側部フィルタ機構とをほぼ均等に使用することができる。
【0019】
側部フィルタ機構に、各開口部を遮蔽するための遮蔽部を着脱可能に設ければ、側部フィルタ機構を介してエンジン室内に流入する空気を遮断することができる。これにより、第1側部フィルタ及び第2側部フィルタに付着した異物を、草刈り作業中に生じる振動や重力によって自然に落下させることができる。
【0020】
側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に作業者に報知する制御回路を設ければ、作業者は、遮蔽部を取り付けて、側部フィルタ機構を介する空気の流れを停止させ、第1側部フィルタ及び第2側部フィルタを、草刈り作業中に自然に清掃させることができる。
【0021】
本発明の他の観点によれば、上部フィルタ機構及び側部フィルタ機構を備えるため、合計のフィルタ面積を増加させることができ、上部フィルタ機構及び側部フィルタ機構の両方が目詰まりする可能性を少なくし、エンジンが過熱状態になるのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、草刈り用作業機械として、ハンマーナイフモアを例に挙げて説明する。以下に詳述するように、本実施形態では、ハンマーナイフモア1の上部及び側部にそれぞれ別々のフィルタ機構100,200を設ける。上部フィルタ機構100では、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材からなる複数の第2上部フィルタ120を、三角屋根形状となるように向かい合わせに配置する。側部フィルタ機構200では、流入制御部230によって空気量を制限し、側部フィルタ210,220が早期に目詰まりするのを防止する。
【実施例1】
【0023】
図1〜図12に基づいて第1実施例を説明する。先に、図1に基づいて、本実施例によるフィルタ装置の概略を説明し、次に、図2及び図3に基づいてハンマーナイフモア1の全体構成を説明し、次に、図4〜図11に基づいてフィルタ装置の詳細な構成例を説明し、最後に、図12に基づいて本実施例によるフィルタ装置の作用を説明する。
【0024】
図1は、ハンマーナイフモア1(図2参照)に設けられるフィルタ装置の概略を示す説明図である。より詳細な構成は図を改めて後述する。
【0025】
ハンマーナイフモア1のエンジン室20(図4参照)には、エンジン22が設けられている。エンジン室20の上部には、上部フィルタ機構100が設けられており、エンジン室20の側部には側部フィルタ機構200が設けられている。先に上部フィルタ機構100の概略を説明し、次に、側部フィルタ機構200の概略を説明する。
【0026】
上部フィルタ機構100は、例えば、エンジン室20の上部に設けられる上部フィルタ室9(図4参照)に設けられる。上部フィルタ機構100は、第1上部フィルタ101,102(図6,図8参照)と、複数の第2上部フィルタ120と、取付部130(図6,図9参照)と、接続部140とを備えている。
【0027】
取付部130は、各第2上部フィルタ120を着脱可能に取り付けるための部材であり、図9に示すように各第2上部フィルタ120に対応する格子状の取付面131が設けられている。接続部140は、各第2上部フィルタ120により形成される、断面三角形状の空間とエンジン室20内とを連通し、空気を流通させるための部材である。接続部140は、平板状に形成されている。接続部140の一端側には、ラジエータ23の位置に対応して、空気流通口141が設けられている。
【0028】
第1上部フィルタ101,102は、上部フィルタ室9と外部との境界に設けられ、例えば、パンチングボードのような、多数の穴を有する平板なフィルタ部材として形成されている。第1上部フィルタ101,102は、例えば、草や茎あるいは小石等のような、比較的大きな異物を除去する。第1上部フィルタ101,102を通過した空気は、矢示A11に示すように、各第2上部フィルタ120に向けて流入する。各第2上部フィルタ120は、例えば、塵埃等の比較的小さな異物を除去する。
【0029】
本実施例では、2枚の第2上部フィルタ120を向かい合わせに配置して、三角屋根形状に形成する。さらに、本実施例では、三角屋根形状の第2上部フィルタ120のセットを、2組配置している。従って、本実施例では合計4枚の第2上部フィルタ120を使用している。理解の便宜上、図1では、各第2上部フィルタ120にそれぞれを識別するための符号(1)〜(4)を添えている。
【0030】
図示の構成は一例であって、本発明はその構成に限定されない。例えば、第2上部フィルタ120(1)と120(4)、120(2)と120(3)を、それぞれ三角屋根形状に一体的に形成してもよい。この場合、第2上部フィルタ120の部品点数は、合計「2」となる。あるいは、第2上部フィルタ120(1)と120(2)、120(3)と120(4)とをそれぞれ長尺な平板状に一体化してもよい。この場合の第2上部フィルタ120の部品点数は合計「2」となる。さらに、120(1)〜120(4)を一つの三角屋根形状として一体化してもよい。この場合、第2上部フィルタ120の部品点数は合計「1」となる。
【0031】
各第2上部フィルタ120は、図1の上側に示すように、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成される。矢示A11から第2上部フィルタ120内に流入する空気は、第2上部フィルタ120により比較的小さな異物が取り除かれる。
【0032】
