蓄尿容器
【課題】 持ち運びに便利で、しかも容易に尿を分割して保存することのできる蓄尿容器を提供する。
【解決手段】
蓄尿容器1を、有底筒状の採尿カップ2と、該採尿カップ2に採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器(保存用カートリッジ)3と、で構成する。採尿カップ2の下端部にその外周から突出する保存容器支持部7を設け、該支持部7に保存容器3の下端を嵌合することにより保存容器3を採尿カップ2に対して平行に起立させて支持する複数の保存容器嵌合部8を設けた。前記保存容器嵌合部8の底部と採尿カップ2の底部を連通孔9で連通するとともに、保存容器3の下端には保存容器嵌合部8内において連通孔9と連通する開口部10及び該開口部10を開閉する開閉弁14を設けた。
【解決手段】
蓄尿容器1を、有底筒状の採尿カップ2と、該採尿カップ2に採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器(保存用カートリッジ)3と、で構成する。採尿カップ2の下端部にその外周から突出する保存容器支持部7を設け、該支持部7に保存容器3の下端を嵌合することにより保存容器3を採尿カップ2に対して平行に起立させて支持する複数の保存容器嵌合部8を設けた。前記保存容器嵌合部8の底部と採尿カップ2の底部を連通孔9で連通するとともに、保存容器3の下端には保存容器嵌合部8内において連通孔9と連通する開口部10及び該開口部10を開閉する開閉弁14を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病患者、尿路結石症患者等が携帯して随時、排尿の一定量を採取、保管し、或いは病院内において患者の排尿を蓄尿するための蓄尿容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯用の蓄尿容器として、例えば図13に示すものが知られている。蓄尿容器101は、伸縮自在のカップ体102と、カップ体102を下方から受容するカップ受体103と、カップ受体103の下方に配置された尿溜容器104と、から成っていて、カップ体102に採取した尿を、カップ体102の底面に設けた第1排出口105及びカップ受体103に設けた排出用の筒部106から外部に排出すると共に、尿検査に必要な尿検体をカップ体102の底面に設けた第2排出口107及びカップ受体103に設けた取入口108から前記尿溜容器104内に取り入れるようになっている。(特許文献1参照)
また、他の蓄尿容器として、図14に示すものが知られている。この蓄尿容器201は、上カップ(メインカップ)202と、上カップ202の下方に配置された下カップ(サブカップ)203と、上カップ202内に配置された比例採集パイプ204と、を備えている。前記上カップ202と下カップ203及び比例採集パイプ204は、連通部205において互いに連通されていると共に、該連通部205に設けた三方弁206によって互いの連通を遮断可能になっている。207は三方弁206の操作用のコック、208は下カップ203に着脱可能に取付けられたキャップである。比例採集パイプ204は、文字通り上カップ202の尿の一定割合の尿、例えば上カップ202内に収容されている尿の1/50の尿を収容するようになっている。
【0003】
図15Aに示すように、前記三方弁206は、操作用のコック207が表示部Sの位置に在る時は、上カップ202と比例採集パイプ204との間を連通し、これら上カップ202及び比例採集パイプ204と下カップ203の間を遮断している。そして、この状態で上カップ202内に尿を注入すると、図15Bに示すように、上カップ202に注入された尿は、連通部205を介して上カップ202内の液位と同じ液位になるまで比例採集パイプ204内に侵入する。比例採集パイプ204には、上カップ202に収容されている尿の一定割合、例えば上カップ202内に収容されている尿の1/50の尿が収容されるようになっている。
【0004】
次に、図15Cに示すように、操作用のコック207を表示部Oの位置に移動させると、比例採集パイプ204と下カップ203が連通して、比例採集パイプ204内の尿が下カップ203内に流下する。比例採集パイプ204内の尿が完全に下カップ203内に流下したことを確認したら、図15Dに示すように、操作用のコック207を表示部Sの位置に戻し、上カップ202及び比例採集パイプ204と下カップ203の間を遮断し、上カップ202と比例採集パイプ204との間を連通させる。
【0005】
そして、図15Eに示すように、不要になった上カップ202内の尿をトイレ等に捨てる。排尿の度毎に上記操作を繰り返して、下カップ203内に尿を溜めおく。
【0006】
そして、所定時間、例えば24時間分の尿を溜めた採尿カップ201は、病院等に持参されて、図15Fに示すように、裏返しにされた状態でキャップ208を外されて下カップ203から尿を取り出して、尿の量Vを計測される。
【0007】
そして、計測された尿の量V1から24時間における総排尿量V2を算出するとV2=V1×50となる。
【0008】
また、前記量V1の尿から検出された特定物質の排出量をC1とすると、24時間における特定物質の総排出量C2は、C2=C1×50となる。(非特許文献1、非特許文献2参照)
【特許文献1】特開平5−256746号公報(段落0005〜段落0018等)
【非特許文献1】O.Tochikubo,S.Uneda,Y.Kaneko;Simple Portable Device For Sampling a Whole Day’s Urine and Its Appllcation to Hypertensive Outpatients;Hypertension,Vol,5,No2,March−April 1983
【非特許文献2】O.Tochikubo,S.Uneda,Y.Kaneko;Accuracy Of New Portable Proportionally Simpling Device for Collecting 24−Hour Urine;Yokohama Med,Bull,Vol,36,No5−6 1985
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、採尿した尿を検査する場合に、検査しようとする物質によっては採尿後、直ちに特定の薬剤(物質)を注入しないと正確な検査が不可能になる場合がある。例えば、しゅう酸値を検出する場合には採尿後、塩酸を注入する必要がある。従って、複数の物質を検査する必要があり、そのうちの一つの物質は薬剤を注入しないで検査し、他の物質は特定の薬剤を注入する必要がある場合、或いは注入する薬剤が異なる場合に、上記特許文献1の蓄尿容器101及び技術文献1、2の蓄尿容器201にあっては、複数の蓄尿容器を携帯しなければならなず持ち運びに不便であり、また採取した尿をその場で複数個に分割する必要があるという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、持ち運びに便利で、しかも容易に尿を分割して保存することのできる蓄尿容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、有底筒状の採尿カップと、該採尿カップに採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器(保存用カートリッジ)と、で蓄尿容器を構成し、前記採尿カップの下端部に該採尿カップの外周から突出する保存容器支持部を設け、該保存容器支持部に前記保存容器の下端を嵌合することにより該保存容器を前記採尿カップに対して平行に起立させて支持する複数の保存容器嵌合部を設け、これら保存容器嵌合部の底部と前記採尿カップの底部を連通孔で連通するとともに、前記保存容器には前記保存容器嵌合部内において前記連通孔と連通する開口部及び該開口部を開閉する開閉弁を設けた。