説明

荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌

【課題】計時装置を組み込んだ表示ユニットが壊れても、交換したときにそれまでの使用時間が正確引き継がれるようにすると共に、工場出荷時に計時装置を確実に0にリセットしながら出荷後の改ざんを防止できるようにした、荷役作業用車輌における累積使用時間計時方法と荷役作業用車輌を提供することが課題である。
【解決手段】荷役作業用車輌の表示ユニットと制御ユニットなどの機能ユニットのそれぞれに計時装置と記憶装置を搭載し、両者の累積使用時間の差を同一時間にさせる同期モードと、両者の累積使用時間を変更せずに計時を継続させる同期禁止モードとを設け、累積使用時間を互いに送受して各機能ユニットで荷役作業用車輌の累積使用時間と両計時装置の累積使用時間の差の絶対値を参酌し、前記2つのモードから対応するモードを選び、それによって記憶装置に書き込まれた累積使用時間で計時を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌に係り、特に、荷役作業用車輌における工場出荷後の累積使用時間を計時装置でカウントするようにした荷役作業用車輛において、表示ユニットが故障で交換されても正しい総累積使用時間を保持できるようにした、荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト、ブルドーザ、クレーン車などの荷役作業用車輌における目的は走行ではなく、特定の場所における荷役作業であるため、一般的な乗用車などと異なり、使用時間が車輛の価値を決める要素になっている。そのため前記した荷役作業用車輌は、工場出荷後の累積使用時間を計時装置で累計するようになっている。それに対して一般の乗用車は積算距離計(オドメータ)を備え、工場出荷後、どの程度走行したかがわかるようになっていて、この積算距離計が壊れて交換したときは、それまでの総走行距離を車検証に記載することが義務づけられている。
【0003】
この荷役作業用車輌の計時装置は、以前は独立して設けられることもあったが、近年は速度を表示するための表示ユニットなどに一体化されているものが多い。またその表示ユニットも、CPUを備えた制御装置と液晶表示装置を用いて種々のデータを表示できるようにしたり、LEDなどの発光素子を備えてエラーや警告などをシンボルで表示できるようにし、アセンブリ品として用いられることが多くなっている。こういった計時装置は工場出荷後に計測した時間は修正できないようにされているが、表示ユニットがアセンブリ品の場合は、発光素子一つが壊れても表示ユニット全体を交換することになるため、その際に新しい表示ユニットの装着によって累計使用時間がリセットされ、どの程度使用したかわからなくなるという問題が生じる。
【0004】
また、一般的にこういった計時装置は電源ONで使用時間を積算するようになっているが、工場における出荷前の調整などによっても使用時間が進むから、工場出荷時に積算値を0にリセット(以下、0リセットと称する)して出荷している。そしてこの0リセットをユーザが行えるようにすると、長期間使用した車輛を短時間しか使用していないように改ざんされる可能性があるため、通常は出荷後の累積使用時間の変更はできないようになっている。
【0005】
こういった計時装置に関する先行技術としては、特許文献1に、累積使用時間が工場出荷後に改ざんできないようにするため、累積使用時間を不揮発メモリに記憶し、計時装置の値を外部ツールにより変更可能にすると共に、変更できるのは車輛が新品の時のみとし、新品であるかどうかの判定は、計時装置の値がゼロ又はゼロに近い数値である場合とする車両用制御装置が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2008−040568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらこれら特許文献1に示された車両用制御装置は、工場出荷後の改ざんは防げても、計時装置を有した表示ユニットが壊れて交換した場合、それまでの使用時間がリセットされて累積使用時間がわからなくなることについての解決策は何も示唆されていない。
【0008】
また、荷役作業用車輌は前記したように、計時装置を備えてアセンブリ品とされた表示ユニット以外にも、荷役作業用車輌全般の制御を司るCPUなどを備えた制御ユニット、など、複数の機能ユニットを備えている。そして複数の荷役作業用車輌を有しているユーザの場合、例えば1台の荷役作業用車輌における荷役作業がうまく行えなかったり、荷役のための角度調節がうまく行えない、など、荷役作業用車輌の挙動がおかしくなったとき、どこに原因が有るかを切り分けするため、荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニットなどの機能ユニットを正常に動作している荷役作業用車輌のものと交換することが行われている。この場合、機能ユニットを交換したことで正常動作するのであれば交換される前の機能ユニットがおかしく、交換後も挙動がおかしければそれ以外の部分が原因、と特定できる。その切り分けができたら、正常な荷役作業用車輌と不具合のあった荷役作業用車輌それぞれの機能ユニットが元に戻されて、不具合のあった部分のメンテナンスが行われる。
【0009】
このようにして機能ユニットを交換し、不具合原因の切り分けを行うことはユーザに渡って使い込んだ荷役作業用車輌だけでなく、例えばショールームなどに展示し、お客の試用に供するような比較的新しい荷役作業用車輌においても、お客の誤った操作などによって不具合が生じた場合などに実施されることがある。
【0010】
そのため、
1.計時装置を組み込んだ機能ユニットが壊れて交換された場合
2.不具合原因箇所の切り分けのために機能ユニットが交換されて元に戻されるような場合
など、種々のケースにおいて累積使用時間が正確に引き継がれて信頼性を確保できるような荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輛を提供することが課題である。さらに、
3.工場内における調整のために進んだ計時装置の値を、出荷時に0にリセットしながら出荷後の改ざんを防止する
ことができるようにした、荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌を提供することもが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明になる荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法は、
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法において、
前記荷役作業用車輌における累積使用時間の計時を少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットのそれぞれに行わせると共に、該計時結果をそれぞれに設けた記憶装置に記憶させ、通信手段を介して定期的に前記ユニット間で相互の情報を送信しあってそれぞれに記憶された累積使用時間計時結果の差に基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち、最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きして機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを前記機能ユニットのおのおのに選択させることを特徴とする。
【0012】
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輌において、
前記荷役作業用車輌は、少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットにそれぞれ記憶装置と計時装置が設けられてそれぞれ計時と記憶が行われるように構成され、
前記計時装置と記憶装置を備えた機能ユニットのそれぞれは、それぞれの計時装置の累積使用時間を互いに送受する通信手段を有し、該通信手段を介して受信したそれぞれの機能ユニットの累積使用時間の差に基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち、最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きしてそれぞれの機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを選択し、
