説明

菓子加熱装置及び菓子加熱方法

【課題】菓子の品質を損なうことなく菓子の上の調味料を焼成することを可能にする菓子加熱装置及び菓子加熱方法を提供することを目的とする。
【解決手段】キャラメライズ用加熱機100は、ウエファー1に散布又は塗布された糖質調味料2を焼成するものである。さらに、キャラメライズ用加熱機100は、搬送部102a1を有し且つウエファー1を搬送部102a1に沿って搬送する搬送コンベヤ102と、搬送部102a1を加熱し且つ搬送部102a1との距離を変化させるように可動である第一加熱装置111及び第二加熱装置112と、第一加熱装置111及び第二加熱装置112より搬送コンベヤ102の搬送方向下流側に設けられ且つ搬送部102a1を加熱する第三加熱装置113及び第四加熱装置114とを備える。また、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、搬送部102a1との距離を変化させるように可動である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、菓子加熱装置及び菓子加熱方法に係り、特に、菓子に散布又は塗布された調味料を加熱するための菓子加熱装置及び菓子加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子の製造において、菓子の表面に味付けするための様々な手法が考案されている。
特許文献1には、菓子として煎餅を使用し、煎餅生地に液状調味料を塗布した後、煎餅生地を焼き上げる煎餅焼き装置が記載されている。この煎餅焼き装置では、予備乾燥した煎餅生地が、搬送コンベヤによって搬送され、搬送コンベヤの始端近くで噴射ノズルによって醤油等の液状調味料が生地の表面に塗布される。その後、煎餅生地は、搬送コンベヤによって搬送されつつ、乾燥用ヒータによる液状調味料の乾燥、ヒータによる焼き上げが順次行われる。すなわち、特許文献1の煎餅焼き装置では、焼成前の煎餅生地へ調味料を塗布した後に、調味料とともに煎餅生地を焼き上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−84881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献に1の煎餅焼き装置において、調味料として糖類を使用して煎餅に散布又は塗布された糖類を加熱しカラメル状態にして焼成する場合、煎餅と糖類とでは焼成に要する加熱温度及び加熱時間が異なるため、両方の焼成が完了するまで糖類及び煎餅を共に加熱すると、糖類を過度に加熱し、食するに適さない状態としてしまう。このため、特許文献1の煎餅焼き装置において調味料として糖類のように煎餅生地と焼成に要する加熱温度及び加熱時間が異なる調味料を使用すると、焼成後の煎餅に所望の味及び品質を得られないという問題がある。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、菓子の品質を損なうことなく菓子の上の調味料を焼成することを可能にする菓子加熱装置及び菓子加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明に係る菓子加熱装置は、菓子に散布又は塗布された調味料を焼成する菓子加熱装置であって、搬送経路を有し、菓子を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路を加熱し、搬送経路との距離を変化させるように可動である第一加熱手段と、第一加熱手段より搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、搬送経路を加熱する第二加熱手段であって、搬送経路との距離を変化させるように可動である第二加熱手段とを備える。
【0007】
第二加熱手段は、第一加熱手段より低い熱量を発生してもよい。
第一加熱手段は、熱を発生する第一発熱体を複数有し、第二加熱手段は、熱を発生する第二発熱体を複数有し、第二加熱手段に設けられる第二発熱体は、第一加熱手段に設けられる第一発熱体より少なく、第一加熱手段は、第一発熱体及び搬送経路の間の距離を変化させるように可動であり、第二加熱手段は、第二発熱体及び搬送経路の間の距離を変化させるように可動であってもよい。
第一加熱手段は、複数設けられ、複数の第一加熱手段は、搬送手段の搬送方向に沿って配置され、第二加熱手段は、複数設けられ、複数の第二加熱手段は、複数の第一加熱手段より搬送手段の搬送方向下流側で搬送手段の搬送方向に沿って配置されてもよい。
【0008】
また、この発明に係る菓子加熱方法は、搬送経路に沿って搬送される菓子に散布又は塗布された調味料を焼成する菓子加熱方法であって、調味料が散布又は塗布されて搬送経路に沿って搬送される菓子を、調味料とともに、搬送経路との距離を変化させるように可動な第一加熱手段によって加熱するステップと、第一加熱手段を移動させることにより、第一加熱手段及び搬送経路の間の距離を変更して、菓子及び調味料が第一加熱手段によって加熱される温度を第一所定温度に調節するステップと、第一加熱手段によって加熱された後の菓子及び調味料を、搬送経路との距離を変化させるように可動な第二加熱手段によって加熱するステップと、第二加熱手段を移動させることにより、第二加熱手段及び搬送経路の間の距離を変更して、菓子及び調味料が第二加熱手段によって加熱される温度を第二所定温度に調節するステップとを含み、第二所定温度は、第一所定温度より低い。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る菓子加熱装置及び菓子加熱方法によれば、菓子の品質を損なうことなく菓子の上の調味料を焼成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係るキャラメライズ用加熱機を含むウエファーの製造ラインの構成を示す模式図である。
【図2】図1の散布機の構成を示す模式断面側面図である。
【図3】図1のキャラメライズ用加熱機の構成を示す模式断面側面図である。
【図4】図1の製造ラインを流れるウエファーの状態を示す斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
実施の形態
図1〜4を用いて、この発明の実施の形態に係る菓子加熱装置であるキャラメライズ用加熱機100及びキャラメライズ用加熱機100を含む製造ライン10の構成を説明する。なお、本実施の形態では、菓子として、小麦粉、砂糖、牛乳、及びバター等を材料とする欧風煎餅を使用した場合について説明する。
【0012】
まず、図1を参照すると、キャラメライズ用加熱機100を含む製造ライン10の構成が示されている。
