説明

蓄電機能を有するコンデンサ一体型太陽電池

【課題】 蓄電機能を有する太陽電池を構成する場合、従来技術ではシステム体積または信頼性に課題があった。本発明によると電極部と裏面金属電極を貫通孔によって並列に接続し、蓄電機能を有したコンデンサ一体型太陽電池を得ることが可能となる。
【解決手段】 電極部、光受光部、金属電極部を含む構造であって、電極部と金属電極部が導電物質を充填した貫通孔で接続され、金属電極部とコンデンサ電極によってコンデンサの機能を有する構造であって、太陽電池の機能と蓄電機能を有するコンデンサの機能を持つことを特徴とするコンデンサ一体型太陽電池を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電機能を有する太陽電池、とりわけ太陽電池の電極部分とコンデンサの電極部分が共有されたコンデンサ一体型太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電に用いる太陽電池セルは波長感度の広いフォトダイオードと解釈でき、太陽電池セルでは蓄電する機能を有していない。したがって、光照度に依存しない出力を得るためには蓄電機能を併用する必要がある。
蓄電機能を併用するにあたり、太陽電池とコンデンサを並列に接続することによって、太陽電池で生じた電力を直接コンデンサに蓄電することが可能となる。蓄電には大容量の電気二重層コンデンサを用いることによって二次電池と同等の蓄電量を得ることができると共に、二次電池のような充放電に関わる制限回路を独自に設けなくて良い利点がある。
特許文献1によれば、太陽電池セルと蓄電機能を別々に設置して蓄電機能を得ることが開示されている。
【0003】
特許文献2には、太陽電池とコンデンサを並列で接続し、さらに太陽電池と二次電池を直列に接続することによって、二次電池にかかる負荷を最小限にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−278883号公報
【特許文献2】特開平05−3628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は太陽電池とコンデンサはそれぞれ別個に設置するため、システム体積が増大するという課題があった。また特許文献2は太陽電池の出力変動をコンデンサで吸収することによって、二次電池にかかる負荷変動を抑制しているが、コンデンサ、二次電池とも別に用意する必要があり、さらには配線などの接続が煩雑になるといった課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みて、太陽電池とコンデンサによるシステム体積を抑制することと、上記システムを構成する上で配線などの煩雑さを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の電極部と第二の電極部との間に形成された光受光部と、前記第二の電極部と第三の電極部とを有する第一のコンデンサ部と、電極間を接続する導電物質と、を有し、前記光受光部は、前記導電物質を充填させる貫通孔を備え、前記導電物質は、前記貫通孔を介して前記第一の電極部と前記第二の電極部とを接続させることを有することを特徴とするコンデンサ一体型太陽電池である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、太陽電池とコンデンサを一体型に形成させ、さらに並列に接続させることで、従来の太陽電池本体に蓄電機能を備えさせることができる。したがって、システム構成の煩雑さの解消することができ、効率的で信頼性の高いシステムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】結晶シリコン太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池の一例。
【図2】コンデンサを複数直列に接続されるよう構成したコンデンサ一体型太陽電池の一例。
【図3】化合物系太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池の一例。
【図4】有機薄膜太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池の一例。
【図5】電気二重層コンデンサを持つ一体型太陽電池の一例。
【図6】並列接続コンデンサを持つ一体型太陽電池を構成する一例。
【図7】貫通孔105の配置例を説明した図面。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を実施例に沿って説明する。なお、以下の実施例は本発明を実施するための一例であって、実施例で述べている詳細な材料構成、寸法、実施条件等によって、本発明の効果が何ら制限されることは無い。
【実施例1】
【0010】
本実施例では、結晶シリコン太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池100について説明する。図1は、本実施例である結晶シリコン太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池の構成図の一例である。本実施例によるとコンデンサ一体型太陽電池100は電極部101、光受光部102、金属電極部103、多孔質酸化膜104、貫通孔105、誘電体106、コンデンサ電極107から構成されている。
【0011】
