説明

荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの係合構造

【課題】 荷重試験機に備えられたリミットスイッチ機構において、荷重試験機本体に対するドグの取り付け位置を移動する際に、その作業性の向上を図ることができると共に微調整を容易にできるドグの係合構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 (a)に表したように、ネジ部材9、10を締め付けて側壁3aにドグ12、13が固定されている際には、ストッパー60、61とドグ12、13の端部との間に所定の間隙Sが構成され、(b)に表したように、ネジ部材9、10を緩めてドグ12、13の固定が解除されている際には、ストッパー61、61がドグ12、13の端部に当接すると共に、ワッシャ56、57と第二の頂部9c、10cとの間に間隙Sが構成され、ネジ部材9、10の軸部を側壁3aの外側に向かう軸方向に係止するように構成され、ワッシャ56、57が付勢部材58、59によって、側壁3aに向かって付勢される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験機本体に対して荷重計を保持する保持部を上下にスライドするスライド機構を備えた荷重試験機の、リミットスイッチ機構におけるドグの係合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷重計を被試験物の変位方向に沿ってスライドさせることにより被試験物に荷重と変位を加え、荷重計のスライド移動量から被試験物の変位を検出し、荷重と変位とを関連付けて計測できるように構成された荷重試験機がある。
【0003】
また、前述の荷重試験機において、荷重計がスライド範囲における所定の位置に達するとそのスライド動作を停止するように、試験機本体荷重計に接続され荷重計と一体となってスライドするリミットスイッチと、試験機本体に固定されたドグとを備え、スライド動作に伴って、リミットスイッチがドグに当接し、そのスライド動作を停止するように構成されたリミットスイッチ機構とを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、前記のリミットスイッチ機構におけるドグの係合構造として、ドグが試験機本体にスライド自在に係合し、所定の位置でネジで固定されるように構成されているものがある。
【特許文献1】特開H10−129999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ドグが試験機本体にスライド自在に係合し、所定の位置でネジで固定されるように構成されたドグの係合構造によれば、ドグの取り付け位置を移動する際に、ネジを緩めると、ドグが試験機本体の下方に落下し易く、作業性が損なわれたり、取り付け位置の微調整が困難になったりする虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、荷重試験機本体にスライド自在に係合するドグを備えたリミットスイッチ機構において、荷重試験機本体に対するドグの取り付け位置を移動する際に、その作業性の向上を図ることができると共に微調整を容易にできるドグの係合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、試験機本体に対して荷重計を保持する保持部を上下にスライドするスライド機構と、該スライド範囲の所定の位置で、そのスライド動作を停止させるリミットスイッチ機構とを備えた荷重試験機において、試験機本体の側壁に、前記スライド方向に沿って延出して形成されたスライド孔と、前記スライド孔を介して前記側壁の内方に配設され、ネジ孔を備えたドグと、前記スライド孔を介して前記側壁の外方に配設され、貫通孔を備えたワッシャと、軸方向が前記側壁に直交して配設され、前記貫通孔を介して前記ネジ孔に羅合する軸部を備えると共に、一端に該軸部の径より大きい径を有する頂部を備えたネジ部材と、前記ネジ部材の頂部と前記ワッシャとの間に配設され、該ワッシャを前記側壁に向かって付勢する付勢部材と、
