説明

蒸気タービンの排気を熱源とする融雪装置

【課題】道路などの雪は従来は河川に流していたがこれができなくなったので、タンクに温水を入れ、これに雪を落とし込んで融かす装置が考案された。しかし、温水を造るには燃料が必要で、これは融雪にだけ使われている。また、投入した雪はタンクの壁や温水に浮かんだ雪を足場にしてブリッジを造るため、蒸気あるいは温水を振り掛けているが、雪に孔が空くだけで温水プールには落ちない。
【解決手段】燃料を用いて蒸気を造り蒸気タービンで発電しその排気で雪を融かすと、燃料は有効・経済的に利用できる。この融雪装置は復水器2からなり、発電に使用した排気の復水管3の外側に雪6が、内側に排気1が流れる。復水器2に投入された雪6は復水器2の壁11および復水管3を足場にしてブリッジを造るので、蒸気タービン入口の蒸気を復水管3の上に設けた蒸気管9から噴射10させて、該ブリッジの支えになっている雪の底部に吹付けてこれを破壊する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気タービンの排気を管に導き、その上に雪を載せ、排気を冷却するのに管を通して雪に熱を与える復水器と、これに投入した雪が造るブリッジを破壊するのに蒸気タービン入口の蒸気の一部を復水器の内壁および雪に噴射する融雪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市部では道路・敷地に積もった雪を河川に流すことができなくなったので燃料を使って融かさなければならない。これは如何にも勿体ないので、燃料の熱を有効に利用することを考えなければならない。また、雪をタンクに入れて融かす場合雪は粘着性があり、嵩比重が小さいのでブリッジを造り易く、仲々下に落ちない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこの欠点を克服する。即ち、(1)燃料の熱を有効に利用するために蒸気タービンを用いて発電を行い、排気の熱で雪を融かす、(2)タンクの壁および雪に蒸気を吹付けてブリッジを破壊するのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
蒸気タービン入口の蒸気条件を適当に選ぶと蒸気タービンの排気の湿り度が復水器の入口条件として適性になって有効な発電が得られる。
【0005】
融雪を考えた復水器は従来のものとは異なる特殊な構造とする必要がある。これは図 1のように排気を管の内側に流し、雪はその外側を融けつつ流下するものとする。
【0006】
このとき、雪は復水器の壁を足場としてブリッジを造る。このブリッジはこれを支持する復水器の側壁に蒸気を噴射すればよい。ただし、雪が復水管の上に落ちると復水管の表面温度が下がり、雪は融けずに復水管の上に溜まるからその上に積もった雪がブリッジを造る場合がある。この場合にはブリッジを破壊するために蒸気をブリッジに噴射しなければならない。雪に下から吹付ければ雪は分割されて落ちるので融けるのが速くなる。
【0007】
「従来の装置との比較」
従来燃料を用いる融雪装置で発電を行うものはなかった。従ってまた本発明のような構造の復水器を融雪に用いることもなかった。
【0008】
タンクの下部に温水を貯め、雪を上から入れ、これに蒸気あるいは温水を振掛ける融雪装置がある。しかし、蒸気あるいは温水を振掛けても雪のブリッジは融けず雪に穴が空くだけである。
【0009】
従来型の融雪装置では雪はタンクの側壁を足場としてブリッジを造る。また、下部の温水プールの上に落ちた雪は温水の表面近傍を急冷してその温度を下げるため融けないので、これを足場としてブリッジを造る場合がある。これらのブリッジを破壊するためには蒸気をブリッジの足場になっているタンクの側壁および雪の固まりに蒸気あるいは温水を吹付ける必要がある。
【0010】
これに対して本発明の復水器は蒸気タービンの排気で雪を融かすに好適な構造を有する。
【0011】
本発明の復水器は蒸気の噴射管を有し、積雪の復水器側壁および復水管を足場とするブリッジを破壊して雪を復水管に落し込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
従来の融雪は燃料によって行われるだけでその他に何の益もなかった。本発明の復水器は蒸気タービンの排気による融雪装置で、燃料は発電に用いられ、副産物として融雪が行われるのである。 本発明の復水器は復水管の配置など合理的な構造を有している。また復水器の側壁および復水管の上にできるブリッジを融かすための蒸気の噴射装置を持ち、これによってブリッジを効果的に破壊し、雪を適当な大きさに分割して復水管の中に落とし込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は雪を蒸気タービンの排熱で融かし、発電を行う経済的な融雪装置に関するものである。 本発明の復水器は蒸気タービンの排気によって雪を融かす目的に適した復水管の配置を有する。また、復水器の側壁および復水管の上に生じる雪のブリッジを蒸気で破壊する構造により雪を復水管の中に効果的に落とし込むことができる。これは図1に示されるが、この形態が発明を実施するための最良のものである。
【実施例】
【0014】
図1は蒸気タービンの排気によって融雪を行う復水器の一実施例を示す。復水管の上に蒸気管を設け、復水器の側壁および復水管の上に生じる雪のブリッジを破壊する。
【産業上の利用可能性】
【0015】
都市部では道路・敷地の雪を河川に流すことができず燃料を使って融かさなければならない。そこでタンクに雪を入れ、これに蒸気または温水を吹付けて融かす装置が考えられたが、これでは燃料は融雪に用いるだけで他に何の益もない。本発明は蒸気タービンを用いて発電を行い、その排気で融雪を行う経済的な装置を提案する。
【0016】
従来の融雪装置では雪を底に貯めた温水に落し込んで融かすものが考案されたが、雪はタンク側壁および温水表面の浮遊雪を足場にしてブリッジを造って落ちないので、蒸気または温水を上から振掛けて融かしていた。しかし、これでは雪は孔が空くだけで下に落ちない。
【0017】
本発明では復水器側壁および復水管の上に生じるブリッジブリッジを破壊するのに雪の下から蒸気を噴射する方法を用いた。
【0018】
これらの装置により融雪は簡単・確実に行われる。特に蒸気を用いるブリッジ破壊は強力であり構造が簡単である。
【0019】
このように本発明による融雪装置は発電用蒸気タービンの排熱を用いるため経済的であり、構造が比較的簡単であり乍ら融雪が確実かつ効果的である。このため産業上利用可能性が大きいと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の復水器を示す図である。
【0021】
本発明の一実施例であるが、融雪装置の復水器は図 1に示すように普通のものとは異なる構造になる。蒸気タービンの排気1は復水器2の適当な高さから下に設けた復水管3の中を流れ、復水4になって復水溜め5に溜まり、ボイラに帰る。復水器の上部に雪6が投入され、復水管3に触れ融けた雪(融水7)は復水器(2)の下に設けられた融水溜め8に溜まり、濾過して放流される。この儘では雪6は復水管3の上に溜まり、ブリッジを造って復水管3の中に落ちないから、復水管3の上に蒸気管9を設け、蒸気タービン入口の蒸気10をブリッジの支えになっている復水器2の壁11および雪6の底部に吹付ける。蒸気は高温・高圧であるから融雪作用は強力で、従って少量で済む。
【符号の説明】
【0022】
1 排気
2 復水器
3 復水管
4 復水
5 復水溜め
6 雪
7 融水
8 融水溜め
9 蒸気管
10 蒸気
11 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンの排気を管の中に流し、管の上に雪を置き、雪を排気の熱で融かす復水器を有し、管の上の雪がブリッジを造るのを防ぐため蒸気タービンの入口蒸気の一部を復水器の内壁および雪に噴射することを特長とする融雪装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−127225(P2009−127225A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301157(P2007−301157)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(393020524)
【Fターム(参考)】