説明

蓋付容器

【課題】シート成形された蓋付容器において閉蓋時には高い密閉性を確保できるようにする。また、蓋体の取り付け取り外し時に、指先に傷が付くのを防止する。
【解決手段】容器本体20は上方開口部21を備える。蓋体10は蓋体側スカート部14を備え、蓋体側スカート部14には内側に向けて突出する2個以上の突部15が形成されている。容器側スカート部23には蓋体10を取り付けるときに突部15を下方に向けて案内する第1案内面30が形成されており、蓋をするときに、突起15が下方に引き込まれて、蓋体10が容器本体20側に引き込まれる。それにより、容器内側壁部22と蓋内側壁部12との間に形成されたシール部は圧接された状態となり、高い密封性が確保される。また、蓋体側スカート部14の長さを長くして、蓋の取り付け取り外しの操作時に、蓋体側スカート部14の下方部で容器側スカート部14の下端が覆われるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂によって成形される蓋付容器は、スーパーマーケット・コンビニエンスストアなどにおいて、弁当・惣菜・保存食品等を入れるものとして大量に製造および消費されている。これらの蓋付容器は、一回の使用のみを考慮して製造されているものが多い。しかしながら、食品によっては、一度で使い切れないもの(例えば、梅干し、ラッキョウ、キャビア、イクラ、フルーツ、ドライフルーツ、サラダなど)があるため、蓋付容器を複数回に渡って使用したい要望がある。
【0003】
この場合に重要となるのは、蓋の密閉性である。そのために、上方開口部を有する容器本体と、前記容器本体の上方開口部に着脱自在に取り付けられる蓋体とによって構成される蓋付容器において、蓋体を容器本体に取り付けたときに蓋体の周縁部と容器本体の上方開口部との間に周方向の簡易なシール部が形成されるようにした蓋付容器が、特許文献1および特許文献2などに記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−099288号公報
【特許文献2】特開平8−295356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の蓋付容器は、ネジ接合を利用したものであり、シート成形品である容器本体側のスカート部に本体側ネジ段部と嵌合部を形成し、同じくシート成形品である蓋体側における前記容器本体のスカート部に対向する位置に形成されたスカート部に、本体側ネジ段部と同じ形状の蓋体側ネジ段部と嵌合部とを形成することで、容器本体に対して蓋体を着脱自在に取り付けるようにしている。そして、容器本体のネジ段部を蓋体のネジ段部と螺合させ、さらに容器本体側の嵌合部と蓋体側の嵌合部とを係合もしくは嵌合させることで、両者の間にシール部が形成され、密閉性を確保できる、とされている。さらに、前記嵌合部が互いに嵌合し合うことで、容器本体と蓋体との両スカート部が互いに密着し合うようになり、より高い密閉性を確保できる、とされている。
【0006】
しかし、特許文献1では、シート成形によって形成される容器本体側の嵌合部は、容器本体の外側スカート部に形成されている。したがって、これに係合させるための蓋体の嵌合部もまた蓋体外側スカート部に設けられることになる。このようにシート成形によって形成される容器本体および蓋体において、外側スカート部は強度が弱く変形しやすいので、この外側スカート部で嵌合する構成では、十分な密閉性を発揮することができない。また、容器本体の外側スカート部と蓋体の外側スカート部に互いにネジ段部を設け、これらネジ段部を互いに係合しても、前述と同じ理由で十分な密閉性が得られない。さらに、これら嵌合部とネジ段部との両方を組み合わせてもなお、シート成形によって形成された容器本体および蓋体の外側スカート部は容易に変形しやすい部位であることから、やはり十分な密閉性が得られない。
【0007】
加えて、シート成形によって形成される容器本体および蓋体のスカート部に互いにネジ係合できるように、同じ形状のネジ段部を形成することは容易でなく、形状が同じに成形できなければ、この場合もまた、十分な密閉性が得られない。
【0008】
特許文献2の蓋付容器は、容器本体部もしくは蓋部のいずれか一方の水平フランジ部に全周にわたって密閉のための突状体を形成し、他方には閉蓋時に前記突状体が嵌合される密閉のための溝が全周にわたって形成されていることを特徴としている。さらに、蓋部を容器本体部から取り外す際に、この突状体を上方向に案内して、蓋部を取り外す方向に誘導するための突状体案内部とを備えている。
【0009】
しかしながら、上記構造の突状と溝だけでは、容器本体と蓋部とを強く圧接することができず、高い密閉性を確保することはできない。なぜなら、特許文献2に記載の容器に設けられる突状体案内部は、突状体を上方向に案内して蓋部を取り外す方向に誘導することができても、閉蓋時に、蓋と容器本体とを圧接することはできない構成であり、蓋体に形成したフランジ部を下方に押し付ける力、すなわちフランジ部を容器本体に形成したフランジ部の面に押し付ける力が作用しないからである。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えばシート成形された蓋付容器であっても、成形が容易でありながら、閉蓋時には十分な密閉性を容易かつ確実に確保でき、かつ、蓋の着脱操作が容易にできる蓋付容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決すべく、本発明者らは多くの実験を行うことにより、容器本体の内側壁部に蓋体の一部を圧接させるようにする場合、容器本体の内側壁部は変形し難いことから、高い密封性が得られることを知見した。また、容器本体の外側スカートに案内面を形成して蓋体に形成した突起を該案内面に沿って移動させることで、容器本体と蓋体との間に高い圧接状態を安定的に形成できることを知見した。本発明は、上記の知見に基づいている。