を備えていることを特徴とするリミットスイッチ機構におけるド試験機本体に対して荷重計を保持する保持部を上下にスライドするスライド機構と、スライド範囲の所定の位置で、そのそのスライド動作を停止させるリミットスイッチ機構とを備えている、ことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の荷重試験機のリッミトスイッチ機構におけるドグの係合構造によれば、ドグを試験機本体側壁に固定する際に、ネジ部材を回転させて締めつけると、ネジ部材の軸部がドグに羅合し、試験機本体側壁がワッシャとドグとの間に挟着され、延いてはドグが試験機本体に固定される。一方、ドグの固定を緩める際に、前記と逆方向にネジ部材を回転させると、固定が解除される。この際、付勢部材を介して、ワッシャが試験機本体の側壁に付勢されているので、ドグが、側壁に沿って下方に滑り落ちることがないようにワッシャを介して側壁に支持される。これにより、請求項1に記載の荷重試験機のリッミトスイッチ機構におけるドグの係合構造は、荷重試験機本体に対するドグの取り付け位置を移動する際に、ドグが、ワッシャ及び付勢部材を介して側壁に所定の圧力でスライド自在に支持されているので、その作業性の向上を図ることができると共に取り付け位置の微調整を容易にできる。
【0009】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造において、前記ネジ部材は、前記軸部の前記頂部とは反対側に位置する端部が前記ドグの端部から突出するように構成されて、この突出部に、該軸部の外径方向に突出するストッパーが備えられ、前記ネジ部材を締め付けて前記側壁にドグが固定されている位置において、前記ストッパーと前記ドグの端部との間に所定の間隙が構成され、前記ネジ部材を緩めてドグの固定が解除されている位置において、前記ストッパーが前記ドグの端部に当接し、該軸部を、前記側壁の外方に向かう軸方向に、係止するように構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造によれば、ネジ部材は、軸部の前記頂部と反対側に位置する端部がドグの端部から突出するように構成され、この突出部に、軸部の径方向に突出するストッパーが備えられ、ネジ部材を締め付けて側壁にドグが固定されている位置において、ストッパーとドグの端部との間に所定の間隙が構成され、ネジ部材を緩めてドグの固定が解除されている位置において、ストッパーが前記ドグの端部に当接し、軸部を、側壁の外方に向かう軸方向に、係止するように構成されているので、ドグの固定を緩める際に、ネジ部材を回転させると、固定が解除されると共に、ストッパーがドグの端部に当接してその回転が制動され、ワッシャとネジ部材頂部との間に所定の間隙が構成され、付勢部材を介してこの間隙に依存する付勢圧がワッシャに加えられ、延いては、ドグが、試験機本体の側壁に沿って下方に滑り落ちることがないように支持される。そして、この際の付勢圧が、前記ストッパーの当接によって均一に維持される。
【0011】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造において、前記ネジ部材の頂部は、端部に設けられた大径部と、一端が前記軸部に連結すると共に他端が前記大径部に連結し、該軸部の径より大きく前記大径部の径より小さい径を有する第二の頂部を備え、前記第二の頂部が、前記ワッシャを介して前記側壁の反対側に配設され、前記付勢部材が、線材を螺旋状に巻いて構成されたコイル状のスプリングであって、前記コイル状のスプリング内方に前記第二の頂部が挿通され、該スプリングの一端が、前記ネジ部材の頂部に当接して該頂部を側壁と反対方向に付勢すると共に、該スプリングの他端が、前記ワッシャに当接して該ワッシャを側壁に向かって付勢するように配設されている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造によれば、コイル状のスプリング内方に第二の頂部が挿通され、スプリングの一端がネジ部材の頂部に当接すると共に、スプリングの他端が前記ワッシャに当接するように配設されているので、ドグを本体側壁に固定する際に、ネジ部材を回転させて締めつけると、ネジ部材の軸部がドグに羅合すると共に第二の頂部の端部がワッシャを加圧し、試験機本体の側壁がワッシャとドグとの間に挟着され、延いてはドグが試験機本体に固定される。