説明

葉緑体工学による植物の生産性を向上させる方法

本発明の目的は、高等植物中で葉緑体工学によって特定の遺伝子を形質発現させることによって、野生株に比べ高い光合成活性を持ち、生育及び生産性が促進される形質転換植物にあって、花粉による導入遺伝子の拡散の恐れが無い形質転換植物を提供することである。本発明によれば、葉緑体遺伝子rbcLの相補的塩基配列と葉緑体遺伝子accDの相補的塩基配列の間に、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ活性、セドヘプツロース−1,7−ビスホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントを含んだ、光合成活性を高める発現カセットを有する遺伝子組み換えベクターを用いて形質転換植物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成活性が高く、特に二酸化炭素の固定に優れた形質転換植物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物は光合成を行い、大気中の二酸化炭素を固定し生物のエネルギー源となる糖や有機物を合成する。植物において、大気中の二酸化炭素を固定し、二酸化炭素から糖を合成する過程はカルビンサイクルと呼ばれる。カルビンサイクルでは、光のエネルギーを必要とせず、以下の2つの段階に分けられている。第1段階は、リブロース−1,5−ビスリン酸(RuBP)と二酸化炭素から3−ホスホグリセリン酸(PGA)が合成され、さらにこれが還元されてグリセルアルデヒド−3−リン酸(GAP)が合成される過程である。第2段階は合成されたGAPの一部は糖(光合成生成物)の合成に使われ、残りのGAPは、フルクトース1,6−ビスリン酸(FBP)からフルクトース6−リン酸(F6P)、セドヘプツロース1,7−ビスリン酸(SBP)、セドヘプツロース7−リン酸(S7P)、リボース5−リン酸などを経てRuBPに再生される過程である。この時、RuBPからPGAの合成、すなわちカルビンサイクルへの二酸化炭素の取り込みはリブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(以下、ルビスコ(Rubisco)と略称する。)によって触媒される。第2段階においては、アルドラーゼ〔GAPとジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)からFBPへの反応と、DHAP及びエリトロース4−リン酸(E4P)からSBPへの反応をそれぞれ可逆的に触媒する酵素〕、フルクトース1,6−ビスホスファターゼ(FBPase;FBPからF6Pへの反応を触媒する酵素)、セドヘプツロース1,7−ビスホスファターゼ(SBPase;SBPからS7Pへの反応を触媒する酵素)、トランスケトラーゼが律速酵素として代謝反応を担っている。
【0003】
カルビンサイクルで作用する多くの酵素は、二酸化炭素固定の連続した反応を維持するのに必要とされるレベル以上に存在するものもある。しかしFBPase及びSBPaseはカルビンサイクルで重要な律速酵素でありながら、そのレベルは、カルビンサイクルの他の酵素に比較して極端に低いことが知られている(参照:ミヤガワ(Miyagawa)ら、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnolgy)2001年、第19巻、p.965−969)。
【0004】
このため、光合成能を高めるトランスジェニック植物として、植物の葉に特有の葉肉細胞から得られるサイトゾルのフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ遺伝子(cy−FBPase遺伝子)を永続的に特異的に発現させるプロモーターを有するベクター及び、該ベクターにより形質転換されたトランスジェニック植物が報告されている(WO98/18940)。
【0005】
また、ラン藻Synechococcus PCC7942遺伝子由来のFBP/SBPaseを形質発現させる方法が報告されている。この方法によると、形質転換された植物は野生株に比べ高い光合成活性を持ち、生育が促進されることが知られている(参照:特開2000−253768号公報;ミヤガワ(Miyagawa)ら、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnolgy)2001年、第19巻、p.965−969)。
【0006】
しかし、上記のいずれの形質転換体も、遺伝子を用いて構築されたプラスミドをアグロバクテリウム ツメファシエンスに導入し、葉ディスクに感染させることによって、各遺伝子を葉核ゲノムに導入されるものである。このため、植物に導入された遺伝子の発現タンパク質は、葉緑体に移行する確率が低かった。
【0007】
また、核ゲノムへの異種遺伝子の導入は、導入した人工改変遺伝子が交雑、交配等により環境へ拡散していく懸念がある。さらに、このようにして導入された遺伝子の発現は不安定で、植物体ごとに発現量、ひいてはその効果は大きく異なる。
【0008】
高等植物の葉緑体は、成葉1細胞あたり100個程度存在し、葉緑体1個あたり100コピーの葉緑体ゲノム遺伝子が存在する(アーカイブス・オブ・バイオテクノロジー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Biotechnology and Biophysics)、1996年、第334巻、p. 27−36;ベンディッヒ・エー・ジェイ(Bendich,A.J.)、バイオエッセイズ(BioEssays)、1987年、第6巻、p.279−282参照)。
【0009】
このことは、もし1コピーの外来遺伝子を葉緑体ゲノムに挿入した場合、形質転換体においては細胞あたり1万コピー存在することになり、コピー数の多さから導入遺伝子の高発現が期待できる(マリガ・ピー(Maliga,P.)、トレンズ・イン・バイオテクノロジー(Trends in biotechnology)、1993年、第11巻、p.101−107参照)。
【0010】
さらに、葉緑体への遺伝子導入は相同組み換えを利用するため、核への挿入時に見られる位置効果がおこらず、安定した遺伝子発現が行われる。また、葉緑体は母性遺伝をするため、導入した遺伝子の花粉を介した環境への飛散を防ぐことができる等、葉緑体への遺伝子導入は利点が多いと考えられている。
【0011】
目的タンパク質を葉緑体において高度に発現させることができる発現ベクター、及び該発現ベクターを用いて形質転換させた形質転換葉緑体、該形質転換葉緑体を有する植物が知られている。この発現ベクターは、psbAプロモーターと、タンパク質をコードする遺伝子の翻訳開始点の上流にリボゾーム結合部位を有することを特徴としている。本方法は、薬理活性を有するタンパク質、医薬品工業用材料等として有用なタンパク質を、微生物による製造に換えて、植物を使用して製造することを目的としたものである。該実施例において、緑色蛍光蛋白の遺伝子を用いて形質転換された植物に、その蛋白の発現が確認されている(マリガ・ピー(Maliga,P.)、トレンズ・イン・バイオテクノロジー(Trends in biotechnology)、1993年、第11巻、p.101−107参照)。
【0012】
