説明

蒸散装置

【課題】埃の進入に起因した蒸散効率の低下を防止することができる芳香器を提供する。
【解決手段】装置本体11に開設されたカートリッジ12挿入用の挿入部132の開口方向を、図中右方に設定し、舞い上がって落ちてきた埃が当該装置本体11の上面に蓄積され、挿入部132からの内部への進入を防止できるように構成する。これにより、舞い上がって落ちてきた埃が挿入部132からの内部へ進入し、ヒータ等で構成された加熱部に蓄積するといった不具合を解消することができ、加熱部によるカートリッジ12の加熱効率の低下を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤等の蒸散剤を蒸散する蒸散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤を蒸散させる装置としては、蒸散装置としての芳香器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この芳香器の装置本体には、上面に挿入口が設けられており、この装置本体のケーシングには、内部を左右に分割する仕切壁が設けられている。該仕切壁は、電熱ヒータ板を備えており、該電熱ヒータ板は、コンセントプラグから供給される電源によって加熱されるように構成されている。
【0004】
この仕切壁の両側部には、カートリッジが装着される装着部が設けられており、装着されたカートリッジは、トレイ底面が前記仕切板に接するように構成されている。
【0005】
これにより、前記カートリッジは、その底面から前記電熱ヒータ板からの熱を受け、収容された芳香液を加熱することで、加熱された芳香液をトレイを閉鎖する蒸散面から蒸散できるように構成されている。
【0006】
このとき、前記仕切壁の両脇に形成された各装着部に異なる芳香液を収容したカートリッジを装着することで、異なる二種類の香りの芳香液を蒸散できるように構成されている。
【特許文献1】特開2003−305113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の芳香器にあっては、カートリッジを装着する為の挿入口が装置本体の上面に開口しているため、この挿入口から埃が入りやすかった。
【0008】
この埃がヒータに付着すると、熱の伝達効率の低下に伴う蒸散効率の低下が懸念される。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、埃の進入に起因した蒸散効率の低下を防止することができる蒸散装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の蒸散装置にあっては、装置本体に開設された挿入部からカートリッジを挿入して装着した状態で、該カートリッジ内の蒸散剤を加熱して蒸散させるヒータが設けられた蒸散装置において、前記装置本体を使用状態に配置した状態で、前記挿入部の開口領域が前記ヒータの真上に位置するヒータ真上領域に重ならないように前記挿入部の開口方向を設定した。
【0011】
すなわち、装置本体に開設されたカートリッジ挿入用の挿入部の開口方向は、前記挿入部の開口領域が前記ヒータの真上に位置するヒータ真上領域に重ならない方向に設定されている。
【0012】
このため、舞い上がって落ちてきた埃は、装置本体の上面に蓄積され、前記挿入部からの内部への進入が防止される。
【0013】
また、本発明の請求項2の蒸散装置にあっては、装置本体に開設された挿入部からカートリッジを挿入して装着した状態で、該カートリッジに接して当該カートリッジ内の蒸散剤を加熱し蒸散させる加熱部が設けられた蒸散装置において、前記装置本体を使用状態に配置した状態で、前記挿入部が横方向へ向けて開口した横向き開口状態から下方向へ向けて開口した下向き開口状態までの範囲内に前記挿入部の開口方向を設定した。
【0014】
すなわち、装置本体に開設されたカートリッジ挿入用の挿入部の開口方向は、横方向へ向いた横向き開口状態から下方向へ向いた下向き開口状態までの範囲内に設定されている。
【0015】
このため、舞い上がって落ちてきた埃は、装置本体の上面に蓄積され、前記挿入部からの内部への進入が防止される。
【0016】
さらに、請求項3の蒸散装置では、前記カートリッジから蒸散した蒸散剤を放出する放出部を前記装置本体の前後面に設けた。
【0017】
これにより、蒸散剤を放出する放出部からの埃の進入も防止される。
【0018】
また、請求項4の蒸散装置にあっては、前記装置本体より延出するコンセントプラグを備え、該コンセントプラグを壁面に設けられたコンセントに差し込んだ際に給電を受けて作動するコンセント給電タイプである。
【0019】
すなわち、この蒸散装置は、コンセントから給電を受けて作動するコンセント給電タイプであり、使用時には、前記装置本体から延出したコンセントプラグが壁面に設けられたコンセントに差し込まれる。
【0020】
