説明

蒸気検知デバイスの製造方法、蒸気検知デバイス及び蒸気モニタバッジ

【課題】溶媒蒸気の検出に使える、低コストでシンプル、汎用性のある蒸気検知デバイス、当該蒸気検知デバイスの製造方法、蒸気モニタバッジを提供する。
【解決手段】本発明は、蒸気検知デバイスの製造方法であって、前記方法は、コロイド状の球の水分散液を基板上に置く工程と、前記コロイド状球水分散液を乾燥させてコロイド状結晶を得る工程と、前記コロイド状結晶の間隙に蒸気膨張性マトリックス組成物を充填する工程と、前記蒸気膨張性マトリックス組成物を硬化させる工程と、フィルムの表面から余分な蒸気膨張性マトリックス材料を剥ぎ取る工程と、を備え、前記コロイド状結晶は露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は一般に蒸気検知デバイス、詳細には、溶媒蒸気の検出に使用するフォトニック(photonic)結晶フィルムに関する。本明細書は更に、このような蒸気検知デバイスおよびフィルムの製造法と使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
2ガス濃度の測定に用いられる機器やアルコール測定用の呼気検知器ユニットなどの典型的な蒸気センサデバイスは、複雑な化学的工程を利用するためコストが高い。例えば呼気検知器ユニットでは血中アルコール濃度の測定に化学反応、赤外線分析、または燃料電池を利用している。これらのデバイスは比較的複雑で、高価になりがちである。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,094,273号明細書
【特許文献2】米国特許第6,014,246号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、溶媒蒸気の検出に使える、低コストでシンプル、汎用性のある蒸気検知デバイス、当該蒸気検知デバイスの製造方法、蒸気モニタバッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、溶媒蒸気の存在の視覚的な検知に使用できる薄膜デバイスの製造と使用について述べる。このセンサの実施の形態は、蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれた、単分散でコロイド大の球の規則的な配列から成る複合材フィルムとすることができる。球の粒子間距離が小さいため、このフィルムは可視光のブラッグ回折を示し、虹色のオパール様の外観を呈する。溶媒蒸気が存在すると、マトリックスの膨張とそれに伴うブラッグ回折波長の変化により、容易に観察でき、迅速かつ可逆的な色の変化が生じる。
【0006】
実施の形態において、本明細書は、コロイド状の球の水分散液を基板上に置く工程と、コロイド状球の水分散液を乾燥させてコロイド状結晶を得る工程と、コロイド状結晶の間隙に蒸気膨張性マトリックス組成物を充填する工程と、蒸気膨張性マトリックス組成物を硬化させる工程と、フィルムの表面から余分な蒸気膨張性マトリックス材料を剥ぎ取ってコロイド状結晶を露出させる工程とを含む、蒸気検知デバイスの製造法を提示する。
【0007】
実施の形態において、本明細書は、蒸気膨張性マトリックスと、蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれたコロイド状結晶とを含み、蒸気膨張性マトリックスが、少なくとも1種類の蒸気の存在下で可逆的に膨張する組成物を含み、コロイド状結晶がブラッグ回折を示し、コロイド状結晶の少なくとも1つの表面が環境に直接露出している、蒸気検知デバイスを提示する。
【0008】
実施の形態において、本明細書は、基板と、基板上に固定した蒸気膨張性マトリックスと、蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれたコロイド状結晶とを含み、蒸気膨張性マトリックスが、少なくとも1種類の蒸気の存在下で可逆的に膨張する組成物を含み、コロイド状結晶がブラッグ回折を示し、コロイド状結晶の少なくとも1つの表面が環境に直接露出している、蒸気モニタバッジを提示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ここで述べようとする蒸気検知デバイスは、蒸気膨張性マトリックスと、蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれた、単分散でコロイド大の球の規則的な配列とを含むものである。本件では更に、本発明の実施の形態に従った蒸気検知デバイスの製造および使用法についても述べる。