製造ライン10は、煎餅焼成工程A、煎餅移送工程B、糖散布工程C、加熱工程D、冷却工程E、トレー詰め工程F、包装工程G、検査工程H、及び箱詰め工程Iの順序で構成されている。
【0013】
煎餅焼成工程Aでは、小麦粉、砂糖、牛乳、及びバター等の材料を使用した生地が煎餅焼成機11に投入され、煎餅焼成機11によって、欧風煎餅であるウエファー1が焼成される。このとき、ウエファー1は、その全体が完全に焼成されて乾燥した状態の焼成状態又はウエファー1の生地が半乾きである状態の半焼成状態で生成される。そして、図4の状態(a)に示すように、ウエファー1は、薄い円盤状の形状を有して生成される。なお、煎餅焼成機11では、表面に円形の凹みを有する板状の下側焼成型に上記材料を混合して生成した液状材料を流し込み、下側焼成型の上に被される板状の上側焼成型と下側焼成型とによって流し込んだ液状材料を挟み込み、上下の焼成型を加熱することによって、ウエファー1が焼き上げられる。
ここで、ウエファー1は、菓子を構成している。
【0014】
煎餅移送工程Bでは、焼成されたウエファー1が、人の手作業によって、網状の搬送面を有する第一メッシュコンベヤ13に整列させて配置される。そして、第一メッシュコンベヤ13によって、ウエファー1が糖散布工程Cに搬送される。
糖散布工程Cでは、第一メッシュコンベヤ13によってウエファー1が散布機14に搬送され、さらに、ウエファー1は、散布機14内において、その上面に、糖類からなり且つ粉末状又は粒子状の固体からなる糖質調味料2が散布され、散布機14の外部に搬送される。糖質調味料2には、砂糖、粉末水飴、グルコース、粉末油脂等の原料が使用され、図4の状態(b)に示すように、ウエファー1の上面全体にわたり糖質調味料2が散布される。
【0015】
加熱工程Dでは、散布機14の外部に搬送されたウエファー1が、そのままキャラメライズ用加熱機100に搬送されて、キャラメライズ用加熱機100の内部で加熱され、そして、キャラメライズ用加熱機100の外部に搬送される。キャラメライズ用加熱機100での加熱により、ウエファー1上の糖質調味料2は、融解して液状になって拡がり、そしてカラメル状態になり、さらに、焼成されて、図4の状態(c)に示すように、ウエファー1の上面に、カラメル状態の糖を焦がした、すなわちキャラメライズされた層状の糖層3を形成する。
冷却工程Eでは、キャラメライズ用加熱機100の外部に搬送されたウエファー1が、そのまま網状の搬送面を有する第二メッシュコンベヤ16に搬送され、さらに、第二メッシュコンベヤ16がウエファー1を次のトレー詰め工程Fに搬送し、その搬送過程で、ウエファー1及びキャラメライズされた糖層3(図4参照)が自然冷却される。
【0016】
トレー詰め工程Fでは、人の手作業によって、第二メッシュコンベヤ16が搬送するウエファー1が、包装箱内でウエファー1を仕分けして配置するためのトレーに詰められる。ウエファー1が詰められたトレーは、第三コンベヤ17に載せられ、第三コンベヤ17によって包装工程Gに搬送される。
包装工程Gでは、ウエファー1を含むトレーは、第三コンベヤ17によってピロー包装機18に搬送され、ピロー包装機18は、ウエファー1とともにトレーをポリエチレンシート等で包装する。包装済みのトレーは、第三コンベヤ17によって、ピロー包装機18から検査工程Hに搬送される。
【0017】
検査工程Hでは、包装済みのトレーは、第三コンベヤ17によって金属検出機19に搬送され、金属検出機19は、包装済みのトレーへの金属の混入の有無を検査する。金属検出機19で異常が検出されなかった、すなわち金属の混入のなかった包装済みのトレーは、第三コンベヤ17によって箱詰め工程Iに搬送され、異常が検出された包装済みのトレーは、製造ライン10から除去される。
箱詰め工程Iでは、包装済みのトレーが、人の手作業によって箱詰めされ、ウエファー1が詰められた箱が商品として出荷される。
【0018】
次に、図2を参照すると、糖散布工程Cで使用される散布機14の構成が示されている。
ここで、散布機14において、紙面上で右方向側を始点側とし、左方向側を終点側とする。
散布機14は、支持台141と、支持台141の上部に設けられて支持台141によって支持された搬送コンベヤ142とを備えている。
搬送コンベヤ142は、複数のコンベヤローラ142bと、駆動プーリ142cと、コンベヤローラ142b及び駆動プーリ142cに取り付けられたコンベヤベルト142aとを有している。
【0019】
コンベヤベルト142aは、網目状でない無垢のベルトによって輪状に形成されており、糖質調味料2(図4参照)がコンベヤベルト142aを通過できないようになっている。そして、始端側のコンベヤローラ142b1と終端側のコンベヤローラ142b2との間に、コンベヤベルト142aによって水平な搬送部142a1が形成されている。
さらに、駆動プーリ142cは、チェーン142dによって電動モータ142eに連結されている。電動モータ142eは、支持台141に設けられた制御・操作盤141aに電気的に接続されている。
制御・操作盤141aは、図示しない外部電源に接続されて外部電源から電力の供給を受け、供給された電力を、電動モータ142e等の電力を使用して動作する機器に供給する。そして、電動モータ142eは、制御・操作盤141aに入力される操作指示に基づき、制御・操作盤141aの制御のもと電力の供給を受けて駆動する。電動モータ142eの駆動により、駆動プーリ142cが回転し、それにより、コンベヤベルト142aは、紙面上で反時計回りに周回するようにして進み、搬送部142a1では紙面上の白抜き矢印の方向、すなわち始点側から終点側の方向に進む。
【0020】
また、散布機14は、搬送コンベヤ142の上方に、散布部143を備えている。
散布部143は、図示しない上方の貯留槽から糖質調味料2(図4参照)が投入される散布槽143aと、散布槽143aの内部の回転可能な攪拌翼143bと、散布槽143a内部の攪拌翼143b上方の回転可能な案内翼143cとを有している。攪拌翼143bは、外側に向かって突出する複数の翼部を有しており、制御・操作盤141aに電気的に接続された図示しない電動モータの駆動によって回転する。案内翼143cは、回転することによってその傾斜角度を変化させ、上方より投入される糖質調味料2の流下方向を調節する。散布槽143aの底部143a1は、攪拌翼143bに向かって下方に傾斜して攪拌翼143bの下部に沿った形状を有し、攪拌翼143bの下方に、内部の糖質調味料2を放出するための複数の穴の開いた交換可能な篩143a2を有している。
【0021】