夫々のモードに応じた処理を行う制御装置を具えることを特徴とする。
【0013】
また、前記機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の場合は前記同期モードを、前記所定時間Tより大きい場合は前記同期禁止モードを、それぞれ選択するようにした。そしてそのために、前記各機能ユニットは、前記機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の状態で前記同期モードを、前記所定時間Tより大きい状態で前記同期禁止モードを、それぞれ選択するよう構成されている。
【0014】
そして、前記同期禁止モードにおいて、少なくとも前記機能ユニットのいずれかより警告を発生するようにした。そしてそのために、少なくとも前記機能ユニットのいずれかが、前記同期禁止モードにおいて、警告を発するよう構成されている。
【0015】
また、前記課題を解決するため、本発明になる荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法は、
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法において、
前記荷役作業用車輌における累積使用時間の計時を少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットのそれぞれに行わせると共に、該計時結果をそれぞれに設けた記憶装置に記憶させ、通信手段を介して定期的に前記ユニット間で相互の情報を送信しあってそれぞれに記憶された累積使用時間計時結果の差を算出し、
前記複数の機能ユニットのうち、予め定めた一の機能ユニットにおける記憶装置に記憶された累積使用時間、及び前記算出した累積使用時間計時結果の差に基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きして機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを前記機能ユニットのおのおのに選択させることを特徴とする。
【0016】
そして、この累積使用時間計時方法を実施する荷役作業用車輛は、
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輌において、
前記荷役作業用車輌は、少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットにそれぞれ記憶装置と計時装置が設けられてそれぞれ計時と記憶が行われるように構成され、
前記計時装置と記憶装置を備えた機能ユニットのそれぞれは、それぞれの計時装置の累積使用時間を互いに送受する通信手段を有し、該通信手段を介して受信したそれぞれの累積使用時間の差と、前記複数の機能ユニットのうち、予め定めた一の機能ユニットにおける記憶装置に記憶された累積使用時間とに基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きして、それぞれの機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを選択し、
夫々のモードに応じた処理を行う制御装置を具えることを特徴とする。
【0017】
また、前記予め定めた一の記憶装置に記憶された累積使用時間が予め定めた所定時間t以下の場合は警告を発しない同期禁止モードを、所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の場合は同期モードを、所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間Tを越えている場合は少なくとも前記機能ユニットのいずれかより警告を発する同期禁止モードを、それぞれ選択させる。そしてそのために、前記各機能ユニットは、予め定めた一の記憶装置に記憶された累積使用時間が予め定めた所定時間t以下の場合は警告を発しない同期禁止モードを、前記所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の場合は同期モードを、前記所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間Tを越えている場合は警告を発する同期禁止モードをそれぞれ選択させるよう構成されている。
【0018】
さらに、前記警告発生中に前記機能ユニットのいずれかが外部のサービスツールからの前記機能ユニット間の累積使用時間差を解消させる指示を受信した場合、前記同期禁止処理を解除させて前記累積使用時間差を解消させる。そしてそのために、少なくとも前記機能ユニットのいずれかが外部サービスツールとの通信手段を有し、前記警告が発せられている場合に、前記機能ユニットのいずれかが外部のサービスツールから前記通信手段を介し、前記機能ユニット間の累積使用時間差を解消させる命令を受信すると前記同期禁止モードを解除させて前記累積使用時間差を解消させるよう構成されている。
【0019】
さらに、前記各累積使用時間計時結果の記憶装置への書き込みは不揮発メモリを含む記憶装置に対し、前記荷役作業用車輌側電源OFF時、または所定時間毎に行なう。そしてそのために、前記各機能ユニットにおける累積使用時間計時結果の記憶装置は不揮発メモリを含み、前記各機能ユニットは前記計時結果の不揮発メモリへの書き込みを、前記荷役作業用車輌側電源OFF時、または所定時間毎に行うよう構成されている。
【0020】
そして、前記荷役作業用車輌は、外部サービスツールによる累積使用時間のリセット要求で前記各機能ユニットの累積使用時間の計時結果と該計時結果の記憶を0にリセットし、前記それぞれの機能ユニットに0リセット禁止フラグを記憶させる。そしてそのために、前記各機能ユニットは、外部サービスツールによる累積使用時間のリセット要求で前記各機能ユニットの累積使用時間の計時結果と該計時結果の記憶を0にリセットする機能と、前記0リセット後の再0リセットを禁止する0リセット禁止フラグを前記各機能ユニットにセットする機能とを有している。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、荷役作業用車輌の累積使用時間の計時を複数の機能ユニットで行い、それぞれの機能ユニットに設けられた記憶装置に記憶させると共に、それぞれの計時結果を通信手段で所定時間毎に互いに送受しあう。そして自己の累積使用時間と受け取った累積使用時間とを比較し、累積使用時間計時結果が異なる場合、現在の累積使用時間とそれぞれの累積使用時間の差に基づき、それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち、最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きして累積使用時間の時間差を解消させる同期モードと、同期を禁止する同期禁止モードとを選択できるようにした。そのため、ケースに応じた最適なモードを選択することができ、それによって累積使用時間を正確に引き継いで信頼性を常に確保した、累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌とすることができる。
【0022】
例えば機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定値T以下の場合は前記同期モード、大きい場合は前記同期禁止モードとする。ここで、前記所定値Tは累積使用時間の計時結果を記憶する記憶装置を構成する不揮発メモリに書き込むタイミングと車両電源切断タイミングのずれや、計時手段の精度による差等、重大トラブル以外の比較的軽微な原因により生じうる程度の値とするとよい。そうすると、機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定値T以下の場合は、各機能ユニットに機能停止等の重大なトラブルが起きているわけではないと判断できる。その場合、累積使用時間管理の観点から、複数の機能ユニットの記憶装置に記憶された累積使用時間のうち最も大きい値が最も信頼性が高いと考えられるため、他の小さい累積使用時間値を最も大きい累積使用時間値で上書きする。したがって、同期モードにおいては、重大トラブル以外に起因して機能ユニット間の累積使用時間差が生じている場合に、最も信頼性の高いと考えられる累積使用時間値を正しい値として、他の機能ユニットに上書きするという処理を自動的に行わせることができる。
