説明

落とし錠

【課題】確実な操作で一部の扉の戸締まりができ、床面と扉の下框間の隙間からロッドが手や工具にて持ち上げられて不法に解錠されることのない落とし錠を提供する。
【解決手段】扉1の竪框2に掘り込むようにして取り付けられたベース本体5と、床面9などの扉1の固定位置に設けた受け孔10に係入するロッド8と、該ロッド8を上部にて保持して前記ベース本体5に対して摺動するジョイント部材11、該ジョイント部材11の上端部近傍に突起した形状で設けられた支点16とつまみ取付片20、並びに前記操作つまみ取付片20に装着されたロック部材15、並びに前記ロック部材15を回動するための摺動子19と操作つまみ6から構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、確実な操作で一部の扉の戸締まりができ、床面と扉の下框間の隙間からロッドが手や工具にて持ち上げられて不法に解錠されることのない新規な落とし錠を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
両開き扉の片側扉や、親子扉の子扉を通常は開かないように固定するために、該扉の竪框下方の召し合わせ部分に掘り込むようにしてロッドを取り付け、該ロッドを上げ下げして床面に差し込むことにより、戸締りをする建具金物として落とし錠がある。
【0003】
落とし錠は、多くの場合、扉の竪框上下の召し合わせ部分に埋め込まれるロッド(ボルトとも云う)を梃子の作用にて動作するレバーにより上げ下げして、該上げ下げロッドにて戸締りをするもので、使用する扉の種類や形状、並びに床面の仕上がりや形状によっては、該ロッドの上げ下げ行程(ストローク)が短いために床面に対してロッドが十分に差し込まれて係止されず、床面と扉の下框間の隙間から手や工具にてロッドを持ち上げられて不法に開錠されることがあった。
【0004】
而して、特開平9−158580の発明(以下、特許文献1と称する)は、特にガレージなどの門扉として使用される扉類を昇降動するロック棒によって施錠する上げ落し錠に関するものであり、詳しくは、外部からロック棒を上昇させて解錠されないようにした上げ落し錠に関するものが開示されている。
【0005】
特許文献1の発明は、昇降動して、下降した位置で受け部材に係入するロック棒を、扉類に取り付ける錠本体に具備した上げ落し錠において、扉類に固定する基板と、ロック棒を保持して基板に対して摺動するブロックとの両接合面に鋸歯形状の咬合部を形成し、ブロックを基板に仮固定するロック機構を錠本体に具備した上げ落し錠である。
【0006】
また、特許文献1の発明において、前記基板は貫通溝を有し、ロック機構は揺動可能なレバーを備え、前記基板の貫通溝の一方の面に前記ブロックが配置され、他方の面には前記レバーが配され、前記ブロックとレバーは連結され、レバーに揺動によってブロックは基板に押圧されて咬合部が嵌合することを特徴とする上げ落し錠である。
【0007】
そして、上記の構成により、特許文献1の発明に係る上げ落し錠は、ロック棒を保持するブロックとブロックが接合する基板とが、咬合部によって噛合するため、施錠した際にロック棒が上昇することがないようにすることができる。
【0008】
従って、特にガレージなどのように扉類の下面に空間が空けられていても、その空間部から手や工具などによって、ロック棒を把持して上昇させることができなくなる。すなわち、施錠された状態を確保できるため、セキュリティが向上すると共に受け穴の深さ等に併せて、ロック棒に出しろを任意に設定し、且つ任意位置でロック棒を固定することができる。
【0009】
また、特許文献1の上げ落し錠によれば、咬合部を鋸歯形状としたことにより、ロック棒を任意位置で仮固定することができるので、錠本体の取り付け位置や受け部材の深さなどの制約を受けることなく上記の効果を発揮することができるとされている。
【0010】
然しながら、特許文献1の発明は、ロック棒を保持して基板に対して摺動するブロックの咬合部と扉類に固定された基板に刻設された咬合部とをレバーの回動にて直接嵌合して固定させる動作となり、鋸歯形状の凹凸からなる咬合部を噛合せる場合に、ブロックと基板との位置関係が悪いと、ずれてしまって確実に仮固定の操作ができないばかりでなく、ブロックと基板間の咬合部が、早期に摩耗したり損傷してしまう欠点がある。
【0011】