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の蓄尿容器において、前記保存容器を、前記筒状の採尿カップの横断面積に対して所定の割合の横断面積に形成されていて下端部に前記開口部を有し上端部がキャップにより閉塞された筒状部と、前記キャップの中心孔から一端の操作部を突出させた状態で前記筒状部の中心部に移動可能に取り付けられた弁開閉ロッドと、前記弁開閉ロッドの一端部側に設けられていて前記弁開閉ロッドを前記筒状部から抜き出す方向に移動させることにより前記開口部を開き、前記筒状部へ挿入する方向に移動させることにより前記開口部を閉塞する開閉弁と、で構成した。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の蓄尿容器において、前記弁開閉ロッドの他端部側に前記筒状部の内周面の間をシールするシール部を設けた。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の蓄尿容器において、前記開閉弁で前記開口部を開放した状態において前記開閉弁と前記シール部の間に位置し、前記開閉弁で前記開口部を閉塞した状態において前記開閉弁と前記シール部の間の外側に位置する大気導入孔を前記筒状部に設けた。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3の蓄尿容器において、前記筒状部及び前記キャップに前記筒状部に対して前記キャップを回転させて互の位置を合わせることにより連通して外部から薬剤を前記筒状部に注入可能にする薬剤注入孔を設けた。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4の蓄尿容器において、前記筒状部の内部の前記大気導入孔よりも前記開口部側の位置に薬剤支持部を設け、該薬剤支持部に薬剤入りのカプセルを収容した。
【0017】
請求項7の発明は、蓄尿容器を、採尿した尿を分割する漏斗状の分尿カップと、前記分尿カップにより分割された尿を保存する第1,第2の保存容器と、で構成し、前記分尿カップの底部に、第1,第2の排出口を設け、採尿した尿を2分割して、前記第1,第2の排出口から前記第1,第2の保存容器に蓄尿した。また、請求項8の発明は、請求項7の蓄尿容器において、前記分尿カップに、前記第1,第2の排出口の断面積の数倍の断面積を有する第3の排出口を設けた。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の蓄尿容器は、前記保存容器嵌合部に前記保存容器の下端部を挿入して保存容器の下端に設けた開口部を開くと前記採尿カップ内の尿が所謂サイフォンの原理によって前記保存容器の筒状部内に流入する。従って、前記開口部を開閉弁で閉塞すれば前記採尿カップと同じ液位の尿が前記保存容器内に封入される。このようにして、複数の保存容器に同時に同じ量の尿を採尿することができる。そして、前記複数の保存容器の内の一つは、採尿時の侭の状態で通常蓄尿し、他の一つには塩酸等を加えて酸性蓄尿することが可能になる。特に、請求項2の蓄尿容器は、弁開閉ロッドにより開閉弁を移動させて、前記筒状部の開口部を簡単確実に開閉することができる。また、請求項3の蓄尿容器は、前記弁開閉ロッドの他端部側に前記筒状部の内周面の間をシールするシール部を設けたので、前記弁開閉ロッドの一端部を突出させるために前記筒状部の上端部に取り付けた前記キャップの中心孔から尿が漏れ出すのを防止することができる。また、請求項4の蓄尿容器は、前記筒状部に大気導入孔を設け、該大気導入孔を介して、前記筒状部内を大気中に開放したので、前記採尿カップの尿は円滑に前記保存容器内に流入する。そして、前記保存容器内に尿を導入したのちに、前記開口部を前記開閉弁で塞いだ状態にすると、前記大気導入孔は前記開閉弁と前記シール部の間の外側に位置して、前記大気導入孔から尿が漏れ出すのを防止する。また、請求項5の蓄尿容器は、前記筒状部に対して前記キャップを回転させてこれら筒状部及びキャップに設けた薬剤注入孔の位置を合わせることにより、これら薬剤注入孔から前記筒状部内に薬剤を注入することができる。そして、薬剤を注入後に前記筒状部に対して前記キャップを回転させて前記薬剤注入孔の位置をズラすことにより前記薬剤注入孔を塞ぐことができる。請求項6の蓄尿容器は、前記大気導入孔よりも前記開口部側の位置に薬剤支持部を設け、薬剤支持部に薬剤入りのカプセルを収容したので、前記開閉部で前記開口部を塞ぐ際に、先ず前記シール部で前記大気導入孔を塞いだ後に、前記シール部で前記薬剤収容部内の薬剤入りのカプセルを押し潰して自動的に薬剤を尿中に注入する。
【0019】
また、請求項7の蓄尿容器は、採尿した尿を2分割する漏斗状の分尿カップと、前記分尿カップにより分割された尿を保存する第1,第2の蓄尿容器と、からなる蓄尿容器において、前記分尿カップに、底部に第1,第2の2つの排出口を設けたので、これら第1,第2の排出口の断面積の大きさに比例する割合で前記分尿カップ内の尿を前記第1,第2の蓄尿容器に供給し、前記第1,第2の蓄尿容器に蓄尿することができる。また、請求項8の蓄尿容器は、請求項7の蓄尿容器において、前記分尿カップに、前記第1,第2の排出口の断面積の数倍の断面積を有する第3の排出口を設けたので、該第3の排出口からは不要の尿を排出し、必要な量の尿だけ蓄尿容器に蓄尿することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図5は、第1の実施例を示し、図1は採尿カップに保存容器を取り付けた状態の斜視図、図2は採尿カップから保存容器を取り外した状態の斜視図である。
【0021】
蓄尿容器1は、採尿カップ2と、該採尿カップ2に採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器(保存用カートリッジ)3…3と、で構成されている。
【0022】
前記採尿カップ2は、透明のガラス或いは透明のプラスチックにより所定の直径の円筒状に形成されていて、外側面には容積を示す目盛4が付されているとともに、外側面には取手5が設けられている。また、前記採尿カップ2は、下端部に該採尿カップ2の外周から突出する台座部6と保存容器支持部7を備えている。
【0023】
前記台座部6は、採尿カップ2を安定した状態でテーブル等の上に載置するためのものである。また、前記保存容器支持部7は、前記保存容器3を前記採尿カップ2に対して平行に起立させて支持するためのものである。前記保存容器支持部7は、保存容器3の下端を嵌合する2個の保存容器嵌合部8を備えている。
【0024】
図3、図4に示すように、前記保存容器嵌合部8の底部と前記採尿カップ2の底部は、連通孔9を介して連通している。前記保存容器嵌合部8は、前記保存容器3の下端を嵌合し易くするために開口側の端部8aが大径に、下端部8bが小径に形成されている。
【0025】
図2に示すように、前記保存容器3は、前記円筒状の採尿カップ2の横断面積に対して所定の割合、例えば1/50の横断面積の円筒状に形成されていて下端部に前記連通孔9と連通する開口部10を有する筒状部11と、該筒状部11の上端を閉塞するキャップ12と、該キャップ12の中心孔12aから一端13aを突出させた状態で前記筒状部11の中心部に移動可能に取り付けられた弁開閉ロッド13と、該弁開閉ロッド13の一端部側に設けられていて該弁開閉ロッド13を前記筒状部11から抜き出す方向(図2の矢印A方向)に移動させることにより前記筒状部11の下端の開口部10を開き、前記筒状部11へ挿入する方向(図2の矢印B方向)に移動させることにより前記筒状部11の開口部10を閉塞する開閉弁14と、前記弁開閉ロッド13の他端部側に取り付けられた操作用の摘み部15と、該摘み部15と前記キャップ12の間に着脱自在に介在されて前記弁開閉ロッド13が前記第2の方向に移動するのを阻止するロック部材(ストッパー)16と、を備えている。
