説明

薄切片搬送装置

【課題】包埋ブロックから作製された薄切片を、伸展を行う液槽まで確実に自動的に搬送すること。
【解決手段】包埋ブロックBを切断刃2により薄切して作製された薄切片Mを、伸展用液体Wが貯留された液槽4まで搬送する装置であって、切断刃と液槽との間に配され、薄切された薄切片を載置した状態で液槽まで搬送する無端状の搬送ベルト20と、切断刃と液槽との間に配され、薄切片を載置するために液槽から切断刃に向かって移動する搬送ベルトに対して搬送用液体Wを供給して、搬送ベルトに該搬送用液体を保有させる液体供給手段21とを備えている薄切片搬送装置5を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理化学実験や顕微鏡観察等に用いられる薄切片標本を作製する前段階として、生体試料が包埋された包埋ブロックを薄切することで作製した薄切片を、液体が貯留された液槽まで搬送する薄切片搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、理化学実験や顕微鏡観察に用いられる薄切片標本を作製する装置として、ミクロトームが一般的に知られている。この薄切片標本は、厚さが数μm(例えば、3μm〜5μm)の薄切片を、スライドガラス等の基板上に固定させたものである。ここで、ミクロトームを利用して薄切片標本を作製する一般的な方法について説明する。
【0003】
まず、ホルマリン固定された生物や動物等の生体試料をパラフィン置換した後、更に周囲をパラフィンで固めて強固にして、ブロック状態の包埋ブロックを作製する。次に、この包埋ブロックを専用の薄切り装置であるミクロトームにセットして、粗削りを行う。この粗削りによって、包埋ブロックの表面が平滑面となると共に、実験や観察の対象物である包埋された生体試料の観察したい面が表面に露出した状態となる。
【0004】
粗削りが終了した後、本削りを行う。これは、ミクロトームが有する切断刃により、包埋ブロックを上述した厚みで極薄にスライスする工程である。これにより、目的の面を持った薄切片を得ることができる。この際、包埋ブロックをミクロンオーダで制御し、薄くスライスすることで、薄切片の厚みを細胞レベルの厚みに近付けることができるので、より観察し易い薄切片標本を得ることができる。よって、可能な限り厚さが制御された薄い薄切片を作製することが求められている。なお、この本削りは、必要枚数の薄切片が得られるまで連続して行う。
【0005】
次いで、本削りによって得られた薄切片を伸展させる伸展工程を行う。つまり、本削りによって作製された薄切片は、上述したように極薄の厚みでスライスされたものであるので、皺がついた状態や、丸まった状態(例えば、Uの字状)となってしまう。そこで、この伸展工程によって、皺や丸みを取って伸ばす必要がある。
一般的には、水とお湯を利用して伸展させている。始めに、本削りによって得られた薄切片を水に浮かべる。これにより、生体試料を包埋しているパラフィン同士のくっつきを防止しながら、薄切片の大きな皺や丸みを取ることができる。その後、薄切片をお湯に浮かべる。これにより、薄切片が伸び易くなるので、水による伸展では取りきれなかった残りの皺や、切削時に受けた圧力によって生じた歪を取ることができる。
【0006】
そして、お湯による伸展が終了した薄切片をスライドガラス等の基板で掬って該基板上に載置する。なお、この時点で仮に伸展が不十分であった場合には、基板ごとホットプレート等に乗せてさらに熱を加える。これにより、薄切片をより伸展させることができる。
最後に、薄切片を乗せた基板を乾燥器内に入れて乾燥させる。この乾燥により、伸展で付着した水分が蒸発すると共に、薄切片が基板上に固定される。
その結果、薄切片標本を作製することができる。また、作製された薄切片標本は、主に生物、医学分野等で使用されている。
【0007】
ところで、薄切片を伸展させる際、通常は包埋ブロックから薄切片を作製する毎に、作業者が薄切片をピンセット等で慎重に把持して、水槽まで搬送している。ところが、取り扱う薄切片の枚数が膨大であるうえ、薄切片を傷つけないように慎重に搬送する必要があるので、作業者にかかる負担が非常に大きなものであった。
そこで、包埋ブロックから作製された薄切片を、タイミングベルトにより水槽まで自動的に搬送して水面に浮かべることができる装置が提供されている(特許文献1参照)。この装置によれば、作製された薄切片を次々と自動的に水槽まで搬送できるので、作業者の負担をできるだけ軽減することが可能である。
【特許文献1】特開平5−273094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した装置ではまだ以下の課題が残されていた。
即ち、上記装置は、薄切片を搬送するためにウレタンゴム製のタイミングベルトを使用しているが、タイミングベルトが乾燥していると、薄切片がタイミングベルト上に付着するのではなく、単に乗っただけの状態となってしまう。そのため、搬送中に風等の影響によりタイミングベルト上から落下したり、タイミングベルト上で動いてしまい他の薄切片と重なったりする可能性があった。特に、作製された薄切片は重量が微小であるので、このような問題が発生する可能性が高かった。従って、薄切片を確実に水槽まで搬送することが難しいものであった。