【0012】
すなわち、本発明にかかる蓋付容器の第1の形態は、ほぼ円形の上方開口部を有する容器本体と、前記容器本体の上方開口部に着脱自在に取り付けられる蓋体とによって構成され、蓋体を容器本体に取り付けたときに蓋体の周縁部と容器本体の前記上方開口部との間に周方向の液密なシール部が形成される蓋付容器であって、前記容器本体の上方開口部は、容器本体の側壁に連続した容器内側壁部と、該容器内側壁部の上端から水平方向に延在する第1のフランジ部と、該第1のフランジ部の外側端から下方に向けて延在する容器側スカート部とを少なくとも備え、前記蓋体の周縁部は、蓋体を容器本体に取り付けたときに、前記容器内側壁部と全周にわたって当接することのできる領域を持つ蓋内側壁部と、該蓋内側壁部の上端から水平方向に延在する第2のフランジ部と、該第2のフランジ部の外側端から下方に向けて延在する蓋体側スカート部とを少なくとも備え、さらに、前記蓋体側スカート部には内側に向けて突出する2個以上の突部が形成されており、前記蓋体側スカート部に形成した前記突部の下縁側を前記容器本体の上方開口部に形成した前記第1のフランジ部に当接させた状態で、前記容器側スカート部の下端が前記蓋体側スカート部の下端よりも下方に位置するように容器側スカート部が形成されており、前記容器本体の前記容器側スカート部には、蓋体を取り付けるときに前記蓋体側スカート部に形成した前記突部を下方に向けて案内することのできる第1案内面が形成されており、蓋体を閉めるときに前記突部が前記第1案内面によって下方に向けて案内されることで、蓋体は下方に向けて引き込まれ、それにより、前記容器内側壁部と前記蓋内側壁部との間に形成された前記シール部が圧接された状態となり、シール部に高い密封性が確保されることを特徴とする。
【0013】
上記の蓋付容器では、蓋閉め時に、蓋体に形成した突部が、容器側スカート部に形成した前記第1案内面によって下方に向けて案内されることで、蓋体は下方に向けて引き込まれる。そして、その引き込みによって、蓋内側壁部における前記した容器内側壁部と全周にわたって当接することのできる領域と容器内側壁部とは互いに圧接した状態となる。そして、そのために、容器内側壁部と蓋内側壁部との間には、高い密封性を備えた周方向の液密なシール部が形成される。
【0014】
また、蓋を閉める操作は、蓋体に形成した突部が、容器側スカート部に形成した第1案内面によって下方に向けて案内される構成であることから、単に蓋体を締め付け方向に回動するだけでよく、回動を終了した時点では、前記した高い密封性を備えた周方向の液密なシール部が形成されることとなる。
【0015】
さらに、本発明による蓋付容器では、周方向の液密なシール部が、前記したように、スカート部ではなく、容器本体の側壁に連続した容器内側壁部に形成される。容器本体の側壁に連続している容器内側壁部の部分は、容器本体の上端から外側下方に向けて形成されるスカート部と比較して、外力による変形が生じ難い領域であり、蓋をした後で、液密なシール部に破壊が生じるのを高い確率で阻止することができる。
【0016】
さらに、蓋を取り付けるときには、一方の手で容器本体を把持し、他方の手で蓋体を上から把持した状態で、蓋体を容器本体の上方開口部に載った姿勢とし、その状態で蓋体を締め付け方向に回動させる。また、蓋体を容器本体の上方開口部に載せた姿勢では、蓋体側スカート部に形成した前記突部の下縁側が容器本体の上方開口部に形成した前記第1のフランジ部に当接した状態となる。上記第1の形態の蓋付容器では、その状態で、蓋体側スカート部の下端が容器側スカート部の下端よりも下方に位置するように蓋体側スカート部が形成されており、蓋の締め付け開始時から締め付け終了時までの間に、蓋体を把持している人の指先が容器側スカート部の下端縁に触れることはない。特に、蓋を取り付けるときに、蓋体を回動するのに要する力は、蓋体側スカート部に形成した前記突部が前記第1案内面によって下方に向けて案内されるときにそれまでよりは大きくなり、指先に比較してそれまでよりも大きな力が加わるが、前記のように、蓋の締め付け開始時から締め付け終了時までの間に、蓋体を把持している人の指先が容器側スカート部の下端縁に触れることはないので、指先に力が加わっても容器側スカート部の下端縁に接して傷が付くようなことは起こらない。
【0017】
また、蓋を取り外すときも、蓋体が容器本体に対してフリーの状態となるまで、すなわち、蓋体側スカート部に形成した前記突部の下縁側が容器本体の上方開口部に形成した前記第1のフランジ部の上面から離れる状態となるまで、蓋体を把持している人の指先が容器側スカート部の下端縁に触れることはない。第1の形態の蓋付容器では、特に蓋を取り外すときに、蓋体側スカート部に形成した前記突部の下縁側が容器本体の上方開口部に形成した前記第1のフランジ部の上面に当接した状態で、さらに周方向に蓋体を回動させることが起こり得る。しかし、第1の形態の蓋付容器では、その状態で、前記のように蓋体側スカート部の下端は容器側スカート部の下端よりも下方に位置するように蓋体側スカート部が長く形成されているので、容器側スカート部の下端が露出した状態となることはなく、そのために、蓋を取り外すために蓋を回動するときにも、蓋体を把持している人の指先が不用意に容器側スカート部の下端縁に触れてしまうのを回避できる。それにより、容器側スカート部の下端縁で指先に傷を付けるようなことは起こらない。
