蓋付き容器
【課題】分別廃棄が極めて容易であり、リサイクル性、遮光性及び再封性に優れ、環境性に優れた蓋付き容器を提供する。
【解決手段】容器本体1と、この容器本体の開口を開閉する蓋体2とを具備する。容器本体1が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体2が合成樹脂で成形され、蓋体2には容器本体1の上部内面5内に繰り返し嵌合可能な凸部4が形成される。容器本体1が紙を主体に形成されるので、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れる。また、蓋体2は合成樹脂で成形されるので、初期密封性、リクローズ性、水蒸気バリア性に優れる。さらに、蓋体2のみを合成樹脂で成形しているので、容器本体1に対して分別廃棄が極めて容易になる。
【解決手段】容器本体1と、この容器本体の開口を開閉する蓋体2とを具備する。容器本体1が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体2が合成樹脂で成形され、蓋体2には容器本体1の上部内面5内に繰り返し嵌合可能な凸部4が形成される。容器本体1が紙を主体に形成されるので、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れる。また、蓋体2は合成樹脂で成形されるので、初期密封性、リクローズ性、水蒸気バリア性に優れる。さらに、蓋体2のみを合成樹脂で成形しているので、容器本体1に対して分別廃棄が極めて容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体を合成樹脂で成形した蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状のガム、サプリメント、チョコレート等の包装には、専ら樹脂系の容器が用いられている。樹脂系の容器は初期密封性、リクローズ性、水蒸気バリア性等の機能面で優れていることによる。
【0003】
しかしながら、従来では、例えば特許文献1,2に開示された発明のように、環境及びリサイクル性、分別廃棄を考慮し、蓋材を樹脂系で成形するとともに、容器本体を紙シートで形成した複合容器がある。
【0004】
この特許文献1に開示された発明は、層間剥離可能なインナーシール材の周縁に合成樹脂製の蓋枠を一体に設けてなる蓋体を容器に被せ、この容器の開口縁部材に亘ってインナーシール材を超音波溶着して、インナーシール材で容器の開口を閉鎖したものである。
【0005】
また、特許文献2に開示された発明は、容器本体の開口周縁に開口縁部材を設け、蓋の外周に亘り、開口縁部材に係合する蓋枠部材を設け、この蓋枠部材に天板部材の折り罫線端部に対応する断裂部を設けて、該断列部間の円弧状部を、天板部材の開閉板部とともに引き起こし可能に設け、円弧状部に引き起こし手段を一体に連設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−110030号公報
【特許文献2】特開平8−324613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1,2に開示された発明では、容器本体の開口周縁に設けた開口縁部材は、容器本体を予め金型内に配置し、合成樹脂を注入してインジェクション成形するインサート成形により一体化し、容器本体の胴部の最外層、最内層の合成樹脂層に対して熱融着している。
【0008】
そのため、容器本体は合成樹脂と紙とで強固に固着されているため、これらを分別廃棄する場合に著しく手間がかかり、面倒になるという問題がある。
【0009】
また、特許文献1,2に開示された発明では、容器本体の開口周縁に設けた開口縁部材が合成樹脂から成形されているので、より合成樹脂を少なくして環境及びリサイクル性を高めることが望まれている。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、分別廃棄が極めて容易であり、リサイクル性、遮光性及び再封性に優れ、環境性に優れた蓋付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0012】
すなわち、請求項1に係る発明は、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、上面に開口を備える容器本体と、この容器本体の開口を覆う蓋体とを上記容器本体の背面側に上記蓋体のヒンジを介して結合し、上記容器本体に対して上記蓋体を開閉自在とした蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体は、周面部とこの周面部に一体に形成された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の蓋付き容器において、上記蓋体の上記ヒンジと反対側の位置に、閉蓋時に上記容器本体の外周面に当接する係合突起を一体に形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の蓋付き容器において、上記蓋体は、上記ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に上記容器本体の周面部に当接してその状態を保持することを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、請求項6に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、上記摘み部より外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成されたものであるから、容器本体が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体が合成樹脂で成形されているので、複雑な形状に対応可能であり、また可及的に薄く成形可能であるため、より紙の割合を増加させることができる。そして、蓋体のみを合成樹脂としたので、容器本体との分別が容易で、廃棄し易くなる。さらに、蓋体には容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が形成されたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。また、蓋体の凸部が容器本体の上部内面に収まるようになっているので、容器からの突起物が少なくなるという利点がある。
また、蓋体を容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、蓋体を構成する合成樹脂に形成されたので、別途、ヒンジ片を作製する手間を省き、容器全体の部品点数を削減することができる。
また、ヒンジ片が蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が容器本体に連結されることによって、蓋体がヒンジ片を介して屈曲自在とされたので、蓋体が開閉し易くなる。
また、容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、この内向きトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されるので、容器本体の外周面からの突出物を出来るだけ解消することができる。また、容器本体と蓋体の凸部との係合力を高め、蓋体の閉止力を高めることができる。
【0022】
請求項2に係る発明は、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合される。したがって、外向きトップカール部を容器本体から突出させることで、容器本体の保護体とすることができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体は、周面部とこの周面部に一体に形成された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことにより、容器本体が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体が合成樹脂で成形されているので、複雑な形状に対応可能であり、可及的に薄く成形可能であるため、より紙の割合を増加させることができる。そして、蓋体のみを合成樹脂としたので、容器本体との分別が容易で、廃棄し易くなる。さらに、蓋体は容器本体の開口を外側から覆うようにしたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、蓋体のヒンジと反対側の位置に、閉蓋時に容器本体の外周面に当接する係合突起を一体に形成したので、その係合突起を介して蓋体が容器本体に確実に閉止されるため、蓋体のロック機能を著しく向上させることができる。また、閉蓋時に係合突起が外部に露出することがなくなるので、外観上の見栄えも良好になる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、蓋体は、ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に容器本体の周面部に当接してその状態を保持するので、ヒンジの弾性力によって蓋体が自然に閉るようなことはなく、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたので、容器の初期の密封性をさらに高めることができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、インナーシール部がイージーピール層を介して容器本体に接合されているので、容器の開封のための操作性が向上する。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、上記摘み部より外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたので、容器の密封性と開封のための操作性がさらに向上する。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、容器本体の内面に水蒸気吸着層が設けられたので、容器本体を透過する水蒸気を除去し、内容物を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る蓋付き容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1中、II−II線矢視断面図である。
【図3】蓋付き容器の初期開蓋状態の断面図である。