このため、使用状態では、前記装置本体が壁面に沿って配置される。また、前記コンセントプラグを壁面のコンセントに差し込んだ使用状態では、前記挿入口の開口方向が前記コンセントプラグに基づいて定められる。
【0021】
さらに、請求項5の蒸散装置では、前記コンセントプラグを壁面の前記コンセントに差し込んで使用する使用状態において、前記挿入部が横方向へ向けて開口するように当該挿入部の開口方向を設定した。
【0022】
すなわち、この蒸散装置では、前記コンセントプラグを壁面の前記コンセントに差し込んで使用する使用状態において、前記挿入部が横方向へ向けて開口する。
【0023】
このため、前記挿入部が下方へ向けて開口する場合と比較して、前記挿入部に挿入された前記カートリッジの落下を防止する構造を設けること無く、当該カートリッジの不用意な離脱が防止される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明の請求項1の蒸散装置にあっては、装置本体に開設されたカートリッジ挿入用の挿入部の開口方向は、前記挿入部の開口領域が前記ヒータの真上に位置するヒータ真上領域に重ならない方向に設定されており、舞い上がって落ちてきた埃は、装置本体の上面に蓄積される。
【0025】
このため、カートリッジ挿入用の挿入部が上方へ向けて開口する構造上、舞い上がって落ちてきた埃が挿入部からの進入し、ヒータに蓄積するといった不具合を解消することができ、前記ヒータによる前記カートリッジの加熱効率の低下を防止することができる。
【0026】
これにより、埃の進入に起因した蒸散効率の低下を防止することができる。
【0027】
また、本発明の請求項2の蒸散装置にあっては、装置本体に開設されたカートリッジ挿入用の挿入部の開口方向が横方向へ向いた横向き開口状態から下方向へ向いた下向き開口状態までの範囲内に設定されており、舞い上がって落ちてきた埃は、装置本体の上面に蓄積される。
【0028】
このため、カートリッジ挿入用の挿入部が上方へ向けて開口する構造上、舞い上がって落ちてきた埃が挿入部からの進入し、加熱部に蓄積するといった不具合を解消することができ、前記加熱部による前記カートリッジの加熱効率の低下を防止することができる。
【0029】
これにより、埃の進入に起因した蒸散効率の低下を防止することができる。
【0030】
さらに、請求項3の蒸散装置では、前記カートリッジから蒸散した蒸散剤を放出する放出部を装置本体の前後面に設けることによって、前記放出部から進入した埃に起因した不具合も防止することができる。
【0031】
また、請求項4の蒸散装置においては、コンセントから給電を受けて作動するコンセント給電タイプであり、使用時には、前記装置本体から延出したコンセントプラグが壁面に設けられたコンセントに差し込まれる。
【0032】
このため、使用状態では、前記装置本体を壁面に沿って配置することができ、テーブル等に載置する据え置きタイプと比較して、テーブル等への設置スペースが不要となる。
【0033】
そして、前記コンセントプラグを壁面のコンセントに差し込んだ状態では、前記挿入口の開口方向を前記コンセントプラグに基づいて定めることができる。
【0034】
このため、前記コンセントプラグを前記壁面のコンセントに差し込むだけで、前記挿入口の開口方向を設計時の方向へ向けることができ、上方へ向けた開口を確実に防止することができる。
【0035】
さらに、請求項5の蒸散装置では、前記コンセントプラグを壁面の前記コンセントに差し込んで使用する使用状態において、前記挿入部を横方向へ向けて開口させることができる。
【0036】
このため、前記挿入部が下方へ向けて開口する場合と比較して、前記挿入部に挿入された前記カートリッジの落下防止構造を特別に設けること無く、当該カートリッジの不用意な離脱を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる蒸散装置1を示す図であり、該蒸散装置1は、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の蒸散剤を蒸散する装置である。この蒸散剤としては、ゲル状の薬剤や液状の薬剤が挙げられるが、本実施の形態では、液状の薬剤が用いられている。
【0038】
この蒸散装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体11と、該装置本体11に交換可能に装着されるカートリッジ12とよって構成されている。
【0039】
該カートリッジ12は、図3にも示すように、樹脂製のトレイ21と、該トレイ21の開口部を閉鎖する蒸散面22とからなり、該蒸散面22は、液状の蒸散剤は通さず、蒸散され気化された蒸散剤は透過する透明乃至半透明のガス透過性フィルムで構成されている。
【0040】