しかし、本文献には、植物において光合成活性や二酸化炭素の固定を改善すること等についての記載はなく、またカルビンサイクルの律速酵素であるFBPase又はSBPase、或いはそれらの遺伝子についての記載も認められない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、高等植物中で光合成、特にカルビンサイクルに関与する酵素の遺伝子を形質発現させることによって、野生株に比べ高い光合成活性を持ち、生育が促進される形質転換植物を作製することである。より、詳しくは葉緑体DNAにカルビンサイクル反応を律速している酵素の遺伝子を導入し、光合成能が増強された形質転換葉緑体を有する植物を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、FBPase及び/又はSBPaseを有するタンパク質を高等植物の葉緑体中で確実に発現させることができる形質転換技術を見出した。また形質転換された植物は高い光合成活性を有するのみならず、より大きな植物体を有する植物に成長することを見出した。本発明は、これらの知見を基礎として更に種々研究を重ね完成されたものである。
【0015】
すなわち、本発明は、
(1)ルビスコ大サブユニットとアセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子の間にFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントを含んだ光合成活性を高める発現カセットを有する遺伝子組み換えベクター、
(2)FBPase活性を有するタンパク質が、次のいずれかである上記(1)に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列表の配列番号1において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質;又は
(c)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質、
(3)FBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、次のいずれかのDNAからなる遺伝子である、上記(1)に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA;
(b)配列表の配列番号2において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質をコードするDNA;又は
(c)配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつFBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA;又は
(d)配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるDNAと少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA、
(4)SBPase活性を有するタンパク質が、次のいずれかである上記(1)に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列表の配列番号3において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質;又は
(c)配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質、
(5)SBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、次のいずれかのDNAからなる遺伝子である、上記(1)に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるDNA;
(b)配列表の配列番号4において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c)配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA;又は
(d)配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと少なくとも60%以上の相同性を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA、
(6)FBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質が、次のいずれかである上記(1)に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列表の配列番号5において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質;又は
(c)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質、
(7)FBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、次のいずれかのDNAからなる遺伝子である、上記(1)に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号6に記載の塩基配列からなるDNA;
(b)配列表の配列番号6において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有し、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c)配列表の配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA;又は
(d)配列表の配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAと少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA、
(8)発現カセットが、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントの翻訳開始点の上流にリボゾーム結合部位を有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のベクター、
(9)発現カセットが、リボゾーム結合部位の上流にプロモーター、及びFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントの下流にターミネーターを有することを特徴とする上記(8)に記載のベクター、
(10) プロモーター及びターミネーターがそれぞれタバコ葉緑体由来のプロモーター及びターミネーターであることを特徴とする上記(9)に記載のベクター、
(11)ルビスコ大サブユニット遺伝子とアセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子がそれぞれタバコ由来の遺伝子である上記(1)〜(10)のいずれかに記載のベクター、
(12)タバコ由来のルビスコ大サブユニット遺伝子とアセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子の間に、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントを有し、上記DNAフラグメントの翻訳開始点の上流にリボゾーム結合部位を有し、さらに、上記ルビスコ大サブユニット遺伝子とリボゾーム結合部位の間にタバコ由来のプロモーターを有し、そして上記アセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子とDNAフラグメントの間にタバコ由来のターミネーターを有する発現カセットを有する遺伝子組み換えベクター、
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載のベクターを葉緑体に導入した形質転換葉緑体、