また、ブロックの咬合部と基板に刻設された咬合部とをレバーの回動にて直接嵌合して仮固定させる動作は、前記ブロックと基板との位置関係が悪い場合あっても、該レバーの揺動時に噛合いの具合を確認できるクリック感がないことから、力を入れて無理にレバーを回動操作してしまいがちで、ブロックと基板間の咬合部が損傷する要因を常に内包している構成である。
【0012】
更に、特許文献1の発明は、ロック棒の受け部材(受け孔)が床面や地面にある場合において、石や土等の障害物で受け部材の受け孔が塞がってしまって、ブロックと基板間の咬合部がずれてしまい、該ブロックと基板間の咬合部が確実に噛合っているかを、レバーの揺動操作時のクリック感にて確認できない構成で、折角、床面と扉の下框間の隙間からロック棒が手や工具にて持ち上げられて不法に解錠されることのない機構を有する上げ下げ錠であっても、セキュリティ的には課題が残っている。
【特許文献1】特開平9−158580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
而して、本発明が解決しようとする課題は、上記特許文献1の発明の欠点を解消すると共に、操作つまみによるロッド(ロック棒)の上げ下げ操作の際に、ロック機構の噛合い状況が前記操作つまみによる摺動時のクリック感にて確認でき、該ロック機構の状況が良好であることを確認して、操作つまみの回動操作で確実に戸締まりが可能で、床面と扉の下框間の隙間からロッドが手や工具にて持ち上げられて不法に解錠されることのない落とし錠を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ロッドを下部にて保持しベース本体に対して摺動可能なジョイント部材は該ジョイント部材の上端部近傍に突起した形状で設けられるロック部材を揺動可能に載架できる支点と、該ロック部材を揺動させるためにロック部材の作用点に力を加えることの可能な傾斜部を有する摺動子を介して前記ジョイント部材と操作つまみを連結するつまみ取付片を有しており、前記ロック部材を揺動してロック部材の先端部に設けられた爪部を前記ベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部に押圧して係合することにより前記ロッドの上げ下げを停止して固定させることが可能であり、また、必要に応じて前記操作つまみを回動させ該操作つまみの下部に設けられた前記摺動子をつまみ取付片に対して摺動することで前記ロック部材の作用点に摺動子の傾斜部を係合し、前記ロック部材の爪部をベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部から離間可能で、該爪部を凹凸部から離間させた状態で前記ロッドの上げ下げ動作を操作つまみにて行えることを特徴とする落とし錠である。
【0015】
そして、本発明において、前記操作つまみを回動させることにより操作つまみの下部に設けられた摺動子をつまみ取付片に対して摺動させる手段は、該操作つまみの先端部に設けられた先端突起が摺動子のスライド穴に係合して回動する機構であることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記ロック部材をジョイント部材の上端部近傍に突起した形状で設けられる支点に載架して揺動する構成において、該ロック部材の先端部に設けられた爪部を前記ベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部に常に押圧して係合させている手段は、前記ジョイント部材とロック部材間に装着されたスプリングで、該スプリングによる前記爪部の凹凸部への係着はクリック感として前記操作つまみを介して操作する者に伝わる構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
而して、本発明は、特許文献1の従来発明の欠点を解消すると共に、操作つまみによるロッド(ロック棒)の上げ下げ操作の際に、ロック機構の噛合い状況が前記操作つまみによる摺動時のクリック感にて確認でき、該ロック機構の状況が良好であることを確認しながら、操作つまみの回動操作で確実に戸締まりが可能で、床面と扉の下框間の隙間からロッドが手や工具にて持ち上げられて不法に解錠されることのない落とし錠を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、ベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部に沿って摺動したり係着動作をする操作つまみ、摺動子、ロック部材、並びにジョイント部材からなり、該ジョイント部材に保持され上げ下げ動作するロッドにより、一部の扉の戸締りを行う落とし錠を提供するもので、従来の落とし錠の如く、ロッド(ボルトとも云う)を梃子の作用にて動作するレバーにて、上げ下げするものに比較して、該ロッドの上げ下げ行程(ストローク)長くすることが可能で使用する扉の種類や形状、並びに床面の仕上がりや形状にも幅広く対応できて、セキュリティ上も安全な落とし錠を提供することができた。