一方、ドグの固定を緩める際に、前記と逆方向にネジ部材を回転させると、コイル状のスプリングを介して、ワッシャが試験機本体の側壁に付勢されているので、ドグが、試験機本体の側壁に沿って下方に滑り落ちることがないようにワッシャを介して側壁に支持される。また、この際、付勢部材がコイル状スプリングであって、このコイルに第二の頂部に挿通されているので、安定した付勢圧を発現できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の荷重試験機のリッミトスイッチ機構におけるドグの係合構造によれば、ドグを本体側壁に固定する際に、ネジ部材を回転させて締めつけると、ネジ部材の軸部がドグに羅合し、試験機本体側壁がワッシャとドグとの間に挟着され、延いてはドグが試験機本体に固定される。一方、ドグの固定を緩める際に、前記と逆方向にネジ部材を回転させると、固定が解除される。この際、付勢部材を介して、ワッシャが試験機本体の側壁に付勢されているので、ドグが、試験機本体の側壁に沿って下方に滑り落ちることがないようにワアシャを介して側壁に支持される。これにより、本発明の荷重試験機のリッミトスイッチ機構におけるドグの係合構造は、試験機本体に対するドグの取り付け位置を移動する際に、ドグが、ワッシャ及び付勢部材を介して試験機本体の側壁に所定の圧力でスライド自在に支持されているので、その作業性の向上を図ることができると共に取り付け位置の微調整を容易にできる。
【0014】
また、本発明の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造によれば、ネジ部材は、軸部の前記頂部とは反対側に位置する端部がドグの端部から突出するように構成され、この突出部に、軸部の径方向に突出するストッパーが備えられ、ネジ部材を締め付けて側壁にドグが固定されている位置において、ストッパーとドグの端部との間に所定の間隙が構成され、ネジ部材を緩めてドグの固定が解除されている位置において、ストッパーがドグの端部に当接し、該軸部を、側壁の外側に向かう軸方向に係止するように構成されているので、ドグの固定を緩める際に、ネジ部材を回転させると、固定が解除されると共に、ストッパーがドグの端部に当接してその回転が制動され、ワッシャとネジ部材頂部との間に所定の間隙が構成され、付勢部材を介してこの間隙に依存する付勢圧がワッシャに加えられ、延いては、ドグが、本体側壁に沿って下方に滑り落ちることがないように支持される。そして、この際の付勢圧が、前記ストッパーの当接によって均一に維持される。
【0015】
また、本発明の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造によれば、コイル状のスプリング内方にネジ部材の第二の頂部が挿通され、スプリングの一端がネジ部材の第二の頂部に当接すると共に、スプリングの他端がワッシャに当接するように配設されているので、ドグを本体側壁に固定する際に、ネジ部材を回転させて締めつけると、ネジ部材の軸部がドグに羅合すると共に第二の頂部の端部がワッシャを加圧し、試験機本体の側壁がワッシャとドグとの間に挟着され、延いてはドグが試験機本体に固定される。一方、ドグの固定を緩める際に、前記と逆方向にネジ部材を回転させると、コイル状のスプリングを介して、ワッシャが試験機本体の側壁に付勢されているので、ドグが、本体側壁に沿って下方に滑り落ちることがないようにワッシャを介して側壁に支持される。また、この際、付勢部材がコイル状スプリングであって第二の頂部に挿通されているので、安定した付勢圧を発現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の荷重試験機の一実施例を図面にもとづいて説明する。図1は、本発明の一実施例の荷重試験機の外観図、図2は、同実施例の荷重試験機における図1の矢印X方向から表した外観図、図3は、同実施例の荷重試験機の図1におけるY−Y断面図、図4は、同実施例の荷重試験機における当接材スライド機構を表す構造図。図5は、同実施例の荷重試験機の制御系を表すブロック図、図6は、同実施例の荷重試験機の図1におけるZ−Z断面図であって、同荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの係合構造を表す図である。
【0017】
