説明

薄型表示装置

【課題】点灯表示部の取付けを安価な構造で簡単確実に行う。
【解決手段】液晶モジュールを配置した合成樹脂製フロントキャビネット2に点灯表示部4が設けられ、該点灯表示部4がプリント配線基板6に設けた発光ダイオードLEDを有し、該発光ダイオードLEDに対応してフロントキャビネット2に表示窓7が開設され、透明性合成樹脂からなるレンズホルダ9に一体形成したレンズ本体8が表示窓7と発光ダイオードLEDとの間に介在され、表示窓7に隣接して遮光板22がフロントキャビネット2に一体突設され、該遮光板22を挿通するためのガイド孔23がレンズホルダ9に貫設され、該レンズホルダ9にスタンド24が一体突設されており、ガイド孔23を遮光板22に嵌合させてレンズホルダ9をフロントキャビネット2に配置し、プリント配線基板6をスタンド24上に載置しビス30でフロントキャビネット2に止着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶テレビなどの薄型表示装置であって、特に、点灯表示部の取付け
を安価な構造で簡単確実に行うことができるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型表示装置の一例として図6〜図9に示すものがあり、これは液晶テレビであ
って、液晶モジュール(薄型表示部)1が合成樹脂製フロントキャビネット2に配置され
、該フロントキャビネット2に合成樹脂製リアキャビネット3が被せられ、フロントキャ
ビネット2の下方一端に点灯表示部4が設けられると共に、該フロントキャビネット2の
下方中央にスイッチ部5が設けられている。
【0003】
図7〜図9に示すように、前記点灯表示部4は、矩形板状のプリント配線基板6に所定
間隔をおいて配列した複数(この例では電源、DVD及びリモコン用などの3つ)の発光
ダイオードLEDを有し、該各発光ダイオードLEDに対応してフロントキャビネット2
に複数の表示窓7が開設され、該各表示窓7と各発光ダイオードLEDとの間に複数の柱
状レンズ本体8が介在されている。
【0004】
図7〜図9に示すように、前記各レンズ本体8は、透明性合成樹脂からなる矩形状レン
ズホルダ9に一体形成され、該レンズホルダ9の背面両端に一対の位置決め突起部11が
一体突設されると共に、該各位置決め突起部11に対応してプリント配線基板6に位置決
め孔12が貫設され、レンズホルダ8を位置決めするためのリブ13とプリント配線基板
6を固定するための複数(この例では3本)のフック14とがフロントキャビネット2に
一体突設され、リブ13に対応してレンズホルダ9の外周部に位置決め凹部15が凹設さ
れている。
【0005】
点灯表示部4の組立手順を説明すると、図9に示すように、フロントキャビネット2を
作業台上に載置した状態で、レンズホルダ9の位置決め凹部15をリブ13に嵌合させる
ことにより、各レンズ本体8を各表示窓7に対向させ、そのレンズホルダ9をフロントキ
ャビネット2上に所定通りに位置決めする。続いて、プリント配線基板6の各位置決め孔
12を各位置決め突起部11に嵌合させ、該プリント配線基板6の外周縁を各フック14
に係合させることにより、そのプリント配線基板6及びレンズホルダ9をフロントキャビ
ネット2に固定する。
【0006】
図6に示すように、前記スイッチ部5は、矩形板状のプリント配線基板17に所定間隔
をおいて配列した複数(この例では7つ)のタクトスイッチ18を有し、該各タクトスイ
ッチ18に対応してフロントキャビネット2に複数の押釦19が一定範囲内移動可能に配
置されている。
【0007】
スイッチ部5の組立手順は、点灯表示部4の場合とほぼ同じであって、フロントキャビ
ネット2に一体突設した複数のフック(図示せず)でプリント配線基板17を該フロント
キャビネット2に位置決め固定している。
【0008】
上記構成において、適当な押釦19を押してタクトスイッチ18を操作したりリモコン
を操作することにより、例えば電源、DVD及びリモコンなどに対応する所定の発光ダイ
オードLEDが発光され、表示窓7に点灯表示が行われる。なお、関連する技術として特
許文献1に記載したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−58928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の構成では、プリント配線基板6,17を固定するために複数のフック14を