【0026】
前記筒状部11は、下端の前記保存容器嵌合部8への挿入部の外径が前記保存容器嵌合部7の形状に合わせて他の部分よりも小径に形成されている。前記挿入部の外周面には前記保存容器嵌合部8の内周面との間をシールするシールリング17が設けられている。また、前記筒状部11は、前記開口部10から尿を浸入し易くするための大気導入孔18を周面に備えている。前記大気導入孔18は、図3に示すように、前記開閉弁14が前記開口部10を開放している状態において該開閉弁14と、後に説明するシール部21と、の間に位置し、図4に示すように、前記開閉弁14で前記開口部10を閉塞した状態において前記シール部21で閉塞される位置に設けられている。また、前記筒状部11の内周面の前記大気導入孔18と略対向する位置には、前記シール部21に設けた薬剤収容部26に収容されている薬剤27を前記筒状部11内の尿に流下させるための薬剤流下溝28が形成されている。なお、図2に示すように、前記筒状部11の外側面には収容した尿の容積を示す目盛19が付されている
前記キャップ12は、内周面にネジが形成されていて前記筒状部11の上端部に螺着されている。
【0027】
前記弁開閉ロッド13は、前述したように前記キャップ12の中心孔12aから前記弁開閉ロッド13の一端13aを突出させた状態で前記筒状部11内に挿入されている。
【0028】
前記開閉弁14は、前記弁開閉ロッド13の一端部の外周にシールリング20を取り付けることにより形成されている。そして、前記弁開閉ロッド13を前記筒状部11から抜き出す方向にに移動させると、図3に示すように、前記開閉弁14を構成するシールリング20と前記保存容器3の先端の挿入部の内周面との間に隙間Gが発生して前記筒状部11の開口部10を開放し、前記弁開閉ロッド13を前記筒状部11に挿入する方向に移動させると、図4に示すように、前記開閉弁14を構成するシールリング20が前記筒状部11の先端の内周面に密着して前記開口部10を閉塞する。
【0029】
前記摘み部15は、図2に示すように、前記キャップ12の中心孔12aから突出した前記弁開閉ロッド13の一端部13aに螺着される。
【0030】
前記ロック部材16は、略U字状に形成されていて前記弁開閉ロッド13の一端部13aの外周に嵌合した状態で取り付けられるようになっている。
【0031】
また、前記弁開閉ロッド13は、前記開閉弁14と反対の端部側に前記筒状部11の内周面の間をシールするシール部21を備えている。図3,図4に示すように、前記シール部21は、前記弁開閉ロッド13に設けた大径軸部22と、該大径軸部22の下端側の外周に設けられた第1,第2のシールリング23,24と、前記大径軸部22の上端側の外周に設けられた第3のシールリング25と、を備えている。
【0032】
前記大径軸部22の第1,第2のシールリング23,24と第3のシールリング25の間には、前記大径軸部22の片側を削除して薬剤収容部26が形成されている。前記薬剤収容部26には、前記開口部10を開放した状態において前記筒状部11の上端側に設けた第1の薬剤注入孔29及び前記キャップ12に設けた第2の薬剤注入孔30を介して注射器等で薬剤(薬液)27が注入される。前記薬剤収容部26内に注入された薬剤27は、前記筒状部11に対して前記キャップ12を回転させて前記第1の薬剤注入孔29と第2の薬剤注入孔30の位置をズラすことによりこれら第1,第2の薬剤注入孔29,30は塞がれて、薬剤27は薬剤収容部26内に封入された状態になる。
【0033】
図5A〜図5Dは、前記保存容器3の組立工程の一例を示す。先ず図5Bに示すように、前記弁開閉ロッド13を、前記キャップ12の中心孔12aに前記弁開閉ロッド13の端部を挿入して前記キャップ12を取り付ける。次に、図5Cに示すように、前記弁開閉ロッド13の端部に操作用の摘み部15を螺着する。そして、最後に図5Dに示すように、前記キャップ12を前記筒状部11の端部に螺着して保存容器3は、組み立てられる。
【0034】
次に、第1の実施例の蓄尿容器1の使用方法及び作用について説明する。先ず、図1に示すように、前記ロック部材16を付けた侭の状態で前記保存容器3の先端を前記採尿カップ2の2個の保存容器嵌合部8,8に挿入する。次に、前記採尿カップ2に採尿する。前記採尿カップ2の下端部と前記2個の保存容器嵌合部8,8内は、前記連通孔9及び開口部10を介して連通しているとともに、前記筒状部11内は、大気導入孔18を介して外部に連通(大気中に開放)されているので、前記採尿カップ2内の尿Uは、所謂サイホンの原理によって、前記連通孔9及び開口部10を介して前記採尿カップ2内の液位(尿位)の位置まで前記2個の保存容器3,3の筒状部11内に導入される。
【0035】
次に、前記ロック部材16を取り外した後に前記操作部15を摘んで前記弁開閉ロッド13を一方向に移動させると、図4に示すように、前記開閉弁14を構成するシールリング20が前記筒状部11の先端の内周面に密着して前記開口部10を閉塞して、採尿した尿の一定の割合の尿を前記保存容器3内に密封するとともに、前記第1,第2のシールリング23,24が前記薬剤流下溝28の位置に移動してきて前記薬剤収容部26内の薬剤27が前記保存容器3の尿に注入される。図4に示す状態において、前記大気導入孔18は、前記第1,第2のシールリング23,24の間に位置して、これら第1,第2のシールリング23,24により封止された状態になって尿が漏れるのを防止する。また、前記第3のシールリング25によって前記キャップ12の中心孔12aから尿が漏れるのも防止される。
【0036】
そして、前記2個の保存容器3内に尿を採取したら、保存容器3を取り付けた侭の状態で前記採尿カップ2の尿を捨てる。そして、前記採尿カップ2から前記2個の保存容器3,3を取り外してこれら保存容器3,3を保管する。
【0037】
排尿毎に前記作業を繰り返せば、排尿毎に塩酸等の薬剤を注入した尿及び薬剤を注入しない尿のサンプルを採っておくことができる。そして、保存容器3の尿の量から一日の総尿量を容易に算定することができる。なお、上記実施例では、保存容器3の筒状部11とキャップ12に第1の薬剤注入孔29と第2の薬剤注入孔30を設け、これら第1,第2の薬剤注入孔29,30を介して液状の薬剤27を保存容器3の薬剤収容部26内に注入する場合を示したが、図6、図7に示す第2の実施例のように、前記保存容器3の筒状部11の内周面の前記大気導入孔18よりも前記開口部10側の位置に薬剤収容部としてのリング状のカプセル支持部(薬剤ブロック)31を設け、該カプセル支持部31に薬剤入りのカプセル32を収容しておいて、前記開口部10を閉塞する際に、前記シール部21の大径軸部22の下端で前記薬剤入りのカプセル32を前記カプセル支持部31に押し付けて押し潰すことにより、薬剤入りのカプセル32内の薬剤27を尿の中に注入する構成にしてもよい。なお、上記実施例においては、採尿カップ2に2個の保存容器嵌合部8を設けた場合を示したが、保存容器嵌合部8は、1個でも3個以上であってもよい。
【0038】
図8〜図12は、第3の実施例を示す。この実施例は、病院内において患者の尿を蓄尿する蓄尿容器を示す。前記蓄尿容器1Aは、採尿した尿を2分割する漏斗状の分尿カップ41と、前記分尿カップ41により2分割された尿を保存する第1,第2の保存容器42,43と、を備えている。
【0039】
