蓋付き容器
【課題】乳幼児等が誤って開いた蓋の上に乗ってしまった場合等でも、蓋の軸体や軸体の周辺部分が破損する事態を有効に防止し得る蓋付き容器を提供する。
【解決手段】容器2と容器2に軸支された蓋8とを備え、蓋8は、連結部8bと一対の軸体10とを有し、容器2には、軸体10が嵌合される軸受け孔12と蓋8が開かれた際に蓋8と当接して蓋8の最大開度を決定する当接部とが形成され、軸体10には、その先端部に傾斜面10aが形成され、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置し、かつ、蓋8に対して蓋8の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際に、容器2の当接部14を支点として軸体10に作用する力の作用方向に傾斜面10aが向くように軸受け孔12に嵌合されており、連結部8bは、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、弾性的に撓み変形するように構成されている蓋付き容器1。
【解決手段】容器2と容器2に軸支された蓋8とを備え、蓋8は、連結部8bと一対の軸体10とを有し、容器2には、軸体10が嵌合される軸受け孔12と蓋8が開かれた際に蓋8と当接して蓋8の最大開度を決定する当接部とが形成され、軸体10には、その先端部に傾斜面10aが形成され、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置し、かつ、蓋8に対して蓋8の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際に、容器2の当接部14を支点として軸体10に作用する力の作用方向に傾斜面10aが向くように軸受け孔12に嵌合されており、連結部8bは、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、弾性的に撓み変形するように構成されている蓋付き容器1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ウエットティシュ等の容器として好適に用いられる、被収納物が収納される内部空間及び被収納物の取出口が形成された容器と、容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口を開閉可能とする蓋と、を備えた蓋付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエットティシュ等の容器として、被収納物が収納される内部空間及び被収納物の取出口が形成された容器と、容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口を開閉可能とする蓋と、を備えた蓋付き容器が用いられている(例えば、特許文献1又は2を参照。)。
【0003】
一般に、前記蓋付き容器においては、蓋に一対の軸体が突設されるとともに、容器には前記軸体に対応する一対の軸受け孔が形成されており、前記軸体が前記軸受け孔に嵌合されている。このような構造により、蓋は容器に対して回動自在に軸支されることになり、ヒンジ機構で容器の取出口を開閉することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−262461号公報
【特許文献2】特開2008−105746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の蓋付き容器では、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合、例えば、乳幼児等が誤って開いた蓋の上に乗ってしまった場合等に、蓋の軸体に過大な荷重が作用して蓋の軸体や軸体の周辺部分が破損するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の蓋付き容器においては、蓋の軸体が容器の軸受け孔に嵌合されたままの状態で、蓋が過大な荷重を受けるため、脆弱部位である軸体や軸体の周辺部が破損に至るという知見を得た。
【0007】
そこで、本発明者は、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合には、軸受け孔から軸体が外れ、容器から蓋を脱離させる構造とすることで、軸体や軸体の周辺部の破損を防止可能であることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の蓋付き容器が提供される。
【0008】
[1] 被収納物が収納される内部空間及び前記被収納物の取出口が形成された容器と、前記容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で前記取出口を開閉可能とする蓋と、を備え、前記蓋は、蓋本体を前記容器に連結させる連結部と、前記連結部に突設された、前記ヒンジ機構を構成する一対の軸体と、を有し、前記容器には、前記軸体が回動自在に嵌合される軸受け孔と、前記蓋が開かれた際に前記蓋と当接して前記蓋の最大開度を決定する当接部と、が形成され、前記軸体には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面が形成され、前記軸体は、前記傾斜面が前記軸受け孔の開口端に位置し、かつ、前記蓋に対して前記蓋の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際に、前記容器の前記当接部を支点として前記軸体に作用する力の作用方向に前記傾斜面が向くように、前記軸受け孔に嵌合されており、前記連結部は、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、前記蓋に対して前記力が加わった際に、弾性的に撓み変形するように構成されている蓋付き容器。
【0009】
[2] 前記連結部が、前記薄板によって構成され、弾性的に撓み変形するように構成された連結板部と、前記連結板部の側縁に起立するように連設された一対の支持板部と、を有し、前記軸体が、前記支持板部に突設されている前記[1]に記載の蓋付き容器。
【0010】
[3] 前記連結部は、前記連結板部と前記支持板部とのコーナーに配置された、前記支持板部を補強する補強リブを備えている前記[2]に記載の蓋付き容器。
【0011】
[4] 前記蓋は、その裏面にキャラクターが表示されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の蓋付き容器。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蓋付き容器は、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合(例えば、乳幼児等が誤って開いた蓋の上に乗ってしまった場合等)でも、蓋の軸体や軸体の周辺部分が破損する事態を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の蓋付き容器を実施するための最良の形態について、乳幼児用払拭シートを収納するための蓋付き容器の例により具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える蓋付き容器(例えば、ウエットティシュ用蓋付き容器等)を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