用いており、その複数のフック14は頭部が大きい特殊形状であるから、フロントキャビ
ネット2を成形する金型の構造が複雑になり、製作費が高くつく。
【0011】
また、プリント配線基板6,17は、複数のフック14に引っ掛けて固定されているだ
けであるから、組立作業後、例えば工具などが接触して、そのプリント配線基板6,17
の位置がずれたり固定状態が解除され、組立不良になるおそれがある。
【0012】
更に、適当な発光ダイオードLEDを発光させて表示窓7から点灯表示を行ったときに
、隣接する表示窓7まで光が漏れて、その点灯表示の確認が困難になることがある。
【0013】
しかも、点灯表示部4とスイッチ部5とが別個に設けられており、部品点数が多くて製
作費が高くつく。
【0014】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、点灯表示部の取付けを安価な構造で簡単確実に行う
ことができるようにした薄型表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、薄型表示部を配置した合成樹脂製
フロントキャビネットに点灯表示部が設けられ、該点灯表示部がプリント配線基板に設け
た発光ダイオードを有し、該発光ダイオードに対応してフロントキャビネットに表示窓が
開設され、透明性合成樹脂からなるレンズホルダに一体形成したレンズ本体が表示窓と発
光ダイオードとの間に介在された薄型表示装置において、前記表示窓に隣接して遮光板が
フロントキャビネットに一体突設され、該遮光板を挿通するためのガイド孔が前記レンズ
ホルダに貫設され、該レンズホルダにスタンドが一体突設されており、レンズホルダのガ
イド孔を遮光板に嵌合させて該レンズホルダをフロントキャビネットに配置し、プリント
配線基板をスタンド上に載置することにより発光ダイオードをレンズ本体を介して表示窓
に対向させ、そのプリント配線基板をフロントキャビネットに固定するようにしたことを
特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記プリント配線基板をフ
ロントキャビネットにビスで止着するようにしたことを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記プリント配線
基板に複数のタクトスイッチからなるスイッチ部が設けられ、該各タクトスイッチに対応
してフロントキャビネットに複数の押釦が一定範囲内移動可能に配置されていることを特
徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、レンズホルダのガイド孔を遮光板に嵌合させることに
より、該遮光板をガイドにしてレンズホルダをフロントキャビネット上に所定通りに位置
決め載置することができ、続いて、レンズホルダのスタンド上に載置したプリント配線基
板をフロントキャビネットに固定することにより、そのプリント配線基板に設けた発光ダ
イオードをレンズ本体を介して表示窓に対して正確に対向させることができる。
【0019】
また、プリント配線基板を固定するために、従来の特殊形状のフックに相当するものを
フロントキャビネットに一体突設していないので、そのフロントキャビネットを成形する
金型の構造が簡単になり、製作費が安くつく。
【0020】
更に、プリント配線基板をフロントキャビネットに確実に固定しているので、それに工
具などが接触しても、そのプリント配線基板の位置がずれたり固定状態が解除されたりせ
ず、点灯表示部の組立状態を確実に維持することができる。
【0021】
しかも、遮光板で発光ダイオードの発光が側方に漏れるのを阻止しているので、その発
光ダイオードに対向する表示窓だけを確実に光らせることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、ビスによりプリント配線基板をフロントキャビネット
に簡単確実に固定することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、点灯表示部とスイッチ部とのプリント配線基板が共通
