説明

菓子用キャップ

【課題】より簡易に菓子の散乱防止が可能で且つ、菓子の取り扱いも容易な菓子用キャップを提供する。
【解決手段】
菓子用キャップは、複数の粒状の菓子が積み重ねられてそれらの外側が包装紙によって一体的に包まれた棒状の菓子包装体に適用される。この菓子用キャップは、菓子包装体の一端部にて開封された包装紙の開口を覆う蓋部11と、上記一端部における包装紙からなる外周面を囲繞するかたちで、当該一端部の外周面に取り外し可能に直接装着される周部12とを有した有蓋筒状をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、菓子用キャップ、特に、粒状の菓子が複数積み重ねられてその外側を包装された棒状の菓子の取り出し口を覆うキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばキャンディやチューインガム等の粒状の菓子は、その複数が棒状に積み重ねられた上でそれらの外側が外装用包装紙により一体的に覆われたかたちにて市販されている。こうした菓子は通常、棒状の外装用包装紙の端部にて開封され、このように開封された状態で鞄や衣服のポケットに収納されて携帯される。ところが、外装用包装紙が開封された状態で携帯されると、携帯時に菓子が鞄等の中で移動することや菓子に振動が加えられることにより、上記外装用包装紙の開封部、すなわち、外装用包装紙の取り出し口から個々の粒状の菓子が飛び出し、これが収納された鞄やポケットの中に散乱することとなる。このように個々の菓子が散乱した状態となった場合、当該菓子の所有者は、散乱した菓子を再び外装用包装紙内に詰め戻すといった煩わしい作業を行うことが大半である。
【0003】
そこで、こうした菓子の散乱を防止するものとして、例えば特許文献1に記載のように、有底の矩形筒状をなして菓子を収納する筐体と、この筐体の開口部を覆うように当該筐体に嵌め込まれる蓋とからなるケースが提案されている。このケースが使用される場合には、複数の粒状の菓子が開口部から筐体内に詰め込まれた後、当該筐体の開口部に蓋が嵌められ、こうした状態で複数の菓子が携帯されることになる。このようにして上記ケースが使用されれば、蓋が外れない限りは上述のような散乱を防止することが可能になる。また、上記筐体を構成する各側面のうちで、積み重ねられた複数の粒状の菓子を一体的に覆う一つの側面には、その面積の半分以上を占める貫通孔が設けられており、ケース内における通気性の向上も図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−101469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のケースには、
(a)棒状に積み重ねられた菓子から上記外装用包装紙を完全に取り除いた後にその外装用包装紙に包まれていた複数の菓子を順にケースに収納するような利用の態様では、複数の菓子を個別に収納するといった手間がかかる。
【0006】
(b)上記外装用包装紙ごと菓子をケースに収納するような利用の態様では、ケースから外装用包装紙ごと菓子を取り出した後、さらに外装用包装紙の一部を剥がしてから菓子を取り出さなければならない。
【0007】
(c)特に(a)のように菓子を収納した場合、筐体に設けられた貫通孔により、その取出しが容易となる。しかしながら、一旦開封された菓子を密封することはできないため、風味等が損なわれる可能性がある。
等々、未だ改良の余地が残されている。
【0008】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡易に菓子の散乱防止が可能で且つ、菓子の取り扱いも容易な菓子用キャップを提供すること
にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、複数の粒状の菓子が積み重ねられてそれらの外側が包装紙によって一体的に包まれた棒状の菓子包装体に適用され、前記菓子包装体の一端部にて開封された前記包装紙の開口を覆う蓋部と、前記一端部における前記包装紙からなる外周面を囲繞するかたちで、当該一端部の外周面に取り外し可能に直接装着される周部とからなる有蓋筒状の菓子用キャップとする。
【0010】
上記構成によれば、有蓋筒状をなす菓子用キャップが、その蓋部が菓子包装体を包んでいる包装紙の開口を覆うとともに、周部が菓子包装体の開封された一端にて、包装紙からなる外周面を囲繞するかたちで、菓子包装体に取り外し可能に且つ直接装着される。このため、菓子包装体を包んでいる包装紙が開封された状態であっても、菓子包装体の携帯時等にこれに含まれる個々の菓子が包装紙内から飛び出して散乱することを回避することができる。
【0011】
しかも、当該菓子用キャップの周部が包装紙によって覆われた菓子包装体の外周面に対して直接装着されるように設計されているため、菓子包装体の流通過程にて必要とされる包装紙そのものを、こうした菓子包装体の散乱防止用のケースとして利用することが可能になる。それゆえ、包装紙を完全に取り除いてからその包装紙に包まれていた複数の菓子を別途ケースに収納する作業を必要とせず、またこうしたケースから菓子を取り出す作業も必要とせず、単に菓子包装体の開封部(取り出し口)に対して装着すれば上記散乱防止効果を奏することができ、菓子の取り扱いも極めて容易である。
【0012】
また、いくつの菓子が積み重ねられた菓子包装体であれ当該キャップを装着することができることから、その装着にかかる自由度も高いものとなる。換言すれば、上記構成によれば、菓子が消費されることによって菓子包装体の長さが変化したとしても、開封部の外周面に周部が装着されさえすれば、上記散乱防止効果が発揮される。そのうえ、菓子の消費によって菓子包装体及びこれに装着されたキャップ全体としての長さが縮小されることとなり、その大きさが嵩張ることもない。なお、キャップの着脱性に鑑みれば、上記周部の長さ、より正確には当該菓子用キャップの蓋部と周部の開口との距離が上記菓子包装体の長さ以下であることが望ましい。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の菓子用キャップにおいて、前記周部の内周面を、前記一端部の外周面と接触する領域と、前記一端部の外周面から離間する領域とを有する段差面とする。