【0009】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、包埋ブロックから作製された薄切片を、伸展を行う液槽まで確実に自動的に搬送することができる薄切片搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る薄切片搬送装置は、生体試料が包埋された包埋ブロックを切断刃により薄切して作製された薄切片を、伸展用液体が貯留された液槽まで搬送する薄切片搬送装置であって、前記切断刃と前記液槽との間に配され、薄切された前記薄切片を載置した状態で液槽まで搬送する無端状の搬送ベルトと、前記切断刃と前記液槽との間に配され、前記薄切片を載置するために液槽から切断刃に向かって移動する前記搬送ベルトに対して搬送用液体を供給して、搬送ベルトに該搬送用液体を保有させる液体供給手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、無端状の搬送ベルトが切断刃と液槽との間に配されているので、包埋ブロックを切断刃で薄切した薄切片を、搬送ベルトの上面に載置した状態で自動的に液槽まで搬送することができる。なお、液槽まで搬送された薄切片は、液槽に貯留されている伸展用液体上に浮かんで伸展がされる。
一方、液槽まで搬送した搬送ベルトは、次の薄切片を載置するために液槽から切断刃に向かって移動する。ここで、液体供給手段は、切断刃に向かって移動している搬送ベルトに対して搬送用液体を供給する。この供給された搬送用液体は、搬送ベルトの表面に付着したり、染み込んで内部に取り込まれたりする。つまり、搬送ベルトは、搬送用液体を保有した状態となる。
【0012】
そのため、上述したように薄切片を搬送する際、該薄切片は搬送用液体が保有された状態の搬送ベルト上に載置される。従って、搬送用液体の表面張力を利用して、薄切片を搬送ベルトに付着させることができる。つまり、搬送用液体が媒体となるので、薄切片が搬送ベルトに密着して張り付いた状態となる。よって、従来のものとは異なり、風等の影響を受けたとしても、薄切片が搬送途中で搬送ベルト上から落下したり、移動して他の薄切片に重なったりする恐れがない。その結果、確実に薄切片を液槽まで自動的に搬送することができる。従って、薄切片を無駄にすることなく、次の伸展作業に繋げることができる。
【0013】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明の薄切片搬送装置において、前記液体供給手段が、前記搬送用液体が含浸され、前記搬送ベルトに接する繊維状の吸収体を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、搬送ベルトが、液槽から切断刃に向かって移動する途中において、搬送用液体が含浸された吸収体に接する。これにより、搬送ベルトは、搬送用液体が供給されて保有した状態となる。特に、搬送ベルトと吸収体との接触により、搬送用液体を搬送ベルトに供給できるので、搬送用液体を周囲に飛散させる恐れがない。よって、周囲環境を清浄に保つことができる。しかも、容易な構成で搬送用液体を確実に供給できるので、構成の単純化を図ることができる。また、吸収体は、繊維状のものであるので、搬送ベルトに傷等を付ける恐れもない。
【0015】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明の薄切片搬送装置において、前記液体供給手段が、前記搬送ベルトに対して対向する対向面を有し、該対向面から前記搬送用液体を搬送ベルトに向けて散布する散布部と、該散布部に対して前記搬送用液体を送液する送液部とを備えていることを特徴とするものである。
【0016】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、散布部が、送液部から送液されてきた搬送用液体を対向面から搬送ベルトに向けて散布する。これにより搬送ベルトは、搬送用液体を保有した状態となる。特に、搬送ベルトに対向する対向面から搬送用液体を散布するので、搬送ベルトに対してムラなく均等に搬送用液体を供給することができる。従って、薄切片が搬送ベルト上のどの位置に載置されたとしても、薄切片を確実に付着させることができる。
【0017】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明の薄切片搬送装置において、前記散布部が、前記搬送用液体を霧状にした状態で散布することを特徴とするものである。
【0018】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、散布部が搬送用液体を単に散布するのではなく、霧状にした状態で散布する。これにより搬送ベルトには、微小な液滴状の搬送用液体が付着する。従って、よりムラなく均等に搬送ベルトに搬送用液体を供給することができる。
【0019】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明の薄切片搬送装置において、前記散布部が、前記搬送ベルトの表裏面及び側面を囲む枠体を有し、該枠体内で散布を行うことを特徴とするものである。