【0019】
更に、本発明はロッドの上げ下げ行程(ストローク)が長く、該行程中の摺動動作が確実に行える落とし錠を提供できることから、前記操作つまみの位置を、従来装置の如く扉下部近傍の竪框の中に埋め込んで設置したり、扉上部近傍の竪框の中に埋め込んで設置する必要がなく、前記ジョイント部材やロッドの長さを調整して製作することにより、屈んだり、背伸びして操作することが不要な扉中央部付近の竪框内に操作つまみを設置することができる落とし錠を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
而して、本発明に係る落とし錠は、扉の竪框に掘り込むようにして取り付けられるベース本体と、床面などの扉の固定位置に設けた受け孔に係入するロッド棒と、該ロッド棒を上部にて保持して前記ベース本体に対して摺動するジョイント部材、該ジョイント部材の上端部近傍に突起した形状で設けられた支点とつまみ取付片、そして該つまみ取付片に装着されたロック部材、並びに前記ロック部材を回動するための摺動子と操作つまみから構成されている。
【0021】
そして、前記ロッドを下部にて保持しベース本体に対して摺動可能なジョイント部材は、該ジョイント部材の上端部近傍に突起した形状で設けられるロック部材を揺動可能に載架できる支点と、該ロック部材を揺動させるためにロック部材の作用点に力を加えることの可能な傾斜部を有する摺動子を介して前記ジョイント部材と操作つまみを連結するつまみ取付片を有しており、前記ロック部材を揺動してロック部材の先端部に設けられた爪部を前記ベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部に押圧して係合することにより前記ロッドの上げ下げを停止して固定させることが可能である。
【0022】
また、必要に応じて前記操作つまみを回動させ、該操作つまみの下部に設けられた前記摺動子をつまみ取付片に対して摺動することで前記ロック部材の作用点に摺動子の傾斜部を係合し、前記ロック部材の爪部をベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部から離間可能で、該爪部を凹凸部から離間させた状態で前記ロッドの上げ下げ動作を操作つまみにて行える落とし錠である。
【0023】
斯くして、本発明の具体的な機構で重要な部分は、前記操作つまみを回動させることにより操作つまみの下部に設けられた摺動子をつまみ取付片に対して摺動させる手段は、該操作つまみの先端部に設けられた先端突起が摺動子のスライド穴に係合して回動する機構である。
【0024】
また、前記ロック部材をジョイント部材の上端部近傍に突起した形状で設けられる支点に載架して揺動する構成において、該ロック部材の先端部に設けられた爪部を前記ベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部に押圧して係合させる手段は、前記ジョイント部材とロック部材間に装着されたスプリングで、該スプリングによる前記爪部の凹凸部への係着はクリック感として前記操作つまみを介して操作する者に伝わる構成としている。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例を図1乃至図10に基いて説明する。図1は本発明の実施例を説明する斜視図であり、両開き門扉の片側の扉1を示している。
【0026】
扉1は竪框2の召し合わせ部分3を図示して、該召し合わせ部分3に本発明の落とし錠4のベース本体5を掘り込むようにして設置されている。
【0027】
そして、6は落とし錠4の操作つまみ、7は該操作つまみをスライドさせるための貫通溝であり、前記落とし錠4に保持され上げ落しされるロッド8は、床面9に埋設された受け孔10に挿着され、扉1を所定位置に固定して、戸締りをしている。
【0028】
図2は本発明の落とし錠を説明する要部断面図であり、2は扉1の竪框を示し該竪框2に落とし錠4は埋め込み設置されている。