【0014】
例えば、菓子包装体の外周面にキャップの周部の内周面全体を接触させることによって菓子包装体とキャップとを密着させる構成では、菓子包装体に対するキャップの密着性が担保されやすく、菓子包装体からキャップが脱離することを回避しやすくなる。しかしながら、こうしてキャップを構成する周部の内周面全体が菓子包装体の外周面に接触する構成にあっては、面接触する両面を相対的に移動させる力が菓子用キャップの着脱時に必要となり、着脱作業を行う使用者に対して常に連続な抵抗感を与え菓子包装体菓子包装体、キャップの着脱作業を困難にさせる虞がある。
【0015】
この点、上記請求項2に記載の発明によるように、上記周部の内周面が段差を有する構成、すなわち、菓子包装体の外周面とキャップの内周面との間に部分的な隙間を有する構成とすれば、この菓子包装体とキャップとの間に生じた隙間の分だけ、着脱作業における抵抗感が空間的に断続的となり、故に、着脱作業を容易なものとすることが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の菓子用キャップにおいて、前記周部の内周面を、前記菓子が積み重ねられる方向に段差を有する段差面とする。
菓子包装体からのキャップの脱離を抑える構成としては、上記周部が有する段差面と菓子包装体の外周面とが接触する領域の面積を増大させる、すなわち、菓子包装体と周部の内面との接触面積を増大させることが考えられる。しかしながら、このように接触面積を増大させると、この増大分に応じてキャップ装着時の抵抗も増大することになる。ここで、周部の有する段差が、菓子が積み重ねられる方向にあれば、すなわち、キャップの装着方向に段差があれば、こうした段差の装着方向における長さ、すなわち段差の幅の分だけが、キャップ挿入時の抵抗になる。
【0017】
そこで、上記請求項3に記載の発明によるように、周部の内周面を、上記菓子が積み重ねられる方向に段差を有する段差面とすれば、こうした積み重ねられる方向に菓子用キャップを装着する場合であれ、キャップを装着する使用者に対して当該装着に対する抵抗感が断続的なものとなる。このため、キャップと菓子包装体の上記外周面との接触面積が確保されて、菓子包装体からのキャップの脱離をより回避しやすくしつつも、その着脱性の容易さも担保することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の菓子用キャップにおいて、前記周部の内周面を、前記菓子が積み重ねられる方向に段差を有する部位以外の領域に、前記菓子が積み重ねられる方向と交差する方向に段差を有する段差面とする。
【0019】
キャップの周部の内周面において、菓子が積み重ねられる方向に交差する方向、すなわち、菓子包装体に対する当該キャップの装着方向と交差するかたちに形成された段差は、キャップ装着時にその滑りを抑制するため、こうした段差によれば、菓子包装体に対するキャップの密着性が向上される。
【0020】
このため、上記請求項4に記載の発明によるように、上記周部の内周面が、その菓子の積み重ねられる方向における段差に加え、こうした段差を有する部位以外の領域に上記菓子が積み重ねられる方向と交差する段差を有することとすれば、当該菓子用キャップの着脱容易性の向上と、キャップの密着性の向上との両立を図ることができるようになる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の菓子用キャップにおいて、前記周部の内周面を、前記菓子が積み重ねられる方向と交差する方向に段差を有する段差面とする。
上記構成によれば、菓子が積み重ねられる方向と交差する方向、すなわち、菓子包装体に対する当該キャップの密着性を向上させるかたちで段差が形成されることにより、菓子包装体に対するキャップ装着時の密着性が向上し、より菓子の散乱防止効果が得られやすくなるとともに、菓子の風味等が損なわれ難くもなる。
【0022】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の菓子用キャップにおいて、前記蓋部が貫通孔を有している。
菓子が消費されることにより菓子包装体の長さが、上記周部の深さよりも短くなったものに菓子用キャップを取り付けると、菓子包装体全体が完全に周部内に収容されてしまう。
【0023】
そこで、上記請求項6に記載のように、上記蓋部に貫通孔を設けるようにすれば、菓子が周部内に完全に収容される長さとなっても、例えば、該貫通孔に棒状の部材を挿入する等して、これにより菓子包装体を押し出して、該菓子包装体をキャップの周部内から取り出すことが可能となる。すなわち、貫通孔を設けることにより、当該菓子用キャップは菓子包装体の長さによらず使用可能なものとなり、キャップの使用に係る自由度が高められることとなる。
【0024】
なお、菓子包装体の長さが上記周部よりも長い場合であっても、何らかの理由によりキャップが取り外し難い状態となることも想定される。上記構成によれば、こうした事態にあっても上述のように菓子包装体を押し出すことによってキャップから取り出すことが可能ともなる。
【0025】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載の菓子用キャップにおいて、前記周部の内周面における前記菓子が積み重ねられる方向と直交する断面の形状を、前記菓子における当該菓子が積み重ねられる方向と直交する断面の形状と相似とする。