よって、散布機14では、制御・操作盤141aにおいて電動モータ142eの電源が入れられると、電動モータ142eが起動して駆動プーリ142cが回転し、それに伴いコンベヤベルト142aは、紙面上で反時計回りに周回するようにして進む。また、制御・操作盤141aにおいて、散布部143の攪拌翼143bに接続された図示しない電動モータの電源が入れられると、攪拌翼143bが回転する。
【0022】
このとき、第一メッシュコンベヤ13によって搬送されたウエファー1は、第一メッシュコンベヤ13からこれに隣接する搬送コンベヤ142の搬送部142a1の始端に送られ、コンベヤベルト142aによって紙面上の白抜き矢印の方向に搬送される。また、散布部143では、上方の図示しない貯留槽から散布槽143aに粉末状又は粒子状の糖質調味料2(図4参照)が供給されて所定量貯留されており、攪拌翼143bが回転することによって、糖質調味料2が攪拌され、それにより、散布槽143aの底部143a1の篩143a2の穴から糖質調味料2が下方のコンベヤベルト142a上に落下する、すなわち糖質調味料2が散布される。この散布される糖質調味料2が、コンベヤベルト142aによって搬送されているウエファー1の上面に散布される。なお、散布される糖質調味料2の量は、電気的に調整可能な攪拌翼143bの回転数及び篩143a2の穴のサイズを選ぶことによって調整される。
【0023】
そして、糖質調味料2(図4参照)が散布されたウエファー1は、コンベヤベルト142aによりさらに搬送され、搬送部142a1の終端において、隣接するキャラメライズ用加熱機100の搬送コンベヤ102(図3参照)に送られる。
【0024】
次に、図3を参照すると、加熱工程Dで使用されるキャラメライズ用加熱機100の構成が示されている。
ここで、キャラメライズ用加熱機100において、紙面上で右方向側を始点側とし、左方向側を終点側とする。
キャラメライズ用加熱機100は、支持台101と、支持台101の上部に設けられて支持台101によって支持された搬送コンベヤ102と、支持台101の上部に設けられて支持台101によって支持された加熱室103とを備えている。
ここで、搬送コンベヤ102は、搬送手段を構成している。
【0025】
加熱室103は、略直方体状の箱状の外形を形成する壁によって囲まれ且つ上部の開口部103b1で開放した加熱室本体部103bを有する。さらに、加熱室103は、加熱室本体部103bの開口部103b1を上方から閉鎖する蓋部103cを有している。そして、開口部103b1を閉鎖した蓋部103c及び加熱室本体部103bによって、その内部に加熱空間103aが形成される。
また、加熱室本体部103b及び蓋部103cは、加熱空間103aと加熱室103の外部との間における熱の移動を遮断するように断熱性を有する材料を使用して形成されている。例えば、加熱室本体部103b及び蓋部103cは、加熱空間103a側となる内表面が、断熱材で覆われている。
【0026】
また、加熱室本体部103bにおける始端側の側部壁103b2には、側部壁103b2を貫通する導入穴103d1が形成されている。さらに、加熱室本体部103bにおける終端側の側部壁103b3には、側部壁103b3を貫通する導出穴103d2が形成されている。
また、加熱空間103aにおいて、加熱室本体部103bの底部壁103b4には、複数のガイド部材103eが取り付けられている。ガイド部材103eには、ガイド部材103eを始端側から終端側に向かって貫通するガイド穴103e1が形成されている。
【0027】
また、搬送コンベヤ102は、複数のコンベヤローラ102bと、駆動プーリ102cと、コンベヤローラ102b及び駆動プーリ102cに取り付けられた輪状のコンベヤベルト102aとを有している。
コンベヤベルト102aは、始端側のコンベヤローラ102b1と終端側のコンベヤローラ102b2との間に、水平な搬送部102a1を形成している。搬送部102a1のコンベヤベルト102aは、加熱室103の外部から、加熱室103の側部壁103b2の導入穴103d1を通って加熱室103内部の加熱空間103aに入り、加熱空間103aを通って、側部壁103b3の導出穴103d2から加熱室103の外部に出るようにして設けられている。
ここで、搬送部102a1は、搬送経路を構成している。
【0028】
さらに、加熱空間103aでは、コンベヤベルト102aは、ガイド部材103eのガイド穴103e1の内部を通って設けられており、ガイド部材103eによって上下方向の位置が保持されている。
また、コンベヤベルト102aは、耐熱性を有する材料を使用して形成されている。例えば、コンベヤベルト102aには、金属製のネットコンベアーベルトなどが使用される。そして、コンベヤベルト102aは、少なくとも250℃の熱にさらされ続けても変質、変形することのない耐熱性を有するように形成されている。
【0029】
また、駆動プーリ102cは、駆動ベルト102dによって、支持台101に設けられた電動モータ102eに連結されている。さらに、電動モータ102eは、支持台101に設けられた制御・操作盤101aに電気的に接続されている。
制御・操作盤101aは、図示しない外部電源に接続されて外部電源から電力の供給を受け、供給された電力を、電動モータ102e等の電力を使用して動作する機器に供給する。そして、電動モータ102eは、制御・操作盤101aに入力される操作指示に基づき、制御・操作盤101aの制御のもと電力の供給を受けて駆動する。
電動モータ102eが駆動することにより、駆動プーリ102cが回転し、それによって、コンベヤベルト102aは、紙面上で反時計回りに周回するようにして進み、搬送部102a1では紙面上の白抜き矢印の方向に、すなわち始点側から終点側に向かって進む。そして、紙面上の白抜き矢印の方向である始点側から終点側に向かう方向が、搬送コンベヤ102の搬送部102a1における搬送方向となる。
【0030】
また、加熱室103の加熱空間103aには、コンベヤベルト102aの搬送部102a1に沿って、始点側から終点側に向かって、すなわち、搬送部102a1の上流から下流に向かって、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114がこの順序で直列に配置されて設けられている。そして、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、加熱室103の蓋部103cに取り付けられて吊り下げられている。
ここで、第一加熱装置111及び第二加熱装置112は、第一加熱手段を構成し、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、第二加熱手段を構成している。
【0031】
