説明

蓋付き容器

【課題】使用者が使用中などでねじりコイルばねなどのばね部材の端部に不用意に触れることのない蓋付き容器を提供することにある。
【解決手段】蓋付き容器10は、収容物品を取り出すための開口部11aが形成された容器本体11と、容器本体11に蝶番21を介して取り付けられ、開口部11aを開閉し得る開閉蓋12と、開閉蓋12および容器本体11に跨がって配される金属製のばね線材からなり、開閉蓋12を開くように付勢するねじりコイルばねと、容器本体11および開閉蓋12に設けられ、ねじりコイルばねによるばね力に抗して開閉蓋12を閉止状態に保持するためのロック手段と、容器本体11に取り付けられ、ロック手段による開閉蓋12の閉止状態を解除するためのロック解除レバーと、開閉蓋12または容器本体11に形成されてねじりコイルばねを保持すると共にその両端を外部に対して被覆する被覆部15とを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね部材を用いて開口部を開放し得る蓋付きの容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットティシュなどの家庭用薄葉紙を収容するための恒久的な容器として、特許文献1に開示されているように、ばね部材を用いて開口部を開放し得る蓋付きの容器が知られている。
【0003】
このような蓋付きの容器においては、容器本体と、この容器本体に蝶番を介して取り付けられた開閉蓋との間にねじりコイルばねを組み込み、このねじりコイルはねのばね力によって開閉蓋が常に開くような付勢力を与えている。また、容器本体と開閉蓋とに開閉蓋を閉止状態に保持するためのロック機構を組み込み、このロック機構を解除するロック解除機構を容器本体に組み込んでいる。ロック機構が開閉蓋を閉止状態に保持している状態において、ロック解除機構を操作することによりロック機構が解除され、ねじりコイルばねのばね力によって開閉蓋が自動的に開放状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−105746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された蓋付き容器に組み込まれるねじりコイルばねは、通常、金属製のばね線材などから作られている。このため、このねじりコイルばねの端部が蓋付き容器の外部に露出していると、使用者が使用中などでねじりコイルばねの端部に不用意に触れてしまう可能性がある。特に、開閉蓋に過大な力が作用して開閉蓋が外れてしまった場合、このような可能性が顕著となる。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、使用者が使用中などでねじりコイルばねなどのばね部材の端部に不用意に触れることのない蓋付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による蓋付き容器は、収容物品を取り出すための開口部が形成された容器本体と、この容器本体に蝶番を介して取り付けられ、前記開口部を開閉し得る開閉蓋と、この開閉蓋および前記容器本体に跨がって配される金属製のばね線材からなり、当該開閉蓋が開かれるように付勢するばね部材と、前記容器本体および前記開閉蓋に設けられ、前記ばね部材によるばね力に抗して当該開閉蓋を閉止状態に保持するためのロック手段と、前記容器本体に取り付けられ、前記ロック手段による前記開閉蓋の閉止状態を解除するためのロック解除手段と、前記開閉蓋または前記容器本体に形成されて前記ばね部材を保持すると共に前記ばね部材の両端を外部に対して被覆する被覆部とを具えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明によると、ロック手段により開閉蓋が容器本体の開口部を塞ぐ閉止状態において、ロック解除手段を操作して開閉蓋の閉止状態を解除すると、ばね部材のばね力によって開閉蓋が開放状態となり、開口部からの収容物品の取り出しが可能となる。なお、ばね部材の両端は被覆部に被覆され、外部に対して隔離された状態となっている。
【0009】
本発明による蓋付き容器において、ばね部材がねじりコイルばねであり、単一の被覆部を形成したものであってよい。あるいは、ばね部材がトーションばねであり、2つの被覆部を形成したものであってよい。
【0010】
ばね部材の一端を被覆部に収容すると共にばね部材の他端側を途中で折り返してその他端を被覆部に収容することができる。
【0011】