【0018】
また、第1の形態の蓋付容器では、第1と第2の水平方向のフランジ部を備えることで、容器本体の上方開口部および蓋体の周縁部を、外力による変形を受けがたいものとすることができ、前記した液密なシール部に破壊が生じるのを一層高い確率で阻止することができる。さらに、上記の形態において、蓋体を閉めるときに前記突部が第1案内面によって下方に向けて案内されることで蓋体が下方に向けて引き込まれたときに、第1のフランジ部と第2のフランジ部とが圧接した状態となるようにすることもできる。2つのフランジ部が圧接状態となることで、その領域にも、周方向の液密なシール部が第2のシール部として形成されることとなり、一層密封性の高い蓋付容器が得られる。
【0019】
本発明にかかる蓋付容器の第2の形態は、ほぼ円形の上方開口部を有する容器本体と、前記容器本体の上方開口部に着脱自在に取り付けられる蓋体とによって構成され、蓋体を容器本体に取り付けたときに蓋体の周縁部と容器本体の前記上方開口部との間に周方向の液密なシール部が形成される蓋付容器であって、前記容器本体の上方開口部は、容器本体の側壁に連続した容器内側壁部と、該容器内側壁部の上端から下方に向けて延在する容器側スカート部とを少なくとも備え、前記蓋体の周縁部は、蓋体を容器本体に取り付けたときに、前記容器内側壁部と全周にわたって当接することのできる領域を持つ蓋内側壁部と、該蓋内側壁部の上端から下方に向けて延在する蓋体側スカート部とを少なくとも備え、さらに、前記蓋体側スカート部には内側に向けて突出する2個以上の突部が形成されており、前記容器本体の前記容器側スカート部には、蓋体を取り付けるときに前記蓋体側スカート部に形成した前記突部を下方に向けて案内することのできる第1案内面と、容器本体に取り付けられた蓋体を取り外すときに、前記突部の下縁側が接した姿勢で突部を上方向けて案内することのできる第2案内面とが形成されており、前記第2案内面は一部に前記容器内側壁部の上端とほぼ平行となった水平領域を有し、前記蓋体側スカート部の前記突起の下縁側を前記第2案内面の前記水平領域に当接させた状態で、前記容器側スカート部の下端が前記蓋体側スカート部の下端よりも下方に位置するように容器側スカート部が形成されており、蓋体を閉めるときに前記突部が前記第1案内面によって下方に向けて案内されることで、蓋体は下方に向けて引き込まれ、それにより、前記容器内側壁部と前記蓋内側壁部との間に形成された前記シール部が圧接された状態となり、シール部に高い密封性が確保されることを特徴とする。
【0020】
上記第2の形態の蓋付容器において、蓋を取り付けるときの挙動は前記第1の形態の蓋付容器とほぼ同様であるが、蓋体を取り外すときの挙動において相違がある。すなわち、第2の形態の蓋付容器では、容器側スカート部に前記突部の下縁側が接した姿勢で該突部を上方に向けて案内することのできる第2案内面が形成され、前記第2案内面は一部に容器内側壁部の上端とほぼ平行となった水平領域を有している。蓋を取り外すときに、蓋体側スカート部に形成した突部が第2案内面によって上方に向けて案内されるので、蓋を取り外すときの操作がきわめて容易となる。また、その過程で、前記突起が前記水平領域を通過することで、取り外し操作の安定性も確保できる。
【0021】
もちろん、蓋を閉めるときに前記第2案内面を前記突部の下縁側の案内面として利用するもこともできるので、蓋を閉める操作もより容易となる。また、蓋を閉めるときに、前記突部の下縁側を前記水平領域の上に載せ、その状態から蓋体を締め付け方向に回動させることで、突部を前記第1案内面の位置まで容易に案内することができる。
【0022】
第2の形態の蓋付容器でも、蓋を取り付けるとき、あるいは蓋を取り外すときに、蓋体を把持している人の指先が容器側スカート部の下端縁に触れて指先に傷が付くのを回避することができる。すなわち、第2の形態の蓋付容器では、蓋を取り付けるときには、前記凸部を前記第2案内面に形成された前記水平領域から前記第1の案内面に沿って移動させるように蓋体を回動するときに、また、蓋体を取り外し時には、前記凸部を前記第1の案内面から前記第2案内面に形成された前記水平領域まで移動させるように蓋体を回動するときに、蓋体を把持している指先に大きな力が加わることとなるが、第2の形態の蓋付容器では、蓋体側スカート部の前記突起の下縁側が前記第2案内面の前記水平領域に当接した状態で、蓋体側スカート部の下端が容器側スカート部の下端よりも下方に位置するように蓋体側スカート部が形成されており、指先に力が加わっている状態のときに、指先が容器側スカート部の下端縁に触れることはない。そのために、第2の形態の蓋付容器でも、蓋体の締め付け時や取り外し時に、指先に傷を付けるようなことは起こらない。
【0023】
第2の形態の蓋付容器の好ましい態様において、前記第2案内面の前記水平領域の上方には前記第1案内面が存在しないようにされる。この形態では、前記水平領域の上方は、前記第1案内面が存在しないことで、上方に開放した状態となっており、蓋を閉めるときに、その突部の下縁側を前記水平領域の上に容易に載せることができる。そして、その状態から蓋体を締め付け方向に回動させることで、前記突部を前記第1案内面の位置まで容易に案内することができる。
【0024】