【0010】
蒸気膨張性マトリックスは、検出すべき蒸気状物質と自発的に反応する物質から成るものである。「反応する」とは、蒸気が蒸気膨張性マトリックス中に拡散して、蒸気膨張性マトリックスを膨らませ、または広げることを意味する。更に、実施の形態において、検出すべき1種類以上の蒸気と蒸気膨張性マトリックスとの反応は、蒸気の相対濃度の変化に応じて可逆的に変化することができる。つまり、例えば、特定の蒸気と蒸気膨張性マトリックスとの反応は、蒸気濃度が上がれば蒸気膨張性マトリックスを膨張させ、蒸気濃度が下がれば逆にすることができる。
【0011】
実施の形態では、この反応をセンサ特性の検知可能な変化に関連づける。例えば、蒸気膨張性マトリックスが蒸気膨張の第1の状態から第2の状態へ変化するにつれ、反応によってセンサの可視色が第1の色から第2の色へ変化する。蒸気膨張性マトリックス中に存在する蒸気の濃度に直接的または間接的に関連づけられるこの色の変化を、蒸気濃度に対応させることが可能である。
【0012】
蒸気膨張性マトリックス中には、単分散でコロイド大の球が3次元結晶格子状に埋め込まれている。コロイド状球は、ブラッグ回折を示す配列に単分散できるものを選ばなければならない。更に、コロイド状球は、検出すべき種類の蒸気に不溶な材料から成るものである必要がある。
【0013】
センサの初期色は、選択したコロイド状球の大きさに一部依存する。初期色が可視スペクトル域に入るようにするには、コロイド状球の直径を約100〜約300nm、例えば約150〜約260nmの平均粒度または粒径を持つものとする。無論、赤外または紫外光の変化など、可視光以外で色の変化を検出する場合には、より小さいまたはより大きい粒子を用いることができる。しかし、この範囲を超える粒径を持つことが好ましい場合もある。更に、センサの初期色が透明であることが好ましいこともあり、この場合には、ブラッグ回折ピークが可視スペクトル外の短波長側となるような平均粒径を持つコロイド状球を選ぶ必要がある。その他のパラメータを、所望の種類の蒸気が存在すると透明なセンサが目に見える色に変わるように設定しても良い。
【0014】
センサが溶媒蒸気に曝されると蒸気膨張性マトリックスが膨らんで粒子間距離が大きくなる(d1からd2へ)。その結果、ブラッグ回折ピークがシフトして色が変わる。ブラッグ回折ピークのシフトが十分に大きければ、色の変化を肉眼で検出できる。溶媒蒸気環境からフィルムを取り出すと、フィルムは縮んで元の形状と色に戻る。もちろん、蒸気の存在と濃度は、肉眼による色の測定以外でも求めることができる。例えば、センサを色検出デバイスに取り付け、あるいはその近くに配置して、センサの色をより正確に求め、より精密な測定を行い、または、より小さな色の変化を測定することができる。蒸気膨張性マトリックスの色の変化の測定には、その他の測定デバイスも使用可能である。
【0015】
蒸気膨張性マトリックスの架橋度と溶媒の性質の両方がマトリックスの膨張度に関与して、ブラッグ回折ピークのシフトに影響する。一般に、より小さな分子やより低い分子量を持つ化合物の蒸気は、より大きな分子やより高い分子量を持つ化合物の蒸気よりもマトリックスを膨張させる。最も膨張性を良くするには、架橋度は約5%以下が好ましい。しかし、架橋度が約2%以下であると、センサのフィルムが非常に軟らかく粘着性となり、機械的にも不安定となることがある。このため適当な架橋密度範囲は約2〜約5%、例えば約2〜約2.5%または約2.5〜約4%とすることができる。
【0016】
ある種の蒸気の検出には、一部のマトリックス組成物が他のマトリックス組成物よりも適している。例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は精油蒸気または有機溶媒蒸気と強く反応するが、水蒸気とは強く反応しない。しかし、ヒドロゲル類は水蒸気と強く反応する。
【0017】