【0020】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、搬送ベルトが、液槽から切断刃に向かって移動する途中において、表裏面及び側面が囲まれた枠体内を一旦通過する。そして、散布部は、搬送ベルトが枠体内を通過する際に、該枠体内で搬送用液体の散布を行う。このように周囲が囲まれた枠体内で散布を行うので、より効率的に搬送用液体を搬送ベルトに供給することができる。よって、搬送用液体の使用量をできるだけ抑えることができ、ランニングコストを抑えることができる。また、搬送用液体が枠体の外部に飛散することを防止できるので、周囲環境を清浄に保つことができる。
【0021】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明のいずれかの薄切片搬送装置において、前記散布部と前記液槽との間に配され、前記搬送ベルトに保有された前記搬送用液体の残量を検出するセンサと、該センサによる検出結果に基づいて前記送液部を制御して、前記散布部に送液する前記搬送用液体の流量を調整する調整部とを備え、前記搬送ベルトに一定量の前記搬送用液体を保有させることを特徴とするものである。
【0022】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、まずセンサが、液槽から切断刃に向かって移動する搬送ベルトにまだ保有されている搬送用液体の残量を検出すると共に、検出結果を調整部に知らせる。これを受けて、調整部は、搬送ベルトの乾燥具合を認識することができる。そして、調整部は、この乾燥具合に応じて送液部を制御して、散布部に送液する搬送用液体の流量を調整する。つまり、搬送ベルトがより乾燥している場合には、散布する搬送用液体の量を多めにし、搬送ベルトがそれほど乾燥していない場合には、散布する搬送用液体の量を少なめにする。これにより、搬送ベルトに一定量の搬送用液体を保有させることができる。従って、周囲環境(温度や湿度等)に関係なく、搬送ベルトに最適な量の搬送用液体を保有させることができる。よって、より確実に薄切片を液槽まで搬送することができる。
【0023】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明のいずれかの薄切片搬送装置において、前記散布部と前記液槽との間に配され、前記搬送ベルトに保有された前記搬送用液体の残量を除去する除去部を備え、前記送液部が、一定量の前記搬送用液体を前記散布部に送液することを特徴とするものである。
【0024】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、まず除去部が、液槽から切断刃に向かって移動する搬送ベルトにまだ保有されている搬送用液体の残量を除去する。これにより、搬送ベルトは、搬送用液体を保有していない乾燥した状態となる。その後、散布部が、送液部から送られてくる搬送用液体を搬送ベルトに散布する。この際、送液部は、一定量の搬送用液体を散布部に送液している。よって、搬送ベルトに常に一定量の搬送用液体を保有させることができる。従って、周囲環境(温度や湿度等)に関係なく、搬送ベルトに最適な量の搬送用液体を保有させることができる。よって、より確実に薄切片を液槽まで搬送することができる。
【0025】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明のいずれかの薄切片搬送装置において、前記伸展用液体と前記搬送用液体とが同じ液体であり、前記液体供給手段が、前記液槽に貯留された前記伸展用液体を前記搬送用液体として前記搬送ベルトに供給することを特徴とするものである。
【0026】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、薄切片を伸展させる際に使用する伸展用液体と、薄切片を搬送ベルトに付着させる際に使用する搬送用液体とが、共に同じ液体(例えば、水)である。そして、液体供給手段は、液槽に貯留された伸展用液体を搬送用液体として搬送ベルトに供給する。従って、搬送用液体を確保するタンクとして液槽を兼用することができ、構成の簡略化を図ることができる。
【0027】
また、本発明に係る薄切片搬送装置は、上記本発明の薄切片搬送装置において、前記搬送ベルトの一部が、前記伸展用液体内に浸かっていることを特徴とするものである。
【0028】
この発明に係る薄切片搬送装置においては、搬送ベルトによって液槽まで搬送された薄切片は、そのまま液槽内に貯留されている伸展用液体内に浸かった後、搬送ベルトから剥がれて伸展用液体に浮かぶ。特に、搬送用液体によって搬送ベルトに付着している薄切片を、より確実に搬送ベルトから剥して、伸展用液体に浮かばせることができる。また、搬送ベルトを伸展用液体に一旦浸けるので、搬送ベルトの乾燥をできるだけ防ぐことができると共に、後に供給する搬送用液体の量を抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る薄切片搬送装置によれば、風等の影響を受けたとしても、薄切片が搬送途中で搬送ベルトから落下したり、移動して他の薄切片に重なったりする恐れがなく、伸展を行う液槽まで確実に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る薄切片搬送装置の第1実施形態を、図1から図6を参照して説明する。なお、本実施形態では、薄切片搬送装置を有する薄切片作製装置を例に挙げて説明する。
