説明

薄肉容器

【課題】 薄肉容器の容器本体を厚肉化することなく、容器本体における空気スペースの空気が内容物に封入されることによる容器本体の変形を防止すること。
【解決手段】 容器本体20の内容物の封止スペースに空気スペースを伴う薄肉容器10であって、容器本体20に封止される内容物が空気を吸入する性質を有するものであり、容器本体20が、内容物の封止後に、該容器本体20の内側へ凹まされた凹み部44を備えてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄肉容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体の内容物の封止スペースに空気スペースを伴う容器において、容器本体に封入されるシリコン等の内容物が空気を吸入する性質を有する場合がある。このような容器では、容器本体における空気スペースの空気が内容物に吸入されて減容するに従い、空気圧力が減圧し、容器本体の胴部が凹み変形するおそれがある。従来技術では、このような容器本体の胴部の変形を防止するため、容器本体を厚肉化する必要がある。
【0003】
一方、容器にあっては、環境対応の高まりにより、樹脂製容器本体の樹脂量の低減、一層の薄肉化が望まれている。
【0004】
尚、特許文献1に記載の容器では、容器本体に充填される高温に加熱された内容物の流体圧によって容器本体の底部を外側に膨出させた膨出部を形成しておく。そして、内容物が封止された容器本体の冷却により、内容物が放熱収縮し、容器本体の内圧が減少した時点で、上述の膨出部を容器本体の内側へ押し入れる。膨出部の押し入れによる容器本体の減容分が、容器本体の冷却による減圧を相殺し、容器本体の胴部の変形を防止する。
【0005】
特許文献1に記載の容器は、容器本体における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体の変形を防止するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-216981
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、薄肉容器の容器本体を厚肉化することなく、容器本体における空気スペースの空気が内容物に封入されることによる容器本体の変形を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、容器本体の内容物の封止スペースに空気スペースを伴う薄肉容器であって、容器本体に封止される内容物が空気を吸入する性質を有するものであり、容器本体が、内容物の封止後に、該容器本体の内側へ凹まされた凹み部を備えてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薄肉容器の容器本体を厚肉化することなく、容器本体における空気スペースの空気が内容物に封入されることによる容器本体の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は容器の底部の押し込み前の状態を示す模式図である。
【図2】図2は容器の底部の押し込み後の状態を示す模式図である。
【図3】図3は容器の底部を示す底面図である。
【図4】図4は容器の底部の押し込み前後の状態を示す断面図である。
【図5】図5は容器の底部の押し込み前後の状態を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は容器の底部の押し込み前の状態の別の実施例を示す模式図である。
【図7】図7は容器の底部の押し込み後の状態の別の実施例を示す模式図である。
【図8】図8は容器の底部を示し、(A)が底面図、(B)は(A)のB-B線に沿う断面図である。
【図9】図9は容器の底部の押し込み前後の状態を示す断面図である。
【図10】図10は容器の底部の押し込み前後の状態を拡大して示す断面図である。
【図11】図11は容器の底部の押し込み前の状態を示す模式図である。
【図12】図12は容器の底部の押し込み後の状態を示す模式図である。
【図13】図13は容器の底部を示す底面図である。
【図14】図14は図13のXIV-XIV線に沿う容器の底部の押し込み前後の状態を示す断面図である。
【図15】図15は図13のXV-XV線に沿う容器の底部の押し込み前後の状態を示す断面図である。
【図16】図16は容器の胴部に設けた凸部の押し込み前の状態の別の実施例を示す正面図である。