図1に表したように、荷重試験機1は、被試験物に荷重を加え、その荷重を計測する荷重計2、荷重計2を保持する保持部4、保持部4を上下にスライドさせるスライド機構を備えた移動装置3、スライド範囲の上限下限において支柱15(所謂、本発明の試験機本体の側壁である)に固定されたドグ12、13、保持部4に固定されたリミットスイッチ(図4中の符号44a、44b)、等を備え、保持部4のスライド動作に伴って、保持部4が所定の位置に達すると、リミットスイッチが作動し、そのスライド動作を停止するように構成されている。
【0018】
また、荷重試験機1は、制御装置5の上面に設けられたテーブル14、オペレータの操作に基づいて移動装置3及び荷重計2を作動させる制御装置5、制御装置5とパーソナルコンピュータ(図示せず)間のデータ通信を行うためのインタフェース接続ケーブル11、等を備えている。
【0019】
荷重計2は、電源キー2a、計測結果を表示する液晶ディスプレイ2b、計測値をゼロに校正するゼロ点校正キー2s、連続して読み取った荷重のピ−ク値の出力を指令するピーク出力キー2d、荷重の単位を(例えばKgfやNなど)切り換える単位切換キー2e、被試験物に張力又は押圧力を加える端子2f等を備えている。また、荷重計2には、前述の各キーからの指令信号に基づいて計測動作を制御する駆動回路(図5中の符号2g)が内蔵され、荷重計2と制御装置5とが通信用ケーブル(図示せず)で接続されている。
【0020】
次に、移動装置3は、図3に表したように、制御装置5に直立して設けられ内方に空間を有する支柱15、支柱15内に収納されテーブル14に直立して固定されたガイド棒6a、6b、支柱15の上部及び下部に固設された天板19及び底板18、天板19及び底板18に係合された軸受け16、20、軸受け16、20を介して回転自在に支持され、外周に沿って螺旋状のネジが形成されたスクリュー7、スクリュー7の回転動作に伴ってスクリュー7の軸方向に沿ってスライドすると共に荷重計2を固定する保持部4、等を備えている。
【0021】
スクリュー7は、一端が軸受け16に回動自在に接続され、他端が、カップリング(図示せず)を介して、制御装置5の内部に備えたモータの回転軸に接続されている。そして、移動装置3は、モータの回転動作を、スクリュー7及び保持部4を介して、荷重計2を上下にスライドする直線運動に変換するように構成されている。
【0022】
ガイド棒6a、6bは、天板19にボルト17a、17bによって固定され、底板18にボルト21a、21bによって固定されている。
【0023】
保持部4には、ガイド棒6a、6bがスライド自在に係合する貫通孔4b、4cと、スクリュー7に羅合する雌ネジ4dが形成されている。また、支柱15の周壁には上下に延出する開口孔(図1中の符号15a)が形成され、保持部4がこの開口孔から外方に突出し、固定部(図2中の符号4a)を介して荷重計2を保持している。そして、保持部4は、開口孔15a及びガイド棒6a、6bに沿って上下に移動するように構成されている。
【0024】
次に、図1に表したように、制御装置5は、オペレータが荷重計2の計測動作及びスライド動作を操作するための操作パネル8を備えている。操作パネル8は、荷重計2のスライド速度を設定する速度設定ツマミ8b、8c、荷重計2のスライド方向を上方(矢印U方向)に指令する方向指令キー8d、荷重計のスライド方向を下方(矢印D方向)に指令する方向指令キー8e、各種計測動作モードを設定する計測モード選択キー8f、計測動作モードにおける動作速度や変位量、荷重などを設定する液晶ディスプレイ8k及び数値入力キー8m、8n、設定された計測モードに基づいて計測動作の開始を指令するスタートキー8p、計測動作の停止を指令するストップキー8h、等が備えられている。
【0025】
図5に表したように、制御装置5には、移動装置3及び荷重計2の動作を制御する制御系100が備えられている。制御系100は、CPU31、ROM32、RAM33を中心とするマイクロコンピュータとして構成され、操作パネル8から入力される指令信号に基づき、CPU31がROM32、RAM33等を使用して各機能の処理を実行する。
【0026】