第一加熱装置111は、加熱室103の加熱空間103aから蓋部103cを貫通して蓋部103cの上部に突出する第一吊下軸部111bと、加熱空間103aにおいて第一吊下軸部111bの先端に取り付けられた第一ヒータ部111aと、加熱室103の外側で蓋部103cに取り付けられ且つ第一吊下軸部111bが貫通する第一ハンドル部111cとを有している。
【0032】
第一ヒータ部111aは、下方に開放する笠状の断面形状をもつ反射板111aaを3つ有し、反射板111aaのそれぞれの下部内側に管状のヒータ111d及び111eを有している。すなわち、1つの反射板111aaに2つのヒータ111d及び111eが設けられ、第一ヒータ部111aには、3組のヒータ111d及び111eからなる6つのヒータが設けられている。
ここで、ヒータ111d及び111eは、第一発熱体を構成している。
【0033】
さらに、反射板111aa、並びに、ヒータ111d及び111eは、紙面上奥行き方向に延びている。3つの反射板111aaは、互いに隣接して並列に配置され、始端側から終端側に向かう方向に順に並べられている。各反射板111aaでは、ヒータ111d及び111eは、並列に配置され、始端側から終端側に向かう方向に順に並べられている。なお、ヒータ111d及び111eには、電力が供給されることにより発熱するものが使用されており、例えば、赤外線ヒータ、カーボンヒータ、ハロゲンヒータ、セラミックヒータ等の、電力が供給されると熱線を照射するヒータが使用される。さらに、本実施の形態では、ヒータ111d及び111eは、発生可能な熱量、すなわち発熱許容量が同等のものが使用されている。
【0034】
よって、第一ヒータ部111aは、ヒータ111d及び111eからの熱線が直接下方に照射される、又は、ヒータ111d及び111eからの熱線が反射板111aaに反射したのち下方に照射されることによって、下方を加熱する。そして、3つの反射板111aaが互いに隣接して並列に配置され、反射板111aaのそれぞれには同等の発熱許容量のヒータ111d及び111eが設けられているため、第一ヒータ部111aは、下方を均等に加熱する。
【0035】
また、第一ヒータ部111aは、制御・操作盤101aに電気的に接続されている。このため、制御・操作盤101aを操作することによって、入力された操作に基づきヒータ111d及び111eのそれぞれが制御・操作盤101aにより制御され、ヒータ111d及び111eでは、電力の供給量が制御されて発熱温度調整を行うことが可能になっている。
【0036】
また、第一吊下軸部111bの周囲には雄ねじが形成されている。一方、第一ハンドル部111cは、第一吊下軸部111bの雄ねじが螺合可能な雌ねじが形成された図示しない雌ねじ穴を有し、雌ねじ穴は、第一ハンドル部111cを貫通している。そして、第一吊下軸部111bは、雄ねじを第一ハンドル部111cの雌ねじ穴に螺合させて第一ハンドル部111cに取り付けられており、第一ハンドル部111cは、第一吊下軸部111bに対して手動で回転させることができる。これにより、第一ハンドル部111cを一方の方向に回転させると、紙面上の実線両方向矢印の上向き方向のように、第一吊下軸部111bが第一ヒータ部111aとともに上昇して、第一ヒータ部111aのヒータ111d及び111eとコンベヤベルト102aの搬送部102a1との距離が増大する。一方、第一ハンドル部111cを反対の方向に回転させると、紙面上の実線両方向矢印の下向き方向のように、第一吊下軸部111bが第一ヒータ部111aとともに下降し、第一ヒータ部111aのヒータ111d及び111eとコンベヤベルト102aの搬送部102a1との距離が減少する。
【0037】
また、第二加熱装置112は、第一加熱装置111と同様の構成を有しており、第二吊下軸部112bと、第二ヒータ部112aと、第二ハンドル部112cとを有している。さらに、第二ヒータ部112aは、3組のヒータ112d及び112eを有し、ヒータ112d及び112eはそれぞれ、ヒータ111d及び111eと同等の発熱許容量を有している。このため、第二ヒータ部112aは、第一ヒータ部111aと同等の発熱量を有しており、また、第一ヒータ部111aと同等の形状を有しているので、第二ヒータ部112aの下部における単位面積当たりの発熱量が第一ヒータ部111aと同等となっている。すなわち、第二ヒータ部112aの加熱能力は、第一ヒータ部111aの加熱能力と同等である。
ここで、ヒータ112d及び112eは、第一発熱体を構成している。
【0038】
また、第二ヒータ部112aでは、制御・操作盤101aにおける操作及び制御によって、ヒータ112d及び112eのそれぞれへの電力の供給が制御される。また、第二ハンドル部112cを回転させることによって、第二吊下軸部112b及び第二ヒータ部112aが、紙面上の実線両方向矢印のように上昇又は下降して、第二ヒータ部112aのヒータ112d及び112eとコンベヤベルト102aの搬送部102a1との距離が増大又は減少する。
【0039】
また、第三加熱装置113は、第一加熱装置111と同様にして、第三吊下軸部113bと、第三ヒータ部113aと、第三ハンドル部113cとを有している。さらに、第三ヒータ部113aは、互いに隣接して並列に設けられた反射板113aaを3つ有し、反射板113aaの下部内側のそれぞれに、1つのヒータ113dを有している。すなわち、第三ヒータ部113aには、3つのヒータ113dが設けられている。さらに、ヒータ113dは、ヒータ111d及び111eと同等の発熱許容量を有している。
ここで、ヒータ113dは、第二発熱体を構成している。
そして、3つの反射板113aaが互いに隣接して並列に配置され、反射板113aaのそれぞれには同じヒータ113dが1つ設けられているため、第三ヒータ部113aは、下方を均等に加熱する。
【0040】
さらに、第三ヒータ部113aは、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112aのそれぞれと同等の形状を有しており、第三ヒータ部113aがその下部において熱線を発生する発熱面積は、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112aのそれぞれの下部の発熱面積と同等である。
このため、第三ヒータ部113aの下部における単位面積当たりの発熱量は、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112aのそれぞれの下部における発熱量の約2分の1である、すなわち、第三ヒータ部113aの加熱能力は、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112aのそれぞれの加熱能力の約2分の1である。
【0041】