化されているので、部品点数が従来に比べて少なく、製作費を安くすることがきる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の一形態である薄型表示装置の正面図、(b)は同側面図である。
【図2】同要部の一部切欠き背面図である。
【図3】同要部の水平断面図である。
【図4】同要部の縦断面図である。
【図5】同要部の分解斜視図である。
【図6】(a)は従来例を示す正面図、(b)は同側面図である。
【図7】同要部の縦断面図である。
【図8】同要部の斜視図である。
【図9】同要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜図5は本発明の実施の一形態である薄型表示装置を示すものであり、これは液晶
テレビであって、液晶モジュール(薄型表示部)1を配置した合成樹脂製フロントキャビ
ネット2の下方中央に点灯表示部4とスイッチ部5とが一体的に設けられている。上記以
外の構成で図6〜図9に示す構成と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0026】
前記点灯表示部4は、矩形板状のプリント配線基板6に所定間隔をおいて配列した複数
(この例では電源、DVD及びリモコン用などの3つ)の発光ダイオードLEDを有し、
該各発光ダイオードLEDに対応してフロントキャビネット2に複数の表示窓7が開設さ
れ、該各表示窓7と各発光ダイオードLEDとの間に複数の柱状レンズ本体8が介在され
、該各レンズ本体8が透明性合成樹脂からなる矩形状レンズホルダ9に一体形成されてい
る。また、発光ダイオードLEDに隣接してリモコン用センサ−20がプリント配線基板
6に配置され、該センサ−20に対応してフロントキャビネット2及びレンズホルダ9に
受信窓21が開設されている。
【0027】
図2〜図5に示すように、前記各表示窓7に隣接して複数(この例では3つ)の横断面
半円状遮光板22が該各表示窓7を中心にしてフロントキャビネット2に一体突設され、
該各遮光板22を挿通するための複数の半円状ガイド孔23がレンズ本体8を中心にして
レンズホルダ9に貫設されている。
【0028】
図2〜図5に示すように、レンズホルダ9の複数箇所にスタンド24が一体突設されて
おり、各ガイド孔23を各遮光板22に嵌合させてレンズホルダ9をフロントキャビネッ
ト2上に載置したときに、その各スタンド24が各遮光板22よりもわずかの間隔t(例
えば0.5〜1mm程度)だけ外方に突出するように設定され(図3参照)、各スタンド
24上にプリント配線基板6を載置したとき、該プリント配線基板6に各遮光板22が当
たらないように形成している。
【0029】
図5に示すように、フロントキャビネット2の各表示窓7及び受信窓21の周囲に格子
状突条25が一体形成されており、その突条25上にレンズホルダ9が安定的に載置され
る。また、レンズホルダ9の外周部に補強枠26が一体形成されている。
【0030】
図1及び図5に示すように、前記スイッチ部5を形成する各タクトスイッチ18が前記
プリント配線基板6に所定間隔をおいて配列され、該各タクトスイッチ18に対向する押
釦19を一定範囲内移動可能に挿通する挿通孔27がフロントキャビネット2に貫設され
、点灯表示部4及びスイッチ部5を間に挟んで一対のボス28がフロントキャビネット2
に一体突設されており、該各ボス28にプリント配線基板6の両端の貫通孔29を通って
ビス30がねじ込まれる。
【0031】
組立手順を説明すると、図5に示すように、フロントキャビネット2を作業台上に載置
した状態で、レンズホルダ9の各ガイド孔23を各遮光板22に嵌合させることにより、
その各遮光板22をガイドにしてレンズホルダ9をフロントキャビネット2上に位置決め
載置し、各レンズ本体8を各表示窓7に対向させる。続いて、プリント配線基板6を各ス
タンド24上に載置することにより、各発光ダイオードLEDを各レンズ本体8に対向さ
せると共に、各タクトスイッチ18を各挿通孔27に挿通した各押釦19に対向させ、ビ
ス30をプリント配線基板6の両端の貫通孔29を通ってボス28のねじ孔にねじ込むこ
とにより、そのプリント配線基板6及びレンズホルダ9をフロントキャビネット2に止着
する。
【0032】
上記構成において、リモコンを操作して信号をセンサ−20で受信したり、適当な押釦
19を押してタクトスイッチ18を操作することにより、例えば電源、DVD及びリモコ