また、制御系100は、経過時間をカウントして経過時間を表す信号をCPU31に出力する時間カウンター43、CPU31からの出力信号に基づいてモータ35に駆動信号を出力するモータ制御部34、モータ制御部34から入力された駆動信号に基づいて回転動作するモータ35、モータ35の回転力を直線運動に変換して荷重計3を図1中の矢印U及びD方向に移動させる移動装置3、等によって構成されている。
【0027】
また、荷重計2は、被試験物に押圧力又は引張力を加え、その荷重をロードセル2dに伝達する端子2f、端子2fを介して伝達された荷重に応じた電気信号を生成するロードセル2s、ロードセル2sで生成された電気信号をデジタル信号に変換してCPU31に出力する駆動回路2g等を備えている。また、駆動回路2gは、前述の電源キー2a、ゼロ点校正キー2s、ピーク出力キー2d、単位切換キー2e等から入力された指令信号、及びCPU31から入力された指令信号に基づいて、荷重計2を制御する。
【0028】
また、制御系100は、CPU31と外部のパーソナルコンピュータとの間でデータをシリアルに送受信するインタフェース40、例えばペンレコーダなどに、計測された荷重及び変位を電圧信号で出力するアナログ電圧出力部41、荷重計2の所定のスライド位置で作動し、そのスライド動作を停止する停止信号をCPU31に出力する上下一対のリミットスイッチ44a、44b、オペレータが操作し指令信号をCPU31に送るための操作パネル8等によって構成されている。
【0029】
次に、図2に表したように、移動装置3は、支柱15の側壁3a(所謂、本発明における試験機本体の側壁である。)に上下に延出するスライド孔15bが形成され、上下一対のドグ12及び13をこのスライド孔15bに沿ってスライドさせ所定の位置で係止できるように形成されている。詳しくは、図4に表したように、ドグ12、13は、ネジ部材9、10を緩めたり締め付けしたりすることによってドグ12、13の位置をスライド孔15bに沿って上下にスライドさせ、所定の位置で係止できるように構成されている。
【0030】
次に、図4に表したように、荷重試験機1は、保持部4にスライド方向の間隙Cを介して設けられて所定のスライド位置においてドグ12、13に当接する当接材25a、25bと、当接材25a、25bを介してドグ12、13の反対側に間隙Cを介して設けられて保持部4に固定されたリミットスイッチ44a、44bと、当接材25a、25bが保持部4に向かって付勢された際に、当接材25a、25bを保持部4側にスライドさせてリミットスイッチ44a、44bに当接させ、リミットスイッチ44a、44bを作動させる当接材スライド機構と、を備えている。また、この当接材スライド機構は、保持部4の上下に、一対備えられている。なお、図1において一部破断し、この当接材スライド機構を符号Sで示している。
【0031】
また、図4に表したように、当接材スライド機構は、軸方向が保持部4のスライド方向に沿って配設されて、一端が当接材25a、25bに接続され、他端側が保持部4にスライド方向にスライド自在に係合するスライド棒22a、22bと、スライド棒22a、22bの他端を当接材4に向かって付勢するスプリング23a、23bと、によって構成されている。
【0032】
保持部4には、スライド棒22a、22bがスライド自在に係合するスライド貫通孔4j、4kと、スライド貫通孔4j、4kより大きく形成されスプリング23a、23bを収納する収納孔4m、4nとが備えられている。そして、スライド棒22a、22bのスプリング22a、22b側に位置する一端には、スライド貫通孔4j、4kより大きい径を有する鍔部が形成され、この鍔部が収納孔4m、4nの貫通孔4j、4k側に位置する底壁に当接し、当接材25a、25bの、保持部4から離間する方向におけるスライドを所定の範囲に規制するストッパーの機能を発現する。
【0033】
また、収納孔4m、4nにはキャップ24a、24bが係合し、スプリング23a、23bが収納孔4m、4nに装着されてスライド棒22a、22bを押すように付勢している。
【0034】
また、当接材25a、25bには、リミットスイッチ44a、44bに当接する当接部26a、26bと、スライド方向の間隙を介して保持部4のスライド方向の端部を覆う仕切部27a、27bと、が形成されている。
【0035】
