説明

葉状農作物積載カセット

【課題】簡易な構成によって低コストで作成することができ、多数の葉状農作物を積載できる葉状農作物供給カセットを提供することを目的とする。
【解決手段】複数枚の葉状農作物15を積載し、そこから1枚ずつ葉状農作物15が取り出される葉状農作物積載カセット1であって、葉状農作物15が積載されるベース2と、ベース2に設けられた少なくとも一つのガイド3と、ガイド3によって水平方向への移動が規制されている抑え部材4と、を備え、抑え部材4は、自重によって積載された葉状農作物15を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の葉状農作物を積載するカセットに関し、特に、葉状農作物の選別包装システム等に葉状農作物を1枚ずつ供給する供給装置において使用可能な複数枚の葉状農作物を積載するカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
大葉のように大きさが不均一で、形状が一定しない葉状農作物を束の上から一枚ずつ取り出し、その姿勢を整えて後段の各種自動機構に供給する整列供給機構が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された葉状農作物整列供給機構では、小径の円状の内側吸着口と内側吸着口を取り囲む環状の外側吸着口とが形成された吸着部、及び吸着部から空気を吸い込む吸引機構が設けられており、吸着機構によって、多数の大葉が収容されたカートリッジから、大葉を1枚ずつ吸引し、吸引した大葉をベルトコンベアに移送できる。例えば、カートリッジの最も上に小さめの大葉があり、その下に大きめの大葉がある場合、吸引機構は、最も上にある小さめの大葉と内側吸着口との当接面に負圧を与えることによって、小さめの大葉を吸着し持ち上げる。小さめの大葉が持ち上げられ、小さめの大葉がその下にある大きな大葉と離れると、吸引機構は、持ち上げられた小さめの大葉と外側吸着口との当接面にも負圧を与えられる。これによって、吸引機構は、2枚の大葉を吸着することなく、カートリッジから大葉を1枚ずつ取り出している。
【0004】
また、大葉等の葉状農作物をそのサイズ、形状等に基づいて選別し、これを積み重ねた束にし、束にされた葉状農作物を包装することができる葉状農作物の選別包装システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に記載された葉状農作物の選別包装システムは、大葉等の葉状農作物を複数枚重ねて収容する搬送カートリッジを備えており、搬送カートリッジには、大葉の位置ずれ、崩れ落ちを防ぐための2個の薄板のフィンが回動板に固定されている。まず、搬送カートリッジが、カートリッジの供給コンベアにおいて搬送中、大葉が積載される範囲にあるときは、回動板が回動することによって回動板に固定されたフィンが上方に向かって開き、大葉を搬送カートリッジ内に積載できる状態となる。次に、搬送カートリッジが、供給コンベアにおいて搬送中、大葉が積載される範囲以外のときは、フィンが閉じて固定されており、大葉を抑えることができる。特許文献2に記載された搬送カートリッジでは、大葉の取り出しが進み、積載された大葉の枚数が少なくなると、フィンと大葉との間に空間ができるので、フィンによって大葉を抑えることができなくなる。このため、搬送カートリッジの底板を押上部材によって押し上げて、大葉をフィンに押し付け、大葉を抑えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−91723号公報
【特許文献2】特開2007−331782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、葉状農作物は、大小の差が大きく形状が不安定であるため、従来の技術によっては、葉状農作物を束の上から正確に一枚ずつ取り出すことが困難であった。
【0008】