【0023】
一方、同期禁止モードは、いずれかの機能ユニットの機能停止等比較的重大なトラブルに関わる場合を想定している。例えば前記した、
1.計時装置を組み込んだ機能ユニットが壊れて交換された場合
2.不具合原因箇所の切り分けのために機能ユニットのいずれかが一時的に交換されて不具合検証作業に用いられ、作業後に元に戻されるような場合
などが相当する。
【0024】
この場合、1のケースではそのまま同期させても問題ないのに対し、2のケースでは交換した機能ユニットは最終的に元に戻されるから、同期させると前記したように新しい荷役作業用車両の累積使用時間が増えたり、古い荷役作業用車両の累積使用時間が少なくなるなどの問題が生じる。しかし、時間差が時間Tを越えている、というだけで上記2つを区別するのは困難であるから、このように時間差Tが大きい場合はとりあえず同期禁止モードとし、サービスマンによる判断で処理を決定するようにすれば、不用意な同期を避けて問題を生じることなく、累積使用時間を正確に引き継いて信頼性を確保することができる、累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌とすることができる。
【0025】
また、同期禁止モードにおいて警告を発するようにすれば、それによってサービスマンに処理を促すことができ、サービスマンは状況を判断して1の場合は同期させ、2の場合は同期させることなく不具合原因箇所の切り分けのために交換された装置を元に戻す選択をすることができる。この場合、例えその間に累積使用時間が進んでもその時間は非常に少ない時間であり、同期モードで累積使用時間の時間差が解消されるから、問題を生じることなく累積使用時間を正確に引き継いて信頼性を確保することができる、累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌とすることができる。
【0026】
そして本発明では警告が発せられ、前記1のケースの場合には、機能ユニットのいずれかが外部のサービスツールからの機能ユニット間累積使用時間差解消の指示を受信することで、同期禁止処理を解除して累積使用時間の時間差を解消させることができるから、常時正しい累積使用時間をセットできる累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌とすることができる。
【0027】
また本発明では、上記した警告を発する同期禁止モードだけでなく、警告を発しない同期禁止モードも設けることができる。これは、新車同然の車両を保有しており、前記同期モードによる最大の累積使用時間の自動上書きを好まないユーザーのために、予め選択しておいた機能ユニットに記憶された累積使用時間が所定値tより大きくなるまでは、前記同期モードの発動を制限するための処理モードである。
【0028】
そのため同期モードと同期禁止モードの選択条件に、複数の機能ユニット間の累積使用時間の差Tのみでなく、予め選択した一の機能ユニットが記憶する累積使用時間tを取り入れた。例えば時間tを荷役作業用車輌が新車と認定される程度の時間とすると良い。このようにすることで、累積使用時間の差がTより小さくても累積使用時間がtより小さい場合、緊急対処する必要は無く、累積使用時間の同期も不要、として警告を発しない同期禁止モードを実現することができ、ユーザのニーズに対応した処理を実現することができる。
【0029】
また、本発明の前記荷役作業用車輌は、外部サービスツールによる累積使用時間のリセット要求があったとき、各機能ユニットの累積使用時間の計時結果を0にリセットすると共に、それぞれの機能ユニットに0リセット禁止フラグを記憶させているから、例え複数の機能ユニットのそれぞれに計時装置と記憶装置とを有していても、出荷時の計時結果と記憶内容を確実に0リセットでき、また0リセット禁止フラグの存在により、再度の0リセットも行えないようにして計時装置の改ざんも防止することができる。
【0030】
従って本発明になる荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌は、
1.計時装置を組み込んだ機能ユニットが壊れて交換された場合
2.不具合原因箇所の切り分けのために機能ユニットが交換されて元に戻されるような場合
さらに、
3.不揮発メモリに記憶させる前になされた電源切断、及び複数の機能ユニットに設けられた計時装置の精度の差により、一定時間以下の差が発生している場合
など、種々のケースでそれまでの累積使用時間が正確に引き継がれ、累積使用時間の信頼性を保って累積使用時間の信頼性が損なわれるという問題が生じない。
【0031】
また、
4.工場内における調整のために進んだ計時装置の値を、出荷時に0にリセットしながら出荷後の改ざんを防止する
こともできるようにしたから、出荷時には全ての計時装置と記憶装置を確実に0リセットできると共に改ざんも防止できる、荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法を実施する、荷役作業用車輌としてのフォークリフトのブロック図であり、最初にこの図1に示したブロック図を用い、本発明を実施する荷役作業用車輌について説明する。なお、荷役作業用車輌はフォークリフトだけでなく、ブルドーザ、クレーン車など、前記したように種々の車種があり、本発明はそれら荷役作業用車輌のいずれにも適用可能である。また以下の説明では、荷役作業用車輌全般の制御を司る第1の機能ユニットたる制御ユニットと、速度やチルト角などの表示を行う第2の機能ユニットたる表示ユニットなどの機能ユニットそれぞれに、計時装置と記憶装置が設けられた場合を例に説明するが、本発明はこれらの機能ユニットだけでなく、他の機能ユニットに計時装置と記憶装置を設けても良いことは自明である。
【0034】
図1において10は液晶などを用いた表示ユニットで、この表示ユニット10は後記する荷役作業用車輌全体の制御を司る制御ユニット11からの信号を受け、表示パネル102に各種データを表示する。これらのデータは荷役作業用車輌の車速、エンジン回転数、フォークリフトなどにおいてはフォークのチルト角、運搬する荷物の荷重、燃料残量、エンジン冷却水温度、その他エラー表示や警告表示などの複数の表示項目であり、これらを選択表示させる。また表示ユニット10には、累積使用時間データをやり取りする表示制御装置101、累積使用時間を計時する第1の計時装置104の計時結果を記憶する第1の記憶装置103、CAN(Conroller Area Network)と呼ばれる通信制御プロトコルやFlex Rayと呼ばれる通信制御プロトコルなどを用いて制御ユニット11との通信を行う通信部106などを有している。
【0035】
11の制御ユニットは、CPUやメモリを含み、荷役作業用車輌全体を制御するための制御装置110、制御ユニット11側で累積使用時間を計時する第2の計時装置112、その計時結果を記憶する第2の記憶装置111、やはりCANやFlex Rayと呼ばれる通信制御プロトコルなどを用いて表示ユニット10と通信するための通信部113、サービスマンなどがサービス時に使う外部サービスツール18と通信するための外部機器通信手段114、などを有して構成されている。なお、第1の記憶装置103、第2の記憶装置111はそれぞれ揮発メモリ(RAM)と不揮発メモリ(EPROM:Erasable and Programmable Read Only Memory)で構成され、第1の計時装置104、第2の計時装置112の計時した累積使用時間は最初揮発メモリに書き込まれ、所定時間おき、または荷役作業用車輌の電源OFF時に対応する前記不揮発メモリに書き込まれて確実に保持されるようにしている。なお、第1の記憶装置103、第2の記憶装置111には、工場出荷時に第1の記憶装置103、第1の計時装置104、第2の記憶装置111、第2の計時装置112の累積使用時間を0にリセット(以下、0リセットと称する)したとき、出荷後に再度0リセットが行えないよう、0リセットを禁止する0リセット禁止フラグが不揮発メモリに記憶される。
【0036】