前記分尿カップ41は、底部に開口断面積が等しい第1,第2の2つの排出口44,45を備えていて、採尿した尿を2等分して、前記第1,第2の排出口44,45から前記第1,第2の保存容器42,43に供給する。図12に示すように、前記分尿カップ41は、内部に幅狭部46を備えていて、該幅狭部46の底面の両側部に前記第1,第2の排出口44,45が設けられている。前記幅狭部46は、前記第1,第2の排出口44,45から均等に尿を排出させるためのものであり、採尿量が少ない場合(100ml以下)の場合でも前記分尿カップ41内の尿位(液位)Hを確保し、約1秒程度で前記第1,第2の排出口44,45から均等に尿を排出させ、2分割精度を保持する効果を有する。また、前記幅狭部46は、テーパーを有する構造を持ち、前記分尿カップ41内に尿が残らないようになっている。
【0040】
図9に示すように、前記第1,第2の保存容器42,43は、合成樹脂により袋状に形成されている。これら袋状の第1,第2の保存容器42,43の開口端側の外面には、一対のロッド挿入用の折返部47,47が設けられている。
【0041】
そして、前記一対のロッド挿入用の折返部47,47にそれぞれ保存容器支持ロッド48を挿入することにより、前記第1,第2の保存容器42,43は、図10に示すように、開口部42a,43aを開いた状態で、これら保存容器支持ロッド48に吊り下げられた状態で支持されている。前記保存容器支持ロッド48は、支柱49の上端に2対、合計4本が平行に設けられている。前記支柱49は、パッド50の一側部に立設されている。なお、図8に示すように、前記第1,第2の保存容器42,43の開口部42a,43aの上方には、これら開口部42a,43aを塞ぐようにして、金属等の蓋51が取り付けられる。上記蓋51には、一対の孔52,53が設けられていて、これら一対の孔52,53を介して、前記第1,第2の排出口43,44が前記第1,第2の保存容器42,43の開口部42a,43a内に挿入されている。前記蓋51は、前記第1,第2の保存容器42,43から臭気が散逸するのを防止するためのものである。なお、臭気の散逸を積極的に防止するため裏面には前記臭気を吸着する吸着剤を取り付けても良い。また、前記分尿カップ41にも必要に応じて蓋61が取り付けられる。
【0042】
第3の実施例の蓄尿容器は上述のような構成であって、採尿した尿を前記分尿カップ41に注入すれば、注入された尿は、2分割されて前記第1,第2の保存容器42,43に蓄尿される。前記第1,第2の保存容器42,43に溜められた一方の尿には予め塩酸等の薬剤を注入しておく。そして、採尿の度毎に蓄尿して、24時間分の尿を蓄えた後に、前記第1,第2の保存容器に付けられた目盛を見て合算すれば24時間の蓄尿量が分かる。そして、前記蓄尿について例えばしゅう酸等の量を検出すれば、24時間に排出されたしゅう酸の総量を容易に算出することができる。因みに、第1の実施例においては、保存容器3内に保存されている尿は、蓄尿したものではないので、排尿時間等によって排出されるしゅう酸の量が異なるので排尿の度毎に採尿した尿に含まれるしゅう酸の量を個々に検出して24時間に採取した全保存容器分を合算することで24時間におけるしゅう酸の総量を算出するが可能である。なお、前記第3の実施例においては、採尿した尿の全量を2分割して蓄尿する場合を示したが、必ずしも採尿した尿の全量を蓄尿する必要はないので、この場合は、前記第1,第2の排出口44,45の断面積に対して数倍の断面積の第3の排出口を形成し、該第3の排出口に排出パイプを連結して尿の大半をトイレ等に流す構成にしてもよい。この場合でも、前記第1,第2の排出口44,45の断面積と前記第3の排出口の断面積の割合によって、尿の全量を容易に算出することができる。また、24時間室温で蓄尿すると不都合がある場合は保存容器42,43をクーラーボックス内に収納することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施例の蓄尿容器の斜視図(保存容器を取り付けた状態)。
【図2】第1の実施例の蓄尿容器の斜視図(保存容器を取り外した状態)。
【図3】開口部を開いた状態の断面図。
【図4】開口部を閉じた状態の断面図。
【図5】AとBとCは、保存容器の組立工程図。
【図6】第2の実施例の開口部を開いた状態の断面図。
【図7】第2の実施例の開口部を閉じた状態の断面図。
【図8】第3の実施例の斜視図。
【図9】第3の実施例の分解斜視図。
【図10】第3の実施例の蓋を取り外した状態の斜視図。
【図11】第3の実施例の断面図。
【図12】分尿カップの断面図。
【図13】従来例の断面図。
【図14】他の従来例の斜視図。
【図15】AとBとCとDとEとFは、使用方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0044】
1、1A…蓄尿容器、2…採尿カップ、3…保存容器(保存用カートリッジ)、7…保存容器支持部、8…保存容器嵌合部、9…連通孔、10…開口部、11…筒状部、12…キャップ、13…弁開閉ロッド、14…開閉弁、18…大気導入孔、20…シールリング、21…シール部、22…大径軸部、23〜25…第1〜第3のシールリング、26…薬剤収容部、27…薬剤、28…薬剤流下溝、29…第1の薬剤注入孔、30…第2の薬剤注入孔、31…カプセル支持部、32…薬剤入りカプセル、41…分尿カップ、42…第1の保存容器、43…第2の保存容器、44…第1の排出口、45‥第2の排出口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病患者、尿路結石症患者等が携帯して随時、排尿の一定量を採取、保管し、或いは病院内において患者の排尿を蓄尿するための蓄尿容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯用の蓄尿容器として、例えば図13に示すものが知られている。蓄尿容器101は、伸縮自在のカップ体102と、カップ体102を下方から受容するカップ受体103と、カップ受体103の下方に配置された尿溜容器104と、から成っていて、カップ体102に採取した尿を、カップ体102の底面に設けた第1排出口105及びカップ受体103に設けた排出用の筒部106から外部に排出すると共に、尿検査に必要な尿検体をカップ体102の底面に設けた第2排出口107及びカップ受体103に設けた取入口108から前記尿溜容器104内に取り入れるようになっている。(特許文献1参照)
また、他の蓄尿容器として、図14に示すものが知られている。この蓄尿容器201は、上カップ(メインカップ)202と、上カップ202の下方に配置された下カップ(サブカップ)203と、上カップ202内に配置された比例採集パイプ204と、を備えている。前記上カップ202と下カップ203及び比例採集パイプ204は、連通部205において互いに連通されていると共に、該連通部205に設けた三方弁206によって互いの連通を遮断可能になっている。207は三方弁206の操作用のコック、208は下カップ203に着脱可能に取付けられたキャップである。比例採集パイプ204は、文字通り上カップ202の尿の一定割合の尿、例えば上カップ202内に収容されている尿の1/50の尿を収容するようになっている。
【0003】
図15Aに示すように、前記三方弁206は、操作用のコック207が表示部Sの位置に在る時は、上カップ202と比例採集パイプ204との間を連通し、これら上カップ202及び比例採集パイプ204と下カップ203の間を遮断している。そして、この状態で上カップ202内に尿を注入すると、図15Bに示すように、上カップ202に注入された尿は、連通部205を介して上カップ202内の液位と同じ液位になるまで比例採集パイプ204内に侵入する。比例採集パイプ204には、上カップ202に収容されている尿の一定割合、例えば上カップ202内に収容されている尿の1/50の尿が収容されるようになっている。
【0004】
次に、図15Cに示すように、操作用のコック207を表示部Oの位置に移動させると、比例採集パイプ204と下カップ203が連通して、比例採集パイプ204内の尿が下カップ203内に流下する。比例採集パイプ204内の尿が完全に下カップ203内に流下したことを確認したら、図15Dに示すように、操作用のコック207を表示部Sの位置に戻し、上カップ202及び比例採集パイプ204と下カップ203の間を遮断し、上カップ202と比例採集パイプ204との間を連通させる。
