落書き・貼り紙除去剤
【課題】人体に安全で無害であり、水質汚染にも影響を及ぼさず、塗装作業時にも引火性がなく、かつ、塗装作業が容易な落書き・張り紙除去剤を提供すること。
【解決手段】酸化ジルコニウムのエマルジョン４０重量％〜９０重量％と、液状パラフィン７重量％〜２０重量％と、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョン２．５重量％〜８重量％と、水２重量％〜７．５重量％とを配合してなる落書き・貼り紙除去剤。
【解決手段】酸化ジルコニウムのエマルジョン４０重量％〜９０重量％と、液状パラフィン７重量％〜２０重量％と、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョン２．５重量％〜８重量％と、水２重量％〜７．５重量％とを配合してなる落書き・貼り紙除去剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、建築物の壁面等に書かれた落書きや、街頭構造物に違法に貼られた貼り紙を、建築物や街頭構造物の基材や塗膜に損傷を与えることなく、作業者に安全で、かつ容易に除去することのできる新規な落書き・貼り紙除去剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、街中のいたるところでペンキスプレーを主とした落書きや、違法な貼り紙の被害が多発し、社会問題化しているのは周知の通りである。このような落書きや貼り紙は、建築物や街頭構造物の価値低減を招くばかりか、その景観をも著しく損ねているため、これらを除去する対策が急務となっている。
【０００３】
上記対策を実現するため、種々の技術が提案されているが、代表例として、落書きを除去する従来技術では、特開２００４−１０７４８４（特許文献１）が、また、貼り紙を除去する従来技術では、特開２００３−２９２８７０（特許文献２）が開示されている。
【０００４】
【特許文献１】特開２００４−１０７４８４
【特許文献２】特開２００３−２９２８７０
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、いずれの技術も除去効果はあるものの、２液又は３液タイプで、アンダーコトも必要となり、また、溶剤系であるため、引火性が高く、人体には有害であって素人による作業は不可能であるという決定的は問題点を抱えている。
【０００６】
本発明は、これらの問題点をすべて解消し、アンダーコートが不要で、引火性がなく、人体に無害で、素人でも容易に扱うことのできる落書き・張り紙除去剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決する本発明は、酸化ジルコニウムのエマルジョン４０重量％〜９０重量％と、液状パラフィン７重量％〜２０重量％と、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョン２．５重量％〜８重量％と、水２重量％〜７．５重量％とを配合してなることを特徴とする落書き・貼り紙除去剤である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の落書き・貼り紙除去剤（以下、本発明除去剤という。）によると、水溶性の１液タイプであり、かつ、アンダーコートの必要もないため、塗布作業が容易で作業時間の短縮化を図ることができる。また、本発明除去剤は、酸化ジルコニウム、パラフィン及びポリ酢酸ビニル樹脂で組成されていることから、引火性がなく、人体に無害で素人にも扱いが容易であり、水質汚染にも影響を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明除去剤を構成する各組成物の配合割合は、酸化ジルコニウムのエマルジョンが４０重量％〜９０重量％、液状パラフィンが７重量％〜２０重量％、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョンが２．５重量％〜８重量％、水が２重量％〜７．５重量％の範囲内にあればよいが、剥離性をさらに高めるには、酸化ジルコニウムのエマルジョンは７０重量％〜８０重量％、液状パラフィンは１２重量％〜１４．５重量％、ポリ酢酸ビニル樹脂はエマルジョン４．５重量％〜６．０重量％、水は４重量％〜５．５重量％の範囲内であることが好ましい。