一方、矢示A12で示すように、第2上部フィルタ120の側面からも空気が上部フィルタ室9内に流入する。第2上部フィルタ120の側面は、板部132によって遮蔽されている。このため、矢示A12から流入した空気は、矢示A13に示すように第2上部フィルタ120の正面に回り込み、第2上部フィルタ120内に流入する。そして、各第2上部フィルタ120により異物の除去された空気は、矢示A14に示すように、空気流通口141を介してエンジン室20内に流入する。なお、エンジン室20内に流入した空気は、ラジエータ23から熱を奪った後、エンジン室20内の隙間を介して、外部に排出される。
【0033】
各第2上部フィルタ120を空気が通過すればするほど、各凹部122には塵埃がそれぞれ蓄積されていく。これにより、凹部122の底面及び凹部122の側面(凸部121の側面でもある)は、溜まった塵埃により目詰まりを起こす。しかし、外方に向けて突出する凸部121の頂上付近には、塵埃は溜まりにくいため、凸部121の頂上付近は、目詰まりを起こしにくい。このため、凹部122に多くの塵埃が蓄積された場合でも、各凸部121の頂上付近を介して、空気を取り込むことができ、エンジン22の過熱状態を防止することができる。
【0034】
側部フィルタ機構200の構成を説明する。側部フィルタ機構200は、ラジエータ23の外面側に位置している。図11に示すように、ラジエータ23の後面側には冷却ファン24が設けられる。従って、側部フィルタ機構200は、冷却ファン24の近傍に位置して設けられていると言うこともできる。
【0035】
側部フィルタ機構200は、最も外側に位置する第1側部フィルタ210と、第1側部フィルタ210の内側に位置する第2側部フィルタ220と、第2側部フィルタ220の内側に位置する流入制御部230と、を含んで構成される。
【0036】
第1側部フィルタ210は、第1上部フィルタ101,102と同様に、パンチングボードのような多数の穴を有する平板なフィルタ部材として形成される。矢示A20に示すように、最初に外気は第1側部フィルタ210を通過する。第1側部フィルタ210は、流入する空気に含まれる比較的大きな異物を除去する。第2側部フィルタ220は、例えば、平板なスポンジ状のフィルタとして構成されており、空気中に含まれる比較的小さな異物を除去する。
【0037】
流入制御部230は、例えば、複数の開口部231を有する平板として構成されており、第2側部フィルタ220とラジエータ23との間に設けられている。矢示A21に示すように、第2側部フィルタ220により異物の取り除かれた空気は、各開口部231を介してエンジン室20内に流入し、ラジエータ23から熱を奪う。
【0038】
従って、流入制御部230に設ける開口部231の数、その面積、その位置によって、第2側部フィルタ機構200を介してエンジン室20内に供給される空気の量や向きを、ある程度は制御可能である。
【0039】
ここで、本実施例では、以下のように流入制御部230の開口面積を決定している。まず、上部フィルタ機構100のフィルタ面積(4枚の第2上部フィルタ120の合計面積)と側部フィルタ機構200のフィルタ面積(1枚の第2側部フィルタ220の面積)との比をθFとする。次に、上部フィルタ機構100からの空気をエンジン室20内に導くための空気流通口141の面積と側部フィルタ機構200からの空気をエンジン室20内に導くための各開口部231の合計面積との比をθHとする。
【0040】
本実施例では、θF≒θHとなるように、流入制御部230の開口率を決定する。つまり、1個当たりの開口部231の面積と開口部231の合計数を決定している。本実施例では、円形状の開口部231を12個形成する場合を図示するが、本発明は図示の例に限定されない。例えば、矩形状や三角形状等の他の形状の開口部231を、12個以下または12個以上形成してもよい。
【0041】
θF≒θHとなるように流入制御部230を設計することにより、側部フィルタ機構200が上部フィルタ機構100よりも先に目詰まりして閉塞してしまう事態を抑制することができる。換言すれば、上部フィルタ機構100と側部フィルタ機構200とを比較的均等に長時間使用することができる。
【0042】
次に、ハンマーナイフモア1の構成を説明する。図2は、ハンマーナイフモア1の斜視図である。ハンマーナイフモア1は、後述のように、ハンマーのようなカッター16(図3参照)を高速回転させながら走行することにより、雑草や小型の樹木等を破砕する装置である。ハンマーナイフモア1は、例えば、車両本体2と、クローラ3と、作業機4とを備えて構成される。
【0043】
車両本体2の下側には、走行体としてのクローラ3が設けられている。車両本体2には、後述のように、エンジン22や油圧装置(図示せず)を収容するためのエンジン室20,機械室30(図4参照)が設けられている。車両本体2の外側は、外装5によって覆われている。
【0044】
車両本体2の上側には、カバー6が開閉可能に取り付けられている。カバー6の基端側は、車両本体2の前側に回動可能に取り付けられている。カバー6の先端側は、操縦装置8側に向けて延びるようにして設けられている。これにより、カバー6は、車両本体2の上側を覆うようにして、開閉可能に設けられる。カバー6を開くことにより、オペレータは、エンジン室20や機械室30の整備等を行うことができる。車両本体2の後側下部には、ステップ7が設けられている。オペレータは、ステップ7に立って、ハンマーナイフモア1を操作する。車両本体2の後側には、後述の操縦装置8が設けられており、操縦装置8を操作するオペレータを取り囲むようにして保護バー8Aが設けられている。
