説明

蓄冷剤用の凍結庫

【課題】凍結室内において吹出口とは反対側に位置する蓄冷剤にも循環する冷気が十分に当たるようにする。
【解決手段】庫本体2内の一壁面2aと凍結室3との間に冷却室8を画成する隔壁9を受け、この隔壁9に冷気の吹出口13と、この吹出口13の上方および/または下方に位置する冷気の吸込口14とを形成する。また、蓄冷剤30を収容するコンテナ20を載置する手段として、高さ方向において冷気の吹出口20と吸込口30との間および吸込口30の側方にそれぞれ位置するように凍結室3内に水平状態に配置されて高さ方向に互いに所定間隔を開けて複数段備えられる棚15とを備える。そして、各棚15において、隔壁9に近い方の棚部分を板状の構造とし、隔壁9から遠い方の棚部分を、通気性を有する多孔質状(網状や格子状を含む。)の構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄冷剤用の凍結庫、すなわち蓄冷剤を急速凍結させるための凍結庫に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の凍結庫として、例えば特許文献1に記載されたようなものがある。この凍結庫は、内部が凍結室とされた前面開放の縦長の断熱箱体からなる庫本体を有し、その内部に、蓄冷剤を収容する浅いカゴ状のバスケット(コンテナ)を載置するための棚網(網棚)を水平に且つ上下方向に互いに所定間隔を開けて複数段設けた構成である。庫本体内の凍結室の天井部には、冷却機が収容された冷却器室が画成されており、その底面の手前側の位置には吸込口が、奥側には庫内ファンを備えた吹出口がそれぞれ形成されている。そして、庫内ファンにより凍結室の室内空気を吸込口から冷却器室内に吸引して冷却し、これを吹出口から凍結室の奥壁に沿うように下向きに吹き出して凍結室内に冷気を循環供給することで、前記棚網上に載置されたバスケット内の蓄冷剤を冷却するようになっている。
【0003】
ところが、凍結室の天井部の吹出口から奥壁に沿って下向きに吹き出された冷気が凍結室内全体を循環して再び天井部の吸込口に戻る上記のような構造では、吹出口から吹き出された冷気が短時間に凍結室内の隅々(特に扉側に位置する部分)にまで行き渡りにくく、言い換えると凍結室内における冷気の循環経路が長く、そのため蓄冷剤の全てを凍結させるのに比較的時間がかかるという問題がある。
【0004】
そこで、従来においては、例えば特許文献2に記載されているように、凍結室内の一側方に仕切板を設けて、その裏側に冷却室を形成し、この冷却室内の鉛直方向中央位置には冷却器を、その上方および下方には庫内ファンをそれぞれ設置した凍結庫も知られている。この凍結庫では、冷却機および各庫内ファンに対応する仕切板の位置に、冷気の吸込口および上下の吹出口がそれぞれ設けられている。そして、冷却室内の冷気を仕切板における上下の吹出口(上吹出口および下吹出口)から凍結室内に向けて吹き出すことによって、各吹出口の側方に位置する棚網(網棚)上に載置されたバスケット内の蓄冷剤を冷却する一方、高さ方向において両吹出口間に位置する吸込口から凍結室内の冷気を吸い込むことによって、吸込口の側方に位置する棚網上に載置されたバスケット内の蓄冷剤を冷却するようになっている。これによれば、上吹出口から凍結室内の他側方に向けて吹き出された冷気はその下方に位置する吸込口から冷却室内へと吸い込まれる一方、下吹出口から凍結室の他側方に向けて吹き出された冷気はその上方に位置する吸込口から冷却室内へと吸い込まれるので、上記の特許文献1記載の凍結庫に比べると、凍結室内における冷気の循環経路を短縮化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4497362号公報(段落番号0014〜0016、図2等)
【特許文献2】特開2000−146390号公報(段落番号0022〜0026、図2、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
凍結室内の一側方に冷却室を画生する仕切板を設けて、この仕切板に複数の冷気の吹出口と吸込口とを設けた上記のような凍結庫においては、上吹出口とその直下の吸込口とのの間や、下吹出口とその直上の吸込口との間というように、少なくとも対応する吹出口と吸込口との間の高さ位置に、バスケットを載置するための棚網(網棚)が設けられる。そして、通常は四角形の厚板状の蓄冷剤を一方向に互いに所定の間隔を開けて平行に並べた状態でバスケットに収容し、これを当該蓄冷剤の配列方向と冷気の吹き出し方向とが一致するように棚網上に載置した状態で、吹出口から冷気を吹き出して凍結室内の蓄冷剤を冷却する。