【0026】
上記構成によれば、周部の内面における菓子の積み重ね方向と直交する断面の形状を、菓子における当該菓子の積み重ね方向と直交する断面の形状と相似としているため、包装紙によって包まれた菓子包装体全体の形状と、これに装着される周部の内周面によって形成される空間全体の形状とが相似となる。そのため、菓子包装体とキャップとの間に隙間が形成されにくくなり、菓子包装体からのキャップの脱離を回避しやすくなる。
【0027】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のいずれか一項に記載の菓子用キャップにおいて、当該菓子用キャップを有蓋楕円筒状とする。
上記構成によれば、当該キャップそのものを楕円筒状とすることができるため、使用者がキャップを握る、若しくは摘む際にその障害となるものがなくなり、キャップ着脱時にその取り扱いが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る菓子用キャップの第1の実施の形態の斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施の形態の下面構造を示す下面図。
【図3】(a)図1のA‐A線に沿った断面構造を示す断面図、(b)図1のB‐B線に沿った断面構造を示す断面図。
【図4】(a)(b)第2の実施の形態の断面構造を示す断面図。
【図5】本発明に係る他の実施の形態の斜視構造を示す斜視図。
【図6】同他の実施の形態の上面構造を示す上面図。
【図7】(a)図1のC‐C線に沿った断面構造を示す断面図、(b)図1のD‐D線に沿った断面構造を示す断面図、(c)図1のE‐E線に沿った断面構造を示す断面図、(d)図1のF‐F線に沿った断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1の実施の形態]
以下に、本発明に係る菓子用キャップを具現化した第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態の菓子用キャップの斜視構造を示している。図1に示されるように、菓子用キャップは、楕円板状の蓋部11と、該蓋部11の外縁の全周にわたり同蓋部11上面の略法線方向(軸方向)に沿って延びる周部12とが一体に形成された有蓋の楕円筒状をなしている。また、蓋部11の中心を通って軸方向に延びる中心軸C上には、蓋部11を貫通する貫通孔13が設けられている。なお、本実施の形態の菓子用キャップは例えばPP(ポリプロピレン)樹脂により形成される。
【0031】
図2は、同実施の形態の菓子用キャップの下面構造、すなわち、上記蓋部11と対向する側の面から見た構造を示している。同図2に示されるように、蓋部11の外縁から軸方向に延びる上記周部12の外周面は、軸方向から見て楕円形状をなす上記中心軸Cを中心とした楕円筒面であり、また周部12の内周面12sは同周部12の外周面と同一軸線上
の矩形筒面である。そして菓子用キャップの下面には、この周部12の内周面12sと上記蓋部11の下面とが孔内面となるかたちで上記中心軸Cを中心とする矩形孔状の凹部14が形成されている。また、周部12の内周面12sを構成する4つの側面には、同内周面12sを基点として凹部14の内側に突出する突起15a,15bが設けられている。
【0032】
図3(a)は、先の図2に一点鎖線で示したA‐A線に沿った本実施の形態の断面構造を、また、図3(b)は、同図2にこれも一点鎖線で示したB‐B線に沿った本実施の形態の断面構造をそれぞれ示している。
【0033】
図3(a)に示されるように、周部12の内周面12sを構成する4つの側面のうちで上記矩形の長辺を含む一対の内面12aには、それぞれ中心軸Cとは直交する方向に延びる4つの突起15aが隣接する他の内面12bから離間するかたちに設けられている。一つの内面12aに設けられた4つの突起15aは、当該内面12aの法線方向から見て中心軸Cに対して軸対称となるかたちをなして、且つ、当該側面においては蓋部11の側に偏倚するように、中心軸Cに沿って等間隔に配設されている。そしてこれら4つの突起15aを有する内面12aにより、これら突起15aが形成された領域とそれ以外の領域との段差(高低差)を有する段差面が構成されている。
【0034】
一方、図3(b)に示されるように、周部12の内周面12sを構成する4つの側面のうちで上記矩形の短辺を含む一対の内面12bにも、上記内面12aと同様、それぞれ4つの突起15bが設けられている。一つの内面12bに設けられた4つの突起15bは、これもまた突起15aと同じく、当該内面12bの法線方向から見て中心軸Cに対して軸対称となるかたちをなして、且つ、当該側面においては蓋部11の側に偏倚するように、中心軸Cに沿って等間隔に配設されている。加えて、これら突起15bは、上記矩形の長辺に対応する内面12aに設けられた突起15aと、凹部14の深さ方向、すなわち凹部14の開口部と蓋部11との長さ方向での形成位置が一致している。そしてこれら4つの突起15bを有する内面12bにより、これら突起15bが形成された領域とそれ以外の領域との高低差を有する段差面が構成されている。
【0035】
こうした菓子用キャップは、粒状の菓子、例えば所定の厚みを有した矩形状の粒状ガムが、複数積み重ねられた状態で、これら複数の粒状ガムが一体に外装用包装紙によって包まれた、いわば棒状の菓子包装体P(図3)に直接装着される。なお、こうした菓子包装体Pにあっては、個々の粒状ガムのそれぞれが包装された上、更に上記外装用包装紙によって包装されていることが多い。しかしながら、これに限らず、個々の粒状ガムについては包装せずに、複数の粒状ガムをその外側を包む上記外装包装紙によってのみ包装したものであってもよい。また、菓子の種類もガムに限らず、キャンディ等、粒状をなして複数が積み重ねられた上、その外側を一体に包装紙により包まれたものであれば任意である。
