説明

落下防止シャッター

【課題】ワーク、例えば、重量物のエンジン等が落下しても、閉姿勢を保持して、ワークを床面に落下させない落下防止シャッターを提供する。
【解決手段】本落下防止シャッター1は、対向する先端枠部7a、7a’が互いに近接・遠退自在な一対のシャッター本体3、3’と、閉状態で、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’間に配置され、エンジン2が落下した際、各シャッター本体3、3’の閉姿勢を保持する閉金具5とを備えているので、エンジン2が各シャッター本体3、3’に落下しても、閉金具5によりシャッター本体3、3’の閉姿勢が保持されて、エンジン2が床面に落下されることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク、例えば、エンジンの下方に配置され、エンジンがオーバーヘッドコンベアにより搬送される際、エンジンの床面への落下を防ぐ落下防止シャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図7及び図8に示すように、自動車の組立工場には、エンジン(ワーク)2の搬送方向に沿って、エンジン2の床面Fへの落下を防ぐ落下防止シャッター50が複数配置されている。
そこで、従来の落下防止シャッター50は、支持枠体6と、支持枠体6の一辺から進退動するシャッター本体(図7の網掛け部分)3とを備えたシャッターユニットが、シャッター本体3が進退する方向に互いに向き合うように一対配置されて構成されている。この落下防止シャッター50は、各シャッター本体3の進退動によって開閉される箇所がエンジン2の搬送方向に沿うように複数並設される(図7では2台並設されている)。なお、図8に示すように、落下防止シャッター50は、床面Fから2m〜3mの高さに配設されており、落下防止シャッター50の下方は作業者が作業できる環境になっている。
【0003】
また、図8に示すように、落下防止シャッター50の各シャッター本体3にはシリンダ12がそれぞれ連結されており、各シリンダ12の駆動により、各シャッター本体3、3は、対向する先端部が互いに近接・遠退するようにスライドする。
そして、オーバーヘッドコンベア11によりエンジン2が搬送される際には、落下防止シャッター50は、各シャッター本体3の対向する先端部が互いに近接されて閉じた状態となり、一方、エンジン2を搬送するため作業台51等から吊り上げる際、また、エンジン2をオーバーヘッドコンベア11から作業台51等に降ろす際には、落下防止シャッター50は、各シャッター本体3の対向する先端部が互いに遠退されて開いた状態となる。
【0004】
しかしながら、図8から解るように、従来の落下防止シャッター50は、各シャッター本体3が各支持枠体6に片持ちで支持されているために、重量物のエンジン2が各シャッター本体3に落下した場合、各シャッター本体3がその落下衝撃に耐えられず、各支持枠体6との支持点25を中心に両開き状態となり、エンジン2を床面Fに落下させてしまう虞があった。
また、落下防止シャッター50は、作業上の諸事情から床面Fからの高さがより低い方が良いとされており、エンジン2と落下防止シャッター50との間を高くすると、エンジン2の落下衝撃力がさらに大きくなるために、従来の落下防止シャッター50の強度をかなり上げる必要があり、それに伴う重量UP、開閉衝撃震動、騒音、高頻度開閉耐久性に問題が発生する。
【0005】
なお、エンジン2の重量は、車種によって異なるが約500kg程度であり、オーバーヘッドコンベア11に吊り下げられたエンジン2と落下防止シャッター50との間は0.5m〜2mであり、エンジン2がオーバーヘッドコンベア11から落下した際、落下防止シャッター50への落下衝撃力は相当なものになる。
【0006】
上述した問題の解決方法として、各シャッター本体3の剛性を高めるべく、シャッター本体3を形成する角型パイプの板厚を厚くしたり、各シャッター本体3を全体的にサイズアップする方法が考えれる。しかしながら、これらの解決方法を採用すると、鋼材のサイズUP、それに伴うシリンダー能力UPなど設備費が高くなる。また、シャッター機能としては素早く開閉することが要求されているが、重量UPに伴う開閉端の衝撃を避ける為、開閉速度をおさえる必要があり、開閉時間が長くなる。開閉時間が長くなることは作業者の安全確保という点で好ましくない。
なお、この問題を解決した落下防止シャッターは、現時点までに開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の落下防止シャッターでは、重量物のエンジン等が各シャッター本体に落下した場合、各シャッター本体がその落下衝撃に耐えられずに、エンジンを床面に落下させてしまう虞があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ワーク、例えば、重量物のエンジン等が落下しても、閉姿勢を保持して、ワークを床面に落下させない落下防止シャッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の落下防止シャッターは、対向する先端部が互いに近接・遠退自在な一対のシャッター本体と、閉状態で、前記各シャッター本体の対向する先端部間に配置され、前記ワークが落下した際、前記各シャッター本体の閉姿勢を保持する閉金具とを備えていることを特徴としている。