前記した第1および第2の形態の蓋付容器において、周方向の液密なシール部を形成するための具体的な態様に制限はないが、例として、容器内側壁部および蓋内側壁部は円筒面または上方に拡開する円錐面であり、そこにおいて、(A)蓋内側壁部の上端の半径をr1、容器内側壁部の上端の半径をr3、垂直な中心線に対する容器内側壁部の傾斜角度をθ1および蓋内側壁部12の傾斜角度をθ2としたときに、r1≧r3でであって0°≦θ1<θ2とする態様、(B)r1≦r3であってθ1>θ2≧0°とする態様、(C)r1>r3であってほぼθ1=θ2でありかつ0°でない態様、など挙げられる。
【0025】
さらに、第1および第2の形態の蓋付容器において、前記蓋体の蓋体側スカート部に複数個の縦方向の補強リブを形成してもよい。この形態では蓋体の蓋体側スカート部の強度を大きくすることができ、それにより、蓋体の変形を防止し、かつ蓋体の着脱操作時にすべり難くすることができる。
【0026】
さらに、第1および第2の形態の蓋付容器において、容器本体と蓋体はともに合成樹脂シートからのシート成形品である。前記のように、本発明による蓋付容器では、容器本体側の容器側スカート部に、蓋体に形成した突部を案内する第1案内面を備えており、容器本体と蓋体がともにシート成形品のように外力により変形しやすい形状のものであっても、蓋締め操作を安定的に、かつ確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、合成樹脂の薄肉シートを成形した蓋付容器に高い密閉性を付与することができる。さらに、容易に繰り返し蓋体の着脱操作ができ、そのときに、蓋体を把持する指先に傷が付くようなこともない蓋付容器を得ることができる。また、従来容器に比べて成形することも容易な蓋付容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による蓋付容器の一形態を容器本体と蓋体とを分離した状態で示す斜視図。
【図2】図1の側面図。
【図3】蓋をした状態の蓋付容器を示す図。
【図4】本発明による蓋付容器の要部を示す断面図。
【図5】図1に示す蓋付容器の要部を示す拡大図。
【図6】本発明によるさらに他の形態の蓋付容器の要部を示す拡大図。
【図7】蓋体側スカート部の長さとその作用効果を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を参照して説明する。蓋付容器1は、蓋体10と、その蓋体10がその上方開口部21を覆うようにして取り付けられる容器本体20とで構成される。限定されないが、この例で、蓋体10と容器本体20は、厚さ0.2〜1.0mm程度の薄肉の合成樹脂シートを熱成形して得られるシート成形品である。
【0030】
この実施の形態において、蓋体10は、円形もしくはほぼ円形であり、蓋天面部10aと、蓋天面部10aに連続する周縁部11とを備える。そして、前記周縁部11は、蓋天面部10aの外縁から立ち上がる蓋内側壁部12と、蓋内側壁部12の上端から水平方向に延びる幅a2である環状の第2フランジ部13と、第2フランジ部13の外側端から下方に向けて延在する蓋体側スカート部14とで構成される。この例において、前記蓋体側スカート部14は、蓋体側上スカート部14aと、該蓋体側上スカート部14aの下端から水平方向延びる補強用水平フランジ14cと、該補強用フランジと14cの外縁から下方に延在する蓋体側下スカート部14bとで構成されている。そして、前記蓋体側上スカート部14aの下端近傍には、円周方向に等しい距離をおいて、2個以上(図示の例では、4個)の内側に突出する突部15が形成されている。なお、蓋体側下スカート部14bの下方への延在距離、すなわち、蓋体側下スカート部14bの補強用水平フランジ14cからの下方への長さ、およびその作用効果については、後に説明する。
【0031】
必須ではないが、蓋体側スカート部14には、縦方向に多数のリブ16も形成されており、補強効果に加えて蓋を着脱するときのすべり防止の効果を発揮する。なお、図示のものでは、第2フランジ部13は平板状をなしているが、弧状のような非平板な形態であってもよい。また、第2フランジ部13を省略して、蓋内側壁部12の上端から蓋体側スカート部14が直接下方に向けて形成されていてもよい。
【0032】
容器本体20は、所定の深さを持つ有底円筒状であり、容器本体20の底面周縁から上方に向けて形成される容器本体側壁20aの上縁に連続するようにして前記した上方開口部21を備える。前記上方開口部21は、容器本体側壁20aの上縁に連続する容器内側壁部22と、容器内側壁部22の上端から水平方向に延びる幅a1(<a2)である環状の第1フランジ部23と、第1フランジ部23の外側端から下方に向けて延びる容器側スカート部24とを有している。前記容器側スカート部24の長さは前記した蓋体側上スカート部14aの長さとほぼ等しくされ、容器側スカート部24の下端には蓋体側スカート部14の前記補強用フランジ14cが載ることができる大きさの補強用水平フランジ24cが形成されている。そして、前記容器側スカート部24には、蓋体10に形成した前記突部15を案内するための、後に説明する案内面30、40等が形成されている。なお、好ましくは、蓋体10に形成した前記突部15の内側に向けた幅(奥行き)は、前記した第2フランジ部13の幅a2と第1フランジ部23の幅a1との差分Pとほぼ等しいか、幾分小さくされる。
【0033】
また、図示のものでは、第1フランジ部23は平板状をなしているが、前記した第2のフランジ部13が弧状のような非平板状の形態である場合には、それに対応した形状とされ、また、第2フランジ部13が省略される場合には、容器本体20においても、容器内側壁部22の上端から容器側スカート部24が直接下方に向けて形成される。
【0034】