特許文献1に記載された葉状農作物整列供給機構では、内側吸着口からの負圧によって、最も上にある大葉を持ち上げて1枚ずつ分離しているが、大葉の表面に付着した水分等により2枚目以降の大葉との吸着力が強かった場合、吸引機構によって一度に複数枚の大葉が吸着され、重なった状態で移送されたり、移送の途中で一部の大葉が落下したりする問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載された葉状農作物の選別包装システムでは、搬送カートリッジ内に大葉を積載するために、回動可能な回動板に固定されたフィンが設けられ、押上部材によって搬送カートリッジの底板を押し上げてフィンによって大葉を抑えており、搬送カートリッジの構成が複雑であった。さらに、かかる複雑な構造の搬送カートリッジを制御するため、システムの制御もより多くなり、複雑なものとなっていた。また、大葉を抑える力は、押上部材を押し上げる力によって決定されるので、大葉を抑える力を一定とするためには、押し上げる力を精密に制御する必要があった。加えて、搬送カートリッジに積載できる大葉の枚数も数十枚に限られるので、多数の搬送カートリッジを用意しなければならない問題があった。
【0010】
本発明は、前述した問題に鑑みてなされたものであって、葉状農作物を1枚ずつ取り出する選別包装システムにおいて、システム側の制御及び構成を簡単にすることでき、簡易な構成によって低コストで作成することができ、又は/及び多数の葉状農作物を積載できる葉状農作物供給カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の葉状農作物積載カセットは、複数枚の葉状農作物を積載し、そこから1枚ずつ前記葉状農作物が取り出される葉状農作物積載カセットであって、前記葉状農作物が積載されるベースと、前記ベースに設けられた少なくとも一つのガイドと、前記ガイドによって水平方向への移動が規制されるとともに上下方向に移動可能に設けられた抑え部材と、を備え、前記抑え部材は、自重によって積載された葉状農作物を抑えることを特徴とする。
【0012】
また、上記葉状農作物積載カセットにおいて、前記抑え部材は、前記積載された葉状農作物の少なくとも二つの領域を抑える形状であることが好ましく、前記二つの領域の間に、前記積載された葉状農作物の葉柄から葉の先端に延びる主脈が配置されることがより好ましい。さらに、前記抑え部材は、前記主脈と略平行に延びる一対の延在部によって、前記少なくとも二つの領域を抑えることが好ましい。
【0013】
また、上記葉状農作物積載カセットにおいて、前記抑え部材の表面の少なくとも一部には、前記積載された葉状農作物との摩擦を軽減する曲面が形成されることが好ましい。
【0014】
また、上記葉状農作物積載カセットにおいて、前記ベースは、前記葉状農作物が積載される領域の一部に、前記葉状農作物の有無を判別するセンサからの光が通過可能な開口部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、葉状農作物積載カセットは、ガイドによって水平方向への移動が規制されるとともに上下方向に移動可能に設けられた抑え部材を備え、抑え部材の自重によって積載された葉状農作物を抑えるので、積載された複数枚の葉状農作物を上から1枚ずつ取り出す際に、抑え部材の自重による抑えによって複数枚の大葉が一度に取り出されるのを防止することができる。この抑え部材による抑えは、抑え部材の自重によるものであるから、積載された葉状農作物の枚数に関係なく常に一定の力で葉状農作物を抑えることができ、安定して葉状農作物を1枚ずつ供給することができる。また、積載された複数枚の葉状農作物の束は、抑え部材によって上から抑えられているため、搬送処理や取り出し処理の間であっても崩れ難くすることもできる。このように、本発明の葉状農作物積載カセットでは、ガイドによって水平方向への移動が規制されている抑え部材という簡単な構成によって安定して葉状農作物を1枚ずつ供給することができる。さらに、システム側において特殊な制御や機構を設ける必要がないので、システムの制御及び構成を簡単にすることができる。その他の効果については、発明を実施するための形態において述べる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の葉状農作物積載カセットの使用形態の例を示す説明図