これにより、ワークが各シャッター本体に落下しても、閉金具により各シャッター本体の閉姿勢が保持されるために、ワークが床面に落下することはない。
なお、本発明の落下防止シャッターの各種態様およびそれらの作用については、以下の発明の態様の項において詳しく説明する。
【0010】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項、(2)項、(4)項、(5)項の各々が、請求項1乃至4の各々に相当する。
【0011】
(1)ワークの下方に配置され、ワークの床面への落下を防ぐ開閉自在の落下防止シャッターにおいて、対向する先端部が互いに近接・遠退自在な一対のシャッター本体と、閉状態で、前記各シャッター本体の対向する先端部間に配置され、前記ワークが落下した際、前記各シャッター本体の閉姿勢を保持する閉金具と、を備えていることを特徴とする落下防止シャッター。
従って、(1)項の落下防止シャッターでは、ワークが各シャッター本体に落下しても、閉金具により各シャッター本体の閉姿勢が保持されるために、ワークが床面に落下することはない。
【0012】
(2)前記閉金具は、一方のシャッター本体に固定され、他方のシャッター本体側に延びる挿入部材と、他方のシャッター本体に固定され、閉状態で、前記挿入部材を受け入れる受入部材と、からなることを特徴とする(1)項に記載の落下防止シャッター。
従って、(2)項の落下防止シャッターでは、閉状態では、一方のシャッター本体に固定される挿入部材が、他方のシャッター本体に固定された受入部材に挿入されているので、ワークが各シャッター本体に落下しても、各シャッター本体が両開きすることなく閉姿勢を保持することができる。
【0013】
(3)前記挿入部材は、下方が開放された断面コ字状であることを特徴とする(2)項に記載の落下防止シャッター。
従って、(3)項の落下防止シャッターでは、ワークの落下衝撃力に対して、各シャッター本体の閉姿勢を保持する力をさらに向上させることができる。
【0014】
(4)前記閉金具は、前記ワークが落下した際、各シャッター本体の対向する先端部に跨るように係合する断面コ字状の連結部材と、該連結部材の各対向板部の下面が各シャッター本体の上面よりも上方に位置するように、該連結部材を一方のシャッター本体に固定して、ワークの落下衝撃力により圧潰する圧潰部材と、からなることを特徴とする(1)項に記載の落下防止シャッター。
従って、(4)項の落下防止シャッターでは、ワークが各シャッター本体に落下すると、ワークの衝突により圧潰部材が圧潰されると共に、連結部材の各対向板部が各シャッター本体の対向する先端部に係合して、各シャッター本体が連結される。これにより、ワークが各シャッター本体に落下しても、各シャッター本体が両開きすることなく閉姿勢を保持することができる。
【0015】
(5)前記閉金具は、一方のシャッター本体に固定され、閉状態において、他方のシャッター本体の先端部に、先端のフック部が係合するフック状連結体で構成されることを特徴とする(1)項に記載の落下防止シャッター。
従って、(5)項の落下防止シャッターでは、閉状態になると、一方のシャッター本体に固定されたフック状連結部材が、他方のシャッター本体の先端部に係合して、各シャッター本体が連結される。これにより、ワークが各シャッター本体に落下しても、各シャッター本体が両開きすることなく閉姿勢を保持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワーク、例えば、重量物のエンジン等が落下しても、閉姿勢を保持して、ワークを床面に落下させない落下防止シャッターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図6に基いて詳細に説明する。なお、従来例と同一部材は同一符号を使用して説明する。
本発明の実施の形態に係る落下防止シャッター1は、図1〜図6に示すように、開閉自在で、エンジン(ワーク)2(図8参照)の下方に配置され、エンジン2の床面Fへの落下を防ぐものであり、対向する先端枠部7a、7a’が互いに近接・遠退自在な一対のシャッター本体3、3’と、閉状態で、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’間に配置され、エンジン2が落下した際、各シャッター本体3、3’の閉姿勢を保持する閉金具5,5aまたは5bとを備えている。なお、本落下防止シャッター1は、エンジン2がオーバーヘッドコンベア11(図8参照)により搬送される際、エンジン2の床面Fへの落下を防ぐために、エンジン2の搬送方向に沿って複数並設されている。
【0018】