【0007】
その場合、凍結室内の一側方に位置する吹出口から他側方に向けて吹き出された冷気が当該吹出口の前方にある各蓄冷剤の周囲を通過して他側方の端部に至り、そこから直下(上吹出口の場合)あるいは直上(下吹出口の場合)の他の棚網上へと流れ、当該他の棚網上にあるバスケット内の蓄冷剤の周囲を通過した後に、これらに対応位置する吸込口から冷却室内へと戻るような循環経路が形成されるのが望ましい。このような循環経路が形成されると、凍結室内において吹出口とは反対側に位置する蓄冷剤にも循環する冷気との間で十分な熱交換が行われる結果、凍結室内の蓄冷剤の全てが満遍なく冷却されることとなるからである。
【0008】
ところが、従来の凍結庫においては、凍結室内の一側方に位置する吹出口から他側方に向けて吹き出された冷気が当該他側方の端部に到るまでの間に、当該吹出口に対応位置する棚網の網目を通って直下または直上の他の棚網上へと流れ、そこから当該他の棚網に対応位置する吸引口を介して冷却室内へと戻る循環経路(いわゆるショートサイクル)が形成されてしまっていた。そのため、凍結室内の吹出口とは反対側に位置する蓄冷剤まで十分に冷気が行き渡らず、その分だけ凍結室内の全ての蓄冷剤が凍結するまでに時間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に対処するもので、凍結室の内壁面のうちの一つに冷気の吹出口と吸込口とを形成した蓄冷剤用の凍結庫において、吹出口から吹き出された冷気がその前方の内壁面に向けてスムーズに流れるようにすることで、吹出口とは反対側に位置する蓄冷剤にも循環する冷気との間で十分な熱交換が行われるようにし、もって凍結室内に収容された蓄冷剤の全てが満遍なく速やかに冷却されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、内部が凍結室3とされて前面側に扉4が設けられた断熱箱体からなる庫本体2と、この庫本体2内の一壁面2aと凍結室3との間に冷却室8を画成する隔壁9と、前記冷却室8内に配置された冷却器10と、前記隔壁9に設けられた冷気の吹出口13と、この吹出口14の上方および/または下方に位置するように前記隔壁9に設けられた冷気の吸込口13と、蓄冷剤30を収容するコンテナ20を載置する手段として、高さ方向において冷気の吹出口13と吸込口14との間および吸込口14の側方にそれぞれ位置するように凍結室3内に水平状態に配置されて高さ方向に互いに所定間隔を開けて複数段備えられる棚15とを有し、前記吹出口13からその前方の凍結室3内に向けて冷気を吹き出して、前記棚15上に載置されたコンテナ20に収容されている蓄冷剤30を冷却したのち、前記吸込口14から冷却室8内に吸い込んで冷却器10により冷却し、その冷気を前記吹出口13へと再び流すことで、冷却室8と凍結室3との間で冷気が循環するようにした蓄冷剤用の凍結庫において、次のように構成したものである。
【0011】
すなわち、前記吹出口13と吸込口14との間の高さ位置に備えられる各棚15において、前記隔壁9近い方の棚部分を板状の構造とし、前記隔壁9から遠い方の棚部分を、通気性を有する多孔質状(網状や格子状を含む。以下、同様。)の構造とする。
【0012】
具体的には、前記吹出口13と吸込口14との間の高さ位置に備えられる各棚15を、通気性を有する多孔質状のベース部材16と、このベース部材16の前記隔壁9に近い方の部分を覆う分離可能な板部材17とで構成することができる。この場合のベース部材16としては、例えば、金属線材を格子状に組んで網棚としたものを使用でき、板部材17としては、例えば、当該網棚に上方側から嵌め込んで固定できるように両端17a・17bを下方に所定量だけ折曲した金属板やプラスチック板等を使用することができる。
【0013】