【図2】(A)、(B)及び(C)は本発明の葉状農作物積載カセットの例を示す説明図
【図3】(A)、(B)及び(C)はガイドと抑え部材の関係を示す他の実施形態の説明図
【図4】(A)及び(B)は本発明の葉状農作物積載カセットの抑え部材の例を示す説明図
【図5】(A)及び(B)は抑え部材の他の実施形態の上面図及び正面図、(C)及び(D)はさらに他の実施形態の上面図及び正面図
【図6】(A)、(B)及び(C)本発明の葉状農作物積載カセットの抑え部材の別の例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
【0018】
本発明の葉状農作物積載カセット(以下「カセット」と省略することもある)は、複数枚の葉状農作物を積載し、積載された複数枚の葉状農作物が上から1枚ずつ取り出され、例えば、葉状農作物の形状、大きさ、表面の傷等によって葉状農作物を選別包装システムに供給するときに用いられる。葉状農作物とは、シート状の葉を1枚ずつ分離した状態で収穫又は出荷されるものであり、例えば、青紫蘇の葉(大葉)、サンチュ、葉タバコ、紅葉等である。以下、葉状農作物として大葉を例示して、最初に葉状農作物積載カセットの使用形態の一例を説明した後に、葉状農作物積載カセットの構造について説明する。
【0019】
図1は、本発明の葉状農作物積載カセット1の使用形態の例を示す説明図である。図1においては、カセット1は、大葉を一枚ずつ並べて供給し、大葉を選別、包装する大葉供給装置20に用いられる。
【0020】
大葉供給装置20は、例えば図1に示すように、カセット供給排出装置30、積載物取出搬送装置50及び図示しない制御装置(コンピュータ)を備えている。葉状農作物積載カセット1には、複数枚の大葉(積載物)を重ねて束状にして積載される。なお、複数枚の大葉は、手作業又は自動で葉状農作物積載カセット1に積載される。
【0021】
カセット供給排出装置30は、カセット搬送手段31、カセットステージ32、ブレーキ付シリンダ33、シリンダ34、カセット排出手段35及び各種検出センサ40〜43等を備えている。カセット搬送手段31は、カセット1をカセットステージ32まで搬送するものであり、例えば、コンベアやローラによって実現されるが、これに限定されるものではない。カセットステージ32には、カセット搬送手段31によって搬送されたカセット1が配置される。
【0022】
ブレーキ付シリンダ33は、カセットステージ32を上下に昇降させ、カセット1内の大葉を積載物取出搬送装置50によって取り出し可能な位置に調整することができる。また、シリンダ34は、カセットステージ32を斜めに降ろし、空のカセット1をカセット排出手段35に排出することができ、その後、斜めに降りたカセットステージ32を元の位置に持ち上げることができる。カセット排出手段35は、空になったカセット1を排出するためのものであり、例えばコンベアやローラによって実現されるが、これに限定されるものではない。
【0023】
各種検出センサ40〜43としては、カセット検出センサ40、カセット進入検出センサ41、カセット上面検出センサ42、大葉検出センサ43等が備えられ、カセット1又は大葉の位置や有無を検知し、制御装置が各構成を制御できるように構成されている。各センサは、例えば、赤外LEDを用いた発光素子とフォトトランジスタを用いた受光素子で構成することができ、発光素子と受光素子との間が対象物によって遮断されると対象物を検出するように設定してもよい。また、対象物に赤外光を当て、対象物からの反射光を受けると対象物を検出するように設定してもよい。なお、大葉検出センサ43は、受光素子が葉状農作物積載カセット1の開口部7を通して受光できるように発光素子と対向して設けてもよい。なお、各センサは、赤外光を用いる光学センサに限定されず、他のセンサによって構成されてもよい。
【0024】