ロック手段が、係止凹部およびこの係止凹部に係止し得る係止爪部を有し、これら係止凹部および係止爪部の少なくとも一方が弾性変形可能であってよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蓋付き容器によると、ばね部材を保持すると共にばね部材の両端を外部に対して被覆する被覆部を開閉蓋または容器本体に形成したので、ばね部材の両端を外部に対して被覆した状態にすることができる。このため、使用者が使用中などでばね部材の端部に不用意に触れたりするようなことは起こらない。また、ばね部材が被覆部によって容器本体か、または開閉蓋に保持されるため、容器本体または開閉蓋に対するばね部材の取り付け作業および容器本体に対する開閉蓋の組み付け作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0013】
ばね部材の一端を被覆部に収容すると共にばね部材の他端側を途中で折り返してその他端を被覆部に収容した場合、ばね部材の他端に対する接触や引っ掛かりがなくなり、取り扱い時の安全性を高めることができる。特に、ばね部材がねじりコイルばねの場合、ねじりコイルばねのコイル部分の巻数を増やすことにより、ばね力を損なうことなく、より細い線径のばねを用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による蓋付き容器の一実施例の外観を表す立体投影図であり、開閉蓋が開けられた状態を示している。
【図2】図1に示した蓋付き容器を分解した状態の外観を表す立体投影図であり、開閉蓋が閉じられた状態を示している。
【図3】図1に示した蓋付き容器の主要部の断面図であり、開閉蓋が閉じられた状態を示している。
【図4】図1に示した蓋付き容器の主要部の断面図であり、開閉蓋が開けられた状態を示している。
【図5】図4の矢視V部の抽出拡大断面図である。
【図6】図1に示した実施形態におけるねじりコイルばねの外観を表す立体投影図である。
【図7】ねじりコイルばねの他の実施形態の外観を表す立体投影図である。
【図8】本発明による蓋付き容器の他の一実施形態の外観を表す立体投影図であり、開閉蓋が閉じられた状態を示している。
【図9】図8に示した実施形態体の外観を表す平面図であり、開閉蓋が開かれた状態を示している。
【図10】開閉蓋およびトーションばねを分解した状態の図8に示す実施形態の外観を後方から見た立体投影図である。
【図11】図9における主要部を抽出した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による蓋付き容器をウェットティシュの収容のために応用した実施形態について、図1〜図11を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施形態のみに限らず、必要に応じてこれらの構成を置換して組み合わせることができる。また、収容物品に関してはウェットティシュに限らず、開口部から取り出す必要があるものでありさえすれば、任意の収容物品を採用し得る。
【0016】
ウェットティシュを収容物品として意図した第1の実施形態における蓋付き容器の外観を開閉蓋が開いた状態で図1に示し、その分解状態を開閉蓋が閉じた状態で図2に示し、その断面構造を図3に示す。本実施形態の蓋付き容器10は、容器本体11と、開閉蓋12と、ロック手段13と、ねじりコイルばね14と、被覆部15と、ロック解除レバー16とを具え、ねじりコイルばね14を除いてすべて樹脂の成形品にて形成されている。
【0017】
容器本体11は、収容物品であるウェットティシュWが載せられる楕円形状のトレー部17と、このトレー部17に載せられたウェットティシュWを覆うようにトレー部17に重ね合わされるカバー部18とを有する。
【0018】
トレー部17には、ウェットティシュWの位置ずれを抑制するための矩形の窪み17aと、トレー部17の外周縁部に沿った溝部17bとが形成されている。また、溝部17bの外側壁には、対向する内側壁の方に突出する突起部17cが溝部17bの全周に亙って形成されている。
【0019】
トレー部17に対応した楕円のドーム形状を有するカバー部18の下端には、トレー部17の溝部17bに差し込まれる嵌合部18aと、この嵌合部18aから径方向外側に突出してトレー部17の突起部17cに係止し得る係止突起18bとが形成されている。カバー部18の嵌合部18aをトレー部17の溝部17bに差し込んだ状態では、トレー部17の溝部17bに形成された突起部17cがカバー部18の嵌合部18aに形成された係止突起18bに係止する。この結果、比較的大きな外力を加えない限り、トレー部17からカバー部18が抜け外れないようになっている。つまり、トレー部17およびカバー部18は共に弾性変形可能であり、ウェットティシュWを補給するためのトレー部17に対してカバー部18を取り外す必要がある場合には、比較的大きな力を加えることにより、これらの係合状態を解除することができる。このため、トレー部17の長径方向(図2中、左右方向)に沿ったこれらの両端部には、カバー部18からトレー部17を外すための操作を容易にするための指掛け部17dがそれぞれ突設されている。