【0036】
この菓子包装体Pには通常、その一端部すなわち棒状をなしている菓子包装体Pのいずれかの端部に包装紙を開封するための開封部が設けられている。一旦この開封部にて包装紙が開封されると、上記包装紙には、これに包まれている個々のガムを取り出し可能とする開口(取り出し口)が形成されることとなる。
【0037】
ところで、こうした取り出し口を有した包装紙にて包まれた菓子包装体Pが、その所有者によって衣服のポケットや鞄等に収納された状態で携帯されると、この菓子包装体Pそのものがポケットや鞄内で移動することや、同菓子包装体Pに振動が加えられること等に起因して、上記包装紙の取り出し口から個々のガムが飛び出すことがある。
【0038】
そこで、この菓子包装体P、特にこれを包んでいる包装紙の取り出し口に、本実施の形態の菓子用キャップを直接装着することによりこうした菓子の飛び出し、ひいてはこれに
起因する菓子の散乱を防止することができる。
【0039】
具体的には、棒状の菓子包装体Pの積み重ね方向と上記軸方向とが整合する態様で、菓子包装体Pの取り出し口を上記菓子用キャップの凹部14に挿入して、キャップの蓋部11が菓子包装体Pを包んでいる包装紙の取り出し口を覆い、且つキャップの周部12が菓子包装体Pの外周面を囲繞するように、菓子包装体Pにキャップを直接装着する。こうした装着により、菓子包装体Pの取り出し口における菓子、さらにはこれを含む複数の菓子がキャップの凹部14内に収容される。こうして菓子包装体Pに菓子用キャップが装着されると、菓子包装体Pの先端側、すなわち菓子包装体Pの取り出し口側に積層されたガムと、キャップの内周面12sに設けられた突起15a,15bとが接触することとなる。
【0040】
この際、菓子用キャップは、蓋部11が楕円形状をなす有蓋の楕円筒形状であることから、こうして菓子包装体Pにキャップを装着するに際して、使用者がキャップを握る、あるいは摘む等するにあたり、その障害となるものがないため、キャップ装着時及び脱離時にその取り扱いが容易となる。また菓子用キャップの周部12が包装紙によって覆われた菓子包装体Pの外周面に対して直接装着されるようになるため、菓子包装体Pの流通過程にて必要とされる外装用包装紙そのものを、こうした菓子包装体Pの散乱防止用のケースとして利用することが可能になる。それゆえ、外装用包装紙を完全に取り除いてからその外装用包装紙に包まれていた複数の菓子を別途ケースに収納する作業を必要とせず、またこうしたケースから菓子を取り出す作業も必要とせず、単に菓子包装体Pの取り出し口に対して装着すれば菓子が散乱することを抑えることができ、菓子の取り扱いも極めて容易となる。
【0041】
なお、周部12の内周面が平滑面として構成されて、当該内周面の全体が菓子包装体Pの外周面と面接触する構成では、上述する散乱防止効果等が得られるものの、面接触する両面を相対的に移動させる力が菓子用キャップの着脱時に必要となり、着脱作業を行う使用者に連続的な抵抗感を与える虞がある。この点、上記周部12の内面12a,12bには突起15a,15bが形成されることで同内面12a,12bが段差を有しており、キャップ装着時には突起15a,15bだけが、上記包装紙の外周面と接触することとなる。このように、突起15a,15bによって包装紙との接触面積を確保しながらも、この突起15a,15bが設けられていない領域では菓子包装体Pとキャップとの隙間が生じることとなる。そのため、上記周部12の内面12a,12bの全体にて菓子包装体Pと接触するものと比較して過剰な密着が抑制され、キャップの着脱作業がより容易ともなる。ちなみに、上記突起15a,15bは、その形成間隔及び個数が、菓子包装体Pからのキャップの脱離を抑制するに適したかたちに設計されている。
【0042】
例えば、この突起15a,15bとは前述のように、菓子用キャップが装着される方向や菓子が積み重ねられる方向である軸方向とは直交する方向に延設されていることから、上記周部12の内面12a,12bは、キャップが装着される菓子包装体Pにおける菓子の積み重ね方向において段差を有することになる。このように、周部12の内面12a,12bが有する段差が、菓子が積み重ねられる方向にあれば、すなわち、キャップの装着方向に段差があれば、こうした段差の装着方向における長さ、すなわち段差の幅の分だけが、キャップ挿入時の抵抗になる。故に、キャップと菓子包装体Pの上記外周面との接触面積を突起15a,15bによって確保するとともに、その着脱性の容易さも担保することが可能となる。
【0043】
こうして突起15a,15bによって包装紙との接触面積を確保しながらも、この突起15a,15bが設けられていない領域、換言すれば、菓子包装体Pとキャップとの隙間が生じることとなり、上記周部12の内面12a,12bの全体にて菓子包装体Pと接触するものと比較して過剰な密着を抑制し、キャップの取り外しがより容易ともなる。
【0044】
また、周部12の内面12a,12bと上記蓋部11によって囲まれた凹部14は、軸方向から見た断面形状が、これに挿入される菓子の該菓子の積み重ね方向における断面形状にあわせて、これに略相似な矩形状に設計されている。そのため、凹部14と菓子包装体Pとの間に隙間が形成されにくくなる、正確には、菓子包装体Pの周囲のうち特定の部位での隙間が他の部位に比較して大きくなるといったことがなくなり、菓子包装体Pからのキャップの脱離が回避しやすくなる。
【0045】