【００１０】
また、本発明除去剤を、１０５℃にて５時間乾燥し、さらに７００℃で２時間強熱し灰化した状態で蛍光Ｘ線分析した結果では、本塗膜剥離剤は、０．０１〜０．０５％のナトリウム（Ｎａ）と、０．０３〜０．１％のアルミニウム（Ａｌ）と、０．００８〜０．０４％のリン（Ｐ）と、０．００５〜０．０３％の硫黄（Ｓ）と、０．４〜１．２％のカリウム（Ｋ）とを少なくとも含んでいる。これらの元素含有率において、本塗膜剥離剤では、Ｎａは０．０１５〜０．０３５％が好ましく、Ａｌは０．０４〜０．０８％が好ましく、Ｐは０．０１〜０．０３％が好ましい。また、Ｓは０．００８〜０．０２％が好ましく、Ｋは０．５０から０．９０％が好ましい。
【００１１】
更に、本発明除去剤は、上記元素に加え、珪素（Ｓｉ）、塩素（Ｃｌ）、カルシウム（Ｃａ）、マンガン（Ｍｎ）及び鉄（Ｆ）を微量含んでいる。ここで微量とは、検出限界に極めて近い値であり、０．００１％〜０．０１％までの値をいう。
【００１２】
なお、これらの数値は、ファンダメンタルパラメータ（ＦＰ）法を用いて、原子番号６（炭素）以上の元素を定性分析して得られたものである。「ＦＰ」法とは、質量吸収係数、Ｘ線源のスペクトル分布などの物理定数を用いて、蛍光Ｘ線強度との対比及び収束を行って含有率を算出する方法である。表１に、最適な配合割合で本塗膜剥離剤を製造した場合の代表的な数値を例示した。この場合、蛍光Ｘ線分析では水素の分析はできないため、水素含有率を０％として計算し、炭素及び酸素の定量分析値は、液体試料の灰化処理を行っている関係上、未表示とした。図１は、その蛍光Ｘ線スペクトルである。
【００１３】
【表１】
【００１４】
本発明除去剤は、その製造の一例として、常温の室内において、反応槽内に、液状の酸化ジルコニウム（互応化学工業社製、商品名「ダイジェストＴ９０」）２ｋｇ、液状パラフィン（東邦化学社製、商品名「パラックス４０Ｋ３」）３６０ｇ、液状のポリ酢酸ビニル樹脂（昭和高分子ポリゾール社製、商品名「ＡＰ５０」）１４０ｇ及び水１２０ｇを入れ、プロペラ撹拌機で３０分〜６０分ほど撹拌することで容易に得られる。
【００１５】
本発明除去剤は、水溶性であるので、塗布器具の手入れは水洗いだけでよく、皮膚や衣服に付着しても乾燥前であれば簡単に水で洗い流すことができる。また、上記組成物で配合されているので、引火性もなく、無害であり、塗布の際、作業者に特別な保護服等を着用させる必要はない。また、本発明除去剤の塗布は、刷毛塗り、ガン吹き、スプレー塗装，ローラー塗装等の常法により行なうことができ、塗布回数は１回でよい。塗布後の乾燥時間は、常温で３０分〜６０分で十分である。さらに、１液タイプであることから、アンダーコートとして使用する必要はなく、コンクリート・タイル・石材にそのまま塗布することができる。
【００１６】
また、本発明除去剤は、原液では乳白色であるが、乾燥すると透明になる。したがって、これを基材そのものに塗布することで、基材の風合いを損ねることがなく、利用範囲を広げることも可能となる。
【実施例１】
【００１７】
「吹き付けペイント塗膜の除去テスト（１）」
表２に示す各テストピース（７ｃｍ×１５ｃｍのもの及び２０ｃｍ×２０ｃｍのもの）の一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布し、２日間室内放置した後、表３に示す各使用ペイントを各テストピースの本発明除去剤塗面に吹き付け、２日間室内放置した。そして、この状態の各テストピースにつき、ペイント塗膜の除去作業を行なった。作業の態様および除去結果は以下の通り。なお、除去作業終了後は、再度本発明除去剤を塗布することで、繰り返しの効果を得ることができる。
▲１▼スクレーパーによりペイント塗膜を擦り付けると、ペイント塗膜だけが簡単に剥がれ落ちた。
▲２▼ガムテープをペイント塗膜面に貼り付け、引き剥がすと、その塗膜だけがガムテープに付着し、除去剤塗面を残したまま剥がれた。
▲３▼エタノールを布に染み込ませ、これでペイント塗膜面を拭いたところ、その塗面だけがきれいに拭き取れた。
【００１８】
【表２】
【００１９】
【表３】
【実施例２】
【００２０】
「吹き付けペイント塗膜の除去テスト（２）」