(14)上記(13)に記載の形質転換葉緑体を有する植物、
(15)植物がタバコである上記(14)に記載の植物、及び
(16)葉緑体形質転換の手法を用いて、高等植物の葉緑体ゲノムにFBP/SBP遺伝子を導入、発現させることにより、FBPase活性を元の植物の2倍以上に高めた植物、
に関する。
【0016】
また、本発明は葉緑体DNAの遺伝子間の非コード領域にFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントを挿入し、形質転換された葉緑体を有する植物を生産する方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のベクターは、確実に高等植物の葉緑体へ、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質を導入できる。本発明のベクターにより形質転換された植物は、カルビンサイクルの律速酵素であるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質の発現が増強されるので、野性株よりも光合成能が強化される。この結果、本発明の形質転換植物は、野生株に比べて、糖、デンプンの合成能力が増大し得る。また、本発明の形質転換植物は、背丈が大きく、また葉の面積も大きく、茎も太くなり、早く生育し得る。したがって、本発明のベクターを用いた形質転換植物の栽培は、早生、高収量植物を作出する上で非常に有効な手段となり得る。
【0018】
本発明の形質転換植物は、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が核ゲノムではなく、葉緑体ゲノムに直接導入されるため、導入された遺伝子の花粉による拡散の恐れがない。すなわち、例えば核に遺伝子が導入された植物のように、花粉が風や昆虫により広範囲に撒き散らされ、動植物界への悪影響を与える等の環境汚染の心配がない。また、形質転換体の間で発現が安定している。また、葉緑体ゲノムに直接導入された本発明の形質転換植物は、核に遺伝子が導入された形質転換植物に比較して、糖、デンプンの合成能力が増大し、背丈、葉が大きくなり、早生、高収量植物に生育し得る。
【0019】
組み換えDNA技術を利用して、高等植物の一次代謝である光合成の機能を改善し、早生、収穫量の増大が可能であるので、将来の食料危機に対応する上で極めて重要な技術となり得る。
【0020】
また、本発明の形質転換植物は、光合成のうち、特に二酸化炭素固定に重要な役目を果たすカルビンサイクルの律速酵素が増強される。このため、本発明の形質転換植物は、大気中の二酸化炭素の取り込み率を高め、大気中の二酸化炭素濃度を低減できるので、該植物の栽培は、地球温暖化の抑制にも貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に使用されるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質は、カルビンサイクルの律速酵素となり得るタンパク質である。該タンパク質は、FBPase及び/又はSBPaseのいずれの酵素活性を有するものであっても、また両方の酵素活性を併せ持つものであってもよい。特に、高等植物では、カルビンサイクルの一連の反応において、その反応の全体としての速度を支配するペースメーカー酵素となり得るSBPaseの酵素活性を有するタンパク質並びに、FBPase及びSBPaseの両活性を有するタンパク質(以下、FBP/SBPaseと略称する。)が好ましい。
【0022】
FBPase活性を有する蛋白質としては、例えば配列番号1で示されるアミノ酸配列を挙げることができる。また、SBPase活性を有する蛋白質としては、例えば配列番号3で示されるアミノ酸配列を挙げることができる。FBP/SBPase活性を示すタンパク質としては、例えば配列番号5で示されるラン藻由来のFBP/SBPaseのアミノ酸配列を挙げることができる。本発明に使用されるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質には、上記各アミノ酸配列のうち、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつそれぞれFBPase活性、SBPase活性、又はFBP/SBPase活性を有するタンパク質も含まれる。さらに、本発明に使用されるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質には、配列番号1、3又は5に記載のアミノ酸配列と、それぞれ少なくとも60%以上の相同性を有するタンパク質、好ましくは80%以上の相同性を有するタンパク質、より好ましくは90%以上の相同性を有するタンパク質、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するタンパク質であって、かつそれぞれFBPase活性、SBPase活性、又はFBP/SBPase活性を有するタンパク質も含まれる。
【0023】
なお、本明細書でアミノ酸配列について「相同」というときは、タンパク質の一次構造を比較し、配列間において各々の配列を構成するアミノ酸残基の一致の程度の意味で用いる。
【0024】
また、アミノ酸配列について、「1又は数個(2〜6個程度)のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入」というときは、部位特異的突然変異誘発法などの周知の技術的方法により、天然に生じうる程度の数が、欠失、置換、付加又は挿入などされていることを意味する。
【0025】
本発明に使用されるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を含むDNAフラグメントとしては、FBPase、SBPase、FBP/SBPaseの各酵素をコードするDNA及び前記各酵素の活性部位を有するタンパク質をコードするDNAをいう。FBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列としては、例えば配列番号2に示されるDNA配列が挙げられる。SBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列としては、例えば配列番号4に示されるDNA配列が挙げられる。FBP/SBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列としては、例えば配列番号6に示されるDNA配列が挙げられる。本発明に使用されるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNAフラグメントには、上記した配列番号2、4又は6に示されるDNA配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有し、かつFBPase活性、SBPase活性、又はFBP/SBPase活性を有するタンパク質をコードするDNAが含まれる。塩基配列について、「1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入」というときは、部位特異的突然変異誘発法などの周知の技術的方法により、天然に生じうる程度の数(1〜数個)の塩基が、欠失、置換、付加又は挿入などされていることを意味する。
【0026】
