説明

荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法及び該補正方法を用いた荷電粒子ビーム装置

【課題】本発明は荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法及び該補正方法を用いた荷電粒子ビーム装置に関し、非点収差補正を確実に行なうことを特徴としている。
【解決手段】荷電粒子ビーム2を試料室14内に配置された試料4に照射し、該試料4から照射により発生した2次的電子を検出してその画像を表示手段10に表示するようにした荷電粒子ビーム装置において、前記試料4から発生した2次的電子を検出する電子検出手段7と、該電子検出手段7の出力を受けて画像の信号特性を評価し、その評価値が最大になるような非点収差補正値を算出する非点収差評価演算手段9と、該非点収差評価演算手段9の出力を受けて、この出力を平滑化する緩和フィルタ12と、該緩和フィルタ12の出力を受けて非点収差補正コイル6を駆動する非点収差補正コイル駆動手段11と、を有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法及び該補正方法を用いた荷電粒子ビーム装置に関し、荷電粒子ビーム光学系の非点収差が最小となる非点収差補正を確実に行なうことを特徴とする荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法及び該補正方法を用いた荷電粒子ビーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(SEM)等では、正しいSEM像を得るために電子光学系(荷電粒子ビーム光学系)の非点収差補正が行われる。特に、複数のSEM像を順次取得し、これらの像をつなぎ合わせて拡大画像を作成する際にも非点収差補正は重要である。
【0003】
図2は従来装置の構成例を示す図で、非点収差補正機構を示している。荷電粒子ビーム鏡筒1において、荷電粒子ビーム2を対物レンズ3で試料4上に細く絞って照射する。対物レンズ3は、対物レンズ駆動アンプ8で駆動される。荷電粒子ビーム2は試料4上を走査し、試料4からは被検出電子となる2次的電子が発生する。発生する2次的電子としては、例えば2次電子や、反射電子等があげられる。この種の2次的電子は、電子検出器7で検出されて電気信号に変換される。
【0004】
この時、電子検出器7で検出された電子の信号は観察画像表示系10に、試料4の走査と同期して入力され、該観察画像表示系10には、試料像が表示される。一方、電子検出器7の出力は非点収差評価演算器9にも入力される。該非点収差評価演算器9は、入力された信号の信号特性を評価し、その評価値が最大になるように非点収差補正コイル駆動アンプ11を設定する。この非点収差補正コイル駆動アンプ11で非点収差補正コイル6を駆動すれば、得られる画像は非点収差が最小の画像となる。
【0005】
一般的に電子光学系の非点収差が最小になった時に電子ビーム径が最小になり、走査画像の分解能が最小になる。この場合、画像信号の高い周波数成分は最大になる。従ってこの振幅の絶対値を走査中に積分すれば、その値が非点収差の評価値となる。
【0006】
この種の装置としては、荷電粒子ビームを試料上に集束するための集束レンズと、試料上の荷電粒子ビームの照射位置を走査するための走査手段と、試料への荷電粒子ビームの照射によって得られた信号を検出する検出器とを備え、検出器によって検出された信号を画像メモリに記憶させ、画像メモリに記憶された各画像信号に対して、境界検出空間フィルタ演算を施し、その演算結果につき、画素絶対値総和演算を行なうようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−283028号公報(段落0012〜0016、図6〜図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来においては、自動非点収差補正を実行しても、画像の雑音と観察視野の試料の方向性によって、非点収差補正値が最適値からずれた値になる場合がある。この場合、非点収差は完全に補正されないか又はかえって実行前より劣化した画像となる。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、非点収差が最小になるような非点収差補正を確実に実行することができる荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法及び該補正方法を用いた荷電粒子ビーム装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明は以下のような構成をとっている。
【0011】
(1)請求項1記載の発明は、荷電粒子ビームを試料室内に配置された試料に照射し、これにより試料から発生した被検出電子を検出し、その検出に基づいて画像を取得する荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法において、荷電粒子ビームの照射により前記試料から発生した被検出電子を検出する工程と、該被検出電子の検出信号に基づく画像の信号特性を評価し、その評価値が最大になるような非点収差補正値を算出する工程と、算出された該非点収差補正値を平滑化する工程と、該平滑化された非点収差補正値に対応した駆動信号により、荷電粒子ビーム光学系の非点収差補正器を駆動する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
