説明

薄板パネルの積重ねに用いるモジュール、および薄板パネルの積重ね方法

【課題】複数の薄板パネルを上下方向に安定して積み重ねることが可能な薄板パネルの積重ねに用いるモジュールを提供する。
【解決手段】薄板パネルを下方から支持するための支持部と、該支持部の外側で該支持部と連結され、該支持部により支持された薄板パネルの重さを上下方向に伝達する荷重伝達部と、薄板パネルの水平方向の位置決めをする位置決め部とを有する、薄板パネルの積重ねに用いるモジュール10であって、前記荷重伝達部は該モジュール10の上部に設けられた荷重受け面74と、該モジュール10の下部に設けられた荷重解放面72とを有し、上のモジュール10の前記荷重解放面72を下のモジュール10の前記荷重受け面74に載置する形態で上のモジュール10を下のモジュール10に積み重ねるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板パネルの積重ねに用いるモジュールおよび薄板パネルの積重ね方法に関し、より詳細には、複数の薄板パネルを上下方向に効率的かつ安定して積み重ねることが可能な薄板パネルの積重ねに用いるモジュール、およびモジュールを利用した薄板パネルの積重ね方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、こわれやすい重い薄板パネル、たとえば太陽光パネルを上下方向に非接触式に積み重ねた形態で、保管したり搬送するのに、そのためのモジュールが用いられてきた。
特許文献1および特許文献2は、その一例を開示する。
このモジュールは、薄板パネルを下方から支持するための支持面と、該支持面から外方に延びる形態で該支持面と連結され、薄板パネルの重さを上下方向に伝達する成形品部材とを有し、この成形品部材の上下部にそれぞれ、互いに嵌り合い可能な凹部あるいは凸部を有する。
【0003】
このようなモジュールによれば、薄板パネルの四隅それぞれにモジュールをあてがい、薄板パネルをそれぞれの支持面に載置し、次いで、各隅において、新たなモジュールの成形品部材の下部の凹部をすでに配置されたモジュールの成形品部材の上部の凸部に嵌め込み、同様に次の薄板パネルを4つのモジュールにより支持することにより、薄板パネルを非接触の形態で上下方向に積み重ねることが可能である。
しかしながら、このようなモジュールには、以下のような技術的問題点が存する。
【0004】
第1に、薄板パネルの重量を上下に伝達する荷重伝達機能を奏する成形品部材の上下部それぞれに、位置決め機能を奏する凹凸部を設けることに起因して、上下部に十分な荷重伝達面積を確保するのが困難である。そのため、各薄板パネルは、モジュールにより支持可能であるとしても、薄板パネルを上下に積み重ねるのに、各隅においてモジュールを積み重ねて柱状に形成する必要があるところ、上下に隣接するモジュール同士の荷重伝達面積が不十分なことから、柱状のモジュール自体が不安定であり、特に搬送中に、振動により柱が崩れ、積み重ねた薄板パネルの破損を引き起こしかねない。
第2に、複数の薄板パネルを効率的にかつ安定的に上下方向に積み重ねることが困難な点である。
【0005】
より詳細には、たとえば、積み重ねた薄板パネルをフォークリフトにより搬送するために、パレットの上面にモジュールを用いて薄板パネルを積み重ねる場合、パレットの上面に、その場で薄板パネルの四隅それぞれに相当する位置にモジュールを位置決めしないと、薄板パネルを積み重ねることができない。より具体的には、各薄板パネルを四隅それぞれにおいて、モジュールの支持面に載置し、下方から支持する形態を採用することから、予め各隅にモジュールの支持面を準備してからでないと、薄板パネルを支持することができない。この点で、複数の薄板パネルの四隅それぞれに対して、予めモジュールをあてがっておき、四隅にモジュールをあてがった状態の薄板パネルをパレットの上面において積み重ねていくことは困難である。敢えて、そのようにするとすれば、モジュールは薄板パネルの各隅部に固定されていないことから、各隅においてパレットの上面にすでに柱状に積み重ねられたモジュールに対して、薄板パネルごと4つのモジュールを同時に積み重ねる際、柱状のモジュールの安定性を損ね、場合により、柱状のモジュールをくずすことにもなりかねない。
第3に、第1の点に関連して、モジュールのコンパクト化が困難な点である。
【0006】
より詳細には、荷重伝達部に凹凸部を設けることに起因して荷重伝達面積が減少することから、特に最下段のモジュールについて、積み重ねた薄板パネルの全重量を支持するに十分な強度を確保する観点から、荷重伝達面積を増大させるために荷重伝達部を大きくするとすれば、モジュールの横方向への張り出しが必然的に大きくなり、もともと限られた保管スペース等に最大限に保管する観点からモジュールのコンパクト化が要請されるにも拘わらず、この点が困難である。一方において、モジュールのコンパクト化達成のために、荷重伝達部に、凹凸部でなく、荷重伝達面積の減少を防止可能な、たとえば直立板をモジュールの上下部それぞれに設け、モジュールの積み重ねの際、上のモジュールの下部の直立板を下のモジュールの上部の直立板に係止させることにより、上のモジュールの下のモジュールに対する内方あるいは外方の一方向への相対移動を制限することが可能である。
しかしながら、上のモジュールの下のモジュールに対する内方および外方の二方向への相対移動を制限することができず、柱状のモジュールの安定性を損ね、場合により、柱状のモジュールをくずすことにもなりかねない。
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【特許文献2】実開昭55−7790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、上記技術的問題点にかんがみ、本発明の目的は、複数の薄板パネルを上下方向に安定して積み重ねることが可能な薄板パネルの積重ねに用いるモジュールを提供することにある。
そこで、上記技術的問題点にかんがみ、本発明の目的は、複数の薄板パネルを上下方向に安定して積み重ねることが可能であるとともに、コンパクト化を達成した薄板パネルの積重ねに用いるモジュールを提供することにある。
そこで、上記技術的問題点にかんがみ、本発明の目的は、複数の薄板パネルを上下方向に効率的かつ安定して積み重ねることが可能な薄板パネルの積重ね方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る薄板パネルの積重ねに用いるモジュールは、
薄板パネルを下方から支持するための支持部と、該支持部の外側で該支持部と連結され、該支持部により支持された薄板パネルの重さを上下方向に伝達する荷重伝達部と、薄板パネルの水平方向の位置決めをする位置決め部とを有する、薄板パネルの積重ねに用いるモジュールであって、