実施例１で使用した表２に示す各テストピースの一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布したものを、平成１６年１２月１日より平成１７年７月１日まで、５階建てビルの屋上に設置して屋外暴露した。同年７月２１日、表３に示す各使用ペイントを各テストピースの本発明除去剤塗面に吹き付け、屋外に２日間放置した後、ペイント塗膜の除去作業を行なった。作業の態様および除去結果は、実施例１に準じる。
【実施例３】
【００２１】
「貼り紙の除去テスト（１）」
実施例１で使用した表２に示す各テストピースの一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布し、２日間室内放置した。７ｃｍ×１５ｃｍに切断したコピー用紙（アスクル社製）を貼り紙に見立て、これに表４で示すのりや接着剤を全面に塗って、各テストピースに貼り付け、２日間室内放置した後、上からガムテープを貼り付けて引き剥がすと、すべてのテストピースで貼り紙がきれいに剥がれた。このとき、接着剤は貼り紙側に付着していた。ガムテープを用いた引き剥がしを、日を置いて２０回繰り返したが、のりや接着剤、ガムテープの粘着剤がテストピース側に残ることなく、貼り紙だけが剥がれた。なお、２０回繰り返しの後は、再度本発明除去剤を塗布することで、同様の効果を得ることができる。
【００２２】
【表４】
【実施例４】
【００２３】
「貼り紙の除去テスト（２）」
実施例１で使用した表２に示す各テストピースの一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布したものを、平成１６年１２月１日より平成１７年５月１日まで、５階建てビルの屋上に設置して屋外暴露した。そして、翌日の５月２日に、実施例３で用いた貼り紙に見立てたコピー用紙に表４で示す接着剤を全面に塗って、各テストピースに貼り付け、３ケ月間放置した後、上からガムテープを貼り付けて引き剥がした。結果は実施例３に準じる。
【実施例５】
【００２４】
「水質汚染物質の溶出試験」
財団法人日本塗料検査協会において、次の条件で、本発明除去剤の化学的酸素要求量（ＣＯＤ）と生物化学的酸素要求量（ＢＯＤ）の溶出試験を行なった。
（条件）
▲１▼ガラス板（２００ｍｍ×７０ｍｍ）の片面に１４３ｍｍ×７０ｍｍの面積で本発明除去剤を塗布（塗布量４０ｍ２／１．０ｋｇ）
▲２▼塗膜養生期間：７日間
▲３▼コンディショニング（試験水）：溶剤を含まない表層用材料
▲４▼接触面積比：５０ｃｍ２／Ｌ（表層用材料）
▲５▼滲出期間：３日間
なお、試験水作成方法は、厚生省令第１５号「水道施設の技術的基準を定める省令」第１条１７−ハ及び厚生労働省令第５号による。試験方法は、下記の通り。
（１）化学的酸素要求量（ＣＯＤ）：ＪＩＳ Ｋ ０１０２：１９９８「工場排水試験方法」１７．１００℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量に準じる。
（２）生物化学的酸素要求量（ＢＯＤ）：ＪＩＳ Ｋ ０１０２：１９９８「工場排水試験方法」２１．生物化学的酸素消費量に準じる。
試験結果は、ＣＯＤについては定量下限（１．０ｍｇＯ／Ｌ）以下、ＢＯＤについては１．４ｍｇ／Ｌとなり、いずれも水質汚染には影響しないことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明による落書き・貼り紙除去剤の定性分析結果の蛍光Ｘ線スペクトルを示す図である。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、建築物の壁面等に書かれた落書きや、街頭構造物に違法に貼られた貼り紙を、建築物や街頭構造物の基材や塗膜に損傷を与えることなく、作業者に安全で、かつ容易に除去することのできる新規な落書き・貼り紙除去剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、街中のいたるところでペンキスプレーを主とした落書きや、違法な貼り紙の被害が多発し、社会問題化しているのは周知の通りである。このような落書きや貼り紙は、建築物や街頭構造物の価値低減を招くばかりか、その景観をも著しく損ねているため、これらを除去する対策が急務となっている。
【０００３】