前記した容器内側壁部22は、蓋をしたときに、蓋体10に形成した前記蓋内側壁部12が対向する領域となる。そして、蓋内側壁部12は、蓋体10を容器本体20に取り付けたときに、容器内側壁部22と全周にわたって当接することのできる領域を持つようにされており、それによって、容器内側壁部22と蓋内側壁部12との間に、周方向の液密なシール部が形成される。図4を参照して、上記周方向の液密なシール部が形成される具体的な態様の幾つかを説明する。
【0035】
図4(a)の態様では、容器内側壁部22および蓋内側壁部12は上方に拡開する円錐面となっており、蓋内側壁部12の上端の半径をr1、下端の半径をr2、容器内側壁部22の上端の半径をr3としたときに、r1≧r3>r2とされており、かつ、垂直な中心線Oに対する容器内側壁部22の傾斜角度をθ1および蓋内側壁部12の傾斜角度をθ2としたときに、0°<θ1<θ2とされている。この態様では、蓋をしたときに、容器内側壁部22の円形をなす上端部が蓋内側壁部12を形成する円錐面と全周にわたって当接することとなり、該当接部によって、周方向のシール部が形成される。
【0036】
図4(b)は、θ1が0°、すなわち、容器内側壁部22が円筒面である点で、図4(a)に示したものと相違している。この態様でも、蓋をしたときに、容器内側壁部22の円形をなす上端部が蓋内側壁部12を形成する円錐面と全周にわたって当接することとなり、該当接部によって、周方向のシール部が形成される。
【0037】
図4(c)の態様では、θ2が0°、すなわち、蓋内側壁部12が円筒面であり、したがって、r1=r2である。r3はr1より大きく、また、θ1は0°より大きい。この態様では、蓋をしたときに、蓋内側壁部12の円筒面をなす下端部が容器内側壁部22を形成する円錐面と全周にわたって当接することとなり、該当接部によって、周方向のシール部が形成される。なお、図示しないが、θ1>θ2の関係を満たせば、蓋内側壁部12が円錐面であっても、同様なシール部が形成される。
【0038】
図4(d)の態様は、r1>r3、θ1=θ2≠0°の場合の態様である。この態様では、蓋をしたときに、容器内側壁部22を形成する円錐面と蓋内側壁部12を形成する円錐面とが面接触することで周方向のシール部が形成されることとなる。
【0039】
次に、図5を参照して、前記案内面30、40等について説明する。最初に、第1案内面30を説明する。第1案内面30は、容器側スカート部24から径方向外側に張り出た面であり、容器側スカート部24の上端である第1フランジ部23から斜め下方に向けた傾斜部35を有している。そして、この例において、前記傾斜部35の下端部26は、容器側スカート部24の上端面である第1フランジ部23と平行な姿勢で径方向に張り出す水平部32を形成している。
【0040】
第1案内面30の径方向外側への張り出し量は、第1フランジ部23に接する部分25では小さく、下方にいくに従い次第に大きくなり、下端部26である水平部32で最大となっている。最大部での張り出し量は、前記した第2フランジ部13の幅a2と第1フランジ部23の幅a1との差分Pとほぼ等しい。また、第1案内面30の前記傾斜部35および水平部32の張り出した外縁からは上方に立ち上がる立ち上がり壁31が形成されている。
【0041】
前記立ち上がり壁31は、水平部32を超えてさらに後方(図で左方向)にまで、上方開口部21の容器側スカート部24と同心円状に延びている。前記したように、水平部32での張り出し量は第2フランジ部13の幅a2と第1フランジ部23の幅a1との差分Pとほぼ等しくなっているので、立ち上がり壁31の前記同心円状に延びている部分31aの径方向の位置と容器本体20の上方開口部21の容器内側壁部22との間の距離は、蓋体10における第2フランジ部13の幅a2とほぼ等しい。そのために、蓋をしたときに、蓋体10の蓋体側スカート部14の内面と、前記立ち上がり壁31の前記同心円状に延びている部分31aとは、ほぼ接触した状態をとることができる。なお、この立ち上がり壁31における同心円状に延びている部分31aは、後記する第2案内面40における立ち上がり壁部分を構成する。
【0042】
上記において、前記水平部32の上端部から前記第1フランジ部23までの距離hと、蓋体10における前記蓋体側上スカート部14aの下端近傍に形成した前記突部15の上面と蓋体10の前記第2フランジ部13までの距離H(図5参照)の関係は、H<hとされているが、これは必須の構成ではない。後記するように、蓋体10を閉めるときに突部15が第1案内面30によって下方に向けて案内されることで、蓋体10が下方に向けて引き込まれ、その引き込みにより、蓋内側壁部12の前記容器内側壁部22と全周にわたって当接することのできる領域と、前記容器内側壁部22とが、互いに圧接した状態となり得ることを条件に、距離Hと距離hとの関係は任意であってよい。
【0043】
また、前記した第1案内面30は、蓋体10に形成した突部15の数と同じ数だけ、この例では4個が、形成されている。好ましくは、第1案内面30の周方向の長さは、容器本体20の上方開口部21の円周の1/8程度とされる。
【0044】
前記水平部32の終端部付近には、容器側スカート部24の面からわずかに径方向に飛び出た隆起33aと33bとが形成されている。それにより、前記隆起33aと33bとの間には、窪み部34が形成される。
【0045】
次に、第2案内面40を説明する。第2案内面40も、容器側スカート部24から径方向外側に張り出た面であり、図示されるように、前記した第1案内面30における水平部32よりも周方向手前側(図で右方向)であって、前記した窪み部34の下縁レベル位置を出発点として次第に斜め上方に向けて形成されており、第2案内面40の上端は、容器側スカート部24の上端面である第1フランジ部23まで達している。この例において、第2案内面40は、第1の傾斜領域41と、それに続く容器側スカート部24の上端面と平行となった水平領域42と、それに続く第2の傾斜領域43とで構成されている。