【図17】図17は図16の側面図である。
【図18】図18は容器の胴部に設けた凸部の押し込み後の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)(図1〜図5)
図1に示すラベル付き容器10は、容器本体20の内容物の封止スペースの上部に空気スペースを伴う薄肉容器であり、容器本体20にキャップを封着されて封止される内容物が空気を吸入する性質を有する。内容物は処方中に含まれるシリコンにより空気を吸収する。
【0012】
ここで、薄肉容器とは、容器重量をR、容器満容量をVとし、R=α・(Vの2/3乗)とするとき、係数α(2/3乗係数という)が0.45以下の容器をいう。
【0013】
しかるに、図1に示した容器10は、容器本体20にねじ込みキャップ(不図示)を螺着して用いられ、容器本体20は首部21、肩部22、胴部23、底部24を有する。
【0014】
容器本体20は樹脂製ブロー成形体からなる。容器本体20を構成する樹脂としては、後述する底部24の弾性的な押し込み変形を容易にする必要があり、PP、HDPE、PET、EVOH(いわゆるエチレン−酢酸ビニル共重合体)等の各種樹脂を採用でき、これらの各種樹脂を多層にしても良い。容器本体20の厚みは概ね300μm〜2000μmが好ましい。
【0015】
容器本体20は、図1、図2に示す如く、首部21の上端部に、内容物を注入及び/又は吐出する開口20Aを備える。
【0016】
容器本体20は、小径筒状の首部21が肩部22を介して、大径筒状の胴部23につながる。首部21が円形断面をなし、胴部23が楕円形断面をなすとき、肩部22は中心軸まわりの各部でその傾斜を異にするものになる。
【0017】
しかるに、容器10にあっては、薄肉の容器本体20を厚肉化することなく、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体20の変形を防止するため、以下の構成を具備する。
【0018】
容器本体20の底部24に凹み部44を設ける構造(図4、図5)
容器本体20の底部24は、図4、図5に示す如く、胴部23につながり、胴部23の下端部(環状境界部)に対して縮径かつ概ね傾斜状をなす階段状の傾斜部41と、傾斜部41の内周部(環状境界部)につながる概ね平板状の底板部42とを有する。傾斜部41は底板部42との境界部に環状溝部43を備える。
【0019】
容器本体20にあっては、ブロー成形の当初から底部24を構成する傾斜部41及び底板部42が胴部23から容器本体20の外側へ突き出し、底板部42の内面には凸条ピンチオフ部42Aを有する。
【0020】
そして、容器10にあっては、容器本体20へ内容物を充填し、この容器本体20にキャップを封着して内容物を封止した後に、容器本体20の底部24(傾斜部41、底板部42、環状溝部43)を容器本体20の内側へ押し込んで凹み部44を形成する。凹み部44は、薄肉容器10の容器本体20を厚肉化することなく、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることにより容器本体20の変形を防止するものである。
【0021】
即ち、図4、図5に示す如く、底部24においてピンチオフ部42Aを有していて剛性の高い底板部42を押し込み、これによって傾斜部41を弾性撓み変形させることにより、傾斜部41及び底板部42を容器本体20の内側へ容易に押し込む。容器本体20の底部24まわりに設けた反転境界部Bに対し容器本体20における軸方向の内側にまで押し込まれた傾斜部41が凹み部44を形成する。
【0022】
尚、底部24の傾斜部41は該底部24まわりに設けた反転境界部Bに対し、容器本体20における胴部23と底板部42の環状間隔の中を軸方向の内側深くにまで押し込まれるから、この押し込みによって形成される凹み部44、及び後述するラベル留め部45をその後も安定維持できる。即ち、容器本体20の軸方向の内側へ一旦押し込まれた底部24の傾斜部41を容器本体20の軸方向の外側へ押し返して突き出すように復元するためには、傾斜部41の反転境界部B〜底板部42の距離を、一定周長で拡径しない胴部23と、高い剛性の底板部42とがなす環状間隔より小さい長さに撓み変形させる必要があるが、底部24に作用する内容物の重量によってその撓み変形を生じさせることはできない。
【0023】