薄切片作製装置1は、図1に示すように、生体試料Sが包埋された包埋ブロックBを切断刃2により薄切して薄切片Mを作製する切断装置3と、作製された薄切片Mを水(伸展用液体)Wが貯留された液槽4まで搬送する薄切片搬送装置5とを備えている。
【0031】
初めに、包埋ブロックBは、図2に示すように、ホルマリン固定された生体試料S内の水分をパラフィン置換した後、さらに周囲をパラフィン等の包埋剤Nによってブロック状に固めたものである。これにより、生体試料Sがパラフィン内に包埋された状態となっている。なお、生体試料Sとしては、例えば、人体や実験動物等から取り出した臓器等の組織であり、医療分野、製薬分野、食品分野、生物分野等で適時選択させるものである。
なお本実施形態では、包埋ブロックBが箱状に形成されたカセットK上に固定されているものとして説明する。
【0032】
上記切断装置3は、包埋ブロックBを所定の厚みで薄切して、図2に示すシート状の薄切片Mを切り出して作製する装置であって、図1に示すように、固定された上記切断刃2に向かうZ方向に延びたガイドレール10と、該ガイドレール10に沿って移動可能な移動ステージ11と、該移動ステージ11上に取り付けられ、ガイドレール10に直交するX方向に移動可能な高さステージ12と、該高さステージ12上にカセットKを介して上記包埋ブロックBを固定する固定部13とを備えている。
【0033】
上記切断刃2は、図示しない架台によって支持された固定台14と、該固定台14の斜面に設けられたホルダ部15との間に挟持された状態で固定されている。また、移動ステージ11は、図示しないモータ等によって、ガイドレール10上を往復運動するようになっている。また、高さステージ12には、内部に図示しないピエゾ素子等が組み込まれており、電圧が印加されることでX方向に一定量変位するように高さ制御されている。この際、高さステージ12は、移動ステージ11がガイドレール10を1往復する毎に、一定量だけX方向に変位するように制御されている。
【0034】
また、固定部13は、高さステージ12に一体的に取り付けられており、高さステージ12上にカセットKを載置した際に、該カセットKを両側から挟持して固定することができるようになっている。また、カセットKを介して高さステージ12上に固定された包埋ブロックBは、移動ステージ11の移動に伴って切断刃2に向けて移動して、該切断刃2により切断されるようになっている。この際、高さステージ12によってX方向に高さ制御されているので、所定の厚み(例えば、5μm)で表面が切断される。その結果、シート状の薄切片Mが作製される。
なお、移動ステージ11の往復移動と、該往復運動に同期した高さステージ12の変位とによって、包埋ブロックBから複数枚の薄切片Mが次々と作製されるようになっている。
【0035】
上記薄切片搬送装置5は、切断刃2と液槽4との間に配され、切断刃2によって薄切された薄切片Mを載置した状態で液槽4まで搬送する無端状の搬送ベルト20と、切断刃2と液槽4との間に配され、薄切片Mを載置するために液槽4から切断刃2に向かって移動する搬送ベルト20に対して水(搬送用液体)Wを供給して、搬送ベルト20に水Wを保有させる液体供給手段21とを備えている。
なお、本実施形態では、液体供給手段21が搬送ベルト20に対して供給する搬送用液体として、液槽4に伸展用液体として貯留されている液体と同じ水Wを使用する場合を例にして説明している。
【0036】
上記搬送ベルト20は、切断刃2の近傍に配されたローラ22と、液槽4内に配されたローラ23との間に巻回されている。そのため、本実施形態の搬送ベルト20は、一部が液槽4内に貯留されている水Wに浸かった状態となっている。また、一方のローラ22は、図示しないモータ等の駆動源によって回転するようになっており、他方のローラ23は従動ローラとなっている。
また、この搬送ベルト20は、図3に示すように、搬送方向に延びる縦糸20aと、縦糸20aに直交する方向に延びる横糸20bで編み込まれたメッシュ状のベルトとされている。なお、縦糸20a及び横糸20bは、水Wを染み込み易くするため、親水性を有するもの、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基を有する材料で作られたものが好ましい。
【0037】
上記液体供給手段21は、図1に示すように、搬送ベルト20に対して対向する対向面24aを有し、該対向面24aから水Wを搬送ベルト20に向けて散布する散布部24と、該散布部24に対して水Wを送液する送液部25とを備えている。
散布部24は、図3及び図4に示すように、搬送ベルト20の横幅と略同じ横幅に形成されており、対向面24aに形成された図示しない開口から水Wを散布するようになっている。また、散布部24の側面には、一端側が液槽4に接続された送液パイプ26の他端側が接続されている。また、送液パイプ26の途中には、図1に示すように、液槽4に貯留された水Wを散布部24に送る送液ポンプ27が設けられている。つまり、送液パイプ26及び送液ポンプ27は、上記送液部25として機能する。特に本実施形態では、送液パイプ26によって液槽4と散布部24とが接続されているので、伸展用液体として貯留されている水Wを、搬送用液体としても利用することができる。