前記荷重伝達部は、該モジュールの上部に設けられた荷重受け面と、該モジュールの下部に設けられた荷重解放面とを有し、
上のモジュールの前記荷重解放面を下のモジュールの前記荷重受け面に載置する形態で上のモジュールを下のモジュールに積み重ねる際、前記位置決め部は、前記荷重受け面の内縁または外縁に設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する上係止部と、前記荷重解放面の該上係止部が設けられる側と同じ側の縁に、前記上係止部と水平方向にオフセットする形態で設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する下係止部とを有する、構成としている。
【0009】
以上の構成を有する薄板パネルの積重ねに用いるモジュールによれば、下のモジュールの荷重受け面に対して上のモジュールの荷重解放面を載置する形態で、下の薄板パネルに対して上の薄板パネルを積み重ねる際、下のモジュールの荷重受け面の内縁または外縁に設けられた上係止部と、上のモジュールの荷重解放面の上係止部が設けられる側と同じ側に設けられた下係止部とは、水平方向に相対的に位置をずらしてオフセット配置されているので、互いにぶつかり合うことなく上のモジュールを下のモジュールに円滑に載置可能であり、しかも、荷重伝達部を構成する荷重受け面および荷重解放面上に位置決め部を構成する上係止部および下係止部を設けることなく、荷重伝達部と位置決め部とを分離することにより、荷重伝達面積を最大限に確保した状態で上下のモジュール間で荷重伝達が行われるとともに、上係止部により上のモジュールの下のモジュールに対する内方または外方への相対移動が制限されると同時に、下係止部により、上のモジュールの下のモジュールに対する外方または内方への相対移動が制限され、総じて、上のモジュールが下のモジュールに対して水平方向に内方および外方に位置決めされ、以て薄板パネルを効率的かつ安定的に上下方向に積み重ねることが可能である。
【0010】
また、前記支持部は、上板状体と、下板状体と、該上板状体と該下板状体とにより略コの字断面を形成するように、前記上板状体の外縁と前記下板状体の外縁とを連結する上下方向壁とを有し、コの字断面の開放部から薄板パネルを前記下板状体と前記上板状体との間に挿入して、挟み込み支持を行い、
前記荷重伝達部は、前記上下方向壁に形成された荷重伝達面を有し、
前記荷重受け面は、前記上下方向壁の上部に設けられ、前記荷重解放面は、前記上下方向壁の下部に設けられるのがよい。
また、前記上板状体は、前記上係止部の下端の直ぐ下方に設けられ、前記下板状体は、前記下係止部の上端の直ぐ上方に設けられ、
前記薄板パネルは、周縁に枠なしのパネルであり、パネルの四隅それぞれに対して前記モジュールが直接挟み込み支持をするのがよい。
また、前記支持部は、上面に支持面を構成する板状体であり、
前記薄板パネルは、周縁に枠付のパネルであり、パネルの四隅それぞれが前記支持面に枠を介して、前記上下方向壁の内面に当接する形態で載置するのでもよい。
さらに、前記上係止部および前記下係止部はそれぞれ、前記荷重受け面および前記荷重解放面の内縁に設けられ、前記上係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して内方へ相対移動するのを制限し、前記下係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して外方へ相対移動するのを制限するのがよい。
さらにまた、前記上係止部および前記下係止部はそれぞれ、前記荷重受け面および前記荷重解放面の外縁に設けられ、前記上係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して外方へ相対移動するのを制限し、前記下係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して内方へ相対移動するのを制限するのでもよい。
加えて、前記荷重解放面は、前記上下方向壁の下面に形成され、一方前記荷重受け面は、前記上下方向壁の上面に形成され、前記上下方向壁は、中実構造であるのがよい。
また、前記荷重受け面および前記荷重解放面それぞれの幅は、7ミリ以下であるのがよい。
さらに、前記上係止部は、前記荷重受け面から上に向かって前記荷重受け面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有するのがよい。
さらにまた、前記下係止部は、前記荷重解放面から下に向かって前記荷重解放面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有するのでもよい。
また、前記傾斜面の鉛直線に対する傾斜角度は、10度ないし30度であるのがよい。 さらに、前記上係止部および前記下係止部は、互いに協働して、前記上下方向壁の内縁または外縁全体をほぼカバーするように設けられるのがよい。
さらにまた、前記上下方向壁は、水平断面がL字形をなし、
前記上係止部は、前記L字形荷重受け面の交差部の各側に少なくとも1つずつ設けられるとともに、前記下係止部は、前記L字形荷重解放面の交差部の各側に少なくとも1つずつ設けられるのがよい。
また、前記L字形荷重受け面の交差部の近位側にそれぞれ設けられる前記上係止部は、交差部を挟んで連続的に形成されるのがよい。
加えて、前記上係止部は、前記L字形荷重受け面の交差部の近位側に設けられるとともに、前記下係止部は、前記L字形荷重解放面の交差部の遠位側に設けられるのがよい。
また、前記L字形荷重受け面の交差部の各側において、前記上係止部および前記下係止部は、交互に配置されるのでもよい。
さらに、前記薄板パネルは、矩形形状の太陽光パネルであるのがよい。
また、前記モジュールは、樹脂製であり、一体成形されるのがよい。

【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る薄板パネルの積重ね方法は、
薄板パネルの隅部を下方から支持する支持部と、該支持部に連結され、上部および下部それぞれに荷重伝達面を有する、薄板パネルの重さを上下方向に伝達する荷重伝達部と、荷重伝達面の縁に設けた係止部を用いて薄板パネルの水平方向の位置決めをする位置決め部とを有する、薄板パネルの積重ねに用いるモジュールを準備する段階と、
複数の薄板パネルそれぞれについて、各隅において、前記荷重伝達部を通じて薄板パネルの重さを上下方向に伝達しつつ、前記モジュールを上下方向に柱状に積み重ねる形態で、薄板パネルを順次積み重ねる段階とを有し、