図2において、5は落とし錠4のベース本体、6は操作つまみ、7は操作つまみ4をスライドさせるための貫通溝、8は上げ落し操作されるロッドを示している。
【0029】
而して、図2は前記ロッド8を竪框2内に収納して、扉1は床面等に固定されていない状態を示し、ロッド8はその上部でジョイント部材11にビス12を介して固着されている。ジョイント部材11はその上部でガイドカバー13にて保持され、また、下部でガイドアーム14にてスライド可能に保持されている。
【0030】
ロッド8を保持するジョイント部材11は上端部近傍にロック部材15を揺動可能に載架できる支点16と、該ロック部材15を揺動させるためにロック部材11の作用点17(図3に示す)に力を加えることの可能な傾斜部18(図3にしめす)を有する摺動子19を介して、前記ジョイント部材11と操作つまみ6を連結するつまみ取付片20を有している。
【0031】
また、前記ロック部材15を揺動してロック部材15の先端部に設けられた爪部21を前記ベース本体4のプレート部22の内側面に刻設されたラック形状の凹凸部23に押圧して係合することにより、図2の如くロッド8を竪框2内に収納した状態でロッド8上げ下げを停止することができる。
【0032】
図3は図2にて説明した本発明の落とし錠を説明する分解図である。図3において、5はベース本体、6は操作つまみ、7は貫通溝、8はロッド、11はジョイント部材、12はビス、13はガイドカバー、14はガイドアーム、15はロック部材、16は支点、17は作用点、18は傾斜部、19は摺動子、20はつまみ取付片、21は爪部、22はプレート部、23は凹凸部である。
【0033】
尚、図3において、24は操作つまみ6とつまみ取付片20を回動可能に連結する軸材、25はジョイント部材11とロック部材15間に設けられたスプリングで、該スプリング25は常にロック部材15をプレート部材22に押圧し、ロック部材15の爪部21を凹凸部に係合している。26、26は固定用ビスでベース本体5を竪框2に設置するものである。
【0034】
図4、図5は、図3にて示した操作つまみ6と摺動子19並びにロック部材15の形状を拡大図示した説明図であり、摺動子19は図4にてその表面形状を図示すると共に、図5においては、その裏面形状をしめしている。
【0035】
図4、図5において、6は操作つまみ、19は摺動子、15はロック部材であり、24軸材で、該軸材24は、はそれぞれの部材に穿設された取付用の貫通穴27、28を貫通して外部側に突起してくる前記つまみ取付片20を操作つまみ6に回動可能に連結する。
【0036】
また、摺動子19に穿設された貫通穴28の両側には摺動溝29、29が設けてあり、前記操作つまみ6の先端部に設けられた先端突起30、30が係合されている。そして、該先端突起30、30は、操作つまみ6の回動により、前記プレート部22の面上を狭い範囲で摺動し、該摺動子19の動きで摺動子19の裏面に設けられた傾斜部18がロック部材15の作用点17に作用する。
【0037】
従って、該ロック部材15の作用点に加わる力はロック部材15の爪部21をスプリング25に逆らって離間させ、今度は、操作つまみ6を前記貫通溝7に沿ってスライド可能にして、該スライド操作にて、ロッド8の上げ下げが任意にできる。
尚、図5のロック部材15に設けられている載架部31、31は前記ジョイント部材11の上部に設けられた支点16を係合するものである。
【0038】
斯くして、図2を含めて、図6乃至図9は、本発明の動作説明図となる。図6乃至図9において、図2と同一符号は同一構成要素を示している。
【0039】
図2は、操作つまみ6を下方に下げた状態で、ロッド8を竪框2内に収納して、扉1は床面等に固定されていない状態を示している。
【0040】
次に、図6は操作つまみ6を少し上方に起こした状態で、操作つまみ6の先端突起30が、摺動溝29に係合しており、操作つまみ6の回動により、前記プレート部22の面上を摺動し9が狭い範囲で少し摺動した状態を示している。
【0041】
図7は操作つまみ6が90度回動した状態を示し、前記摺動子19の動きが固定されると同時に摺動子19の傾斜部18がロック部材15の作用点17に係合して、ロック部材15の爪部21が凹凸部23から離れ、前記摺動子19、ロック部材15、そして、ジョイント部材11が摺動自在となり、ロッド8の上げ落し動作が可能になります。
【0042】
而して、図7による前記摺動子19の動きは、図10の拡大断面図に図示してあります。即ち、想像線にて示す爪部21は摺動子19の傾斜部18に係合してロック部材15の作用点17を押しのけロック部材15の爪部21が凹凸部23から離れジョイント部材11が摺動自在となるものです。