【0038】
次に、このように構成された薄切片作製装置1により、包埋ブロックBから薄切片Mを作製した後、該薄切片Mを液槽4で伸展させる場合について説明を行う。
まず作業者は、カセットKを介して包埋ブロックBを高さステージ12上に載置すると共に、固定部13によってカセットKを両側から挟持して固定する。そして、液槽4内に所定量の水Wが貯留されていることを確認した後、薄切片作製装置1を作動させる。
【0039】
すると、移動ステージ11が、包埋ブロックBを切断刃2に接近させるようにガイドレール10に沿って移動する。これにより、切断刃2によって包埋ブロックBをシート状に薄切して薄切片Mを作製することができる。またこの際、高さステージ12によって、切断時の移動方向に対して直交するX方向に包埋ブロックBを変位させるので、作製する薄切片Mの厚みを所定の厚み(例えば、5μm)にすることができる。また、薄切された薄切片Mは、図1に示すように、切断刃2上に乗り上がるようにして搬送ベルト20側に移動した後、該搬送ベルト20上に載置された状態となる。
【0040】
一方、この搬送ベルト20は、上記移動ステージ11の作動と同時に、ローラ22の回転によって移動し始めている。また、搬送ベルト20の移動と同時に、送液ポンプ27が送液パイプ26を介して液槽4内に貯留されている水Wを散布部24に送液する。そして、散布部24は、送られてきた水Wを対向面24aから搬送ベルト20に向けて散布する。より具体的には、薄切片Mを載置するために、液槽4から切断刃2に向かって移動している搬送ベルト20に水Wを散布によって供給する。この供給された水Wは、搬送ベルト20の表面に付着したり、染み込んで内部に取り込まれたりする。つまり、搬送ベルト20は、水Wを保有した状態となる。特に、本実施形態では、搬送ベルト20に対向する対向面24aから水Wを散布しているので、搬送ベルト20の幅方向に対してムラなく均等に水Wを供給することができる。
【0041】
そのため薄切片Mは、水Wが保有された搬送ベルト20上に載置される。従って、水Wの表面張力を利用して、薄切片Mを搬送ベルト20に付着させることができる。つまり、水Wが媒体となるので、薄切片Mが搬送ベルト20に密着して張り付いた状態となる。よって、従来のものとは異なり、風等の影響を受けたとしても、薄切片Mが搬送途中で搬送ベルト20上から落下する恐れがない。よって、確実に液槽4まで自動的に搬送することができる。従って、薄切片Mを無駄にすることなく、次の伸展作業に繋げることができる。特に、搬送ベルト20には、ムラなく均等に水Wが保有されているので、薄切片Mが搬送ベルト20上にどの位置に載置されたとしても、確実に付着させて搬送することができる。
【0042】
そして、上述した動作を連続的に行うことで、切断装置3によって次々に作製された薄切片Mを、薄切片搬送装置5により確実に液槽4まで搬送することができる。この際、薄切片Mを短い時間間隔で次々に作製したとしても、各薄切片Mは搬送ベルト20上にしっかりと付着した状態で搬送される。よって、搬送ベルト20上から落下する恐れがないだけでなく、風等の影響を受けたとしても、搬送ベルト20上で移動してしまい他の薄切片Mに重なる恐れもない。この点においても、搬送の確実性を向上することができる。
【0043】
また、本実施形態の搬送ベルト20は液槽4内に貯留されている水Wに浸かっているので、液槽4まで搬送された薄切片Mはそのまま自動的に水Wに浸かった後、搬送ベルト20から剥がれて水Wに浮かぶ。従って、搬送ベルト20から薄切片Mを確実に剥して水Wに浮かべることができる。つまり、搬送ベルト20に薄切片Mを付着させたまま、再度切断刃2に向けて搬送してしまうことを防止することができる。よって、切断時に生じた皺や丸み等を除去する伸展作業を、液槽4まで搬送した全ての薄切片Mについて確実に行うことができる。
【0044】
なお、伸展が終了した薄切片Mは、作業者によってスライドガラス等の基板に掬い取られた後、基板ごと乾燥されて薄切片標本となる。また、本実施形態の搬送ベルト20は、縦糸20a及び横糸20bからなるメッシュ状のベルトであるので、薄切片Mを水Wに浮かべる際に、該薄切片Mと水面との間に空気が混入してしまうことを極力防止することができる。そのため、スライドガラスと薄切片Mとの間の密着力を高めることができ、高品質な薄切片標本を作製することができる。
【0045】
また、搬送ベルト20を液槽4内に貯留されている水Wに一旦浸けるので、搬送ベルト20の乾燥をできるだけ防ぐことができると共に、後に散布部24で供給する水Wの量をできるだけ抑えることができる。よって、無駄に水Wを使用することがなく、ランニングコストを抑えることができる。
更に、本実施形態では、薄切片Mを伸展させる際に使用する伸展用液体と、薄切片Mを搬送ベルト20に付着させる際に使用する搬送用液体とが同じ水Wであり、搬送用液体を確保するタンクとして液槽4を兼用することができる。従って、構成の簡略化を図ることができる。
【0046】