前記積み重ね段階は、各隅において、上下方向に隣接するモジュール間において、前記係止部により上のモジュールの下のモジュールに対する水平方向の相対移動を制限することを通じて、上の薄板パネルを下の薄板パネルに対して水平方向に位置決めする段階を有する構成としている。
【0012】
また、前記支持部は、上板状体と、下板状体と、該上板状体と該下板状体とにより略コの字断面を形成するように、前記上板状体の外縁と前記下板状体の外縁とを連結する上下方向壁とを有し、
前記積み重ね段階の前に、積み重ね予定の複数の薄板パネルに対して併行して、それぞれの四隅の各々に、モジュールをあてがう段階を有し、
該あてがい段階は、コの字断面の開放部から薄板パネルを前記下板状体と前記上板状体との間に挿入して、挟み込み支持を行う段階を有し、
前記積み重ね段階は、四隅に対してモジュールをあてがった複数の薄板パネルについて、各隅において、前記荷重伝達部を通じて薄板パネルの重さを上下方向に伝達しつつ、モジュールを上下方向に柱状に積み重ねる形態で、薄板パネルを順次積み重ねる段階を有するのがよい。
【0013】
さらにまた、前記荷重伝達面は、前記上下方向壁の上部に設けられた荷重受け面と、前記上下方向壁の下部に設けられた荷重解放面とを有し、
前記係止部は、前記荷重受け面の内縁または外縁に設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する上係止部と、前記荷重解放面の該上係止部が設けられる側と同じ側の縁に、前記上係止部と水平方向にオフセットする形態で設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する下係止部とを有し、
前記位置決め段階は、各隅部において、上のモジュールの前記荷重解放面を下方のモジュールの前記荷重受け面に載置する際、上のモジュールの前記下係止部を下のモジュールの前記荷重受け面の内縁または外縁に係止するとともに、下のモジュールの前記上係止部を上のモジュールの前記荷重解放の内縁または外縁に係止することにより行うのがよい。
加えて、前記上係止部は、前記荷重受け面から上に向かって前記荷重受け面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有するとともに、前記下係止部は、前記荷重解放面から下に向かって前記荷重解放面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有し、
前記積み重ね段階は、前記上係止部および/または前記下係止部の傾斜部を案内面として利用して、上のモジュールを下のモジュールに積み重ねる段階を有するのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るモジュール10の第1実施形態を、積み重ねる薄板パネルとして矩形形状の太陽光パネルPを例に、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
太陽光パネルPは、セルを直列接続し、樹脂や強化ガラス、金属枠で保護した薄板状をなし、より具体的には、ガラス層とプラスチック層、あるいはガラス層とガラス層との間にシリコンからなるセルが埋め込まれた積層構造であり、厚みが数ミリ、面積が数平方メートル、重量が10ないし30Kgに及ぶことから、精密でこわれやすい構造体である。
本実施形態においては、周縁に枠が装着されていない太陽光パネルPを対象に、その四隅それぞれを薄板パネルの積重ねに用いるモジュール10により直接支持する場合を説明する。
モジュール10は、太陽光パネルPを挟み込み支持する挟み込み支持部と、支持部の外側で支持部と連結され、支持部により支持された薄板パネルの重さを上下方向に伝達する荷重伝達部と、太陽光パネルPの水平方向の位置決めをする位置決め部とを有する。
【0015】
図1ないし図5に示すように、モジュール10は、中心線X−X(図4参照)に関して線対称の形状を有し、挟み込み支持部は、互いに平行に上下方向に間隔を隔てて連結された、上板状体12と下板状体14とからなる一対の板状体16と、上板状体12と下板状体14とを連結する上下方向壁18とを有し、荷重伝達部は、上下方向壁18が構成し、モジュール10は、樹脂製であり、これらが一体成形され、後に詳細に説明するように、太陽光パネルPの四隅それぞれにモジュール10をあてがい、太陽光パネルPを挟み込み支持したうえで、それぞれのモジュール10に次のモジュール10を載置して、次の太陽光パネルPを支持し、これを繰り返すことにより、太陽光パネルPを上下方向に積み重ねるようにしている。
この意味において、太陽光パネルPの重さは、各隅において、柱状に積み重ねられるモジュール10を通じて伝達され、最下段のモジュール10には、積み重ねた枚数分の太陽光パネルPの重さが負荷される。
【0016】
モジュール10の樹脂材料は、熱可塑性樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、または非晶性樹脂などで、より具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であり、モジュール10の構造が比較的複雑であることから、特に射出成形による一体成形に適している。
一対の板状体16を構成する上板状体12および下板状体14はそれぞれ、L字形状を有し、上板状体12と下板状体14とにより、特に図1に明瞭に示すように、鉛直断面が略コの字断面を形成するように、上板状体12の外縁31と下板状体14の外縁33とを連結するように上下方向壁18が設けられる。
上板状体12は、後に説明する上係止部104の下端の直ぐ下方で上下方向壁18の内面111に固定され、下板状体14は、後に説明する下係止部106の上端の直ぐ上方で上下方向壁18の内面111に固定されている。上板状体12および下板状体14は、モジュールとして一体射出成形するのが好ましい。
これにより、一対の板状体16が太陽光パネルPを挟み込み支持する挟み込み支持部を構成し、コの字断面の開放部から太陽光パネルPを上板状体12と下板状体14との間に挿入して、挟み込み支持するようにしている。
【0017】
この場合、周縁に枠なしの太陽光パネルPを直接挟み込み支持することにより、枠付の場合に比べ、挟み込み支持に必要な上板状体12と下板状体14との間隔を小さくすることが可能であり、上係止部104の下方への突出長さおよび下係止部106の上方への突出長さを極力短くすることにより、モジュール10の高さを低くすることが可能であり、限られた保管スペース、特に高さが限られた保管スペースに枠なしの太陽光パネルPを保管する際、保管可能な太陽光パネルPの数を確保することが可能である。