前記トレイ21は、図4及び図5にも示すように、横長形状に形成されており、図4及び図5中、左寄りの部分に底面31側へ突出した第一収容部32と第二収容部33とが膨出形成されている。前記第一収容部32は、当該トレイ21の図5中左方である先端側に配置されており、前記第二収容部33は、図5中右方である基端側に配置されている。これにより、前記両収容部32,33は、前記トレイ21の底面31に沿って並設されるとともに、横並びに配列されている。
【0041】
前記第一収容部32は、図3及び図4に示したように、半円形状に形成されており、前記第二収容部33も半円形状に形成されている。両収容部32,33は、弦を構成する辺が対向して配設されており、前記第一収容部32は前記第二収容部33と共に円形を成すように配置されている。
【0042】
前記第一収容部32と前記第二収容部33との間には、両者を区画する区画部41が上下に方向に延在しており、前記蒸散面22を構成するガス透過性フィルムは、図4及び図5に示したように、前記各収容部32,33の外周部及び前記区画部41に接着されている。これにより、隣接した前記両収容部32,33は、互いに区画されており、各収容部32,33には、異なる色彩の異なる蒸散剤が収容されている。
【0043】
前記各収容部32,33の底面31には、図4に示したように、半径方向に延在する線状凹部51,・・・と、同心円上に延在する円弧状凹部52,・・・とが形成されており、当該底面31には、凹凸が形成されている。この凹凸によって、各収容部32,33は、補強されている。
【0044】
前記トレイ21の一般部61は、前記両収容部32,33から図4中右方である基端側へ延出するように、その長さ寸法が設定されており、この基端側に延出した一般部61によって着脱時に操作される舌片62が構成されている。そして、この舌片62の中央部には、図3から図5に示すように、底面側へ膨出形成された突起63が形成されている。
【0045】
前記装置本体11は、図2に示したように、前面を形成する前ケース71と、裏面を形成する裏ケース72と、前記前ケース71及び裏ケース72内に収容される中ケース73とによって構成されている。
【0046】
前記前ケース71は、円形リング状に形成されており、その横断面形状は、図6及び図7に示すように、前方に突出した円弧状に形成されている。この前ケース71の裏面には、図6に示したように、後方に延出した円筒部75,75が突設されており、各円筒部75,75は、リブ74,・・・によって側方から支持されている。
【0047】
前記裏ケース72は、図2に示したように、円形容器状の容器部81を中心に構成されており、該容器部81の外周部には、図6及び図7に示したように、横断面円弧状のリング部82が形成されている。このリング部82は、前記前ケース71に対応した形状に形成されており、図6及び図8に示すように、図6中、右側の部位に後ケース切欠部83が形成されている。このリング部82には、図6に示したように、ネジ挿入部84が凹設されており、該ネジ挿入部84の底面には、タッピンねじ85が挿入される挿通穴86が開設されている。
【0048】
このリング部82の外周縁には、図7に示したように、前方へ延出した凸条91が形成されており、該凸条91に対向する前記前ケース71の周縁には、前記凸条91が挿入される凹溝92が形成されている。これにより、前記凸条91を前記凹溝92に嵌着した状態で、前記裏ケース72を前記前ケース71に連結するとともに、図6に示したように、前記挿通穴86に挿入した前記タッピンねじ85を前記前ケース71の円筒部75に螺入することで、前記裏ケース72を前記前ケース71に固定できるように構成されている。
【0049】
前記容器部81には、図6から図8に示したように、電子基板101が設けられており、該電子基板101からは、コンセントプラグ102,102が延出している。このコンセントプラグ102,102は、前記容器部81を挿通して裏側へ延出しており、部屋の壁面Wに設けられたコンセントに差し込むことで、商用電源の供給を受けて作動するように構成されている。
【0050】
つまり、この蒸散装置1は、前記コンセントプラグ102,102を介して壁面Wのコンセントから給電を受けて作動するコンセント給電タイプを構成している。
【0051】
前記電子基板101には、電子回路が形成されており、当該電子基板101の前記中ケース73側の面には、発熱体としてのヒータ111が設けられている。該ヒータ111には、図8に示したように、加熱源としての加熱板112が面接した状態で固定されており、該加熱板112は、前記ヒータ111からの熱で加熱され、その熱を全面に伝導するように構成されている。
【0052】
この加熱板112は、前記電子基板101の一端側に設けられており、図7及び図8に示したように、前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んだ使用状態Uにおいて、下側に位置するように構成されている。
【0053】
前記中ケース73は、図1及び図2に示したように、円板状の前面部121と、該前面部121の周縁より後方へ延出した周面部122と、該周面部122の後端に設けられた後面部123とによって一体形成されており、該後面部123は、前記前面部121に対向して設けられている。