12は運転装置で、車輛の電源をON/OFFするためのキースイッチ121、アクセルペダルが踏み込まれたときにその信号を送り出すアクセルスイッチ122、ブレーキペダルが踏み込まれたときにその信号を送り出すブレーキスイッチ123、前後進レバーが操作されたときにその信号を送り出す前後進レバースイッチ124などを含んで構成されている。13は荷役作業用車輌の車速を検出する車速センサ、14はフォークリフトにおいてフォークによって荷物を持ち上げさせる指示を出すリフトレバー141、同じくフォークを前倒、後倒(チルト)させる指示を出すチルトレバー142などを含む荷役装置である。また、15は燃料残量、エンジン冷却水温度などのセンサを含むその他のセンサである。
【0037】
また、16は、エンジン、変速装置、ブレーキなどを含む走行装置であり、17は前記した運転装置12、車速センサ13、荷役装置14、各種センサ15などからの信号を制御ユニット11に送るためのI/Oインターフェイスで、18はサービスマンなどがサービス時に使う外部サービスツールである。
【0038】
このような構成の荷役作業用車輌は、キースイッチ121をONさせることで表示ユニット10を構成する表示パネル102が点灯され、後記するように通信部106、113を介して第1の記憶装置103と第2の記憶装置111に記憶されている累積使用時間が互いに送受信され、受信した相手方データと自己データとが比較されて、もし両者の値が異なると、大きい方の値が小さい値を記憶している記憶装置に書き込まれる。そしてその後、その値に基づいてキースイッチ121がONしている間の時間を第1の計時装置104、第2の計時装置112がそれぞれ独立に累積使用時間を計時し、第1の計時装置104の計時結果をこの表示パネル102に表示する。また、各種センサ15からI/Oインターフェイス17、制御装置110、通信部113、106を介して送られてくる燃料残量、エンジン冷却水温度、その他荷役作業用車輌各部の状態などが表示される。
【0039】
そしてフォークで荷物を運搬するときは、荷役装置14のチルトレバー142を引いてフォークを路面から15〜20cm程度上げ、アクセル122を踏み込むことでI/Oインターフェイス17、制御装置110を介して走行装置16が駆動されるから、積荷が有るところまで走行して積荷に正対し、フォークの先端と積荷までの距離が20〜30cm程度となる位置でブレーキ123を用いて一旦停止する。次にチルトレバー142を操作してフォークを水平状態に戻し、リフトレバー141を操作してフォークがパレットの差し込み口の高さとなるようにする。
【0040】
そしてその状態で駐車ブレーキ123を解除し、前後進レバー124を前進位置にしてゆっくり前進し、フォークの根本までパレットに差し込んで停車し、駐車ブレーキ123をロックする。次にリフトレバー141を操作し、積荷を10cm程度上げ、さらにチルトレバー142を引いてフォークを後倒させて積荷を安定させる。その状態で前後進レバー124を後進にし、駐車ブレーキ123を解除して安全に積荷がおろせる位置まで後進する。
【0041】
そして残った積荷から20〜30cm程度離れた位置で停車し、駐車ブレーキ123をロックしてリフトレバー141を操作し、フォークの下端が路面から15〜20cm程度になるまで下降させ、その状態で前後進レバー124を後進にして駐車ブレーキ123を解除し、安全に進行方向変更できるところまで後進した後、目的とする例えばトラックの位置まで移動する。
【0042】
以上が本発明の荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法を実施する、フォークリフトのブロック図とその動作の説明であるが、次に本発明の概略について説明する。なお、以下の説明では、機能ユニットとして上記した荷役作業用車輌全般の制御を司る第1の機能ユニットたる制御ユニット11と、第2の機能ユニットたる表示ユニット10を例に説明を進めるが、その他の機能ユニットに計時装置や記憶装置を設けた場合も全く同様に実施できることは自明である。また、これら制御ユニット11や、表示ユニット10などを単に「機能ユニット」と称して説明してゆく場合がある。
【0043】
本発明においては、荷役作業用車輌の累積使用時間計時装置と、その計時装置の計時結果を記憶する揮発メモリや不揮発メモリなどで構成される記憶装置を、荷役作業用車輌全般の制御を司る第1の機能ユニットたる制御ユニット11や、第2の機能ユニットたる表示ユニット10などの、複数の機能ユニットのそれぞれに設ける。そして、それぞれの計時装置の計時結果を夫々の記憶装置に記憶し、一定周期で通信手段により複数の機能ユニット間で前記記憶装置に記憶した累積使用時間を互いに送信し合い、夫々の機能ユニットが受信した累積使用時間と自己の計時した累積使用時間とを比較し、累積使用時間に差がある場合は最も大きい計時結果を他の小さい累積使用時間を記憶している記憶装置に、上書きするようにしたものである。
【0044】
このようにすることで、例えば、表示ユニット10が前記したようにアセンブリ品として構成され、発光素子一つが壊れたことで表示ユニット10が交換されても、荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11などの機能ユニットに記憶されていた累積使用時間が表示ユニット10側計時装置や記憶装置にセットされることで、累積使用時間を正確に継続して計時することができるようになる。また、表示ユニット10の交換だけでなく、荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11側が壊れて交換されても、今度は表示ユニット10側の累積使用時間を制御ユニット11側にセットすることで、表示ユニット10以外のいずれの機能ユニットが壊れて交換されても、正しい累積使用時間を継続して計時することができる。
【0045】
しかしながらこの同期処理を累積使用時間に差がある場合の全てに一律に適用すると、前記したようにユーザが複数の荷役作業用車輌を保有し、そのうちの1台の挙動がおかしくなったためにその原因の切り分けをするべく、正常に動作している荷役作業用車輌の全般の制御を司る制御ユニット11や表示ユニット10を挙動のおかしい荷役作業用車輌に一時的に載せ替え、原因が判明した後、載せ替えた機能ユニットを元の車輛に戻すと、その都度、累積使用時間が最も大きな荷役作業用車輌の累積使用時間に置き換えられ、荷役作業用車輌の累積使用時間の信頼性確保ができなくなる。
【0046】
そのため本発明においては、荷役作業用車輌全般の制御を司る機能ユニットたる制御ユニット11や、他の機能ユニットたる表示ユニット10などのそれぞれで計時した累積使用時間が異なるとき、その累積使用時間の差を解消させる同期モード、同期を禁止して累積使用時間が異なるまま使用時間計時を継続させる同期禁止モードを設けた。そしてこれら同期モード、同期禁止モードの選択は、通信により交換して受信した累積使用時間と自己の計時した累積使用時間との比較結果である差の大小、及び予め定めた機能ユニットが計時した累積使用時間の大小により、それぞれのケースにおける最適と考えられる方を選択して累積使用時間の計時、記憶を行うようにした。
【0047】
例えば機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定値T以下の場合は前記同期モード、大きい場合は前記同期禁止モードとする。ここで、前記所定値Tは累積使用時間の計時結果を記憶する記憶装置を構成する不揮発メモリに書き込むタイミングと車両電源切断タイミングのずれや、計時手段の精度による差等、重大トラブル以外の比較的軽微な原因により生じうる程度の値とするとよい。そうすると、機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定値T以下の場合は、各機能ユニットに機能停止等の重大なトラブルが起きているわけではないと判断できる。その場合、累積使用時間管理の観点から、複数の機能ユニットの記憶装置に記憶された累積使用時間のうち最も大きい値が最も信頼性が高いと考えられるため、他の小さい累積使用時間値を最も大きい累積使用時間値で上書きする。したがって、同期モードにおいては、重大トラブル以外に起因して機能ユニット間の累積使用時間差が生じている場合に、最も信頼性の高いと考えられる累積使用時間値を正しい値として、他の機能ユニットに上書きするという処理を自動的に行わせることができる。