【0005】
そして、図15Eに示すように、不要になった上カップ202内の尿をトイレ等に捨てる。排尿の度毎に上記操作を繰り返して、下カップ203内に尿を溜めおく。
【0006】
そして、所定時間、例えば24時間分の尿を溜めた採尿カップ201は、病院等に持参されて、図15Fに示すように、裏返しにされた状態でキャップ208を外されて下カップ203から尿を取り出して、尿の量Vを計測される。
【0007】
そして、計測された尿の量V1から24時間における総排尿量V2を算出するとV2=V1×50となる。
【0008】
また、前記量V1の尿から検出された特定物質の排出量をC1とすると、24時間における特定物質の総排出量C2は、C2=C1×50となる。(非特許文献1、非特許文献2参照)
【特許文献1】特開平5−256746号公報(段落0005〜段落0018等)
【非特許文献1】O.Tochikubo,S.Uneda,Y.Kaneko;Simple Portable Device For Sampling a Whole Day’s Urine and Its Appllcation to Hypertensive Outpatients;Hypertension,Vol,5,No2,March−April 1983
【非特許文献2】O.Tochikubo,S.Uneda,Y.Kaneko;Accuracy Of New Portable Proportionally Simpling Device for Collecting 24−Hour Urine;Yokohama Med,Bull,Vol,36,No5−6 1985
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、採尿した尿を検査する場合に、検査しようとする物質によっては採尿後、直ちに特定の薬剤(物質)を注入しないと正確な検査が不可能になる場合がある。例えば、しゅう酸値を検出する場合には採尿後、塩酸を注入する必要がある。従って、複数の物質を検査する必要があり、そのうちの一つの物質は薬剤を注入しないで検査し、他の物質は特定の薬剤を注入する必要がある場合、或いは注入する薬剤が異なる場合に、上記特許文献1の蓄尿容器101及び技術文献1、2の蓄尿容器201にあっては、複数の蓄尿容器を携帯しなければならなず持ち運びに不便であり、また採取した尿をその場で複数個に分割する必要があるという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、持ち運びに便利で、しかも容易に尿を分割して保存することのできる蓄尿容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、有底筒状の採尿カップと、該採尿カップに採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器(保存用カートリッジ)と、で蓄尿容器を構成し、前記採尿カップの下端部に該採尿カップの外周から突出する保存容器支持部を設け、該保存容器支持部に前記保存容器の下端を嵌合することにより該保存容器を前記採尿カップに対して平行に起立させて支持する複数の保存容器嵌合部を設け、これら保存容器嵌合部の底部と前記採尿カップの底部を連通孔で連通するとともに、前記保存容器には前記保存容器嵌合部内において前記連通孔と連通する開口部及び該開口部を開閉する開閉弁を設けた。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の蓄尿容器において、前記保存容器を、前記筒状の採尿カップの横断面積に対して所定の割合の横断面積に形成されていて下端部に前記開口部を有し上端部がキャップにより閉塞された筒状部と、前記キャップの中心孔から一端の操作部を突出させた状態で前記筒状部の中心部に移動可能に取り付けられた弁開閉ロッドと、前記弁開閉ロッドの一端部側に設けられていて前記弁開閉ロッドを前記筒状部から抜き出す方向に移動させることにより前記開口部を開き、前記筒状部へ挿入する方向に移動させることにより前記開口部を閉塞する開閉弁と、で構成した。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の蓄尿容器において、前記弁開閉ロッドの他端部側に前記筒状部の内周面の間をシールするシール部を設けた。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の蓄尿容器において、前記開閉弁で前記開口部を開放した状態において前記開閉弁と前記シール部の間に位置し、前記開閉弁で前記開口部を閉塞した状態において前記開閉弁と前記シール部の間の外側に位置する大気導入孔を前記筒状部に設けた。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3の蓄尿容器において、前記筒状部及び前記キャップに前記筒状部に対して前記キャップを回転させて互の位置を合わせることにより連通して外部から薬剤を前記筒状部に注入可能にする薬剤注入孔を設けた。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4の蓄尿容器において、前記筒状部の内部の前記大気導入孔よりも前記開口部側の位置に薬剤支持部を設け、該薬剤支持部に薬剤入りのカプセルを収容した。
【0017】
請求項7の発明は、蓄尿容器を、採尿した尿を分割する漏斗状の分尿カップと、前記分尿カップにより分割された尿を保存する第1,第2の保存容器と、で構成し、前記分尿カップの底部に、第1,第2の排出口を設け、採尿した尿を2分割して、前記第1,第2の排出口から前記第1,第2の保存容器に蓄尿した。また、請求項8の発明は、請求項7の蓄尿容器において、前記分尿カップに、前記第1,第2の排出口の断面積の数倍の断面積を有する第3の排出口を設けた。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の蓄尿容器は、前記保存容器嵌合部に前記保存容器の下端部を挿入して保存容器の下端に設けた開口部を開くと前記採尿カップ内の尿が所謂サイフォンの原理によって前記保存容器の筒状部内に流入する。従って、前記開口部を開閉弁で閉塞すれば前記採尿カップと同じ液位の尿が前記保存容器内に封入される。このようにして、複数の保存容器に同時に同じ量の尿を採尿することができる。そして、前記複数の保存容器の内の一つは、採尿時の侭の状態で通常蓄尿し、他の一つには塩酸等を加えて酸性蓄尿することが可能になる。特に、請求項2の蓄尿容器は、弁開閉ロッドにより開閉弁を移動させて、前記筒状部の開口部を簡単確実に開閉することができる。また、請求項3の蓄尿容器は、前記弁開閉ロッドの他端部側に前記筒状部の内周面の間をシールするシール部を設けたので、前記弁開閉ロッドの一端部を突出させるために前記筒状部の上端部に取り付けた前記キャップの中心孔から尿が漏れ出すのを防止することができる。また、請求項4の蓄尿容器は、前記筒状部に大気導入孔を設け、該大気導入孔を介して、前記筒状部内を大気中に開放したので、前記採尿カップの尿は円滑に前記保存容器内に流入する。そして、前記保存容器内に尿を導入したのちに、前記開口部を前記開閉弁で塞いだ状態にすると、前記大気導入孔は前記開閉弁と前記シール部の間の外側に位置して、前記大気導入孔から尿が漏れ出すのを防止する。また、請求項5の蓄尿容器は、前記筒状部に対して前記キャップを回転させてこれら筒状部及びキャップに設けた薬剤注入孔の位置を合わせることにより、これら薬剤注入孔から前記筒状部内に薬剤を注入することができる。そして、薬剤を注入後に前記筒状部に対して前記キャップを回転させて前記薬剤注入孔の位置をズラすことにより前記薬剤注入孔を塞ぐことができる。請求項6の蓄尿容器は、前記大気導入孔よりも前記開口部側の位置に薬剤支持部を設け、薬剤支持部に薬剤入りのカプセルを収容したので、前記開閉部で前記開口部を塞ぐ際に、先ず前記シール部で前記大気導入孔を塞いだ後に、前記シール部で前記薬剤収容部内の薬剤入りのカプセルを押し潰して自動的に薬剤を尿中に注入する。