また、前記吹出口13と吸込口14との間の高さ位置に備えられる各棚15は、前記隔壁9に近い方の棚部分を板状の部材で形成し、前記隔壁9から遠い方の棚部分を線材により多孔質状に形成することもできる。この場合において、板状の部材で形成された棚部分と、線材により多孔質状に形成された棚部分とは、一体であってもよいし、分離可能となっていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の凍結庫においては、庫本体2内の一壁面2aと凍結室3との間に冷却室8を画成する隔壁9に設けられた吹出口13からその前方の凍結室3内に向けて冷気を吹き出すことによって、凍結室3内に収容されている蓄冷剤30を冷却する。このとき、吹出口14から吹き出された冷気が、その前方の棚15上に載置されたコンテナ20に収容されている蓄冷剤30の周囲を通って反対側の内壁面2bに到り、そこから直下あるいは直上の他の棚15上へと流れ、当該他の棚15上にあるコンテナ20に収容されている蓄冷剤30の周囲を通過した後に、これらに対応位置する吸込口14から冷却室8内へとスムーズに流れれば、凍結室3内において吹出口13とは反対側に位置する蓄冷剤30にも冷気が当たってこれらの間で熱交換が行われるために、凍結室3内の蓄冷剤30の全てが満遍なく冷却されることとなる。
【0015】
ところが、従来の凍結庫においては、蓄冷剤を収容するバスケットを載置するための手段として格子状の棚網(網棚)が使用されていたため、吹出口から吹き出された冷気が反対側の内壁面に到るまでの途中で、当該吹出口に対応位置する棚網の網目を通って直下または直上の他の棚網上へと流れ、そこから当該他の棚網に対応位置する吸引口を介して冷却室内へと戻ってしまうという現象が生じていた。
【0016】
これに対して、本発明に係る凍結庫においては、吹出口13と吸込口14との間の高さ位置に備えられる各棚15は、前記隔壁9に近い方の棚部分が板状の構造とされ、前記隔壁9から遠い方の棚部分が、通気性を有する多孔質状(網状や格子状を含む。以下、同様。)の構造とされている。したがって、吹出口13から吹き出された冷気は、前記隔壁9に近い方の板状の棚部分によって下方または上方への流れが阻止されて、当該板状の棚部分に沿って反対側の内壁面に向けてスムーズに流れることとなる。そして、前記隔壁9から遠い方の棚部分は、通気性を有する多孔質状(網状や格子状を含む。以下、同様。)の構造とされているから、反対側の内壁面2bに到ると、そこから当該多孔質状の棚部分を通って直下あるいは直上の他の棚15上へと流れ、当該他の棚15上にあるコンテナ20に収容されている蓄冷剤30の周囲を通過した後に、これらに対応位置する吸込口14から冷却室8内へとスムーズに流れる。こうして、凍結室3内において吹出口13とは反対側に位置する蓄冷剤30にも冷気が当たってこれらの間で十分な熱交換が行われるために、凍結室3内の蓄冷剤の全てが満遍なく且つ速やかに冷却されることとなる。
【0017】
上記の場合において、前記吹出口13と吸込口14との間の高さ位置に備えられる各棚15を、通気性を有する多孔質状のベース部材16と、このベース部材16の前記隔壁9に近い方の部分を覆う分離可能な板部材17とで構成すると、当該ベース部材16としては従来の棚網(網棚)をそのまま使用することができるので、棚全体を新たに製作する場合に比べると低コストで製造できる。また、ベース部材16上の板部材17のセット位置を変更することで、冷気がスムーズに流れるように調整することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る凍結庫の前面側の扉を開けて内部を正面側から見た状態を示す図である。
【図2】同凍結庫の縦断正面図である。
【図3】同凍結庫の横断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】コンテナ内に複数の蓄冷剤を所定の状態に収容した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1ないし図5は、本発明に係る蓄冷剤用の凍結庫の実施例を示している。図1および図2に示すように、この実施例に係る凍結庫1は、断熱箱体からなる庫本体2を有する。庫本体2の内部は凍結室3とされており、その前面側には扉4が開閉可能に設けられている。
【0020】
庫本体2の天井部には機械室5が設けられている。この機械室5には、冷凍サイクルを形成する要素である圧縮機6や凝縮器(図示せず)などが収容されている。
【0021】
庫本体2内の一側方には、前記断熱箱体の一内壁面(図示例では右側の内壁面)2aと凍結室3との間に冷却室8を画成する隔壁9が設けられている。冷却室8内には、その高さ方向の中間位置に冷却器(蒸発器)10が配置され、その上方および下方に冷気循環用の庫内ファン11および12がそれぞれ設けられている。
【0022】