一方、粒状ガムがその所有者等によって消費されると、菓子包装体Pにおけるガムの積み重ね方向の長さ、すなわち、キャップの装着方向における長さが次第に短くなる。しかしながら、本実施の形態の菓子用キャップは、菓子包装体Pを包んでいる包装紙の外周面に直接装着されるため、こうした粒状ガムの消費による菓子包装体Pの長さの変化によらず、同菓子包装体Pへの装着が可能である。また、上記粒状ガムの消費により、積み重ねられたガムの個数がキャップに設けられた凹部14に完全に収容される個数、例えば3個以下となることも想定される。こうした長さの菓子包装体Pにキャップを装着した場合、キャップの凹部14から菓子包装体Pを取り出すことが困難となる虞がある。この点、本実施の形態の菓子用キャップでは、その蓋部11に貫通孔13が設けられているため、例えば爪楊枝や竹串等の棒状の部材をこの貫通孔13に挿入して、これを用いて菓子包装体Pを凹部14の開口側に押すことにより、菓子包装体Pを押し出すことが可能である。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態に係る菓子用キャップによれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)有蓋筒状をなす菓子用キャップを、その蓋部11が、菓子包装体Pを包んでいる包装紙の開口を覆うとともに、その周部12が、菓子包装体Pの開封された一端にて、包装紙からなる外周面を囲繞するかたちで、菓子包装体Pに取り外し可能に且つ直接装着される形状とした。これにより、菓子包装体Pを包んでいる包装紙が開封された状態であっても、菓子包装体Pの携帯時等にこれに含まれる個々の菓子が包装紙内から飛び出して散乱することを回避することができる。
【0047】
(2)しかも、当該菓子用キャップは、その周部12が包装紙によって覆われた菓子包装体Pの外周面に対して直接装着されるように設計されているため、装着時に包装紙を完全に除去する等の作業を必要とせず、単に菓子包装体Pの取り出し口に対して装着すれば上記散乱防止効果を奏するこができ、菓子の取り扱いも極めて容易である。
【0048】
(3)また、いくつの菓子が積み重ねられた菓子包装体Pであっても当該キャップを装着することができることから、その装着にかかる自由度も高いものとなる。換言すれば、菓子の消費による長さの変化によらず上記散乱防止効果が発揮されることから、菓子の消費によって菓子包装体P及びこれに装着されたキャップ全体としての長さが縮小されることとなり、その大きさが嵩張ることもない。
【0049】
(4)上記周部12の内面12a,12bに突起15a,15bを形成して、同内面12a,12bが段差部を有する構成、すなわち、菓子包装体Pとキャップとの間に隙間を有する構成とした。これにより、菓子包装体Pとキャップとの間に生じた隙間の分だけ、着脱作業における抵抗感が空間的(例えば軸方向やそれと直交する方向)に断続的となる。それゆえ、菓子用キャップを菓子包装体Pに装着する際に、例えば装着方向を軸方向に延びる螺旋方向に変更する等の装着状態の切り替えにより、装着時の抵抗感が軽減されることになり、キャップの着脱作業を容易なものとすることが可能となる。
【0050】
(5)周部12の内面12a,12bに突起15a,15bを形成して、同内面12a,12bを上記菓子が積み重ねられる方向に段差を有する段差面とした。これにより、キ
ャップと菓子包装体Pの上記外周面との接触面積が確保されて、菓子包装体Pからのキャップの脱離をより回避しやすくしつつも、軸方向に沿って菓子用キャップを装着する場合であれ、その着脱性の容易さも担保することが可能となる。
【0051】
(6)上記蓋部11に貫通孔13を設けるようにした。これにより、菓子が周部12内に完全に収容される長さとなっても、例えば、該貫通孔13に棒状の部材を挿入する等して、これにより菓子包装体Pを押し出して、該菓子包装体Pをキャップの周部12から取り出すことが可能となる。すなわち、貫通孔13を設けることにより、当該菓子用キャップは菓子包装体Pの長さによらず使用可能なものとなり、キャップの使用に係る自由度が更に高められることとなる。なお、菓子包装体Pの長さが上記周部12よりも長い場合であっても、何らかの理由によりキャップが取り外し難い状態となることも想定されるものの、こうした事態にあっても上述のように菓子包装体Pを押し出すことによってキャップの周部12から取り出すことが可能ともなる。
【0052】
(7)周部12の内面12a,12bにおける菓子の積み重ね方向と直交する断面の形状を、菓子における当該菓子の積み重ね方向と直交する断面の形状と相似な矩形状とした。これにより、包装紙によって包まれた菓子包装体P全体の形状と、これに装着される周部12の内面12a,12bによって形成される空間全体である凹部14の形状とが相似となる。そのため、菓子包装体Pとキャップとの間に隙間が形成されにくくなり、菓子包装体Pからのキャップの脱離を回避しやすくなる。
【0053】
(8)蓋部11上面を楕円形とすることにより、これに接続される周部12の形状をこれに合わせて楕円筒状とし、ひいては当該キャップそのものを有蓋楕円筒状とした。これにより、使用者がキャップを握る、若しくは摘む際にその障害となるものがなくなり、キャップ着脱時にその取り扱いが容易となる。
【0054】
(9)菓子用キャップをPP(ポリプロピレン)樹脂で形成するようにした。これにより、軽量且つ高強度で取り扱いの容易な菓子用キャップとすることができる。
[第2の実施の形態]
以下に、本発明に係る菓子用キャップを具現化した第2の実施の形態について、図4を参照して説明する。この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の内周面12sの構造ならびに貫通孔13の構造を変更したものであり、以下では、特にこれらの変更点について図4を参照して説明する。
【0055】
図4(a)は、先の図2に示されるA‐A線に沿った断面構造であって、先の図3(a)に示される上記第1の実施の形態の断面構造に対応する構造を示している。また、図4(b)は、これも先の図2に示されるB‐B線に沿った断面構造であって、先の図3(b)に示される上記第1の実施の形態の断面構造に対応する構造を示している。