【0019】
また、請求項7の蓄尿容器は、採尿した尿を2分割する漏斗状の分尿カップと、前記分尿カップにより分割された尿を保存する第1,第2の蓄尿容器と、からなる蓄尿容器において、前記分尿カップに、底部に第1,第2の2つの排出口を設けたので、これら第1,第2の排出口の断面積の大きさに比例する割合で前記分尿カップ内の尿を前記第1,第2の蓄尿容器に供給し、前記第1,第2の蓄尿容器に蓄尿することができる。また、請求項8の蓄尿容器は、請求項7の蓄尿容器において、前記分尿カップに、前記第1,第2の排出口の断面積の数倍の断面積を有する第3の排出口を設けたので、該第3の排出口からは不要の尿を排出し、必要な量の尿だけ蓄尿容器に蓄尿することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図5は、第1の実施例を示し、図1は採尿カップに保存容器を取り付けた状態の斜視図、図2は採尿カップから保存容器を取り外した状態の斜視図である。
【0021】
蓄尿容器1は、採尿カップ2と、該採尿カップ2に採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器(保存用カートリッジ)3…3と、で構成されている。
【0022】
前記採尿カップ2は、透明のガラス或いは透明のプラスチックにより所定の直径の円筒状に形成されていて、外側面には容積を示す目盛4が付されているとともに、外側面には取手5が設けられている。また、前記採尿カップ2は、下端部に該採尿カップ2の外周から突出する台座部6と保存容器支持部7を備えている。
【0023】
前記台座部6は、採尿カップ2を安定した状態でテーブル等の上に載置するためのものである。また、前記保存容器支持部7は、前記保存容器3を前記採尿カップ2に対して平行に起立させて支持するためのものである。前記保存容器支持部7は、保存容器3の下端を嵌合する2個の保存容器嵌合部8を備えている。
【0024】
図3、図4に示すように、前記保存容器嵌合部8の底部と前記採尿カップ2の底部は、連通孔9を介して連通している。前記保存容器嵌合部8は、前記保存容器3の下端を嵌合し易くするために開口側の端部8aが大径に、下端部8bが小径に形成されている。
【0025】
図2に示すように、前記保存容器3は、前記円筒状の採尿カップ2の横断面積に対して所定の割合、例えば1/50の横断面積の円筒状に形成されていて下端部に前記連通孔9と連通する開口部10を有する筒状部11と、該筒状部11の上端を閉塞するキャップ12と、該キャップ12の中心孔12aから一端13aを突出させた状態で前記筒状部11の中心部に移動可能に取り付けられた弁開閉ロッド13と、該弁開閉ロッド13の一端部側に設けられていて該弁開閉ロッド13を前記筒状部11から抜き出す方向(図2の矢印A方向)に移動させることにより前記筒状部11の下端の開口部10を開き、前記筒状部11へ挿入する方向(図2の矢印B方向)に移動させることにより前記筒状部11の開口部10を閉塞する開閉弁14と、前記弁開閉ロッド13の他端部側に取り付けられた操作用の摘み部15と、該摘み部15と前記キャップ12の間に着脱自在に介在されて前記弁開閉ロッド13が前記第2の方向に移動するのを阻止するロック部材(ストッパー)16と、を備えている。
【0026】
前記筒状部11は、下端の前記保存容器嵌合部8への挿入部の外径が前記保存容器嵌合部7の形状に合わせて他の部分よりも小径に形成されている。前記挿入部の外周面には前記保存容器嵌合部8の内周面との間をシールするシールリング17が設けられている。また、前記筒状部11は、前記開口部10から尿を浸入し易くするための大気導入孔18を周面に備えている。前記大気導入孔18は、図3に示すように、前記開閉弁14が前記開口部10を開放している状態において該開閉弁14と、後に説明するシール部21と、の間に位置し、図4に示すように、前記開閉弁14で前記開口部10を閉塞した状態において前記シール部21で閉塞される位置に設けられている。また、前記筒状部11の内周面の前記大気導入孔18と略対向する位置には、前記シール部21に設けた薬剤収容部26に収容されている薬剤27を前記筒状部11内の尿に流下させるための薬剤流下溝28が形成されている。なお、図2に示すように、前記筒状部11の外側面には収容した尿の容積を示す目盛19が付されている
前記キャップ12は、内周面にネジが形成されていて前記筒状部11の上端部に螺着されている。
【0027】
前記弁開閉ロッド13は、前述したように前記キャップ12の中心孔12aから前記弁開閉ロッド13の一端13aを突出させた状態で前記筒状部11内に挿入されている。
【0028】
前記開閉弁14は、前記弁開閉ロッド13の一端部の外周にシールリング20を取り付けることにより形成されている。そして、前記弁開閉ロッド13を前記筒状部11から抜き出す方向にに移動させると、図3に示すように、前記開閉弁14を構成するシールリング20と前記保存容器3の先端の挿入部の内周面との間に隙間Gが発生して前記筒状部11の開口部10を開放し、前記弁開閉ロッド13を前記筒状部11に挿入する方向に移動させると、図4に示すように、前記開閉弁14を構成するシールリング20が前記筒状部11の先端の内周面に密着して前記開口部10を閉塞する。
【0029】
前記摘み部15は、図2に示すように、前記キャップ12の中心孔12aから突出した前記弁開閉ロッド13の一端部13aに螺着される。
【0030】
前記ロック部材16は、略U字状に形成されていて前記弁開閉ロッド13の一端部13aの外周に嵌合した状態で取り付けられるようになっている。
【0031】
また、前記弁開閉ロッド13は、前記開閉弁14と反対の端部側に前記筒状部11の内周面の間をシールするシール部21を備えている。図3,図4に示すように、前記シール部21は、前記弁開閉ロッド13に設けた大径軸部22と、該大径軸部22の下端側の外周に設けられた第1,第2のシールリング23,24と、前記大径軸部22の上端側の外周に設けられた第3のシールリング25と、を備えている。
【0032】
前記大径軸部22の第1,第2のシールリング23,24と第3のシールリング25の間には、前記大径軸部22の片側を削除して薬剤収容部26が形成されている。前記薬剤収容部26には、前記開口部10を開放した状態において前記筒状部11の上端側に設けた第1の薬剤注入孔29及び前記キャップ12に設けた第2の薬剤注入孔30を介して注射器等で薬剤(薬液)27が注入される。前記薬剤収容部26内に注入された薬剤27は、前記筒状部11に対して前記キャップ12を回転させて前記第1の薬剤注入孔29と第2の薬剤注入孔30の位置をズラすことによりこれら第1,第2の薬剤注入孔29,30は塞がれて、薬剤27は薬剤収容部26内に封入された状態になる。
【0033】
図5A〜図5Dは、前記保存容器3の組立工程の一例を示す。先ず図5Bに示すように、前記弁開閉ロッド13を、前記キャップ12の中心孔12aに前記弁開閉ロッド13の端部を挿入して前記キャップ12を取り付ける。次に、図5Cに示すように、前記弁開閉ロッド13の端部に操作用の摘み部15を螺着する。そして、最後に図5Dに示すように、前記キャップ12を前記筒状部11の端部に螺着して保存容器3は、組み立てられる。
【0034】