(2)請求項2記載の発明は、前記非点収差補正値を平滑化する工程において、最新の非点収差補正算出値と前回の平滑化後の非点収差補正算出値とのフィルタ演算結果を、新たな平滑化後の非点収差補正値として演算することを特徴とする。
【0013】
(3)請求項3記載の発明は、前記非点収差補正値を平滑化する工程において、再帰的フィルタを用いて演算が行われることを特徴とする。
【0014】
(4)請求項4記載の発明は、前記非点収差補正値を平滑化する工程において、移動平均フィルタを用いて演算が行われることを特徴とする。
【0015】
(5)請求項5記載の発明は、荷電粒子ビームを試料室内に配置された試料に照射し、これにより試料から発生した被検出電子を検出し、その検出に基づいて画像を取得する荷電粒子ビーム装置において、荷電粒子ビームの照射により前記試料から発生した被検出電子を検出する電子検出手段と、該電子検出手段の出力信号に基づく画像の信号特性を評価し、その評価値が最大になるような非点収差補正値を算出する非点収差評価演算手段と、該非点収差評価演算手段の出力を受けて、この出力を平滑化する緩和フィルタと、該緩和フィルタの出力に基づいて、荷電粒子ビーム光学系の非点収差補正器を駆動する非点収差補正コイル駆動手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
(6)請求項6記載の発明は、前記緩和フィルタは、前記非点収差評価演算手段からの最新の非点収差補正算出値と、前回の平滑化後の非点収差補正算出値とのフィルタ演算結果を、新たな平滑化後の非点収差補正値として出力することを特徴とする。
【0017】
(7)請求項7記載の発明は、前記緩和フィルタとして再帰的フィルタを用いたことを特徴とする。
【0018】
(8)請求項8記載の発明は、前記緩和フィルタとして移動平均フィルタを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以下に示すような効果を有する。
【0020】
(1)請求項1記載の発明によれば、検出された2次的電子の検出信号から非点補正値を算出し、算出された非点補正値を平滑化することにより、非点収差算出値の最適値からのばらつきを小さくし、自動非点収差補正を実行後の画像の非点収差が常に小さくなるようにすることができる。
【0021】
(2)請求項2記載の発明によれば、最新の非点収差補正算出値と前回の平滑化後の非点収差補正算出値とのフィルタ演算結果を、新たな平滑化後の非点収差補正値として演算することができる。
【0022】
(3)請求項3記載の発明によれば、前記緩和フィルタとして再帰的演算を用いて非点収差補正を行なうことができる。
【0023】
(4)請求項4記載の発明によれば、前記緩和フィルタとして移動平均を用いて非点収差を行なうことができる。
【0024】
(5)請求項5記載の発明によれば、電子検出手段により検出された2次的電子の検出信号から画像の信号特性を評価し、非点収差評価演算手段で非点収差評価演算を行ない、この非点収差評価演算手段で評価した画像の出力を緩和フィルタで平滑化することにより、非点収差算出値の最適値からのばらつきを小さくし、自動非点収差補正を実行後の画像の非点収差が常に小さくなるようにすることができる。
【0025】
(6)請求項6記載の発明によれば、最新の非点収差補正算出値と前回の平滑化後の非点収差補正算出値とのフィルタ演算結果を、新たな平滑化後の非点収差補正値として演算することができる。
【0026】
(7)請求項7記載の発明によれば、前記緩和フィルタとして再帰的演算を用いて非点収差補正を行なうことができる。
【0027】
(8)請求項8記載の発明によれば、前記緩和フィルタとして移動平均フィルタを用いて非点収差補正を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明装置の構成例を示す図である。
【図2】従来装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施例1)
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。各実施例においては、複数のSEM像を順次取得(撮影)していく場合において、所定の取得数(取得画像枚数)毎に非点収差補正を行なう場合を想定している。そして、取得された各画像が試料上での隣接する領域に対応していれば、これらの画像をつなぎ合わせることにより、拡大画像(モンタージュ画像)が得られる。
【0030】
図1は本発明の構成例を示す図で、走査型電子顕微鏡(SEM)の場合を示している。図2と同一のものは同一の符号を付して示す。図において、1は荷電粒子ビーム鏡筒、2は電子ビーム源から出射される電子ビーム(荷電粒子ビーム)、3は試料に電子ビームを細く絞って照射するための対物レンズ、4は電子ビームが照射される試料、5は試料4が載置される試料ステージ、6は荷電粒子ビーム光学系の非点収差を補正するための非点収差補正コイル(非点収差補正器)である。
【0031】
試料4及び試料ステージ5は、荷電粒子ビーム鏡筒1の下部に接続された試料室14内に配置されている。7は電子ビーム2が試料4に照射されることにより、試料4から出射される2次電子や反射電子等の2次的電子(被検出電子)を検出する電子検出器、8は対物レンズ3を駆動する対物レンズ駆動アンプ、9は電子検出器7の出力(2次的電子の検出信号)に基づく画像の信号特性を評価し、その評価値が最大になるような非点収差補正値を算出する非点収差評価演算器、12は該非点収差評価演算器9の出力を平滑化する緩和フィルタである。該緩和フィルタ12としては、例えばローパスフィルタ等が用いられる。