ンなどに対応する所定の発光ダイオードLEDが発光され、表示窓7に点灯表示が行われ
る。
【0033】
上記構成によれば、レンズホルダ9の各ガイド孔23を各遮光板22に嵌合させること
により、該各遮光板22をガイドにしてレンズホルダ9をフロントキャビネット2上に所
定通りに位置決め載置することができ、続いて、レンズホルダ9のスタンド24上に載置
したプリント配線基板6をビス30でフロントキャビネット2に止着することにより、そ
のプリント配線基板6に設けた発光ダイオードLEDをレンズ本体8を介して表示窓7に
対して正確に対向させることができる。
【0034】
また、プリント配線基板6を固定するために、従来の特殊形状のフック14(図9参照
)に相当するものをフロントキャビネット2に一体突設していないので、そのフロントキ
ャビネット2を成形する金型の構造が簡単になり、製作費が安くつく。
【0035】
更に、ビス30でプリント配線基板6をフロントキャビネット2に確実に固定している
ので、それに工具などが接触しても、そのプリント配線基板6の位置がずれたり固定状態
が解除されたりせず、点灯表示部4(及びスイッチ部5)の組立状態を確実に維持するこ
とができる。
【0036】
しかも、遮光板22で発光ダイオードLEDの発光が側方に漏れるのを阻止しているの
で、その発光ダイオードLEDに対向する表示窓7だけを確実に光らせることができ、従
来のように隣接する無関係の表示窓7が光るという難点を解消することができる。
【0037】
また更に、点灯表示部4とスイッチ部5とのプリント配線基板6が共通化されているの
で、部品点数が従来に比べて少なく、製作費を安くすることがきる。
【0038】
上記実施の形態では、発光ダイオードLEDを3つ設けた場合を例にあげて説明したが
、これに限定されるわけではなく、発光ダイオードLEDを1つまたは2つ若しくは4つ
以上設ける場合にも適用される。
【0039】
また、プリント配線基板6をフロントキャビネット2に固定する手段としてビス30を
用いたが、これに限定されるわけではなく、そのビス30に代えて、接着剤による接着や
溶着を採用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 液晶モジュール(薄型表示部)
2 フロントキャビネット
4 点灯表示部
5 スイッチ部
6 プリント配線基板
7 表示窓
8 レンズ本体
9 レンズホルダ
18 タクトスイッチ
19 押釦
22 遮光板
23 ガイド孔
24 スタンド
30 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型表示部を配置した合成樹脂製フロントキャビネットに点灯表示部が設けられ、該点
灯表示部がプリント配線基板に設けた発光ダイオードを有し、該発光ダイオードに対応し
てフロントキャビネットに表示窓が開設され、透明性合成樹脂からなるレンズホルダに一
体形成したレンズ本体が表示窓と発光ダイオードとの間に介在された薄型表示装置におい
て、前記表示窓に隣接して遮光板がフロントキャビネットに一体突設され、該遮光板を挿
通するためのガイド孔が前記レンズホルダに貫設され、該レンズホルダにスタンドが一体
突設されており、レンズホルダのガイド孔を遮光板に嵌合させて該レンズホルダをフロン
トキャビネットに配置し、プリント配線基板をスタンド上に載置することにより発光ダイ
オードをレンズ本体を介して表示窓に対向させ、そのプリント配線基板をフロントキャビ
ネットに固定するようにしたことを特徴とする薄型表示装置。
【請求項2】
前記プリント配線基板をフロントキャビネットにビスで止着するようにしたことを特徴
とする請求項1に記載の薄型表示装置。
【請求項3】
前記プリント配線基板に複数のタクトスイッチからなるスイッチ部が設けられ、該各タ
クトスイッチに対応してフロントキャビネットに複数の押釦が一定範囲内移動可能に配置
されていることを特徴とする請求項1または2に記載の薄型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−34078(P2013−34078A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168702(P2011−168702)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】