次に、第1の実施例の蓄尿容器1の使用方法及び作用について説明する。先ず、図1に示すように、前記ロック部材16を付けた侭の状態で前記保存容器3の先端を前記採尿カップ2の2個の保存容器嵌合部8,8に挿入する。次に、前記採尿カップ2に採尿する。前記採尿カップ2の下端部と前記2個の保存容器嵌合部8,8内は、前記連通孔9及び開口部10を介して連通しているとともに、前記筒状部11内は、大気導入孔18を介して外部に連通(大気中に開放)されているので、前記採尿カップ2内の尿Uは、所謂サイホンの原理によって、前記連通孔9及び開口部10を介して前記採尿カップ2内の液位(尿位)の位置まで前記2個の保存容器3,3の筒状部11内に導入される。
【0035】
次に、前記ロック部材16を取り外した後に前記操作部15を摘んで前記弁開閉ロッド13を一方向に移動させると、図4に示すように、前記開閉弁14を構成するシールリング20が前記筒状部11の先端の内周面に密着して前記開口部10を閉塞して、採尿した尿の一定の割合の尿を前記保存容器3内に密封するとともに、前記第1,第2のシールリング23,24が前記薬剤流下溝28の位置に移動してきて前記薬剤収容部26内の薬剤27が前記保存容器3の尿に注入される。図4に示す状態において、前記大気導入孔18は、前記第1,第2のシールリング23,24の間に位置して、これら第1,第2のシールリング23,24により封止された状態になって尿が漏れるのを防止する。また、前記第3のシールリング25によって前記キャップ12の中心孔12aから尿が漏れるのも防止される。
【0036】
そして、前記2個の保存容器3内に尿を採取したら、保存容器3を取り付けた侭の状態で前記採尿カップ2の尿を捨てる。そして、前記採尿カップ2から前記2個の保存容器3,3を取り外してこれら保存容器3,3を保管する。
【0037】
排尿毎に前記作業を繰り返せば、排尿毎に塩酸等の薬剤を注入した尿及び薬剤を注入しない尿のサンプルを採っておくことができる。そして、保存容器3の尿の量から一日の総尿量を容易に算定することができる。なお、上記実施例では、保存容器3の筒状部11とキャップ12に第1の薬剤注入孔29と第2の薬剤注入孔30を設け、これら第1,第2の薬剤注入孔29,30を介して液状の薬剤27を保存容器3の薬剤収容部26内に注入する場合を示したが、図6、図7に示す第2の実施例のように、前記保存容器3の筒状部11の内周面の前記大気導入孔18よりも前記開口部10側の位置に薬剤収容部としてのリング状のカプセル支持部(薬剤ブロック)31を設け、該カプセル支持部31に薬剤入りのカプセル32を収容しておいて、前記開口部10を閉塞する際に、前記シール部21の大径軸部22の下端で前記薬剤入りのカプセル32を前記カプセル支持部31に押し付けて押し潰すことにより、薬剤入りのカプセル32内の薬剤27を尿の中に注入する構成にしてもよい。なお、上記実施例においては、採尿カップ2に2個の保存容器嵌合部8を設けた場合を示したが、保存容器嵌合部8は、1個でも3個以上であってもよい。
【0038】
図8〜図12は、第3の実施例を示す。この実施例は、病院内において患者の尿を蓄尿する蓄尿容器を示す。前記蓄尿容器1Aは、採尿した尿を2分割する漏斗状の分尿カップ41と、前記分尿カップ41により2分割された尿を保存する第1,第2の保存容器42,43と、を備えている。
【0039】
前記分尿カップ41は、底部に開口断面積が等しい第1,第2の2つの排出口44,45を備えていて、採尿した尿を2等分して、前記第1,第2の排出口44,45から前記第1,第2の保存容器42,43に供給する。図12に示すように、前記分尿カップ41は、内部に幅狭部46を備えていて、該幅狭部46の底面の両側部に前記第1,第2の排出口44,45が設けられている。前記幅狭部46は、前記第1,第2の排出口44,45から均等に尿を排出させるためのものであり、採尿量が少ない場合(100ml以下)の場合でも前記分尿カップ41内の尿位(液位)Hを確保し、約1秒程度で前記第1,第2の排出口44,45から均等に尿を排出させ、2分割精度を保持する効果を有する。また、前記幅狭部46は、テーパーを有する構造を持ち、前記分尿カップ41内に尿が残らないようになっている。
【0040】
図9に示すように、前記第1,第2の保存容器42,43は、合成樹脂により袋状に形成されている。これら袋状の第1,第2の保存容器42,43の開口端側の外面には、一対のロッド挿入用の折返部47,47が設けられている。
【0041】
そして、前記一対のロッド挿入用の折返部47,47にそれぞれ保存容器支持ロッド48を挿入することにより、前記第1,第2の保存容器42,43は、図10に示すように、開口部42a,43aを開いた状態で、これら保存容器支持ロッド48に吊り下げられた状態で支持されている。前記保存容器支持ロッド48は、支柱49の上端に2対、合計4本が平行に設けられている。前記支柱49は、パッド50の一側部に立設されている。なお、図8に示すように、前記第1,第2の保存容器42,43の開口部42a,43aの上方には、これら開口部42a,43aを塞ぐようにして、金属等の蓋51が取り付けられる。上記蓋51には、一対の孔52,53が設けられていて、これら一対の孔52,53を介して、前記第1,第2の排出口43,44が前記第1,第2の保存容器42,43の開口部42a,43a内に挿入されている。前記蓋51は、前記第1,第2の保存容器42,43から臭気が散逸するのを防止するためのものである。なお、臭気の散逸を積極的に防止するため裏面には前記臭気を吸着する吸着剤を取り付けても良い。また、前記分尿カップ41にも必要に応じて蓋61が取り付けられる。
【0042】
第3の実施例の蓄尿容器は上述のような構成であって、採尿した尿を前記分尿カップ41に注入すれば、注入された尿は、2分割されて前記第1,第2の保存容器42,43に蓄尿される。前記第1,第2の保存容器42,43に溜められた一方の尿には予め塩酸等の薬剤を注入しておく。そして、採尿の度毎に蓄尿して、24時間分の尿を蓄えた後に、前記第1,第2の保存容器に付けられた目盛を見て合算すれば24時間の蓄尿量が分かる。そして、前記蓄尿について例えばしゅう酸等の量を検出すれば、24時間に排出されたしゅう酸の総量を容易に算出することができる。因みに、第1の実施例においては、保存容器3内に保存されている尿は、蓄尿したものではないので、排尿時間等によって排出されるしゅう酸の量が異なるので排尿の度毎に採尿した尿に含まれるしゅう酸の量を個々に検出して24時間に採取した全保存容器分を合算することで24時間におけるしゅう酸の総量を算出するが可能である。なお、前記第3の実施例においては、採尿した尿の全量を2分割して蓄尿する場合を示したが、必ずしも採尿した尿の全量を蓄尿する必要はないので、この場合は、前記第1,第2の排出口44,45の断面積に対して数倍の断面積の第3の排出口を形成し、該第3の排出口に排出パイプを連結して尿の大半をトイレ等に流す構成にしてもよい。この場合でも、前記第1,第2の排出口44,45の断面積と前記第3の排出口の断面積の割合によって、尿の全量を容易に算出することができる。また、24時間室温で蓄尿すると不都合がある場合は保存容器42,43をクーラーボックス内に収納することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施例の蓄尿容器の斜視図(保存容器を取り付けた状態)。
【図2】第1の実施例の蓄尿容器の斜視図(保存容器を取り外した状態)。
【図3】開口部を開いた状態の断面図。
【図4】開口部を閉じた状態の断面図。
【図5】AとBとCは、保存容器の組立工程図。
【図6】第2の実施例の開口部を開いた状態の断面図。
【図7】第2の実施例の開口部を閉じた状態の断面図。
【図8】第3の実施例の斜視図。
【図9】第3の実施例の分解斜視図。
【図10】第3の実施例の蓋を取り外した状態の斜視図。
【図11】第3の実施例の断面図。
【図12】分尿カップの断面図。
【図13】従来例の断面図。
【図14】他の従来例の斜視図。