【0045】
車両本体2の前側には、「草刈り部」としての作業機4が上下に揺動可能に設けられている。作業機4は、例えば、カッターケース10と、カッターカバー11と、左右両側のリンク12と、左右両側のバネ13と、左右両側のソリ14と、回転軸15及び複数のカッター16とを備えて構成される。
【0046】
カッターケース10は、図3に示すように、回転軸15及びカッター16を収容するものである。カッターケース10の前側の下部には、カッターカバー11がリンク12及びバネ13を介して、開閉可能に取り付けられている。この構成により、刈取り対象物である雑草等の背丈に応じて、カッターカバー11の開口量が変化する。
【0047】
雑草の背丈が低い場合、カッターカバー11の開く量は小さくなる。これにより、小石等がカッターケース10内から前方に飛散するのを防止する。雑草の背丈が高い場合、カッターカバー11には開方向(上方向)への力が加わり、カッターカバー11の開く量は大きくなる。これにより、背丈の高い雑草を大量にカッターケース10内に取り込んで、破砕することができる。カッターケース10の両側面の下側には、ソリ14が設けられている。
【0048】
図3は、カッターカバー11を開いた状態で示す正面図である。カッターケース10内に設けられた回転軸15は、例えば、油圧モータ等によって回転される。回転軸15には、その軸方向に離間して、ハンマナイフ型のカッター16が複数設けられている。
【0049】
図4は、ハンマーナイフモア1の側面図である。車両本体2は、エンジン室20,機械室30を備える。エンジン室20は車両本体2の後側に、機械室30は車両本体2の前側にそれぞれ位置する。エンジン室20は、例えば、エンジン22やラジエータ23等を収容する。機械室30は、例えば、燃料タンク31及び作動油タンク32等を収容する。エンジン室20と機械室30との間には、隔壁(不図示)が設けられる。
【0050】
エンジン室20の上部とカバー6との間には、上部フィルタ室9が設けられている。上部フィルタ室9には、上部フィルタ機構100が設けられる。エンジン室20の側面には、側部フィルタ機構200が設けられる。各フィルタ機構100,200は、エンジン室20内に清浄な空気を供給するためのものである。その詳細は後述する。
【0051】
操縦装置8は、車両本体2の後側に設けられている。操縦装置8は、例えば、走行レバー8B、駐車ブレーキレバー、カッタークラッチレバー、作業機昇降スイッチ、エンジン回転数調整レバー、エンジン始動スイッチ、モニタパネル等を備えて構成される。なお、図中では、走行レバー8Bに符号を付し、他のレバーやスイッチ類は適宜省略することとする。
【0052】
図5は、操縦装置8側から拡大して見た斜視図である。操縦装置8の構成等を簡略化して示している。図5に示すように、操縦装置8側には、ハンマーナイフモア1の左右両側に延びるようにして、一つの第1上部フィルタ101が設けられている。図8に示すように、ハンマーナイフモア1の上部側面には、他の一つの第1上部フィルタ102が設けられている。第1上部フィルタ101は、作業者の正面に位置するため上部正面フィルタと呼ぶことができる。他の第1上部フィルタ102は、ハンマーナイフモア1の側面に位置するため上部側面フィルタと呼ぶことができる。
【0053】
図6は、上部フィルタ機構100とエンジン室20との関係を示す説明図である。図6では、図1に示す板部132を除いた状態で示す。図6中の右側は、ハンマーナイフモア1の後側に対応し、図6中の左側はハンマーナイフモア1の前側に対応する。
【0054】
上部フィルタ機構100は、上部フィルタ室9と外部との間を仕切るようにして設けられる2つの第1上部フィルタ101,102と、上部フィルタ室9内に設けられる三角屋根型フィルタ部110とから構成される。
【0055】
三角屋根型フィルタ部110は、複数の第2上部フィルタ120と、取付部130と、接続部140とを備える。図8に示すように、取付部130は、全体として上向きに突出する三角形状ないし山形状に形成されており、格子状の取付面131を備えている。図7では、便宜上、取付面の格子を取り除いた状態で示す。
【0056】
図7に示すように、三角屋根形状の取付部130の底面側には、平板状の接続部140が設けられている。接続部140には、ラジエータ23に対応する位置に、矩形状の空気流通口141が形成されている。
【0057】
図6に戻る。外気は、矢示A10に示すように、第1上部フィルタ101を介して上部フィルタ室9内に流入する。また、図1で述べたように、矢示A12に示すように、側面の第1上部フィルタ102を介して、別の外気が上部フィルタ室9内に流入する。各フィルタ101,102は、外気中の比較的大きな異物を除去する。
【0058】
上部フィルタ室9内に流入した空気は、矢示A11に示すように、各第2上部フィルタ120を通過し、取付部130内の空間133に流入する。また、図1で述べたように、ハンマーナイフモア1の上部側面から上部フィルタ室9内に流入した空気は、図1中の矢示A13のように回り込んで、各第2上部フィルタ120に流入する。各第2上部フィルタ120によって、空気中の比較的小さな異物が取り除かれる。そして、清浄な空気は、矢示A14に示すように、エンジン室20内に流入してラジエータ23を冷却する。そして、ラジエータ23を冷却した空気は、エンジン室20内の隙間を介して、外部に排出される。
【0059】