【0018】
上板状体12および下板状体14はそれぞれの交差部108は直交し、太陽光パネルPを挟み込み支持する際、太陽光パネルPの隅部を上下方向壁18の内面111に向かって、太陽光パネルPの角部の側面部が上下方向壁18の対応する内面111に密着形態で当接するまで押し込むことにより、太陽光パネルPの隅部の上面、下面および側面部それぞれが、上板状体12の下面、下板状体14の上面および上下方向壁18の対応する内面111によって安定して固定支持されるようにしている。
【0019】
よって、上板状体12の下面と下板状体14の上面との間の間隔、および上板状体12および下板状体14それぞれの面積は、太陽光パネルPを挟み込み支持可能なように決定すればよい。このように、モジュール10により太陽光パネルPを挟み込み支持することにより、モジュール10が太陽光パネルPに固定され、後に説明するように、太陽光パネルPの四隅にモジュール10をあてがった状態で、太陽光パネルPを移動することが可能である。
図1および図2に示すように、上板状体12および下板状体14それぞれには、補強リブ41、43が設けられ、特に太陽光パネルPを挟み込み支持する際、下板状体14には
太陽光パネルPの重さが負荷されることから、下板状体14を下方から支持するようにしている。
【0020】
より詳細には、図1に示すように、上板状体12の上側に、上下方向壁18の内面111と上板状体12の上面とを跨ぐ形態で連結する複数の補強リブ41が適宜の間隔を隔てて設けられ、一方図2に示すように、下板状体14の下側に、上下方向壁18の内面111と下板状体14の下面とを跨ぐ形態で連結する複数の補強リブ43が適宜の間隔を隔てて設けられる。補強リブ41、43の設置数および間隔は、積み重ね対象の太陽光パネルPの重さに応じて定めればよい。
また、図2に示すように、上板状体12の下側には、太陽光パネルPの挟み込み支持を容易にする観点から、上下方向壁18の内面111に向かって下方に傾斜するようにテーパ付けた案内部45が、適宜の間隔を隔てて設けられている。補強リブ41、43および案内部45を含め、一体成形するのが好ましい。
【0021】
なお、上板状体12および下板状体14それぞれをL字形でなく、矩形状とし、太陽光パネルPの四隅でなく、太陽光パネルPの各辺の中間部にあてがってもよく、場合により、L字形のモジュール10を用いて太陽光パネルPの四隅にあてがったうえで、矩形状のモジュール10を用いて各辺の中間部にあてがってもよく、さらに四隅の一部と、各辺の中間部の一部とを併用してもよい。
図1および図2に示すように、上下方向壁18の上下面37、39が荷重伝達部を構成する。
上下方向壁18の上面37および下面39は、互いに平行であり、太陽光パネルPを積み重ねる際、上面37は、上のモジュール10からの荷重受け面74を形成する一方、下面39は、下のモジュール10への荷重解放面72を形成する。
【0022】
荷重受け面74および荷重解放面72はともに、上下方向壁18の一方の端面94から他方の端面95まで及ぶL字形の平面部を構成し、従来のように、平面部上に位置決め部を構成する凹凸部を設置していないことから、荷重伝達面積を確保可能であり、それにより、荷重受け面74および荷重解放面72の幅Wの薄肉化を達成している。
【0023】
より詳細には、太陽光パネルPを積み重ねる際、上下方向壁18自体が荷重伝達部を構成することから、太陽光パネルPの重さに耐えられるようにしつつ、極力厚みの薄肉化を図る観点から、上下方向壁18は、中実構造であり、厚みは15ミリ以下、好ましくは10ミリ以下に設定している。これにより、モジュール10のコンパクト化を達成し、モジュール10により積み重ねた太陽光パネルPを限られた保管スペースに保管する際、保管可能な太陽光パネルPの数を多くすることが可能である。
【0024】
次に、図1および図2に示すように、位置決め部は、上のモジュール10の荷重解放面72を下のモジュール10の荷重受け面74に載置する形態で上のモジュール10を下のモジュール10に積み重ねる際、荷重受け面74の内縁102に設けられた、上のモジュール10の下のモジュール10に対する相対移動を制限する上係止部104と、荷重解放面72の上係止部104が設けられる側と同じ側の内縁103に、上係止部104と水平方向にオフセットする形態で設けられた、上のモジュール10の下のモジュール10に対する相対移動を制限する下係止部106とを有する。
【0025】
より詳細には、上係止部104は、L字形荷重受け面74の交差部108の各側に1つずつ、下係止部106は、L字形荷重解放面72の交差部108の各側に1つずつ、上係止部104および下係止部106は、互いに協働して、上下方向壁18の内縁102、103をほぼカバーするように設けられる。上係止部104は、L字形荷重受け面74の交差部108の近位側に設けられるとともに、下係止部106は、L字形荷重解放面72の交差部108の遠位側に設けられる。
【0026】
上係止部104の各々は、荷重受け面74から上に向かって荷重受け面74の内縁102から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部110を有し、上下方向壁18の内面111に固定されている。上係止部104の荷重受け面74から上方への高さHは、後に説明するように、モジュール10を積み重ねる際、上下方向に隣接するモジュール10間において、下のモジュール10の上係止部104の先端部が上のモジュール10の上下方向壁18の内面111の途中まで及ぶことから(図6参照)、上のモジュール10の下板状体14の下面にぶつからないように適宜に設定すればよい。
【0027】
一方、下係止部106の各々は、荷重解放面72から下に向かって荷重解放面72の内縁103から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部113を有し、上下方向壁18の内面111に固定されている。下係止部106の荷重解放面72から下方への高さHは、後に説明するように、モジュール10を積み重ねる際、上下方向に隣接するモジュール10間において、上のモジュール10の下係止部106の先端部が下のモジュール10の上下方向壁18の内面111の途中まで及ぶことから(図6参照)、下のモジュール10の上板状体12の上面にぶつからないように適宜に設定すればよい。
【0028】
上係止部104および下係止部106ともに、軽量化の観点から、中空構造を有し、上下方向壁18にほぼ平行して対向する第1側面部と、第1側面部の各端と上下方向壁18の内面111との間を延びる第2側面部および第3側面部と、第1側面部、第2側面部および第3側面部それぞれの下縁によって構成される開口を閉鎖する底面部とを有し、第2側面部および第3側面部それぞれにおいて、内縁から斜めに延びる傾斜面が設けられ、これが傾斜部を構成する。なお、軽量化を考慮せずに、中実構造として、傾斜部の面積を確保してもよい。