【0032】
11は該緩和フィルタ12の出力を受け、緩和フィルタ12の出力に応じて非点収差補正コイル6を駆動する非点収差補正コイル駆動アンプである。13は電子検出器7で検出された画像データを記憶するメモリ、10は該メモリ13の内容を常時表示する観察画像表示系である。該観察画像表示系10としては、例えば液晶表示器(LCD)が用いられる。図2に示す従来装置と異なる点は、本発明では非点収差評価演算器9の後に、該非点収差評価演算器9によって算出れた非点収差補正値を平滑化する緩和フィルタ12が用いられている点である。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0033】
電子ビーム鏡筒1において、電子ビーム2を対物レンズ3で細く絞って試料4上にフォーカスさせて照射する。電子ビーム2は走査信号に基づき試料4上で走査され、試料4から発生した2次電子、反射電子等の2次的電子は電子検出器7で検出され、電気信号に変換される。該電子検出器7で検出された信号は、走査信号と同期したデジタル画像信号としてメモリ13に格納される。これにより、画像データの取得が行われる。観察画像表示系10はメモリ13に記憶されている画像データを読み出して試料表面情報として表示する。
【0034】
一方、電子検出器7の出力(検出信号)は、非点収差評価演算器9に入り、該非点収差評価演算器9で電子検出器7からの検出信号に基づく画像の信号特性を評価し、その評価値が最大になるような非点収差補正値を算出する。自動非点補正の算出値はばらつきがあっても、複数回の算出値の平均は最適値に近づくと仮定することができる。
【0035】
従って、この算出値を緩和フィルタであるローパスフィルタ12に入力すれば、設定値のばらつきが低減される。最適非点補正値のゆっくりした変動には、フィルタのローパス特性によって追従が行われる。本発明では、非点収差評価演算器9により算出された非点収差補正算出値は緩和フィルタ12に入って、前回の平滑化処理後の非点収差補正算出値との間でローパスフィルタの演算を行なう。この緩和フィルタ12の出力を非点収差の補正値として最終的に非点収差補正コイル駆動アンプ11へ印加する。
【0036】
ここで、緩和フィルタ12の演算は、最新(n回目)の非点収差補正算出値をX(n)、Y(n)、緩和フィルタ12の算出値(平滑化処理後の値)をSx(n),Sy(n)、前回(n−1回目)の自動非点収差補正実行時の緩和フィルタ12の算出値(平滑化処理後の値)をSx(n−1),Sy(n−1)、フィルタ係数をkとして
Sx(n),Sy(n)は次式のように表される。
Sx(n)=k・Sx(n−1)+(1−k)・X(n) (1)
Sy(n)=k・Sy(n−1)+(1−k)・Y(n) (2)
つまり、再帰的計算式となる。
【0037】
ここで緩和フィルタ12の係数kは、1>k>0内の予め適当な値に設定される。k=0の場合は非点収差補正算出値X(n),Y(n)がそのまま設定値となるので、(1),(2)式より明らかなように緩和フィルタ12は無いのに等しくなる。kが1に近い値の場合は(1),(2)式より明らかなように緩和フィルタ12が強く働き、設定値のばらつきは小さくなるが、真の値の変動に対する追従性は悪くなる。従って、フィルタ係数kの値は、通常k=0.5程度の値で適当な緩和フィルタ動作が得られる。
【0038】
以上の動作により、確率的な画像信号のノイズやまれに観察視野の試料模様の方向性によって非点収差補正算出値が真の値から外れても、設定値は緩和フィルタ15によって真の値に近い値が設定されることになる。従って、非点収差補正値のゆっくりした変動には緩和フィルタ12のローパス特性によって追従がなされていく。
【0039】
この実施例によれば、検出された2次的電子の検出信号から非点補正値を算出し、算出された非点補正値を再帰型フィルタで平滑化することにより、非点収差算出値の最適値からのばらつきを小さくし、自動非点収差補正を実行後の画像の非点収差が常に小さくなるようにすることができる。
【0040】
(実施例2)
実施例1ではフィルタ演算を再帰的手法を用いた場合を例にとった。しかしながら、本発明はフィルタ演算を再帰的手法を用いることに限定するものではない。例えば移動平均フィルタで構成することもできる。この場合のフィルタ演算式は、最新の自動非点収差補正の算出値からN回前の算出値までを使うとして、フィルタ算出値Sx(n),Sy(n)は次式で表すことができる。
Sx(n)=(X(n)+X(n−1)+X(n−2)+…+X(n−N))/N
(3)
Sy(n)=(Y(n)+Y(n−1)+Y(n−2)+…+Y(n−N))/N
(4)
この実施例によれば、検出された2次的電子の検出信号から非点補正値を算出し、算出された非点補正値を移動平均フィルタで平滑化することにより、非点収差算出値の最適値からのばらつきを小さくし、自動非点収差補正を実行後の画像の非点収差が常に小さくなるようにすることができる。
【0041】
(実施例3)
荷電粒子ビーム光学系の非点収差が大きく変わる可能性がある場合、例えば電子ビームの加速電圧,プローブ電流,対物レンズ作動距離などを変更した場合は、その後1回目のみの自動非点収差補正設定値は、実施例1のフィルタの場合フィルタ係数kをk=0として過去の値の寄与を無くし、最新の値の変化に対応できるようにする構成が考えられる。