図6に示すように、各第2上部フィルタ120は、凹凸122,121を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成される。第2上部フィルタ120の縦寸法をL1、横寸法をW1とすると、凹凸122,121を考慮しない投影面積は、L1×W1となる。本実施例では、凹凸122,121によってフィルタ表面積がL1×W1の約1.5倍程度となるように、第2上部フィルタ120の凹凸形状を決定する。なお、以上の数値は例示であって、本発明はそれに限定されない。
【0060】
図8は、上部フィルタ機構100,側部フィルタ機構200及びエンジン室20等の関係を示す斜視図である。図9は、各第2上部フィルタ120,第1側部フィルタ210,第2側部フィルタ220及びエンジン22を取り除いた状態を示す斜視図である。
【0061】
図10は、側部フィルタ機構200の組み立て斜視図である。図1で述べたように、外側から順番に、第1側部フィルタ210,第2側部フィルタ220,流入制御部230が着脱可能に設けられている。
【0062】
図11は、ラジエータ23及び冷却ファン24と各フィルタ機構100,200との関係を模式的に示す説明図である。エンジン22の駆動軸22Aには、冷却ファン24が設けられている。冷却ファン24の前側には、ラジエータ23が設けられている。ラジエータ23の前側には、側部フィルタ機構200が設けられている。ラジエータ23の前側と側部フィルタ機構200との間には隔壁20Aが設けられている。また、ラジエータ23の上方には、上部フィルタ機構100が設けられている。
【0063】
ラジエータ23は、エンジン22から奪った熱を冷却するための熱交換装置である。ラジエータ23は、多数のフィン23Aを備えている。ラジエータ23は、各フィン23Aの表面から空気中に熱を放出させることにより、水等の媒体を冷却する。
【0064】
エンジン22の駆動力を利用して冷却ファン24が回転すると、ハンマーナイフモア1の外側にある空気は、各フィルタ機構100,200を介して、エンジン室20内にそれぞれ流入する。上部フィルタ機構100を通過した空気は、矢示A14に示すように、隔壁20Aと車体側部との間の隙間を介して、ラジエータ23に向かう。矢示A20に示すように、側部フィルタ機構200を通過した空気は、前記隙間を介して、ラジエータ23に向かう。
【0065】
空気は、矢示A21に示すように、各フィン23A間を通過してラジエータ23から熱を奪う。ラジエータ23からの熱を吸収した温かい空気は、冷却ファン24の後方に流れ、図示せぬ排気口から外部に排出される。
【0066】
上述の通り、第2上部フィルタ120は、凹凸122,121を備えており、傾斜して設けられている。凹部122には塵埃等が徐々に蓄積されていくため、やがて目詰まりを生じる。これに対し、凸部121の頂部は、塵埃が蓄積されにくいため、目詰まりを生じにくい。
【0067】
図12は、本実施例による作用効果を示す説明図である。図中の縦軸はラジエータ23の水温を、図中の横軸は時刻をそれぞれ示す。横軸には8時から18時までの時刻が1時間刻みで表示されている。図中の太線は本実施例の場合を示す。二点鎖線(仮想線)は、複数の平板状のフィルタを屋根型に配置しただけの従来技術の場合を示す。この従来技術は、車体側部のフィルタを備えていない。また、従来技術で使用されるフィルタは、平板状であり、凹凸を備えない。図12は、朝の8時から作業を開始し、昼食時間(12時から13時までの1時間)の休憩をはさんで、夕方5時(17時)に作業を終了した場合の、ラジエータ水温の変化を示している。なお、草の刈取り量が比較的多い場合を例に示している。
【0068】
従来技術の場合、ほぼ1時間毎に、ラジエータ水温が上限値HLに到達し、そのたびにフィルタを清掃する必要がある。これに対し、本実施例では、上部フィルタ機構100及び側部フィルタ機構200を備え、かつ、上部フィルタ機構100では、凹凸のあるスポンジ状のフィルタ120を屋根型に配置しているため、フィルタ表面積が従来技術よりも大幅に増大する。従って、図12の太線に示すように、ラジエータ水温の上昇は従来技術に比べて緩やかとなり、清掃頻度を少なくすることができる。
【0069】
さらに、側部フィルタ機構200の各フィルタ210,220に付着した草やゴミ等の少なくとも一部は、昼食時等の休憩中や作業終了後に自然に落下するため、フィルタの性能が自然に回復する。
【0070】
このように構成される本実施例によれば、以下の効果を奏する。本実施例では、凹凸122,121を有するスポンジ状の第2上部フィルタ120を、三角屋根形状となるように向かい合わせに配置する。従って、凹凸122,121による表面積増大効果と、三角屋根形状とすることによる面積増大効果とが相俟って、上部フィルタ機構の合計フィルタ面積を増大させることができる。これにより、エンジン室20内により多くの清浄空気を供給することができ、フィルタが目詰まりする時間を延ばし、エンジン22が過熱状態になるのを抑制することができる。従って、メンテナンス性を改善することができ、草刈り作業の作業効率を高めることができる。
【0071】
本実施例では、塵埃を溜める凹部122が目詰まりした場合でも、凸部121の頂上付近を介して、エンジン室20内に空気を送り込むことができる。従って、必要最低限の空気量を確保して、エンジン22が過熱状態になるのを抑制することができる。
【0072】
本実施例では、冷却ファン24の近傍に側部フィルタ機構200を設けることにより、上部フィルタ機構100と相俟って、合計フィルタ面積を増加させることができる。これにより、フィルタが目詰まりする時間間隔を長くすることができ、メンテナンス性を改善することができる。