そして、保持部4が上方向(矢印U側)にスライドすると、ドグ12が仕切部27aに当接し、当接材25aがスプリング23aの付勢力に抗するように保持部4側にスライドし、スイッチレバー45aが当接部26aに押圧されて、保持部4の上方向(矢印U方向)のスライド動作を停止させるように構成されている。
【0036】
また、保持部4が下方向(矢印D側)にスライドすると、ドグ13が仕切部27bに当接し、当接材25bがスプリング23bの付勢力に抗するように保持部4側にスライドし、スイッチレバー45bが当接部26bに押圧されて、保持部4の下方向(矢印D方向)のスライド動作を停止させるように構成されている。
【0037】
次に、本荷重試験機のリミットスイチ機構におけるドグの係合構造について、図6に基づいて説明する。尚、図6中の(a)は、ネジ部材9、10を締め付けて側壁3aにドグ12,13が固定されている状態図を表し、図6中の(b)は、ネジ部材9、10を緩めてドグ12、13の固定が解除されている状態図を表している。
【0038】
図6に表したように、本荷重試験機のリミットスイチ機構におけるドグの係合構造は、荷重試験機本体1の支柱15の側壁3aに、スライド方向に沿って延出して形成されたスライド孔15bを介して側壁3aの内方に配設され、ネジ孔を備えたドグ12、13と、スライド孔15を介して側壁3aの外方に配設され、貫通孔56a、57aを備えたワッシャ56、57と、軸方向が側壁3aに直交して配設され、貫通孔56a、57a、スライド孔15bを介してドグ12、13のネジ孔に羅合する軸部9d、10dを備えると共に、一端に軸部9d、10dの径より大きい径を有する頂部9a、10aを備えたネジ部材9、10と、ネジ部材9及び10の頂部9a及び10aとワッシャ56、57との間に配設され、ワッシャ56、57を側壁3aに向かって付勢する付勢部材58、59と、を備えている。
【0039】
また、ネジ部材9、10は、頂部9a、10aと反対側に位置する軸部9d、10dの端部がドグ12、13の端部から突出するように構成され、この突出部に、軸部9d、10dの径方向に突出するストッパー60、61が備えられている。
【0040】
そして、図6(a)に表したように、ネジ部材9、10を締め付けて側壁3aにドグ12、13が固定されている位置においては、ストッパー60、61とドグ12、13の端部との間に所定の間隙Sが構成されている。
また、図6(b)に表したように、ネジ部材9、10を緩めてドグ12、13の固定が解除されている位置においては、ストッパー61、61がドグ12、13の端部に当接すると共に、ワッシャと第二の頂部との間に間隙Sが構成され、ネジ部材9、10の軸部を側壁3aの外側に向かう軸方向に係止するように構成され、且つ、ワッシャ56、57が付勢部材58、59によって、側壁3aに向かって付勢される。
【0041】
また、ネジ部材9、10の頂部9a、10aは、端部に設けられた大径部と、一端が軸部9d、10dに連結すると共に他端が大径部に連結し、軸部の径より大きく大径部の径より小さい径を有する第二の頂部9c、10cを備え、第二の頂部9c、10cが、ワッシャ56、57を介して側壁3aの反対側に配設されている。
【0042】
また、付勢部材は58、59は、線材を螺旋状に巻いて構成されたコイル状のスプリングであって、コイル状のスプリング内方に第二の頂部9c、10cが挿通され、スプリングの一端が、ネジ部材9、10の頂部9a、10aに当接し頂部9a、10aを側壁3aと反対方向に付勢すると共に、このスプリングの他端が、ワッシャ56、57に当接してワッシャ56、57を側壁3aに向かって付勢するように配設されている。
【0043】
次に、前記の構成を有する荷重試験機1のリミットスイッチ機構における、ドグ12、13の係合構造の作用効果を記載する。
【0044】
本実施例の荷重試験機1のリッミトスイッチ機構におけるドグ12、13の係合構造によれば、ドグ12、13を試験機本体の側壁3aに固定する際に、ネジ部材9、10を回転させて締めつけると、ネジ部材9、19の軸部9d、10dがドグ12、13に羅合し、側壁3aがワッシャ56、57とドグ12、13との間に挟着され、延いてはドグ12、13が試験機本体に固定される。一方、ドグ12、13の固定を緩める際に、前記と逆方向にネジ部材9、10を回転させると、固定が解除される。この際、付勢部材58、59を介して、ワッシャ56、57が試験機本体の側壁3aに付勢されているので、ドグ12、13が、側壁3aに沿って下方に滑り落ちることがないようにワッシャ56、57を介して側壁3aに向かって付勢される。これにより、本実施例の荷重試験機1のリッミトスイッチ機構におけるドグ12、13の係合構造は、試験機本体に対するドグ12、13の取り付け位置を移動する際に、ドグ12、13が、ワッシャ56、57及び付勢部材58、59を介して試験機本体の側壁3aに所定の圧力でスライド自在に支持されているので、その作業性の向上を図ることができると共に取り付け位置の微調整を容易にできる。