【0043】
図8は前記図7の状態で操作つまみ6を押し下げ、ロッド8を竪框の外に伸張して、床面9に設けられた受け孔に挿着し、扉1の戸締りを図1の如く完了させることが可能です。
【0044】
図9は、図8の状態をロックさせるもので、操作つまみ6を下方に倒して扉の召し合わせ部3に収納可能です。
【0045】
而して、本発明に係る落とし錠4は、扉1の竪框2に掘り込むようにして取り付けられたベース本体5と、床面9などの扉1の固定位置に設けた受け孔10に係入するロッド8と、該ロッド8を上部にて保持して前記ベース本体5に対して摺動するジョイント部材11、該ジョイント部材11の上端部近傍に突起した形状で設けられた支点16とつまみ取付片20、そして前記操作つまみ取付片20に装着されたロック部材15、並びに前記ロック部材15を回動するための摺動子19と操作つまみ6から構成されている。
【0046】
前記落とし錠4のベース本体5は、通常両開き扉の片側扉や親子扉の子扉が開かないように固定するためのもので、該扉1の竪框2の召し合わせ部3に掘り込むようにして固定ビス26にて固着されている。
【0047】
また、ベース本体5は竪框2の内部側にL字形状折り曲げられた保持アーム32を有し、該保持アーム32の先端には、前記ジョイント部材のガイドカバー13が設けられており、更にベース本体5の下端部にはガイドアーム14が設けられていて、ジョイント部材11は前記ガイドカバー13とガイドアーム14により上下動可能に保持されて上げ落し動作をなし、該上下動をジョイント部材11の下端に設けられたロッド8に伝達する。
【0048】
そして、ベース本体5の外観を構成するプレート部22の中央には貫通溝7が穿設されており、該貫通溝7の外部側には摺動子の摺動を方向付ける縁部が設けられている。
【0049】
ベース本体5のプレート部22内側面で前記貫通溝7の両側には図に示すようなラック形状の凹凸部23が刻設されており、該凹凸部23は前記ロック部材15の先端部に設けられた爪部21が係合している。
【0050】
前記ロック部材15の爪部21の凹凸部23への係合は、前記ジョイント部材11の上部近傍において突起した形状で設けられている支点16に載架され、該支点16を中心に回動可能であるが、通常は前記ジョイント部材11とロック部材15間に設けられたスプリング25によって、常にラック形状の凹凸部23に押圧されているために、ロック部材15の爪部21はプレート部22内画面に刻設された凹凸部23に係合している。
【0051】
また、ジョイント部材11の上部近傍で突起した形状で設けられるつまみ取付片20は、前記プレート部22の中央部に穿設された貫通溝7を貫通し、且つ前記摺動子19の貫通穴28を貫通してベース本体5の外部側に突起している。そして、前記操作つまみ6は外部側に突起した操作つまみ取付片20の先端部に軸材24にて連結され、回動可能に設置されている。
【0052】
そして、本発明は、前記操作つまみ6を操作することで、ロッド8の上げ下ろしを行えるものである。
【0053】
また、本発明は、必要に応じて前記操作つまみ6を回動させ、該操作つまみ6の下部に設けられた前記摺動子をつまみ取付片に対して摺動することで前記ロック部材の作用点17に摺動子19の傾斜部18を係合し、前記ロック部材11の爪部21をベース本体のプレート22部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部23から離間可能で、該爪部21を凹凸部23から離間させた状態で前記ロッド8の上げ下げ動作を操作つまみ6にて行える落とし錠である。
【0054】
次に、本発明の具体的な機構で重要な部分は、前記操作つまみ6を回動させることにより操作つまみ6の下部に設けられた摺動子19をつまみ取付片20に対して摺動させる手段は、該操作つまみ6の先端部に設けられた先端突起30が摺動子19の摺動子19に係合して回動する機構である。
【0055】
また、前記ロック部材15をジョイント部材11の上端部近傍に突起した形状で設けられる支点16に載架して揺動する構成において、該ロック部材15の先端部に設けられた爪部21を前記ベース本体5のプレート部22内側面に刻設されたラック形状の凹凸部23に押圧して係合させる手段は、前記ジョイント部材11とロック部材15間に装着されたスプリング25で、該スプリング25による前記爪部21の凹凸部23への係着はクリック感として前記操作つまみ6を介して操作する者に伝わる構成としている。