【0054】
前記周面部122には、図2中、右方に周面切欠部131が設けられており、当該中ケース73は、横方向Sへ向けて開口している。前記周面切欠部131は、図2及び図6並びに図9に示すように、前記裏ケース72の前記リング部82に設けられた前記後ケース切欠部83に対応した部位に設けられており、この装置本体11の前記コンセントプラグ102,102を起立した壁面Wのコンセントに差し込んだ使用状態Uに配置した状態で、当該装置本体11には、前記中ケース73に設けられた前記周面切欠部131と、前記後ケース72に設けられた前記後ケース切欠部83とによって、前記中ケース73内に前記カートリッジ12を挿入する挿入部132が右方へ向けて開口している。
【0055】
これにより、前記装置本体11の前記コンセントプラグ102,102を起立した壁面Wのコンセントに差し込んだ使用状態Uに配置において、図1に示したように、前記挿入部132が横方向Sへ向けて開口した横向き開口状態から下方向Lへ向けて開口した下向き開口状態までの範囲内に前記挿入部132の開口方向が設定されており、本実施の形態では、図2及び図6並びに図9に示したように、前記挿入部132が真横へ向けて開口するように当該挿入部132の開口方向が設定されている。
【0056】
また、本実施の形態では、前記装置本体11を前記使用状態Uに配置した状態において、図1及び図10に示すように、前記挿入部132の開口領域501が前記ヒータ111の真上に位置するヒータ真上領域502に重ならないように前記挿入部132の開口方向が前記横方向Sに設定されている。
【0057】
ここで、本実施の形態では、前記挿入部132の開口方向を、前記使用状態Uにおいて、図中右方へ向けて設定した場合に付いて説明するが、これに限定されるものではなく、図中左方へ向けて設定してもよい。
【0058】
さらには、前記使用状態Uにおいて、前記挿入部132の開口領域501が前記ヒータ111の真上に位置するヒータ真上領域502に重ならないように、図10に示したように、前記ヒータ真上領域502を除いた真上除外領域505に設定することができる。
【0059】
また、前記挿入部132の開口方向は、真横のみならず、図中右方から真下までの範囲内に設定したり、図中左方から真下までの範囲内に設定しても良い。
【0060】
そして、前記中ケース73には、前記挿入部132を介して前記カートリッジ12を交換可能に装着する装着部133が、前記前面部121と前記後面部123との間に形成されている。
【0061】
前記周面部122の上部と前記前面部121とが接続された上側の接続部分には、図7に示したように、装着されたカートリッジ12の上縁12aが挿入される上部挿入溝141が横方向に延設されており、前記周面部122の下部と前記前面部121とが接続された下側の接続部分には、装着されたカートリッジ12の下縁12bが挿入される下部挿入溝142が横方向に延設されている。
【0062】
これにより、前記カートリッジ12の上縁12a及び下縁12bを、対応する挿入溝141,142へ側方から挿入できるように構成されており、前記カートリッジ12の上縁12a及び下縁12bを前記各挿入溝141,142に挿入して挟持することで、当該カートリッジ12の前記トレイ21の底面31を起立した状態で保持できるように構成されている。
【0063】
また、この起立状態において、当該カートリッジ12の前記蒸散面22を前記前面部121に面接できるように構成されており、前記上部及び下部挿入溝141,142によって前記カートリッジ12が装着できる方向を規制し、前記蒸散面22を前記後面部123側である後方へ向けて装着できないように構成されている。
【0064】
さらに、前記上部挿入溝141から前記下部挿入溝142までの寸法は、前記カートリッジ12の短辺方向での長さに基づいて設定されており、前記装着部133には、前記カートリッジ12の長辺を縦にして挿入できないように構成されている。
【0065】
これにより、当該装置本体11の前記後ケース72から延出した前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んで使用する使用状態Uにおいて、前記装着部133に装着した前記カートリッジ12の前記トレイ21の底面31を起立するとともに、前記各収容部32,33を横方向に配列して配置した状態で、当該カートリッジ12を保持できるように前記装着部133が構成されている。
【0066】
また、この使用状態Uにおいて、図7に示したように、加熱部を構成する前記中ケース73の前記後面部123の下寄りに加熱源を構成する前記加熱板112が配置されるように構成されている。
【0067】
このカートリッジ12の前記蒸散面22が面接する前記前面部121の図2中下側の部位には、図2に示したように、横方向に延在する波形の左放出口151,・・・及び右放出口152,・・・がそれぞれ三カ所に開設されており、前記各左放出口151,・・・と前記各右放出口152,・・・とは、上下に延在する区画面153によって隔てられている。