【図15】AとBとCとDとEとFは、使用方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0044】
1、1A…蓄尿容器、2…採尿カップ、3…保存容器(保存用カートリッジ)、7…保存容器支持部、8…保存容器嵌合部、9…連通孔、10…開口部、11…筒状部、12…キャップ、13…弁開閉ロッド、14…開閉弁、18…大気導入孔、20…シールリング、21…シール部、22…大径軸部、23〜25…第1〜第3のシールリング、26…薬剤収容部、27…薬剤、28…薬剤流下溝、29…第1の薬剤注入孔、30…第2の薬剤注入孔、31…カプセル支持部、32…薬剤入りカプセル、41…分尿カップ、42…第1の保存容器、43…第2の保存容器、44…第1の排出口、45‥第2の排出口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の採尿カップと、該採尿カップに採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器と、を備え、
前記採尿カップは、下端部の外周面から突出する保存容器支持部を備え、該保存容器支持部は、前記保存容器の下端を嵌合することにより該保存容器を前記採尿カップに対して平行に起立させて支持する複数の保存容器嵌合部を備え、該保存容器嵌合部の底部と前記採尿カップの底部を連通孔で連通するとともに、
前記保存容器は、前記保存容器嵌合部内において前記連通孔と連通する開口部及び該開口部を開閉する開閉弁を備えていることを特徴とする蓄尿容器。
【請求項2】
前記保存容器は、前記筒状の採尿カップの横断面積に対して所定の割合の横断面積に形成されていて下端部に前記開口部を有し、上端部がキャップにより閉塞された筒状部と、前記キャップの中心孔から一端の操作部を突出させた状態で前記筒状部の中心部に移動可能に取り付けられた弁開閉ロッドと、前記弁開閉ロッドの一端部側に設けられていて前記弁開閉ロッドを前記筒状部から抜き出す方向に移動させることにより前記開口部を開き、前記筒状部に挿入する方向に移動させることにより前記開口部を閉塞する開閉弁と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の蓄尿容器。
【請求項3】
前記弁開閉ロッドは、前記開閉弁と反対の端部側に前記筒状部の内周面の間をシールするシール部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の蓄尿容器。
【請求項4】
前記筒状部は、周面に大気導入孔を備え、該大気導入孔は、前記開閉弁で前記開口部を開放した状態において該開閉弁と前記シール部の間に位置し、前記開閉弁で前記開口部を閉塞した状態において前記開閉弁と前記シール部の間の外側に位置して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の蓄尿容器。
【請求項5】
前記筒状部及び前記キャップは、前記筒状部に対して前記キャップを回転させて互の位置を合わせることにより連通して外部から薬剤を前記筒状部に注入可能にする薬剤注入孔を備えていることを特徴とする請求項3に記載の蓄尿容器。
【請求項6】
前記筒状部は、その内部の前記大気導入孔よりも前記開口部側の位置に薬剤支持部を備え、該薬剤支持部に薬剤入りのカプセルが予め収容されていることを特徴とする請求項4に記載の蓄尿容器。
【請求項7】
採尿した尿を分割する漏斗状の分尿カップと、前記分尿カップにより分割された尿を保存する第1,第2の蓄尿容器と、を備え、
前記分尿カップは、底部に第1,第2の排出口を備え、前記第1,第2の排出口は、これらの断面積の大きさに比例する割合で前記分尿カップ内の尿を分割して前記第1,第2の蓄尿容器に供給することを特徴とする蓄尿容器。
【請求項8】
前記分尿カップは、前記第1,第2の排出口の断面積の数倍の断面積を有する第3の排出口を備えていて、該第3の排出口からは不要の尿が排出されることを特徴とする請求項7に記載の蓄尿容器。
【請求項1】
有底筒状の採尿カップと、該採尿カップに採取された尿の一定の割合の尿を保存する複数の筒状の保存容器と、を備え、
前記採尿カップは、下端部の外周面から突出する保存容器支持部を備え、該保存容器支持部は、前記保存容器の下端を嵌合することにより該保存容器を前記採尿カップに対して平行に起立させて支持する複数の保存容器嵌合部を備え、該保存容器嵌合部の底部と前記採尿カップの底部を連通孔で連通するとともに、
前記保存容器は、前記保存容器嵌合部内において前記連通孔と連通する開口部及び該開口部を開閉する開閉弁を備えていることを特徴とする蓄尿容器。
【請求項2】
前記保存容器は、前記筒状の採尿カップの横断面積に対して所定の割合の横断面積に形成されていて下端部に前記開口部を有し、上端部がキャップにより閉塞された筒状部と、前記キャップの中心孔から一端の操作部を突出させた状態で前記筒状部の中心部に移動可能に取り付けられた弁開閉ロッドと、前記弁開閉ロッドの一端部側に設けられていて前記弁開閉ロッドを前記筒状部から抜き出す方向に移動させることにより前記開口部を開き、前記筒状部に挿入する方向に移動させることにより前記開口部を閉塞する開閉弁と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の蓄尿容器。
【請求項3】
前記弁開閉ロッドは、前記開閉弁と反対の端部側に前記筒状部の内周面の間をシールするシール部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の蓄尿容器。
【請求項4】
前記筒状部は、周面に大気導入孔を備え、該大気導入孔は、前記開閉弁で前記開口部を開放した状態において該開閉弁と前記シール部の間に位置し、前記開閉弁で前記開口部を閉塞した状態において前記開閉弁と前記シール部の間の外側に位置して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の蓄尿容器。
【請求項5】
前記筒状部及び前記キャップは、前記筒状部に対して前記キャップを回転させて互の位置を合わせることにより連通して外部から薬剤を前記筒状部に注入可能にする薬剤注入孔を備えていることを特徴とする請求項3に記載の蓄尿容器。
【請求項6】
前記筒状部は、その内部の前記大気導入孔よりも前記開口部側の位置に薬剤支持部を備え、該薬剤支持部に薬剤入りのカプセルが予め収容されていることを特徴とする請求項4に記載の蓄尿容器。
【請求項7】
採尿した尿を分割する漏斗状の分尿カップと、前記分尿カップにより分割された尿を保存する第1,第2の蓄尿容器と、を備え、
前記分尿カップは、底部に第1,第2の排出口を備え、前記第1,第2の排出口は、これらの断面積の大きさに比例する割合で前記分尿カップ内の尿を分割して前記第1,第2の蓄尿容器に供給することを特徴とする蓄尿容器。
【請求項8】
前記分尿カップは、前記第1,第2の排出口の断面積の数倍の断面積を有する第3の排出口を備えていて、該第3の排出口からは不要の尿が排出されることを特徴とする請求項7に記載の蓄尿容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−3284(P2006−3284A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181952(P2004−181952)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(591115936)
【出願人】(502331743)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(591115936)
【出願人】(502331743)
【Fターム(参考)】
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