【図4】インナーシール部が開封され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図5】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図6】インナーシール部の展開平面図である。
【図7】(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、(B)は開封時における同様な断面図である。
【図8】本発明に係る蓋付き容器の第2実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8中、IX−IX線矢視断面図である。
【図10】インナーシール部が除去され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図11】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る蓋付き容器の第3実施形態を示す斜視図である。
【図13】図12の縦断面図である。
【図14】図12のインナーシール部が開封され、開蓋状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る蓋付き容器の第1実施形態を示す斜視図、図2は図1中、II−II線矢視断面図、図3は蓋付き容器の初期開蓋状態の断面図、図4はインナーシール部が開封され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図、図5は蓋体が再封された状態を示す断面図、図6はインナーシール部の展開平面図、図7(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、図7(B)は開封時における同様な断面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、本実施形態の蓋付き容器は、容器本体1と、この容器本体1の開口を開閉する蓋体2とを具備する。
【0034】
この容器本体1は、紙を主材料とする紙シートを円筒形に巻回し、その両端を重ね合わせて接着することにより形成される。その他、紙シートをスパイラル状に巻いたスパイラル管によって形成することも可能である。また、容器本体1はテーパの付いた又は逆テーパの付いた円筒形に形成することも可能である。
【0035】
紙シートとしては、例えば次のような層構成のものを使用することができる。
【0036】
なお、層構成は最初に掲げる層が容器本体の表面側であり、最後に掲げる層が容器本体の内面側である。紙シートを円筒形に巻回し、その両端を接着する場合は、例えば紙シートの最内層と最外層のポリエチレン樹脂層が熱接着剤として使用される。
【0037】
ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/ポリエチレンテレフタレート樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、高密度ポリエチレン樹脂層(フィルム)/ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエステル樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/エチレン−アクリル酸共重合体層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/蒸着アルミ層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/シリカ蒸着層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、紙のみ、紙層/ポリエチレン樹脂層。
【0038】
容器本体1の円筒形の上端はこの蓋付き容器の開口とされ、そこには内向きトップカール部3が形成される。この内向きトップカール部3の内周面と、蓋体2の後述する凸部4が嵌合される。
【0039】
この内向きトップカール部3によって容器本体1が補強される。また、トップカール部3が内向きに設けられることから、容器本体1の外周面からの突出物が低減する。
【0040】
容器本体1の底は、底蓋6で閉じられる。底蓋6も上記紙シートで円板型に形成され、容器本体1の下端に巻き締め等により取り付けられる。
【0041】
なお、容器本体1を形成する紙シートには、水蒸気吸着剤を含有する塗料を印刷等により塗布することによって水蒸気吸着層を予め形成しておくのが望ましい。これにより、容器本体1の紙層を透過する水蒸気を水蒸気吸着層で吸着し、容器本体1内の内容物aを湿気から保護することができる。
【0042】
一方、蓋体2は、軟質の合成樹脂から成形されることが好ましく、例えばポリエチレン樹脂を使用する場合には低密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂を使用する場合にはエチレンコンテントの大きいタイプが選択できる。加えて、前記ポリエチレン樹脂を使用する場合、ポリプロピレン樹脂を使用する場合、それらの樹脂にエチレンプロピレンゴム、スチレンプタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンドメインマドリックス)を含有させるようにしてもよい。このように、蓋体2が軟質の合成樹脂から成形されることから、この蓋付き容器は、初期密封性、再封性及び水蒸気バリア性に優れた容器となる。また、蓋体2が軟質の合成樹脂から成形されるので、複雑な形状に対応可能であり、蓋体2を可及的に薄くすることができるため、蓋付き容器としての紙の割合を増加させることができる。
【0043】
さらに、蓋体2の成形の際に、摘み片7も一体的に形成される。この摘み片7は例えば舌状に形成され、蓋体2が容器本体1に被せられた時に容器本体1の側面に引き剥がし可能に接着剤等により貼着される。この摘み片7は指で摘みやすいので、この蓋付き容器に易開封性を与えることができ、またピルファープルーフとして機能させることが可能である。
【0044】
そして、蓋体2には、閉蓋時に下方に突出し、蓋体2自体を補強するとともに、容器本体1の上部内面5内に繰り返し嵌合可能な嵌合凸部4が形成される。この嵌合凸部4は、成型機により切欠円形凹型に形成される。この凹型に形成されたものの内側が、蓋体2の天井面となるように切欠円形凸型に形成される。
【0045】
この蓋体2が容器本体1に開口の上から被せられると、図2に示すように、蓋体2の凸部4の外周面が容器本体1の上部内面5に密着する。これにより、蓋体2が容器本体1に大きな係合力によって固定され、蓋体2の閉止力が高められる。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5内に繰り返し嵌入可能である。これにより、この蓋付き容器に再封性が与えられ、容器本体1内に収納された内容物aの保存性が向上する。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5内に収まるようになっているので、容器本体1から外部への突出物が少なくなる。
【0046】
さらに、蓋体2は、図1及び図2に示すように、上記容器本体1にヒンジ片8によって連結される。このヒンジ片8は蓋体2を形成する合成樹脂に屈曲自在に一体形成される。図3に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片8が折れ曲がり、図4に示すように蓋体2から手を放しても、後述する折れ線8aによって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0047】
上記ヒンジ片8は、より具体的には、図1及び図2に示すように、蓋体2を形成する合成樹脂に上記折れ線8aを介して区分けされることによって形成される。この折れ線8aは合成樹脂から蓋体2を成形する際に同時に形成される。このヒンジ片8の縁が上記容器本体1の内向きトップカール部3の頂面に接着剤によって接合される。このように蓋体2の一部を利用してヒンジ片8が形成されることから、別途ヒンジを設ける手間を省き、蓋体2の大型化が防止されるとともに、容器全体の部品点数を削減することができる。
【0048】
開蓋に際しては、図3に示すように、蓋体2が折れ線8a上で折れ曲がる。また、開蓋の際に上記凸部4のヒンジ片8に対向した箇所がヒンジ片8から剥がれる。なお、このヒンジ片8に対応する箇所には凸部4を接着しないようにしておくことも可能である。このように蓋体2を開いた後も、蓋体2はヒンジ片8を介して容器本体1に屈曲自在に保持される。
【0049】
図2に示すように、容器本体1における蓋体2で閉じられた開口の奥側が、インナーシール部9で密封される。インナーシール部9は、必要に応じて設けられるもので、インナーシール部9が設けられることによって容器本体1の初期の密封性が高められる。
【0050】
図6に示すように、インナーシール部9はその展開平面が容器本体1の開口に対応するように円盤型に形成される。
【0051】
このインナーシール部9は、図7(A)に示すように、少なくとも内外二層の積層体で形成される。外層9aは例えばバリアフィルム/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、内層9bは例えばオレフィン系樹脂層/紙層/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、オレフィン系樹脂層同士を溶着させることにより、内外二層が重ね合わされる。
【0052】
また、外層9aには、図6及び図7(A)に示すように、引き裂き部10が切り込み線10a,10bによって形成される。切り込み線10a,10bは大小二つの円に沿って設けられ、二つの円間に環状の引き裂き部10が形成される。また、環状の引き裂き部10を横断する切り込み線10cも設けられ、この切り込み線10cによって環状の引き裂き部10に摘み部11が形成される。これらの切り込み線10a,10b,10cは望ましくはミシン目状に形成されるが、連続線として形成することも可能である。
【0053】
このインナーシール部9は、図6及び図7(A)中、二点鎖線よりも外側の部分が接着代9aとして例えば超音波により容器本体1の内周面にヒートシール接着される。
【0054】
インナーシール部9の開封に際しては、指等で摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、引き続き摘み部11を引っ張ることによって、図7(B)に示すように、環状の引き裂き部10がインナーシール部9から切除される。これにより、インナーシール部9が開封される。