【0056】
尚、本発明の実施例は扉と床面間の戸締りを例にとり説明してきたが、本発明は、該実施例に限定されるものではなく、扉と上枠との固定、戸締りに関してもそのまま利用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
斯くして、本発明は、確実な操作で一部の扉の戸締まりができ、床面と扉の下框間の隙間からロッドが手や工具にて持ち上げられて不法に解錠されることのない新規な落とし錠を提供するもので産業上の利用価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明実施部位を説明する斜視図である。
【図2】本発明の実施例を説明する要部断面図である。
【図3】本発明の実施例を説明する組み立て図である。
【図4】図3の要部を説明する拡大斜視図である。
【図5】図3の要部を説明する拡大斜視図である。
【図6】本発明の実施例と動作を説明する要部断面図である。
【図7】本発明の実施例と動作を説明する要部断面図である。
【図8】本発明の実施例と動作を説明する要部断面図である。
【図9】本発明の実施例と動作を説明する要部断面図である。
【図10】本発明の動作を説明する要部拡大図である。
【符号の説明】
【0059】
1 扉
2 竪框
3 召し合わせ部
4 落とし錠
5 ベース本体
6 操作つまみ
7 貫通溝
8 ロッド
9 床面
10 受け孔
11 ジョイント部材
12 ビス
13 ガイドカバー
14 ガイドアーム
15 ロック部材
16 支点
17 作用点
18 傾斜部
19 摺動子
20 つまみ取付片
21 爪部
22 プレート部
23 凹凸部
24 軸材
25 スプリング
26 固定用ビス
27 貫通穴
28 貫通穴
29 摺動溝
30 先端突起
31 載架部
32 保持アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドを下部にて保持しベース本体に対して摺動可能なジョイント部材は該ジョイント部材の上端部近傍に突起した形状で設けられるロック部材を揺動可能に載架できる支点と、
該ロック部材を揺動させるためにロック部材の作用点に力を加えることの可能な傾斜部を有する摺動子を介して前記ジョイント部材と操作つまみを連結するつまみ取付片を有しており、
前記ロック部材を揺動してロック部材の先端部に設けられた爪部を前記ベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部に押圧して係合することにより前記ロッドの上げ下げを停止して固定させることが可能であり、
また、必要に応じて前記操作つまみを回動させ該操作つまみの下部に設けられた前記摺動子をつまみ取付片に対して摺動することで前記ロック部材の作用点に摺動子の傾斜部を係合し、
前記ロック部材の爪部をベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部から離間可能で、
該爪部を凹凸部から離間させた状態で前記ロッドの上げ下げ動作を操作つまみにて行えること、
を特徴とする落とし錠。
【請求項2】
前記操作つまみを回動させることにより操作つまみの下部に設けられた摺動子をつまみ取付片に対して摺動させる手段は該操作つまみの先端部に設けられた先端突起が摺動子のスライド穴に係合して回動する機構であること、
を特徴とする請求項1に記載の落とし錠。
【請求項3】
前記ロック部材をジョイント部材の上端部近傍に突起した形状で設けられる支点に載架して揺動する構成において、該ロック部材の先端部に設けられた爪部を前記ベース本体のプレート部内側面に刻設されたラック形状の凹凸部に押圧して係合させる手段は前記ジョイント部材とロック部材間に装着されたスプリングで、
該スプリングによる前記爪部の凹凸部への係着はクリック感として前記操作つまみを介して操作する者に伝わる構成としたこと、
を特徴とする請求項1に記載の落とし錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−303595(P2008−303595A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151129(P2007−151129)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(593099104)タカラ産業株式会社 (40)