【0048】
一方、同期禁止モードは、いずれかの機能ユニットの機能停止等比較的重大なトラブルに関わる場合を想定している。例えば前記した、
1.計時装置を組み込んだ機能ユニットが壊れて交換された場合
2.不具合原因箇所の切り分けのために機能ユニットのいずれかが一時的に交換されて不具合検証作業に用いられ、作業後に元に戻されるような場合
などが相当する。
【0049】
この場合、1のケースではそのまま同期させても問題ないのに対し、2のケースでは交換した機能ユニットは最終的に元に戻されるから、同期させると前記したように新しい荷役作業用車両の累積使用時間が増えたり、古い荷役作業用車両の累積使用時間が少なくなるなどの問題が生じる。しかし、時間差が時間Tを越えている、というだけで上記2つを区別するのはが困難であるから、このように時間差Tが大きい場合はとりあえず同期禁止モードとし、サービスマンによる判断で処理を決定するようにすれば、不用意な同期を避けて問題を生じることなく、累積使用時間を正確に引き継いて信頼性を確保することができる、累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌とすることができる。
【0050】
また、同期禁止モードにおいて警告を発するようにすれば、それによってサービスマンに処理を促すことができ、サービスマンは状況を判断して1の場合は同期させ、2の場合は同期させることなく不具合原因箇所の切り分けのために交換された装置を元に戻す選択をすることができる。この場合、例えその間に累積使用時間が進んでもその時間は非常に少ない時間であり、同期モードで累積使用時間の時間差が解消されるから、問題を生じることなく累積使用時間を正確に引き継いて信頼性を確保することができる、累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌とすることができる。
【0051】
そして本発明では警告が発せられ、前記1のケースの場合には、機能ユニットのいずれかが外部のサービスツールからの機能ユニット間累積使用時間差解消の指示を受信することで、同期禁止処理を解除して累積使用時間の時間差を解消させることができるから、常時正しい累積使用時間をセットできる累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌とすることができる。
【0052】
また本発明では、上記した警告を発する同期禁止モードだけでなく、警告を発しない同期禁止モードも設けることができる。これは、新車同然の車両を保有しており、前記同期モードによる最大の累積使用時間の自動上書きを好まないユーザーのために、予め選択しておいた機能ユニットに記憶された累積使用時間が所定値tより大きくなるまでは、前記同期モードの発動を制限するための処理モードである。
【0053】
そのため同期モードと同期禁止モードの選択条件に、複数の機能ユニット間の累積使用時間の差Tのみでなく、予め選択した一の機能ユニットが記憶する累積使用時間tを取り入れた。例えば時間tを荷役作業用車輌が新車と認定される程度の時間とすると良い。このようにすることで、累積使用時間の差がTより小さくても累積使用時間がtより小さい場合、緊急対処する必要は無く、累積使用時間の同期も不要、として警告を発しない同期禁止モードを実現することができ、ユーザのニーズに対応した処理を実現することができる。
【0054】
また、本発明の前記荷役作業用車輌は、外部サービスツールによる累積使用時間のリセット要求があったとき、各機能ユニットの累積使用時間の計時結果を0にリセットすると共に、それぞれの機能ユニットに0リセット禁止フラグを記憶させているから、例え複数の機能ユニットのそれぞれに計時装置と記憶装置とを有していても、出荷時の計時結果と記憶内容を確実に0リセットでき、また0リセット禁止フラグの存在により、再度の0リセットも行えないようにして計時装置の改ざんも防止することができる。
【0055】
従って本発明になる荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌は、
1.計時装置を組み込んだ機能ユニットが壊れて交換された場合
2.不具合原因箇所の切り分けのために機能ユニットが交換されて元に戻されるような場合
さらに、
3.不揮発メモリに記憶させる前になされた電源切断、及び複数の機能ユニットに設けられた計時装置の精度の差により、一定時間以下の差が発生している場合
など、種々のケースでそれまでの累積使用時間が正確に引き継がれ、累積使用時間の信頼性を保って累積使用時間の信頼性が損なわれるという問題が生じない。
【0056】
また、
4.工場内における調整のために進んだ計時装置の値を、出荷時に0にリセットしながら出荷後の改ざんを防止する
こともできるようにしたから、出荷時には全ての計時装置と記憶装置を確実に0リセットできると共に改ざんも防止できる、荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法と該計時方法を用いる荷役作業用車輌を提供することができる。
【0057】
次に、以上説明してきた本発明の累積使用時間計時方法における、各モード間の遷移状態を遷移図として示した図2を用い、本発明をさらに説明する。この図2において制御ユニット(VCM:Vehicle Control Module)は図1に11で示した制御ユニットであり、GAPは制御ユニット11と表示ユニット10のそれぞれに設けた計時装置の累積使用時間の差を表す。また、31は同期禁止モード、32は同期モードであり、33のエラーモードとして示したモードは同期禁止モードにおいて警告(エラー表示)を発するモード、34はエラーモード33から各機能ユニット間の累積使用時間差を解消する同期モードと同様な処理を実施し、正常状態へ復帰させるためのサービス状態である。なお、この図2に示した遷移図は、荷役作業用車輌全般の制御を司る機能ユニットたる制御ユニット11側の場合を例に示したものであるが、表示ユニット10側などの他の機能ユニットの場合も、最初に説明したように、それぞれの計時装置の計時結果を通信により互いに交換し、それぞれに於いて累積使用時間の時間差を算出して、最適なモードを選択するようにしている。
【0058】
まず、荷役作業用車輌のエンジンを始動するためのキースイッチを「START」とした30においてONにすると、最初は31で示した同期禁止モードへ遷移する。これは、前記したように、累積使用時間に差が生じる原因には、
1.計時装置を組み込んだ機能ユニットが壊れて交換された場合
2.不具合原因箇所の切り分けのために機能ユニットが交換されて元に戻されるような場合
3.不揮発メモリに記憶させる前になされた電源切断、及び荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11と表示ユニット10などの機能ユニットに設けられた計時装置の精度の差により一定時間以下の差が発生している場合
など、種々のケースがあり、正しい累積使用時間が判明する前に累積使用時間の時間差が解消されたりすることの無いよう、最初は同期禁止モード31に行くようにしたものである。なお、累積使用時間の正確さが保たれるのであれば、最初に制御ユニット11と表示ユニット10などの各機能ユニットのそれぞれに設けた計時装置の累積使用時間を比較して差を求め、その差に応じてそれぞれのモードに遷移するようにしても良い。
【0059】
同期禁止モード31では、荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11や表示ユニット10など、各機能ユニットから累積使用時間として「0」が送られ、それによって「0」を受信した機能ユニット側では、自己側累積使用時間と比較すると必ず自己側累積使用時間が大きくなるから上書きが行われない。この同期禁止モードは、例えば制御ユニット11と表示ユニット10のそれぞれに設けた計時装置の累積使用時間差が0の場合と、例えば前記したように時間tを荷役作業用車輌がまだ新車と認定される範囲の時間の最大値とすると、予め定めた機能ユニットにおける累積使用時間が時間tより小さい場合、例えば数十時間(Hr)以下の場合とする。なお、この数十時間(Hr)以下という時間はあくまでも一例であって、この数値に限定されないことは自明である。なおこの同期禁止モードでは、「0」を送るだけでなく、機能ユニット間の累積使用時間の通信手段による送信を止めるようにしても良い。