[1]定義等:
「蓋付き容器」とは、図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1のように、被収納物が収納される内部空間4及び被収納物の取出口6が形成された容器2と、容器2に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口6を開閉可能とする蓋8と、を備えた容器を意味するものとする。
【0015】
[2]本発明の蓋付き容器の構成:
本発明の蓋付き容器は、図1A及び図1Bに示す蓋付き容器1のように、蓋8は、蓋本体を容器2に連結させる連結部8bと、連結部8bに突設された、ヒンジ機構を構成する一対の軸体10と、を有している。一方、容器2には、軸体10が回動自在に嵌合される軸受け孔12と、蓋8が開かれた際に蓋8と当接して蓋8の最大開度θ1を決定する当接部14と、が形成されている。また、軸体10には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面10aが形成されている。
【0016】
そして、本発明の蓋付き容器は、図2A及び図2Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置し、かつ、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、容器2の当接部14を支点として軸体10に作用する力F2の作用方向に傾斜面10aが向くように、即ち、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に押圧されるように軸受け孔12に嵌合されており、容器2の連結部8bは、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、蓋8に対して力F1が加わった際に、傾斜面10aの作用により弾性的に撓み変形するように構成されている点に特徴がある。
【0017】
本発明の蓋付き容器は、図1A及び図1Bに示すように、蓋8の開度が0°から最大開度θ1に至るまでの間(即ち、蓋8が閉まった状態から全開状態に至るまでの間)は、軸体10に対して軸体10を軸受け孔12に押圧する力は殆ど加わらない。従って、軸体10は軸受け孔12の内部に納まったままスムーズに回動し、軸受け孔12からも抜け難い状態となっている。
【0018】
一方、蓋に対して蓋の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際には、以下の機構により、軸体が軸受け孔から外れ、容器から蓋が脱離する。即ち、図2Aに示すように、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わると(力点P1)、当接部14を支点P2とするモーメントによって軸体10(作用点P3)に力F2が作用する。この力F2によって軸体10は上方に押し上げられ、軸受け孔12の開口端に押圧される。
【0019】
特に、本発明の蓋付き容器では、図1B及び図2Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置し、かつ、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、容器2の当接部14を支点P2として軸体10に作用する力F2の作用方向に傾斜面10aが向くように、即ち、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に押圧されるように軸受け孔12に嵌合されている。従って、力F2によって、軸体10の傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に強く押圧される。また、力F2は軸体10を上方へ押し上げるように作用しているから、軸体10は傾斜面10aの滑り効果によって軸受け孔12から外れ易くなる。
【0020】
そして、図2Bに示すように、軸体10の傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に強く押圧されると、傾斜面10aの作用により、連結部8bに一対の軸体10の間隔を狭めるような方向の力F3が作用する。軸体10が突設されている連結部8bは弾性材料で構成されているため、力F3によって弾性的に撓み変形し、これにより、軸体10が軸受け孔12から外れる。
【0021】
以上説明したように、図2Aに示す軸体10を上方へ押し上げる力F2と、図2Bに示す傾斜面10aの滑り効果及び連結部8bの撓み効果とが相俟って軸体10が軸受け孔12から外れ、容器2から蓋8が脱離する。
【0022】
前記のように、本発明の蓋付き容器は、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合には、軸体は軸受け孔から外れ、容器から蓋が脱離する。従って、乳幼児等が誤って開いた蓋の上に乗ってしまった場合等でも、蓋の軸体や軸体の周辺部が破損する事態を有効に防止することができる。
【0023】
[2−1]容器:
図3A〜図3Cに示すように、本発明の蓋付き容器1は、被収納物が収納される内部空間4及び被収納物の取出口6が形成された容器2を備える。
【0024】
図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、略ドーム形状を呈する容器2を備えており、その天面に取出口6が形成されている。但し、被収納物を収納し得る内部空間及び被収納物の取出口が形成されている限り、容器の形状は特に限定されない。例えば、立方体、直方体等の箱状体の天面に取出口を形成した形状等であってもよい。
【0025】
また、容器は単一の部材で形成されている必要はなく、2以上の部材によって形成されていてもよい。例えば、図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、ドーム状を呈する容器本体2aと底蓋2bの2つの部材から容器2が形成されている。容器本体2aの下端側には容器本体2aの全周に渡って爪部が形成され、底蓋2bには前記爪部に係合する凹部が形成されている。前記爪部と前記凹部の係合によって、底蓋2bが容器本体2aに対して着脱可能に取り付けられている。
【0026】
図1A及び図1Bに示すように、容器2には、蓋8の軸体10が回動自在に嵌合される軸受け孔12が形成される。この軸受け孔12に蓋8の軸体10が嵌合されることでヒンジ機構が形成され、蓋8を繰り返し開閉することが可能となる。軸受け孔12は、軸体10をスムーズに回動させるよう、その内部空間を円柱状に形成することが一般的である。
【0027】