また、本発明に使用されるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNAフラグメントには、配列番号2、4又は6に示される各DNA配列と、それぞれ相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつそれぞれFBPase活性、SBPase活性、又はFBP/SBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNAが含まれる。ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとは、上記DNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるDNAを意味する。ストリンジェントな条件とは、塩濃度、0.1〜2倍程度の濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる。)、温度約65℃程度でのハイブリダイズ条件をいう。
【0027】
さらに本発明に使用されるFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNAフラグメントには、配列番号2、4又は6に示される各DNA配列と、それぞれ少なくとも60%以上の相同性を有し、かつそれぞれFBPase活性、SBPase活性、又はFBP/SBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNAが含まれる。相同性を有するDNAとは、ハイストリンジェントな条件において、少なくとも約60%以上の相同性を有するDNA、好ましくは約80%以上の相同性を有するDNA、より好ましくは、約90%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するDNAをいう。なお、ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM程度、好ましくは約19〜20mM程度で、温度が約50〜70℃程度、好ましくは約60〜65℃程度の条件をいう。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃程度の場合が最も好ましい条件である。
【0028】
なお、以下、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNAフラグメント、及び上記ハイブリダイズするDNA並びに相同性を有するDNAを被導入遺伝子ともいう。
【0029】
本発明の発現カセットは、葉緑体DNA中に相同的組換えによって、確実に導入されるように、被導入遺伝子の5’−及び3’−側に、葉緑体DNAの遺伝子[例えば、trnG(tRNA−Gly(GCC))、trnV(tRNA−Val(GAC))、trnfM(tRNA−fMet(CAU))、rbcL遺伝子、accD遺伝子、trnI(tRNA−Ile(GAU))とtrnA(tRNA−Ala(UGU))、3’rps12(リボソーマルプロテインS12エクソン−3)遺伝子、trnV(tRNA−Val(GAC))等]配列と相補的塩基対をつくる塩基配列を付加したものである。相補的塩基対をつくる塩基配列は、葉緑体DNAの遺伝子と相補的塩基対をつくる相同的部分を有する、約500〜1500程度の塩基配列からなる配列であれば、好ましく用いることができる。このような塩基配列としては、葉緑体DNAの遺伝子と実質的に同一の配列、葉緑体DNAの遺伝子の部分配列と実質的に同一の配列、又は葉緑体DNAの遺伝子と実質的に同一の配列を含む配列に対する相補的な塩基配列が挙げられる。
【0030】
また、被導入遺伝子の導入位置から約1000〜1500程度の塩基配列を有し、葉緑体DNAの遺伝子(例えば、trnG、trnfM、rbcL遺伝子、accD遺伝子、trnI、trnA、3’rps12遺伝子、trnV等)と相補的塩基対をつくるものであれば、上記葉緑体DNAの遺伝子配列に限定されない。
【0031】
この時、葉緑体DNAの塩基配列は、外来遺伝子が導入されること以外、変化がないことが肝要である。外来遺伝子の導入先となる葉緑体DNAの塩基配列は、すでにNCBIのデータベースに登録され、開示されている(登録番号:NC 001879)。葉緑体DNA中に被導入遺伝子が導入される位置は、好ましくは葉緑体DNAの遺伝子のtrnGとtrnfMの間、rbcL遺伝子とaccD遺伝子の間、trnIとtrnAの間、3’rps12遺伝子とtrnVの間であり、それぞれの遺伝子から充分な距離を置いた非コード領域が望ましい。前記充分な距離とは、遺伝子から少なくとも50塩基以上、好ましくは約100〜1000塩基程度、より好ましくは約200〜500塩基程度である。該非コード領域は、葉緑体DNA上のいずれの非コード領域であってもよい。
【0032】
以下に、rbcL遺伝子とaccD遺伝子を使用した発現カセットにつき、より詳細に説明する。
【0033】
光合成活性を高める発現カセットを構成するrbcL遺伝子は、葉緑体ゲノムにコードされているルビスコ(Rubisco)の遺伝子である。ルビスコは、光合成CO固定反応回路(カルビンサイクル)において,初発段階であるCO固定反応(カルボキシラーゼ反応)を触媒し、該回路における代謝の律速となる鍵酵素である。また、該酵素は酸素(O)を固定する反応(オキシゲナーゼ反応)も触媒する。本発明における葉緑体由来のrbcL遺伝子としては、タバコ葉緑体由来のrbcL遺伝子を好ましく用いることができる。
【0034】
光合成活性を高める発現カセットを構成するaccD遺伝子は、葉緑体ゲノムにコードされているアセチルCoAカルボキシラーゼの遺伝子である。アセチルCoAカルボキシラーゼは、植物において脂肪酸合成に関与している酵素である。本発明における葉緑体由来のaccD遺伝子としては、タバコ葉緑体由来のaccD遺伝子を好ましく用いることができる。
【0035】
葉緑体由来のrbcL遺伝子と葉緑体由来のaccD遺伝子とを有する発現カセットを用いることにより、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、相同組換えにより葉緑体に組み込まれやすくなり、さらに葉緑体でのFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質の発現量が多くなるという利点ある。
【0036】
なお、rbcL遺伝子とaccD遺伝子はそれらの全長を使う必要はない。例えばrbcL遺伝子とaccD遺伝子との間の非コード領域の、被導入遺伝子の導入位置からrbcL遺伝子側又はaccD遺伝子側にそれぞれ約1000〜1500程度の塩基対の長さを有し、rbcL遺伝子又はaccD遺伝子とそれぞれ相同的組換えし得る配列であればよい。
【0037】
また、光合成活性を高める発現カセットは、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントの翻訳開始点の上流に、リボゾーム結合部位を有することが好ましい。該DNAフラグメントの上流にリボソーム結合部位を置くことにより、該タンパク質を高度に発現させることができる。該リボゾーム結合部位は、タンパク質をコードする遺伝子の翻訳開始点に隣接して、あるいは上流にあってもよいが、翻訳開始点の約7〜11塩基程度上流にあることが好ましく、9塩基程度上流にあることがさらに好ましい。かかるリボゾーム結合部位は、リボゾームが結合できることが知られている自体公知の塩基配列を有していればよいが、SD配列が好ましい。SD配列は、Shine−Dalgarno配列の略称であり、4〜7個のヌクレオチドからなるセグメントであって、その塩基配列は5'−AGGAGGU−3’(配列番号18)の一部又は全部である。
【0038】