【0055】
なお、上記容器本体1、蓋体2、インナーシール部9には、それらを構成する紙シートの例えばオレフィン系樹脂層、紙層、フィルム等所望の層には、必要に応じて所望の内容が印刷等によって外部から視認可能に表示される。
【0056】
なお、このインナーシール部9は、図示しないが摘み部が一体に形成されたイージーピール層を介して容器本体1に接合されるようにしてもよい。この場合には、インナーシール部9がイージーピール層を介して容器本体1に接合されていることにより、容器の開封のための操作性を向上させることができる。
【0057】
次に、上記構成の蓋付き容器の作用について説明する。
【0058】
図1及び図2に示す容器本体1及び蓋体2が用意され、また、図6に示すインナーシール部9のブランクが用意される。
【0059】
図2に示すように、まず、容器本体1内に粒状ガム等の内容物aが充填された後に、その開口がインナーシール部9によって閉じられる。インナーシール部9は、容器本体1内にその開口から挿入され、図6及び図7(A)に示す二点鎖線から外側のシール代9aが容器本体1の内面に押し付けられた後、超音波シール等により容器本体1の内面に接着される。
【0060】
次いで、合成樹脂から成形された蓋体2が容器本体1の開口に被せられ、容器本体1の内向きトップカール部3の内面側に蓋体2の凸部4が嵌め込まれる。また、同時に蓋体2内に設けられたヒンジ片8がトップカール部3に接着剤等により貼着され、摘み片7が容器本体1の側面に貼着される。この摘み片7は、必要に応じて容器本体1の側面に貼着することなく、解放状態にしておいてもよい。
【0061】
これにより、蓋付き容器の組立が完了し、市場に出荷される。
【0062】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図1および図2の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図3に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げる。
【0063】
この際、摘み片7がピルファープルーフ手段として機能するので、購入者等は摘み片7の状態を確認することで蓋付き容器が不正や改ざんがあったか否かについて判別することができる。
【0064】
購入者等が蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げると、図3に示すように、ヒンジ片8の折れ線8a上で蓋体2が折れ曲がる。また、蓋体2の凸部4が容器本体1の内向きトップカール部3の内面側から離脱すると同時に、凸部4がヒンジ片8に接着されている場合は、その部分のみヒンジ片8から剥がれる。これにより、容器本体1の開口が開放される。
【0065】
購入者等が蓋体2から指を離して蓋体2を解放すると、折れ線8aによって、図4に示すように、蓋体2が開放状態に保持される。
【0066】
そこで、購入者等が図7(A)に示す摘み部11に指を引掛ける等して摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、さらに摘み部11を引っ張ることによって、同図(B)の如く環状の引き裂き部10をインナーシール部9から切除する。これにより、図4の如くインナーシール部9が開封され、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0067】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図5に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0068】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図3に示す如く持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2は図4に示す如く折れ線8aによって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0069】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図5に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に閉姿勢のまま拘束される。
【0070】
かくて、この蓋付き容器は開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、蓋体2による容器本体1の繰り返し開閉が可能であるから、内容物aの小出しが可能になる。また、この蓋付き容器の容器本体1は紙シートで作製され、蓋体2が合成樹脂から成形されているので、両者の分別が極めて容易になり、よって廃棄処分も簡易に行うことができ、リサイクル化も可能である。
【0071】
なお、本実施形態では、容器本体1を円筒形に形成し、横断面形状を円形に形成したが、これに限らず横断面楕円形又は五角形以上の多角形に形成してもよい。以下の各実施形態も同様である。このように容器本体1の横断面を楕円形又は五角形以上の多角形に形成した場合には、蓋体2を開口する方向が規定されることとなる。
【0072】
(第2実施形態)
図8は本発明に係る蓋付き容器の第2実施形態を示す斜視図、図9は図8中、IX−IX線矢視断面図、図10はインナーシール部が除去され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図、図11は蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【0073】
なお、前記第1実施形態と同一又は対応する部分には、同一の符号を用いて説明する。その他の実施形態も同様とする。また、以下の各実施形態も前記第1実施形態と同様に容器本体1が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体が合成樹脂で成形されていることを基本構成とする。
【0074】
図9に示すように、第2実施形態に係る蓋付き容器においては、ヒンジ片12が蓋体2の周縁から突出するように合成樹脂に一体に形成される。
【0075】
図8及び図9に示すように、蓋体2は容器本体1にその開口上から被せられ、ヒンジ片12と摘み片7とが容器本体1の側面に貼着されることによって容器本体1に閉じ状態で固定される。この摘み片7は、必要に応じて容器本体1の側面に貼着することなく、解放状態にしておいてもよい。
【0076】
摘み片7を容器本体1から剥し、図10に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片12が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても蓋体2の自重によって蓋体2の開放状態が保持される。したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0077】
容器本体1における蓋体2の奥側にはインナーシール部13が設けられる。この第2実施形態におけるインナーシール部13は、例えばバリアフィルム/イージーピール層の積層構造を有する円形ブランクとして形成される。図9に示すように、インナーシール部13の外周には突出片13aが設けられる。
【0078】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図8および図9の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図10に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げヒンジ片12を支点にして容器本体1と反対側へと回すと、蓋体2はその自重により開放状態に保持される。
【0079】
そこで、購入者等がインナーシール部13の突出片13aに指を掛ける等して引っ張ると、インナーシール部13の全体が容器本体1から剥ぎ取られる。
【0080】
これにより、図10の如く容器本体1の開口が開き、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0081】
その後、購入者等が蓋体2を、ヒンジ片12を支点にして容器本体1の開口側に回し、蓋体2を容器本体1の開口側に押圧すると、図11に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0082】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図10に示す如く開ければよく、開けられた蓋体2はその自重によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0083】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1上へと回して開口側に押し付けるようにすればよく、図11に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。その他の構成及び作用は、前記第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0084】
なお、前記第1実施形態及び第2実施形態に係る蓋付き容器においては、種々の変更が可能である。例えば前記第1実施形態及び第2実施形態では、容器本体1の上端に内向きトップカール部3が形成されたが、これに限らず外向きトップカール部を形成してもよい。
【0085】
この場合には、摘み片7は外向きトップカール部の容器本体壁から半径方向外側に突出した箇所に貼着されるので、開封時に摘み片7を剥しやすくなるという利点がある。また、外向きトップカール部を容器本体1から半径方向外側に突出させることで、外向きトップカール部を容器本体1の保護体とすることができるという利点がある。
【0086】
また、前記第1実施形態及び第2実施形態に係る蓋付き容器において、円筒形の容器本体1からトップカール部を省略してもよい。
【0087】
この場合には、蓋体2及びヒンジ片12は前記第2実施形態と同じ構造のものが採用され、インナーシール部9は前記第1実施形態のものと同じ構造のものが採用される。
【0088】
(第3実施形態)
図12は本発明に係る蓋付き容器の第3実施形態を示す斜視図、図13は図12の縦断面図、図14は図12のインナーシール部が開封され、開蓋状態を示す縦断面図である。