カセット検出センサ40は、カセット1からの反射に基づいて、カセット1を検出する光学センサであり、カセットステージ32に供給される次のカセット1がカセット搬送手段31の先端部に存在するか否かを検出する。なお、カセット供給排出装置30は、カセット搬送手段31の先端部に図示しないストッパーを備えてもよい。ストッパーは、例えば、開閉するゲートであってもよいし、上下に動くバーで構成されてもよく、特に限定されない。ストッパーは、カセット1がカセットステージ32に載っている間は、カセットステージ32に供給される次のカセット1をカセット搬送手段31の先端部に留める。カセット進入検出センサ41は、カセット1からの反射に基づいて、カセット1がカセットステージ32に載ったことを検出する。より好ましくは、カセット進入検出センサ41によって、カセットステージ32の所定の位置にカセット1が配置されたことも検知する。カセット上面検出センサ42は、カセット1の最も上位に積載された大葉からの反射の有無に基づいて、カセット1が所定の高さまで昇ったことを検出する。また、カセット上面検出センサ42は、大葉が一枚ずつ取出され、積載された大葉の高さが低くなると、カセット1の大葉からの反射がなくなり、カセットステージ32を大葉の取出し位置まで上昇させる必要であることを図示しない制御装置に通知する。前述したとおり、カセット1が載ったカセットステージ32は、ブレーキ付シリンダ33によって所定の高さまで上昇させられる。
【0025】
大葉検出センサ43は、大葉からの反射に基づいて、カセット1内における大葉の有無を検出し、カセット1が空になったことを識別するための光学センサである。後述する図2に示した葉状農作物積載カセット1の開口部7に大葉検出センサ43からの光を通過させて、通過光の有無又は反射光の有無によってカセット1内の大葉の有無を検出することができる。ただし、他の方法によって、例えば、開口部7にセンサからの光を通過させず、反射光の強度や色によってカセット1内の大葉の有無を検出してもよい。
【0026】
図1の積載物取出搬送装置50は、吸着器51、吸引ポンプ52、サーボモータ53、移動機構54、積載物搬送手段55等を備えており、吸引ポンプ52によって吸着器51と大葉との間に負圧を発生させてカセット1に積載された大葉を一枚ずつ吸着し、吸着した大葉をサーボモータ53によって持ち上げ、移動機構54によって積載物搬送手段55に移送し、負圧の発生を解除して積載物搬送手段55によって大葉を搬送する。
【0027】
積載物搬送手段55は、カセット1から取り出された大葉を搬送するためのものであり、例えばコンベアやローラによって実現されるが、これに限定されるものではない。図1においては、積載物搬送手段55は、紙面と垂直に延びる方向に大葉を搬送するので、その断面のみが示されている。なお、積載物取出搬送装置50の構成は、図1の構成に限定されるものではなく、例えば、特許文献1に記載された吸着部及び吸引機構を使用することも可能であるし、その他の取出機構を採用することも可能である。
【0028】
かかる大葉供給装置20におけるカセット供給排出装置30の動作について説明する。まず、制御装置は、カセット搬送手段31を駆動して葉状農作物積載カセット1をカセット搬送手段31の先端部まで搬送し、さらにカセットステージ32に滑り落とす。ここで、すでにカセットステージ32に既にカセット1が供給されている場合には、カセット検出センサ40を利用して、カセット搬送手段31の先端部において図示しないストッパーを作動させ、カセット1の搬送を停止する。次に、制御装置は、カセット進入検出センサ41によってカセットステージ32にカセット1が供給されたことを検出すると、カセット上面検出センサ42を用いて、ブレーキ付シリンダ33によってカセットステージ32を所定の位置まで上昇させ、積載物取出搬送装置50による大葉の取り出しを開始する。ここで、制御装置は、積載物取出搬送装置50によって大葉が取り出され、カセット1内の大葉の位置が低くなったことをカセット上面検出センサ42によって検出すると、ブレーキ付シリンダ33によってカセットステージ32を上昇させ、カセット上面検出センサ42を用いて、カセット1内の大葉を積載物取出搬送装置50によって取り出し可能な位置に調整する。制御装置は、大葉検出センサ43を用いてカセット1の大葉が空になったことを検出すると、ブレーキ付シリンダ33によってカセットステージ32を元の位置に戻した後に、シリンダ34を駆動してカセットステージ32を斜めに降ろし、空のカセット1をカセット排出手段35に排出する。その後、カセットステージ32はシリンダ34によって再び元の位置に持ち上げられ、次のカセットを供給可能な状態とされる。