従って、本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)容器本体20への内容物の封止後に、容器本体20に凹み部44を形成し、容器本体20の内圧を予め加圧しておく(内容物による空気の吸入容積に相当する内圧低下予想分だけ予め加圧しておく)。これにより、容器10の使用経過により、容器本体20における空気スペースの空気が内容物の例えばシリコンにより吸収されて減容したとき、予め加圧されていた容器本体20の内圧がその空気スペースの減容分だけ低減して常圧若しくは微陽圧になる。容器本体20は薄肉であっても、容器本体20の内圧が常圧若しくは微陽圧である限り、凹み変形しない。
【0024】
(b)容器本体20の凹み部44を底部24に設けたことにより、容器10の美的外観を損なうことがない。
【0025】
(c)容器本体20の底部24に設けた底板部42及び傾斜部41が容器本体20の底部24まわりに設けた反転境界部Bに対し、容器本体20における軸方向の内側にまで押し込まれることにより、容器本体20の底部24に凹み部44を安定的に形成できる。
【0026】
(d)容器本体20がブロー成形体からなり、容器本体20の底部24の底板部42がピンチオフ部42Aを有することにより、底部24のピンチオフ部42Aを有していて剛性の高い底板部42を押し込み、それによって傾斜部41を弾性撓み変形させることにより、傾斜部41及び底板部42を容器本体20の内側へ容易に押し込みできる。
【0027】
尚、容器本体20は、底部24における凹み部44の外周縁(反転境界部Bの位置)が容器10を正立使用時の接地面になる。
【0028】
(実施例2)(図6〜図10)
実施例2の容器100は、実施例1の容器10における容器本体20の底部24を底部60としたものである。容器100において容器10と実質的に同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
容器100は、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体20の変形を防止するため、容器本体20の底部60に以下の如くに凹み部64を形成するものである。
【0030】
容器100において、容器本体20の底部60は、図6〜図8に示す如く、胴部23につながり、胴部23の下端部(環状境界部)に対して縮径かつ概ね傾斜状をなす傾斜部61と、傾斜部61の内周部(環状境界部)につながる底板部62とを有する。傾斜部61は底板部62との境界部に環状凸部63を備える。
【0031】
容器100の容器本体20にあっては、ブロー成形の当初から底部60を構成する傾斜部61及び底板部62が胴部23から容器本体20の外側へ突き出されている。そして、楕円形断面をなす胴部23につながる底部60を楕円形状にし、底板部62の楕円の長径上の内面に凸条ピンチオフ部62Aを有する。更に、底板部62は、図8に示す如く、傾斜部61との境界部(環状凸部63)に囲まれる領域に、ピンチオフ部62Aから傾斜部61との楕円状境界部に向けて概ね放射状をなす各複数条の凸状面62Hと凹状面62Lを交互配置している。底板部62は、厚み1.0mm〜2.0mm、好適には1.5mm程度とする板状体を、容器本体20の外側に凸をなす凸状面62Hと、容器本体20の外側に凹をなす凹状面62Lとからなる波板状にしてある。そして、凸状面62Hの外面を凹状面62Lの外面より容器本体20の外側に0.2mm〜1.0mmだけ凸にし、好適には0.3mm〜0.5mmだけ凸にする。ピンチオフ部62Aと凸状面62Hと凹状面62Lを備える底板部62は、該底板部62の剛性を高め、後述する底部60の押し込み作業性、押し込み後の抗押し返し性(抗復元性)を向上可能にする。
【0032】
容器100は、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体20の変形を防止するため、容器本体20の底部60に以下の如くにして凹み部64を形成する。
【0033】
容器本体20へ内容物を充填し、その容器本体20にキャップを封着して内容物を封止した後、容器本体20の底部60(傾斜部61、底板部62)を容器本体20の内側へ押し込んで凹み部64を形成する。
【0034】
即ち、図9、図10に示す如く、底部60においてピンチオフ部62A、凸状面62H、凹状面62Lを有していて剛性の高い底部62を押し込み、これによって傾斜部61を弾性撓み変形させることにより、傾斜部61と底板部62を容器本体20の内側へ押し込む。容器本体の底部60まわりに設けた胴部23との環状境界部(反転境界部B)に対して容器本体20における軸方向の内側にまで押し込まれた傾斜部61及び底板部62が凹み部64を形成するものになる。