【0089】
図12及び図13に示すように、この蓋付き容器は、上面に開口を備える容器本体1と、この容器本体1の開口を覆う蓋体2とを具備する。蓋体2は、合成樹脂により円筒状に形成され、周面部21と、この周面部21に一体に形成された天面部22とを有している。
【0090】
蓋体2は、図12及び図13に示すように、容器本体1の背面側上部にヒンジ24によって結合される。このヒンジ24は蓋体2に対して一体に形成される。図14に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ24が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても、蓋体2の重量によって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0091】
上記ヒンジ24は、図13に示すように、蓋体2に折れ線24aを介して区分けされることによって形成される。折れ線24aは合成樹脂から蓋体2を成形する際に同時に形成される。このヒンジ24の先端が容器本体1の背面側上部に接着剤、超音波又はヒートシールによって結合される。このように蓋体2にヒンジ24が形成されることから、別途ヒンジを設ける手間を省き、蓋体2の大型化が防止されるとともに、容器全体の部品点数を削減することができる。
【0092】
上記ヒンジ24の両側は、図12及び図14に示すように、それぞれ逆V字状の切欠部25,25が形成され、これらの切欠端部25a,25aから外側が幅28mmの幅広部26a,26aに形成されている。これら幅広部26a,26aの外側は、それぞれ緩やかな曲線部26b,26bを介して幅19mmの幅狭部26c,26cが形成されている。そして、幅狭部26cのヒンジ24と反対側の位置には、閉蓋時に容器本体1の外周面に当接する係合突起28が一体に形成されている。この係合突起28は、蓋体2が容器本体1に被せられた時に容器本体1の側面に引き剥がし可能に接着剤等により貼着され、ピルファープルーフとして機能させる。
【0093】
容器本体1の円筒形の上端はこの蓋付き容器の開口とされる一方、容器本体1の底は、底蓋6で閉じられる。底蓋6も前記第1実施形態と同様に紙シートで円板型に形成され、容器本体1の下端に巻き締め等により取り付けられる。
【0094】
すなわち、底蓋6は、図13に示すようにその外周端を下方に折り曲がるように絞り加工され、これにより底蓋6は図13においてその断面形状が下方に向けて開口する略「コ」の字形に形成される。この底蓋6の外周の折り曲げ部分を容器本体1の下端が外側から包み込むように接着されて、容器本体1の糸尻が形成される。
【0095】
蓋体2は、前記第1実施形態と同様に軟質の合成樹脂から成形されることが好ましく、例えばポリエチレン樹脂を使用する場合には低密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂を使用する場合にはエチレンコンテントの大きいタイプが選択できる。また、蓋体2は、容器本体1に繰り返し開閉自在である。これにより、この蓋付き容器に再封性が与えられ、容器本体1内に収納された内容物aの保存性が向上する。
【0096】
また、蓋体2は、係合突起28を介して蓋体2が容器本体1に確実に閉止されるため、蓋体2のロック機能を著しく向上させることができる。そして、閉蓋時に係合突起28が蓋体2の周面部21内に収まり外部に露出することがなくなるので、外観上の見栄えも良好になる。
【0097】
また、容器本体1を形成する紙シートには、水蒸気吸着剤を含有する塗料を印刷等により塗布することによって水蒸気吸着層を予め形成しておくのが望ましい。これにより、容器本体1の紙層を透過する水蒸気を水蒸気吸着層で吸着し、容器本体1内の内容物aを湿気から保護することができる。
【0098】
上記蓋体2は、図14に示すように容器本体1にヒンジ24によって結合される。図14に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ24が折れ線24aから折れ曲がり、蓋体2から手を放しても、蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0099】
また、ヒンジ24の両側は、逆V字状に切り欠いた切欠部25,25が形成され、その切欠端部25a,25aが開蓋時に容器本体1の周面部21に当接してその状態を保持することにより、ヒンジ24の弾性力によって蓋体2が自然に閉るようなことはなく、蓋体2の開状態を確実に保持することができる。
【0100】
図13に示すように、容器本体1における蓋体2の奥側にはインナーシール部13が設けられる。この第3実施形態におけるインナーシール部13は、例えばバリアフィルム/イージーピール層の積層構造を有する円形ブランクとして形成される。図13に示すように、インナーシール部13の外周には突出片13aが設けられる。
【0101】
このようにして、この蓋付き容器は開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、蓋体2による容器本体1の繰り返し開閉が可能であるから、内容物aの小出しが可能になる。また、この蓋付き容器は紙シートで作製されているので、廃棄処分も簡易に行うことができ、リサイクル化も可能である。
【0102】
このように本実施形態によれば、容器本体1が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体2が合成樹脂で成形され、蓋体2は、周面部21とこの周面部に一体に形成された天面部22とを有し、容器本体1の開口を外側から覆うことにより、容器本体1が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体2が合成樹脂で成形されているので、複雑な形状に対応可能であり、可及的に薄く成形可能であるため、より紙の割合を増加させることができる。そして、蓋体2のみを合成樹脂としたので、容器本体1との分別が容易で、廃棄し易くなる。さらに、蓋体2は容器本体1の開口を外側から覆うようにしたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。
【0103】
さらに、本実施形態によれば、蓋体2は、ヒンジ24の両側が逆V字状の切欠部25,25が形成され、その切欠端部25a,25aが開蓋時に容器本体1の周面部21に当接してその状態を保持することにより、従来の樹脂製の容器におけるようなヒンジの弾性力によって蓋体が自然に閉るようなことはなく、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、蓋体2で閉止される容器本体1の開口がインナーシール部13で密封されたことにより、容器の初期の密封性をさらに高めることができる。
【0105】
さらに、本実施形態によれば、蓋体2の周面部21は、ヒンジ24と反対側が幅狭に形成され、この幅狭部26cと逆V字状の切欠部25との間が幅広に形成されていることにより、開蓋時に幅狭部26cに指を掛けて開蓋操作するため、指の掛ける位置が特定され、開蓋操作性を高めることができる。
【0106】
なお、本発明は前記第1実施形態〜第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0107】
1…容器本体
2…蓋体
3…内向きトップカール部
4…凸部
5…容器本体の上部内面
8,12…ヒンジ片
8a…折れ線
9,13…インナーシール部
9a…外層
9b…内層
10…引き裂き部
10a,10b…切り込み線
21…周面部
22…天面部
24…ヒンジ
25…切欠部
28…係合突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体を合成樹脂で成形した蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状のガム、サプリメント、チョコレート等の包装には、専ら樹脂系の容器が用いられている。樹脂系の容器は初期密封性、リクローズ性、水蒸気バリア性等の機能面で優れていることによる。
【0003】
しかしながら、従来では、例えば特許文献1,2に開示された発明のように、環境及びリサイクル性、分別廃棄を考慮し、蓋材を樹脂系で成形するとともに、容器本体を紙シートで形成した複合容器がある。
【0004】
この特許文献1に開示された発明は、層間剥離可能なインナーシール材の周縁に合成樹脂製の蓋枠を一体に設けてなる蓋体を容器に被せ、この容器の開口縁部材に亘ってインナーシール材を超音波溶着して、インナーシール材で容器の開口を閉鎖したものである。
【0005】
また、特許文献2に開示された発明は、容器本体の開口周縁に開口縁部材を設け、蓋の外周に亘り、開口縁部材に係合する蓋枠部材を設け、この蓋枠部材に天板部材の折り罫線端部に対応する断裂部を設けて、該断列部間の円弧状部を、天板部材の開閉板部とともに引き起こし可能に設け、円弧状部に引き起こし手段を一体に連設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−110030号公報
【特許文献2】特開平8−324613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1,2に開示された発明では、容器本体の開口周縁に設けた開口縁部材は、容器本体を予め金型内に配置し、合成樹脂を注入してインジェクション成形するインサート成形により一体化し、容器本体の胴部の最外層、最内層の合成樹脂層に対して熱融着している。
【0008】
そのため、容器本体は合成樹脂と紙とで強固に固着されているため、これらを分別廃棄する場合に著しく手間がかかり、面倒になるという問題がある。
【0009】
また、特許文献1,2に開示された発明では、容器本体の開口周縁に設けた開口縁部材が合成樹脂から成形されているので、より合成樹脂を少なくして環境及びリサイクル性を高めることが望まれている。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、分別廃棄が極めて容易であり、リサイクル性、遮光性及び再封性に優れ、環境性に優れた蓋付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0012】