光合成活性を高める発現カセットには、上記リボゾーム結合部位の上流にさらに、植物細胞由来のプロモーターを有することが好ましい。該プロモーターは、リボゾーム結合部位の上流であれば、リボゾーム結合部位に隣接してもよく、約1〜30塩基程度上流にあってもよい。該プロモーターとしては、例えば、エロンゲーションファクター1α遺伝子のプロモーター(EF1αプロモーター)、35Sプロモーター、psbAプロモーター、PPDKプロモーター、PsPAL1プロモーター、PALプロモーター、UBIZM1ユビキチンプロモーター、rrnプロモーター等が挙げられる。中でも、葉緑体由来のプロモーターが好ましく、タバコ葉緑体由来のプロモーターがより好ましく、例えば配列表の配列番号7で記載されたタバコ葉緑体由来のpsbAプロモーター等を特に好ましく用いることができる。
【0039】
光合成活性を高める発現カセットには、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントとaccD遺伝子の間に植物由来のターミネーターを有することが好ましい。該ターミネーターは、DNAフラグメントの下流であれば、DNAフラグメントに隣接してもよく、約1〜30塩基程度下流にあってもよい。該ターミネーターとしては、例えば35Sターミネーター、rps16ターミネーター、CaMV35Sターミネーター、ORF25polyA転写ターミネーター、PsbAターミネーター等が挙げられる。中でも、葉緑体由来のターミネーターが好ましく、タバコ葉緑体由来のターミネーターがより好ましく、タバコ葉緑体由来のrps16ターミネーターが最も好ましく、例えば配列表の配列番号8で記載されたタバコ葉緑体由来のrps16ターミネーターを好ましく用いることができる。
【0040】
また、発現カセットには、遺伝子組換え体を識別するための遺伝子を有することが好ましい。遺伝子組換え体を識別するための遺伝子としては、特に限定されず、自体公知のものを用いてよい。そのような遺伝子としては、例えば、各種の薬剤耐性遺伝子(aadA)、及び宿主の栄養要求性を相補する遺伝子などが挙げられる。より具体的には、例えば、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子(G418耐性)、クロラムフェニコール耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、URA3遺伝子等が挙げられる。より具体的には、例えば配列表の配列番号9に記載されたスペクチノマイシン耐性遺伝子などを好ましく用いることができる。また、該遺伝子の上流及び下流には、それぞれ該遺伝子を認識するためのプロモーター(以下、aadAプロモーターと略記する。)及び該遺伝子のターミネーター(以下、aadAターミネーターと略記する。)を配することが好ましい。該aadAプロモーター及びaadAターミネーターは、上記した植物由来のプロモーター及びターミネーターを好ましく使用できるが、rrnプロモーター及びpsbAターミネーターが特に好適である。aadAプロモーター/aadA/aadAターミネーターをaadAカセットということもある。
【0041】
遺伝子組換え体を識別するためのaadAカセットは、rbcL遺伝子とリボゾーム結合部位の上流にあるプロモーターとの間に配することが好ましい。
【0042】
本発明のベクターに使用される発現カッセトは、5'側からrbcL遺伝子、aadAカセット、プロモーター、リボソーム結合部位、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメント、ターミネーター及びaccD遺伝子の順序に構築されることが好ましい。各DNA間は連続していてもよく、あるいは各DNAの間に例えばイントロン配列等が挿入されていてもよい。
【0043】
本発明における遺伝子組換えベクターは、例えば以下の工程により作製することができる。
【0044】
まず、pLD6ベクターを作製する工程である。かかるベクターは、実施例の〔工程1〕に記載の方法で容易に作製することができる。pLD6の全塩基配列を配列番号10に示す。pLD6のNotIとSalIの切断部位に構築遺伝子群を挿入する。構築遺伝子群は、(a)配列番号11で表される塩基配列からなるマルチクローニング領域(配列番号10中の3698−3748に位置する)と、その上流に配列番号7で表されるタバコ葉緑体由来のpsbAプロモーター(配列番号10中の3569−3701に位置する)と、マルチクローニング領域の下流に配列番号8で表されるタバコ葉緑体由来のrps16ターミネーター(配列番号10中の3755−3913に位置する)とからなる群と、その群の上流に(b)遺伝子組換え体を識別するための遺伝子としての配列番号9で表されるスペクチノマイシン耐性遺伝子であるaadA遺伝子(配列番号10中の2369−3173に位置する)と、aadA遺伝子の上流に配列番号12で表されるタバコ葉緑体由来のrrnプロモーター(配列番号10中の2227−2368に位置する)と、aadA遺伝子の下流に配列番号13で表されるタバコ葉緑体由来のpsbAターミネーター(配列番号10中の3175−3564に位置する)とを有している。上記マルチクローニング領域の制限酵素認識部位(BglII、SphI、ClaI及びEcoRI)に、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挿入する。より具体的には、pLD6ベクターのマルチクローニング領域のSphIとEcoRIの切断部位に、例えば配列番号2で示されるホウレンソウ由来のSBPaseをコードする遺伝子又は配列番号4で示されるホウレンソウ由来のFBPaseをコードする遺伝子、あるいはラン藻由来の配列番号6で示されるFBP/SBPaseをコードする遺伝子等を挿入する。この場合、配列番号の第13〜17位の塩基配列(5’−aggag−3’)がSD配列に相当し、リボソーム結合部位として働く。以下、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が挿入された構築遺伝子群をFBP/SBP遺伝子群と称し、該遺伝子群が挿入されたpLD6ベクターをpLD6−FBP/SBPと称する。
【0045】
次いで、pLD6−FBP/SBPを適当な宿主細胞に導入し、かかる宿主細胞を培養して、FBP/SBP遺伝子群をクローニングする。
【0046】
宿主細胞は、自体公知の宿主細胞から適宜選択でき、具体的には、例えばエシェリヒア属菌やバチルス属菌などの原核生物、酵母や糸状菌などの真核生物、植物細胞又は動物細胞等が挙げられる。また、宿主細胞の培養条件は、宿主細胞の種類に応じて当業界で通常行われている条件に従えば良い。また、クローニングされた遺伝子にFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子がうまく導入されたか否かは、pLD6−FBP/SBPが有する選択マーカー等に基づき容易に判別することができる。
【0047】
次いで、pLD200ベクターを作製する工程である。かかるベクターは、実施例の〔工程2〕に記載の方法で容易に作製することができる。先の工程のpLD6−FBP/SBPを用いてクローニングされた遺伝子組換え体から、NotI及びSalIを用いてFBP/SBP遺伝子群を切り出し、切り出した該遺伝子群をpLD200のポリリンカーのNotIとSalIの切断部位に挿入する。pLD200の全塩基配列を配列番号14に記載する。上記ポリリンカーは配列番号17で表される塩基配列(配列番号14の2125−2145に位置する)を有し、複数の制限酵素部位(NotI、NheI及びSalI)を有する。pLD200ベクターは、ポリリンカーとその上流に配列番号15で表される塩基配列からなるタバコ葉緑体由来のrbcL遺伝子(配列番号14の423−1856に位置する。)と、その下流に配列番号16で表される塩基配列からなるタバコ葉緑体由来のaccD遺伝子(配列番号14の2624−3328に位置する。)からなる発現カセットを有することを特徴とするベクターである。このようにしてFBP/SBP遺伝子群が挿入されたpLD200ベクターをpLD200−FBP/SBPと称する。
【0048】