本実施例では電極部101、光受光部102および金属電極部103を以って太陽電池の起電力を発現することが可能である。電極部101は通常結晶シリコン太陽電池では負極側に相当し、結晶シリコン太陽電池に対してn型ドーパントとなる銀ペーストなどを焼結して構成され、銀ペーストに限らず焼結してドーパントとなる材料が広く適用できる。光受光部102は本実施例ではドーピングされたシリコンウェハに相当し、一般的な方法でドーピングされた単結晶または多結晶シリコンウェハが使用できる。ドーピングの方法は結晶シリコン太陽電池として発電できる構成であれば特に制限は無く、気相熱拡散法などが用いられる。
【0012】
金属電極部103は本実施例の場合、アルミニウムペーストなど結晶シリコンに対してp型ドーパントとなる金属材料を主に印刷によって設置し、焼結する際に結晶シリコンウェハに熱拡散によってp型ドーピングされるであれば、特に制限は無い。本実施例によれば、アルミニウムペーストを通常の結晶シリコン太陽電池と同様の方法で設置すると、既にアルミニウムの自然酸化膜が形成されて、コンデンサの容量を増大させるべく、表面積を増やす役割をする多孔質酸化膜104と同様の役割を果たすが、多孔質酸化膜の比表面積が不足しているためにコンデンサ容量が十分に得られない。したがって、金属電極部103を通常の方法で設置後、陽極酸化法などによって多孔質形状に加工した金属酸化膜を形成する。多孔質酸化膜の形成方法は先に示した陽極酸化法以外にも幾何学パターニング、化学エッチングなどの方法があるが、これら方法に特に制限は無い。比表面積は電解コンデンサの一般的な容量を満たす数百〜数万程度であることが求められる。
太陽電池部分であるフォトダイオードとコンデンサ部分を並列に接続するために貫通孔105が設置される。貫通孔105はボール盤などを用いた機械的方法で設置できるが、精度やバリの問題もあるため、レーザを用いた形成法がより適切である。レーザ源は炭酸レーザや各種エキシマレーザなど高出力型が適当であり、波長と出力を制御することによって、貫通範囲を金属電極部103までに選択貫通させることが可能である。貫通孔105内部には電極部101と金属電極部103とを接続させる導電物質が注入されるが、電極部101で用いた材質と同じ銀ペーストなど、導電性を有する材料であれば問題なく機能する。
【0013】
貫通孔105は太陽電池で発電した電荷をコンデンサに接続するバイパスであるため、十分に低抵抗な電気接続が必要であるが、配線部分は光が遮断されるため、光受光部における太陽光が照射される面に対する貫通孔の占有面積は0.1%以上10%以下が求められる。貫通孔の面積が0.1%以下であれば十分な許容電流をコンデンサへ流すことができず、また当該面積が10%以上では、光受光面の遮光面積が増大し、太陽電池の発電量が減少してしまう。
図7に貫通孔の投影図の一例を示す。たとえば電極部101に沿ったパターニングや、受光に影響しない部分でパターニングすることなどがあげられるが、図6のパターンに制限されるものではない。図7の場合、反射防止膜108下の光受光部102における太陽光が照射される面に対し、貫通孔105の占める面積は、0.1%以上10%以下となるようにする。
【0014】
コンデンサ一体型太陽電池100のコンデンサ部分の蓄電機能を付与するために誘電体106が多孔質酸化膜104とコンデンサ電極107に接して設置される。誘電体106が存在しなくても電解コンデンサとして機能するが、金属電極部103とコンデンサ電極107が短絡することを防止する機能を付与できるため、設置することが望ましい。膜厚はごく薄くてよいが、10〜100nmが条件を満たすために望ましい。誘電体の材質に特に制限は無いがPEDOT−PSSなどの固体電解質などが望ましい。
【0015】
コンデンサ一体型太陽電池100のコンデンサ部分の電極としてコンデンサ電極107が設置される。コンデンサ電極107はアルミニウムなどの種々の電極によって構成され、コンデンサの機能を満たす限り制限は無い。
【0016】
結晶シリコン太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池の場合、結晶シリコン太陽電池に一般的に設けられている反射防止膜108を設けても何ら問題は無い。その際、貫通孔105は、反射防止膜108にも形成され、反射防止膜上の電極部101導通させる。反射防止膜は窒化シリコン薄膜などが用いられ、化学体積法(Chemical Vaper deposition,CVD)などの方法によって設置することができる。
【0017】
以上の構成によって、結晶シリコン太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池を構成することが可能である。
【0018】
コンデンサの容量をさらに増大させるべく、図2に示すように、104,106,107の構成をさらに追加し、コンデンサを複数直列接続にしてもよい。この場合、二つのコンデンサの電極を担うコンデンサ電極107−2は、不織布などのメッシュ状の導電性物質を用いることが望ましい。
【0019】
本実施例により、太陽電池によって発電した電力を、当該太陽電池と一体化した金属電極部から構成されるコンデンサによって蓄電することが可能となる。したがって、太陽電池とコンデンサによるシステムをコンパクトに構成することができる。さらに、蓄電機能がコンデンサであるため、従来不可欠であった保護回路が不要となる等、システムの接続の煩雑さを解消することができる。また、太陽電池とコンデンサを接続するための配線を有しないため、駆動信頼性を高める効果もある。
【実施例2】
【0020】
実施例2では化合物系太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池200について説明する。 図3は本実施例である化合物系太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池の構成図である。図3に示すコンデンサ一体型太陽電池200の場合、実施例1で示した結晶シリコン太陽電池と比較して、薄膜太陽電池であるため軽量化が可能であり、製造方法の工夫によってフレキシブル化も可能である。また、金属電極部103を構成する金属基板113にバルク金属を用いることができるので、内部抵抗の低減が期待できる。本実施例では実施例1と明らかに重複する場合は適宜省略して詳細説明する。
【0021】
実施例2の光受光部102中の化合物系太陽電池は銅、インジウム、ガリウム、セレンからなる化合物半導体層(以下CIGS太陽電池層)109を用いる。CIGS太陽電池は高効率、製膜容易な太陽電池であり、本発明にも優れた効果を発揮する。
【0022】
実施例2のコンデンサ一体型太陽電池を作製する場合は、金属電極部103と多孔質酸化膜104、誘電体106およびコンデンサ電極107をまず作製し、その基板を出発として光受光部102および電極部101を順に製膜する。以下、作製手順に従って説明する。
【0023】
金属電極部103にはCIGS太陽電池として適用可能な金属基板113が必要であり、一例としてアルミニウムやステンレス基板があげられる。この金属基板113の片面にモリブデン薄膜112をスパッタリング等の方法により、厚さ100〜500nm製膜する。金属基板113の他方面には多孔質酸化膜104を陽極酸化法などによって設置する。多孔質酸化膜の必要条件は実施例1と同様である。
【0024】
このようにして金属電極部103、多孔質酸化膜104、誘電体106およびコンデンサ電極107を含むコンデンサ機能を有する金属基板を得ることができる。この金属基板に対して、光受光部102を形成する。CIGS太陽電池層109は気相セレン化、固相セレン化、三段階法など既存の方法によって作製することができる。CIGS化合物半導体層109に接する形で接合界面を形成するバッファ層110を製膜する。バッファ層110は溶液成長法(Chemical Bath Deposition,CBD法)などの既存の方法で10〜100nm程度の薄膜を作製することができる。このバッファ層に接する形でノンドープ酸化亜鉛111をスパッタリングやCVD法などの手段で製膜する。ノンドープ酸化亜鉛111は太陽電池部分の短絡防止と太陽電池の性能改善に寄与する。電極部101には透明電極の機能を有する酸化物が用いられ、一例としてITO(スズドープの酸化インジウム)、ZnO(ノンドープ酸化亜鉛)、BZO(ほう素ドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)などが適用可能である。本実施例に適用する場合、当該バッファ層はn型半導体としての役割を担う。
【0025】
このような手順で作製された化合物系太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池200の太陽電池部分で発電した電力をコンデンサ部分に蓄電するために貫通孔105が作製される。貫通孔105の作製方法と貫通孔105に充填される導電材料は実施例1と同様に形成される。
【実施例3】
【0026】
実施例3では有機薄膜太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池300について説明する。図4に示した有機薄膜太陽電池を有するコンデンサ一体型太陽電池300は窓電極側から連続して作製可能であるから、製造コストの低減の観点から実施例1および実施例2と比較して優位性がある。また、有機薄膜太陽電池として構成することにより、実施例1、2と比較して、膜厚を一層薄くすることができるため、よりコンパクトでシステム体積の小さいコンデンサ一体型太陽電池を形成することが可能となる。尚、実施例3を構成する項目のうち、実施例1または実施例2と同様の必要条件で効果を満たせる場合については適宜説明を省略する。
【0027】
有機薄膜太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池300の作製方法は電極部101と光受光部102までを構成した部分と、金属電極部103、多孔質酸化膜104、誘電体106およびコンデンサ電極107を有するコンデンサ部分を別々に用意し、両者をラミネートで密着する方法で作製する。両者を密着後、貫通孔105を施し、有機薄膜太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池300が完成する。以下詳細に説明する。
【0028】
電極部101はコンデンサ一体型太陽電池300の太陽電池部分を保持するために必要な透明基板114と透明電極115によって構成されている。透明基板114はガラス基板やPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)をはじめとする透明樹脂基板などを用いることができ、光受光を可能とするための透明性があれば特に制限は無い。透明基板114は光受光を可能とする導電性があれば特に制限は無く、一例としてITO(スズドープの酸化インジウム)、ZnO(ノンドープ酸化亜鉛)、BZO(ほう素ドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)などの金属酸化物をスパッタリング、CVD法などの既存の方法によって作製可能である。
【0029】
光受光部102には正孔輸送層116、有機光受光部117によって構成されている。正孔輸送層116は透明電極115に接して、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PEDOT−PSS)混合分散液をスピンコートなど既存の方法で塗布することによって、10〜100nmの薄膜を形成できる。有機光受光部117はバルクヘテロ接合型と呼ばれるp型有機半導体とn型有機半導体がそれぞれ薄膜バルク内部で接合状態を形成している。p型半導体は一般に共役高分子が用いられ、たとえばポリ−3ヘキシルチオフェンなどが適用される。n型有機半導体はフラーレン誘導体が一般的に利用でき、代表例としてメタノフラーレンであるC61−PCBM([6,6]−Phenyl−C61−Butyric Acid Methyl Ester)があげられる。p型有機半導体とn型有機半導体を適切な溶媒に混合溶解し、正孔輸送層116に接する形でスピンコート等の既存の方法によって塗布形成することができる。
【0030】
また、有機光受光部117は低分子化合物の蒸着によっても形成できる。たとえば、正孔輸送層116に接する形でまずフタロシアニン誘導体を蒸着し、ついでフタロシアニン誘導体とフラーレン誘導体とを共蒸着し、さらにフラーレン誘導体を共蒸着することによっても有機光受光部117を形成可能である。
【0031】
コンデンサ機能を有する金属電極部103、多孔質酸化膜104、誘電体106およびコンデンサ電極107は以下のように形成する。金属電極部103はアルミニウム等の金属電極を適宜用いることができ、これに多孔質酸化膜104、誘電体106およびコンデンサ電極107を実施例1および実施例2と同様の材料および条件で作製する。金属電極部103と電極部101および光受光部102を含む太陽電池部分とをラミネートにより密着させるために、金属電極部の片面に上記バルクヘテロ接合型の有機光受光部を構成する同じ材料からなる薄膜を設置する。このようにして、共役高分子同士をラミネートすることに容易に密着性を確保することが可能となる。
【0032】
太陽電池部分の性能向上のために、金属電極部に接して、電子輸送層118を設置する場合もある。電子輸送層としては、酸化チタン薄膜などを用いることができ、ゾルゲル法などの既存の方法で膜厚10nm以下で設置される。電子輸送層118を設置した場合、これに接して有機光受光層を構成する同じ材料からなる薄膜を設置したのち、ラミネートによって太陽電池部分と密着することができる。
【0033】
ラミネートで密着したのち、実施例1または実施例2と同様の条件で貫通孔105を設置し、導電物質が充填されて、有機薄膜太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池300が完成する。
【実施例4】
【0034】
実施例1から実施例3で示したコンデンサ一体型太陽電池は電解コンデンサの機能を有する。電解コンデンサは多孔質酸化膜の表面積によって電気容量を確保できるが、放電時間が短い。本発明によれば、放電時間とさらなる電気容量の増大を電気二重層コンデンサの構造によって容易に実現できる。実施例1で示した結晶シリコン太陽電池を持つコンデンサ一体型太陽電池を改良した電気二重層コンデンサを持つ一体型太陽電池400について説明する。なお、実施例1と重複する内容は適宜省略する。
【0035】
図5に電気二重層コンデンサを持つ一体型太陽電池400の断面構造図を示す。電気二重層コンデンサの構造は電極および誘電体の構造を変えることによって実現できる。電気二重層を形成するため、電解質を含む活性炭層119をスクリーン印刷などの既存の方法で設置する。電解質は耐久性の高い高分子電解質やイオン液体などが適当であるが、特に制限は無い。両極の活性炭層間において、電解質中のイオン種の拡散を分離するためにセパレータ120を電極間に設置される。電気二重層コンデンサによって、電気容量および放電時間の改善が可能となる。
【実施例5】
【0036】
実施例5はコンデンサの容量を増大させるため、一体型の構造を持ちながら、コンデンサ部分を2つ以上並列に接続した並列接続コンデンサを持つ一体型太陽電池500について図6を用いて説明する。なお、図5は実施例1に示した結晶シリコン太陽電池を持つコンデンサ一体型太陽電池を改良した構造であり、実施例1との重複部分は適宜省略する。
【0037】
図6に示すように、第一コンデンサ121と第二コンデンサ122は直列に接続され、直列コンデンサ部124を形成している。さらに、直列コンデンサ部124と第三コンデンサ123は並列に接続され、並列コンデンサ部125を形成している。
このように2つ以上のコンデンサ構造を並列に接続するため、金属電極部103がコンデンサに内蔵されている部分については両面に多孔質酸化膜104が設置されており、金属電極部103とコンデンサ電極107が交互に設置され、金属電極部103のみ貫通孔105で接続された構造を有しており、充填された導電物質によって、電極部101と二つの電極部103と接続させている。この構造によって、コンデンサ部分は並列に接続され、電気容量の合成容量は個別のコンデンサ部分の総和であることから、システム体積の小型化を維持して、電気容量の増大が可能である。
また、本実施例のような並列接続の場合、図2のように直列に接続された場合と比較して、放電時の時定数を下げることができ、放電速度を速めることができる。
【符号の説明】
【0038】
100 結晶シリコン太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池
101 電極部
102 光受光部
103 金属電極部
104 多孔質酸化膜
105 貫通孔
106 誘電体
107 コンデンサ電極
107−2 コンデンサ電極
108 反射防止膜
109 化合物半導体層(CIGS太陽電池層)
110 バッファ層
111 ノンドープ酸化亜鉛
112 モリブデン薄膜
113 金属基板
114 透明基板
115 透明電極
116 正孔輸送層
117 有機光受光部
118 電子輸送層
119 活性炭層
120 セパレータ
121 第一コンデンサ
122 第二コンデンサ
123 第三コンデンサ
124 直列コンデンサ部
125 並列コンデンサ部
200 化合物系太陽電池を光受光部とするコンデンサ一体型太陽電池
300 有機薄膜太陽電池を光受光部に持つコンデンサ一体型太陽電池
400 電気二重層コンデンサを持つ一体型太陽電池
500 並列接続コンデンサを持つ一体型太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電極部と第二の電極部との間に形成された光受光部と、
前記第二の電極部と第三の電極部とを有するコンデンサ部と、
電極間を接続させる導電物質と、
を有し、
前記光受光部は、
前記第一の電極部と接する面から前記第二の電極部と接する面までを貫通させる貫通孔と、当該貫通孔に充填される導電物質とを有しており、
当該導電物質を介して前記第一の電極部と前記第二の電極部とが接続されることを特徴とするコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項2】
前記コンデンサ一体型太陽電池は、
前記光受光部から取得された電力を前記コンデンサ部に蓄電させることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項3】
前記第二の電極部は、
前記第三の電極部と対向する面に多孔質酸化膜を有することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項4】
前記コンデンサ部は、
前記第二の電極部と前記第三の電極部との間に誘電体を有することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項5】
前記貫通孔は、
当該貫通孔の投影面積が、前記光受光部において光が照射される面積に対して0.1%以上10%以下となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項6】
前記コンデンサ一体型太陽電池は、
前記第一の電極部と前記受光部との間に前記光受光部に照射された光の反射を防止する反射防止膜をさらに有し、
前記反射防止膜に前記貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項7】
前記光受光部は、結晶シリコンによって形成されていることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項8】
前記光受光部は、p型半導体であって、
前記光受光部と前記第一の電極部との間に、n型半導体によって形成されたバッファ層を有することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項9】
光受光部は有機物質であって、
前記コンデンサ一体型太陽電池は、
前記光受光部と前記第一の電極部との間に形成される正孔輸送層と、
前記光受光部と前記第二の電極部との間に形成される電子輸送層と、
を有することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項10】
前記コンデンサ一体型太陽電池は、
前記第二の電極部と前記第三の電極部との間に、電解質を有する活性炭層と、当該電解質を分離させるセパレータとを有することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項11】
前記コンデンサ一体型太陽電池は、
前記第三の電極部と前記第四の電極部とを有する第二のコンデンサ部をさらに有することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ一体型太陽電池。
【請求項12】
前記コンデンサ一体型太陽電池は、
前記第四の電極部と前記第五の電極部とを有する第三のコンデンサ部を有し、
前記導電物質は、前記第一の電極部と、前記第二の電極部と、前記第四の電極部とを接続させることを特徴とする請求項11記載のコンデンサ一体型太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−227305(P2012−227305A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92624(P2011−92624)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】