すなわち、請求項1に係る発明は、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、上面に開口を備える容器本体と、この容器本体の開口を覆う蓋体とを上記容器本体の背面側に上記蓋体のヒンジを介して結合し、上記容器本体に対して上記蓋体を開閉自在とした蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体は、周面部とこの周面部に一体に形成された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の蓋付き容器において、上記蓋体の上記ヒンジと反対側の位置に、閉蓋時に上記容器本体の外周面に当接する係合突起を一体に形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の蓋付き容器において、上記蓋体は、上記ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に上記容器本体の周面部に当接してその状態を保持することを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、請求項6に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、上記摘み部より外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成されたものであるから、容器本体が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体が合成樹脂で成形されているので、複雑な形状に対応可能であり、また可及的に薄く成形可能であるため、より紙の割合を増加させることができる。そして、蓋体のみを合成樹脂としたので、容器本体との分別が容易で、廃棄し易くなる。さらに、蓋体には容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が形成されたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。また、蓋体の凸部が容器本体の上部内面に収まるようになっているので、容器からの突起物が少なくなるという利点がある。
また、蓋体を容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、蓋体を構成する合成樹脂に形成されたので、別途、ヒンジ片を作製する手間を省き、容器全体の部品点数を削減することができる。
また、ヒンジ片が蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が容器本体に連結されることによって、蓋体がヒンジ片を介して屈曲自在とされたので、蓋体が開閉し易くなる。
また、容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、この内向きトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されるので、容器本体の外周面からの突出物を出来るだけ解消することができる。また、容器本体と蓋体の凸部との係合力を高め、蓋体の閉止力を高めることができる。
【0022】
請求項2に係る発明は、容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合される。したがって、外向きトップカール部を容器本体から突出させることで、容器本体の保護体とすることができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体は、周面部とこの周面部に一体に形成された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことにより、容器本体が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体が合成樹脂で成形されているので、複雑な形状に対応可能であり、可及的に薄く成形可能であるため、より紙の割合を増加させることができる。そして、蓋体のみを合成樹脂としたので、容器本体との分別が容易で、廃棄し易くなる。さらに、蓋体は容器本体の開口を外側から覆うようにしたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、蓋体のヒンジと反対側の位置に、閉蓋時に容器本体の外周面に当接する係合突起を一体に形成したので、その係合突起を介して蓋体が容器本体に確実に閉止されるため、蓋体のロック機能を著しく向上させることができる。また、閉蓋時に係合突起が外部に露出することがなくなるので、外観上の見栄えも良好になる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、蓋体は、ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に容器本体の周面部に当接してその状態を保持するので、ヒンジの弾性力によって蓋体が自然に閉るようなことはなく、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたので、容器の初期の密封性をさらに高めることができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、インナーシール部がイージーピール層を介して容器本体に接合されているので、容器の開封のための操作性が向上する。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、上記摘み部より外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたので、容器の密封性と開封のための操作性がさらに向上する。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、容器本体の内面に水蒸気吸着層が設けられたので、容器本体を透過する水蒸気を除去し、内容物を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る蓋付き容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1中、II−II線矢視断面図である。
【図3】蓋付き容器の初期開蓋状態の断面図である。
【図4】インナーシール部が開封され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図5】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図6】インナーシール部の展開平面図である。
【図7】(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、(B)は開封時における同様な断面図である。
【図8】本発明に係る蓋付き容器の第2実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8中、IX−IX線矢視断面図である。
【図10】インナーシール部が除去され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図11】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る蓋付き容器の第3実施形態を示す斜視図である。
【図13】図12の縦断面図である。
【図14】図12のインナーシール部が開封され、開蓋状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る蓋付き容器の第1実施形態を示す斜視図、図2は図1中、II−II線矢視断面図、図3は蓋付き容器の初期開蓋状態の断面図、図4はインナーシール部が開封され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図、図5は蓋体が再封された状態を示す断面図、図6はインナーシール部の展開平面図、図7(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、図7(B)は開封時における同様な断面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、本実施形態の蓋付き容器は、容器本体1と、この容器本体1の開口を開閉する蓋体2とを具備する。
【0034】
この容器本体1は、紙を主材料とする紙シートを円筒形に巻回し、その両端を重ね合わせて接着することにより形成される。その他、紙シートをスパイラル状に巻いたスパイラル管によって形成することも可能である。また、容器本体1はテーパの付いた又は逆テーパの付いた円筒形に形成することも可能である。
【0035】
紙シートとしては、例えば次のような層構成のものを使用することができる。
【0036】
なお、層構成は最初に掲げる層が容器本体の表面側であり、最後に掲げる層が容器本体の内面側である。紙シートを円筒形に巻回し、その両端を接着する場合は、例えば紙シートの最内層と最外層のポリエチレン樹脂層が熱接着剤として使用される。
【0037】
ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/ポリエチレンテレフタレート樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、高密度ポリエチレン樹脂層(フィルム)/ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエステル樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/エチレン−アクリル酸共重合体層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/蒸着アルミ層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/シリカ蒸着層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、紙のみ、紙層/ポリエチレン樹脂層。
【0038】
容器本体1の円筒形の上端はこの蓋付き容器の開口とされ、そこには内向きトップカール部3が形成される。この内向きトップカール部3の内周面と、蓋体2の後述する凸部4が嵌合される。
【0039】
この内向きトップカール部3によって容器本体1が補強される。また、トップカール部3が内向きに設けられることから、容器本体1の外周面からの突出物が低減する。
【0040】
容器本体1の底は、底蓋6で閉じられる。底蓋6も上記紙シートで円板型に形成され、容器本体1の下端に巻き締め等により取り付けられる。
【0041】