【0068】
図1中左側に設けられた前記左放出口151,・・・は、前記カートリッジ12を前記装着部133に装着した状態で、前記第一収容部32の前側に配置されるように構成されており、図1中右側に設けられた前記右放出口152,・・・は、前記第二収容部33の前側に配置されるように構成されている。
【0069】
これにより、前記カートリッジ12の前記第一収容部32から蒸散された蒸散剤を前記左放出口151,・・・から外部へ放出できるように構成されており、前記第二収容部33から蒸散された蒸散剤を前記右放出口152,・・・から外部へ放出できるように構成されている。
【0070】
また、前記左右放出口151,・・・、152,・・・によって、前記各収容部32,33から蒸散された蒸散剤を放出する放出部が構成されており、前記左右放出口151,・・・、152,・・・からなる放出部は、前記前ケース71の開口部を介して当該装置本体11の前面に開口するとともに、前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んだ前記使用状態Uで、当該装置本体11の前面側から前記蒸散剤を部屋の中心部へ向けて放出できるように構成されている。
【0071】
なお、本実施の形態では、前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んだ前記使用状態Uにおいて、当該装置本体11の後面が壁面Wに対面する構造上、前記左右放出口151,・・・、152,・・・を前記装置本体11の前面に設けた場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、装置本体11の後面が開放されている場合には、この後面に前記放出部を構成する前記左右放出口151,・・・、152,・・・を設けてても良い。
【0072】
そして、前記前面部121の図2中下縁には、横方向に延在する波形の下部凹部161が凹設されており、前記前面部121の図2中上縁部には、横方向に延在する波形の上部波形開口部162が開口している。
【0073】
この前面部121に対向した前記後面部123の内側面は、平坦面で構成されており、前記装着部133に前記カートリッジ12を装着した状態で当該カートリッジ12のトレイ21の底面31が当該後面部123に密着するように該後面部123と前記前面部121との間隔が設定されている。
【0074】
この後面部123は、図6及び図7に示したように、前記電子基板101に設けられた加熱部として前記加熱板112に密着するように構成されており、前記後面部123は、前記加熱板112によって加熱され、その熱が全面に伝達されるように構成されている。
【0075】
これにより、この後面部123を介して前記カートリッジ12の前記底面31を全体的に加熱できるように構成されており、前記カートリッジ12を前記装着部133に装着した状態で、前記各収容部32,33に収容された蒸散剤を前記トレイ21の底面31側から加熱する加熱部が前記後面部123によって構成されている。
【0076】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記装置本体11に開設されたカートリッジ12挿入用の挿入部132の開口方向は、図中右方に設定されており、当該挿入部132の開口領域501が前記ヒータ111の真上に位置するヒータ真上領域502に重ならない方向に設定されるとともに、横方向Sへ向いた横向き開口状態から下方向Lへ向いた下向き開口状態までの範囲内に設定されている。
【0077】
このため、舞い上がって落ちてきた埃は、当該装置本体11の上面に蓄積され、前記挿入部132からの内部への進入を防止することができる。
【0078】
したがって、カートリッジ挿入用の挿入部が上方へ向けて開口する構造上、舞い上がって落ちてきた埃が上方開口状の挿入部からの内部へ進入し、ヒータ111に蓄積したり該ヒータ111等で構成された加熱部に蓄積するといった不具合を解消することができ、ヒータ111による加熱効率の低下や、加熱部による前記カートリッジ12の加熱効率の低下を防止することができる。
【0079】
これにより、埃の進入に起因した蒸散効率の低下を防止することができる。
【0080】
このとき、前記カートリッジ12から蒸散した蒸散剤を放出する前記各放出部151,・・・,152,・・・は、装置本体11の前面に設けられている。このため、前記各放出部151,・・・、152,・・・から進入した埃が、前記ヒータ111に蓄積したり該ヒータ111等で構成された加熱部に蓄積するといった不具合を解消することができ、ヒータ111による加熱効率の低下や加熱部による前記カートリッジ12の加熱効率の低下を防止することができる。
【0081】