【0073】
本実施例では、流入制御部230により、上部フィルタ機構100からエンジン室20内に流入する空気量と側部フィルタ機構200からエンジン室20内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定する。これにより、冷却ファン24に近い側部フィルタ機構200が上部フィルタ機構100よりも先に目詰まりするのを防止することができ、各フィルタ機構100,200を、ほぼ均等に使用することができる。
【実施例2】
【0074】
図13,図14に基づいて第2実施例を説明する。本実施例は、第1実施例の変形例に相当するため、第1実施例との相違点を中心に説明する。本実施例では、側部フィルタ機構200の使用を停止させるための遮蔽部240を着脱可能に設け、かつ、制御回路300等により、遮蔽部240の使用をユーザに通知する。
【0075】
遮蔽部240は、例えば、鉄板や樹脂板等のような空気を実質的に通過させない平板状の部材として構成されており、側部フィルタ機構200に着脱可能に設けられる。遮蔽部240は、例えば、第2側部フィルタ220と流入制御部230との間に設けることができるが、本発明はこれに限定されない。側部フィルタ機構200を使用する通常時では、遮蔽部240は側部フィルタ機構200から取り外されている。第2側部フィルタ220を清掃するメンテナンス時になると、遮蔽部240は、側部フィルタ機構200に取付けられる。遮蔽部を遮蔽板と呼ぶこともできる。
【0076】
エンジン室20には、側部フィルタ機構200の目詰まり状態を検出するための目詰まり検出センサ310が設けられている。例えば、エンジン室20内の温度や圧力に基づいて、第2側部フィルタ220の目詰まり具合を検出可能である。フィルタ220が目詰まりすると、側面から流入する空気量が減少し、エンジン室20内の温度及び圧力がそれぞれ変化するためである。また、第2側部フィルタ220を挟むようにして、発光部と受光部とを設け、受光部に入射する光量変化に基づいて第2側部フィルタ220の目詰まり具合を検出する構成としてもよい。
【0077】
装着検出センサ320は、遮蔽部240が側部フィルタ機構200に取り付けられたか否かを検出するためのセンサである。装着検出センサ320は、例えば、近接スイッチや光電スイッチ、静電容量スイッチ、機械式スイッチ等のように構成される。装着検出センサ320は、装着状態検出センサと呼ぶこともできる。
【0078】
制御回路300は、目詰まり検出センサ310からの信号に基づいて、第2側部フィルタ220が目詰まりしたか否かを判定し、目詰まりしたと判定した場合は、報知部330を作動させて作業者に通知する。報知部330は、例えば、ランプやブザー、音声合成によって作業者に報知する。
【0079】
図14は、本実施例による側部フィルタ機構200の清掃処理を示すフローチャートである。制御回路300は、センサ310からの信号を読込み(S10)、第2側部フィルタ220に目詰まりが生じたか否かを判定する(S11)。
【0080】
目詰まりが生じている場合(S11:YES)、制御回路300は、報知部330を介して作業者に報知する(S12)。この報知を受けて、作業者は、遮蔽部240を側部フィルタ機構200に取り付ける(S13)。制御回路300は、センサ320によって、遮蔽部240が側部フィルタ機構200に装着されたことを確認すると(S14)、タイマをスタートさせる(S15)。
【0081】
制御回路300は、タイマ経過時間tが予め設定される所定時間tsに達したか否かを判定する(S16)。t≧tsとなった場合(S16:YES)、制御回路300は報知部330を介して、遮蔽部240の取り外しを作業者に通知する(S17)。例えば、ランプ点灯している状態またはブザーが鳴動している状態を「遮蔽部240の取付け指示」とし、ランプが消灯している状態またはブザーが停止している状態を「遮蔽部240の取り外し指示」として使用することができる。
【0082】
制御回路300は、センサ320からの信号に基づいて、遮蔽部240が側部フィルタ機構200から取り外されたことを確認すると(S18)、タイマをリセットし(S19)、S10に戻る。
【0083】
遮蔽部240が側部フィルタ機構200に取り付けられると、空気は、側部フィルタ機構200を通過できなくなり、側部フィルタ機構200のフィルタ機能は停止する。つまり、遮蔽部240によってエンジン室20内の負圧が遮られ、第1,第2側部フィルタ210,220に空気を吸い込む力が作用しなくなる。
【0084】
これにより、各フィルタ210,220に付着した塵埃等の異物は、重力や振動等によって自然に落下する。ハンマーナイフモア1は、土手のような不整地の草刈り作業に使用されるため、通常の使用状態においても相当の振動が発生する。この振動により、地面にほぼ垂直に設けられるフィルタ210,220の表面に付着した異物は落下し、フィルタ210,220が清掃される。
【0085】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例では、側部フィルタ機構200の機能を停止させるための遮蔽部240を側部フィルタ機構200に着脱可能に設けるため、遮蔽部240を取り付けて草刈り作業を続けるだけで側部フィルタ210,220を清掃することができる。上述の通り、本実施例では、フィルタ面積の大きい上部フィルタ機構100を備えているため、側部フィルタ機構200が一時的に機能を停止しても、特に不都合は無い。