【0060】
そしてこの同期禁止モード31で、例えば荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11などの一の機能ユニットの累積使用時間が時間t、例えば数十時間(Hr)を越えていることが認識され、かつ、荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11と、表示ユニット10などのそれぞれに設けた計時装置の累積使用時間の差Tが、例えば数時間以下と比較的短い場合、その差は前記した不揮発メモリに記憶させる前になされた電源切断、及び荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11と表示ユニット10などの機能ユニットに設けられた計時装置の精度の差により、一定時間以下の差が発生していると考えられ、36で示したように同期モード32に遷移する。
【0061】
この同期モード32では、前記したように、大きい方の累積使用時間が小さい方の累積使用時間を記憶している記憶装置に上書きされ、それによってGAPがゼロになると、38で示したように同期禁止モード31に遷移し、それ以上同期が生じないようにする。しかし、同期モード32のままとしても問題はない。
【0062】
一方、同期禁止モード31において、荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11と表示ユニット10などの機能ユニットのそれぞれに設けた計時装置の累積使用時間の差を算出した結果、その差が例えば37で示したように前記した時間Tを越えた場合、これは制御ユニット11と表示ユニット10のうちのどちらかを不具合原因調査のために載せ替えた、計時装置などの部品自体が何らかの理由で壊れた、などが考えられるとして、累積使用時間の同期を禁止すると共に、荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11と表示ユニット10などの機能ユニットのうちのどちらかを故障原因調査のために載せ替えた場合にも、荷役作業用車輌の動作をチェックできるように荷役作業用車輌の稼動を許可しながら、エラーであることを表示ユニット10に表示させたり、ブザー、音声などで知らせたりするエラーモード33とする。もちろんこれらのエラー警告については、表示装置に限らず他の機能ユニットが発しても良いことは言うまでもない。
【0063】
エラーモード33において、エラー原因を特定後、故障部品の交換をした後で、図1に18で示した外部サービスツールを接続し、その外部サービスツール18から外部機器通信手段114を介して制御ユニット11の制御装置110に、累積使用時間同期信号(累積使用時間の時間差の解消要求)39を送り、サービス状態34へ遷移する。すると、機能ユニットが相互に送信していた「0」の同期禁止モードを解除し、同期モード32と同様の処理を実施して交換した部品の累積使用時間を上書きするので(即ち交換されなかった機能ユニットの計時装置の累積使用時間を交換した側に送って同期されることになる)、正常な状態に復帰させることができる。ただし、同期するまでエラーは出し続ける。
【0064】
こうすることにより、故障に伴う機能ユニット交換の際は、必ずサービスマンの判断を挟むことになり、車両管理上好ましいと言える。また、新しく乗せ買えた機能ユニットへの累積使用時間の引継ぎに関しても、サービスマンが実行できるのはエラーモードの解除、累積使用時間の同期を認めるかどうかという点のみであり、恣意的に値を入力できるわけではないため、より信頼性の高い累積使用時間の計時、記憶を行うことができる。
【0065】
なお、同期禁止モード31、同期モード32、エラーモード33、サービス状態34のそれぞれにおいて、荷役作業用車輌のエンジンを始動するためのキースイッチをOFFすると、END35に遷移して終了する。
【0066】
次に、図3に示した本発明の荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法のフロー図、及び図4に示した外部サービスツールから、累積使用時間の同期要求が来た場合のフロー図とを用い、本発明をさらに詳細に説明する。なお、この図3、図4のフロー図は、図2の遷移図の場合と同様、荷役作業用車輌全般の制御を司る機能ユニットたる制御ユニット11側の場合を例に説明するが、表示ユニット10などの他の機能ユニット場合も同様であり、それぞれの計時装置の計時結果を通信により互いに交換し、それぞれに於いて累積使用時間の時間差を算出して最適なモードを選択するようにしている。
【0067】
まず、図3のステップS10でSTARTするとステップS11でキースイッチ121がONされ、表示ユニット10を構成する表示パネル102が点灯され、前記図2の遷移図で説明したように、ステップS13で同期禁止モード31に遷移する。この同期禁止モード31では、前記したようにステップS14で荷役作業用車輌の制御ユニット11から「0」が表示ユニット10に送られ、表示ユニット10では受信したデータ「0」と表示ユニット内に記憶されていたデータを比較するが、送られてくるデータが「0」であるから表示ユニット10の第1の記憶装置104への上書きは起こらず、すなわち同期禁止が実施される。
【0068】
そして次のステップS17で表示ユニット10と制御ユニット11の累積使用時間が比較され、差が算出される。この動作は、常時、表示制御装置101が第1の計時装置104の累積使用時間を読み出し、そのデータを通信部106から制御ユニット11の通信部113を介して制御ユニット11の制御装置110に送り、一方、制御ユニット11の制御装置110は、第2の計時装置112の制御ユニット11側累積使用時間を読み出して同様にして実施している。
【0069】
そして次のステップS18で、まず、この差が「0」か否かが判断され、「0」であればステップS13に戻って同期禁止モード31が続けられ、以上の動作が繰り返される。「0」でない場合はステップS19に進み、今度はこの差が前記した不揮発メモリに記憶させる前になされた電源切断、または、制御ユニット11と表示ユニット10のそれぞれに設けた計時装置の精度によって生じたずれ、等の比較的軽微な原因に起因すると考えられる程度の時間T以下であるか否か、すなわち同期モードと認定される時間T以下であるか否かが判断される。そしてこの差が前記した同期モードと認定される時間Tを超えている場合はステップS25のエラーモード33(前記図2の遷移図参照)に進み、以下であればステップS20に進む。
【0070】
ステップS20に進んだ場合、今度は累積使用時間が新車と認定される時間t以下か否かが判断され、t以下であればステップS13に戻って同期禁止モード31が続けられて以上の動作が繰り返される。またtを越えていれば、ステップS21に進んで前記図2の遷移図で32で示した同期モードとなる。この同期モード32では、ステップS22で前記したように表示ユニット10と制御ユニット11の累積使用時間のうち、大きい方の値が小さい方の値を記憶している記憶装置(103または111)に上書きされ、ステップS23に進む。
【0071】
一方、ステップS19で差の絶対値が同期モードと認定される時間T以上と判断され、ステップS25の前記図2の遷移図で33で示したエラーモードに進んだ場合、今度はステップS26で前記したように制御ユニット11から表示ユニット10に「0」が送付されて累積使用時間の上書きが禁止され、さらに制御ユニット11と表示ユニット10のうちのどちらかを故障原因調査のために載せ替えた場合でも、荷役作業用車輌の動作をチェックできるように荷役作業用車輌の稼動を許可しながら、エラーであることを表示ユニット10に表示するよう表示制御装置101に指示を送る。そのため表示制御装置101は、表示パネル102にエラーであることを表示したり、前記したようにブザーや音声でエラーであることを外部に知らせる。
【0072】
一方、制御ユニット11と表示ユニット10のいずれかの部品自体が壊れた、などで機能ユニットを交換した場合、ステップS27で外部サービスツール18を接続し、この外部サービスツール18から制御ユニット11と表示ユニット10の累積使用時間を同期させる信号を外部機器通信手段114を介し、制御装置110に送ることでサービス状態に遷移する。そして、同期モード32と同様に、大きい方の累積使用時間を、小さい方の累積使用時間を記憶している第1の記憶装置103、第2の記憶装置111のどちらかに上書きする。