【0056】
図4(a)に示されるように、周部12の内周面12sを構成する4つの側面のうちで上記矩形の長辺を含む一対の内面12aには、それぞれ中心軸Cとは直交する方向に延びる4つの突起15aが隣接する他の内面12bから離間するかたちに設けられている。一つの内面12aに設けられた4つの突起15aは、当該内面12aの法線方向から見て中心軸Cに対して軸対称となるかたちをなして、且つ、当該側面においては凹部14の開口14a側、すなわち蓋部11とは反対側に偏倚するように、中心軸Cに沿って等間隔に配設されている。つまり、内面12aの開口14a側は、これら突起15aが形成された領域とそれ以外の領域との段差(高低差)を有する段差面であり、同段差面の蓋部11側は、こうした段差を有しない平面である。なお、内面12aの蓋部11側を構成する平面は、それと中心軸Cとの間の距離が蓋部11に近くなるほど短くなるような勾配θを有している。
【0057】
一方、図4(b)に示されるように、周部12の内周面12sを構成する4つの側面のうちで上記矩形の短辺を含む一対の内面12bにも、上記内面12aと同様、それぞれ4つの突起15bが設けられている。一つの内面12bに設けられた4つの突起15bは、これもまた突起15aと同じく、当該内面12bの法線方向から見て中心軸Cに対して軸対称となるかたちをなして、且つ、当該側面においては凹部14の開口14a側、すなわち蓋部11とは反対側に偏倚するように、中心軸Cに沿って等間隔に配設されている。加えて、これら突起15bは、上記矩形の長辺に対応する内面12aに設けられた突起15aと、凹部14の深さ方向、すなわち凹部14の開口14aと蓋部11との長さ方向での形成位置が一致している。つまり、内面12bの開口14a側は、上記内面12aと同じく、これら突起15bが形成された領域とそれ以外の領域との高低差を有する段差面であり、同段差面の蓋部11側は、こうした段差を有しない平面である。なお、内面12bの蓋部11側を構成する平面は、これもまた上記内面12aと同じく、同平面と中心軸Cとの間の距離が蓋部11に近くなるほど短くなるような勾配θを有している。
【0058】
このように、凹部14の内周面12sの全領域が段差を有する領域(段差面領域121)と段差を有しない領域(非段差面領域122)とに軸方向で二分されるように当該内周面12sは構成されている。内周面12sの開口14a側を構成する段差面領域121は、軸方向に沿って延びる矩形筒面状をなし、内周面12sの蓋部11側を構成する非段差面領域122は、それを構成する各内面と中心軸Cとのなす角度が例えば1°となるような上記勾配θにより、蓋部11に向けて先細りしたかたちをなす。
【0059】
上述のように構成される菓子用キャップは、粒状の菓子、例えば所定の厚みを有した矩形状の粒状ガムが、複数積み重ねられた状態で、これら複数の粒状ガムが一体に外装用包装紙によって包まれた、いわば棒状の菓子包装体P(図4)に直接装着される。具体的には、棒状の菓子包装体Pの積み重ね方向と上記軸方向とが整合する態様で、菓子包装体Pの取り出し口を上記菓子用キャップの凹部14に挿入して、キャップの蓋部11が菓子包装体Pを包んでいる包装紙の取り出し口を覆い、且つキャップの周部12が菓子包装体Pの外周面を囲繞するように、菓子包装体Pにキャップを直接装着する。こうした装着により、菓子包装体Pの取り出し口における菓子、さらにはこれを含む複数の菓子がキャップの凹部14内に収容される。
【0060】
この際、菓子用キャップの凹部14に菓子包装体Pの取り出し口が挿入されると、取り出し口近傍の外周面はまず、段差面領域121を構成する各突起15a,15bと接触し、その後に非段差面領域122と接触することになる。このとき、取り出し口の近傍が段差面領域121を通る際には、取り出し口近傍の外周面が異なる突起15a,15bに接触するたび、こうした装着作業に対する抵抗感が使用者に与えられることになる。また、取り出し口の近傍が非段差面領域122を通る際には、菓子包装体Pが菓子用キャップに挿入されるに連れて、取り出し口近傍の外周面と非段差面領域122との密着性が高くなることになる。このため、装着作業の初期段階には、菓子包装体Pの取り出し口が凹部14内のどこまで挿入されたかについて使用者に把握させることが可能になる。また挿入作業の終期段階には、菓子包装体Pの挿入量により菓子用キャップと菓子包装体Pとの密着性が調整可能になる。さらには、こうした菓子用キャップが射出成形法によって製造される場合には、非段差面領域122の有する勾配が金型の抜き勾配としても機能するため、金型の抜き勾配が無い構成と比較して、菓子用キャップの製造が容易にもなる。
【0061】
こうした菓子包装体Pに対する菓子用キャップの装着に際し、例えば菓子包装体Pの長さが凹部14の深さ、すなわち中心軸Cと平行な方向の凹部14の長さよりも長ければ、菓子包装体Pの取り出し口を凹部14の底部(蓋部11)にまで押し込むことが可能である。つまり、菓子包装体Pの取り出し口近傍の外周面と上記非段差面領域122の全体と
を接触させてこれらの間の密着性を確保することが可能であり、また菓子包装体Pの閉止端が凹部14の開口14aから突出することから、菓子用キャップの脱着作業も容易なものとなる。なお、菓子包装体Pの取り出し口を凹部14の底部にまで押し込まずとも、菓子用キャップを菓子包装体Pに装着させる上では、取り出し口近傍の外周面と非段差面領域122の一部とが接触した状態も実現可能である。
【0062】
他方、菓子包装体Pの取り出し口が凹部14の底部にまで押し込まれる装着の態様にて、上記凹部14の開口14aから菓子包装体Pの閉止端が突出しない程度に菓子包装体Pの長さが短いことも想定される。この点、上述する装着の態様で装着作業が実行されれば、上述した装着時の抵抗感に基づいて、菓子包装体Pの取り出し口近傍外周面が段差面領域121のどこまで挿入されたかについて使用者が把握可能となる。それゆえ凹部14内に対して菓子包装体Pの過剰な押し込みが抑えられることになり、菓子包装体Pの閉止端を凹部14の開口14aから確実に突出させることが可能になる。