【0046】
図示の例で、第1の傾斜領域41とそれに続く水平領域42は、前記した立ち上がり壁31の同心円状に延びている部分31aの適所を水平方向に内側に折曲した形状とされており、また、水平領域42の一部と第2の傾斜領域43とは、前記した立ち上がり壁31の適所を水平方向に折曲した形状とされている。そして、第2案内面40における前記水平領域42と第2の傾斜領域43の上方には前記第1案内面30が存在しないようにされている。
【0047】
また、第2案内面40の上方に第1案内面30が存在する領域での、第1案内面30と第2案内面40との間の距離は、蓋体10に形成した前記突部15が水平姿勢で通過できる距離とされている。
【0048】
次に、容器本体20に蓋体10を取り付けるときの操作を説明する。蓋を取り付けるときは、容器本体20の前記上方開口部21の上に蓋体10の前記周縁部12を被せた状態とし、下方に向けてわずかに押し付ける。それにより、蓋体10の4個の突起15が、容器本体20の第1フランジ部23における前記の部分25(第1案内面30の上端での張り出し部)に当接しているときを除き、蓋体10は、突起15の内側面を容器本体20の容器側スカート部24に接した姿勢で下方に沈んでいく。当接している場合には、わずかに回動させる。
【0049】
蓋体10の沈み込みにより、突部15の下縁側は第2案内面40のいずれかの位置に当接するとともに、少なくとも前記水平領域42の上を移動する。その状態で蓋体10を図で時計方向にさらに回動させると、その過程で、それぞれの突起15の回転方向前方側の上縁部が、それぞれの第1案内面30に接触する。
【0050】
蓋体10の1つの態様では、図7(a)に示すように、前記突部15の下縁側が第2案内面40における水平領域42に載った姿勢で、換言すれば、突部15の下縁側を第2案内面40の水平領域42に当接させた状態で、蓋体側スカート部14の下端が容器側スカート部24の下端よりも下方に位置するように蓋体側スカート部14が形成される。上記の例では、蓋体側スカート部14における蓋体側上スカート部14aの長さは、容器本体20の容器側スカート部24との関係から所定の長さに形成される。なお、ここでは、容器側スカート部24の下端は、容器側スカート部24の下端に形成した補強用水平フランジ24cの位置となる。
【0051】
蓋の取り付けに当たっては、片方の手で容器本体20を持ち、他方の手で蓋体10を上から把持した状態で、蓋体10を容器本体20の上方開口部21に載せた姿勢とし、その後、前記した蓋体10の回動を行うのが普通である。そのときに、前記突起15が第1案内面30に接触するまでは、抵抗も小さく、軽い力で回動することができる。その後、前記各突起15は、第1案内面30と第2案内面40と容器側スカート部24とで形成された凹溝内を通過していくが、その過程で、各突起15は第1案内面30の傾斜に沿って、また、第1案内面30と接しながら案内されて、次第に下方に向けて引き込まれていく。言い換えれば、蓋体10の全体が下方に向けて、すなわち容器本体20側に向けて引き込まれていく。そして、各突起15は、前記隆起33を乗り越えて前記窪み部34内に入り込み、そこで、蓋の取り付け操作は終了する。
【0052】
この回動操作において、各突起15が第1案内面30と接しながら案内されて、次第に下方に向けて引き込まれていく過程では、それ以前と比較して抵抗が大きくなるので、指先に力が入った状態でかつ蓋体側上スカート部14を内側に抑え込むような姿勢で蓋体10を回動させるようになる。その際に、指先が容器側スカート部24の下端に形成した補強用水平フランジ24cの先端に触れると、指などを切創する可能性がある。しかし、上記形態の蓋体10では、前記したように蓋体側スカート部14の下端は容器側スカート部24の下端(補強用水平フランジ24cの位置)よりも下方に位置するように蓋体側スカート部14が長く形成されており、補強用水平フランジ24cが外部に露出した状態となることはないので、指先等に不用意に傷が付くことはない。
【0053】
さらに、上記した蓋体10の全体が容器本体20側に向けて引き込まれていく過程において、蓋内側壁部12は容器内側壁部22に対して次第に圧接される状態となり、その結果、図4に基づき説明した前記した「周方向のシール部」は加圧された状態となる。それにより、単に当接している場合と比較して、より高い液密性を備えた液密なシール部が、蓋内側壁部12は容器内側壁部22との間に形成される。なお、図4(c)に示した形態において、θ1=θ2であることは望ましいが、圧接されることで双方にわずかな変形が生じるので、θ1とθ2とがわずかに異なっていても、所期の目的は達成できる。
【0054】
前記したように、容器内側壁部22は容器本体20の容器本体側壁20aの上縁に連続する部分であり、スカート部と比較して外力に対して変形し難い。そのために、蓋を取り付けた後に蓋付容器に他方向からの外力が加わっても、「周方向のシール部」に隙間を生じ確率はきわめて低くなり、内部の液が漏れ出るのを高い確率で阻止することができる。
【0055】
なお、図示の例においては、前記のように、第1案内面30に続く前記水平部32の上端部から第1フランジ部23までの距離hと、前記蓋体10における前記突部15の上面と第2フランジ部13までの距離Hの関係は、H<hとされているので、蓋の取り付け操作が終了した時点では、容器本体20の第1フランジ部23に対して、蓋体10の第2フランジ部13は、所要に圧接された状態となる。そのために、容器本体20と蓋体10との密閉性はさらに良好に確保される。