隔壁9には、それぞれ複数の冷気の吹出口13および吸込口14が形成されている。このうち、冷気の吹出口13は、図示例では、隔壁9の高さ方向においてその上端および下端からそれぞれ約1/4だけ下方および上方に変位した位置に到る範囲に設けられ、冷却室8内の上下の庫内ファン11・12にそれぞれ対応位置している。そして、これらの上下の吹出口13間に位置する高さ部分に前記複数の吸込口14が設けられている。これらの吸込口14は、冷却室8内の冷却器10に対応する高さ位置に設けられており、その高さ方向における配置範囲は、図示例では隔壁9の高さ方向の中間部分において隔壁9の全高の約1/2を占めている。
【0023】
凍結室3内には、後述する蓄冷剤30を収容するコンテナ20(図5参照)を載置する手段として、棚15が水平状態に4段備えられている。これらの棚15は、凍結室3内の高さ方向において冷気の吹出口13とその直下の吸込口14との間および中央部上下の吸込口14の側方にそれぞれ位置するように配置されている。これにより、凍結室3内には、上下の吹出口13の各側方と、その間に位置する上下の吸込口14の各側方とにそれぞれ位置する4つの冷却スペースが形成されており、こらの冷却スペース内にコンテナ20が位置するようになっている。
【0024】
各棚15は、本発明の特徴部分として、隔壁9に近い方の棚部分が板状の構造とされ、隔壁9から遠い方の棚部分が、通気性を有する多孔質状(網状や格子状を含む。以下、同様。)の構造とされている。具体的には、本実施例の場合、各棚15は、図3に示すように、所定径の金属線材を使用して四角形の枠内を格子状に形成したベース部材16と、このベース部材16の隔壁9に近い方の所定部分を覆う金属製の板部材17とで構成されている。板部材17は、その奥行き寸法がベース部材16の奥行き寸法と同等か僅かに大きめに設定されており、その奥方向の両端部17a・17bが下方に所定量だけ折曲されていることで、ベース部材16に上方側から嵌め込んで着脱自在に固定できるようになっている。板部材17を着脱自在に固定するようにしたので、板部材17が汚れた場合でも取り外して簡単に清掃することができる。
【0025】
ここで、図3および図4に示すように、凍結室3の一内側面を形成している隔壁9の凍結室側の面9aと、これと対向位置する庫本体2の内壁面(図3では左側の内壁面)2bと、庫本体2内の奧側の内壁面2cの各面には、棚受け用の支持部材18がそれぞれ取り付けられている。そして、これらの支持部材18にベース部材16の外枠部分が受支されていることにより、各棚15が上記の水平状態で所定の高さ位置にセットされた状態となっている。
【0026】
各棚15には、複数の蓄冷剤30を収容したコンテナ20が所定の状態(図3に鎖線で示したように蓄冷剤の長手方向と吹出口13からの冷気の吹き出し方向とが一致するような状態)に載置される。各コンテナ20は、この実施例では、図5に示すように上方が開口されて、周壁および底壁に多数の通気用の孔21を形成したプラスチック製の箱体で構成されており、その箱体内に多数の蓄冷剤30を立てた状態にして互いに所定間隔を開けて配列セットできるようになっている。なお、蓄冷剤30は、ポリエンチレン等の樹脂製のハードケース内にゲル化剤を充填した構成で、全体として四角形厚板状の形状とされている。
【0027】
なお、この凍結庫1においても、温度調節のためのセンサーや制御装置その他の部材が配備されるが、これらについては従来の凍結庫と同様であるので説明を省略する。
【0028】
次に、この凍結庫1における動作について説明する。冷却室8内において冷却器10によって冷却された空気、すなわち冷気は、上下の庫内ファン11・12によって隔壁9に設けられた吹出口13からその前方の凍結室3内に向けて吹き出される。この吹出口13から吹き出された冷気は、その前方の棚15上に載置されたコンテナ20に収容されている蓄冷剤30の周囲を通ることによってこれらを冷却したうえで、さらに反対側の内壁面2bに向けて流れる。
【0029】
このとき、従来の凍結庫におけるように、吹出口から吹き出された冷気が反対側の内壁面に到るまでの途中で、当該吹出口に対応位置する棚網を横切って直下(最上段の棚の場合)または直上(最下段の棚の場合)の他の棚網上へと流れると、反対側の内壁面側に位置する蓄冷剤にまで冷気が十分に行き渡らなくなる結果、当該蓄冷剤が十分に凍結せず、あるいはその凍結が遅れたりすることとなる。
【0030】