【0042】
試料上での広範囲領域における自動モンタージュ撮影のように長時間にわたり連続撮影を行なうため、光学系の適正収差補正値が変動していく可能性がある場合には、任意の時点においてこの処理を実施すればよい。
【0043】
実施例2の場合のフィルタでは、その場合だけSx(n)=X(n)、Sy(n)=Y(n)とすればよい。つまり、最新の非点収差補正算出値X(n)と緩和フィルタ算出値Sx(n)を等しくすればよい。
【0044】
上述の実施例では、荷電粒子ビーム装置として走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた場合を例にとったが、本発明はこれに限るものではなく、集束イオンビーム装置(FIB)等にも同様に適用することができる。
【0045】
本発明によれば、走査型の荷電粒子ビーム装置の自動非点収差調節機構に緩和フィルタを加えることにより、確率的な画像信号のノイズや、まれに観察視野の試料模様の方向性によって非点収差補正算出値が真の値からずれても、設定値は緩和フィルタによって真の値に近い値が設定される。非点収差補正値のゆっくりとした変動には緩和フィルタのローパス特性によって追従がなされていく。これによって、自動非点収差補正設定値のばらつきが小さくなり、常に非点収差の小さな画像で観察することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 電子ビーム鏡筒
2 電子ビーム
3 対物レンズ
4 試料
5 試料ステージ
6 非点収差補正コイル
7 電子検出器
8 対物レンズ駆動アンプ
9 非点収差評価演算器
10 観察画像表示系
11 非点収差補正コイル駆動アンプ
12 緩和フィルタ
13 メモリ
14 試料室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを試料室内に配置された試料に照射し、これにより試料から発生した被検出電子を検出し、その検出に基づいて画像を取得する荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法において、
荷電粒子ビームの照射により前記試料から発生した被検出電子を検出する工程と、
該被検出電子の検出信号に基づく画像の信号特性を評価し、その評価値が最大になるような非点収差補正値を算出する工程と、
算出された該非点収差補正値を平滑化する工程と、
該平滑化された非点収差補正値に対応した駆動信号により、荷電粒子ビーム光学系の非点収差補正器を駆動する工程と、
を有することを特徴とする荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法。
【請求項2】
前記非点収差補正値を平滑化する工程において、最新の非点収差補正算出値と前回の平滑化後の非点収差補正算出値とのフィルタ演算結果を、新たな平滑化後の非点収差補正値として演算することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法。
【請求項3】
前記非点収差補正値を平滑化する工程において、再帰的フィルタを用いて演算が行われることを特徴とする請求項2記載の荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法。
【請求項4】
前記非点収差補正値を平滑化する工程において、移動平均フィルタを用いて演算が行われることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム装置の非点収差補正方法。
【請求項5】
荷電粒子ビームを試料室内に配置された試料に照射し、これにより試料から発生した被検出電子を検出し、その検出に基づいて画像を取得する荷電粒子ビーム装置において、
荷電粒子ビームの照射により前記試料から発生した被検出電子を検出する電子検出手段と、
該電子検出手段の出力信号に基づく画像の信号特性を評価し、その評価値が最大になるような非点収差補正値を算出する非点収差評価演算手段と、
該非点収差評価演算手段の出力を受けて、この出力を平滑化する緩和フィルタと、
該緩和フィルタの出力に基づいて、荷電粒子ビーム光学系の非点収差補正器を駆動する非点収差補正コイル駆動手段と、
を有することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記緩和フィルタは、前記非点収差評価演算手段からの最新の非点収差補正算出値と、前回の平滑化後の非点収差補正算出値とのフィルタ演算結果を、新たな平滑化後の非点収差補正値として出力することを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記緩和フィルタとして再帰的フィルタを用いたことを特徴とする請求項6記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記緩和フィルタとして移動平均フィルタを用いたことを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−15064(P2012−15064A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153122(P2010−153122)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】