これにより、前記各放出部151,・・・,152,・・・から進入する埃に起因した不具合も防止することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、前記装置本体11の裏面にコンセントプラグ102,102が設けられた構造のため、前記各放出部151,・・・、152,・・・が前記装置本体11の前面に設けられた場合について説明したが、前記各放出部151,・・・,152,・・・が前記装置本体11の後面に設けた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0083】
また、この蒸散装置1は、コンセントから給電を受けて作動するコンセント給電タイプであり、使用時には、前記装置本体11から延出したコンセントプラグ102,102が壁面Wに設けられたコンセントに差し込まれる。
【0084】
このため、使用状態Uでは、前記装置本体11を前記壁面Wに沿って配置することができ、テーブル等に載置する据え置きタイプと比較して、テーブル等への設置スペースが不要となる。
【0085】
そして、前記コンセントプラグ102,102を前記壁面Wのコンセントに差し込んだ前記使用状態Uでは、前記挿入部132の開口方向を前記コンセントプラグ102,102に基づいて定めることができる。
【0086】
このため、前記コンセントプラグ102,102を前記壁面Wのコンセントに差し込むだけで、前記挿入部132の開口方向を設計時の方向へ向けることができ、上方へ向けた開口を確実に防止することができる。
【0087】
さらに、本実施の形態の蒸散装置1にあっては、前記装置本体11より延出した前記コンセントプラグ102,102を壁面Wのコンセントに差し込んで使用する使用状態Uにおいて、前記挿入部132を横方向へ向けて開口させることができる。
【0088】
このため、前記挿入部132が下方Lへ向けて開口する場合と比較して、前記挿入部132に挿入された前記カートリッジ12の落下を防止する構造を特別に設けること無く、当該カートリッジ12の不用意な離脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の分解斜視図である。
【図3】同実施の形態のカートリッジを底面側から見た状態を示す斜視図である。
【図4】同実施の形態のカートリッジを示す底面図である。
【図5】同実施の形態のカートリッジを示す側面図である。
【図6】同実施の形態の要部を示す横断面図である。
【図7】同実施の形態の要部を示す縦断面図である。
【図8】同実施の形態の裏ケースを示す斜視図である。
【図9】同実施の形態の蒸散装置の使用状態を示す平面図である。
【図10】同実施の形態の挿入部の開口方向を示す説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1 蒸散装置
11 装置本体
12 カートリッジ
71 前ケース
72 後ケース
73 中ケース
102 コンセントプラグ
123 後面部
132 挿入部
133 装着部
501 開口領域
502 ヒータ真上領域
L 下方向
S 横方向
U 使用状態
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に開設された挿入部からカートリッジを挿入して装着した状態で、該カートリッジ内の蒸散剤を加熱して蒸散させるヒータが設けられた蒸散装置において、
前記装置本体を使用状態に配置した状態で、前記挿入部の開口領域が前記ヒータの真上に位置するヒータ真上領域に重ならないように前記挿入部の開口方向を設定したことを特徴とする蒸散装置。
【請求項2】
装置本体に開設された挿入部からカートリッジを挿入して装着した状態で、該カートリッジに接して当該カートリッジ内の蒸散剤を加熱し蒸散させる加熱部が設けられた蒸散装置において、
前記装置本体を使用状態に配置した状態で、前記挿入部が横方向へ向けて開口した横向き開口状態から下方向へ向けて開口した下向き開口状態までの範囲内に前記挿入部の開口方向を設定したことを特徴とする蒸散装置。
【請求項3】
前記カートリッジから蒸散した蒸散剤を放出する放出部を前記装置本体の前後面に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の蒸散装置。
【請求項4】
前記装置本体より延出するコンセントプラグを備え、該コンセントプラグを壁面に設けられたコンセントに差し込んだ際に給電を受けて作動するコンセント給電タイプであることを特徴とした請求項1、2又は3記載の蒸散装置。
【請求項5】
前記コンセントプラグを壁面の前記コンセントに差し込んで使用する使用状態において、前記挿入部が横方向へ向けて開口するように当該挿入部の開口方向を設定したことを特徴とする請求項4記載の蒸散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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