しかし、本発明に係る凍結庫1においては、凍結室3内に備えられた各棚15が、格子状のベース部材16とその隔壁9に近い方の棚部分を覆う板部材17とで構成されている。このため、吹出口13から吹き出された冷気は、隔壁9に近い方に設けられた板部材17によって下方または上方への流れが阻止されて、当該板部材17からなる棚部分に沿って反対側の内壁面2bに向けてスムーズに流れることとなる。そして、隔壁9から遠い方の棚部分は、格子状のベース部材16のままであるから、当該反対側の内壁面2bに到ると、そこからベース部材16を横切って直下あるいは直上の他の棚15上へと流れ、当該他の棚15上にあるコンテナに収容されている蓄冷剤30の周囲を通過した後に、これらに対応位置する吸込口14から冷却室8内へとスムーズに流れる。こうして、凍結室3内において吹出口13とは反対側に位置する蓄冷剤30にも冷気が当たってこれらの間で十分な熱交換が行われるために、凍結室3内の蓄冷剤30の全てが満遍なく且つ速やかに冷却されることとなる。
【0031】
このように、本発明に係る蓄冷剤用の凍結庫1によれば、冷却室8で冷却されて隔壁9における吹出口13を介して凍結室3内に吹き出された冷気は、いわゆるショートサイクルを形成することなく、その前方に位置する反対側の内壁面2bに向けてスムーズに流れるようになる。これにより、吹出口13とは反対側に位置する蓄冷剤30においても循環する冷気との間で十分な熱交換が行われることとなって、凍結室3内に収容された蓄冷剤の全てが満遍なく速やかに冷却されることとなる。
【符号の説明】
【0032】
1 凍結庫
2 庫本体
3 凍結室
9 隔壁
13 冷気の吹出口
14 冷気の吸込口
15 棚
16 ベース部材
17 板部材
20 コンテナ
30 蓄冷剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が凍結室(3)とされて前面側に扉(4)が設けられた断熱箱体からなる庫本体(2)と、
この庫本体(2)内の一壁面(2a)と凍結室(3)との間に冷却室(8)を画成する隔壁(9)と、
前記冷却室(8)内に配置された冷却器(10)と、
前記隔壁(9)に設けられた冷気の吹出口(13)と、
この吹出口(13)の上方および/または下方に位置するように前記隔壁(9)に設けられた冷気の吸込口(14)と、
蓄冷剤(30)を収容するコンテナ(20)を載置する手段として、高さ方向において冷気の吹出口(13)と吸込口(14)との間および吸込口(14)の側方にそれぞれ位置するように凍結室(3)内に水平状態に配置されて高さ方向に互いに所定間隔を開けて複数段備えられる棚(15)とを有し、
前記吹出口(13)からその前方の凍結室(3)内に向けて冷気を吹き出して、前記棚(15)上に載置されたコンテナ(20)に収容されている蓄冷剤(30)を冷却したのち、前記吸込口(13)から冷却室(8)内に吸い込んで冷却器(10)により冷却し、その冷気を前記吹出口(13)へと再び流すことで、冷却室(8)と凍結室(3)との間で冷気が循環するようにした蓄冷剤用の凍結庫であって、
前記吹出口(13)と吸込口(14)との間の高さ位置に備えられる各棚(15)は、前記隔壁(9)に近い方の棚部分が板状の構造とされ、前記隔壁(9)から遠い方の棚部分が、通気性を有する多孔質状(網状や格子状を含む。以下、同様。)の構造とされていることを特徴とする蓄冷剤用の凍結庫。
【請求項2】
前記吹出口(13)と吸込口(14)との間の高さ位置に備えられる各棚(15)は、通気性を有する多孔質状のベース部材(16)と、このベース部材(16)の前記隔壁(9)に近い方の部分を覆う分離可能な板部材(17)とで構成されている、請求項1記載の蓄冷剤用の凍結庫。
【請求項3】
前記吹出口(13)と吸込口(14)との間の高さ位置に備えられる各棚(15)は、前記隔壁(9)に近い方の棚部分が板状の部材で形成され、前記隔壁(9)から遠い方の棚部分が線材により多孔質状に形成されている、請求項1記載の蓄冷剤用の凍結庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−32124(P2012−32124A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174077(P2010−174077)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000239585)福島工業株式会社 (62)
【Fターム(参考)】