【0073】
こうして処理が済むと次にステップS23に進み、キースイッチ121がOFFされたかどうかが判断され、OFFされていないとステップS13に戻って以上説明してきたことが繰り返され、OFFされている場合はステップS24に進んで、揮発メモリに記憶されている累積使用時間が、不揮発メモリに書き込まれてステップS28で終了する。なお、揮発メモリに記憶されている累積使用時間は、本フローとは独立に定期的に記憶装置を構成する不揮発メモリに保存される。
【0074】
図4は、この図3におけるステップS27のサービス状態のフロー図である。まずステップS51で、図1の外部サービスツール18から累積使用時間の同期要求が来ると、ステップS52で制御ユニット11によりエラーモード33からサービス状態34への遷移指示が出される。そしてステップS53で、制御ユニット11と表示ユニット10それぞれの累積使用時間を互いに相手方に送付する。
【0075】
すると制御ユニット11と表示ユニット10は、それぞれ送られてきた累積使用時間をステップS54で自己が計時した累積使用時間と比較し、ステップS55で制御ユニット11の累積使用時間が表示ユニットの計時した累積使用時間より大きいかどうかを判断する。そして大きければステップS56で、表示ユニット10側の第1の記憶装置103に制御ユニット11側の累積使用時間を上書きし、小さければステップS58に進む。
【0076】
ステップS58でもステップS56と同様、制御ユニット11側の第2の記憶装置111に表示ユニット10側の累積使用時間を上書きし終了する。
【0077】
このように本発明によれば、
1.計時装置を組み込んだ機能ユニットが壊れて交換された場合
2.不具合原因箇所の切り分けのために機能ユニットが交換されて元に戻されるような場合
3.不揮発メモリに記憶させる前になされた電源切断、及び荷役作業用車輌全般の制御を司る制御ユニット11と表示ユニット10などの機能ユニットに設けられた計時装置の精度の差により一定時間以下の差が発生している場合
など、種々のケースでそれまでの使用時間が正確に引き継がれて信頼性が保たれ、計時装置の信頼性が大きく向上した荷役作業用車輌とすることができる。
【0078】
しかしながら、このように累積使用時間を計時する第1の計時装置104、第2の計時装置112、その計時結果を記憶する記憶装置が第1の記憶装置103、第2の記憶装置111とそれぞれ2つずつ有ると(2重化されていると)、出荷時にこの計時装置や記憶装置の内容を正確に0リセットしないと、どれか1つの計時装置や記憶装置に累積使用時間が残ってしまった場合、前記した図3のフロー図によって出荷後、大きな値の累積使用時間が例えば0リセットした記憶装置に書き込まれ、累積使用時間が0とならなくなる。
【0079】
それを防ぐのが図5の荷役作業用車輌の機能ユニットの累積使用時間の計時装置の工場出荷時の0リセットのフロー図である。すなわち本発明になる荷役作業用車輌が工場から出荷する際、図1に18で示した外部サービスツール、またはそれに準ずるツールにより外部機器通信手段114を介し、第1と第2の記憶装置103、111と計時装置104、112の累積使用時間を0とする0リセット要求を出すことで、これら第1と第2の記憶装置103、111と計時装置104、112の累積使用時間を、正確に0リセットするルーチンがこの図5のフロー図である。
【0080】
まず、ステップS40で処理がスタートし、ステップS41で図1のサービスツール18から累積使用時間の0リセット要求が外部機器通信手段114を介し、制御ユニット11の制御装置110に送られると、制御装置110は、ステップS42で制御ユニット11の第2の記憶装置111、第2の計時装置112の累積使用時間値を0リセットする。そして次のステップS43で表示ユニット10側の累積使用時間の0リセットと、0リセット禁止フラグのセット要求を通信部113、通信部106を介して表示制御装置101に送る。
【0081】
すると表示制御装置101は、ステップS44で第1の計時装置104、第1の記憶装置103の0リセットと0リセット禁止フラグの第1の記憶装置103へのセットを実施し、結果を通信部106、通信部113を介して制御装置110に送る。そのため制御装置110は、ステップS45で送られてきた結果によって、第1の計時装置104の0リセットと0リセット禁止フラグのセットを確認し、もし0リセットと0リセット禁止フラグのセットのどちらかがなされていないと判断した場合は、ステップS43に戻って再度表示ユニット10側の第1の記憶装置103、第1の計時装置104の0リセットと、0リセット禁止フラグのセット要求を通信部113、通信部106を介して表示制御装置101に送って同じ動作を繰り返す。
【0082】
逆に、第1の計時装置104の0リセットと0リセット禁止フラグのセットを確認した場合はステップS46に進み、制御ユニット11の0リセット禁止フラグを第2の記憶装置111に記憶し、終了する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明による荷役作業用車輌は、例え表示ユニットに計時装置が組み込まれていて故障によって交換するケースを含む種々のケースで、常に正確な累積使用時間を引き継ぐことができると共に、工場出荷時に計時装置を0にリセットする場合も確実に0リセットし、問題を起こさないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法を実施する荷役作業用車輌のブロック図である。
【図2】本発明の荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法の状態遷移図である。
【図3】本発明の荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法のフロー図である。
【図4】外部サービスツールから、累積使用時間の同期要求が来た場合のフロー図である。
【図5】本発明の荷役作業用車輌における計時装置の工場出荷時の0リセットのフロー図である。
【符号の説明】
【0085】
10 表示ユニット
101 表示制御装置
102 表示パネル
103 第1の記憶装置
104 第1の計時装置
106 通信部
11 制御ユニット
110 制御装置
111 第2の記憶装置
112 第2の計時装置
113 通信部
114 外部機器通信手段
12 運転装置
121 キースイッチ
122 アクセルスイッチ
123 ブレーキスイッチ
124 前後進レバー
13 車速センサ
14 荷役装置
141 リフトレバー
142 チルトレバー
15 各種センサ
16 走行装置
17 I/Oインターフェイス
18 外部サービスツール
31 同期禁止モード
32 同期モード
33 エラーモード
34 サービス状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法において、
前記荷役作業用車輌における累積使用時間の計時を少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットのそれぞれに行わせると共に、該計時結果をそれぞれに設けた記憶装置に記憶させ、通信手段を介して定期的に前記ユニット間で相互の情報を送信しあってそれぞれに記憶された累積使用時間計時結果の差に基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち、最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きして機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを前記機能ユニットのおのおのに選択させることを特徴とする荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項2】
前記機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の場合は前記同期モードを、前記所定時間Tより大きい場合は前記同期禁止モードを、それぞれ選択させることを特徴とする請求項1に記載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項3】