【0020】
一方、カバー部18の上端部には、後述する開閉蓋12がかぶせられる平坦凹部18cと、開閉蓋12の基端部を連結するための蓋連結凹部18dと、後述するロック解除レバー16を収容するレバー収容凹部18eとが形成されている。蓋連結凹部18dとレバー収容凹部18eとは、窪み17aを挟んでカバー部18の短径方向(図3中、左右方向)に沿って配されている。平坦凹部18cにはウェットティシュWを取り出すための亜鈴形状をなす開口部11aが形成されている。この平坦凹部18cとレバー収容凹部18eとの境界部分には、後述するロック手段13の係止爪部13aが上向きに突設されている。
【0021】
開閉蓋12を開けた状態の断面構造を図4に示し、その矢視V部を抽出拡大して図5に示し、ねじりコイルばね14の外観を図6に示す。容器本体11の開口部11aを開閉し得る本実施形態における開閉蓋12は、楕円のドーム形状を有する。この開閉蓋12は、容器本体11のカバー部18に連結される蓋本体19と、この蓋本体19に重ね合わせた状態で一体的に結合されるほぼ平坦な蓋板部20とを有する。
【0022】
蓋本体19の基端部(図3中、左端部)には、カバー部18の蓋連結凹部18dに配される連結部12aが突設されており、この連結部12aの左右両側面には、一直線状に延在する一対のピン21aが相互に逆向きに突設されている。これら一対のピン21aに対応し、カバー部18の蓋連結凹部18dの左右の側壁には、これら一対のピン21aを回動自在に枢支する一対のピン孔21bが形成されている。カバー部18と開閉蓋12との連結、つまりピン孔21bに対するピン21aの嵌合は、これらカバー部18および蓋本体19を構成する樹脂材料自体の弾性変形を利用した圧入操作により行われる。これら一対のピン21aおよびピン孔21bが本発明の蝶番21として機能し、この蝶番21を介して開閉蓋12が容器本体11に取り付けられた状態となる。蓋本体19の内側端縁部には、蓋板部20を嵌合保持するための係止突起19aが所定間隔で複数形成されている。また、連結部12aと反対側の蓋本体19の内側端部には、カバー部18に形成されたロック手段13の係止爪部13aが係止し得る係止凹部13bを画成した係止部13cが形成されている。つまり、蓋本体19の係止部13cおよびカバー部18の係止爪部13aが本発明におけるロック手段13として機能し、これらが係合し合うことにより、後述するねじりコイルばね14によるばね力に抗して開閉蓋12を閉止状態に保持する。これら係止凹部13bおよび係止爪部13aの少なくとも一方が弾性変形可能となっており、適当な外力を加えることによってこれらの係合および係合解除を行うことができる。
【0023】
ねじりコイルばね14が取り付けられる蓋板部20は、その外周縁部に蓋本体19の係止突起19aに対応する複数の突起受け20aが所定間隔で形成されている。これら突起受け20aに蓋本体19の係止突起19aがそれぞれ圧入状態で係合し、蓋本体19と蓋板部20とが一体化されるようになっている。また、蓋本体19の係止部13cの係止凹部13bにカバー部18の係止爪部13aが係合可能となるように、蓋板部20には係止爪部13aとの干渉を回避するための逃げ部20bが形成されている。この逃げ部20bと反対側の端部には、蓋本体19の連結部12aに配される被覆部15が形成され、この被覆部15の内側に形成された空隙22に本発明におけるばね部材としてのねじりコイルばね14が収容保持されている。金属製のばね線材からなるねじりコイルばね14は、その一端側が被覆部15内に固定され、その他端側が被覆部15に形成されたスリット状の逃げ部15aから外部に突出した状態となっている。ただし、逃げ部15aから外部に露出するねじりコイルばね14の他端側は、その他端が被覆部15の空隙22に収容されるように、途中でねじりコイルばね14の軸線(図5中、紙面に対して垂直な方向に延在する)と平行な軸線回りにループ状に折り返されている。つまり、ねじりコイルばね14の両端は、被覆部15によって外部に対して被覆された状態となっているが、本実施形態では、ねじりコイルばね14の他端をねじりコイルばね14のコイル部の内側に位置するようにさらに折り曲げている。また、ループ状の折り返し部14aを含むねじりコイルばね14の他端部を蝶番21の回転軸線に対して垂直な平面内に配することにより、逃げ部15aの幅を最少にすることができる。ループ状の折り返し部14aは、カバー部18の蓋連結凹部18dに形成されたばね受け斜面23に押し当たり、開閉蓋12が開くようなばね力を常時付勢する。逃げ部15aは、ねじりコイルばね14の折り返し部14aに対し、開閉蓋12の開閉動作に伴う被覆部15の干渉を回避するためのものであり、開閉蓋12の開閉動作に伴って逃げ部15aに対する折り返し部14aの相対位置が変化し得るようになっている。