【0086】
本実施例では、第2側部フィルタ220の目詰まりを自動的に検出して作業者に報知するため、作業者は、必要な場合にのみ遮蔽部240を側部フィルタ機構200に装着することができる。さらに、本実施例では、遮蔽部240を取り付けた後、所定時間tsが経過した場合は、遮蔽部240の取り外しを作業者に指示する。従って、遮蔽部240を取り付けたままの状態で草刈り作業が行われるのを防止することができる。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、草刈り用作業機械として、車両の後方にオペレータが立って操作する形式のハンマーナイフモアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、乗用車型の草刈り作業機械や手押し式の草刈り作業機械、または各種農業機械にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】フィルタ機構の構成を模式的に示す説明図。
【図2】ハンマーナイフモアの斜視図。
【図3】作業機の正面図。
【図4】ハンマーナイフモアの側面図。
【図5】操縦装置の側から部分的に拡大して示す斜視図。
【図6】フィルタ機構及びエンジン等の関係を模式的に示す説明図。
【図7】取付部及び接続部を示す斜視図。
【図8】フィルタ機構等を拡大して示す斜視図。
【図9】第2上部フィルタ、第2側部フィルタ及びエンジン等を取り除いた状態で示す斜視図。
【図10】側部フィルタ機構の組立斜視図。
【図11】ラジエータ及び冷却ファンと各フィルタ機構との関係を示す説明図。
【図12】本実施例の作用を示すグラフ。
【図13】第2実施例に係るフィルタ装置の要部を示す説明図。
【図14】側部フィルタ機構を自動的に清掃する処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0089】
1:ハンマーナイフモア、2:車両本体、3:クローラ、4:作業機、5:外装、6:カバー、7:ステップ、8:操縦装置、8A:保護バー、8B:走行レバー、10:カッターケース、11:カッターカバー、12:リンク、13:バネ、14:ソリ、15:回転軸、16:カッター、20:エンジン室、20A:隔壁、22:エンジン、22A:駆動軸、23:ラジエータ、24:冷却ファン、30:機械室、31:燃料タンク、32:作動油タンク、100:上部フィルタ機構、101,102:第1上部フィルタ、110:三角屋根型フィルタ部、120:第2上部フィルタ、121:凸部、122:凹部、130:取付部、131:取付面、132:板部、133:空間、140:接続部、141:空気流通口、200:側部フィルタ機構、210:第1側部フィルタ、220:第2側部フィルタ、230:流入制御部、231:開口部、240:遮蔽部、300:制御回路、310:目詰まり検出センサ、320:装着検出センサ、330:報知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)のエンジン室(20)に清浄な空気を供給するためのフィルタ装置であって、
前記エンジン室(20)の上部に設けられ、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する上部フィルタ機構(100)を備えており、
前記上部フィルタ機構は、
前記エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室(9)の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタ(101,102)と、
前記上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタ(120)と、
を備え、
前記第2上部フィルタは、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成されていることを特徴とする、草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項2】
前記各第2上部フィルタは、凹部に前記比較的小さな異物を溜めることができ、凸部が露出するように形成される、請求項1に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項3】
前記エンジン室の側部には、冷却ファン(24)の近傍に位置して、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する側部フィルタ機構(200)が設けられており、
前記側部フィルタ機構は、
比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタ(210)と、
前記第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタ(220)と、
前記第2側部フィルタと前記冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部(231)を介して空気を流入させる流入制御部(230)とを備えて構成される、請求項1または請求項2のいずれかに記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項4】