【0029】
後に説明するように、このようなモジュール10を利用して、複数の太陽光パネルPを上下方向に積み重ねる際、各太陽光パネルPの四隅それぞれをモジュール10により、予め併行して挟み込み支持しておき、四隅それぞれにモジュール10をあてがった各太陽光パネルPを用いて、たとえばパレットの上面において積み重ねることが容易となるように、傾斜部110、113の傾斜角度(図1においてα)は、前記高さHとの関係で0〜90度の範囲(0度および90度を含まない)で適宜決定すればよいが、20度ないし70度、さらには30度ないし45度であるのが好ましい。70度より大きいと、積み重ねは容易となるが、上のモジュール10の下のモジュール10に対する水平方向の位置決め機能が低下し、一方20度より小さいと、水平方向の位置決め機能は向上するが、その分積み重ねが困難となる。
【0030】
これにより、図6に示すように、上下方向に隣接するモジュール10間において、下のモジュール10の上係止部104は、上のモジュール10が下のモジュール10に対して内方へ相対移動するのを制限し、上のモジュール10の下係止部106は、上のモジュール10が下のモジュール10に対して外方へ相対移動するのを制限することから、上のモジュール10が下のモジュール10に対して内方および外方へ相対移動するのが抑制され、モジュール10を安定して積み重ねることが可能である。特に、上板状体12および下板状体14がいずれも、上述のように、L字形に形成され、交差部108を挟んで各側に、上板状体12にあっては上係止部104が、下板状体14にあっては下係止部106が設置されることから、それに対応して、水平面上の直交する2方向の規制が可能であり、より具体的には、上のモジュール10の下のモジュール10に対する直交する2方向の内方への規制がなされ、一方上のモジュール10の下のモジュール10に対する直交する2方向の外方への規制がなされる。
上係止部104および下係止部106はそれぞれ、モジュール10として一体成形、特に射出成形により形成するのが好ましい。この場合、図3に示すように、成形の際のひけ防止の観点から、モジュール10の外表面には、窪み130が多数設けられている。
【0031】
以上の構成によれば、上係止部104および下係止部106はそれぞれ、荷重受け面74の内縁102および荷重解放面72の内縁103に設けられていることから、荷重伝達面である荷重受け面74上および荷重解放面72上には上下係止部106を設置せずに、荷重伝達面積を十分に確保することで荷重受け面74および荷重解放面72の幅Wを極力小さくするとともに、モジュール10自体の外側への張り出しを生じないようにすることで、モジュール10のコンパクト性を維持することが可能である。
位置決め部の変形として、L字形荷重受け面74の交差部108の近位側にそれぞれ設けられる上係止部104は、交差部108を挟んで連続的に形成してもよい。
また、L字形荷重受け面74の交差部108の各側において、上係止部104および下係止部106それぞれを2つ以上設置し、上係止部104および下係止部106を交互に配置するのでもよい。
【0032】
さらに、モジュール10自体のコンパクト性が必要でない場合には、上係止部104および下係止部106をそれぞれ、荷重受け面74および荷重解放面72の外縁に設け、下のモジュール10の上係止部104が、上のモジュール10が下のモジュール10に対して外方へ相対移動するのを制限し、上のモジュール10の下係止部106が、上のモジュール10が下のモジュール10に対して内方へ相対移動するのを制限するのでもよい。

以上の構成を有するモジュール10の作用について、モジュール10を用いて太陽光パネルPを上下方向に積み重ねる方法の説明を通じて、以下に説明する。
複数の太陽光パネルPを上下方向に積み重ねて、フォークリフトにより搬送するために、パレットの上面に太陽光パネルPを上下方向に積み重ねる場合を例に説明する。
まず、積み重ね予定の複数の太陽光パネルPに対して、それぞれの四隅の各々に、モジュール10を併行してあてがう。より詳細には、モジュール10のコの字断面の開放部から太陽光パネルPを下板状板14と上板状板12との間に挿入して、太陽光パネルPを挟み込んで、モジュール10を太陽光パネルPに固定する。
【0033】
太陽光パネルPを挟み込み支持する際、太陽光パネルPの隅部を上下方向壁18の内面111に向かって、太陽光パネルPの角部の側面部が上下方向壁18の対応する内面111に密着形態で当接するまで押し込むことにより、太陽光パネルPの隅部の上面、下面および側面部それぞれが、上板状体12の下面、下板状体14の上面および上下方向壁18の対応する内面111によって安定して固定支持されるようにしている。
このような工程を各太陽光パネルPに対して併行して行い、モジュール10を四隅にあてがった状態の太陽光パネルPを準備しておくことにより、パレットの上面において、太陽光パネルPの四隅にモジュール10をあてがう工程を省略することにより、効率的な太陽光パネルPの積み重ねが可能である。
次いで、四隅に対してモジュール10をあてがった複数の太陽光パネルPについて、各隅において、モジュール10を柱状に積み重ねる形態で、複数の太陽光パネルPを順次積み重ねる。
【0034】
より詳細には、各隅において、次のモジュール10のL字形の荷重解放面72をパレットの上面の最上部のモジュール10のL字形の荷重受け面74に上方から載置する態様で、新たな太陽光パネルPを積み重ねる。その際、次のモジュール10の荷重解放面72の下係止部106の傾斜部113と、最上部のモジュール10の荷重受け面74の上係止部104の傾斜部110とが、案内機能を奏し、次のモジュール10の積み重ね作業を容易に行うことが可能である。
【0035】
このとき、次のモジュール10の荷重解放面72の下係止部106と、最上部のモジュール10の荷重受け面74の上係止部104とはそれぞれ、内縁102、103側に設置されているが、互いにオフセット配置されているので、互いにぶつかり合うことなく、上下係止部104、106の設置に伴いモジュール10の外側への張り出しを生じることなしに、次のモジュール10を最上部のモジュール10に載置することが可能である。
【0036】
太陽光パネルPを最上部の太陽光パネルPに積み重ねる際、太陽光パネルPの四隅それぞれにあてがった4つのモジュール10を対応する最上部のモジュール10に対して同時に位置決めすることになるが、下係止部106の傾斜部113および上係止部104の傾斜部110の傾斜角度αを適宜に設定することにより、このような作業をより容易に行うことが可能である。