【0024】
本実施形態では、ねじりコイルばね14の折り返し部14aをコイル部のつる巻き方向と同じ方向に曲げることよって形成したが、逆方向に曲げて折り返し部14aを形成することも可能である。このようなねじりコイルばね14の他の実施形態の外観を7図に示すが、同じ機能を持つ部分に対しては、同じ符号を記してある。この他、ばね受け斜面23と平行となるように折り返し部14aを形成することも可能であり、何れの場合においてもねじりコイルばね14の他端が被覆部15内に収容されるようにしなければならない。
【0025】
このように、ねじりコイルばね14の端部が外部に露出しておらず、ループ状の折り返し部14aが逃げ部15aから突出しているだけなので、ねじりコイルばね14の端部が引っかかったりするような不具合が全く起こらない。このため、カバー部18の蓋連結凹部18dに対して開閉蓋12を容易かつ安全に取り付けることができる。
【0026】
なお、本実施形態における被覆部15は、セルフヒンジ15bによって折り返し可能な保護部15cを有している。ねじりコイルばね14を蓋板部20に組み付ける際、ねじりコイルばね14を被覆部15に装着した後、この保護部15cを折り返し、その先端部分を蓋板部20に超音波溶接などで融着するようにしている。これにより、ループ状の折り返し部14a以外のねじりコイルばね14の部分を外部から見えなくすることができる。
【0027】
ロック手段13による開閉蓋12の閉止状態を解除するための本発明のロック解除手段としてのロック解除レバー16は、カバー部18のレバー収容凹部18eに配される。このロック解除レバー16の左右両側面には、一直線状に延在する一対のピン16aが相互に逆向きに突設されている。これら一対のピン16aに対応し、カバー部18のレバー収容凹部18eの左右の側壁には、これら一対のピン16aを回動自在に枢支する一対のピン孔18fが形成されている。カバー部18とロック解除レバー16との連結、つまりピン孔18fに対するピン16aの嵌合は、これらカバー部18およびロック解除レバー16を構成する樹脂材料自体の弾性変形を利用した圧入操作により行われる。これにより、ロック解除レバー16は、一対のピン16aを中心としてカバー部18に対して図2に示すロック保持位置と、図1に示すロック解除位置との間を回動自在に枢支された状態となっている。
【0028】
開閉蓋12の閉止状態においては、ロック解除レバー16の先端部がレバー収容凹部18eから浮き上がっているのに対し、その基端部は開閉蓋12の蓋板部20の先端部分に近接したロック保持位置にある(図3参照)。この状態からロック解除レバー16の先端部をロック解除位置へと押し下げると、ロック解除レバー16の基端部が開閉蓋12の先端部分を押し上げ、これによってロック手段13のロック状態が解除される。すなわち、カバー部18の係止爪部13aに対する蓋本体19の係止部13cの係合が外れる。この結果、ねじりコイルばね14のばね力によって開閉蓋12が図5に示すように開放状態となり、カバー部18の開口部11aからウェットティシュWを引き出すことが可能となる(図5参照)。何からの強い外力が開閉蓋12に加わり、開閉蓋12がこじられてカバー部18から開閉蓋12が外れてしまった場合であっても、ねじりコイルばね14は、ループ状をなす折り返し部分のみが被覆部15の逃げ部15aから外部に突出しているだけである。このため、開閉蓋12に過大な外力が作用してカバー部18から開閉蓋12が外れたとしても、被覆部15によってねじりコイルばね14の両端の被覆状態が維持される。結果として、使用者がねじりコイルばね14の両端に不用意に触れてしまうことがなく、極めて安全性に優れている。
【0029】
逆に、ねじりコイルばね14のばね力に抗して開閉蓋12を閉じ、蓋本体19の係止部13cにカバー部18の係止爪部13aを係合させると、ロック解除レバー16の先端部もロック解除位置から先のロック保持位置へと回動する。このように、本実施形態では開閉蓋12の閉止動作に連動してロック解除レバー16をロック保持位置へと自動的に回動させることができるようにしている。このため、カバー部18の係止爪部13aの位置に対するロック解除レバー16のピン16aの位置と、ロック保持位置における開閉蓋12の先端部に対するロック解除レバー16の基端部の当接位置とを適切に設定する必要がある。