前記流入制御部に設けられる前記各開口部の合計開口面積は、前記上部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量と前記側部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定される、請求項3に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項5】
前記側部フィルタ機構には、前記各開口部を遮蔽するための遮蔽部が着脱可能に設けられている、請求項4に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項6】
前記側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段(310)からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に前記遮蔽部の取り外しを作業者に報知する制御回路(300)を設けた、請求項5に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項7】
走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)のエンジン室(20)に清浄な空気を供給するためのフィルタ装置であって、
前記エンジン室(20)の上部に設けられ、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する上部フィルタ機構(100)を備えており、
前記上部フィルタ機構は、
前記エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室(9)の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタ(101,102)と、
前記上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタ(120)と、
を備え、
前記エンジン室の側部には、冷却ファン(24)の近傍に位置して、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する側部フィルタ機構(200)が設けられており、
前記側部フィルタ機構は、
比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタ(210)と、
前記第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタ(220)と、
前記第2側部フィルタと前記冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部(231)を介して空気を流入させる流入制御部(230)とを備えて構成される、草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項8】
前記流入制御部に設けられる前記各開口部の合計開口面積は、前記上部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量と前記側部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定される、請求項7に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項9】
前記側部フィルタ機構には、前記各開口部を遮蔽するための遮蔽部が着脱可能に設けられている、請求項7に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項10】
前記側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段(310)からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に前記遮蔽部の取り外しを作業者に報知する制御回路(300)を設けた、請求項5に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項1】
走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)のエンジン室(20)に清浄な空気を供給するためのフィルタ装置であって、
前記エンジン室(20)の上部に設けられ、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する上部フィルタ機構(100)を備えており、
前記上部フィルタ機構は、
前記エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室(9)の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタ(101,102)と、
前記上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタ(120)と、
を備え、
前記第2上部フィルタは、凹凸を有するスポンジ状のフィルタ素材から形成されていることを特徴とする、草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項2】
前記各第2上部フィルタは、凹部に前記比較的小さな異物を溜めることができ、凸部が露出するように形成される、請求項1に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項3】