シャッター本体3、3’は、図1に示すように、支持枠体6、6の一辺から進退動可能に支持されている。シャッター本体3、3’は、角型パイプで構成され、矩形状の枠体7と、該枠体7の内部に間隔を置いて複数(本実施の形態では3本)配設される受止シャフト8とから構成されている。各受止シャフト8は、シャッター本体3、3’が支持枠体6、6から進退動する方向と同方向に延びている。また、シャッター本体3、3’にはそれぞれシリンダ12、12が連結されており、各シャッター本体3、3’は、各シリンダ12、12の駆動により、各支持枠体6、6から進退動する構成になっている。
【0019】
そして、本落下防止シャッター1は、支持枠体6と、支持枠体6の一辺から進退動するシャッター本体3または3’とを備えたシャッターユニットが、シャッター本体3、3’が進退動する方向に互いに向き合うように一対配置されて構成される。そして、閉状態にするには、各シリンダ12、12を駆動させ、一対のシャッター本体3、3’を、その対向する先端枠部7a、7a’が互いに近接する方向にスライドさせる。また、開状態にするには、各シリンダ12、12を駆動させ、一対のシャッター本体3、3’を、その対向する先端枠部7a、7a’が互いに遠退する方向にスライドさせる。
なお、閉状態とは、一対のシャッター本体3、3’が、その対向する先端枠部7a、7a’が互いに近接する方向にスライドされ、一対のシャッター本体3、3’の各先端枠部7a、7a’が間隔をあけて近接した状態(図1〜図4に示す本実施の形態)と、各先端枠部7a、7a’が接触した状態との両方を含むものである。
【0020】
次に、第1の実施の形態に係る閉金具5を、図1に基いて説明する。
第1の実施の形態に係る閉金具5は、一方のシャッター本体3の先端枠部7aに固定され、他方のシャッター本体3’側に延びる挿入部材13と、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’に固定され、閉状態で、挿入部材13を受け入れる受入部材14とから構成されている。
【0021】
挿入部材13は、所定長さを有する断面コ字状に形成されている。挿入部材13は、開放側が下方を向くように、一方のシャッター本体3の先端枠部7aの上面に、該先端枠部7aに沿って間隔を置いて複数(本実施の形態では4個)固定されている。しかも、各挿入部材13は、一方のシャッター本体3の先端枠部7aから他方のシャッター本体3’側に突出するように固定されている。
なお、本実施の形態では、各挿入部材13は、所定長さの断面コ字状で形成されているが、円柱状でも良いし、角柱状でも良く、その形状は、エンジン2の落下衝撃に対して最も有利な形状が採用される。
一方、受入部材14は、ブロック体で、挿入部材13を受け入れる略矩形状の貫通孔を有している。受入部材14は、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’の上面に、一方のシャッター本体3の先端枠部7aに設けた各挿入部材13と対応する位置に複数(本実施の形態では4個)固定されている。
【0022】
そして、第1の実施の形態に係る閉金具5では、一対のシャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’が互いに近接して閉状態になると、一方のシャッター本体3の先端枠部7aに固定された各挿入部材13が、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’に固定された各受入部材14の貫通孔に挿入された状態となる。
これにより、エンジン2が一対のシャッター本体3、3’に落下した場合、各挿入部材13が各受入部材14内でこじる現象が発生し、各挿入部材13と各受入部材14とが一体的になり、各シャッター本体3、3’の先端枠部7a、7a’の近接した状態が保持され、各シャッター本体3、3’が、各支持枠体6との支持点を中心に両開きすることなく閉姿勢を保持することができる。
【0023】
なお、第1の実施の形態に係る閉金具5では、挿入部材13及び受入部材14を、各シャッター本体3、3’の各先端枠部7a、7a’に複数備えておりこの形態が最良であるが、落下衝撃力の大きさによって、挿入部材13及び受入部材14を、各シャッター本体3、3’の各先端枠部7a、7a’の略中央付近に1箇所備えてもよい。
【0024】
次に、第2の実施の形態に係る閉金具5aを、図2〜図5に基いて説明する。
第2の実施の形態に係る閉金具5aは、図2及び図3に示すように、エンジン2が落下した際、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’を跨るように係合する断面コ字状の連結部材15と、該連結部材15の各対向板部16の下面が、各シャッター本体3、3’の枠体7の上面よりも上方に位置するように、連結部材15を一方のシャッター本体3に固定して、エンジン2の落下衝撃力により圧潰する圧潰部材18とからなる。
【0025】
連結部材15は、図2〜図4に示すように、エンジン2が各シャッター本体3、3’に落下した際、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’に跨るように係合する断面コ字状に形成されている。また、連結部材15の各対向板部16、16の下端には、爪部17、17が内方に向かって突設されている。なお、連結部材15の各対向板部16、16間の距離は、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’が近接または接触して閉じた状態で、各先端枠部7a、7a’を跨り係合できる距離に設定されている。