また、図1Aに示すように、容器2には、蓋8が開かれた際に蓋8と当接して蓋8の最大開度θ1を決定する当接部14が形成されている。前記のように、蓋はヒンジ機構で回動可能に構成されているが、図4A〜図4Cに示すように、蓋8の一部が容器2の一部と当接することで蓋8の最大開度θ1が決定され、蓋8の開度が制限される。図1Aに示す蓋付き容器1では、容器2の背面側に凹部が形成され、その凹部が当接部14として機能している。蓋8は、連結部8bが容器2の当接部14に当接することで、最大開度θ1を超えて開かないように構成されている。図1Aに示す蓋付き容器1では、最大開度θ1が93°となるように構成されている。
【0028】
更に、容器は、蓋を閉じた状態でロックし、また、蓋を閉じた状態から開いた状態に跳ね上げる開閉機構を備えていてもよい。例えば、図3A及び図3Bに示す蓋付き容器1は、蓋8の正面側に爪部を有しており、容器2の正面側に形成された爪部と係合するように構成されている。蓋8の爪部と容器2の爪部とを係合させることで、蓋8を閉じた状態でロックすることができる。
【0029】
また、図3A及び図3Bに示す蓋付き容器1は、容器2の正面側にプッシュボタン16を備えている。プッシュボタン16は、側縁側に一対の軸体18が突設され、背面側には蓋8の下側に差し込まれる跳ね上げ板が連設されている。軸体18は容器2に形成された軸受け孔12に回動自在に嵌合され、プッシュボタン16は蓋8と同様のヒンジ機構で容器2に軸支されている。
【0030】
前記の構造では、蓋8が閉じた状態のときに、プッシュボタン16を押し下げると、これに連動して跳ね上げ板が蓋8を跳ね上げる。この跳ね上げによって、蓋8の爪部と容器2の爪部との係合状態が解除され、蓋8が閉じた状態から開いた状態に跳ね上げられる。
【0031】
なお、図3A及び図3Bに示す蓋付き容器1においては、蓋8と容器2の間に(具体的には、蓋8の連結部8b近傍に)、図示されないねじりコイルバネが挟みこまれている。ねじりコイルバネは、前記跳ね上げ板による蓋8の跳ね上げを補助するとともに、蓋8を開いた状態で維持する効果を奏するものである。
【0032】
なお、本発明の蓋付き容器においては、被収納物の種類は特に限定されない。但し、ティシュペーパー、ウエットティシュ、払拭シート(乳幼児用のお尻拭きシート等)をはじめとする家庭用衛生用紙を被収納物とすることが好ましい。
【0033】
[2−2]蓋:
本発明の蓋付き容器は、図3A〜図3Cに示すように、容器2に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口6を開閉可能とする蓋8を備えている。
【0034】
図3B及び図3Cに示すように、蓋8は、蓋本体8aを容器2に連結させる連結部8bと、連結部8bに突設された、ヒンジ機構を構成する一対の軸体10と、を有している。
【0035】
図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、容器2より曲率が小さいドーム形状を呈する蓋本体8aと、蓋本体8aから斜め下方向に突出する連結部8bと、連結部8bに突設された一対の軸体10を有する蓋8を備えている。但し、容器2の取出口6を開閉可能である限り、蓋本体8aの形状は特に限定されない。例えば、容器が立方体、直方体等の箱状体である場合には、その天面に、平板状の蓋本体を有する蓋を備えていてもよい。
【0036】
図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、連結部8bに突設された、ヒンジ機構を構成する一対の軸体10を有している。本発明の蓋付き容器においては、図2Cに示すように、軸体10には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面10aが形成されている。傾斜面10aの傾斜角θ2は軸体10の中心軸と直交する面に対して45〜60°の傾斜角であることが好ましい。45°未満であると、傾斜角θ2が小さすぎるために本発明の効果を得ることができない場合がある。一方、60°を超えると、傾斜角θ2が大きすぎるために蓋が意図せず外れてしまうおそれがある。
【0037】
更に、本発明の蓋付き容器では、図1A及び図1B、図2A及び図2Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置するように、軸受け孔12に嵌合されている。即ち、図1Bに示すように、傾斜面10aの一部が軸受け孔12からはみ出すように、軸受け孔12に嵌合されている。軸体10をこのような位置に嵌合させると、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、軸体10の傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に押圧される。従って、軸体10が軸受け孔12から外れ易くなり、ひいては容器2から蓋8を脱離させ易くなる。
【0038】
図1Bに示すように、連結部8bは、薄板によって構成され、蓋8に対して力F1が加わった際に、弾性的に撓み変形するように構成された連結板部と、連結板部の側縁に起立するように連設された一対の支持板部と、を有し、軸体10が、支持板部に突設されているものが好ましい。即ち、図1Bに示すように、連結部8bが断面コの字型の構造であることが好ましい。
【0039】
前記構造においては、連結板部に対して支持板部の曲げ強度が大きくなるように構成されていることが好ましい。このような構成では、支持板部が撓み難い一方で、連結板部が撓み易くなる。従って、図2A及び図2Bに示すように、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、連結板部が大きく撓み、その撓みの大きさに応じて軸体10が軸受け孔12からより一層外れ易くなる。
【0040】
支持板部の曲げ強度を大きくする構造としては、図1B及び図2Bに示すように、連結板部と支持板部とのコーナーに、支持板部を補強する補強リブ20を配置する構造が好ましい。
【0041】
例えば、図1B及び図2Bに示す蓋付き容器1は、連結板部から垂直に起立する支持板部を備えており、連結板部と支持板部とのコーナーに合わせて三角形の隅板を配置し、この隅板を補強リブ20としている。この補強リブ20は、支持板部を内側に向かって撓まないように補強して、撓みを連結板部に集中させ、連結板部をより大きく撓ませる効果を奏する。
【0042】
但し、支持板部の曲げ強度を大きくする構造は、補強リブを付設する構造に限定されるものではなく、例えば、支持板部を連結板部に比して肉厚とする構造であってもよい。
【0043】
なお、連結部を構成する「弾性材料」は、ゴムのような高弾性を有する材料である必要はなく、弾性的に撓み変形可能な材料であれば足りる。本発明においては、プラスチックの板状体を好適に用いることができる。より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂等の合成樹脂を材料とし、所望の連結部形状に成形した薄肉の成形品(厚さ1〜1.2mm程度)等を好適に用いることができる。