なお、上記第1実施形態では、液体供給手段21が散布部24を有し、該散布部24によって水Wを搬送ベルト20に散布したが、散布に限られるものではなく、単に放水することで搬送ベルト20に水Wを供給しても構わない。但し、散布することで、ムラなく均等に水Wを供給できるので、より好ましい。
更には、上記第1実施形態において、送液ポンプ27によって送られてきた水Wを高圧にした後、霧状にした状態で散布できるように散布部24を構成すると良い。こうすることで、搬送ベルト20に微小な液滴状の水Wを付着させることができる。従って、搬送ベルト20に対して、よりムラなく均等に水Wを供給することができる。
【0047】
また、上記第1実施形態において、図5及び図6に示すように、搬送ベルト20の表裏面及び側面を囲む枠体24bを有するように散布部24を構成しても構わない。
このように構成した場合には、搬送ベルト20が液槽4から切断刃2に向かって移動する途中において、周囲が囲まれた枠体24b内を一旦通過する。そして散布部24は、搬送ベルト20が枠体24b内を通過する際に、枠体24b内で水Wの散布を行う。このように、周囲が囲まれた枠体24b内で散布を行うので、より効率的に水Wを搬送ベルト20に供給することができる。つまり、散布された水Wが、枠体24bの内面等で反射するので様々な方向から散布を行うことができ、効率的に水Wを供給することができる。よって、水Wの使用量をできるだけ抑えることができ、ランニングコストを抑えることができる。更に、散布した水Wが枠体24bの外部に飛散することを防止できるので、周囲環境を清浄に保つことができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る薄切片搬送装置の第2実施形態を、図7を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、搬送ベルト20に散布する水Wの量を経験に基づいて決定することで、搬送ベルト20に保有させる水Wの量を一定量にすることができるが、第2実施形態では、常に正確な一定量の水Wを搬送ベルト20に保有させることができる点である。
【0049】
即ち、本実施形態の薄切片搬送装置30は、図7に示すように、散布部24と液槽4との間に配され、搬送ベルト20に保有された水Wの残量を検出するセンサ31と、該センサ31による検出結果に基づいて送液部25を制御して、散布部24に送液する水Wの流量を調整する流量コントローラ(調整部)32を備えている。
【0050】
上記センサ31は、液槽4から切断刃2に向かって移動している搬送ベルト20に接するように配置されており、搬送ベルト20にまだ含まれている水分量を検出している。そしてセンサ31は、検出した水分量を、該水分量に対応したレベルの信号に変換した後、該信号を検出結果として流量コントローラ32に出力している。これにより流量コントローラ32は、送られてきた信号のレベルによって搬送ベルト20の乾燥具合を認識することができるようになっている。また、流量コントローラ32は、乾燥具合に応じて送液ポンプ27を制御しており、搬送ベルト20が一定量の水Wを保有するように散布部24に送液する水Wの流量調整を行っている。
【0051】
このように構成された薄切片搬送装置30においては、まず、センサ31が、液槽4から切断刃2に向かって移動している搬送ベルト20にまだ保有されている水Wの残量(水分量)を検出すると共に、水分量に対応したレベルの信号を流量コントローラ32に出力する。流量コントローラ32は、この信号を受けるとそのレベルから、搬送ベルト20の乾燥具合を認識する。そして、流量コントローラ32は、その乾燥具合に応じて送液ポンプ27を作動させて、散布部24に送液する水Wの流量を調整する。例えば、搬送ベルト20がより乾燥している場合には、散布部24に送液する流量を多めにし、搬送ベルト20がそれほど乾燥していない場合には、散布部24に送液する流量を少なめにする。これにより、散布する水Wの量を乾燥具合に応じて調整することができ、搬送ベルト20に一定量の水Wを常に保有させることができる。
従って、周囲環境(温度や湿度等)に関係なく、搬送ベルト20に最適な量の水Wを保有させることができる。よって、より確実に薄切片Mを液槽4まで搬送することができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る薄切片搬送装置の第3実施形態を、図8を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、搬送ベルト20に散布する水Wの量を経験に基づいて決定することで、搬送ベルト20に保有させる水Wの量を一定量にすることができるが、第3実施形態では、常に正確な一定量の水Wを搬送ベルト20に保有させることができる点である。
【0053】
即ち、本実施形態の薄切片搬送装置40は、図8に示すように、散布部24と液槽4との間に、搬送ベルト20に保有された水Wの残量を除去する除去部41を備えている。この除去部41は、搬送ベルト20に残った水Wを搾り取る一対の従動ローラ42と、搾り取った水Wを再度液槽4に戻す受け板43とから構成されている。