【0056】
なお、この例において、第1案内面30の径方向外側への張り出し量は、第1フランジ部23の前記の部分25では小さく、下方にいくに従い次第に大きくなっている。そして、それに沿うようにして前記立ち上がり壁31が形成されている。そのために、各突起15が前記第1フランジ部23の前記部分25に載ったときでも、蓋体10をわずかに前後方向に回動させるだけで、突起15を第2案内面40にまで落とし込むことが可能であり、蓋の取り付け操作はより容易化されている。第1案内面30を径方向においても上方に向けてわずかに傾斜した面とし、また、突起15の上面側を径方向に傾斜した面とするようにしてもよく、それにより、締め付け操作の容易性と成形の容易性の双方を満足することができる。
【0057】
蓋体20を取り外すときは、蓋体10を反時計方向に回動する。回動につれて、蓋体10の各突起15は、回転方向前方側の下縁部が第2案内面40に沿って移動しながら、第1案内面30と第2案内面40と容器側スカート部24とで形成された凹溝内を移動し、そこから離脱する。離脱後は、適宜の位置で蓋体10を持ち上げることで、蓋体10を取り外すことができる。
【0058】
蓋体10を取り外すとき、最初は大きな力が指先に作用しており、前記突起15が第2案内面40の前記水平領域42の上を移動するようになると、抵抗は小さくなり回動しやすくなる。そのときに、容器側スカート部24の下端である補強用水平フランジ24cが外部に露出していると、指先がそこに接触して切創する可能性があるが、ここでも補強用水平フランジ24cは蓋体側スカート部14(の蓋体側下スカート部14b)で覆われているので、指先などに不用意に傷が付くことはない。
【0059】
なお、前記図7(a)に態様は、蓋体側スカート部14が最も短い状態を示しており、それよりも長ければ、所期の目的を達成することができる。例えば、図7(b)に示すように、蓋体10の突起15の下縁側が容器本体20の第1フランジ部23に当接している状態で、容器本体20側の補強用水平フランジ24cを蓋体側スカート部14(の蓋体側下スカート部14b)で覆うことができるだけの長さに形成されていることが好ましい。
【0060】
図6は本発明による蓋付容器の他の形態を示す、図5に相当する図である。この形態は、前記した第2案内面40を有しない点で、上記した第1形態の蓋付容器1と異なっている。また、図6で、31bは、前記した立ち上がり壁31の同心円状に延びている部分31aの終端部であり、適宜の位置に設けられる。その他の構成は第1形態の蓋付容器1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付している。
【0061】
この態様でも、蓋体10が所要に沈み込んだ状態で、蓋体10を図で時計方向に回すことにより、それぞれの突起15は、その回転方向前方側の上縁部がそれぞれの第1案内面30に接することで、第1案内面30の傾斜に沿って、また、第1案内面30と接しながら案内されて、次第に下方に向けて引き込まれていく。そして、前記のようにして蓋の取り付け操作が終了した時点では、容器本体20の第1フランジ部23に対して、蓋体10側の第2フランジ部13は、所要に圧接された状態となり、容器本体20と蓋体10との密閉性は確保される。
【0062】
この態様の場合には、蓋体側スカート部14の長さは、蓋体10の突起15の下縁側が容器本体20の第1フランジ部23に当接している状態で、容器本体20側の補強用水平フランジ24cよりも下方に位置することができる長さであることが望ましい。それにより、蓋体10の取り付け時や取り外し時に指先等を不用意に傷付けるのを効果的に回避することができる。
【0063】
図示しないが、蓋体10に形成する突起は、図では4個としたが、2個以上であれば個数は任意である。当然に突起の個数に応じた数の第1案内面30、および必要な場合には第2案内面40が容器本体20に形成される。各突起は周方向に等間隔で配置されることが好ましい。
【0064】
また、図示の例では、前記蓋体側スカート部14を、蓋体側上スカート部14aと補強用水平フランジ14cと蓋体側下スカート部14bとで構成したものを示したが、所要の強度が得られる場合には、補強用水平フランジ14cを省略することができる。また、容器本体20側の補強用水平フランジ24cおよびその近傍に、熱成形による細かな凹凸加工やエンボス加工を施すことにより、側面視にて波形(正弦波、三角波、台形波等)の外縁線、即ち、直線ではない外縁線を備えるようにしてもよい。これにより、外周縁のエッジの鋭利さが解消されるため、容器本体20を単体で取り扱うときに、指先を保護する効果を一層向上できる。また、容器側スカート部24の補強効果にもなる。
【符号の説明】
【0065】
1…蓋付容器、
10…蓋体、
10a…蓋天面部
11…蓋体の周縁部、
12…蓋内側壁部、
13…第2フランジ部、
14…蓋体側スカート部、
14a…蓋体側上スカート部、
14b…蓋体側下スカート部、
14c…補強用水平フランジ、
15…突部、
16…リブ、
20…容器本体、
20a…容器本体側壁
21…上方開口部、
22…容器内側壁部
23…第1フランジ部、
24…容器側スカート部、
24c…補強用水平フランジ、
26…第1案内面の下端部、
30…第1案内面、
31…立ち上がり壁、
31a…立ち上がり壁の同心円状に延びている部分、
32…水平部、
33…隆起、