【0044】
蓋は、その裏面にキャラクターが表示されていることが好ましい。こうすることにより、容器の蓋を開ける度に、蓋の裏面のキャラクターが表われるため、意匠性に優れる。なお、「キャラクター」には、アニメーションの登場人物の他、文字、記号、図形、模様等を含む。「表示」は、蓋の裏面に直接印刷等されていてもよいし、キャラクターが表示されたラベルが貼着されていてもよい。例えば、乳幼児の顔写真が印刷されたラベルを貼着した形態等も含まれる。
【実施例】
【0045】
本発明の蓋付き容器について、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の蓋付き容器は、その発明特定事項を備えた蓋付き容器を全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
実施例1の蓋付き容器として、図3A〜図3Cに示すような略ドーム形状の蓋付き容器1を製造した。蓋付き容器1は、容器2と蓋8を備え、容器2は容器本体2aと底蓋2bの2つの部材によって構成されている。容器2は、底面形状が長径225mm、短径135mmの楕円形状、高さが75mmの略ドーム状とした。容器本体2aはポリプロピレン樹脂、底蓋2bはポリエチレン樹脂、蓋8はポリプロピレン樹脂及びABS樹脂により構成した。
【0047】
被収納物としては、140×188mmの乳幼児用の払拭シート(ウエットタイプのお尻拭きシート)を想定した。容器2の内部空間4には、前記払拭シートを折り畳んだ状態で70枚収納することができる。
【0048】
容器2の天面には、直径10mmφの2つの円がくびれ部を介して結合された亜鈴状の取出口6が形成されている。
【0049】
図3Cに示すように、容器2には、その背面側に凹部を形成し、その凹部内壁に内径2.9mm、深さ2mmの有底の軸受け孔を形成した。この凹部は、蓋8と当接して蓋8の最大開度を決定する当接部14としても機能する。本実施例においては、図1Aに示すように、蓋8を開いた際に、蓋8の一部が当接部14に当接し、それ以上開かないように構成した。この実施例では、蓋8の最大開度θ1を93°に設定した。
【0050】
図3B及び図3Cに示すように、蓋8は、底面側が70mmφの円形状で、高さが18mmの略ドーム状とし、その内部は中空構造とした。図1Bに示すように、連結部8bは蓋本体8aから幅40mmの板状体(連結板部)を突出させ、その両側縁に支持板部を起立させる構造とした。連結板部及び支持板部の肉厚は1mmとし、弾性的に撓み変形するように構成した。
【0051】
また、図1B及び図2Cに示すように、連結板部と支持板部とのコーナーに合わせて三角形の隅板を配置し、この隅板を補強リブ20とした。この補強リブ20は、各片が7mm、9mm、13mmの三角形状であり、肉厚は連結板部、支持板部と同じ1mmとした。蓋8は、蓋本体8a及び連結部8b(連結板部、支持板部、軸体10、補強リブ20を含む。)をポリプロピレン樹脂による一体成形で製造した。なお、蓋本体8aも肉厚は1mmとした。
【0052】
図1B及び図2Cに示すように、連結部8bの支持板部には一対の軸体10を突設した。軸体10は、長さは1mm、直径2mmφの円柱状で、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面10aを形成した。傾斜角θ2は、45°とした。
【0053】
図1Aに示すように、蓋8が全開されて最大開度θ1(93°)をとったとき、軸体10の傾斜面10aが同じく93°の方向を向くように傾斜面10aを形成した。そして、図1Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置するように、軸受け孔12に嵌合させた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の蓋付き容器は、ティシュペーパー、ウエットティシュ、払拭シート(乳幼児用のお尻拭きシート等)をはじめとする家庭用衛生用紙を被収納物とする蓋付き容器、特に密閉性を要するウエットタイプの衛生用紙を被収納物とする蓋付き容器として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明の蓋付き容器の一の実施形態を示す図であり、蓋を開いた状態を模式的に示す概略側面図である。
【図1B】図1Aに示す蓋付き容器の軸体近傍を拡大して模式的に示す概略正面図である。
【図2A】本発明の蓋付き容器の使用状態を示す図であり、蓋を開いた状態の軸体近傍を拡大して模式的に示す概略側面図である。
【図2B】図2Aに示す蓋付き容器の軸体近傍を拡大して模式的に示す概略正面図である。
【図2C】図2Aに示す蓋付き容器の軸体近傍を拡大して模式的に示す別の概略正面図である。
【図3A】本発明の蓋付き容器の一の実施形態を模式的に示す概略正面図である。
【図3B】図3Aに示す蓋付き容器のA−A’断面を模式的に示す概略断面図である。
【図3C】図3Aに示す蓋付き容器を模式的に示す概略背面図である。
【図4A】図3Aに示す蓋付き容器の蓋を開いた状態を模式的に示す概略正面図である。
【図4B】図4Aに示す蓋付き容器のA−A’断面を模式的に示す概略断面図である。
【図4C】図4Aに示す蓋付き容器を模式的に示す概略背面図である。
【符号の説明】
【0056】
1:蓋付き容器、2:容器、2a:容器本体、2b:底蓋、4:内部空間、6:取出口、8:蓋、8a:蓋本体、8b:連結部、10:軸体、10a:傾斜面、12:軸受け孔、14:当接部、16:プッシュボタン、18:軸体、20:補強リブ、θ1:最大開度、θ2:傾斜角、F1,F2,F3:力、P1:力点、P2:支点、P3:作用点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ウエットティシュ等の容器として好適に用いられる、被収納物が収納される内部空間及び被収納物の取出口が形成された容器と、容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口を開閉可能とする蓋と、を備えた蓋付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエットティシュ等の容器として、被収納物が収納される内部空間及び被収納物の取出口が形成された容器と、容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口を開閉可能とする蓋と、を備えた蓋付き容器が用いられている(例えば、特許文献1又は2を参照。)。
【0003】
一般に、前記蓋付き容器においては、蓋に一対の軸体が突設されるとともに、容器には前記軸体に対応する一対の軸受け孔が形成されており、前記軸体が前記軸受け孔に嵌合されている。このような構造により、蓋は容器に対して回動自在に軸支されることになり、ヒンジ機構で容器の取出口を開閉することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−262461号公報
