説明

落し錠の受け装置

【課題】門扉等のフランス落しの落し錠に用いられる落し錠の受け装置に関するもので落し錠の受け装置を設置後に、落し錠の落し棒との位置調整が出来る落し錠の受け装置を提供する。
【解決手段】 落し錠受けガイド1と落し錠受け部2とその両者を一体に結合するビス3とからなり、落し錠受けガイド1は有底の円筒部11とその底部中央にビス受け孔13があり円筒部11上端に外方に向いた鍔部12を有し、落し錠受け部2は落し錠受けガイド1の円筒部11に嵌合され調整移動可能な径の有底の円筒部21と該円筒部21上端に落し錠受けガイド1の鍔部12より幅広の鍔部22および底部中央にビス3の径より大なビス貫通孔23が設けられ、ビス3はその頭部がビス貫通孔23より大である落し錠の受け装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は門扉等の落し錠に用いられる落し錠の受け装置に関するもので、落し錠の受け装置を設置後に落し棒との位置調整可能な落し錠の受け装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
門扉に使用される落し錠としてフランス落しが広く知られている。しかし落し錠は門扉側に、落し棒の下端を受け止める落し錠の受け部は路面側に設けられる。通常は路面が先に形成された後に門扉が取り付けられる。したがって落し錠の受け部は正確に測定して設置されるか、あるいは門扉取り付け時に路面に穴を形成して設置しなければならない。そのために前者は熟練を要し、後者の場合には路面の外観を損なうという問題点がある。
【特許文献1】特開平8−93367号公報(第10頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献は大型重量門扉に関するもので、強風時の落し棒にかかる力に耐え、門扉が移動しないように通常の門扉より太い落し棒を用い、その下端部を所要の長さに亘って地面に差し込むものであり、本願発明の落し錠の受け装置とは異なるものである。
【0004】
本願発明はフランス落しと称される落し錠の受け装置に関するものであり、落し錠受けガイドと落し錠受け部を形成することで門扉における落し棒の受け位置を調整できるものであり、路面に落し錠の受け装置を設けておき、門扉取り付け時に落し錠受け部の位置を微調整できるものである。
【0005】
従来のフランス落しと称される落し錠は本願図5に示すように門扉5の内側面下部に落し棒保持具6が固着され、その落し棒保持具6の上下に設けた挿通部7、8の孔に落し棒9を昇降自在に挿通し、その落し棒9の中間部に摘み兼上部ストッパー100を、下端部付近に下部ストッパー101を設けて構成されており、落し棒9の下端部を路面4に設けた受け金具102の孔に落とし込むように操作するものである。
【0006】
そのために落し錠の落し棒9の下端部と受け金具102の孔とが正確に位置するように設置する必要がある。また受け金具102は路面4に埋められ上面が路面4と面一となるために土砂の流入により効果がなくなるという問題がある。
【0007】
したがって落し棒9は受け金具102にきちんと落とし込まれないと効果のないものである。本発明はこの受け金具102の位置を落し棒9の位置に合わせて調整でき、しかも取り付けが容易な落し錠の受け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る落し錠の受け装置の第一の特徴構成は請求項1に記載した如く、落し錠受けガイドと落し錠受け部とその両者を一体に結合するビスとからなり、落し錠受けガイドは有底の円筒部とその底部中央にビス受け孔があり円筒部上端に外方に向いた鍔部を有し、落し錠受け部は落し錠受けガイドの円筒部に嵌合され調整移動可能な径の有底の円筒部と該円筒部上端に落し錠受けガイドの鍔部より幅広の鍔部および底部中央にビスの径より大なビス貫通孔が設けられ、ビスはその頭部がビス貫通孔より大である点にある。
【0009】
同第二の特徴構成は、請求項2に記載した如く、第一の特徴構成に加えて落し錠受けガイドの底部にビス受け孔を形成した板状体が一体に形成されている点にある。
【0010】
同第三の特徴構成は、請求項3に記載した如く、落し錠受け部の円筒部の鍔部外周に垂下脚片を形成されている点にある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の落し錠の受け装置は、前記構成であり落し錠受け部の円筒部が落し錠受けガイドの円筒部内部で位置調整できるために落し棒と落し錠受け部との位置を一致させることができる。したがって落し棒は確実に落し錠の受け装置に納まるものである。
【0012】
請求項2に記載された落し錠の受け装置は前記構成であり、ビスで落し錠受けガイドと落し錠受け部とを固定するために該落し錠受けガイドの底面は一定の厚みが必要であり、ビス受け孔を設けた板状体を落し錠受けガイドと一体に形成することで落し錠受けガイドの全体の厚みを薄くすることが出来る。
【0013】