精油蒸気の検出に適したマトリックス組成物としては、シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン類など)および他のエラストマー状ポリマー類、例えば、ポリブタジエン(スチレンとブタジエンとの共重合体であるスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体であるニトリルゴムなど)、ポリイソプレン(イソブチレンとイソプレンとの共重合体であるブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなど)、およびクロロプレンゴム(ネオプレンの商品名で知られている)などが挙げられる。
【0018】
有機溶媒蒸気の検出に適したマトリックス組成物としては、シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン類など)および他のエラストマー状ポリマー類、例えば、ポリブタジエン(スチレンとブタジエンとの共重合体であるスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体であるニトリルゴムなど)、ポリイソプレン(イソブチレンとイソプレンとの共重合体であるブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなど)、およびクロロプレンゴムなどが挙げられる。ある特定の溶媒には一部のエラストマー組成物がより適している。例えば、ある極性溶媒の検出には極性エラストマーマトリックスが適し、ある非極性溶媒の検出には非極性マトリックスが適している。
【0019】
水蒸気の検出に適したマトリックス組成物としては、NIPAM(N−イソプロピルアクリルアミド)、PVA(ポリビニルアルコール)、PEO(ポリエチレンオキシド)、およびPEG(ポリエチレングリコール)などの水と相溶性のポリマー類が挙げられる。これらのマトリックスが完全に溶けてしまうのを避けるため、ポリマーを架橋しても良い。
【0020】
同様に、ある種の蒸気の検出には、ある種のコロイド状球材料が他のものより適している。例えばポリスチレン球は、精油蒸気の検出には良いが、有機溶媒があるとポリスチレンが溶けてしまうため有機溶媒蒸気の検出には向かない。しかし、シリカ球は有機溶媒蒸気があっても溶けないため、このような用途には適している。
【0021】
精油蒸気の検出においては、コロイド状球は、有機材料または無機材料のいずれから成るものでも良い。適当な有機材料としては、ポリスチレンおよびPMMA(ポリメタクリル酸メチル)が挙げられる。適当な無機材料としては、ガラスビーズ、シリカ球、チタニア球、およびジルコニア球が挙げられる。
【0022】
有機溶媒蒸気の検出では、コロイド状球は、ガラスビーズ、シリカ球、チタニア球、およびジルコニア球などの無機材料から成るものでなければならない。
【0023】
水蒸気の検出において、コロイド状球は、ポリスチレン、PMMA、ガラスビーズ、シリカ球、チタニア球、およびジルコニア球から成るものである。
【0024】
従って、本明細書は、一般に、上記の蒸気膨張性マトリックスと、蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれた、単分散でコロイド大の球の規則的な配列との組み合わせから成る、蒸気検知デバイスに関する。検出すべき特定の蒸気に応じて、特定の蒸気膨張性マトリックスとコロイド大の球をいくつか選ぶ必要があるが、そのような選択は、例えば、蒸気の極性、蒸気分子の相対的な大きさ、蒸気分子と様々なマトリックスおよび球材料との反応などに基づいて容易に行うことができる。
【0025】
更に、異なる結果を得るため、蒸気検知デバイス材料に様々な変更を加えても良い。例えば、所望ならば、蒸気分子が異なる速度で蒸気検知デバイスに浸透するよう、検出すべき所望の蒸気に合わせてマトリックスおよび球材料を選ぶ。例えば、蒸気分子が遅い速度でデバイスに浸透するような材料を選ぶと、蒸気分子に曝露した際のデバイスの色の変化は遅くなる。しかし蒸気濃度が下がると、蒸気分子は同じく遅い速度でデバイスから離れて行き、デバイスの色がその元の状態に戻るのもゆっくりしたものとなるため、色の変化が見える時間が長くなる。
【0026】