【特許文献2】特開2008−105746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の蓋付き容器では、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合、例えば、乳幼児等が誤って開いた蓋の上に乗ってしまった場合等に、蓋の軸体に過大な荷重が作用して蓋の軸体や軸体の周辺部分が破損するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の蓋付き容器においては、蓋の軸体が容器の軸受け孔に嵌合されたままの状態で、蓋が過大な荷重を受けるため、脆弱部位である軸体や軸体の周辺部が破損に至るという知見を得た。
【0007】
そこで、本発明者は、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合には、軸受け孔から軸体が外れ、容器から蓋を脱離させる構造とすることで、軸体や軸体の周辺部の破損を防止可能であることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の蓋付き容器が提供される。
【0008】
[1] 被収納物が収納される内部空間及び前記被収納物の取出口が形成された容器と、前記容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で前記取出口を開閉可能とする蓋と、を備え、前記蓋は、蓋本体を前記容器に連結させる連結部と、前記連結部に突設された、前記ヒンジ機構を構成する一対の軸体と、を有し、前記容器には、前記軸体が回動自在に嵌合される軸受け孔と、前記蓋が開かれた際に前記蓋と当接して前記蓋の最大開度を決定する当接部と、が形成され、前記軸体には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面が形成され、前記軸体は、前記傾斜面が前記軸受け孔の開口端に位置し、かつ、前記蓋に対して前記蓋の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際に、前記容器の前記当接部を支点として前記軸体に作用する力の作用方向に前記傾斜面が向くように、前記軸受け孔に嵌合されており、前記連結部は、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、前記蓋に対して前記力が加わった際に、弾性的に撓み変形するように構成されている蓋付き容器。
【0009】
[2] 前記連結部が、前記薄板によって構成され、弾性的に撓み変形するように構成された連結板部と、前記連結板部の側縁に起立するように連設された一対の支持板部と、を有し、前記軸体が、前記支持板部に突設されている前記[1]に記載の蓋付き容器。
【0010】
[3] 前記連結部は、前記連結板部と前記支持板部とのコーナーに配置された、前記支持板部を補強する補強リブを備えている前記[2]に記載の蓋付き容器。
【0011】
[4] 前記蓋は、その裏面にキャラクターが表示されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の蓋付き容器。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蓋付き容器は、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合(例えば、乳幼児等が誤って開いた蓋の上に乗ってしまった場合等)でも、蓋の軸体や軸体の周辺部分が破損する事態を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の蓋付き容器を実施するための最良の形態について、乳幼児用払拭シートを収納するための蓋付き容器の例により具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える蓋付き容器(例えば、ウエットティシュ用蓋付き容器等)を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
[1]定義等:
「蓋付き容器」とは、図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1のように、被収納物が収納される内部空間4及び被収納物の取出口6が形成された容器2と、容器2に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口6を開閉可能とする蓋8と、を備えた容器を意味するものとする。
【0015】
[2]本発明の蓋付き容器の構成:
本発明の蓋付き容器は、図1A及び図1Bに示す蓋付き容器1のように、蓋8は、蓋本体を容器2に連結させる連結部8bと、連結部8bに突設された、ヒンジ機構を構成する一対の軸体10と、を有している。一方、容器2には、軸体10が回動自在に嵌合される軸受け孔12と、蓋8が開かれた際に蓋8と当接して蓋8の最大開度θ1を決定する当接部14と、が形成されている。また、軸体10には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面10aが形成されている。
【0016】
そして、本発明の蓋付き容器は、図2A及び図2Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置し、かつ、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、容器2の当接部14を支点として軸体10に作用する力F2の作用方向に傾斜面10aが向くように、即ち、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に押圧されるように軸受け孔12に嵌合されており、容器2の連結部8bは、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、蓋8に対して力F1が加わった際に、傾斜面10aの作用により弾性的に撓み変形するように構成されている点に特徴がある。
【0017】
本発明の蓋付き容器は、図1A及び図1Bに示すように、蓋8の開度が0°から最大開度θ1に至るまでの間(即ち、蓋8が閉まった状態から全開状態に至るまでの間)は、軸体10に対して軸体10を軸受け孔12に押圧する力は殆ど加わらない。従って、軸体10は軸受け孔12の内部に納まったままスムーズに回動し、軸受け孔12からも抜け難い状態となっている。
【0018】
一方、蓋に対して蓋の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際には、以下の機構により、軸体が軸受け孔から外れ、容器から蓋が脱離する。即ち、図2Aに示すように、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わると(力点P1)、当接部14を支点P2とするモーメントによって軸体10(作用点P3)に力F2が作用する。この力F2によって軸体10は上方に押し上げられ、軸受け孔12の開口端に押圧される。
【0019】