【0030】
上述した実施形態では、ねじりコイルばね14を開閉蓋12に組み込んだ実施形態について説明したが、ねじりコイルばね14に代えてトーションばねを用いることも可能である。このような本発明による蓋付き容器の他の実施形態の外観を図8に示し、その開閉蓋を開いた状態の外観を図9に示し、開閉蓋およびトーションばねを分解した状態の外観を図10に示し、図9の主要部を抽出拡大して図11に示す。なお、これらの図8〜図11において、先の実施形態と同一機能の要素にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明を省略するが、その基本的な構成に関しては特開2005−104536号公報に記載のものとほぼ同様である。
【0031】
板紙で形成された容器本体11の上端面に形成された図示しない矩形の開口部には、樹脂製の枠状をなすフレーム24が嵌め込まれて一体的に接合されている。本実施形態では、このフレーム24で囲まれた領域が本発明における開口部11aを構成し、ここに樹脂製の開閉蓋12が開閉自在に取り付けられる構造となっている。フレーム24には、図示しないウェットティシュを取り出すための第2の開口部25aを形成した樹脂製のカバーフィルム25が一体的に熱融着され、このカバーフィルム25がフレーム24に取り囲まれた状態となっている。カバーフィルム25には、このカバーフィルム25に対し繰り返して剥離可能な図示しない粘着層を形成したシールフィルム26の長手方向一端部が接合されている。従って、粘着層の粘着力に抗してシールフィルム26の他端側をカバーフィルム25から剥離することにより、開口部25aからウェットティシュを取り出すことができる。また、粘着層の粘着力を利用して再びシールフィルム26をカバーフィルム25に接合することにより、開口部25aを完全に閉止してウェットティシュに含まれる揮発成分の蒸発を抑制することができる。このように、本実施形態ではウェットティシュを取り出すために二重の開口部11a,25aを形成しているが、容器本体11内の高い保湿性を確保する必要性がない場合、カバーフィルム25やシールフィルム26を省略してもよい。
【0032】
樹脂製の開閉蓋12の基端部に形成された連結部12aの左右両側端から突出する一対のピン21aは、フレーム24の後端部に形成されたピン孔21bに対して圧入状態で嵌合されている。これらピン21aおよびピン孔21bは、フレーム24に対して開閉蓋12を回動自在に連結する蝶番21を構成する。また、開閉蓋12の連結部12aの中央には、トーションばね27の長手方向中央部に形成された第1連結部27aが差し込まれてこれを収容する結合部28が開閉蓋12と一体に形成されている。結合部28は、その左右両端部が開閉蓋12の表面に接合され、中間部分がトーションばね27の第1連結部27aを貫通状態で保持するスリット状の開口28aとなっている。
【0033】
同様な左右一対の被覆部29がフレーム24の後端部の左右両側にフレーム24と一体に形成されている。これら左右一対の被覆部29は、これらの中間部分がトーションばね27の左右両端部に形成された第2連結部27bをそれぞれ収容するスリット状の開口29aとなっている。
【0034】
本実施形態におけるトーションばね27は、一対のピン孔21bの対向方向に沿って一直線状に延在するねじれ部27cと、このねじれ部27cに対して直角に延在する複数の連結部27a,27bとを有する。また、これら連結部27a,27bは、ねじれ部27cの長手方向中央部に形成された第1連結部27aと、この第1連結部27aと逆向きとなるように、ねじれ部27cの両端部に形成された一対の第2連結部27bとを含む。第1連結部27aは、開閉蓋12の結合部28に収容保持されてトーションばね27と開閉蓋12とを連結し、一対の第2連結部27bはフレーム24に形成された一対の被覆部29に収容保持されてトーションばね27とフレーム24とを連結する。この場合、フレーム24に連結されたトーションばね27の両端は、一対の被覆部29によって外部から見えない状態となっている。従って、ウェットティシュを容器本体11の開口部25aから取り出す際に、トーションばね27の両端が人に触れるようなことは起こらない。トーションばね27は、その無負荷状態において、第1および第2の連結部27a,27bおよびねじれ部27cがほぼ同一平面上となるように、トーションばね27を構成するばね線材の折り曲げ方向が規定されている。従って、トーションばね27の第1および第2連結部27a,27bが結合部28および被覆部29に差し込まれた状態において、トーションばね27は開閉蓋12が開くようなばね力を開閉蓋12に与える。