【0037】
以上の作業を繰り返すことにより、図7に示すように、複数の太陽光パネルPの四隅それぞれにおいて、複数のモジュール10が柱状に積み重ねられることにより、複数の太陽光パネルPを上下方向に積み重ねることが可能である。このとき、上下方向に隣接するモジュール10間において、上のモジュール10の下係止部106の傾斜部110が下のモジュール10の荷重受け面74の内縁102に内方から当接することにより、上のモジュール10が下のモジュール10に対して外方へ水平に相対移動するのが抑制され、一方下のモジュール10の上係止部104の傾斜部110が上のモジュール10の荷重解放面72の内縁103に内方から当接することにより、上のモジュール10が下のモジュール10に対して内方へ水平に相対移動するのが抑制され、総じて、上のモジュール10の下のモジュール10に対する内方および外方への相対移動が抑制される。
【0038】
特に上板状体12および下板状体14がL字形であり、交差部108を挟んで各側に、上板状体12にあっては上係止部104が、下板状体14にあって下係止部106が設けられていることから、上下方向に隣接するモジュール10間において、互いに直交する方向への水平移動が抑制され、上のモジュール10を下のモジュール10に対して水平方向に確実に位置決めし、以て太陽光パネルPを効率的かつ安定的に上下方向に積み重ねることが可能である。
次いで、図8に示すように、たとえばフォークリフトにより、複数の太陽光パネルPが上下方向に積み重ねられた状態で最下段のパレットごと搬送し、積み重ねた状態で太陽光パネルPを所定の場所に保管することが可能である。
【0039】
なお、保管場所で、積み重ねた太陽光パネルPを荷解きする場合には、積み重ねる場合と逆の手順で行うことにより、効率的に荷解きが可能である。より詳細には、四隅にモジュール10があてがわれた状態で、太陽光パネルPをパレットから荷解きし、別の場所で、複数の太陽光パネルPからモジュール10を併行して、取り外せばよい。
【0040】
以上の構成を有する薄板パネルの積重ねに用いるモジュール10によれば、下のモジュール10の荷重受け面74に対して上のモジュール10の荷重解放面72を載置する形態で、下の薄板パネルに対して上の薄板パネルを積み重ねる際、下のモジュール10の荷重受け面74の内縁102または外縁に設けられた上係止部104と、上のモジュール10の荷重解放面72の上係止部104が設けられる側と同じ側に設けられた下係止部106とは、水平方向にオフセット配置されているので、互いにぶつかり合うことなく上のモジュール10を下のモジュール10に円滑に載置可能であり、しかも、荷重伝達部を構成する荷重受け面74および荷重解放面72上に位置決め部を構成する上係止部104および下係止部106を設けることなく、荷重伝達部と位置決め部とを分離することにより、荷重伝達面積を最大限に確保した状態で上下のモジュール10間で荷重伝達が行われるとともに、下のモジュール10の上係止部104により上のモジュール10の下のモジュール10に対する内方または外方への相対移動が制限されると同時に、上のモジュール10の下係止部106により、上のモジュール10の下のモジュール10に対する外方または内方への相対移動が制限され、総じて、上のモジュール10が下のモジュール10に対して水平方向に内方および外方に位置決めされ、以て薄板パネルを効率的かつ安定的に上下方向に積み重ねることが可能である。
【0041】
以下に、本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
以下の説明では、第1実施形態と同様な構成要素には、同様な参照番号を付することにより、その説明は省略し、本実施形態の特徴について、詳細に説明する。
本実施形態の特徴は、図9に示すように、太陽光パネルPの支持構造にあり、第1実施形態においては、上板状体12と下板状体14と上下方向壁18の内面111とから構成されるコの字断面を利用して、太陽光パネルPの四隅それぞれを挟み込み支持していたが、本実施形態においては、上板状体12を省略し、このような挟み込み支持形態から、太陽光パネルPの四隅それぞれを下板状体14の上面である支持面に単に載置する態様としている。
【0042】
より詳細には、太陽光パネルPの四隅それぞれにおいて、太陽光パネルPの角部の直交する側面部を対応する上下方向壁18の内面111に当接するまで太陽光パネルPを上下方向壁18に向かって押し込むことにより、太陽光パネルPは、角部の下面および両側面それぞれが、下板状体14の支持面および上下方向壁18の対応する内面111により支持され、第1実施形態に比べ、太陽光パネルPの四隅それぞれは、下板状体14の支持面に単に載置する態様で自由端として支持されることになる。
この意味において、太陽光パネルPの形態としては、その周縁部に枠体が装着され、枠体の四隅を下板状体14の支持面に載置するのに適している。この場合、第1実施形態とは異なり、上板状体12を省略しているので、上係止部104の下端に当たらない限り、種々の厚みの枠体に適用可能であり、汎用性に優れる。
【0043】
一方、モジュール10を用いて太陽光パネルPを積み重ねる際、第1実施形態においては、搬送に用いるパレットの上面において太陽光パネルPごとにモジュール10を装着せずに、予め積み重ね予定の各々の太陽光パネルPの四隅それぞれにモジュール10をあてがうことが可能であったが、本実施形態においては、太陽光パネルPをモジュール10の下板状体14の支持面に載置するだけであるから、パレットの上面において太陽光パネルPごとにモジュール10を装着する必要がある。
【0044】
しかしながら、パレットの上面の太陽光パネルPの四隅それぞれに相当する位置において、モジュール10を柱状に積み重ねる際、第1実施形態のように、四隅それぞれにモジュール10が装着された太陽光パネルPを積み重ねることにより、パレットの上面の最上段の各モジュール10に対応する次のモジュール10を一度に位置決めするのは、比較的困難であり、そのために、モジュール10同士の間に若干のクリアランス(ガタ)が要求されるところ、本実施形態においては、このようなクリアランスが必要ないので、柱状に形成される積み重ねたモジュール10の安定性をより確保することが可能である。
【0045】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態においては、薄板パネルPの四隅それぞれにおいて積み重ねられるモジュール10について、上係止部104と下係止部106とが荷重伝達面の内縁102に設けられる場合を説明したが、それに限定されることなく、場合により、薄板パネルPの四隅のいずれかについては、上係止部104と下係止部106とが荷重伝達面の外縁に設けられるモジュール10を採用してもよい。