特に、本発明の蓋付き容器では、図1B及び図2Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置し、かつ、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、容器2の当接部14を支点P2として軸体10に作用する力F2の作用方向に傾斜面10aが向くように、即ち、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に押圧されるように軸受け孔12に嵌合されている。従って、力F2によって、軸体10の傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に強く押圧される。また、力F2は軸体10を上方へ押し上げるように作用しているから、軸体10は傾斜面10aの滑り効果によって軸受け孔12から外れ易くなる。
【0020】
そして、図2Bに示すように、軸体10の傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に強く押圧されると、傾斜面10aの作用により、連結部8bに一対の軸体10の間隔を狭めるような方向の力F3が作用する。軸体10が突設されている連結部8bは弾性材料で構成されているため、力F3によって弾性的に撓み変形し、これにより、軸体10が軸受け孔12から外れる。
【0021】
以上説明したように、図2Aに示す軸体10を上方へ押し上げる力F2と、図2Bに示す傾斜面10aの滑り効果及び連結部8bの撓み効果とが相俟って軸体10が軸受け孔12から外れ、容器2から蓋8が脱離する。
【0022】
前記のように、本発明の蓋付き容器は、開かれた状態の蓋に、蓋の最大開度を超えて押し開かれる過大な荷重がかかった場合には、軸体は軸受け孔から外れ、容器から蓋が脱離する。従って、乳幼児等が誤って開いた蓋の上に乗ってしまった場合等でも、蓋の軸体や軸体の周辺部が破損する事態を有効に防止することができる。
【0023】
[2−1]容器:
図3A〜図3Cに示すように、本発明の蓋付き容器1は、被収納物が収納される内部空間4及び被収納物の取出口6が形成された容器2を備える。
【0024】
図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、略ドーム形状を呈する容器2を備えており、その天面に取出口6が形成されている。但し、被収納物を収納し得る内部空間及び被収納物の取出口が形成されている限り、容器の形状は特に限定されない。例えば、立方体、直方体等の箱状体の天面に取出口を形成した形状等であってもよい。
【0025】
また、容器は単一の部材で形成されている必要はなく、2以上の部材によって形成されていてもよい。例えば、図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、ドーム状を呈する容器本体2aと底蓋2bの2つの部材から容器2が形成されている。容器本体2aの下端側には容器本体2aの全周に渡って爪部が形成され、底蓋2bには前記爪部に係合する凹部が形成されている。前記爪部と前記凹部の係合によって、底蓋2bが容器本体2aに対して着脱可能に取り付けられている。
【0026】
図1A及び図1Bに示すように、容器2には、蓋8の軸体10が回動自在に嵌合される軸受け孔12が形成される。この軸受け孔12に蓋8の軸体10が嵌合されることでヒンジ機構が形成され、蓋8を繰り返し開閉することが可能となる。軸受け孔12は、軸体10をスムーズに回動させるよう、その内部空間を円柱状に形成することが一般的である。
【0027】
また、図1Aに示すように、容器2には、蓋8が開かれた際に蓋8と当接して蓋8の最大開度θ1を決定する当接部14が形成されている。前記のように、蓋はヒンジ機構で回動可能に構成されているが、図4A〜図4Cに示すように、蓋8の一部が容器2の一部と当接することで蓋8の最大開度θ1が決定され、蓋8の開度が制限される。図1Aに示す蓋付き容器1では、容器2の背面側に凹部が形成され、その凹部が当接部14として機能している。蓋8は、連結部8bが容器2の当接部14に当接することで、最大開度θ1を超えて開かないように構成されている。図1Aに示す蓋付き容器1では、最大開度θ1が93°となるように構成されている。
【0028】
更に、容器は、蓋を閉じた状態でロックし、また、蓋を閉じた状態から開いた状態に跳ね上げる開閉機構を備えていてもよい。例えば、図3A及び図3Bに示す蓋付き容器1は、蓋8の正面側に爪部を有しており、容器2の正面側に形成された爪部と係合するように構成されている。蓋8の爪部と容器2の爪部とを係合させることで、蓋8を閉じた状態でロックすることができる。
【0029】
また、図3A及び図3Bに示す蓋付き容器1は、容器2の正面側にプッシュボタン16を備えている。プッシュボタン16は、側縁側に一対の軸体18が突設され、背面側には蓋8の下側に差し込まれる跳ね上げ板が連設されている。軸体18は容器2に形成された軸受け孔12に回動自在に嵌合され、プッシュボタン16は蓋8と同様のヒンジ機構で容器2に軸支されている。
【0030】
前記の構造では、蓋8が閉じた状態のときに、プッシュボタン16を押し下げると、これに連動して跳ね上げ板が蓋8を跳ね上げる。この跳ね上げによって、蓋8の爪部と容器2の爪部との係合状態が解除され、蓋8が閉じた状態から開いた状態に跳ね上げられる。
【0031】
なお、図3A及び図3Bに示す蓋付き容器1においては、蓋8と容器2の間に(具体的には、蓋8の連結部8b近傍に)、図示されないねじりコイルバネが挟みこまれている。ねじりコイルバネは、前記跳ね上げ板による蓋8の跳ね上げを補助するとともに、蓋8を開いた状態で維持する効果を奏するものである。
【0032】
なお、本発明の蓋付き容器においては、被収納物の種類は特に限定されない。但し、ティシュペーパー、ウエットティシュ、払拭シート(乳幼児用のお尻拭きシート等)をはじめとする家庭用衛生用紙を被収納物とすることが好ましい。
【0033】
[2−2]蓋:
本発明の蓋付き容器は、図3A〜図3Cに示すように、容器2に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で取出口6を開閉可能とする蓋8を備えている。
【0034】
図3B及び図3Cに示すように、蓋8は、蓋本体8aを容器2に連結させる連結部8bと、連結部8bに突設された、ヒンジ機構を構成する一対の軸体10と、を有している。
【0035】
図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、容器2より曲率が小さいドーム形状を呈する蓋本体8aと、蓋本体8aから斜め下方向に突出する連結部8bと、連結部8bに突設された一対の軸体10を有する蓋8を備えている。但し、容器2の取出口6を開閉可能である限り、蓋本体8aの形状は特に限定されない。例えば、容器が立方体、直方体等の箱状体である場合には、その天面に、平板状の蓋本体を有する蓋を備えていてもよい。
【0036】