なお、容器本体1を形成する紙シートには、水蒸気吸着剤を含有する塗料を印刷等により塗布することによって水蒸気吸着層を予め形成しておくのが望ましい。これにより、容器本体1の紙層を透過する水蒸気を水蒸気吸着層で吸着し、容器本体1内の内容物aを湿気から保護することができる。
【0042】
一方、蓋体2は、軟質の合成樹脂から成形されることが好ましく、例えばポリエチレン樹脂を使用する場合には低密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂を使用する場合にはエチレンコンテントの大きいタイプが選択できる。加えて、前記ポリエチレン樹脂を使用する場合、ポリプロピレン樹脂を使用する場合、それらの樹脂にエチレンプロピレンゴム、スチレンプタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンドメインマドリックス)を含有させるようにしてもよい。このように、蓋体2が軟質の合成樹脂から成形されることから、この蓋付き容器は、初期密封性、再封性及び水蒸気バリア性に優れた容器となる。また、蓋体2が軟質の合成樹脂から成形されるので、複雑な形状に対応可能であり、蓋体2を可及的に薄くすることができるため、蓋付き容器としての紙の割合を増加させることができる。
【0043】
さらに、蓋体2の成形の際に、摘み片7も一体的に形成される。この摘み片7は例えば舌状に形成され、蓋体2が容器本体1に被せられた時に容器本体1の側面に引き剥がし可能に接着剤等により貼着される。この摘み片7は指で摘みやすいので、この蓋付き容器に易開封性を与えることができ、またピルファープルーフとして機能させることが可能である。
【0044】
そして、蓋体2には、閉蓋時に下方に突出し、蓋体2自体を補強するとともに、容器本体1の上部内面5内に繰り返し嵌合可能な嵌合凸部4が形成される。この嵌合凸部4は、成型機により切欠円形凹型に形成される。この凹型に形成されたものの内側が、蓋体2の天井面となるように切欠円形凸型に形成される。
【0045】
この蓋体2が容器本体1に開口の上から被せられると、図2に示すように、蓋体2の凸部4の外周面が容器本体1の上部内面5に密着する。これにより、蓋体2が容器本体1に大きな係合力によって固定され、蓋体2の閉止力が高められる。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5内に繰り返し嵌入可能である。これにより、この蓋付き容器に再封性が与えられ、容器本体1内に収納された内容物aの保存性が向上する。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5内に収まるようになっているので、容器本体1から外部への突出物が少なくなる。
【0046】
さらに、蓋体2は、図1及び図2に示すように、上記容器本体1にヒンジ片8によって連結される。このヒンジ片8は蓋体2を形成する合成樹脂に屈曲自在に一体形成される。図3に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片8が折れ曲がり、図4に示すように蓋体2から手を放しても、後述する折れ線8aによって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0047】
上記ヒンジ片8は、より具体的には、図1及び図2に示すように、蓋体2を形成する合成樹脂に上記折れ線8aを介して区分けされることによって形成される。この折れ線8aは合成樹脂から蓋体2を成形する際に同時に形成される。このヒンジ片8の縁が上記容器本体1の内向きトップカール部3の頂面に接着剤によって接合される。このように蓋体2の一部を利用してヒンジ片8が形成されることから、別途ヒンジを設ける手間を省き、蓋体2の大型化が防止されるとともに、容器全体の部品点数を削減することができる。
【0048】
開蓋に際しては、図3に示すように、蓋体2が折れ線8a上で折れ曲がる。また、開蓋の際に上記凸部4のヒンジ片8に対向した箇所がヒンジ片8から剥がれる。なお、このヒンジ片8に対応する箇所には凸部4を接着しないようにしておくことも可能である。このように蓋体2を開いた後も、蓋体2はヒンジ片8を介して容器本体1に屈曲自在に保持される。
【0049】
図2に示すように、容器本体1における蓋体2で閉じられた開口の奥側が、インナーシール部9で密封される。インナーシール部9は、必要に応じて設けられるもので、インナーシール部9が設けられることによって容器本体1の初期の密封性が高められる。
【0050】
図6に示すように、インナーシール部9はその展開平面が容器本体1の開口に対応するように円盤型に形成される。
【0051】
このインナーシール部9は、図7(A)に示すように、少なくとも内外二層の積層体で形成される。外層9aは例えばバリアフィルム/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、内層9bは例えばオレフィン系樹脂層/紙層/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、オレフィン系樹脂層同士を溶着させることにより、内外二層が重ね合わされる。
【0052】
また、外層9aには、図6及び図7(A)に示すように、引き裂き部10が切り込み線10a,10bによって形成される。切り込み線10a,10bは大小二つの円に沿って設けられ、二つの円間に環状の引き裂き部10が形成される。また、環状の引き裂き部10を横断する切り込み線10cも設けられ、この切り込み線10cによって環状の引き裂き部10に摘み部11が形成される。これらの切り込み線10a,10b,10cは望ましくはミシン目状に形成されるが、連続線として形成することも可能である。
【0053】
このインナーシール部9は、図6及び図7(A)中、二点鎖線よりも外側の部分が接着代9aとして例えば超音波により容器本体1の内周面にヒートシール接着される。
【0054】
インナーシール部9の開封に際しては、指等で摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、引き続き摘み部11を引っ張ることによって、図7(B)に示すように、環状の引き裂き部10がインナーシール部9から切除される。これにより、インナーシール部9が開封される。
【0055】
なお、上記容器本体1、蓋体2、インナーシール部9には、それらを構成する紙シートの例えばオレフィン系樹脂層、紙層、フィルム等所望の層には、必要に応じて所望の内容が印刷等によって外部から視認可能に表示される。
【0056】
なお、このインナーシール部9は、図示しないが摘み部が一体に形成されたイージーピール層を介して容器本体1に接合されるようにしてもよい。この場合には、インナーシール部9がイージーピール層を介して容器本体1に接合されていることにより、容器の開封のための操作性を向上させることができる。
【0057】
次に、上記構成の蓋付き容器の作用について説明する。
【0058】
図1及び図2に示す容器本体1及び蓋体2が用意され、また、図6に示すインナーシール部9のブランクが用意される。
【0059】
図2に示すように、まず、容器本体1内に粒状ガム等の内容物aが充填された後に、その開口がインナーシール部9によって閉じられる。インナーシール部9は、容器本体1内にその開口から挿入され、図6及び図7(A)に示す二点鎖線から外側のシール代9aが容器本体1の内面に押し付けられた後、超音波シール等により容器本体1の内面に接着される。
【0060】
次いで、合成樹脂から成形された蓋体2が容器本体1の開口に被せられ、容器本体1の内向きトップカール部3の内面側に蓋体2の凸部4が嵌め込まれる。また、同時に蓋体2内に設けられたヒンジ片8がトップカール部3に接着剤等により貼着され、摘み片7が容器本体1の側面に貼着される。この摘み片7は、必要に応じて容器本体1の側面に貼着することなく、解放状態にしておいてもよい。
【0061】
これにより、蓋付き容器の組立が完了し、市場に出荷される。
【0062】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図1および図2の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図3に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げる。
【0063】
この際、摘み片7がピルファープルーフ手段として機能するので、購入者等は摘み片7の状態を確認することで蓋付き容器が不正や改ざんがあったか否かについて判別することができる。
【0064】
購入者等が蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げると、図3に示すように、ヒンジ片8の折れ線8a上で蓋体2が折れ曲がる。また、蓋体2の凸部4が容器本体1の内向きトップカール部3の内面側から離脱すると同時に、凸部4がヒンジ片8に接着されている場合は、その部分のみヒンジ片8から剥がれる。これにより、容器本体1の開口が開放される。
【0065】
購入者等が蓋体2から指を離して蓋体2を解放すると、折れ線8aによって、図4に示すように、蓋体2が開放状態に保持される。
【0066】
そこで、購入者等が図7(A)に示す摘み部11に指を引掛ける等して摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、さらに摘み部11を引っ張ることによって、同図(B)の如く環状の引き裂き部10をインナーシール部9から切除する。これにより、図4の如くインナーシール部9が開封され、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0067】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図5に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0068】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図3に示す如く持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2は図4に示す如く折れ線8aによって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0069】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図5に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に閉姿勢のまま拘束される。