一対の従動ローラ42は、共に搬送ベルト20の幅方向と略同じ長さのローラであり、搬送ベルト20を所定の力で挟み込んだ状態で搬送ベルト20の表面側及び裏面側にそれぞれ配置されている。そして、この一対の従動ローラ42は、搬送ベルト20の移動に伴って、それぞれ逆方向に回転しながら搬送ベルト20を圧搾している。これにより、搬送ベルト20に残った水Wを完全に搾り取ることができるようになっている。なお、この一対の従動ローラ42を通過した搬送ベルト20は、乾燥した状態で切断刃2に向かって移動する。
【0054】
また、受け板43は、一対の従動ローラ42の下方に配置された状態で液槽4に固定されている。この際、受け板43は、一対の従動ローラ42で絞り取られた水Wを受け止めた後、液槽4内に戻せるように斜めになった状態で固定されている。また、本実施形態の送液ポンプ27は、一定量の水Wを散布部24に送液するように調整されている。
【0055】
このように構成された薄切片搬送装置40においては、まず、液槽4から切断刃2に向かって移動している搬送ベルト20が、一対の従動ローラ42の間を通過する。すると、一対の従動ローラ42は、互いに逆方向に回転しながら搬送ベルト20を両面側から所定の力で挟んで、搬送ベルト20にまだ保有されている水Wを圧搾する。これにより、搬送ベルト20に残った水Wを完全に搾り取ることができる。そして、搾り取られた水Wは、落下した後、受け板43によって受け止められ、液槽4に戻される。
【0056】
一方、一対の従動ローラ42を通過した搬送ベルト20は、水Wを保有していない乾燥した状態となった後、散布部24に達する。そして、散布部24は、送液ポンプ27から送られてくる水Wを搬送ベルト20に散布する。この際、送液ポンプ27は、一定量の水Wを散布部24に送液している。そのため、搬送ベルト20に常に一定量の水Wを保有させることができる。従って、周囲環境(温度や湿度等)に関係なく、搬送ベルト20に最適な量の水Wを保有させることができる。よって、より確実に薄切片Mを液槽4まで搬送することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、一対の従動ローラ42により水Wを搾り取ることで、搬送ベルト20に残っていた水Wを除去したが、搬送ベルト20から水Wを除去できれば除去部41をどのように構成しても構わない。例えば、搬送ベルト20を加熱することで水Wを除去しても構わないし、吸引することで搬送ベルト20から水Wを除去しても構わない。
【0058】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る薄切片搬送装置の第4実施形態を、図9を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第4実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、液体供給手段21が散布部24と送液部25とを備えており、液槽4に貯留された水Wを散布することで搬送ベルト20に供給させたが、第4実施形態では、水Wを飛ばすことなく搬送ベルト20に供給できる点である。
【0059】
即ち、本実施形態の薄切片搬送装置50は、図9に示すように、液体供給手段51が、搬送ベルト20に接する繊維状のスポンジ(吸収体)52を備えている。このスポンジ52は、水Wが貯留された液槽53内に一部が浸かった状態で配されており、この水Wを吸収している。つまりスポンジ52は、水Wが含浸された状態となっている。
【0060】
このように構成された薄切片搬送装置50の場合には、搬送ベルト20が液槽4から切断刃2に向かって移動する途中でスポンジ52に接する。これにより搬送ベルト20は、水Wが供給されて保有した状態となる。特に、搬送ベルト20とスポンジ52との接触により水Wを供給できるので、水Wを周囲に飛散させる恐れがない。よって、周囲環境を清浄に保つことができる。しかも、容易な構成で水Wを確実に供給できるので、構成の単純化を図ることができる。また、スポンジ52を利用しているので、搬送ベルト20に傷を付ける恐れもない。
【0061】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0062】
例えば、上記各実施形態では、薄切片Mを伸展する際に使用する伸展用液体と、薄切片Mを付着させるために搬送ベルト20に供給する搬送用液体とを、共に水Wとしたが、水Wに限られるものではない。また、それぞれ別の異なる液体であっても構わない。
また、縦糸20a及び横糸20bでメッシュ状になった搬送ベルト20を例にしたが、この場合に限られるものではなく、無端状のベルトであれば構わない。
また、搬送ベルト20の一部を液槽4に貯留されている水Wに浸けた構成としたが、この場合に限られず、水Wの上方にローラ23を位置させて、搬送ベルト20が水Wに浸からない構成としても構わない。この場合には、液槽4まで搬送されてきた薄切片Mは、重力によって剥がれて液槽4に落ちる。但し、上記各実施形態のように、薄切片Mをより確実に剥すことができる点において、搬送ベルト20の一部を水Wに浸けることが好ましい。
【0063】
また、切断装置3によって薄切した薄切片Mを搬送ベルト20に載置させる際、薄切片Mに対して送風機等により風を当てて、該薄切片Mを搬送ベルト20に押し付けても構わない。こうすることで、より確実且つ円滑に薄切片Mを搬送ベルト20に付着させることができる。