【0045】
また、本実施例に記載の荷重試験機1のリミットスイッチ機構におけるドグ12、13の取り付け構造によれば、ネジ部材12、13は、軸部9d、10dの頂部9a、10aと反対側に位置する端部がドグ12、13の端部から突出するように構成され、この突出部に、軸部9d、10dの径方向に突出するストッパー60、61が備えられ、ネジ部材9、10を締め付けて側壁にドグが固定されている位置(図3の(a))において、ストッパー60、61とドグ12、13の端部との間に所定の間隙Sが構成され、ネジ部材9、10を緩めてドグ12、13の固定が解除されている位置(図3の(b))において、ストッパー60、61がドグ12、13の端部に当接し、軸部9d、10dを、側壁3aの外方に向かう軸方向に、係止するように構成されているので、ドグ12、13の固定を緩める際に、ネジ部材9、10を回転させると、固定が解除されると共に、ストッパー60、61がドグ12、13の端部に当接してその回転が制動され、ワッシャ56、57とネジ部材9、19の頂部9、10との間に所定の間隙Sが構成され、付勢部材を介してこの間隙に依存する付勢圧がワッシャに加えられ、延いては、ドグが、本体側壁に沿って下方に滑り落ちることがないように支持される。そして、この際の付勢圧が、ストッパー12、13がドク12、13に当接することによって均一に維持される。
【0046】
本実施例に記載の荷重試験機1のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造によれば、付勢部材58、59(コイル状のスプリング)の内方に第二の頂部9c、10cが挿通され、スプリングの一端がネジ部材9、10の頂部9a、10aに当接すると共に、スプリングの他端がワッシャ56、57に当接するように配設されているので、ドグ12、13を本体側壁に固定する際に、ネジ部材を回転させて締めつけると、ネジ部材の軸部がドグに羅合すると共に第二の頂部の端部がワッシャを加圧し、、試験機本体の側壁がワッシャとドグとの間に挟着され、延いてはドグが試験機本体に固定される。一方、ドグ12、13の固定を緩める際に、前記と逆方向にネジ部材9、10を回転させると、コイル状のスプリングを介して、ワッシャ56、57が試験機本体の側壁3aに付勢されているので、ドグ12、13が、試験機本体の側壁3aに沿って下方に滑り落ちることがないようにワッシャ56、57を介して側壁3aに支持される。また、この際、付勢部材58、59がコイル状スプリングであって、このコイルの内方に第二の頂部9c、10cが挿通されているので、安定した付勢圧を発現できる。
【0047】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、種各の態様を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例の荷重試験機の外観図である。
【図2】同実施例の荷重試験機における、図1の矢印X方向から表した外観図である。
【図3】同実施例の荷重試験機の図1におけるY−Y断面である。
【図4】同実施例の荷重試験機における当接材スライド機構を表す構造図である。
【図5】同実施例の荷重試験機の制御系を表すブロック図である。