【0070】
かくて、この蓋付き容器は開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、蓋体2による容器本体1の繰り返し開閉が可能であるから、内容物aの小出しが可能になる。また、この蓋付き容器の容器本体1は紙シートで作製され、蓋体2が合成樹脂から成形されているので、両者の分別が極めて容易になり、よって廃棄処分も簡易に行うことができ、リサイクル化も可能である。
【0071】
なお、本実施形態では、容器本体1を円筒形に形成し、横断面形状を円形に形成したが、これに限らず横断面楕円形又は五角形以上の多角形に形成してもよい。以下の各実施形態も同様である。このように容器本体1の横断面を楕円形又は五角形以上の多角形に形成した場合には、蓋体2を開口する方向が規定されることとなる。
【0072】
(第2実施形態)
図8は本発明に係る蓋付き容器の第2実施形態を示す斜視図、図9は図8中、IX−IX線矢視断面図、図10はインナーシール部が除去され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図、図11は蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【0073】
なお、前記第1実施形態と同一又は対応する部分には、同一の符号を用いて説明する。その他の実施形態も同様とする。また、以下の各実施形態も前記第1実施形態と同様に容器本体1が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体が合成樹脂で成形されていることを基本構成とする。
【0074】
図9に示すように、第2実施形態に係る蓋付き容器においては、ヒンジ片12が蓋体2の周縁から突出するように合成樹脂に一体に形成される。
【0075】
図8及び図9に示すように、蓋体2は容器本体1にその開口上から被せられ、ヒンジ片12と摘み片7とが容器本体1の側面に貼着されることによって容器本体1に閉じ状態で固定される。この摘み片7は、必要に応じて容器本体1の側面に貼着することなく、解放状態にしておいてもよい。
【0076】
摘み片7を容器本体1から剥し、図10に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片12が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても蓋体2の自重によって蓋体2の開放状態が保持される。したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0077】
容器本体1における蓋体2の奥側にはインナーシール部13が設けられる。この第2実施形態におけるインナーシール部13は、例えばバリアフィルム/イージーピール層の積層構造を有する円形ブランクとして形成される。図9に示すように、インナーシール部13の外周には突出片13aが設けられる。
【0078】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図8および図9の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図10に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げヒンジ片12を支点にして容器本体1と反対側へと回すと、蓋体2はその自重により開放状態に保持される。
【0079】
そこで、購入者等がインナーシール部13の突出片13aに指を掛ける等して引っ張ると、インナーシール部13の全体が容器本体1から剥ぎ取られる。
【0080】
これにより、図10の如く容器本体1の開口が開き、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0081】
その後、購入者等が蓋体2を、ヒンジ片12を支点にして容器本体1の開口側に回し、蓋体2を容器本体1の開口側に押圧すると、図11に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0082】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図10に示す如く開ければよく、開けられた蓋体2はその自重によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0083】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1上へと回して開口側に押し付けるようにすればよく、図11に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。その他の構成及び作用は、前記第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0084】
なお、前記第1実施形態及び第2実施形態に係る蓋付き容器においては、種々の変更が可能である。例えば前記第1実施形態及び第2実施形態では、容器本体1の上端に内向きトップカール部3が形成されたが、これに限らず外向きトップカール部を形成してもよい。
【0085】
この場合には、摘み片7は外向きトップカール部の容器本体壁から半径方向外側に突出した箇所に貼着されるので、開封時に摘み片7を剥しやすくなるという利点がある。また、外向きトップカール部を容器本体1から半径方向外側に突出させることで、外向きトップカール部を容器本体1の保護体とすることができるという利点がある。
【0086】
また、前記第1実施形態及び第2実施形態に係る蓋付き容器において、円筒形の容器本体1からトップカール部を省略してもよい。
【0087】
この場合には、蓋体2及びヒンジ片12は前記第2実施形態と同じ構造のものが採用され、インナーシール部9は前記第1実施形態のものと同じ構造のものが採用される。
【0088】
(第3実施形態)
図12は本発明に係る蓋付き容器の第3実施形態を示す斜視図、図13は図12の縦断面図、図14は図12のインナーシール部が開封され、開蓋状態を示す縦断面図である。
【0089】
図12及び図13に示すように、この蓋付き容器は、上面に開口を備える容器本体1と、この容器本体1の開口を覆う蓋体2とを具備する。蓋体2は、合成樹脂により円筒状に形成され、周面部21と、この周面部21に一体に形成された天面部22とを有している。
【0090】
蓋体2は、図12及び図13に示すように、容器本体1の背面側上部にヒンジ24によって結合される。このヒンジ24は蓋体2に対して一体に形成される。図14に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ24が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても、蓋体2の重量によって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0091】
上記ヒンジ24は、図13に示すように、蓋体2に折れ線24aを介して区分けされることによって形成される。折れ線24aは合成樹脂から蓋体2を成形する際に同時に形成される。このヒンジ24の先端が容器本体1の背面側上部に接着剤、超音波又はヒートシールによって結合される。このように蓋体2にヒンジ24が形成されることから、別途ヒンジを設ける手間を省き、蓋体2の大型化が防止されるとともに、容器全体の部品点数を削減することができる。
【0092】
上記ヒンジ24の両側は、図12及び図14に示すように、それぞれ逆V字状の切欠部25,25が形成され、これらの切欠端部25a,25aから外側が幅28mmの幅広部26a,26aに形成されている。これら幅広部26a,26aの外側は、それぞれ緩やかな曲線部26b,26bを介して幅19mmの幅狭部26c,26cが形成されている。そして、幅狭部26cのヒンジ24と反対側の位置には、閉蓋時に容器本体1の外周面に当接する係合突起28が一体に形成されている。この係合突起28は、蓋体2が容器本体1に被せられた時に容器本体1の側面に引き剥がし可能に接着剤等により貼着され、ピルファープルーフとして機能させる。
【0093】
容器本体1の円筒形の上端はこの蓋付き容器の開口とされる一方、容器本体1の底は、底蓋6で閉じられる。底蓋6も前記第1実施形態と同様に紙シートで円板型に形成され、容器本体1の下端に巻き締め等により取り付けられる。
【0094】
すなわち、底蓋6は、図13に示すようにその外周端を下方に折り曲がるように絞り加工され、これにより底蓋6は図13においてその断面形状が下方に向けて開口する略「コ」の字形に形成される。この底蓋6の外周の折り曲げ部分を容器本体1の下端が外側から包み込むように接着されて、容器本体1の糸尻が形成される。
【0095】
蓋体2は、前記第1実施形態と同様に軟質の合成樹脂から成形されることが好ましく、例えばポリエチレン樹脂を使用する場合には低密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂を使用する場合にはエチレンコンテントの大きいタイプが選択できる。また、蓋体2は、容器本体1に繰り返し開閉自在である。これにより、この蓋付き容器に再封性が与えられ、容器本体1内に収納された内容物aの保存性が向上する。
【0096】
また、蓋体2は、係合突起28を介して蓋体2が容器本体1に確実に閉止されるため、蓋体2のロック機能を著しく向上させることができる。そして、閉蓋時に係合突起28が蓋体2の周面部21内に収まり外部に露出することがなくなるので、外観上の見栄えも良好になる。
【0097】
また、容器本体1を形成する紙シートには、水蒸気吸着剤を含有する塗料を印刷等により塗布することによって水蒸気吸着層を予め形成しておくのが望ましい。これにより、容器本体1の紙層を透過する水蒸気を水蒸気吸着層で吸着し、容器本体1内の内容物aを湿気から保護することができる。
【0098】
上記蓋体2は、図14に示すように容器本体1にヒンジ24によって結合される。図14に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ24が折れ線24aから折れ曲がり、蓋体2から手を放しても、蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0099】
また、ヒンジ24の両側は、逆V字状に切り欠いた切欠部25,25が形成され、その切欠端部25a,25aが開蓋時に容器本体1の周面部21に当接してその状態を保持することにより、ヒンジ24の弾性力によって蓋体2が自然に閉るようなことはなく、蓋体2の開状態を確実に保持することができる。