図3A〜図3Cに示す蓋付き容器1は、連結部8bに突設された、ヒンジ機構を構成する一対の軸体10を有している。本発明の蓋付き容器においては、図2Cに示すように、軸体10には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面10aが形成されている。傾斜面10aの傾斜角θ2は軸体10の中心軸と直交する面に対して45〜60°の傾斜角であることが好ましい。45°未満であると、傾斜角θ2が小さすぎるために本発明の効果を得ることができない場合がある。一方、60°を超えると、傾斜角θ2が大きすぎるために蓋が意図せず外れてしまうおそれがある。
【0037】
更に、本発明の蓋付き容器では、図1A及び図1B、図2A及び図2Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置するように、軸受け孔12に嵌合されている。即ち、図1Bに示すように、傾斜面10aの一部が軸受け孔12からはみ出すように、軸受け孔12に嵌合されている。軸体10をこのような位置に嵌合させると、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、軸体10の傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に押圧される。従って、軸体10が軸受け孔12から外れ易くなり、ひいては容器2から蓋8を脱離させ易くなる。
【0038】
図1Bに示すように、連結部8bは、薄板によって構成され、蓋8に対して力F1が加わった際に、弾性的に撓み変形するように構成された連結板部と、連結板部の側縁に起立するように連設された一対の支持板部と、を有し、軸体10が、支持板部に突設されているものが好ましい。即ち、図1Bに示すように、連結部8bが断面コの字型の構造であることが好ましい。
【0039】
前記構造においては、連結板部に対して支持板部の曲げ強度が大きくなるように構成されていることが好ましい。このような構成では、支持板部が撓み難い一方で、連結板部が撓み易くなる。従って、図2A及び図2Bに示すように、蓋8に対して蓋8の最大開度θ1を超えて押し開かれる力F1が加わった際に、連結板部が大きく撓み、その撓みの大きさに応じて軸体10が軸受け孔12からより一層外れ易くなる。
【0040】
支持板部の曲げ強度を大きくする構造としては、図1B及び図2Bに示すように、連結板部と支持板部とのコーナーに、支持板部を補強する補強リブ20を配置する構造が好ましい。
【0041】
例えば、図1B及び図2Bに示す蓋付き容器1は、連結板部から垂直に起立する支持板部を備えており、連結板部と支持板部とのコーナーに合わせて三角形の隅板を配置し、この隅板を補強リブ20としている。この補強リブ20は、支持板部を内側に向かって撓まないように補強して、撓みを連結板部に集中させ、連結板部をより大きく撓ませる効果を奏する。
【0042】
但し、支持板部の曲げ強度を大きくする構造は、補強リブを付設する構造に限定されるものではなく、例えば、支持板部を連結板部に比して肉厚とする構造であってもよい。
【0043】
なお、連結部を構成する「弾性材料」は、ゴムのような高弾性を有する材料である必要はなく、弾性的に撓み変形可能な材料であれば足りる。本発明においては、プラスチックの板状体を好適に用いることができる。より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂等の合成樹脂を材料とし、所望の連結部形状に成形した薄肉の成形品(厚さ1〜1.2mm程度)等を好適に用いることができる。
【0044】
蓋は、その裏面にキャラクターが表示されていることが好ましい。こうすることにより、容器の蓋を開ける度に、蓋の裏面のキャラクターが表われるため、意匠性に優れる。なお、「キャラクター」には、アニメーションの登場人物の他、文字、記号、図形、模様等を含む。「表示」は、蓋の裏面に直接印刷等されていてもよいし、キャラクターが表示されたラベルが貼着されていてもよい。例えば、乳幼児の顔写真が印刷されたラベルを貼着した形態等も含まれる。
【実施例】
【0045】
本発明の蓋付き容器について、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の蓋付き容器は、その発明特定事項を備えた蓋付き容器を全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
実施例1の蓋付き容器として、図3A〜図3Cに示すような略ドーム形状の蓋付き容器1を製造した。蓋付き容器1は、容器2と蓋8を備え、容器2は容器本体2aと底蓋2bの2つの部材によって構成されている。容器2は、底面形状が長径225mm、短径135mmの楕円形状、高さが75mmの略ドーム状とした。容器本体2aはポリプロピレン樹脂、底蓋2bはポリエチレン樹脂、蓋8はポリプロピレン樹脂及びABS樹脂により構成した。
【0047】
被収納物としては、140×188mmの乳幼児用の払拭シート(ウエットタイプのお尻拭きシート)を想定した。容器2の内部空間4には、前記払拭シートを折り畳んだ状態で70枚収納することができる。
【0048】
容器2の天面には、直径10mmφの2つの円がくびれ部を介して結合された亜鈴状の取出口6が形成されている。
【0049】
図3Cに示すように、容器2には、その背面側に凹部を形成し、その凹部内壁に内径2.9mm、深さ2mmの有底の軸受け孔を形成した。この凹部は、蓋8と当接して蓋8の最大開度を決定する当接部14としても機能する。本実施例においては、図1Aに示すように、蓋8を開いた際に、蓋8の一部が当接部14に当接し、それ以上開かないように構成した。この実施例では、蓋8の最大開度θ1を93°に設定した。
【0050】
図3B及び図3Cに示すように、蓋8は、底面側が70mmφの円形状で、高さが18mmの略ドーム状とし、その内部は中空構造とした。図1Bに示すように、連結部8bは蓋本体8aから幅40mmの板状体(連結板部)を突出させ、その両側縁に支持板部を起立させる構造とした。連結板部及び支持板部の肉厚は1mmとし、弾性的に撓み変形するように構成した。
【0051】
また、図1B及び図2Cに示すように、連結板部と支持板部とのコーナーに合わせて三角形の隅板を配置し、この隅板を補強リブ20とした。この補強リブ20は、各片が7mm、9mm、13mmの三角形状であり、肉厚は連結板部、支持板部と同じ1mmとした。蓋8は、蓋本体8a及び連結部8b(連結板部、支持板部、軸体10、補強リブ20を含む。)をポリプロピレン樹脂による一体成形で製造した。なお、蓋本体8aも肉厚は1mmとした。
【0052】
図1B及び図2Cに示すように、連結部8bの支持板部には一対の軸体10を突設した。軸体10は、長さは1mm、直径2mmφの円柱状で、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面10aを形成した。傾斜角θ2は、45°とした。
【0053】