【0029】
図2(A)、(B)、(C)は、それぞれ本発明の葉状農作物積載カセット1の構成の例を示す上面図、側面図、正面図である。葉状農作物積載カセット1は、ベース2、ガイド3及び抑え部材4を備えており、複数の大葉15が束状に積載される。葉状農作物は、茎とつながる葉柄と、普通は薄くて広い葉身とを有しており、葉柄から葉の先端へと中心になる主脈が走っている。以下の説明においては、主脈を直線とみなし「中心線」と呼ぶ。なお、葉状農作物15は、個々の形状は異なるが、大葉供給装置20、カセット供給排出装置30及び葉状農作物積載カセット1は、品種又は大きさの区分(S,M,L等の)ごとにある程度標準化した標準品を想定して設計されるので、中心線についても標準品から特定可能である。
【0030】
ベース2は、複数枚の大葉15を積載する基台であり、少なくとも一つのガイド3が設けられる。ベース2は、例えば、積載される大葉15の大きさよりも大きい四角形の平板を使用することができる。なお、形状は、四角形に限られず、他に、三角形、多角形、円形、楕円形及びこれらを組み合わせた形状であってもよいし、積載される大葉15の位置に傾斜や窪みを設けてもよい。
【0031】
また、ベース2には開口部7が設けられていてもよい。開口部7は、葉状農作物積載カセット1に大葉15が残っているか否かを判定するセンサ(例えば、図1の大葉検出センサ43)からの光を通過させることを可能とする。
【0032】
ガイド3は、上下方向について移動可能な状態で抑え部材4の水平方向への移動を規制するものであり、ベース2に対して鉛直上方向において少なくとも一つ以上設けられ、抑え部材4を所定の領域内に、又は所定の軌跡で落下させることを可能にする。抑え部材4の水平方向への移動は、ガイド3によって規制はされるが、完全に移動を禁止する必要はなく、所定の領域内に制限されればよい。ガイド3を複数設けると、抑え部材4の傾きを防止して、安定に落下させることができ、大葉15に対して均一な荷重を加えることができるので好ましい。
【0033】
ガイド3としては、例えば、図2に示すように、抑え部材4に設けられたガイド孔5を通る大きさの直径をもつ円柱を利用できる。ただし、ガイド3は、円柱に限定されず、四角柱であってもよいし、T型又はH型の柱であってもよいし、円錐や角錐であってもよい。また、柱状ではなく壁状であってもよく、カセット1の側壁や後述する位置決めガイド10をそのまま或いは加工してガイド3として利用してもよい。例えば、図3の(A)、(B)、(C)は、それぞれガイド3と抑え部材4の関係を示す他の実施形態の上面図、側面図、正面図であるが、図3においては、図3右側(葉柄側)の側壁3aの内周面及び2本の円柱3bがガイド3として、抑え部材4の水平方向への移動を規制している。図3の葉柄側側壁3aの一部や2本の円柱3bは、位置決めガイド10としても機能するものである。また、後述する図5(A)においては、壁状のガイド3を抑え部材4のガイド孔5に挿通しており、図5(C)においては、ガイド3として壁に設けた溝を利用し、溝に抑え部材4の末端部を配置している。ガイド3と抑え部材4の関係としては、図2及び図5(A)のように、抑え部材4がガイド3を囲って水平方向の移動を規制する態様、図3及び図5(C)のように、ガイド3が抑え部材4を囲って水平方向の移動を規制する態様又はこれらを組み合わせた態様を採用することができる。
【0034】
また、ガイド3は、抑え部材4の水平方向への規制が中心線に対して均等になるように、換言すれば、大葉の中心線の両側に同じ力が加わるように、中心線に対して対称に設けられることが好ましい。ガイド3は、鉛直方向について、ベース2に対して斜めに設けられてもよいし、直線ではなく、曲がっていてもよい。上下方向に抑え部材4が移動自在なガイド3の場合、ガイド3の重さだけで大葉を抑える力が設定できるので、抑え部材4やガイド3の設計が容易である。ガイド3は、ベース2と一体に成型して設けてよいし、別部材で形成してベース2に結合させて設けてもよい。