また、連結部材15の長さは、隣接する受止シャフト8、8の間や、受止シャフト8と枠体7の側方枠部7bとの間に納まる長さに設定されている。
【0026】
また、連結部材15は、図2〜図4に示すように、一方のシャッター本体3の先端枠部7aの上方で、該先端枠部7aに沿って間隔をおいて複数(本実施の形態では4個)配置されると共に、各連結部材15の片側の対向板部16が、一方のシャッター本体3の先端枠部7aの内側に位置するように配置される。各連結部材15の上面には、断面コ字状でシャッター本体3の先端枠部7aと同じ方向に延びる結合部材20が、開放部位を下方に向けた状態で溶着されている。
図2に示すように、隣接する連結部材15、15の間(本実施の形態では3箇所)に、薄い板材で断面く字状に形成された圧潰部材18がそれぞれ配置されている。各圧潰部材18は、図4及び図5に示すように、その下面が、一方のシャッター本体3の先端枠部7aの上面にそれぞれ溶着されると共に、その上面が、結合部材20の天板部21の下面にそれぞれ溶着されている。
【0027】
その結果、各連結部材15は、図4に示すように、その各対向板部16の下面が、各シャッター本体3、3’の枠体7の上面よりも高い位置に配置された状態で、一方のシャッター本体3の先端枠部7aに固定される。
なお、第2の実施の形態に係る閉金具5aが採用される際には、図3及び図4に示すように、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’の内面には、連結部材15の各対向板部16、16の下端に設けた爪部17、17が係止される断面三角状の係止部19、19が内方に向かってそれぞれ突設されている。
【0028】
そして、第2の実施の形態に係る閉金具5aでは、一対のシャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’が互いに近接して閉状態になると、図4に示すように、一方のシャッター本体3の先端枠部7aに、各圧潰部材18及び結合部材20を介して固定された各連結部材15は、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’に干渉することなく、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’の上方に跨るように配置される。
これにより、エンジン2が各シャッター本体3、3’に落下した場合には、各圧潰部材18がエンジン2の落下衝撃力により圧潰されると共に、各連結部材15の各対向板部16、16が、各シャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’に跨るように係合し、且つ、各連結部材15の各対向板部16、16の下端に設けた爪部17、17が、各シャッター本体3、3’の各先端枠部7a、7a’の内面に設けた係止部19、19の下面にそれぞれ係合されて、各シャッター本体3、3’が連結される。その結果、各シャッター本体3、3’が、各支持枠体6、6との支持点を中心に両開きすることなく閉姿勢を保持することができる。
【0029】
なお、図2〜図5に示す第2の実施の形態に係る閉金具5aでは、各圧潰部材18及び結合部材20を使用して、各連結部材15の各対向板部16の下面が、各シャッター本体3、3’の枠体7の上面よりも高い位置に配置されるように構成されており、各連結部材15を安定させることができ最良の形態であるが、必ずしも、結合部材20を備える必要はない。すなわち、各圧潰部材18の上面を、直接、各連結部材15の天板部の下面に溶着すると共に、各圧潰部材18の下面を、一方のシャッター本体3の先端枠部7aの上面に固定する形態を採用してもよく、また、連結部材15及び圧潰部材18を各1個で構成してもよい。
【0030】
次に、第3の実施の形態に係る閉金具5bを、図6に基いて説明する。
第3の実施の形態に係る閉金具5bは、一方のシャッター本体3の先端枠部7aに固定され、閉状態において、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’に、先端のフック部28が係合するフック状連結体25で構成されている。なお、図示していないが、本実施の形態では、フック状連結体25は、一方のシャッター本体3の先端枠部7aの上面に、該先端枠部7aに沿って間隔を置いて複数固定されている。
フック状連結体25は、一方のシャッター本体3の先端枠部7aに固定されるベース部26と、該ベース部26に軸部27を介して回動自在に連結され、先端にフック部28を有する回動本体部29と、該回動本体部29に連結されるシリンダ30とから構成されている。
【0031】
