説明

蒸着用電子銃

【課題】 電子ビームの照射を受けた蒸着材料から生成される蒸着粒子が、電子銃に配設されている電子ビーム偏向用のポールピースに付着することがない蒸着用電子銃を実現する。
【解決手段】 非磁性体からなり箱体状に形成された本体ケース20内に、永久磁石14、熱電子を放出するフィラメント16、蒸着材料上で電子ビームをX軸およびY軸方向においてスキャンするためのスキャンコイルユニット17などを配設するとともに、電子ビームを偏向する磁界を形成するための対向する1対のポールピース11a,11bおよび電子ビームの軌道を調整する磁界を形成するための対向する1対のポールピース12a,12bを、本体ケース20内にそれぞれ横設する。電子ビームを射出するための方形状の開口22を有する、非磁性体からなる上部カバー21を、本体ケース20の上部に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸着用電子銃に関する。より詳しくは、電子銃より射出された電子ビームの照射を受けた蒸着材料から生成される蒸着粒子が、電子ビームを偏向するために電子銃に配設されているポールピースに付着することがない蒸着用電子銃を提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板・レンズ等の表面部に薄膜を形成する手段として真空蒸着法が用いられている。この真空蒸着法では、基板等の表面部に薄膜を形成するために、真空チャンバ内で電子銃より射出された電子ビームを金属・化合物などの蒸着材料に照射して加熱蒸発させ、これにより生成された蒸着粒子を基板等の表面部に付着堆積させる。
【0003】
そこで、この真空蒸着法で使用される電子銃の従来例の構成を、図3(a)に示し説明する(従来例1)。ここで、図3(a)は、従来例1の構成を簡略に図示した斜視図である。
【0004】
図3(a)において、電子銃30の本体ケース31の内部には、加熱されることにより熱電子を放出するフィラメント、フィラメントより放出された熱電子を加速して電子ビームを生成する電界を形成するための電極、冷却水が流通する流水路などが配設されている。
【0005】
他方、本体ケース31の上部には、生成された電子ビームを射出するための方形状の開口33を有する、非磁性体からなる上部カバー32が、取り付けられている。また、本体ケース31上部の一方の端部には、強磁性体からなりL字状に形成された1対のポールピース34a,34bが対向して横設されている。
【0006】
これらのポールピース34a,34bは、強磁性体からなる部材を介して本体ケース31内に配設された磁力発生源である永久磁石と接続することにより磁化されている。したがって、ポールピース34a,34bの周囲には磁界が形成されることになり、この磁界により、上部カバー32の開口33を介して射出された電子ビームは、図3(a)では図示されてはいないルツボ内に収容された金属等の蒸着材料に向かうように偏向する。
【0007】
すなわち、図3(b)(一部を切り欠いた側面図)に示すように、本体ケース31内のフィラメント35から放出された熱電子が加速して生成された電子ビームEBは、破線で示すように、ポールピース34a,34bが形成する磁界により概ね270度回転するように偏向されて、ルツボ100内に収容された蒸着材料の表面部に照射される。そして、電子ビームEBの照射を受けて生成された蒸着粒子は、上方に配置された基板などの被蒸着物に向けて上昇し、これに付着堆積することになる。
【0008】
なお、電子ビームEBの照射が開始されてから蒸着材料の蒸発が活発化して蒸着粒子が定量的に生成するようになるまでは、一定の時間を要する。蒸着粒子が定量的に生成していない段階で、基板などの被蒸着物に蒸着粒子を付着させると、被蒸着物に求められている品質・特性を確保することができないことになる。
【0009】
そこで、蒸着粒子が定量的に生成するようになるまでは、図4(a)(側面図)に示すように、蒸着材料が収容されたルツボ100の上方であって、かつ、電子ビームEBの軌道に触れない位置に、伏せた円皿状の、水平方向に移動可能なシャッター200を配置して、被蒸着物への蒸着粒子の付着を遮断する。
【0010】
その後、加熱された蒸着材料の蒸発が活発化して、蒸着粒子が定量的に生成するようになると、図4(b)(平面図)に示すように、蒸着粒子の飛散範囲からはずれた位置に、破線で示す位置からシャッター200を移動させることになる。
【0011】
図5(a)は、他の従来例の構成を示している(従来例2)。ここで、図5(a)は、従来例2の構成を簡略に図示した斜視図であり、図3(a)における構成要素に対応する構成要素については、ポールピースを除いて同一の符号を付している。