また、ガイドレール10をZ方向ではなく水平に配置して、包埋ブロックBを水平方向に移動させるように構成しても構わない。この場合には、搬送ベルト20の途中にさらにローラを付加して、搬送ベルト20の経路を曲げれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る薄切片搬送装置を有する薄切片作製装置の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す包埋ブロックの斜視図である。
【図3】図1に示す散布部と搬送ベルトとの関係を示す拡大斜視図である。
【図4】図3に示す断面矢視A−A図である。
【図5】図1に示す薄切片搬送装置の変形例を示す図であって、搬送ベルトの表裏面及び側面を囲む枠体を有する散布部を備えた薄切片搬送装置の構成図である。
【図6】図5に示す散布部と搬送ベルトとの関係を示す拡大斜視図である。
【図7】本発明に係る薄切片搬送装置を有する薄切片作製装置の第2実施形態を示す構成図である。
【図8】本発明に係る薄切片搬送装置を有する薄切片作製装置の第3実施形態を示す構成図である。
【図9】本発明に係る薄切片搬送装置を有する薄切片作製装置の第4実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0065】
B 包埋ブロック
M 薄切片
W 水(伸展用液体、搬送用液体)
S 生体試料
2 切断刃
4 液槽
5、30、40、50 薄切片搬送装置
20 搬送ベルト
21、51 液体供給手段
24 散布部
24a 対向面
24b 枠体
25 送液部
31 センサ
32 流量コントローラ(調整部)
41 除去部
52 スポンジ(吸収体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料が包埋された包埋ブロックを切断刃により薄切して作製された薄切片を、伸展用液体が貯留された液槽まで搬送する薄切片搬送装置であって、
前記切断刃と前記液槽との間に配され、薄切された前記薄切片を載置した状態で液槽まで搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記切断刃と前記液槽との間に配され、前記薄切片を載置するために液槽から切断刃に向かって移動する前記搬送ベルトに対して搬送用液体を供給して、搬送ベルトに該搬送用液体を保有させる液体供給手段とを備えていることを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薄切片搬送装置において、
前記液体供給手段は、前記搬送用液体が含浸され、前記搬送ベルトに接する繊維状の吸収体を備えていることを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の薄切片搬送装置において、
前記液体供給手段は、
前記搬送ベルトに対して対向する対向面を有し、該対向面から前記搬送用液体を搬送ベルトに向けて散布する散布部と、
該散布部に対して前記搬送用液体を送液する送液部とを備えていることを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の薄切片搬送装置において、
前記散布部は、前記搬送用液体を霧状にした状態で散布することを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の薄切片搬送装置において、
前記散布部は、前記搬送ベルトの表裏面及び側面を囲む枠体を有し、該枠体内で散布を行うことを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の薄切片搬送装置において、
前記散布部と前記液槽との間に配され、前記搬送ベルトに保有された前記搬送用液体の残量を検出するセンサと、
該センサによる検出結果に基づいて前記送液部を制御して、前記散布部に送液する前記搬送用液体の流量を調整する調整部とを備え、
前記搬送ベルトに一定量の前記搬送用液体を保有させることを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項7】
請求項3から5のいずれか1項に記載の薄切片搬送装置において、
前記散布部と前記液槽との間に配され、前記搬送ベルトに保有された前記搬送用液体の残量を除去する除去部を備え、
前記送液部は、一定量の前記搬送用液体を前記散布部に送液することを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の薄切片搬送装置において、
前記伸展用液体と前記搬送用液体とが同じ液体であり、
前記液体供給手段は、前記液槽に貯留された前記伸展用液体を前記搬送用液体として前記搬送ベルトに供給することを特徴とする薄切片搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の薄切片搬送装置において、
前記搬送ベルトの一部が、前記伸展用液体内に浸かっていることを特徴とする薄切片搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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