請求項3に記載の落し錠の受け装置は前記構成であり、落し錠受け部の鍔部外周に垂下脚片があるために落し錠の受け装置は路面より高く位置する。そのために落し錠の受け装置の円筒部に土砂などが侵入することが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1ないし図4は本発明の実施例を示したものである。図1は本発明にかかる落し錠の受け装置の分解断面図であり、1は路面4(図2参照)に埋設される落し錠受けガイドである。落し錠受けガイド1は有底の円筒部11とこの円筒部11の上端外周に外方に向いた鍔部12が形成されており、円筒部11の底部にはビス受け孔13を有する板状体14が一体に設けられている。
【0015】
2は落し錠受け部であり落し錠受けガイド1の円筒部11より径の小さい有底の円筒部21とその円筒部21の上端に幅広の鍔部22が形成されており、この鍔部22の径は落し錠受けガイド1の鍔部12より大となっている。したがって落し錠受け部2の鍔部22は落し錠受けガイド1の鍔部12より外方にまで位置する。落し錠受け部2の有底の円筒部21の底部には落し錠受け部2と落し錠受けガイド1とを連結するビス3の軸径より大なビス貫通孔23が設けられている。またこの鍔部22の外周縁部には垂下脚片24が設けられている。
【0016】
そのために落し錠受けガイド1に落し錠受け部2を組み込んだ場合に、落し錠受け部2の円筒部21は落し錠受けガイド1内の円筒部11内で位置調整移動ができる。また落し錠受け部2の鍔部22が落し錠受けガイド1の鍔部12より幅広であるため鍔部22に設けられた垂下脚片24により落し錠受け部2の移動が制限されることがない。
【0017】
位置調整後、落し錠受け部2と落し錠受けガイド1とがビス3により結合され落し錠の受け装置が構成される。
【0018】
図2は落し錠受けガイド1と落し錠受け部2とを組み立ててなる落し錠の受け装置の設置状態を示す断面図であり、落し錠受けガイド1はその鍔部12が路面4に接するように配される。この落し錠受けガイド1に落し錠受け部2を嵌合しビス3にて両者を結合している。
【0019】
図3は図2を上面より見た平面図である。図4は図2において位置調整を行なった場合の断面図であり、落し錠受け部2が図2の場合より右方向に移動した状態を示している。該移動方向は全方位に移動可能である。
【0020】
図2あるいは図4に示すように本発明にかかる落し錠の受け装置は落し錠受け部2の鍔部22の外周に垂下脚片24があり、垂下脚片24の下端は路面4上に位置するため、落し錠の受け装置は路面4より一段高くなるように設置される。それにより落し錠受け装置に土砂などの流入がないものであり、落し錠受け部2の円筒部22は浅いので土砂が流入しても取り除くことが容易に出来る。
【0021】
このように落し錠の受け装置を落し錠受けガイド1と落し錠受け部2とに分割することにより、必ずしも正確な位置に落し錠の受け装置を設置していなくても、門扉取り付け時に上記調整することができ、従って、落し棒9をきちんと落し錠受け部2に落とし込むことができるので取り付けが容易となり、従来のように落とし棒9と落し錠受け部2との位置が一致しないために路面4を再度掘り上げ、落し錠の受け装置を付け直すといった作業がなくなるものである。
【0022】
なお以上は門扉について説明しているが、門扉でなく通常の室内扉等にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る落し錠の受け装置の分解断面図である。
【図2】図1に示す落し錠受け装置の施工断面図である。
【図3】図2の落し錠受け装置を上面より見た平面図である。
【図4】図2の落し錠受け装置で位置調整した状態を示す断面図である。
【図5】従来例の門扉の施工状態を示す概要図である。
【符号の説明】
【0024】
1 落し錠受けガイド
11 落し錠受けガイドの有底の円筒部
12 落し錠受けガイドの鍔部
13 ビス受け孔
14 ビス受け孔を有する板状体
2 落し錠受け部
21 落し錠受け部の有底の円筒部
22 落し錠受け部の鍔部
23 ビス貫通孔
24 落し錠受け部の鍔部に設けた垂下脚片
3 ビス
4 路面
5 門扉
6 落し錠保持具
7 落し錠の上部挿通部
8 落し錠の下部挿通部
9 落し棒
100 つまみ兼上部ストッパー
101 下部ストッパー
102 受け金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
落し錠受けガイドと落し錠受け部とその両者を一体に結合するビスとからなり、落し錠受けガイドは有底の円筒部とその底部中央にビス受け孔があり円筒部上端に外方に向いた鍔部を有し、落し錠受け部は落し錠受けガイドの円筒部に嵌合され調整移動可能な径の有底の円筒部と該円筒部上端に落し錠受けガイドの鍔部より幅広の鍔部および底部中央にビスの径より大なビス貫通孔が設けられ、ビスはその頭部がビス貫通孔より大である落し錠の受け装置。
【請求項2】
落し錠受けガイドの底部にビス受け孔を形成した板状体が一体に形成されている請求項1記載の落し錠の受け装置。
【請求項3】
落し錠受け部の円筒部の鍔部外周に垂下脚片を形成されている請求項1記載の落し錠の受け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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