【0012】
図5(a)において、ここに示した従来例2の構成が、従来例1の構成と異なるところは、本体ケース31の上部に取り付けられた上部カバー32の開口33を挟むようにして、1対のポールピース41a,41bが対向して立設されていることである。その他の構成は、図3(a)に示した従来例1の構成と同じである。
【0013】
このように構成された従来例2によった場合も、図5(b)(一部を切り欠いた側面図)に示すように、本体ケース31内から射出された電子ビームEBは、破線で示すように、ポールピース41a,41bが形成する磁界により概ね270度偏向されて、ルツボ100内に収容された蒸着材料の表面部を照射することになる。
【0014】
また、この従来例2においても、電子ビームEBの照射が開始されてから蒸着粒子が定量的に生成するようになるまでは、図6(a)(側面図)に示すように、ルツボ100の上方であって、かつ、ポールピース41bの上端よりも高くポールピース41bに当接しない位置に、シャッター200を配置して被蒸着物への蒸着粒子の付着を遮断するようにしている。
【0015】
そして、電子ビームEBの照射を受けた蒸着材料の蒸発が活発化して、蒸着粒子が定量的に生成するようになれば、図6(b)(平面図)に示すように、従来例1におけると同じく、蒸着粒子の飛散範囲からはずれた位置に、破線で示す位置からシャッター200を移動させることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図3により説明した従来例1によると、ルツボ100の近傍にポールピース34a,34bが位置していることから、ルツボ100内の蒸着材料に電子ビームEBを照射すると、ルツボ100から飛散した蒸着粒子が、ポールピース34a,34bに付着し、例えば、使用する蒸着材料によっては、そのまま固着してしまう。とくに、ポールピース34a,34bの下面部と、ルツボ100の上端周縁部との間の空隙部に、飛散する蒸着粒子が入り込んでポールピース34a,34bの下面部に付着堆積すると、つぎのような問題が生ずる。
【0017】
すなわち、蒸着装置の作動中は、ルツボ100内に収容された蒸着材料が均一に溶融するように、ルツボ100は回転している。この回転しているルツボ100の上端周縁部と、ポールピース34a,34bの下面部との間に、蒸着粒子が入り込んでポールピース34a,34bの下面部に付着堆積すると、堆積した蒸着粒子とルツボ100の上端周縁部との摩擦が生じる。摩擦が生じれば、ルツボ100を回転させるモータの負荷が大きくなり、ついにはモータは回転を停止してしまう。
【0018】
これを回避するためには、ポールピース34a,34bの恒常的なクリーニング作業が必要となるが、クリーニング手段として、例えば、付着した蒸着粒子をショット・ブラストにより削り落とすとすると、ポールピース34a,34b自体もともに削られることになる。
【0019】
しかし、ポールピース34a,34bが削られると、ポールピース34a,34bの形状が変化し、その形成する磁界に変化が生ずる結果、電子ビームEBの軌道が変化して、電子ビームEBの照射スポットの位置ずれを起こしてしまう。そのため、クリーニングの限界に達したポールピース34a,34bは、これを取り外して新たなポールピース34a,34bと交換しなければならないことになる。
【0020】
他方、ポールピース34a,34bに蒸着粒子が付着しても、それがそのまま固着することなく剥離する場合もある。しかし、その場合は、剥離した蒸着粒子が、ルツボ100内に落下して溶融し、蒸着材料の組成を変えてしまうという問題点がある。以上のような解決すべき課題が、図3により説明した従来例1にはあった。
【0021】
これに対して、図5により説明した従来例2によると、ポールピース41a,41bは、ルツボ100からは離隔した位置に配設されているため、上述した従来例1におけるような堆積した蒸着粒子とルツボ100の上端周縁部との摩擦という問題は生じない。
【0022】
しかし、ルツボ100から離隔した位置に、ポールピース41a,41bが配設されているとしても、ルツボ100からの蒸着粒子は、ポールピース41a,41bの配設位置まで飛散し、これに付着する。そのため、従来例1について説明したところと同様のポールピース41a,41bへの蒸着粒子の付着に起因する問題(クリーニングあるいは剥離した蒸着粒子のルツボ内への落下)が生ずる。
【0023】