上記対策を実現するため、種々の技術が提案されているが、代表例として、落書きを除去する従来技術では、特開２００４−１０７４８４（特許文献１）が、また、貼り紙を除去する従来技術では、特開２００３−２９２８７０（特許文献２）が開示されている。
【０００４】
【特許文献１】特開２００４−１０７４８４
【特許文献２】特開２００３−２９２８７０
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、いずれの技術も除去効果はあるものの、２液又は３液タイプで、アンダーコトも必要となり、また、溶剤系であるため、引火性が高く、人体には有害であって素人による作業は不可能であるという決定的は問題点を抱えている。
【０００６】
本発明は、これらの問題点をすべて解消し、アンダーコートが不要で、引火性がなく、人体に無害で、素人でも容易に扱うことのできる落書き・張り紙除去剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決する本発明は、酸化ジルコニウムのエマルジョン４０重量％〜９０重量％と、液状パラフィン７重量％〜２０重量％と、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョン２．５重量％〜８重量％と、水２重量％〜７．５重量％とを配合してなることを特徴とする落書き・貼り紙除去剤である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の落書き・貼り紙除去剤（以下、本発明除去剤という。）によると、水溶性の１液タイプであり、かつ、アンダーコートの必要もないため、塗布作業が容易で作業時間の短縮化を図ることができる。また、本発明除去剤は、酸化ジルコニウム、パラフィン及びポリ酢酸ビニル樹脂で組成されていることから、引火性がなく、人体に無害で素人にも扱いが容易であり、水質汚染にも影響を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明除去剤を構成する各組成物の配合割合は、酸化ジルコニウムのエマルジョンが４０重量％〜９０重量％、液状パラフィンが７重量％〜２０重量％、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョンが２．５重量％〜８重量％、水が２重量％〜７．５重量％の範囲内にあればよいが、剥離性をさらに高めるには、酸化ジルコニウムのエマルジョンは７０重量％〜８０重量％、液状パラフィンは１２重量％〜１４．５重量％、ポリ酢酸ビニル樹脂はエマルジョン４．５重量％〜６．０重量％、水は４重量％〜５．５重量％の範囲内であることが好ましい。
【００１０】
また、本発明除去剤を、１０５℃にて５時間乾燥し、さらに７００℃で２時間強熱し灰化した状態で蛍光Ｘ線分析した結果では、本塗膜剥離剤は、０．０１〜０．０５％のナトリウム（Ｎａ）と、０．０３〜０．１％のアルミニウム（Ａｌ）と、０．００８〜０．０４％のリン（Ｐ）と、０．００５〜０．０３％の硫黄（Ｓ）と、０．４〜１．２％のカリウム（Ｋ）とを少なくとも含んでいる。これらの元素含有率において、本塗膜剥離剤では、Ｎａは０．０１５〜０．０３５％が好ましく、Ａｌは０．０４〜０．０８％が好ましく、Ｐは０．０１〜０．０３％が好ましい。また、Ｓは０．００８〜０．０２％が好ましく、Ｋは０．５０から０．９０％が好ましい。
【００１１】
更に、本発明除去剤は、上記元素に加え、珪素（Ｓｉ）、塩素（Ｃｌ）、カルシウム（Ｃａ）、マンガン（Ｍｎ）及び鉄（Ｆ）を微量含んでいる。ここで微量とは、検出限界に極めて近い値であり、０．００１％〜０．０１％までの値をいう。
【００１２】
なお、これらの数値は、ファンダメンタルパラメータ（ＦＰ）法を用いて、原子番号６（炭素）以上の元素を定性分析して得られたものである。「ＦＰ」法とは、質量吸収係数、Ｘ線源のスペクトル分布などの物理定数を用いて、蛍光Ｘ線強度との対比及び収束を行って含有率を算出する方法である。表１に、最適な配合割合で本塗膜剥離剤を製造した場合の代表的な数値を例示した。この場合、蛍光Ｘ線分析では水素の分析はできないため、水素含有率を０％として計算し、炭素及び酸素の定量分析値は、液体試料の灰化処理を行っている関係上、未表示とした。図１は、その蛍光Ｘ線スペクトルである。