あるいは、所望ならば、蒸気分子が素早く蒸気検知デバイスに浸透するよう、検出すべき所望の蒸気に合わせてマトリックスおよび球材料を選んでも良い。この実施の形態では、デバイスの色の変化は速く、蒸気分子に触れるのとほぼ同時である。目視検査の信頼性が低い場合や、遅い検出では不都合な場合には、この速い色の変化により、例えば色の変化を電子的に検知して、蒸気の存在をいち早く示すことができる。更に上記のように、蒸気濃度が下がると、蒸気分子が同じく速い速度でデバイスから離れていくため、デバイスが変色してその元の状態に戻るのも速い。
【0027】
他の実施の形態では、マトリックス中に入り込む蒸気分子を捉えるようマトリックス材料を変えることができる。例えば、マトリックスは、蒸気分子と結合してこれらの蒸気分子をマトリックス内に捉え、放散するのを防ぐ材料を含んでいても良い。例えば、結合物質を球の表面に塗布し、またはマトリックス自体の中に加えて、蒸気分子を結合させてこれをマトリックス内に捉えることができる。あるいは、蒸気分子によってマトリックスおよび/または球材料が硬化または架橋して、蒸気分子を捉え、またマトリックスの膨張を止めるよう、マトリックスおよび/または球材料を変えても良い。こうすると、所望の蒸気分子に曝露されるとマトリックスが恒久的に膨張するような、恒久的な色の変化を示す蒸気検知デバイスができる。
【0028】
蒸気検知デバイスの製造法には、コロイド状球の水分散液を基板上に置く工程と、コロイド状球の水分散液を乾燥してコロイド状結晶を得る工程と、コロイド状結晶の間隙に蒸気膨張性マトリックス組成物を充填する工程と、蒸気膨張性マトリックス組成物を硬化する工程と、フィルム表面から余分な蒸気膨張性マトリックス材料を剥ぎ取る工程と、が含まれる。
【0029】
基板としては、ガラス、プラスチックス、マイラ(mylar)フィルム、金属フォイル、シリコンウェハ、雲母など、多くの材料が使用できる。基板は、堅固または可撓性である。基板表面には、コロイド状結晶の構造化を妨げるような汚染物があってはならない。更に、親水性基板表面であるとコロイド状球の付着性が良く、稠密な配列への球の自己組織化が促進される。
【0030】
基板にコロイド状球の水分散液を置いた後、コロイド状球に粘稠性材料を被覆して水媒体の蒸発速度を遅らせ、乾燥時間を長くする。乾燥時間は、球が稠密な配列に集合するために十分長い必要がある。
【0031】
コロイド状結晶の間隙に蒸気膨張性マトリックス組成物を充填する前に、蒸気膨張性マトリックス組成物を希釈剤と混合しても良い。希釈剤は球の間の空いた空間への蒸気膨張性マトリックス組成物の浸透を助ける。粘度の低い液体は粘度の高い液体よりも良く粘度を下げる。このため実施の形態では、液体の粘度は約20センチストークス(cSt)以下でなければならない。コロイド状球を溶解せず、蒸気膨張性マトリックス組成物と混和する希釈剤が適している。
【0032】
有機ポリマーマトリックス/有機性の球との使用に適した希釈剤としては、球を溶解しない低分子量のシリコーン液体および炭化水素溶媒が挙げられる。
【0033】
有機ポリマーマトリックス/無機性の球との使用に適した希釈剤としては、シリコーン液体および有機溶媒が挙げられる。
【0034】
水混和性マトリックス/有機球との使用に適した希釈剤としては、水および水混和性有機溶媒、例えば、MeOH、EtOH、アセトンなどが挙げられる。
【0035】
水混和性マトリックス/無機球との使用に適した希釈剤としては、水および水混和性有機溶媒、例えば、MeOH、EtOH、アセトンなどが挙げられる。
【0036】
予想外にも、フィルム表面から余分な蒸気膨張性マトリックス材料を剥ぎ取ると、余分なマトリックス材料を取り除かない場合より、蒸気存在時の膨張性が大きく、応答時間の早い蒸気検知デバイスが得られることが分かった。これは、余分な蒸気膨張性マトリックス材料をフィルム表面から剥ぎ取ると、コロイド状結晶が露出するためと考えられる。
【0037】
先に述べたように、蒸気検知デバイスの実施の形態は、蒸気検知デバイスの色の変化を肉眼で観察することで蒸気状物質の存在が検出できるような構造としても良い。色の変化は、ある可視色から別の色への変化(例えば、緑から赤へ)、あるいは透明から可視色への変化または可視色から透明への変化を、肉眼で観察することで容易に検知できる。
【0038】