34…窪み部、
40…第2案内面、
41…第2案内面の第1の傾斜領域、
42…第2案内面の水平領域、
43…第2案内面の第2の傾斜領域、
r1…蓋内側壁部の上端の半径、
r2…蓋内側壁部の下端の半径、
r3…容器内側壁部の上端の半径、
θ1…垂直な中心線に対する容器内側壁部の傾斜角度、
θ2…垂直な中心線に対する蓋内側壁部の傾斜角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ円形の上方開口部を有する容器本体と、前記容器本体の上方開口部に着脱自在に取り付けられる蓋体とによって構成され、蓋体を容器本体に取り付けたときに蓋体の周縁部と容器本体の前記上方開口部との間に周方向の液密なシール部が形成される蓋付容器であって、
前記容器本体の上方開口部は、容器本体の側壁に連続した容器内側壁部と、該容器内側壁部の上端から水平方向に延在する第1のフランジ部と、該第1のフランジ部の外側端から下方に向けて延在する容器側スカート部とを少なくとも備え、
前記蓋体の周縁部は、蓋体を容器本体に取り付けたときに、前記容器内側壁部と全周にわたって当接することのできる領域を持つ蓋内側壁部と、該蓋内側壁部の上端から水平方向に延在する第2のフランジ部と、該第2のフランジ部の外側端から下方に向けて延在する蓋体側スカート部とを少なくとも備え、さらに、前記蓋体側スカート部には内側に向けて突出する2個以上の突部が形成されており、
前記蓋体側スカート部に形成した前記突部の下縁側を前記容器本体の上方開口部に形成した前記第1のフランジ部に当接させた状態で、前記蓋体側スカート部の下端が前記容器側スカート部の下端よりも下方に位置するように蓋体側スカート部が形成されており、
前記容器本体の前記容器側スカート部には、蓋体を取り付けるときに前記蓋体側スカート部に形成した前記突部を下方に向けて案内することのできる第1案内面が形成されており、
蓋体を閉めるときに前記突部が前記第1案内面によって下方に向けて案内されることで、蓋体は下方に向けて引き込まれ、それにより、前記容器内側壁部と前記蓋内側壁部との間に形成された前記シール部が圧接された状態となり、シール部に高い密封性が確保されることを特徴とする蓋付容器。
【請求項2】
ほぼ円形の上方開口部を有する容器本体と、前記容器本体の上方開口部に着脱自在に取り付けられる蓋体とによって構成され、蓋体を容器本体に取り付けたときに蓋体の周縁部と容器本体の前記上方開口部との間に周方向の液密なシール部が形成される蓋付容器であって、
前記容器本体の上方開口部は、容器本体の側壁に連続した容器内側壁部と、該容器内側壁部の上端から下方に向けて延在する容器側スカート部とを少なくとも備え、
前記蓋体の周縁部は、蓋体を容器本体に取り付けたときに、前記容器内側壁部と全周にわたって当接することのできる領域を持つ蓋内側壁部と、該蓋内側壁部の上端から下方に向けて延在する蓋体側スカート部とを少なくとも備え、さらに、前記蓋体側スカート部には内側に向けて突出する2個以上の突部が形成されており、
前記容器本体の前記容器側スカート部には、蓋体を取り付けるときに前記蓋体側スカート部に形成した前記突部を下方に向けて案内することのできる第1案内面と、容器本体に取り付けられた蓋体を取り外すときに、前記突部の下縁側が接した姿勢で突部を上方向けて案内することのできる第2案内面とが形成されており、
前記第2案内面は一部に前記容器内側壁部の上端とほぼ平行となった水平領域を有し、前記蓋体側スカート部の前記突起の下縁側を前記第2案内面の前記水平領域に当接させた状態で、前記蓋体側スカート部の下端が前記容器側スカート部の下端よりも下方に位置するように蓋体側スカート部が形成されており、
蓋体を閉めるときに前記突部が前記第1案内面によって下方に向けて案内されることで、蓋体は下方に向けて引き込まれ、それにより、前記容器内側壁部と前記蓋内側壁部との間に形成された前記シール部が圧接された状態となり、シール部に高い密封性が確保されることを特徴とする蓋付容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓋付容器であって、前記容器内側壁部および前記蓋内側壁部は円筒面または上方に拡開する円錐面となっており、前記蓋内側壁部の上端の半径をr1、前記容器内側壁部の上端の半径をr3、垂直な中心線に対する前記容器内側壁部の傾斜角度をθ1および前記蓋内側壁部の傾斜角度をθ2としたときに、r1≧r3で0°≦θ1<θ2であるか、または、r1≦r3でθ1>θ2≧0°であるか、または、r1>r3でほぼθ1=θ2であり0°でないか、のいずれかであることを特徴とする蓋付容器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の蓋付容器であって、蓋体を閉めるときに前記突部が第1案内面によって下方に向けて案内されることで、蓋体は下方に向けて引き込まれ、その引き込みにより、前記第1のフランジ部と第2のフランジ部も圧接した状態となることを特徴とする蓋付容器。
【請求項5】
請求項2に記載の蓋付容器であって、前記第2案内面における少なくとも前記水平領域の上方には前記第1案内面が存在しないことを特徴とする蓋付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−20768(P2012−20768A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160475(P2010−160475)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】