また、第三ヒータ部113aでは、制御・操作盤101aにおける操作及び制御によって、ヒータ113dのそれぞれへの電力の供給が制御される。さらに、第三ハンドル部113cを回転させることによって、第三吊下軸部113b及び第三ヒータ部113aが、紙面上の実線両方向矢印のように上昇又は下降して、第三ヒータ部113aのヒータ113dとコンベヤベルト102aの搬送部102a1との距離が増大又は減少する。
【0042】
また、第四加熱装置114は、第三加熱装置113と同様の構成を有しており、第四吊下軸部114bと、第四ヒータ部114aと、第四ハンドル部114cとを有している。さらに、第四ヒータ部114aは、3つのヒータ114dを有し、ヒータ114dは、ヒータ113dと同等の発熱許容量を有している。このため、第四ヒータ部114aは、第三ヒータ部113aと同等の発熱量を有しており、また、第三ヒータ部113aと同等の形状を有しているので、第四ヒータ部114aの下部における単位面積当たりの発熱量が第三ヒータ部113aと同等となっている。すなわち、第四ヒータ部114aの加熱能力は、第三ヒータ部113aの加熱能力と同等である。
ここで、ヒータ114dは、第二発熱体を構成している。
【0043】
また、第四ヒータ部114aでは、制御・操作盤101aにおける操作及び制御によって、ヒータ114dのそれぞれへの電力の供給が制御される。また、第四ハンドル部114cを回転させることによって、第四吊下軸部114b及び第四ヒータ部114aが、紙面上の実線両方向矢印のように上昇又は下降して、第四ヒータ部114aのヒータ114dとコンベヤベルト102aの搬送部102a1との距離が増大又は減少する。
よって、第一加熱装置111及び第二加熱装置112のそれぞれは、第三加熱装置113及び第四加熱装置114のそれぞれの約2倍の加熱能力を有している。
【0044】
また、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112a、第二ヒータ部112a及び第三ヒータ部113a、第三ヒータ部113a及び第四ヒータ部114aを互いに近接させるようにして配置されている。本実施の形態では、コンベヤベルト102aの搬送部102a1において、第一ヒータ部111aが照射する領域と第二ヒータ部112aが照射する領域との間に間隙を有さず、第二ヒータ部112aが照射する領域と第三ヒータ部113aが照射する領域との間に間隙を有さず、第三ヒータ部113aが照射する領域と第四ヒータ部114aが照射する領域との間に間隙を有さないようにして、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114が、配置されている。
【0045】
また、加熱室103の加熱室本体部103bにおいて、紙面上で奥行き方向側の側部壁103b5には、加熱空間103a側に、第一温度センサ121及び第二温度センサ122が設けられている。第一温度センサ121は、第一加熱装置111及び第二加熱装置112の間における搬送部102a1の上方近傍に配置され、第一加熱装置111及び第二加熱装置112によって加熱される領域の搬送部102a1近傍の温度を検出することができる。第二温度センサ122は、第三加熱装置113及び第四加熱装置114の間における搬送部102a1の上方近傍に配置され、第三加熱装置113及び第四加熱装置114によって加熱される領域の搬送部102a1近傍の温度を検出することができる。
【0046】
さらに、第一温度センサ121及び第二温度センサ122は、制御・操作盤101aに電気的に接続されており、検出した温度情報を制御・操作盤101aに送る。そして、第一温度センサ121及び第二温度センサ122によって検出された温度は、制御・操作盤101a及び加熱室103の側部壁103b5の外側に設けられた図示しない表示モニタに表示される。
【0047】
また、加熱室103の加熱室本体部103bにおける側部壁103b5には、第一のぞき窓103f及び第二のぞき窓103gが設けられている。第一のぞき窓103fは、第二加熱装置112の下方に配置されており、加熱室103の外部から第一のぞき窓103fを介して、第二加熱装置112の下方の搬送部102a1を確認できるようになっている。第二のぞき窓103gは、第四加熱装置114の下方に配置されており、加熱室103の外部から第二のぞき窓103gを介して、第四加熱装置114の下方の搬送部102a1を確認できるようになっている。
【0048】
また、支持台101では、駆動プーリ102cから始端側のコンベヤローラ102b1に向かうコンベヤベルト102aの経路の途中に、洗浄液を内部に含む洗浄槽101bが設けられている。洗浄槽101bでは、内部の洗浄液をコンベヤベルト102aが通過するようになっている。さらに、洗浄槽101bには、循環ポンプ101cを経路の途中に含む洗浄液の循環経路101dが接続されている。そして、循環ポンプ101cが、循環経路101dと洗浄槽101bとの間で洗浄液を循環させることによって、洗浄槽101bの内部の洗浄液に循環対流が発生し、この循環対流によりコンベヤベルト102aはその付着物等が除去されて洗浄される。
【0049】
次に、図3及び4を用いて、キャラメライズ用加熱機100の動作を説明する。
図3を参照すると、キャラメライズ用加熱機100では、制御・操作盤101aにおいて、操作者によって電動モータ102eの電源が入れられると、電動モータ102eが起動して駆動プーリ102cが回転し、それに伴いコンベヤベルト102aは、紙面上で反時計回りに周回するようにして進み、搬送部102a1では紙面上の白抜き矢印の方向である始点側から終点側に向かって進む。これに並行して、制御・操作盤101aにおいて、操作者によってコンベヤベルト102aの進行速度が設定され、コンベヤベルト102aが設定された速度で進む。
また、制御・操作盤101aにおいて、操作者によって第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114の電源が入れられると、第一ヒータ部111a、第二ヒータ部112a、第三ヒータ部113a及び第四ヒータ部114aに電力が供給されて、各ヒータ111d、111e、112d、112e、113d及び114dが発熱し、下方に熱線が照射される。これに並行して、制御・操作盤101aでは、操作者によって、第一ヒータ部111a、第二ヒータ部112a、第三ヒータ部113a及び第四ヒータ部114aの発熱温度が設定される。
【0050】