【００１３】
【表１】
【００１４】
本発明除去剤は、その製造の一例として、常温の室内において、反応槽内に、液状の酸化ジルコニウム（互応化学工業社製、商品名「ダイジェストＴ９０」）２ｋｇ、液状パラフィン（東邦化学社製、商品名「パラックス４０Ｋ３」）３６０ｇ、液状のポリ酢酸ビニル樹脂（昭和高分子ポリゾール社製、商品名「ＡＰ５０」）１４０ｇ及び水１２０ｇを入れ、プロペラ撹拌機で３０分〜６０分ほど撹拌することで容易に得られる。
【００１５】
本発明除去剤は、水溶性であるので、塗布器具の手入れは水洗いだけでよく、皮膚や衣服に付着しても乾燥前であれば簡単に水で洗い流すことができる。また、上記組成物で配合されているので、引火性もなく、無害であり、塗布の際、作業者に特別な保護服等を着用させる必要はない。また、本発明除去剤の塗布は、刷毛塗り、ガン吹き、スプレー塗装，ローラー塗装等の常法により行なうことができ、塗布回数は１回でよい。塗布後の乾燥時間は、常温で３０分〜６０分で十分である。さらに、１液タイプであることから、アンダーコートとして使用する必要はなく、コンクリート・タイル・石材にそのまま塗布することができる。
【００１６】
また、本発明除去剤は、原液では乳白色であるが、乾燥すると透明になる。したがって、これを基材そのものに塗布することで、基材の風合いを損ねることがなく、利用範囲を広げることも可能となる。
【実施例１】
【００１７】
「吹き付けペイント塗膜の除去テスト（１）」
表２に示す各テストピース（７ｃｍ×１５ｃｍのもの及び２０ｃｍ×２０ｃｍのもの）の一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布し、２日間室内放置した後、表３に示す各使用ペイントを各テストピースの本発明除去剤塗面に吹き付け、２日間室内放置した。そして、この状態の各テストピースにつき、ペイント塗膜の除去作業を行なった。作業の態様および除去結果は以下の通り。なお、除去作業終了後は、再度本発明除去剤を塗布することで、繰り返しの効果を得ることができる。
▲１▼スクレーパーによりペイント塗膜を擦り付けると、ペイント塗膜だけが簡単に剥がれ落ちた。
▲２▼ガムテープをペイント塗膜面に貼り付け、引き剥がすと、その塗膜だけがガムテープに付着し、除去剤塗面を残したまま剥がれた。
▲３▼エタノールを布に染み込ませ、これでペイント塗膜面を拭いたところ、その塗面だけがきれいに拭き取れた。
【００１８】
【表２】
【００１９】
【表３】
【実施例２】
【００２０】
「吹き付けペイント塗膜の除去テスト（２）」
実施例１で使用した表２に示す各テストピースの一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布したものを、平成１６年１２月１日より平成１７年７月１日まで、５階建てビルの屋上に設置して屋外暴露した。同年７月２１日、表３に示す各使用ペイントを各テストピースの本発明除去剤塗面に吹き付け、屋外に２日間放置した後、ペイント塗膜の除去作業を行なった。作業の態様および除去結果は、実施例１に準じる。
【実施例３】
【００２１】
「貼り紙の除去テスト（１）」
実施例１で使用した表２に示す各テストピースの一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布し、２日間室内放置した。７ｃｍ×１５ｃｍに切断したコピー用紙（アスクル社製）を貼り紙に見立て、これに表４で示すのりや接着剤を全面に塗って、各テストピースに貼り付け、２日間室内放置した後、上からガムテープを貼り付けて引き剥がすと、すべてのテストピースで貼り紙がきれいに剥がれた。このとき、接着剤は貼り紙側に付着していた。ガムテープを用いた引き剥がしを、日を置いて２０回繰り返したが、のりや接着剤、ガムテープの粘着剤がテストピース側に残ることなく、貼り紙だけが剥がれた。なお、２０回繰り返しの後は、再度本発明除去剤を塗布することで、同様の効果を得ることができる。
【００２２】
【表４】
【実施例４】
【００２３】
「貼り紙の除去テスト（２）」
実施例１で使用した表２に示す各テストピースの一面に、本発明除去剤を刷毛にて塗布したものを、平成１６年１２月１日より平成１７年５月１日まで、５階建てビルの屋上に設置して屋外暴露した。そして、翌日の５月２日に、実施例３で用いた貼り紙に見立てたコピー用紙に表４で示す接着剤を全面に塗って、各テストピースに貼り付け、３ケ月間放置した後、上からガムテープを貼り付けて引き剥がした。結果は実施例３に準じる。