前記同期禁止モードにおいて、少なくとも前記機能ユニットのいずれかより警告を発生させることを特徴とする請求項2に記載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項4】
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法において、
前記荷役作業用車輌における累積使用時間の計時を少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットのそれぞれに行わせると共に、該計時結果をそれぞれに設けた記憶装置に記憶させ、通信手段を介して定期的に前記ユニット間で相互の情報を送信しあってそれぞれに記憶された累積使用時間計時結果の差を算出し、
前記複数の機能ユニットのうち、予め定めた一の機能ユニットにおける記憶装置に記憶された累積使用時間、及び前記算出した累積使用時間計時結果の差に基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きして機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを前記機能ユニットのおのおのに選択させることを特徴とする荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項5】
前記予め定めた一の記憶装置に記憶された累積使用時間が予め定めた所定時間t以下の場合は警告を発しない同期禁止モードを、所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の場合は同期モードを、所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間Tを越えている場合は少なくとも前記機能ユニットのいずれかより警告を発する同期禁止モードを、それぞれ選択させることを特徴とする請求項4に記載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項6】
前記警告発生中に前記機能ユニットのいずれかが外部のサービスツールからの前記機能ユニット間の累積使用時間差を解消させる指示を受信した場合、前記同期禁止処理を解除させて前記累積使用時間差を解消させることを特徴とする請求項3または5に記載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項7】
前記各累積使用時間計時結果の記憶装置への書き込みは不揮発メモリを含む記憶装置に対し、前記荷役作業用車輌側電源OFF時、または所定時間毎に行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項8】
前記荷役作業用車輌は、外部サービスツールによる累積使用時間のリセット要求で前記各機能ユニットの累積使用時間の計時結果と該計時結果の記憶を0にリセットし、前記それぞれの機能ユニットに0リセット禁止フラグを記憶させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した荷役作業用車輛における累積使用時間計時方法。
【請求項9】
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輌において、
前記荷役作業用車輌は、少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットにそれぞれ記憶装置と計時装置が設けられてそれぞれ計時と記憶が行われるように構成され、
前記計時装置と記憶装置を備えた機能ユニットのそれぞれは、それぞれの計時装置の累積使用時間を互いに送受する通信手段を有し、該通信手段を介して受信したそれぞれの機能ユニットの累積使用時間の差に基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち、最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きしてそれぞれの機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを選択し、
夫々のモードに応じた処理を行う制御装置を具えることを特徴とする荷役作業用車輌。
【請求項10】
前記各機能ユニットは、前記機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の状態で前記同期モードを、前記所定時間Tより大きい状態で前記同期禁止モードを、それぞれ選択するよう構成されていることを特徴とする請求項9に記載した荷役作業用車輛。
【請求項11】
少なくとも前記機能ユニットのいずれかが、前記同期禁止モードにおいて、警告を発するよう構成されていることを特徴とする請求項10に記載した荷役作業用車輛。
【請求項12】
複数の機能ユニットを搭載した荷役作業用車輌において、
前記荷役作業用車輌は、少なくとも第1の機能ユニットと第2の機能ユニットにそれぞれ記憶装置と計時装置が設けられてそれぞれ計時と記憶が行われるように構成され、
前記計時装置と記憶装置を備えた機能ユニットのそれぞれは、それぞれの計時装置の累積使用時間を互いに送受する通信手段を有し、該通信手段を介して受信したそれぞれの累積使用時間の差と、前記複数の機能ユニットのうち、予め定めた一の機能ユニットにおける記憶装置に記憶された累積使用時間とに基づき、
前記それぞれの機能ユニットが計時した累積使用時間のうち最も大きい累積使用時間を他の小さい累積使用時間を記憶した機能ユニットの記憶装置に上書きして、それぞれの機能ユニット間の累積使用時間の差を解消させる同期モードと、
該同期モードの処理実行を禁止する同期禁止モードと、
のどちらかを選択し、
夫々のモードに応じた処理を行う制御装置を具えることを特徴とする荷役作業用車輌。
【請求項13】
前記各機能ユニットは、予め定めた一の記憶装置に記憶された累積使用時間が予め定めた所定時間t以下の場合は警告を発しない同期禁止モードを、前記所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間T以下の場合は同期モードを、前記所定時間tより大きく、かつ、前記複数の機能ユニット間の累積使用時間の差が予め定めた所定時間Tを越えている場合は警告を発する同期禁止モードをそれぞれ選択させるよう構成されていることを特徴とする請求項12に記載した荷役作業用車輛。
【請求項14】
少なくとも前記機能ユニットのいずれかが外部サービスツールとの通信手段を有し、前記警告が発せられている場合に、前記機能ユニットのいずれかが外部のサービスツールから前記通信手段を介し、前記機能ユニット間の累積使用時間差を解消させる命令を受信すると、前記同期禁止モードを解除させて前記累積使用時間差を解消させるよう構成されていることを特徴とする請求項11または13に記載した荷役作業用車輛。
【請求項15】
前記各機能ユニットにおける累積使用時間計時結果の記憶装置は不揮発メモリを含み、前記各機能ユニットは前記計時結果の不揮発メモリへの書き込みを、前記荷役作業用車輌側電源OFF時、または所定時間毎に行うよう構成されていることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載した荷役作業用車輛。
【請求項16】
前記各機能ユニットは、外部サービスツールによる累積使用時間のリセット要求で前記各機能ユニットの累積使用時間の計時結果と該計時結果の記憶を0にリセットする機能と、前記0リセット後の再0リセットを禁止するリセット禁止フラグを前記各機能ユニットにセットする機能とを有していることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載した荷役作業用車輛。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−20565(P2010−20565A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180822(P2008−180822)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【特許番号】特許第4302177号(P4302177)
【特許公報発行日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】