蒸気検知デバイスの一つの実施の形態は、蒸気膨張性マトリックスと、基板に固定した蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれた、単分散でコロイド大の球の規則的な配列とを含む蒸気モニタバッジである。この蒸気モニタバッジは、衣類に取り付けるものや、紐や鎖で人の身に付けるモニタバッジ、あるいは同様の器具となるような構造とすることができる。バッジの大きさと形および基板の組成を制限する必要はない。更に、蒸気モニタバッジは、壁、窓、またはドアなどの垂直面に取り付ける構造としても良い。またはモニタバッジを、テーブル、ベンチ、床などの水平面上に置き、あるいは、天井など頭上の面から吊り下げ、またはそこに取り付けるような構造とすることもできる。
【0039】
蒸気検知デバイスの実施の形態は、様々なタイプの器具で蒸気状物質の存在を検知できるような構造とする。このような器具を用いて、微量の蒸気や、肉眼で検出するにはマトリックスと十分強く反応しないある種の蒸気が検出できる。蒸気の量または濃度の定量にもこの器具が用いられる。
【0040】
UV/可視吸光度分光法の使用は、反射光の波長の測定に有用なツールである。これとは別に、センサデバイスを用いて溶媒蒸気濃度を測定しておく。このデータを用いて比色法による校正曲線を作成すると、本質的に溶媒蒸気濃度を目視観測するツールである、吸光度波長による溶媒蒸気濃度の推定が可能となる。室内などの閉鎖系で溶媒蒸気を測定するその他の方法としては、拡散検出管、蒸気モニタバッジ、パーソナルエアサンプリングポンプ、検出管およびポンプ、携帯型電子モニタ、および固定型空気モニタが挙げられる。
【実施例】
【0041】
202nmのポリスチレン球(Polysciences)の水性ラテックス分散液を、プラズマエッチングを行ったガラス製顕微鏡スライド上に塗布し、10cStのシリコーン液体をオーバーコートした。コーティングを室温で一晩置いた後、55℃に加熱して、オパール格子の水/自己組織化物を完全に蒸発させた。次に、オパールフィルムを傷つけないよう注意しながらシリコーン液体をイソプロピルアルコールで洗い流した。Sylgard184(硬化剤5重量%含有)と0.65cStのシリコーン液体との1:1混合物を調製し、オパールフィルム上にオーバーコートした。これを室温で一晩置いた後、フィルムを55℃で8時間加熱して完全に硬化させた。硬化後、余分なPDMSをフィルム表面から剥ぎ取った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気検知デバイスの製造方法であって、
前記方法は、
コロイド状の球の水分散液を基板上に置く工程と、
前記コロイド状球水分散液を乾燥させてコロイド状結晶を得る工程と、
前記コロイド状結晶の間隙に蒸気膨張性マトリックス組成物を充填する工程と、
前記蒸気膨張性マトリックス組成物を硬化させる工程と、
フィルムの表面から余分な蒸気膨張性マトリックス材料を剥ぎ取る工程と、を備え、
前記コロイド状結晶は露出していることを特徴とする方法。
【請求項2】
蒸気膨張性マトリックスと、
前記蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれたコロイド状結晶と、を含む蒸気検知デバイスであって、
前記蒸気膨張性マトリックスは、少なくとも1種類の蒸気の存在下で可逆的に膨張する組成物を含み、
前記コロイド状結晶はブラッグ回折を示し、
前記コロイド状結晶の少なくとも1つの表面は環境に直接露出していることを特徴とする蒸気検知デバイス。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に固定した蒸気膨張性マトリックスと、
前記蒸気膨張性マトリックス中に埋め込まれたコロイド状結晶と、を含む蒸気モニタバッジであって、
前記蒸気膨張性マトリックスは、少なくとも1種類の蒸気の存在下で可逆的に膨張する組成物を含み、
前記コロイド状結晶はブラッグ回折を示し、
前記コロイド状結晶の少なくとも1つの表面は環境に直接露出していることを特徴とする蒸気モニタバッジ。

【公開番号】特開2008−102139(P2008−102139A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269243(P2007−269243)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】