上記ベクターは、自体公知のクローニングベクターに、複数の制限酵素部位を有するポリリンカー(好ましくは配列番号17で表される塩基配列の遺伝子)と、ポリリンカーの上流にタバコ葉緑体由来のrbcL遺伝子と、ポリリンカーの下流にタバコ葉緑体由来のaccD遺伝子とを挿入することにより得ることもできる。
【0049】
このようにして作製された上記pLD200−FBP/SBPを宿主細胞に導入し、形質転換体を作製する。このとき、宿主細胞としては、植物細胞が好ましく、葉緑体がより好ましく、タバコ葉緑体がさらに好ましい。このように、植物細胞、特に葉緑体を宿主細胞として用いることにより、導入した遺伝子がコードするタンパク質を高発現させることができ、さらに導入した遺伝子の花粉を介した環境への飛散を防ぐことができる等の利点がある。
【0050】
pLD200−FBP/SBPaseを宿主細胞、特に葉緑体へ導入して形質転換する方法としては、公知の方法を用いてよい。そのような方法としては、例えば、該発現ベクターを金又はタングステンの極めて細かい粒子にまぶし、この発現ベクターが付着した粒子を火薬又は高圧ガスで宿主細胞に打ち込み、該発現ベクターを導入するというパーティクルガン法などが挙げられる。中でも、高等植物の葉緑体への遺伝子導入系は、パーティクルガンによる手法(Svab,Z.,Hajdukiewicz,P.,及びMaliga,P.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1990年,第87巻,p.8526−8530)または、PEGによる手法(Golds,T.,Maliga,P.,及びKoop,H.−U.,Bio/Technol.,1993年,第11巻,p.95−97)を用いるのが好ましい。
【0051】
本発明に係る上記形質転換葉緑体を有する植物は、自体公知の方法によって得ることができる。ここで、上記植物は特に限定されないが、高等植物が好ましく、葉緑体形質転換系が確立されている植物がより好ましく、例えば、タバコ、イネ、ジャガイモ、ナタネ及びレタスが挙げられ、タバコが特に好ましい。タバコとしては、ニコチアナ・アキュミネート(Nicotiana acuminate)、ニコチアナ・アラタ(Nicotiana alata)、ニコチアナ・アテヌエイタ(Nicotiana attenuata)、ニコチアナ・クレベランディ(Nicotiana clevelandii)、ニコチアナ・エクセルシオール(Nicotiana excelsior)、ニコチアナ・フォルゲティアナ(Nicotiana forgetiana)、ニコチアナ・ゴッセイ(Nicotiana gossei)、ニコチアナ・グラウカ(Nicotiana glauca)、ニコチアナ・グルティノサ(Nicotiana glutinosa)、ニコチアナ・ラングスドルフィー(Nicotiana langsdorffii)、ニコチアナ・ロンギフローラ(Nicotiana longiflora)、ニコチアナ・オブツシホリア(Nicotiana obtusifolia)、ニコチアナ・パニュキュレータ(Nicotiana paniculata)、ニコチアナ・プルムバギホリア(Nicotiana plumbagifolia)、ニコチアナ・クアドリバリビス(Nicotiana quadrivalvis)、ニコチアナ・レパンダ(Nicotiana repanda)、ニコチアナ・ルスチカ(Nicotiana rustica)、ニコチアナ・サンデラエ(Nicotiana sanderae)、ニコチアナ・スーベオレンス(Nicotiana suaveolens)、ニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ニコチアナ・トメントサ(Nicotiana tomentosa)、ニコチアナ・トメントシホルミス(Nicotiana tomentosiformis)などが挙げられる。中でも、ニコチアナ・ルスチカ及びニコチアナ・タバカムが好ましい。特にニコチアナ・タバカムが好適であり、ニコチアナ・タバカムのうちの「バーレー種」、「黄色種(バージニア種)」、「在来種」及び「オリエント種」がとりわけ好ましい。
【0052】
上記植物はその植物に応じた自体公知の条件で生育させことができる。
【0053】
なお、上記の遺伝子工学又は生物工学の操作については、市販の実験書、例えば、1982年発行のモレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1989年発行のモレキュラー・クローニング第2版(Molecular Cloning, 2nd ed.)コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)等に記載された方法に従って容易に行うことができる。
【0054】
本発明に係るタバコ葉緑体ゲノム中への遺伝子導入用ベクターの構築の過程で利用したベクターのpLD6及びpLD200については、特願2001−083569で公開されている。
【0055】
以下に具体的実施例を挙げ、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに特に限定されることはない。
【0056】
なお、実施例で使用する各略号の意味は、次のとおりである。
S.7942:Synechococcus PCC 7942
LB培地:Luria−Bertani培地
NaCl:塩化ナトリウム
【実施例】
【0057】
遺伝子組み換え体の作製
〔工程1〕pLD6−S.7942FBP/SBPaseの作製
配列表の配列番号2で表されるS.7942FBP/SBPase遺伝子(fbp/sbp)をタバコ葉緑体において高発現が期待できるpsbAプロモーター(PpsbA)をもつベクターpLD6の制限酵素SphIとEcoRI部位の間に挿入し、pLD6−S.7942FBP/SBPaseを作製した。この、pLD6−S.7942FBP/SBPaseを常法に従い大腸菌に導入した。この大腸菌を、スペクチノマイシンを添加したLB培地で37℃下、16時間培養し、かかる遺伝子が導入された大腸菌を選択した。選択された大腸菌を同様の条件で培養し、その後遠心分離により集菌し、常法に従いpLD6−S.7942FBP/SBPase(プラスミドDNA)を精製した。なお、LB培地1L中の組成は、10gトリプトン、5g酵母エキス、及び5gNaClである。
【0058】
〔工程2〕pLD200−S.7942FBP/SBPaseの作製]
工程1で精製したpLD6−S.7942FBP/SBPaseを制限酵素NotI及びSalIで処理した後、S.7942FBP/SBPaseを含む断片をNotI上流とSalI下流にタバコ葉緑体ゲノムのrbcL遺伝子の一部とaccD遺伝子の一部を含む葉緑体形質転換用ベクターpLD200のNotIとSalI部位の間に挿入し、pLD200−S.7942FBP/SBPaseを作製した。この、pLD200−S.7942FBP/SBPaseを常法に従い大腸菌に導入した。この大腸菌を、スペクチノマイシンを添加したLB培地で37℃下、16時間培養し、かかる遺伝子が導入された大腸菌を選択した。選択された大腸菌を同様の条件で培養し、その後遠心分離により集菌し、常法に従いpLD200−S.7942FBP/SBPase(プラスミドDNA)を精製した(図1)。
【0059】
〔工程3〕葉緑体形質転換体の作製
精製したpLD200−S.7942FBP/SBPaseをパーティクルガンによりタバコ葉緑体に導入し、葉緑体形質転換体を作製した。タバコ葉緑体形質転換は、既知の方法(Svab,Z.,Hajdukiewicz,P.and maliga,P.,Stable transformation of plastids in higher plants.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,8526−8530(1990))に従い実施した。