また、従来例2では、従来例1とは異なり、ポールピース41a,41bは横設するのではなく立設する構成を用いている。そのため、電子ビームEBの照射を受けた蒸着材料の蒸発が活発化するまで用いるシャッター200(図6)は、それが水平方向に移動してもポールピース41a,41bに当接しないように、ポールピース41a,41bの上端よりも高い位置に配置しなければならない。
【0024】
しかし、ルツボ100より飛散する蒸着粒子は、逆円錐状に放散する。すなわち、生成された蒸着粒子は、上昇するにしたがって水平方向に拡散する。そのため、シャッター200の配置位置が高いと、蒸着粒子の拡散範囲のすべてをカバーすることができず、カバーしきれない蒸着粒子が、シャッター200よりも上方に上昇する。このカバーしきれない蒸着粒子が基板などの被蒸着物に付着すると、膜厚の不均一などの問題を生じてしまう。
【0025】
これに対処するために、蒸着粒子の拡散範囲のすべてをカバーすることができるサイズの大きいシャッターを用いることは、これを水平方向に移動させる必要があることを考慮すると、真空チャンバの容積などの制約から困難である。
【0026】
また、シャッター200以外についても、ポールピース41a,41bを立設する構成を用いていることによる不都合がある。すなわち、真空チャンバ内を視認するために設けられている監視窓を通して電子ビームEBの位置を確認しようとする場合、立設しているポールピース41a,41bが視界を妨げてしまい、電子ビームEBの位置を的確に確認することができない。以上のような解決すべき課題が、図5により説明した従来例2にはあった。
【0027】
さらには、図3(a)および図5(a)にそれぞれ示した各従来例1,2では、ポールピース34a,34b,41a,41bが、ともに本体ケース31の外部に露出して水平方向あるいは垂直方向に配設されている。
【0028】
しかし、蒸着装置を作動させると、真空チャンバ内の温度は上昇し、ポールピース34a,34b,41a,41bの温度が上昇する。温度が上昇すれば、温度変化に伴って磁気回路の特性が変化し、電子ビームEBの軌道が不安定なものとなってしまう。以上のような未解決の課題が、各従来例1,2にはそれぞれあった。
【課題を解決するための手段】
【0029】
そこで、上記課題に照らし、本発明はなされたものである。そのために、本発明では、永久磁石、熱電子を放出するフィラメント、蒸着材料上で電子ビームをX軸およびY軸方向においてスキャンするためのスキャンコイルユニットなどが内部に配設されるとともに、電子ビームを射出するための開口を有するカバーが上部に取り付けられた本体ケース内に、電子ビームを偏向する磁界を形成するための対向する1対のポールピース、および電子ビームの軌道を調整する磁界を形成するための対向する1対のポールピースを、それぞれ横設するようにした。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるならば、ポールピースが、電子銃の本体ケースの外部に露出していないので、蒸着装置の作動時に、ルツボから飛散する蒸着粒子がポールピースに付着堆積することがない。したがって、飛散する蒸着粒子に起因する問題は生じない。すなわち、ポールピースの恒常的なクリーニング作業が不要となり、蒸着の作業性が向上するとともに、装置のメンテナンス上の負担が著しく軽減される。
【0031】
また、ポールピースのクリーニングが不要となるため、クリーニング手段としてショット・ブラストによった場合のようなポールピースの損耗を回避することができる。したがって、ポールピースが形成する磁界は、ポールピースの損耗による変化ということはなく、電子ビームの軌道は安定したものとなる。のみならず、ポールピースの交換が不要となり、蒸着に要するコストの低減化を図ることが可能となる。
【0032】
他方、ポールピースに蒸着粒子が付着するということはないので、ポールピースに付着した蒸着粒子が剥離するということもない。したがって、剥離した蒸着粒子がルツボ内に落下溶融して、蒸着材料の組成を変えるということもない。
【0033】
さらに、本発明では、ポールピースが電子銃の本体ケース内に配設され、図5(a)に示した従来例2のようにポールピースが本体ケースの上部に立設していない。したがって、電子ビームの照射が開始されてから蒸着材料の蒸発が活発化するまでルツボの上方を覆うシャッターの配置位置を低く設定することができる。すなわち、シャッターによってはカバーしきれない蒸着粒子が上方に上昇するのを極力抑えることが可能となり、基板などの被蒸着物に要求される品質・特性が確保されることになる。
【0034】