【0063】
なお、菓子包装体Pと菓子用キャップとの間に必要とされる密着性は、菓子包装体Pが軽くなるほど、すなわち菓子包装体Pが短くなるほど低くなる。そこで、上述するような装着の態様に対応すべく、菓子包装体Pの長さが短い場合に取り出し口近傍の外周面と段差面領域121との間の密着力だけで菓子用キャップの装着状態が維持されるように、段差面領域121における突起15a,15bの数やサイズが構成されている。
【0064】
それゆえ、菓子包装体Pの閉止端が突出しない程度に菓子包装体Pの長さが短い場合であれ、上述する装着の態様であれば菓子包装体Pの閉止端が凹部14の取り出し口14aから突出した状態でキャップを装着することが可能となり、こうしたキャップの装着状態も維持可能となる。
【0065】
蓋部11の中心を通って軸方向に延びる中心軸C上に設けられた貫通孔13は、上記第1の実施の形態と比較して直径が大きく、例えばその直径が3倍程度である。ここで、上記第1の実施の形態ではキャップに完全に収容されたガムを取り出す際に、爪楊枝や竹串等の比較的直径の小さな棒状部材を用いて菓子包装体Pをキャップから押し出す必要があり、故に、押し出し時の圧力が棒状部材の先端面に集中し、菓子包装体Pの包装紙が破ける虞やその内部の菓子を傷つける虞がある。しかも、こうして包装紙に破れが生じると、包装紙に包まれた個々の菓子が散乱しやすくもなる。
【0066】
これに対し、本実施の形態のように貫通孔13の直径を、例えば箸の尖部とは反対側の面や割り箸の先端面が貫通できる程度の大きさとすることにより、菓子包装体Pをキャップから押し出す際の圧力の集中を緩和することができ、こうした押し出しに起因して包装紙に破れが生じることや、ガムに傷が付くことを抑制することが可能となる。また、包装紙の破れを生じ難くすることで、菓子を散乱し難くすることが可能ともなる。
【0067】
以上説明した第2の実施の形態に係る菓子用キャップによれば、上記第1の実施の形態に係る菓子用キャップにより得られる効果に加えて、以下に列挙する効果が得られるようになる。
【0068】
(10)突起15a,15bを凹部14の内周面12sにおける当該凹部14の開口14a側に偏倚して設けるようにした。これにより、特に菓子包装体Pの長さが上記凹部14の深さよりも短いときに、菓子包装体Pに対して菓子用キャップを装着するに際し、キャップ装着時の抵抗感を頼りとして、菓子包装体Pを突起15a,15bに接触させてこれらにより保持された状態を維持しつつも、その末端がキャップの有する凹部14の取り出し口から突出した状態とすることができる。また、菓子包装体Pが突起15a,15bにより保持された状態を維持すると、上記凹部14の取り出し口から菓子包装体Pの末端
が突出した状態とすることができない程度に菓子包装体Pの長さを短いことも想定される。この場合であっても、菓子包装体Pの末端が凹部14の取り出し口側に位置した状態でキャップを装着することが可能となり、貫通孔13に棒状部材を挿入して押し出すことが容易となる。従って、当該菓子用キャップの装着に係る自由度をより向上できるとともに、菓子包装体Pからの取り外しもより容易とすることが可能となる。
【0069】
(11)貫通孔13の直径を、爪楊枝や竹串はもとより、箸の尖部とは反対側の面や割り箸等が貫通可能な程度の大きさとした。これにより、菓子包装体Pが菓子用キャップに完全に収容された場合等に、より断面積の大きな棒状部材を用いて菓子包装体Pをキャップから押し出すことができ、菓子包装体Pを包んでいる包装紙の破れや、菓子の損傷を抑制することができる。また、こうして包装紙の破れを生じ難くすることで、菓子をより散乱し難くすることが可能ともなる。
【0070】
なお、上記実施の形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実行することも可能である。
・菓子用キャップの形成材料を、PP(ポリプロピレン)樹脂とした。これに限らず、所望とする形状の形成と装着時のキャップの脱落を防止とが可能な素材であれば他の材料にて形成するようにしてもよい。
【0071】
・キャップの形状を、その蓋部11が楕円板状をなす、有蓋の楕円筒状とした。これに限らず、例えば、図5に示すような斜視構造をなす、いわゆる歯牙形状としてもよい。こうした構成を採用した場合の、上面構造を図6に、また、図6に一点鎖線にて示したC‐C線、D‐D線、E‐E線、及びF‐F線のそれぞれに沿った断面構造を、図7(a)〜(d)にそれぞれ示している。なお、これら図5〜図7において、上記実施の形態と対応する部材には同一の符号を付している。すなわち、これら図5〜図7にて示される実施の形態は、蓋部11上面に貫通孔13が形成されていないこと、蓋部11上面が窪みを有すること、及び周部12がその開口部において、上記矩形状をなす凹部14の断面における、各辺の中心が最も短くなるような曲率を有していること等が異なっている。
【0072】
こうした構成によれば、上記(8)の効果に代えて、
(8a)周部12がその開口部において、上記矩形状をなす凹部14の断面における、各辺の中心が最も短くなるような曲率を有している、すなわち、周部12がその開口部にて窪みを有していることから、キャップの着脱持に、使用者はこの窪みに指を位置させて同キャップを菓子包装体Pに装着、あるいは同菓子包装体Pから脱離することができ、当該キャップの取り扱いがより容易となる。
といった効果を得ることができる。
【0073】
・なお、キャップの外形は、周部及び蓋部によって囲まれた凹部の形状及び周部の内面に形成された突起の形状が上記第1のあるいは第2の実施の形態と同等であれば、任意に設計可能であり、こうした構成によっても、上記(1)〜(7)、(9)あるいは上記(1)〜(7)、(9)〜(11)に準ずる効果を得ることはできる。