【実施例５】
【００２４】
「水質汚染物質の溶出試験」
財団法人日本塗料検査協会において、次の条件で、本発明除去剤の化学的酸素要求量（ＣＯＤ）と生物化学的酸素要求量（ＢＯＤ）の溶出試験を行なった。
（条件）
▲１▼ガラス板（２００ｍｍ×７０ｍｍ）の片面に１４３ｍｍ×７０ｍｍの面積で本発明除去剤を塗布（塗布量４０ｍ２／１．０ｋｇ）
▲２▼塗膜養生期間：７日間
▲３▼コンディショニング（試験水）：溶剤を含まない表層用材料
▲４▼接触面積比：５０ｃｍ２／Ｌ（表層用材料）
▲５▼滲出期間：３日間
なお、試験水作成方法は、厚生省令第１５号「水道施設の技術的基準を定める省令」第１条１７−ハ及び厚生労働省令第５号による。試験方法は、下記の通り。
（１）化学的酸素要求量（ＣＯＤ）：ＪＩＳ Ｋ ０１０２：１９９８「工場排水試験方法」１７．１００℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量に準じる。
（２）生物化学的酸素要求量（ＢＯＤ）：ＪＩＳ Ｋ ０１０２：１９９８「工場排水試験方法」２１．生物化学的酸素消費量に準じる。
試験結果は、ＣＯＤについては定量下限（１．０ｍｇＯ／Ｌ）以下、ＢＯＤについては１．４ｍｇ／Ｌとなり、いずれも水質汚染には影響しないことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明による落書き・貼り紙除去剤の定性分析結果の蛍光Ｘ線スペクトルを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
酸化ジルコニウムのエマルジョン４０重量％〜９０重量％と、液状パラフィン７重量％〜２０重量％と、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョン２．５重量％〜８重量％と、水２重量％〜７．５重量％とを配合してなることを特徴とする落書き・貼り紙除去剤。
【請求項２】
乾燥後灰化した状態を蛍光Ｘ線分析した結果、０．０１〜０．０５％のナトリウムと、０．０３〜０．１％のアルミニウムと、０．００８〜０．０４％のリンと、０．００５〜０．０３％の硫黄と、０．４０〜１．２％のカリウムとを少なくとも含む請求項１に記載の落書き・貼り紙除去剤。
【請求項３】
上記元素に加え、珪素、塩素、カルシウム、マンガン及び鉄を微量含む請求項２に記載の落書き・貼り紙除去剤。
【請求項１】
酸化ジルコニウムのエマルジョン４０重量％〜９０重量％と、液状パラフィン７重量％〜２０重量％と、ポリ酢酸ビニル樹脂のエマルジョン２．５重量％〜８重量％と、水２重量％〜７．５重量％とを配合してなることを特徴とする落書き・貼り紙除去剤。
【請求項２】
乾燥後灰化した状態を蛍光Ｘ線分析した結果、０．０１〜０．０５％のナトリウムと、０．０３〜０．１％のアルミニウムと、０．００８〜０．０４％のリンと、０．００５〜０．０３％の硫黄と、０．４０〜１．２％のカリウムとを少なくとも含む請求項１に記載の落書き・貼り紙除去剤。
【請求項３】
上記元素に加え、珪素、塩素、カルシウム、マンガン及び鉄を微量含む請求項２に記載の落書き・貼り紙除去剤。
【図１】
【公開番号】特開２００７−５１２６２（Ｐ２００７−５１２６２Ａ）
【公開日】平成１９年３月１日（２００７．３．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２６７６１３（Ｐ２００５−２６７６１３）
【出願日】平成１７年８月１８日（２００５．８．１８）
【出願人】（３０２０４４１００）株式会社エココスモ (11)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年３月１日（２００７．３．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年８月１８日（２００５．８．１８）
【出願人】（３０２０４４１００）株式会社エココスモ (11)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]