【0100】
図13に示すように、容器本体1における蓋体2の奥側にはインナーシール部13が設けられる。この第3実施形態におけるインナーシール部13は、例えばバリアフィルム/イージーピール層の積層構造を有する円形ブランクとして形成される。図13に示すように、インナーシール部13の外周には突出片13aが設けられる。
【0101】
このようにして、この蓋付き容器は開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、蓋体2による容器本体1の繰り返し開閉が可能であるから、内容物aの小出しが可能になる。また、この蓋付き容器は紙シートで作製されているので、廃棄処分も簡易に行うことができ、リサイクル化も可能である。
【0102】
このように本実施形態によれば、容器本体1が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、蓋体2が合成樹脂で成形され、蓋体2は、周面部21とこの周面部に一体に形成された天面部22とを有し、容器本体1の開口を外側から覆うことにより、容器本体1が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体2が合成樹脂で成形されているので、複雑な形状に対応可能であり、可及的に薄く成形可能であるため、より紙の割合を増加させることができる。そして、蓋体2のみを合成樹脂としたので、容器本体1との分別が容易で、廃棄し易くなる。さらに、蓋体2は容器本体1の開口を外側から覆うようにしたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。
【0103】
さらに、本実施形態によれば、蓋体2は、ヒンジ24の両側が逆V字状の切欠部25,25が形成され、その切欠端部25a,25aが開蓋時に容器本体1の周面部21に当接してその状態を保持することにより、従来の樹脂製の容器におけるようなヒンジの弾性力によって蓋体が自然に閉るようなことはなく、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、蓋体2で閉止される容器本体1の開口がインナーシール部13で密封されたことにより、容器の初期の密封性をさらに高めることができる。
【0105】
さらに、本実施形態によれば、蓋体2の周面部21は、ヒンジ24と反対側が幅狭に形成され、この幅狭部26cと逆V字状の切欠部25との間が幅広に形成されていることにより、開蓋時に幅狭部26cに指を掛けて開蓋操作するため、指の掛ける位置が特定され、開蓋操作性を高めることができる。
【0106】
なお、本発明は前記第1実施形態〜第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0107】
1…容器本体
2…蓋体
3…内向きトップカール部
4…凸部
5…容器本体の上部内面
8,12…ヒンジ片
8a…折れ線
9,13…インナーシール部
9a…外層
9b…内層
10…引き裂き部
10a,10b…切り込み線
21…周面部
22…天面部
24…ヒンジ
25…切欠部
28…係合突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、
上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、
上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、
上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、
上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、
上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、
上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、
上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、
上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項3】
上面に開口を備える容器本体と、この容器本体の開口を覆う蓋体とを上記容器本体の背面側に上記蓋体のヒンジを介して結合し、上記容器本体に対して上記蓋体を開閉自在とした蓋付き容器において、
上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体は、周面部とこの周面部に一体に形成された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項4】
請求項3に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体の上記ヒンジと反対側の位置に、閉蓋時に上記容器本体の外周面に当接する係合突起を一体に形成したことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項5】
請求項3に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体は、上記ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に上記容器本体の周面部に当接してその状態を保持することを特徴とする蓋付き容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の蓋付き容器において、
上記容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項7】
請求項6に記載の蓋付き容器において、
上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項8】
請求項6に記載の蓋付き容器において、
上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、上記摘み部より外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の蓋付き容器において、
上記容器本体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項1】
容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、
上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、
上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、
上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、
上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、
上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が一体に形成され、
上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体と一体に形成され、
上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされ、
上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項3】
上面に開口を備える容器本体と、この容器本体の開口を覆う蓋体とを上記容器本体の背面側に上記蓋体のヒンジを介して結合し、上記容器本体に対して上記蓋体を開閉自在とした蓋付き容器において、
上記容器本体が紙を主材料とする紙シートで形成される一方、上記蓋体が合成樹脂で成形され、上記蓋体は、周面部とこの周面部に一体に形成された天面部とを有し、上記容器本体の開口を外側から覆うことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項4】
請求項3に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体の上記ヒンジと反対側の位置に、閉蓋時に上記容器本体の外周面に当接する係合突起を一体に形成したことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項5】
請求項3に記載の蓋付き容器において、
上記蓋体は、上記ヒンジの両側が逆V字状に切り欠いて形成され、その切欠端部が開蓋時に上記容器本体の周面部に当接してその状態を保持することを特徴とする蓋付き容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の蓋付き容器において、
上記容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項7】
請求項6に記載の蓋付き容器において、
上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項8】
請求項6に記載の蓋付き容器において、
上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、上記摘み部より外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の蓋付き容器において、
上記容器本体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−75726(P2013−75726A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−16874(P2013−16874)
【出願日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【分割の表示】特願2008−153493(P2008−153493)の分割
【原出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【分割の表示】特願2008−153493(P2008−153493)の分割
【原出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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