また、ポールピースが本体ケースの上部に立設していないことから、真空チャンバの監視窓を通して電子ビームの位置を確認しようとする場合に、その視界がポールピースによって妨げられることはなく、的確に視認することができる。
【0035】
そのうえ、冷却水の流通により冷却されている本体ケースの内部に、ポールピースが配設されていることから、各従来例1,2におけるように、蒸着装置の作動時にポールピースの温度が上昇するということもない。その結果、磁気回路の特性も変化することはなく、電子ビームEBの軌道は安定したものとなる。したがって、本発明によりもたらされる効果は、実用上極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
従来、ポールピースが電子銃の本体ケースの外部に水平方向あるいは垂直方向に露出して配設されていたのに対して、本発明では、永久磁石、熱電子を放出するフィラメント、蒸着材料上で電子ビームをX軸およびY軸方向においてスキャンするためのスキャンコイルユニットなどが内部に配設された本体ケース内に、電子ビームを偏向する磁界を形成するためのポールピース、および電子ビームの軌道を調整する磁界を形成するためのポールピースをそれぞれ横設する。以下、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0037】
本発明の一実施例の構成を、図1に示し説明する。ここで、図1(a)は、本実施例における蒸着用電子銃の外観を示す斜視図、図1(b)は、内部構成を示す、一部を切り欠いた斜視図である。
【0038】
図1(a)において、ここに示した電子銃10は、非磁性体からなる箱体状の本体ケース20と、本体ケース20の上部に取り付けられた、非磁性体からなり方形状の開口22を有する上部カバー21とにより、外形的には方形体状に形成されている。図3(a)および図5(a)にそれぞれ示した各従来例1,2とは異なり、ポールピースが外部に露出していない。
【0039】
図1(b)は、上部カバー21を取り外した状態の電子銃10を示している。本体ケース20内の底部の、ルツボが配設される側の端部中央には、方形体状の永久磁石14が配設されており、永久磁石14の両端部には、永久磁石14からの磁気を受けて磁気回路を形成するための、強磁性体からなる角柱状の回路形成部材15a,15bがそれぞれ接続されている。
【0040】
一方の回路形成部材15aにおける永久磁石14とは接続していない端部には、磁気回路を形成するための、強磁性体からなる板状の垂設された回路形成部材13aが触接して固定されている。この回路形成部材13aの上端部には、電子銃10より射出された電子ビームを偏向する磁界を形成するための、強磁性体からなる細板状のポールピース11aが、その一方の端部が回路形成部材13aに触接して固定されることにより横設されている。
【0041】
また、このポールピース11aと所定の間隔をおいた回路形成部材13aの上端部には、電子ビームの軌道を調整する磁界を形成するための、強磁性体からなる細板状のポールピース12aが、その一方の端部が回路形成部材13aに触接して固定されることにより横設されている。
【0042】
同様に、永久磁石14に接続している他方の角柱状の回路形成部材15bにも、垂設された板状の回路形成部材13bが触接して固定され、その上端部には、電子ビームの偏向用のポールピース11bと、電子ビームの軌道調整用のポールピース12bとが、その一方の端部が回路形成部材13bに触接して固定されることにより横設されている。
【0043】
このような構成により、垂設された2つの回路形成部材13a,13bに固定された、電子ビームの偏向用のポールピース11a,11bと、電子ビームの軌道調整用のポールピース12a,12bは、それぞれ対向して1対をなしている。
【0044】
この1対をなす電子ビーム偏向用のポールピース11a,11bの中間の斜め下方の部位には、加熱されることにより熱電子を放出するフィラメント16が配設されている。また、蒸着材料上でX軸方向において電子ビームをスキャンすなわち照射スポットを往復動させるためのXスキャンコイルと、Y軸方向において電子ビームをスキャンするためのYスキャンコイルにより構成されるスキャンコイルユニット17が、フィラメント16を囲むようにして配設されている。
【0045】
以上説明した各構成要素の他にも、図示は省略されているが、フィラメント16より放出された熱電子を加速して電子ビームを生成する電界を形成するための電極、冷却水が流通する流水路などが、本体ケース20の内部には配設されている。
【0046】