【0035】
さらに、ベース2には、大葉15をベース2に積載しやすいように案内する位置決めガイド10を設けることが好ましい。位置決めガイド10によって、大葉15の積載の位置がずれることを防ぐことができる。図2においては、位置決めガイド10は壁状であるが、柱状であってもよいし、その位置も大葉の最大幅の部分に限定されるものではない。また、図3の葉柄側側壁3aの一部や2本の円柱3bのように、位置決めガイド10に抑え部材4の水平方向の移動を規制するガイド3の機能を持たせることもできる。
【0036】
抑え部材4は、自重によって積載された複数枚の大葉15を抑えるための部材であり、ガイド3によって落下の軌跡又は範囲が規制されている。図4(A)及び(B)は、それぞれ図2の抑え部材4を拡大した上面図及び正面図であり、図5(A)及び(B)、(C)及び(D)は、それぞれ他の実施形態の抑え部材4の上面図及び正面図である。抑え部材4の材質は、大葉15を傷めず、衛生的なものであれば、適宜選択することができ、例えば、プラスチック、アクリル樹脂等である。また、抑え部材4は、大葉15に適度な荷重を与えられる重さをもつ。なお、抑え部材4は、葉状農作物の大きさ、形状、硬さ等に対応して、いくつかの重さの異なる種類が作成されてもよい。また、いくつかの薄い板を重ねて一組とし、重さが変更できるように構成されてもよい。
【0037】
抑え部材4は、積載された葉状農作物について、荷重が加えられない領域を間に挟んだ二つの領域を抑える形状であることが好ましい。抑え部材4によって大葉15は、少なくとも二つの領域において抑え部材4の荷重が加えられており、二つの領域の間において、抑え部材4によって荷重が加えられない領域が形成される。この荷重が加えられていない領域で大葉15を取り出すことによって、大葉15に対して、均等な荷重のもとで取り出し作業を実現でき、1枚ずつ正確に取り出すことができる。なお、二つの領域の間に抑え部材4によって荷重が加えられない領域が設けられればよいので、二つの領域が一箇所又は複数個所において連結されていてもよい。
【0038】
さらに、二つの領域の間に、ベース2に積載された大葉15の葉柄から葉の先端に延びる主脈が配置されることが好ましい。取り出し作業によって大葉15の二つの領域に力が集中するが、大葉15の葉柄部分や主脈は硬いので、これらの部分が二つの領域に含まれると、取り出し作業によって大葉15が折れたり、傷ついたりする恐れがある。
【0039】
また、抑え部材4は、大葉15を抑えるための一対の延在部6を備えており、この一対の延在部6によって荷重が加えられない領域を間に挟んだ二つの領域を抑えることが好ましい。一対の延在部6は、直線状である必要はないが、中心線と略平行に延びていることが好ましい。さらに、一対の延在部6の間に、大葉15の葉柄から葉の先端に延びる主脈が配置されることが好ましい。かかる構成によれば、一対の延在部6が、ベース2に積載された大葉15の葉柄から葉の先端に延びる主脈を中心線とした葉の左右の両側の一部を抑えるように配置され、均等な荷重のもとで取り出し作業を実現でき、1枚ずつ正確に取り出すことができる。
【0040】
具体的には、抑え部材4は、図3(A)及び図4(A)に示すように、一対の延在部6とそれらの延在部を繋ぐ部分(連結部)とによって、U字型に形成されるのが好適であるが、かかる形状に限定されるものではなく、図5(A)に示すように、一対の延在部6の両端において連結させた環状(O型)とさせてもよいし、図5(C)に示すように、一対の延在部6の途中を連結させたH型とさせてもよい。また、一対の延在部6は、長方形の平板に形成されるのが好適であるが、図5(D)に示すように、棒(円又は楕円柱)によって構成されていてもよい。図5(C)の抑え部材4においては、連結部が葉状農作物の中心線と交差する可能性があるが、図5(D)から明らかなように、一対の延在部6が楕円柱の形状であり、抑え部材4の荷重は一対の延在部6の下端領域に大部分が集中するため、連結部が中心線と交差することによる不具合を回避若しくは軽減できる。
【0041】