【0074】
・凹部14を矩形孔状としたが、これに限らず、例えば円形孔、楕円形孔、正多角形孔等、キャップが装着される菓子包装体の外形にあわせた形状とすればよい。これによっても上記各効果に準じた効果を得ることができる。
【0075】
・蓋部11に貫通孔13を設けなくともよい。これによっても、上記(1)〜(5)、(7)〜(11)に準ずる効果を得ることはできる。
・周部12の内面12a,12bのそれぞれに突起15a,15bを4つずつ形成するようにしたが、突起15a,15bの数はこれ以外の任意の数であってもよい。
【0076】
・周部12の内面12a,12bにおける段差が、菓子の積み重ね方向にて形成されるように、すなわち、上記蓋部11の法線方向と直交するように上記突起15a,15bを延設するようにした。これに限らず、突起15a,15bは、上記放線方向と直交する方向と所定の角度をなすように延設してもよい。
【0077】
・突起15a,15bは、周部12の内面12a,12bにおいて所定の長さをもって延設されるようにしたが、その長さは任意に設計することができる。要は、内面12a,12bが段差面となるように突起15a,15bを設けるようにすればよい。
【0078】
・周部12の内面12a,12bに突起15a,15bを形成するにあたり、突起15a,15b同士の間隔を、キャップが装着される菓子の積み重ね方向における厚み分に一致させる、すなわち、キャップを菓子包装体Pに装着したときに、積み重ねられた菓子と菓子との間に突起15a,15bが位置するようにしてもよい。こうした構成によれば、菓子包装体Pにキャップを装着した際に、菓子包装体P内の個々の菓子が突起15a,15bによって狭持されるかたちとなるため、キャップが菓子包装体Pから脱離することをより回避しやすくなる。
【0079】
・上記突起15a,15bが形成された部位以外の領域に、さらにこの突起とは直交するように延設された突起を形成する、すなわち、軸方向(菓子が積み重ねられる方向)と直交する方向において段差を有するようにしてもよい。こうした構成によれば、上記(5)の効果に加えて、上記段差によりキャップ装着時にその滑りを抑制され、菓子包装体Pに対するキャップの密着性が向上されることにより、キャップの密着性を向上することもできる。
【0080】
・突起15a,15bを蓋部11の法線方向と平行に延設することにより、上記周部12の内面12a,12bが軸方向(菓子が積み重ねられる方向)と直交する方向に段差を有するようにしてもよい。こうした構成によれば、上記(5)の効果にかえて、
(5a)こうした段差によって、キャップ装着時にその滑りを抑制され、菓子包装体Pに対するキャップの密着性が向上されるため、キャップの密着性を向上することができる。
といった効果を得ることができる。
【0081】
・突起15a,15bは、周部12の内面12a,12bの両方に形成するようにしたが、いずれかの内面において突起15a,15bの形成を割愛するようにしてもよい。
・周部12の内面12a,12bに突起15a,15bを形成するようにしたが、これを割愛してもよい。この場合、キャップの凹部14の大きさを当該キャップが装着される菓子の大きさにあわせて設計し、装着時にキャップが脱落せず、且つキャップの取り外しが可能となるようにすればよい。これによっても、上記(1)〜(3)に準ずる効果を奏することはできる。
【符号の説明】
【0082】
11…蓋部、12…周部、12a,12b…内面、12s…内周面、13…貫通孔、14…凹部、14a…開口、15a,15b…突起、121…段差面領域、122…非段差面領域、P…菓子包装体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状の菓子が積み重ねられてそれらの外側が包装紙によって一体的に包まれた棒状の菓子包装体に適用され、
前記菓子包装体の一端部にて開封された前記包装紙の開口を覆う蓋部と、
前記一端部における前記包装紙からなる外周面を囲繞するかたちで、当該一端部の外周面に取り外し可能に直接装着される周部と
からなる有蓋筒状の菓子用キャップ。
【請求項2】
前記周部の内周面が、前記一端部の外周面と接触する領域と、前記一端部の外周面から離間する領域とを有する段差面である
請求項1に記載の菓子用キャップ。
【請求項3】
前記周部の内周面は、前記菓子が積み重ねられる方向に段差を有する段差面である
請求項2に記載の菓子用キャップ。
【請求項4】
前記周部の内周面は、前記菓子が積み重ねられる方向に段差を有する部位以外の領域に、前記菓子が積み重ねられる方向と交差する方向に段差を有する段差面である
請求項3に記載の菓子用キャップ。
【請求項5】
前記周部の内周面は、前記菓子が積み重ねられる方向と交差する方向に段差を有する段差面である
請求項2に記載の菓子用キャップ。
【請求項6】
前記蓋部は貫通孔を有する
請求項1〜5のいずれか一項に記載の菓子用キャップ。
【請求項7】
前記周部の内周面における前記菓子が積み重ねられる方向と直交する断面の形状が、前記菓子における当該菓子が積み重ねられる方向と直交する断面の形状と相似である
請求項1〜6のいずれか一項に記載の菓子用キャップ。
【請求項8】
当該菓子用キャップが有蓋楕円筒状である
請求項1〜7のいずれか一項に記載の菓子用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−264998(P2010−264998A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117067(P2009−117067)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】