【図6】同実施例の荷重試験機の図1におけるZ−Z断面図であって、同荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの係合構造を表す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…荷重試験機、2…荷重計、2a…電源キー、2b…液晶表示部、2d…ピーク出力キー、2e…測定単位切換キー、2f…端子、2s…ロードセル、3…移動装置、3a…側壁、4…保持部、4b,4c…貫通孔、4d…雌ネジ、4j,4k…スライド貫通孔、4m,4n…収納孔、5…制御装置、6a,6b…ガイド棒、7…スクリュー、8…操作パネル、9,10…ネジ部材、9a,10a…頂部、9b,10b…ネジ部、9c,10c…第二の頂部、9d,10d…軸部、11…インタフェース接続ケーブル、12、13…ドグ、14…テーブル、15…支柱、15a…開口孔、15b…スライド孔、16,20…軸受け、17a,17b,21a,21b…ボルト、18…底板、19…天板、22a,22b…スライド棒、23a,23b…スプリング、24a,24b…キャップ、25a,25b…当接材、26a,26b…当接部、27a,27b…遮蔽部、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…モータ制御部、35…モータ、40…インタフェース、41…アナログ電圧出力部、43…時間カウンター、44a、44b…リミットスイッチ、45a,45b…スイッチレバー、56,57…ワッシャ、58,59…付勢部材、56a、57a…貫通孔、60,61…ストッパー、100…制御系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験機本体に対して荷重計を保持する保持部を上下にスライドするスライド機構と、該スライド範囲の所定の位置で、該スライド動作を停止させるリミットスイッチ機構とを備えた荷重試験機において、
試験機本体の側壁に、前記スライド方向に沿って延出して形成されたスライド孔と、
前記スライド孔を介して前記側壁の内方に配設され、ネジ孔を備えたドグと、
前記スライド孔を介して前記側壁の外方に配設され、貫通孔を備えたワッシャと、
軸方向が前記側壁に直交して配設され、前記貫通孔を介して前記ネジ孔に羅合する軸部を備えると共に、一端に該軸部の径より大きい径を有する頂部を備えたネジ部材と、
前記ネジ部材の頂部と前記ワッシャとの間に配設され、該ワッシャを前記側壁に向かって付勢する付勢部材と、
を備えていることを特徴とする荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造。
【請求項2】
前記ネジ部材は、前記軸部の前記頂部とは反対側に位置する端部が前記ドグの端部から突出するように構成されて、この突出部に、該軸部の外径方向に突出するストッパーが備えられ、
前記ネジ部材を締め付けて前記側壁にドグが固定されている位置において、前記ストッパーと前記ドグの端部との間に所定の間隙が構成され、前記ネジ部材を緩めてドグの固定が解除されている位置において、前記ストッパーが前記ドグの端部に当接し、該軸部を、前記側壁の外方に向かう軸方向に、係止するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造。
【請求項3】
前記ネジ部材の頂部は、端部に設けられた大径部と、一端が前記軸部に連結すると共に他端が前記大径部に連結し、該軸部の径より大きく前記大径部の径より小さい径を有する第二の頂部を備え、
前記第二の頂部が、前記ワッシャを介して前記側壁の反対側に配設され、
前記付勢部材が、線材を螺旋状に巻いて構成されたコイル状のスプリングであって、
前記コイル状のスプリング内方に前記第二の頂部が挿通され、
該スプリングの一端が、前記ネジ部材の頂部に当接して該頂部を側壁と反対方向に付勢すると共に、該スプリングの他端が、前記ワッシャに当接して該ワッシャを側壁に向かって付勢するように配設されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の荷重試験機のリミットスイッチ機構におけるドグの取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−327731(P2006−327731A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151720(P2005−151720)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000107147)日本電産シンポ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】