さらに、キャラメライズ用加熱機100の操作者によって、第一温度センサ121の検出温度が第一所定温度t1℃となるように、第一加熱装置111の第一ヒータ部111a及び第二加熱装置112の第二ヒータ部112aの発熱温度及び上下方向の位置が、調節される。すなわち、操作者は、第一温度センサ121の検出温度が第一所定温度t1℃近傍になるように、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112aの発熱温度を調整する。さらに、操作者は、第一温度センサ121の検出温度が第一所定温度t1℃となるように、第一加熱装置111の第一ハンドル部111c及び第二加熱装置112の第二ハンドル部112cを操作し、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112aの上下方向の位置を調節する。よって、上述の温度調整では、第一ヒータ部111a及び第二ヒータ部112aの発熱温度の調整を、広い範囲にわたる温度調整に利用し、上下方向の位置の調整を、温度の微調整に利用している。
【0051】
同様にして、キャラメライズ用加熱機100の操作者によって、第二温度センサ122の検出温度が第二所定温度t2℃となるように、第三加熱装置113の第三ヒータ部113a及び第四加熱装置114の第四ヒータ部114aの発熱温度及び上下方向の位置が調節される。
なお、第二所定温度t2℃は、第一所定温度t1℃より低く設定され、第一所定温度t1℃及び第二所定温度t2℃は、ウエファー1の材質、コンベヤベルト102aの進行速度等に基づき設定される。例えば、本実施の形態では、第一所定温度t1℃は220℃であり、第二所定温度t2℃は160℃であるものとする。
【0052】
このとき、散布機14によって搬送された、上面に糖質調味料2(図4参照)が散布されているウエファー1は、散布機14からこれに隣接する搬送コンベヤ102の搬送部102a1の始端に送られ、コンベヤベルト102aによって、搬送方向である紙面上の白抜き矢印の方向に搬送されて加熱室103内部の加熱空間103aを通過する。
加熱空間103aでは、ウエファー1は、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114の下方を順次通過し、これらの下方を通過する過程で、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114によって、順次、連続して加熱される。
【0053】
第一加熱装置111及び第二加熱装置112の下方を通過する過程で、ウエファー1上の糖質調味料2(図4参照)は、より高い温度である第一所定温度t1℃で加熱され、融解して液状又はゲル状となってウエファー1の上面全体に拡がった後カラメル状態になり、さらに、その表面が焼成されキャラメライズされることで、糖層3を形成する。このとき、糖層3では、その表面部分に、糖類が焦がされることによって生成されるキャラメライズされた層が形成されている。よって、第一加熱装置111及び第二加熱装置112の下方において、ウエファー1の表面では、糖質調味料2が融解し、表面がキャラメライズされた糖層3の形成が行われる。
【0054】
そして、ウエファー1は、第一加熱装置111及び第二加熱装置112の下方から第三加熱装置113の下方に搬送されると、第一所定温度t1℃より低い温度である第二所定温度t2℃で加熱される。このため、第三加熱装置113及び第四加熱装置114の下方を通過する過程では、ウエファー1は、糖層3の表面における焦げの進行が抑えられつつ内部が焼成されて、糖層3の内部もキャラメライズされ、それにより、糖層3全体がキャラメライズされる。よって、第三加熱装置113及び第四加熱装置114の下方において、ウエファー1では、糖層3内部の仕上げの焼成が行われる。
【0055】
また、第一所定温度t1℃及び第二所定温度t2℃でウエファー1及び糖層3を加熱した場合であっても、気温、湿度等の周囲環境、コンベヤベルト102aの進行速度などによって、ウエファー1上の糖層3がキャラメライズされる速度が変化する。このため、ウエファー1が加熱空間103aを通過する過程で、キャラメライズ用加熱機100の外側の操作者によって、第一のぞき窓103fから第二加熱装置112の下方を通過するウエファー1及びその上の糖層3の状態が確認され、第二のぞき窓103gから第四加熱装置114の下方を通過するウエファー1及びその上の糖層3の状態が確認される。
【0056】
このとき、例えば、第一のぞき窓103fから確認されるウエファー1上の糖層3の表面が、キャラメライズされずに液状又はゲル状の状態である場合、操作者によって、第一加熱装置111の第一ヒータ部111a又は第二加熱装置112の第二ヒータ部112aは下方に下げられて、搬送部102a1との距離を減少させ、ウエファー1の加熱温度が上げられる。また、ウエファー1の加熱温度を大きく上げる必要があるときは、第一ヒータ部111a又は第二ヒータ部112aの発熱温度も並行して上げられる。
一方、糖層3の表面に過度の焦げが形成されている場合、操作者によって、第一ヒータ部111a又は第二ヒータ部112aは上方に上げられて、搬送部102a1との距離を増大させ、ウエファー1の加熱温度が下げられる。また、ウエファー1の加熱温度を大きく下げる必要があるときは、第一ヒータ部111a又は第二ヒータ部112aの発熱温度も並行して下げられる。
【0057】
また、第二のぞき窓103gから確認されるウエファー1上の糖層3の表面に過度の焦げが形成されている場合、操作者によって、第三加熱装置113の第三ヒータ部113a又は第四加熱装置114の第四ヒータ部114aは上方に上げられて、搬送部102a1との距離を増大させ、ウエファー1の加熱温度が下げられる。また、ウエファー1の加熱温度を大きく下げる必要があるときは、第三ヒータ部113a又は第四ヒータ部114aの発熱温度も並行して下げられる。
一方、糖層3の表面の焦げが十分でない、すなわちキャラメライズの状態が所定のものでない場合、第三ヒータ部113a又は第四ヒータ部114aは下方に下げられて、搬送部102a1との距離を減少させ、ウエファー1の加熱温度が上げられる。また、ウエファー1の加熱温度を大きく上げる必要があるときは、第三ヒータ部113a又は第四ヒータ部114aの発熱温度も並行して上げられる。
【0058】
よって、加熱室103の加熱空間103aにおいて、ウエファー1は、糖質調味料2(図4参照)の融解及びキャラメライズされた糖層3の形成を行う為に設けられた段階的加熱工程によって、表面及び内部が均一にキャラメライズされた糖層3が形成される。
【0059】
また、第四加熱装置114の下方を通過したウエファー1は、コンベヤベルト102aにより加熱室103の外部に搬送され、搬送部102a1の終端において、隣接する第二メッシュコンベヤ16に送られる。