図2(一部を切り欠いて断面表示した側面図)は、以上のように構成された電子銃10を作動させた場合の様子を示している。図示するように、フィラメント16より放出された熱電子が加速されることにより生成され、上部カバー21の開口22を介して射出される電子ビームEBは、本体ケース20の内部に配設された各ポールピース11a,11b,12a,12bが形成する磁界により、概ね270度偏向して、ルツボ100内に収容された蒸着材料の表面部を照射することになる。
【0047】
このように、本発明による電子銃10では、各ポールピース11a,11b,12a,12bを、本体ケース20の外部に露出しない構成を用いて、電子ビームEBを偏向するようにしている。したがって、電子ビームEBの照射を受けてルツボ100から飛散する蒸着粒子が、各ポールピース11a,11b,12a,12bに付着することはない。
【0048】
また、冷却されている本体ケース20の内部に、各ポールピース11a,11b,12a,12bが配設されていることから、各ポールピース11a,11b,12a,12bが熱せられて、その温度が上昇するということもない。したがって、磁気回路の特性も変化することはなく、電子ビームEBの軌道は安定したものとなる。
【0049】
以上においては、磁力発生源として、永久磁石14を用いる場合について説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。電流が流れることによって磁力が発生する電磁石を用いる場合についても、本発明は適用され得るものである。
【0050】
また、ポールピース11a,11b,12a,12bとして、細板状に形成されたものを例に挙げて説明したが、本発明は、これに限られるものではない。その他にも、例えば角柱状に形成されたポールピースを使用する場合にも、本発明は適用し得るものである。
【0051】
さらに、電子ビームEBを概ね270度偏向する場合について説明した、しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、これ以外にも、例えば概ね180度偏向する場合についても、本発明は適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した電子銃の作動状態を説明するための説明図である。
【図3】従来例1の構成および作動状態を示す図である。
【図4】図3に示した従来例1における被蒸着物への蒸着粒子の付着を遮断するシャッターを説明するための説明図である。
【図5】従来例2の構成および作動状態を示す図である。
【図6】図5に示した従来例2における被蒸着物への蒸着粒子の付着を遮断するシャッターを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0053】
10 電子銃
11a,11b,12a,12b ポールピース
13a,13b 回路形成部材
14 永久磁石
15a,15b 回路形成部材
16 フィラメント
17 スキャンコイルユニット
20 本体ケース
21 上部カバー
22 開口
30 電子銃
31 本体ケース
32 上部カバー
33 開口
34a,34b ポールピース
40 電子銃
41a,41b ポールピース
100 ルツボ
200 シャッター
EB 電子ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(22)を有するカバー(21)が上部に取り付けられたケース(20)内に配設された磁力発生源(14)と、
前記ケース内に配設された、加熱されることにより熱電子を放出するためのフィラメント(16)と、
前記ケース内に配設された、前記フィラメントより放出される前記熱電子を加速して生成される電子ビーム(EB)を偏向する第1の磁界を、前記磁力発生源からの磁気を受けて形成するための第1の対向する1対の横設されたポールピース(11a,11b)と、
前記ケース内に配設された、前記第1の対向する1対の横設されたポールピースが形成する前記第1の磁界により偏向される前記電子ビームの軌道を調整する第2の磁界を、前記磁力発生源からの磁気を受けて形成するための第2の対向する1対の横設されたポールピース(12a,12b)と、
前記ケース内に配設された、前記電子ビームをルツボ(100)内に収容された蒸着材料上でX軸方向においてスキャンするための第1のスキャンコイルおよびY軸方向においてスキャンするための第2のスキャンコイルからなるスキャンコイルユニット(17)とを
含む蒸着用電子銃。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate