説明

蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造

【課題】蓄電池搭載機器の蓄電池の充電と交換の作業を容易する。
【解決手段】蓄電池搭載機器14から取り出した蓄電池を収納する蓄電池収納棚20と、その内部で蓄電池と電気接続する接続端子22と、自家発電電源装置62の出力する電力を蓄電池に充電する第1充電回路24と、宅内配線26から供給される電力を蓄電池に充電する第2充電回路28と、蓄電池から宅内配線26に向けて電力を出力する放電回路30と、第1充電回路24と第2充電回路28と放電回路30と蓄電池の間の相互接続を切り替える切り替えスイッチ32とを備える。電池移動機構を設け、蓄電池には、同一機能を持つ2組以上の接続端子22a、22bを、それぞれ向きの異なる面に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の充電と交換を容易にできる蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置や風力発電装置は、再生可能エネルギーによる電源装置として広く実用化されている。また、クリーンなエネルギーを利用した燃料電池も、次世代の自家発電電源装置として実用化が図られている。
これらの自家発電電源装置により供給される電力は、宅内機器により消費されるとともに、余剰分が蓄電池に蓄積される。一方、電気自動車等の蓄電池搭載機器の利用頻度も高まり、一般家庭等の建物に蓄電池の充電端子を設置するための技術が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−200405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
例えば、電気自動車への充電は、戸外では雨天のときに対応できない。防犯上と安全上の見地から、所有者が在宅時に充電を行うことが好ましい。また、電気自動車に電気コードを接続して充電をすると充電に長時間を要する。上記の特許文献には、こうした問題を解決するために、電気自動車の蓄電池を外して住宅の充電装置に装着して充電をするとともに、予め充電をしておいた蓄電池に交換するといった技術が記載されている。
上記の課題を解決するために、本発明は、蓄電池搭載機器の蓄電池の充電と交換を容易にできる蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
建物の壁面に設けられ、蓄電池搭載機器から取り出した蓄電池を収納する蓄電池収納棚と、前記蓄電池収納棚の内部で、前記収納された蓄電池と電気接続する接続端子と、前記接続端子に電気接続され、前記建物に備えられた自家発電電源装置の出力する電力を前記蓄電池に充電する第1充電回路と、前記接続端子に電気接続され、前記建物の宅内配線から供給される電力を前記蓄電池に充電する第2充電回路と、前記接続端子に電気接続され、前記蓄電池から前記宅内配線に向けて電力を出力する放電回路と、前記第1充電回路を動作させて、前記第1充電回路と前記接続端子とを接続し、前記第2充電回路及び前記放電回路と前記接続端子との接続を切り離した状態と、前記第2充電回路を動作させて、前記第2充電回路と前記接続端子とを接続し、前記第1充電回路及び前記放電回路と前記接続端子との接続を切り離した状態と、前記放電回路を動作させて、前記放電回路と前記接続端子とを接続し、前記第1充電回路及び第2充電回路と前記接続端子との接続を切り離した状態とのいずれかの状態を切り替える切り替えスイッチとを備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造において、前記蓄電池搭載機器から取り出された前記蓄電池を乗せたまま前記蓄電池収納棚まで移動させ、前記蓄電池収納棚から取り出された前記蓄電池を乗せたまま前記蓄電池搭載機器まで移動させる電池移動機構を備えることを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【0007】
〈構成3〉
構成2に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造において、前記電池移動機構には、蓄電池を乗せたまま蓄電池をスライドさせて移動できるスライド面を設けたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【0008】
〈構成4〉
構成2または3に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造において、前記電池移動機構には、蓄電池を乗せたまま蓄電池の位置を昇降させる昇降機構を設けたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【0009】
〈構成5〉
構成1に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造に使用されるものであって、前記蓄電池は一対で一組の接続端子であって、全く同一機能を持つ2組以上の接続端子を、それぞれ向きの異なる面に配置したことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池。
【0010】
〈構成6〉
構成1に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造に使用されるものであって、一方の面に、蓄電池搭載機器への電気接続専用の接続端子を設け、背面にあたる面に、蓄電池収納棚への電気接続専用の端子を設けたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池。
【0011】
〈構成7〉
構成6に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造に使用されるものであって、構造も形状も全く同一の前記接続端子を、蓄電池16の互いに背面にあたる面に配置し、両端子の中間を通る面に対して対称の構造をしていることを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池。
【発明の効果】
【0012】
〈構成1の効果〉
建物の壁面に蓄電池搭載機器から取り出した蓄電池を収納できる蓄電池収納棚が設けられ、ここに蓄電池を収納した状態で蓄電池を充電しあるいは蓄電池から放電させることができる。切り替えスイッチにより蓄電池を充電する状態と蓄電池の電力を利用する状態を自由に切り替えられる。建物の内部で充放電に使用されている蓄電池と電気自動車等の蓄電池を共用できる。
〈構成2の効果〉
比較的重量のある蓄電池を交換時に手軽に運搬することができる。
〈構成3の効果〉
電池移動機構の上面で蓄電池を簡単に前後に移動でき、蓄電池を乗せたり降ろしたりする作業が容易になる。
〈構成4の効果〉
電池移動機構の上面で蓄電池を簡単に上下に移動でき、蓄電池を乗せたり降ろしたりする作業が容易になる。
〈構成5の効果〉
同一機能を持つ接続端子を、それぞれ向きの異なる面に配置すれば、蓄電池を乗せた電池移動機構を大きく回さなくても平行移動するだけで、蓄電池搭載機器や蓄電池収納棚に蓄電池を簡単に装着できる。
〈構成6の効果〉
構成5と同様に、蓄電池を乗せた電池移動機構を一周回さなくても運搬できる。
〈構成7の効果〉
どこに装着する場合でも、全く向きを気にせず、きわめてとり扱いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造を示す斜視図である。
【図2】蓄電池充放電構造の主要部縦断面図である。
【図3】電池移動機構の斜視図である。
【図4】電池移動機構の主要部拡大側面図である。
【図5】実施例に使用する蓄電池の斜視図である。
【図6】実施例2の電池移動機構の斜視図である。
【図7】接続端子構造の詳細を示す蓄電池等の平面図である。
【図8】図2で説明した回路基板の具体的な結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は実施例1の蓄電池搭載機器14の蓄電池充放電構造10を示す斜視図である。図2は、蓄電池充放電構造10の主要部縦断面図である。
図に示した蓄電池充放電構造10は、建物の壁面12付近に設けられる。この建物の壁面12には、蓄電池収納棚20が固定されている。この図の例では、蓄電池搭載機器14は電気自動車である。電気自動車には、モーターを駆動するための蓄電池16が搭載されている。
【0016】
蓄電池収納棚20は、蓄電池搭載機器14から取り出した蓄電池16を収納するための複数の棚を備えている。蓄電池収納棚20には、例えば、電気自動車のみならず、電動自転車その他の各種の蓄電池搭載機器14から取り出した蓄電池16を収納できる。蓄電池収納棚20の内部には、収納された蓄電池16に充電をするための接続端子23が設けられている。この接続端子23は蓄電池16の接続端子22に電気接続される。
【0017】
図2に示すように、取っ手18を掴んで蓄電池16を蓄電池収納棚20から抜き差しすると、接続端子23と接続端子22とを着脱できる。この蓄電池16を充電するために、蓄電池収納棚20の内部に充電用の回路を搭載した回路基板21が設けられている。この説明は後で図8を用いて行う。なお、図1において、蓄電池収納棚20には扉19が設けられ、施錠が可能である。従って、蓄電池収納棚20は建物の外壁に取り付けても構わない。また、図2に示したように、この実施例では、シャッター13で囲まれたインナーガレージの壁に、蓄電池収納棚20を埋め込んでいる。
【0018】
図1と図2に示すように、蓄電池搭載機器14に搭載された蓄電池16を充電するために、蓄電池16を取り外して蓄電池収納棚20に装着する。充電を終了すると蓄電池収納棚20から蓄電池搭載機器14に蓄電池16を載せ替える。蓄電池16は比較的重量物である。そこで、この実施例では、電池移動機構34を使用する。電池移動機構34は蓄電池16を乗せるためのスライド面36と、電池移動機構34を移動させるための車輪41と、スライド面36を昇降する昇降機構40とを備える。
【0019】
図3は、電池移動機構34の斜視図である。図4は、その主要部拡大側面図である。
電池移動機構34のスライド面36は、その上面にローラー38を設けている。蓄電池16は、ローラー38の上に引き出される。ローラー38が矢印Bの方向に自由に回転するから、蓄電池16は矢印A方向に自在に移動する。車輪41により大きく電池移動機構34を移動させた後に、昇降機構40で蓄電池16の高さを調節する。その後蓄電池16をスライド面36上で矢印A方向に移動させて、蓄電池16を蓄電池収納棚20に収納したり、蓄電池搭載機器14に装着したりする。
【0020】
図5は、上記の実施例に使用する蓄電池の斜視図である。
この実施例では、図のように、蓄電池16のそれぞれ向きの異なる反対側の面に、接続端子22a、22bを設けた。これらの接続端子は、いずれも一対で一組のもので、全く同一機能を持つ。即ち、どちらを電気接続に使用しても充放電ができる。
【0021】
2組以上の接続端子22を、それぞれ向きの異なるどの面に配置しても構わない。また、これらの接続端子は、同一の電気接続機能を持てばよく、サイズや端子形状が異なるものでも構わない。同一の機能を持たせるための内部結線は後で図8を用いて説明する。
【0022】
同一機能を持つ接続端子22a、22bを、それぞれ図5のように向きの異なる面に配置する。こうすれば、蓄電池16を乗せた電池移動機構34を大きく回さなくても平行移動するだけで、蓄電池搭載機器14や蓄電池収納棚20に蓄電池16を簡単に装着できる。また、一方の面に蓄電池搭載機器14への電気接続専用の接続端子を設け、背面にあたる面に蓄電池収納棚20への電気接続専用の端子を設けてもよい。これによっても、蓄電池16を乗せた電池移動機構34を大きく回さなくてよいという効果が得られる。
【0023】
図1〜図4で説明した電池移動機構34は、蓄電池搭載機器14から取り出された蓄電池16を乗せたまま蓄電池収納棚20まで移動させることができる。また、蓄電池収納棚20から取り出された蓄電池16を乗せたまま蓄電池搭載機器14まで移動させることができる。電池移動機構34と蓄電池収納棚20とが若干離れていても構わない。
【0024】
さらに、蓄電池16を乗せたまま一方向にスライドさせて移動できるスライド面36を設けたので、例えば、接続端子22aを蓄電池収納棚20の接続端子23に接続し、接続端子22bを蓄電池搭載機器14の内部の図示しない接続端子に接続するように操作すれば、蓄電池16を平行移動させるだけでよい。重量のある蓄電池16を移動させながら回転させるよりも安全性が高まるという効果がある。
【実施例2】
【0025】
図6は、実施例2の電池移動機構の斜視図である。
実施例1のように、一般の台車と同様の自由に移動できる構造は、駐車場と蓄電池収納棚20との間が離れている場合に有効である。一方、蓄電池収納棚20は、建物の外壁やインナーガレージの内壁にも取り付けることができる。従って、電気自動車等を接近して駐車させることも可能である。この場合には、図6の電池移動機構が適する。
【0026】
この実施例では、自在アーム44が蓄電池収納棚20と同様に建物の壁面12に固定されている。自在アーム44の横腕46は、一端に設けた回転軸を建物の壁面12に固定して、矢印C方向に自由にその他端を揺動させる。また、横腕46の他端には、シリンダ48が固定されている。シリンダ48は、上面にスライド面36を固定している。シリンダ48はスライド面36を矢印D方向に昇降させる。また、スライド面36を矢印E方向に回転可能に支持する。
【0027】
昇降機構は、手動でもよいし、油圧や空気圧で上下するものでもよい。また、例えば、スライド面36を小さく折り畳みできれば、自在アーム44全体を建物の壁面12に押しつけて、スペースを取らない構造にすることができる。また、実施例1の場合も実施例2の場合も、スライド面36の上面に保護カバー42を被せることにより、運搬中の雨からの保護や、接続端子に手が触れない安全面の保護が可能である。
【0028】
図7は、接続端子構造の詳細を示す蓄電池等の平面図である。
図の例では、構造も形状も全く同一の接続端子を、蓄電池16の両対向面に互いに背を向けるように配置した例を示す。蓄電池16は平面図からみて左右対称の構造をしている。その左右両面に、正極と負極とからなる雌端子54aと雌端子54bが配置されている。一方、蓄電池収納棚20側には、受け端子50aが設けられている。この受け端子50aには、雄端子52aが設けられている。
【0029】
また、蓄電池搭載機器14側には、受け端子50bが設けられている。受け端子50bには、雄端子52bが設けられている。これにより、蓄電池16が蓄電池収納棚20に収納されたときには、雄端子52aと雌端子54aとが電気接続されて蓄電池16を充電する。また、蓄電池搭載機器14に搭載されたときには、雄端子52bと雌端子54bとが電気接続されてモーター等を駆動する。この実施例では構造も形状も全く同一の接続端子を蓄電池16の互いに背面にあたる面に配置し、両端子の中間を通る面Gに対して対称の構造をしているため、全く向きを気にせず、きわめてとり扱いやすいという効果がある。
【実施例3】
【0030】
図8は図2で説明した回路基板21の具体的な結線図である。
蓄電池収納棚20に設ける回路基板21は、図8のように、第1充電回路24と第2充電回路28と放電回路30と切り替えスイッチ32を備えている。切り替えスイッチ32に、接続端子23が設けられ、蓄電池16の接続端子22aが接続される。
【0031】
第1充電回路24は、建物に備えられた自家発電電源装置62の出力する電力を蓄電池に充電する回路である。第2充電回路28は、建物の宅内配線26から供給される電力を蓄電池に充電する回路である。放電回路30は、蓄電池から宅内配線26に向けて電力を出力する回路である。いずれも、切り替えスイッチ32を介して蓄電池16の接続端子22aに接続されている。
【0032】
この回路は、切り替えスイッチ32を切り替えることにより、3通りの状態になる。第1の状態は、第1充電回路24を動作させて、第1充電回路24と接続端子22とを接続し、第2充電回路28及び放電回路30と接続端子22との接続を切り離した状態である。自家発電電源装置62で蓄電池16を充電する状態である。
【0033】
第2の状態は、第2充電回路28を動作させて、第2充電回路28と接続端子22とを接続し、第1充電回路24及び放電回路30と接続端子22との接続を切り離した状態である。蓄電池16を送配電線路56から宅内配線26を通じて充電する状態である。
【0034】
第3の状態は、放電回路30を動作させて、放電回路30と接続端子22とを接続し、第1充電回路24及び第2充電回路28と接続端子22との接続を切り離した状態である。この実施例では、蓄電池搭載機器14の蓄電池16を充電するだけでなく、蓄電池搭載機器14の電力を宅内配線26側で利用することもできる。以下、上記のような回路各部のさらに具体的な構成の説明をする。
【0035】
[電源]
一般の住宅等では、送配電線路56から供給される電源や自家発電電源装置62を利用する。自家発電電源装置62には、様々なものがある。太陽光発電装置は、太陽エネルギを電気エネルギに変換して出力するである。風力発電装置は、風力エネルギを電気エネルギに変換して出力する装置である。
【0036】
燃料電池は、水素等を燃料として発電する装置である。天然ガスを利用するものが実用化されている。その他、熱エネルギや水力波力を電気エネルギに変換して出力する電源装置も、根はにおいて、自家発電電源装置62に含めることができる。
【0037】
[蓄電池搭載機器]
蓄電池搭載機器14には、電気自動車、電動式のオートバイやスクーター、電動アシスト式の自転車等がある。電気自動車には、電気モーターのみで走行するものやいわゆるハイブリッド式のものがある。その他、電動式の車椅子や農機、電動式の産業機器等も、蓄電池を搭載している。これらの蓄電池は、いずれも、上記の蓄電池充放電構造を利用することができる。
【0038】
[送配電線路と宅内配線]
送配電線路56は、電力会社から商用電源を供給するための線路である。宅内配線26は、送配電線路56と分電盤58等を介して接続される。宅内配線26は、送配電線路56と分電盤58等の受電設備により隔てられた配電設備で、住宅やマンション等の住人が商用電源を利用するための設備である。分電盤58は、宅内配電用の分岐回路やブレーカー等を内蔵した機器である。
【0039】
[蓄電池]
蓄電池は充放電により電力を蓄積したり放出したりする機能を持つ2次電池である。自家用の蓄電池は、送配電線路56から供給される電力や自家発電電源装置62から供給される電力を蓄積する。本発明では、蓄電池搭載機器14の蓄電池16を充電する機構を設けるとともに、その蓄電池を建物への備え付け用蓄電池と同様に使用できる。即ち、建物の内部で充放電に使用されている蓄電池と、電気自動車等の蓄電池を共用できるから、例えば、蓄電池搭載機器14用としては蓄電容量が減少して性能が低下したものでも、建物への備え付け用に転用が可能になる。
【0040】
なお、蓄電池搭載機器14の蓄電池16は、例えば、図8に示すように、蓄電池モジュール66と充放電制御回路64を一体化して、接続端子22を設けたものである。この図の実施例では、2組の接続端子、即ち、接続端子22aと接続端子22bとを設けている。両者は電気的に等価に接続されている。充放電制御回路64は過充電や過放電あるいは短絡時の過電流を防止するための保護回路である。
【0041】
[回路の具体例]
第1充電回路24は、例えば、太陽光発電装置の出力する直流電圧を、蓄電池の充電に適当な電圧に変換するDC−DCコンバータと、充電電流を制御する電流制御回路と、充電時間を制御するタイマー等を備える。第2充電制御回路64は、例えば、AC100ボルトの宅内配線26に接続して、蓄電池の充電に適当な直流電圧に変換するAC−DCコンバータと、充電電流を制御する電流制御回路と、充電時間を制御するタイマー等を備える。放電回路30は、蓄電池に接続して宅内配線26用の交流電圧を出力するDC−ACコンバータと過電流保護回路等を備える。
【0042】
以上のように、建物の壁面12に蓄電池搭載機器14から取り出した蓄電池を収納できる蓄電池収納棚20が設けられていれば、蓄電池搭載機器14の蓄電池を簡単に建物内部の充電機構に接続することができる。さらに、切り替えスイッチ32により蓄電池を充電する状態と蓄電池の電力を利用する状態を自由に切り替えられるので、建物の内部で充放電に使用されている蓄電池と電気自動車等の蓄電池を共用することができる。
【0043】