また、糖質調味料2(図4参照)は、加熱室103での加熱により融解し、キャラメライズされる過程でウエファー1上からコンベヤベルト102a上にこぼれ落ちて付着することがあり、コンベヤベルト102a上には、ウエファー1の周縁のバリ等の破片が落ちて付着することもある。コンベヤベルト102aに付着したウエファー1の破片及び糖質調味料2は、コンベヤベルト102aが洗浄槽101bを通過する際に、洗浄槽101b内を流れる洗浄液によって洗い落とされる。
【0060】
このように、この発明に係るキャラメライズ用加熱機100は、ウエファー1に散布又は塗布された糖質調味料2を焼成するものである。さらに、キャラメライズ用加熱機100は、搬送部102a1を有し、ウエファー1を搬送部102a1に沿って搬送する搬送コンベヤ102と、搬送部102a1を加熱し、搬送部102a1との距離を変化させるように可動である第一加熱装置111及び第二加熱装置112と、第一加熱装置111及び第二加熱装置112より搬送コンベヤ102の搬送方向下流側に設けられ、搬送部102a1を加熱する第三加熱装置113及び第四加熱装置114であり、且つ搬送部102a1との距離を変化させるように可動である第三加熱装置113及び第四加熱装置114とを備える。
【0061】
これによって、第一加熱装置111及び第二加熱装置112、並びに、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、搬送部102a1との距離を調節することにより、搬送部102a1において搬送されるウエファー1を加熱する温度を調節することができる。さらに、搬送部102a1に沿って設けられた第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114を使用して加熱するため、ウエファー1上の糖質調味料2を長時間加熱することができ、それにより加熱温度を低く抑えることができる。このため、糖質調味料2を過度に加熱してその品質を損なうことなく、また、糖質調味料2の下のウエファー1を過度に加熱してその品質を損なうことなく、糖質調味料2を加熱し均一なキャラメライズされた糖層3を形成することができる。従って、キャラメライズ用加熱機100によって、ウエファー1の上の糖質調味料2を糖質調味料2及びウエファー1の品質を損なうことなく焼成することが可能になる。
【0062】
また、キャラメライズ用加熱機100においては、特に、搬送コンベヤ102の搬送方向で上流側に位置する第一加熱装置111及び第二加熱装置112による加熱温度を高くし、下流側に位置する第三加熱装置113及び第四加熱装置114による加熱温度を低くすることによって、ウエファー1上の糖質調味料2をその表面及び内部にわたり均一に焼成することができる。
【0063】
また、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、第一加熱装置111及び第二加熱装置112より低い熱量を発生する。これによって、第三加熱装置113及び第四加熱装置114による加熱温度をより低く調整することができるため、ウエファー1上の糖質調味料2の表面の焼成の進行を抑えつつ、糖質調味料2の内部を十分に焼成することが可能になる。
【0064】
また、第一加熱装置111は、熱を発生するヒータ111d及び111eを複数有し、第二加熱装置112は、熱を発生するヒータ112d及び112eを複数有し、第三加熱装置113は、熱を発生するヒータ113dを複数有し、第四加熱装置114は、熱を発生するヒータ114dを複数有している。さらに、第三加熱装置113に設けられるヒータ113d及び第四加熱装置114に設けられるヒータ114dは、第一加熱装置111に設けられるヒータ111d,111e、及び、第二加熱装置112に設けられるヒータ112d,112eより少ない。そして、第一加熱装置111は、ヒータ111d及び111eと搬送部102a1との間の距離を変化させるように可動であり、第二加熱装置112は、ヒータ112d及び112eと搬送部102a1との間の距離を変化させるように可動であり、第三加熱装置113は、ヒータ113dと搬送部102a1との間の距離を変化させるように可動であり、第四加熱装置114は、ヒータ114dと搬送部102a1との間の距離を変化させるように可動である。
【0065】
これによって、ヒータ111d、111e、112d、112e、113d及び114dを複数設けた第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114を使用することにより、1つのヒータを設けたもので加熱するより、搬送部102a1を広範囲わたり均一に加熱することが可能になる。さらに、ヒータ111d、111e、112d、112e、113d及び114dに、同等の発熱許容量を有するヒータを使用すると、使用するヒータの種類を減少させることができるため、ヒータの製造コストを低減することが可能になる。
【0066】
また、第一加熱装置111及び第二加熱装置112は、搬送コンベヤ102の搬送方向に沿って順に配置され、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、第一加熱装置111及び第二加熱装置112より搬送コンベヤ102の搬送方向下流側で搬送コンベヤ102の搬送方向に沿って順に配置される。加熱装置を複数設けることによって、搬送部102a1の加熱を広範囲且つ段階的にすることができ、それにより、搬送部102a1で搬送されるウエファー1上の糖質調味料2のキャラメライズを均一且つ短時間で行うことが可能となる。
【0067】
また、この発明に係る菓子加熱方法によれば、糖質調味料2が散布又は塗布されて搬送部102a1に沿って搬送されるウエファー1を、糖質調味料2とともに、搬送部102a1との距離を変化させるように可動な第一加熱装置111及び第二加熱装置112によって加熱するステップと、第一加熱装置111及び第二加熱装置112を移動させることにより、第一加熱装置111及び搬送部102a1の間の距離、並びに、第二加熱装置112及び搬送部102a1の間の距離を変更して、ウエファー1及び糖質調味料2が第一加熱装置111及び第二加熱装置112によって加熱される温度を第一所定温度のt1℃に調節するステップと、第一加熱装置111及び第二加熱装置112によって加熱された後のウエファー1及び糖質調味料2を、搬送部102a1との距離を変化させるように可動な第三加熱装置113及び第四加熱装置114によって加熱するステップと、第三加熱装置113及び第四加熱装置114を移動させることにより、第三加熱装置113及び搬送部102a1の間の距離、並びに、第四加熱装置114及び搬送部102a1の間の距離を変更して、ウエファー1及び糖質調味料2が第三加熱装置113及び第四加熱装置114によって加熱される温度を第二所定温度のt2℃に調節するステップとを行い、第二所定温度のt2℃を、第一所定温度のt1℃より低くすることによって、搬送部102a1に沿って搬送されるウエファー1に散布された糖質調味料2を焼成することができる。