【0046】
さらに、本実施形態においては、複数の太陽光パネルPを上下方向に積み重ねるのに、同じモジュール10を用いて、複数の太陽光パネルPの四隅それぞれにおいて柱状に積み重ねたが、それに限定されることなく、下層のモジュール10ほど支持する太陽光パネルPの枚数が多いことから、その分強度が要求されるので、外形は同一だが肉厚の異なるモジュール10を準備し、下層のモジュール10ほど肉厚の厚いモジュール10を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10の斜め上方からの全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10の斜め下方からの全体斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10を外側から観た全体斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10の平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10の底面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10の上下係止部の機能を模式的に示す概略図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10を積み重ねた状態を示す部分概略図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10を用いて、太陽光パネルPをパレットの上に積み重ね終わった状態を示す全体斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る太陽光パネルPの積み重ねに用いるモジュール10の図1と同様な図である。
【符号の説明】
【0048】
P 太陽光パネル
PC パレット
W 幅
α 傾斜角度
10 モジュール
12 上板状体
14 下板状体
16 板状体
18 上下方向壁
20 外表面
37 上面
39 下面
41 補強リブ
43 補強リブ
49 下縁
94 端面
95 端面
102 内縁
103 内縁
104 上係止部
106 下係止部
108 交差部
110 傾斜部
111 内面
113 傾斜部
130 窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板パネルを下方から支持するための支持部と、該支持部の外側で該支持部と連結され、該支持部により支持された薄板パネルの重さを上下方向に伝達する荷重伝達部と、薄板パネルの水平方向の位置決めをする位置決め部とを有する、薄板パネルの積重ねに用いるモジュールであって、
前記荷重伝達部は、該モジュールの上部に設けられた荷重受け面と、該モジュールの下部に設けられた荷重解放面とを有し、
上のモジュールの前記荷重解放面を下のモジュールの前記荷重受け面に載置する形態で上のモジュールを下のモジュールに積み重ねる際、前記位置決め部は、前記荷重受け面の内縁または外縁に設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する上係止部と、前記荷重解放面の該上係止部が設けられる側と同じ側の縁に、前記上係止部と水平方向にオフセットする形態で設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する下係止部とを有する、ことを特徴とする薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項2】
前記支持部は、上板状体と、下板状体と、該上板状体と該下板状体とにより略コの字断面を形成するように、前記上板状体の外縁と前記下板状体の外縁とを連結する上下方向壁とを有し、コの字断面の開放部から薄板パネルを前記下板状体と前記上板状体との間に挿入して、挟み込み支持を行い、
前記荷重伝達部は、前記上下方向壁に形成された荷重伝達面を有し、
前記荷重受け面は、前記上下方向壁の上部に設けられ、前記荷重解放面は、前記上下方向壁の下部に設けられる、請求項1に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項3】
前記上係止部および前記下係止部はそれぞれ、前記荷重受け面および前記荷重解放面の内縁に設けられ、前記上係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して内方へ相対移動するのを制限し、前記下係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して外方へ相対移動するのを制限する、請求項1に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項4】
前記上係止部および前記下係止部はそれぞれ、前記荷重受け面および前記荷重解放面の外縁に設けられ、前記上係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して外方へ相対移動するのを制限し、前記下係止部は、上のモジュールが下のモジュールに対して内方へ相対移動するのを制限する、請求項1に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項5】
前記荷重解放面は、前記上下方向壁の下面に形成され、一方前記荷重受け面は、前記上下方向壁の上面に形成され、前記上下方向壁は、中実構造である、請求項2に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項6】
前記上係止部は、前記荷重受け面から上に向かって前記荷重受け面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有する、請求項3に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項7】
前記下係止部は、前記荷重解放面から下に向かって前記荷重解放面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有する、請求項3に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項8】
前記傾斜面の鉛直線に対する傾斜角度は、20度ないし70度である、請求項6または請求項7に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項9】