特に、蓄電池と蓄電池搭載機器14の蓄電池を全く同一規格のものに使用すれば、蓄電池搭載機器14に搭載された複数の蓄電池16を、充電済みの蓄電池収納棚20中の蓄電池と交換するだけで、すぐに蓄電池搭載機器14を使用できるという効果がある。蓄電池搭載機器14に複数の蓄電池16が搭載されていれば、その一部だけ取り出して交換することもでき、充電作業のための自由度が高い。なお、既存の交流200ボルトのコンセントによる充電が可能な環境も設備してよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0044】
10 蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造
12 建物の壁面
13 シャッター
14 蓄電池搭載機器
16 蓄電池
18 取っ手
19 扉
20 蓄電池収納棚
21 回路基板
22 接続端子
23 接続端子
24 第1充電回路
26 宅内配線
28 第2充電回路
30 放電回路
32 切り替えスイッチ
34 電池移動機構
36 スライド面
38 ローラー
40 昇降機構
41 車輪
42 保護カバー
44 自在アーム
46 横腕
48 シリンダ
50 受け端子
52 雄端子
54 雌端子
56 送配電線路
58 分電盤
62 自家発電電源装置
64 充放電制御回路
66 蓄電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面に設けられ、蓄電池搭載機器から取り出した蓄電池を収納する蓄電池収納棚と、
前記蓄電池収納棚の内部で、前記収納された蓄電池と電気接続する接続端子と、
前記接続端子に電気接続され、前記建物に備えられた自家発電電源装置の出力する電力を前記蓄電池に充電する第1充電回路と、
前記接続端子に電気接続され、前記建物の宅内配線から供給される電力を前記蓄電池に充電する第2充電回路と、
前記接続端子に電気接続され、前記蓄電池から前記宅内配線に向けて電力を出力する放電回路と、
前記第1充電回路を動作させて、前記第1充電回路と前記接続端子とを接続し、前記第2充電回路及び前記放電回路と前記接続端子との接続を切り離した状態と、前記第2充電回路を動作させて、前記第2充電回路と前記接続端子とを接続し、前記第1充電回路及び前記放電回路と前記接続端子との接続を切り離した状態と、前記放電回路を動作させて、前記放電回路と前記接続端子とを接続し、前記第1充電回路及び第2充電回路と前記接続端子との接続を切り離した状態とのいずれかの状態を切り替える切り替えスイッチとを備えたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造において、
前記蓄電池搭載機器から取り出された前記蓄電池を乗せたまま前記蓄電池収納棚まで移動させ、前記蓄電池収納棚から取り出された前記蓄電池を乗せたまま前記蓄電池搭載機器まで移動させる電池移動機構を備えることを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造において、
前記電池移動機構には、蓄電池を乗せたまま蓄電池をスライドさせて移動できるスライド面を設けたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造において、
前記電池移動機構には、蓄電池を乗せたまま蓄電池の位置を昇降させる昇降機構を設けたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造。
【請求項5】
請求項1に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造に使用されるものであって、
前記蓄電池は一対で一組の接続端子であって、全く同一機能を持つ2組以上の接続端子を、それぞれ向きの異なる面に配置したことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池。
【請求項6】
請求項1に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造に使用されるものであって、
一方の面に、蓄電池搭載機器への電気接続専用の接続端子を設け、背面にあたる面に、蓄電池収納棚への電気接続専用の端子を設けたことを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池。
【請求項7】
請求項6に記載の蓄電池搭載機器の蓄電池充放電構造に使用されるものであって、
構造も形状も全く同一の前記接続端子を、蓄電池16の互いに背面にあたる面に配置し、両端子の中間を通る面に対して対称の構造をしていることを特徴とする蓄電池搭載機器の蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−191701(P2012−191701A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51180(P2011−51180)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】