前記エンジン室の側部には、冷却ファン(24)の近傍に位置して、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する側部フィルタ機構(200)が設けられており、
前記側部フィルタ機構は、
比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタ(210)と、
前記第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタ(220)と、
前記第2側部フィルタと前記冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部(231)を介して空気を流入させる流入制御部(230)とを備えて構成される、請求項1または請求項2のいずれかに記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項4】
前記流入制御部に設けられる前記各開口部の合計開口面積は、前記上部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量と前記側部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定される、請求項3に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項5】
前記側部フィルタ機構には、前記各開口部を遮蔽するための遮蔽部が着脱可能に設けられている、請求項4に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項6】
前記側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段(310)からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に前記遮蔽部の取り外しを作業者に報知する制御回路(300)を設けた、請求項5に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項7】
走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)のエンジン室(20)に清浄な空気を供給するためのフィルタ装置であって、
前記エンジン室(20)の上部に設けられ、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する上部フィルタ機構(100)を備えており、
前記上部フィルタ機構は、
前記エンジン室の上部に設けられる上部フィルタ室(9)の壁部に設けられ、比較的大きな異物を除去する第1上部フィルタ(101,102)と、
前記上部フィルタ室内に三角屋根形状となるように向かい合わせに配置され、比較的小さな異物を除去する複数の第2上部フィルタ(120)と、
を備え、
前記エンジン室の側部には、冷却ファン(24)の近傍に位置して、外気中の異物を除去して前記エンジン室内に供給する側部フィルタ機構(200)が設けられており、
前記側部フィルタ機構は、
比較的大きな異物を除去する第1側部フィルタ(210)と、
前記第1側部フィルタの内側に設けられ、比較的小さい異物を除去する第2側部フィルタ(220)と、
前記第2側部フィルタと前記冷却ファンとの間に設けられ、所定の複数の開口部(231)を介して空気を流入させる流入制御部(230)とを備えて構成される、草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項8】
前記流入制御部に設けられる前記各開口部の合計開口面積は、前記上部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量と前記側部フィルタ機構から前記エンジン室内に流入する空気量との差異が少なくなるように設定される、請求項7に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項9】
前記側部フィルタ機構には、前記各開口部を遮蔽するための遮蔽部が着脱可能に設けられている、請求項7に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【請求項10】
前記側部フィルタ機構の目詰まりを検知する検知手段(310)からの信号に基づいて、目詰まりが検知された場合に前記遮蔽部の取り外しを作業者に報知する制御回路(300)を設けた、請求項5に記載の草刈り用作業機械のフィルタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−43539(P2010−43539A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206004(P2008−206004)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(307009883)ハスクバーナ・ゼノア株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(307009883)ハスクバーナ・ゼノア株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
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