【0035】
なお、本実施形態では被覆部29に装着した後のトーションばね27の第2連結部27bが被覆部29から抜け外れないように配慮している。具体的には、第2連結部27bの幅寸法よりも開口29aの幅寸法を僅かに小さく形成し、装着時にここを通過した後の第2連結部27bがばね力によって元の自由状態に戻った場合、その末端が係止し得る段部29bを開口29aに臨むように形成してある。
【0036】
開閉蓋12を閉止状態に保持するためのロック手段13は、開閉蓋12の先端中央に突設された係止爪部13aと、ロック解除レバー16の基端部に形成されて係止爪部13aに係止し得る係止凹部13bとを含む。ロック解除レバー16は、図示しないセルフヒンジを介してフレーム24の前端中央部に一体的に形成され、これを押し下げることによって係止凹部13bに対する係止爪部13aの係合が解除され、トーションばね27のばね力によって開閉蓋12が開放状態となる。逆に、トーションばね27のばね力に抗して開閉蓋12を閉止状態へと回動させると、開閉蓋12に形成された係止爪部13aがロック解除レバー16の係止凹部13bに係止し、開閉蓋12の閉止状態が保持される。
【0037】
このように、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0038】
W ウェットティシュ
10 蓋付き容器
11 容器本体
11a 開口部
12 開閉蓋
12a 連結部
13 ロック手段
13a 係止爪部
13b 係止凹部
13c 係止部
14 ねじりコイルばね
14a 折り返し部
15 被覆部
15a 逃げ部
15b セルフヒンジ
15c 保護部
16 ロック解除レバー
16a ピン
17 トレー部
17a 窪み
17b 溝部
17c 突起部
17d 指掛け部
18 カバー部
18a 嵌合部
18b 係止突起
18c 平坦凹部
18d 蓋連結凹部
18e レバー収容凹部
18f ピン孔
19 蓋本体
19a 係止突起
20 蓋板部
20a 突起受け
20b 逃げ部
21 蝶番
21a ピン
21b ピン孔
22 空隙
23 ばね受け斜面
24 フレーム
25 カバーフィルム
25a 開口部
26 シールフィルム
27 トーションばね
27a 第1連結部
27b 第2連結部
27c ねじれ部
28 結合部
29 被覆部
28a,29a 開口
29b 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物品を取り出すための開口部が形成された容器本体と、
この容器本体に蝶番を介して取り付けられ、前記開口部を開閉し得る開閉蓋と、
この開閉蓋および前記容器本体に跨がって配される金属製のばね線材からなり、当該開閉蓋が開かれるように付勢するばね部材と、
前記容器本体および前記開閉蓋に設けられ、前記ばね部材によるばね力に抗して当該開閉蓋を閉止状態に保持するためのロック手段と、
前記容器本体に取り付けられ、前記ロック手段による前記開閉蓋の閉止状態を解除するためのロック解除手段と、
前記開閉蓋または前記容器本体に形成されて前記ばね部材を保持すると共に前記ばね部材の両端を外部に対して被覆する被覆部と
を具えたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
前記ばね部材がねじりコイルばねであり、単一の前記被覆部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記ばね部材がトーションばねであり、2つの前記被覆部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記ばね部材の一端が前記被覆部に収容されると共に前記ばね部材の他端側が途中で折り返されてその他端が前記被覆部に収容されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の蓋付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−12034(P2012−12034A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147939(P2010−147939)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】