【0060】
スペクチノマイシン添加培地上での再分化後、PCRにより葉緑体ゲノム中にS.7942FBP/SBPaseの導入された形質転換体(pTpsbAFS)6系統を得ることが出来た。自家交配により作出したT世代においても遺伝子の脱落は認めらなかった(図2)。抗S.7942FBP/SBPase抗体を用い、ウエスタンブロッティンクを行った結果、形質転換植物(pTpsbAFS)においてのみ、S.7942FBP/SBPaseの分子質量に一致する約40kDaの位置にシグナルが認められ、FBP/SBPaseが高発現していることが明らかになった(図3)。
【0061】
播種10週及び18週後の植物を用い、FBPase活性の測定を行った。野生株に比べ、形質転換植物では約10−40倍高いFBPase活性を有していた(図4)。
【0062】
播種12週後のT世代を用い、CO濃度360ppm条件下における光強度変化による光合成活性を測定した。その結果を図5に示す。形質転換体(pTpsbAFS−3及びpTpsbAFS−9)及び野生株(Wild−type)は、光強度約500mmol/m/sで光合成速度がマキシマムとなり、以後その速度を維持した。マキシマムにおける形質転換体の光合成速度は、野生株の約2倍であった。
【0063】
比較として、特開2000−253768号公報に記載の方法により、S.7942FBP/SBPaseを連結したプラスミドをアグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404に導入し、タバコのリーフディスクに感染させた形質転換体(TpFS−3及びTPFS−6)を作製した。TpFS−3及びTPFS−6は、野生株に比較し、マキシマムにおける光合成速度は約1.2〜1.3倍程度で、pTpsbAFS−3及びpTpsbAFS−9の光合成速度より、非常に低かった。このことは、本発明の形質転換体は、野生株及び従来法による形質転換植物に比較して、光合成活性が非常に亢進していることを示すものである。
【0064】
また、pTpsbAFS−3及びpTpsbAFS−9は、光強度約200mmol/m/sで、野生株のマキシマムと、300mmol/m/sで、TpFS−3及びTPFS−6のマキシマムと同程度の光合成速度を示した。このことは、本発明の形質転換植物は、光強度が低い場合でも、充分な光合成活性を有することを示すものである。
【0065】
播種18週後の形質転換体の生育を野生株と比較したところ、野生株に比べ形質転換植物では明らかに生育が促進されており、最終的な生育は野生株の1.2〜1.3倍に達した(図6及び7)。また、形質転換体では野生株に比べ茎が太くなっており、根も著しく発達していた(図8)。さらに、生育18週後の形質転換体は、野生株の約1.5倍の大きさに成長していた。
【0066】
このように、S.7942FBP/SBPase遺伝子をタバコ葉緑体ゲノムに導入することで、タバコの葉の光合成能を向上させることができた。さらにそのことにより、生育を促進させ、収穫量を増やすことが可能となった。
【0067】
タバコ以外の植物種については、前記プラスミドpLD200−S.7942FBP/SBPをパーティクルガンによりその葉緑体に導入し、スペクチノマイシン添加培地上で耐性細胞を選択することにより、S.7942FBP/SBP遺伝子が導入され、発現する植物細胞を得ることができる。
【0068】
例えば、ナタネの子葉、ジャガイモの葉片、レタスの葉片、イネの葉片または胚性幹細胞等にパーティクルガンにより前記プラスミドを打ち込み、適当な濃度のスペクチノマイシン添加培地上で耐性細胞を選択することにより形質転換植物細胞を得ることができる。S.7942FBP/SBP遺伝子を導入、発現させて得られた細胞を、適当な条件で再分化させることにより、生育を促進する、向上した光合成能を有する植物体を得ることができる。ナタネに対する形質転換の条件は、Transgenic Research 12(1) p111−114(2003)に、ジャガイモに対する形質転換の条件は、Plant Journal 19(2) p.209−216(1999)に、イネに対する形質転換の条件は、Nature Biotechnology 17(9) p.910−915(1999)に、レタスに対する形質転換の条件は、Sympodium of Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology, 1Da−10, 2004に記載されている。
【0069】
その他の植物種についても同様に、パーティクルガンを用いて葉片または胚性幹細胞等に前記pLD200−S.7942FBP/SBP遺伝子を撃ち込み、スペクチノマイシン添加培地上で耐性株を選択し、再分化させることにより、形質転換植物体を得ることができる。スペクチノマイシンを用いての選択条件は、種々の濃度のスペクチノマイシンを添加した培地での増殖、再分化を観察することで容易に決定することができる。通常は野生型株が増殖できない濃度であって、できる限り低濃度を選択するのが好ましい。カルスから植物体への再分化条件は、通常の手法を用いて決定することができる。この選択は、例えば、オーキシンあるいはサイトカイニンの濃度を段階的に変えたマトリックスの培地を用いて行われて、再分化の最適条件が決められる。必要に応じて、ジベレリンやアミノ酸を添加する場合もある。現在では、多くの植物種でカルスから植物への再分化条件が決定されている。これらの植物に上に述べた葉緑体形質転換の手法を適用することにより、S.7942FBP/SBP遺伝子を導入、発現させた植物体を得ることができ、このものは生育を促進する光合成能が向上している。これまで再分化条件が確立していない植物種について再分化が将来可能になれば、本発明のベクターをそのような植物に適用して、S.7942FBP/SBP遺伝子を導入、発現させて、光合成能の向上により生育が促進された植物体を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の遺伝子組み換え体を用いて形質転換された植物は、光合成活性が高く、早生あるいは高収量の作物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は発現ベクターpLD200−S.7942FBP/SBPaseを示す図である。
【図2】図2はPCRによる遺伝子導入の確認を示す図である。図中、Wは野生株を示す。
【図3】図3は播種後10週目の植物における導入遺伝子及び発現タンパク質の確認を示す図である。図中、Wは野生株を示す。
【図4】図4は播種後10週及び18週目における上葉及び下葉におけるFBPase活性の比較を示す図である。図中、縦軸はFBPase活性を示す。
【図5】図5は播種後10週目の光合成活性を示す図である。
【図6】図6は生育速度を示す図である。図中、縦軸は植物の高さ(cm)を示す。
【図7】図7は播種後18週目の植物を示す図である。
【図8】図8は播種後18週目の植物における茎及び根を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルビスコ大サブユニット遺伝子とアセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子の間に、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントを含んだ光合成活性を高める発現カセットを有する遺伝子組み換えベクター。
【請求項2】