そして、第3の実施の形態に係る閉金具5bでは、一対のシャッター本体3、3’の対向する先端枠部7a、7a’が互いに近接して閉状態になると、各シリンダ30の駆動により、各フック状連結体25の回動本体部29が他方のシャッター本体3’側に回動し、各回動本体部29の先端のフック部28が、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’に係合されて、各シャッター本体3、3’が連結される。
なお、フック状連結体25のフック部28と、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’との係合は、エンジン2が各シャッター本体3、3’に落下した際の衝撃により、各シャッター本体3、3’の先端枠部7a、7a’が容易に離間しないように、フック状連結体25のフック部28を、他方のシャッター本体3’の先端枠部7a’の下端付近まで奥深く係合させる必要がある。
これにより、エンジン2が各シャッター本体3、3’に落下した場合、各シャッター本体3、3’は各フック状連結体25により連結されているので、各シャッター本体3、3’が、各支持枠体6、6との支持点を中心に両開きすることなく閉姿勢を保持することができる。
【0032】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る落下防止シャッター1では、第1〜第3の実施の形態に係る閉金具5,5aまたは5bのいずれかを採用しているので、エンジン2が各シャッター本体3、3’に落下した場合でも、各シャッター本体3、3’が、各支持枠体6、6との支持点を中心に両開きすることなく閉姿勢を保持することができ、エンジン2の床面Fへの落下を防止することができる。
また、本発明の実施の形態に係る落下防止シャッター1では、既存のシャッター本体3、3’に、第1〜第3の実施の形態に係る閉金具5,5aまたは5bのいずれかを装着すればよいので、実用化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る落下防止シャッターを示し、第1の実施の形態に係る閉金具を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る落下防止シャッターを示し、第2の実施の形態に係る閉金具を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2のA部の拡大図である。
【図4】図4は、図3のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図5は、図3のC−C線に沿う断面図である。
【図6】図6は、第3の実施の形態に係る閉金具を示す側面図である。
【図7】図7は、従来の落下防止シャッターの上面図である。
【図8】図8は、従来の落下防止シャッターの側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 落下防止シャッター, 2 エンジン(ワーク),3、3’ シャッター本体,5、5a、5b 閉金具,7a、7a’ 先端枠部(先端部),13 挿入部材,14 受入部材,15 連結部材,16 対向板部,18 圧潰部材,20 結合部材,25 フック状連結体,28 フック部,F 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの下方に配置され、ワークの床面への落下を防ぐ開閉自在の落下防止シャッターにおいて、
対向する先端部が互いに近接・遠退自在な一対のシャッター本体と、
閉状態で、前記各シャッター本体の対向する先端部間に配置され、前記ワークが落下した際、前記各シャッター本体の閉姿勢を保持する閉金具と、
を備えていることを特徴とする落下防止シャッター。
【請求項2】
前記閉金具は、一方のシャッター本体に固定され、他方のシャッター本体側に延びる挿入部材と、
他方のシャッター本体に固定され、閉状態で、前記挿入部材を受け入れる受入部材と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の落下防止シャッター。
【請求項3】
前記閉金具は、前記ワークが落下した際、各シャッター本体の対向する先端部に跨るように係合する断面コ字状の連結部材と、
該連結部材の各対向板部の下面が各シャッター本体の上面よりも上方に位置するように、該連結部材を一方のシャッター本体に固定して、ワークの落下衝撃力により圧潰する圧潰部材と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の落下防止シャッター。
【請求項4】
前記閉金具は、一方のシャッター本体に固定され、閉状態において、他方のシャッター本体の先端部に、先端のフック部が係合するフック状連結体で構成されることを特徴とする請求項1に記載の落下防止シャッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−156378(P2009−156378A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336542(P2007−336542)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】