前記上係止部および前記下係止部は、互いに協働して、前記上下方向壁の内縁または外縁全体をほぼカバーするように設けられる、請求項2に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項10】
前記上下方向壁は、水平断面がL字形をなし、
前記上係止部は、前記L字形荷重受け面の交差部の各側に少なくとも1つずつ設けられるとともに、前記下係止部は、前記L字形荷重解放面の交差部の各側に少なくとも1つずつ設けられる、請求項6に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項11】
前記上係止部は、前記L字形荷重受け面の交差部の近位側に設けられるとともに、前記下係止部は、前記L字形荷重解放面の交差部の遠位側に設けられる、請求項10に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項12】
前記薄板パネルは、矩形形状の太陽光パネルである、請求項1または請求項11のいずれか1項に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項13】
前記モジュールは、樹脂製であり、一体成形される、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項14】
薄板パネルの隅部を下方から支持する支持部と、該支持部に連結され、上部および下部それぞれに荷重伝達面を有する、薄板パネルの重さを上下方向に伝達する荷重伝達部と、荷重伝達面の縁に設けた係止部を用いて薄板パネルの水平方向の位置決めをする位置決め部とを有する、薄板パネルの積重ねに用いるモジュールを準備する段階と、
複数の薄板パネルそれぞれについて、各隅において、前記荷重伝達部を通じて薄板パネルの重さを上下方向に伝達しつつ、前記モジュールを上下方向に柱状に積み重ねる形態で、薄板パネルを順次積み重ねる段階とを有し、
前記積み重ね段階は、各隅において、上下方向に隣接するモジュール間において、前記係止部により上のモジュールの下のモジュールに対する水平方向の相対移動を制限することを通じて、上の薄板パネルを下の薄板パネルに対して水平方向に位置決めする段階を有する、ことを特徴とする薄板パネルの積重ね方法。
【請求項15】
前記支持部は、上板状体と、下板状体と、該上板状体と該下板状体とにより略コの字断面を形成するように、前記上板状体の外縁と前記下板状体の外縁とを連結する上下方向壁とを有し、
前記積み重ね段階の前に、積み重ね予定の複数の薄板パネルに対して併行して、それぞれの四隅の各々に、モジュールをあてがう段階を有し、
該あてがい段階は、コの字断面の開放部から薄板パネルを前記下板状体と前記上板状体との間に挿入して、挟み込み支持を行う段階を有し、
前記積み重ね段階は、四隅に対してモジュールをあてがった複数の薄板パネルについて、各隅において、前記荷重伝達部を通じて薄板パネルの重さを上下方向に伝達しつつ、モジュールを上下方向に柱状に積み重ねる形態で、薄板パネルを順次積み重ねる段階を有する、請求項14に記載の薄板パネルの積重ね方法。
【請求項16】
前記荷重伝達面は、前記上下方向壁の上部に設けられた荷重受け面と、前記上下方向壁の下部に設けられた荷重解放面とを有し、
前記係止部は、前記荷重受け面の内縁または外縁に設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する上係止部と、前記荷重解放面の該上係止部が設けられる側と同じ側の縁に、前記上係止部と水平方向にオフセットする形態で設けられた、上のモジュールの下のモジュールに対する相対移動を制限する下係止部とを有し、
前記位置決め段階は、各隅部において、上のモジュールの前記荷重解放面を下方のモジュールの前記荷重受け面に載置する際、上のモジュールの前記下係止部を下のモジュールの前記荷重受け面の内縁または外縁に係止するとともに、下のモジュールの前記上係止部を上のモジュールの前記荷重解放の内縁または外縁に係止することにより行う、請求項14または請求項15に記載の薄板パネルの積重ね方法。
【請求項17】
前記上係止部は、前記荷重受け面から上に向かって前記荷重受け面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有するとともに、前記下係止部は、前記荷重解放面から下に向かって前記荷重解放面の前記内縁から内方に離れる形態で傾斜する傾斜部を有し、
前記積み重ね段階は、前記上係止部および/または前記下係止部の傾斜部を案内面として利用して、上のモジュールを下のモジュールに積み重ねる段階を有する、請求項16に記載の薄板パネルの積重ね方法。
【請求項18】
前記上板状体は、前記上係止部の下端の直ぐ下方に設けられ、前記下板状体は、前記下係止部の上端の直ぐ上方に設けられ、
前記薄板パネルは、周縁に枠なしのパネルであり、パネルの四隅それぞれに対して前記モジュールが直接挟み込み支持をする、請求項2に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項19】
前記支持部は、上面に支持面を構成する板状体であり、
前記薄板パネルは、周縁に枠付のパネルであり、パネルの四隅それぞれが前記支持面に枠を介して、前記上下方向壁の内面に当接する形態で載置する、請求項2に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項20】
前記L字形荷重受け面の交差部の近位側にそれぞれ設けられる前記上係止部は、交差部を挟んで連続的に形成される、請求項11に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項21】
前記L字形荷重受け面の交差部の各側において、前記上係止部および前記下係止部は、交互に配置される、請求項6に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。
【請求項22】
前記荷重受け面および前記荷重解放面それぞれの幅は、15ミリ以下である、請求項12に記載の薄板パネルの積重ねに用いるモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−136241(P2012−136241A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289011(P2010−289011)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】