図1Aに示すように、蓋8が全開されて最大開度θ1(93°)をとったとき、軸体10の傾斜面10aが同じく93°の方向を向くように傾斜面10aを形成した。そして、図1Bに示すように、軸体10は、傾斜面10aが軸受け孔12の開口端に位置するように、軸受け孔12に嵌合させた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の蓋付き容器は、ティシュペーパー、ウエットティシュ、払拭シート(乳幼児用のお尻拭きシート等)をはじめとする家庭用衛生用紙を被収納物とする蓋付き容器、特に密閉性を要するウエットタイプの衛生用紙を被収納物とする蓋付き容器として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明の蓋付き容器の一の実施形態を示す図であり、蓋を開いた状態を模式的に示す概略側面図である。
【図1B】図1Aに示す蓋付き容器の軸体近傍を拡大して模式的に示す概略正面図である。
【図2A】本発明の蓋付き容器の使用状態を示す図であり、蓋を開いた状態の軸体近傍を拡大して模式的に示す概略側面図である。
【図2B】図2Aに示す蓋付き容器の軸体近傍を拡大して模式的に示す概略正面図である。
【図2C】図2Aに示す蓋付き容器の軸体近傍を拡大して模式的に示す別の概略正面図である。
【図3A】本発明の蓋付き容器の一の実施形態を模式的に示す概略正面図である。
【図3B】図3Aに示す蓋付き容器のA−A’断面を模式的に示す概略断面図である。
【図3C】図3Aに示す蓋付き容器を模式的に示す概略背面図である。
【図4A】図3Aに示す蓋付き容器の蓋を開いた状態を模式的に示す概略正面図である。
【図4B】図4Aに示す蓋付き容器のA−A’断面を模式的に示す概略断面図である。
【図4C】図4Aに示す蓋付き容器を模式的に示す概略背面図である。
【符号の説明】
【0056】
1:蓋付き容器、2:容器、2a:容器本体、2b:底蓋、4:内部空間、6:取出口、8:蓋、8a:蓋本体、8b:連結部、10:軸体、10a:傾斜面、12:軸受け孔、14:当接部、16:プッシュボタン、18:軸体、20:補強リブ、θ1:最大開度、θ2:傾斜角、F1,F2,F3:力、P1:力点、P2:支点、P3:作用点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物が収納される内部空間及び前記被収納物の取出口が形成された容器と、前記容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で前記取出口を開閉可能とする蓋と、を備え、
前記蓋は、蓋本体を前記容器に連結させる連結部と、前記連結部に突設された、前記ヒンジ機構を構成する一対の軸体と、を有し、
前記容器には、前記軸体が回動自在に嵌合される軸受け孔と、前記蓋が開かれた際に前記蓋と当接して前記蓋の最大開度を決定する当接部と、が形成され、
前記軸体には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面が形成され、
前記軸体は、前記傾斜面が前記軸受け孔の開口端に位置し、かつ、前記蓋に対して前記蓋の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際に、前記容器の前記当接部を支点として前記軸体に作用する力の作用方向に前記傾斜面が向くように、前記軸受け孔に嵌合されており、
前記連結部は、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、前記蓋に対して前記力が加わった際に、弾性的に撓み変形するように構成されている蓋付き容器。
【請求項2】
前記連結部が、前記薄板によって構成され、弾性的に撓み変形するように構成された連結板部と、前記連結板部の側縁に起立するように連設された一対の支持板部と、を有し、
前記軸体が、前記支持板部に突設されている請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記連結部は、前記連結板部と前記支持板部とのコーナーに配置された、前記支持板部を補強する補強リブを備えている請求項2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記蓋は、その裏面にキャラクターが表示されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓋付き容器。
【請求項1】
被収納物が収納される内部空間及び前記被収納物の取出口が形成された容器と、前記容器に対して回動自在に軸支され、ヒンジ機構で前記取出口を開閉可能とする蓋と、を備え、
前記蓋は、蓋本体を前記容器に連結させる連結部と、前記連結部に突設された、前記ヒンジ機構を構成する一対の軸体と、を有し、
前記容器には、前記軸体が回動自在に嵌合される軸受け孔と、前記蓋が開かれた際に前記蓋と当接して前記蓋の最大開度を決定する当接部と、が形成され、
前記軸体には、その先端部に軸方向に対して傾斜する傾斜面が形成され、
前記軸体は、前記傾斜面が前記軸受け孔の開口端に位置し、かつ、前記蓋に対して前記蓋の最大開度を超えて押し開かれる力が加わった際に、前記容器の前記当接部を支点として前記軸体に作用する力の作用方向に前記傾斜面が向くように、前記軸受け孔に嵌合されており、
前記連結部は、その一部が弾性材料からなる薄板によって構成され、前記蓋に対して前記力が加わった際に、弾性的に撓み変形するように構成されている蓋付き容器。
【請求項2】
前記連結部が、前記薄板によって構成され、弾性的に撓み変形するように構成された連結板部と、前記連結板部の側縁に起立するように連設された一対の支持板部と、を有し、
前記軸体が、前記支持板部に突設されている請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記連結部は、前記連結板部と前記支持板部とのコーナーに配置された、前記支持板部を補強する補強リブを備えている請求項2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記蓋は、その裏面にキャラクターが表示されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓋付き容器。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【公開番号】特開2010−52796(P2010−52796A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221714(P2008−221714)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(508262825)株式会社河島製作所 (1)
【出願人】(391029325)明星産商株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(508262825)株式会社河島製作所 (1)
【出願人】(391029325)明星産商株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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