また、抑え部材4は、図2に示したガイド3が差し込まれるガイド孔5を有していてもよい。抑え部材4がガイド孔5を介してガイド3に差し込まれると、抑え部材4は、自重によって、一定の荷重を大葉15に与え、大葉15を抑える。なお、ガイド孔5は、ガイド3の断面の形状によって、円形の他、楕円形、四角、I型、T型、H型等でもよい。また、ガイド3を挟む溝であってもよい。図5(A)のガイド孔5は横長のI型である。
【0042】
さらに、延在部6が長方形の平板で形成された場合、延在部6が大葉と接する側の表面又は側面には、大葉15との摩擦を軽減することができる曲面が形成されてもよい。また、延在部6に回転するローラが設けて、大葉15との摩擦を軽減してもよい。
【0043】
図6(A)、(B)及び(C)は、各々、本発明の葉状農作物積載カセットの抑え部材の構成の別の例を示す上面図、第1の正面図、第2の正面図である。図6(B)では、延在部6の大葉15と接する側の表面には、曲面8が形成されている。また、図6(C)では、延在部6の大葉15と接する側の表面には、波型の面9が形成されている。また、その表面に滑らかな微細加工が施されてもよい。これによって、延在部6と大葉15との摩擦を軽減することができる。さらに、図5(C)及び(D)の延在部6のように、棒状の延在部を利用してもよい。
【0044】
以上説明したように、本発明の実施形態によると、抑え部材が自重によって積載された葉状農作物を抑えることによって、葉状農作物の二枚取りが防止され、葉状農作物が一枚ずつ取出される。このため、供給システム側には、葉状農作物の二枚取りを防止するための制御及び構造が必要でない。よって、供給システム側の制御及び構造を簡単にすることができる。また、葉状農作物積載カセットの構造も簡単であるので、葉状農作物積載カセットの作成のコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 葉状農作物積載カセット
2 ベース
3 ガイド
4 抑え部材
6 延在部
7 開口部
15 葉状農作物(大葉)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の葉状農作物を積載し、そこから1枚ずつ前記葉状農作物が取り出される葉状農作物積載カセットであって、
前記葉状農作物が積載されるベースと、前記ベースに設けられた少なくとも一つのガイドと、前記ガイドによって水平方向への移動が規制されるとともに上下方向に移動可能に設けられた抑え部材と、を備え、
前記抑え部材は、自重によって積載された葉状農作物を抑えることを特徴とする葉状農作物積載カセット。
【請求項2】
前記抑え部材は、前記積載された葉状農作物の少なくとも二つの領域を抑える形状であることを特徴とする請求項1に記載の葉状農作物積載カセット。
【請求項3】
前記二つの領域の間に、前記積載された葉状農作物の葉柄から葉の先端に延びる主脈が配置されることを特徴とする請求項2に記載の葉状農作物積載カセット。
【請求項4】
前記抑え部材は、前記主脈と略平行に延びる一対の延在部によって、前記少なくとも二つの領域を抑えることを特徴とする請求項3に記載の葉状農作物積載カセット。
【請求項5】
前記抑え部材の表面の少なくとも一部には、前記積載された葉状農作物との摩擦を軽減する曲面が形成されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の葉状農作物積載カセット。
【請求項6】
前記ベースは、前記葉状農作物が積載される領域の一部に、前記葉状農作物の有無を判別するセンサからの光が通過可能な開口部を有することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に葉状農作物積載カセット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−157075(P2011−157075A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17830(P2010−17830)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】