FBPase活性を有するタンパク質が、次のいずれかである請求項1に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列表の配列番号1において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質;又は
(c)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質。
【請求項3】
FBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、次のいずれかのDNAからなる遺伝子である、請求項1に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA;
(b)配列表の配列番号2において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c)配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつFBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA;又は
(d)配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAと少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA。
【請求項4】
SBPase活性を有するタンパク質が、次のいずれかのタンパク質である請求項1に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列表の配列番号3において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質;又は
(c)配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質。
【請求項5】
SBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、次のいずれかのDNAからなる遺伝子である、請求項1に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるDNA;
(b)配列表の配列番号4において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c)配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA;又は
(d)配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAと少なくとも60%以上の相同性を有し、かつSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA。
【請求項6】
FBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質が、次のいずれかである請求項1に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列表の配列番号5において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質;又は
(c)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase及びSBPase活性を有するタンパク質。
【請求項7】
FBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、次のいずれかのDNAからなる遺伝子である、請求項1に記載のベクター;
(a)配列表の配列番号6に記載の塩基配列からなるDNA;
(b)配列表の配列番号6において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有し、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c)配列表の配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA;又は
(d)配列表の配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAと少なくとも60%以上の相同性を有し、かつFBPase活性及びSBPase活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA。
【請求項8】
発現カセットが、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントの翻訳開始点の上流にリボゾーム結合部位を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のベクター。
【請求項9】
発現カセットが、リボゾーム結合部位の上流にプロモーター、及びFBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントの下流にターミネーターを有することを特徴とする請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
プロモーター及びターミネーターが、それぞれタバコ葉緑体由来のプロモーター及びターミネーターであることを特徴とする請求項9に記載のベクター。
【請求項11】
ルビスコ大サブユニット遺伝子とアセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子がそれぞれタバコ由来の遺伝子である請求項1〜10のいずれかに記載のベクター。
【請求項12】
タバコ由来のルビスコ大サブユニット遺伝子とアセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子の間に、FBPase活性及び/又はSBPase活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントを有し、上記DNAフラグメントの翻訳開始点の上流にリボゾーム結合部位を有し、さらに、ルビスコ大サブユニット遺伝子とリボゾーム結合部位の間にタバコ由来のプロモーターを有し、そして上記アセチルCoAカルボキシラーゼのサブユニット遺伝子と上記DNAフラグメントの間にタバコ由来のターミネーターを有する発現カセットを有する遺伝子組み換えベクター。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のベクターを葉緑体に導入した形質転換葉緑体。
【請求項14】
請求項13に記載の形質転換葉緑体を有する植物。
【請求項15】
植物がタバコである請求項14に記載の植物。
【請求項16】
葉緑体形質転換の手法を用いて、高等植物の葉緑体ゲノムにFBP/SBP遺伝子を導入、発現させることにより、FBPase活性を元の植物の2倍以上に高めた植物。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−525974(P2007−525974A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527183(P2006−527183)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/JP2005/004037
【国際公開番号】WO2005/085454
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【出願人】(591178012)財団法人地球環境産業技術研究機構 (153)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】