【0068】
これによって、ウエファー1に散布された糖質調味料2は第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114で加熱される。搬送部102a1における加熱では、第一加熱装置111及び第二加熱装置112での第一の加熱段階は、第三加熱装置113及び第四加熱装置114での第二の加熱段階より高い温度に設定されるが、このように加熱温度を段階的にコントロールすることにより、散布又は塗布された糖質調味料2を、均一且つ均質に焼成することが可能になる。
【0069】
また、実施の形態において、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114のヒータ111d、111e、112d、112e、113d及び114dは、同等の発熱許容量を有しているが、これに限定されるものでない。始端側から終端側に向かって、ヒータの発熱許容量を順次減少させるようにしてもよい。また、各加熱装置に設けられたヒータの発熱許容量を一定とし、第一加熱装置111のヒータ、第二加熱装置112のヒータ、第三加熱装置113のヒータ、第四加熱装置114のヒータの順序で、ヒータの発熱量を低くするようにしてもよい。
また、実施の形態において、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114が有するヒータの数量を変えることによって、加熱能力を変えていたが、これに限定されるものでない。各加熱装置において、ヒータの数量を同等とし、ヒータの発熱許容量を変えることによって加熱能力を設定してもよい。
【0070】
また、第一加熱装置111、第二加熱装置112、第三加熱装置113及び第四加熱装置114は、コンベヤベルト102aの搬送部102a1を照射するそれぞれの領域の間に間隙を有さないように配置されているが、これに限定されるものでない。キャラメライズされた糖質調味料2に求められる品質によっては、各加熱装置が照射する領域の間に間隙を有していてもよく、各領域の間の間隙を移動する間に、加熱された糖質調味料2が冷却されなければよい。
【0071】
また、実施の形態において、第一加熱装置111の第一ヒータ部111a、第二加熱装置112の第二ヒータ部112a、第三加熱装置113の第三ヒータ部113a、及び、第四加熱装置114の第四ヒータ部114aの上下移動は、手動でハンドルを回転させて行っていたが、これに限定されるものではなく、電力を動力としたアクチュエータにより上下移動させてもよい。
また、実施の形態において、粉末状又は粒子状の固体からなる糖質調味料2をウエファー1上に散布していたが、これに限定されるものではない。ウエファー1上に、シロップのような液状又はゲル状の糖類からなる調味料等を塗布した場合あっても、本願のキャラメライズ用加熱機100によって、表面及び内部全体にわたりキャラメライズされた層を形成することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ウエファー(菓子)、2 糖質調味料(調味料)、102 搬送コンベヤ(搬送手段)、102a1 搬送部(搬送経路)、111 第一加熱装置(第一加熱手段)、111d,111e,112d,112e ヒータ(第一発熱体)、112 第二加熱装置(第一加熱手段)、113 第三加熱装置(第二加熱手段)、113d,114d ヒータ(第二発熱体)、114 第四加熱装置(第二加熱手段)、100 キャラメライズ用加熱機(菓子加熱装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子に散布又は塗布された調味料を焼成する菓子加熱装置であって、
搬送経路を有し、菓子を前記搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路を加熱し、前記搬送経路との距離を変化させるように可動である第一加熱手段と、
前記第一加熱手段より前記搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記搬送経路を加熱する第二加熱手段であって、前記搬送経路との距離を変化させるように可動である第二加熱手段とを備える、菓子加熱装置。
【請求項2】
前記第二加熱手段は、前記第一加熱手段より低い熱量を発生する請求項1に記載の菓子加熱装置。
【請求項3】
前記第一加熱手段は、熱を発生する第一発熱体を複数有し、
前記第二加熱手段は、熱を発生する第二発熱体を複数有し、
前記第二加熱手段に設けられる前記第二発熱体は、前記第一加熱手段に設けられる前記第一発熱体より少なく、
前記第一加熱手段は、前記第一発熱体及び前記搬送経路の間の距離を変化させるように可動であり、
前記第二加熱手段は、前記第二発熱体及び前記搬送経路の間の距離を変化させるように可動である請求項1または2に記載の菓子加熱装置。
【請求項4】
前記第一加熱手段は、複数設けられ、
前記複数の第一加熱手段は、前記搬送手段の搬送方向に沿って配置され、
前記第二加熱手段は、複数設けられ、
前記複数の第二加熱手段は、前記複数の第一加熱手段より前記搬送手段の搬送方向下流側で前記搬送手段の搬送方向に沿って配置される請求項1〜3のいずれか一項に記載の菓子加熱装置。
【請求項5】
搬送経路に沿って搬送される菓子に散布又は塗布された調味料を焼成する菓子加熱方法であって、
調味料が散布又は塗布されて搬送経路に沿って搬送される菓子を、前記調味料とともに、前記搬送経路との距離を変化させるように可動な第一加熱手段によって加熱するステップと、
前記第一加熱手段を移動させることにより、前記第一加熱手段及び前記搬送経路の間の距離を変更して、前記菓子及び前記調味料が前記第一加熱手段によって加熱される温度を第一所定温度に調節するステップと、
前記第一加熱手段によって加熱された後の前記菓子及び前記調味料を、前記搬送経路との距離を変化させるように可動な第二加熱手段によって加熱するステップと、
前記第二加熱手段を移動させることにより、前記第二加熱手段及び前記搬送経路の間の距離を変更して、前記菓子及び前記調味料が前記第二加熱手段によって加熱される温度を第二所定温度に調節するステップと
を含み、
前記第二所定温度は、前記第一所定温度より低い、菓子加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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