【0035】
尚、底部60の傾斜部61は該底部60まわりに設けた反転境界部Bに対し、容器本体20における胴部23と底板部62の環状間隔の中を軸方向の内側深くにまで押し込まれるから、この押し込みによって形成される凹み部64をその後も安定維持できる。即ち、容器本体20の軸方向の内側へ一旦押し込まれた底部60の傾斜部61を容器本体20の軸方向の外側へ押し返して突き出すように復元するためには、傾斜部61の反転境界部B〜底板部62の距離を、一定周長で拡径しない胴部23と、高い剛性の底板部62とがなす環状間隔より小さい長さに撓み変形させる必要があるが、底部60に作用する内容物の重量によってその撓み変形を生じさせることはできない。
【0036】
従って、本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)容器本体20への内容物の封止後に、容器本体20に凹み部64を形成し、容器本体20の内圧を予め加圧しておく(内容物による空気の吸入容積に相当する内圧低下予想分だけ予め加圧しておく)。これにより、容器100の使用経過により、容器本体20における空気スペースの空気が内容物の例えばシリコンにより吸収されて減容したとき、予め加圧されていた容器本体20の内圧がその空気スペースの減容分だけ低減して常圧若しくは微陽圧になる。容器本体20は薄肉であっても、容器本体20の内圧が常圧若しくは微陽圧である限り、凹み変形しない。
【0037】
(b)容器本体20の凹み部64を底部60に設けることにより、容器100の美的外観を損なうことがない。
【0038】
(c)容器本体20の底部60に設けた底板部62及び傾斜部61が容器本体20の底部60まわりに設けた反転境界部Bに対し、容器本体20における軸方向の内側にまで押し込まれることにより、容器本体20の底部60に凹み部64を安定的に形成できる。
【0039】
(d)容器本体20がブロー成形体からなり、容器本体20の底部60の底板部62がピンチオフ部62Aを有することにより、底部60のピンチオフ部62Aを有していて剛性の高い底板部62を押し込み、これによって傾斜部61を弾性撓み変形させることにより、傾斜部61及び底板部62を容器本体20の内側へ容易に押し込みできる。
【0040】
(実施例3)(図11〜図15)
実施例3の容器200は、実施例1の容器10における容器本体20の底部24を底部70としたものである。容器200において容器10と実質的に同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
容器200は、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体20の変形を防止するため、容器本体20の底部70に以下の如くに凹み部74を形成するものである。
【0042】
容器200において、容器本体20の底部70は、図13〜図15に示す如く、胴部23につながり、胴部23の下端部(環状境界部)に対して縮径かつ概ね傾斜状をなす傾斜部71と、傾斜部71の内周部(環状境界部)につながる底板部72とを有する。
【0043】
容器200の容器本体20にあっては、ブロー成形の当初から底部70を構成する傾斜部71及び底板部72が胴部23から容器本体20の外側へ突き出されている。そして、楕円形断面をなす胴部23につながる底部70を楕円形状にし、底板部72の楕円の長径上の内面に凸条ピンチオフ部72Aを有する。更に、底板部72は、図13に示す如く、傾斜部71との環状境界部に囲まれる領域に、ピンチオフ部72Aの両側から傾斜部71との境界部に向けて延在する勾配面72Fを形成している。底板部72において、ピンチオフ部72Aの両側に延在する各勾配面72Fは、ピンチオフ部72Aに直交する断面視(図15)で、ピンチオフ部72Aから容器本体20の外側に突き出る勾配をなし、胴部23から容器本体20の外側へ突き出ている傾斜部71の内周部につながる。ピンチオフ部72Aと両側勾配面72Fを備える底板部72は、該底板部72の剛性を高め、後述する底部70の押し込み作業性、押し込み後の抗押し返し性(抗復元性)を向上可能にする。
【0044】
容器200は、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体20の変形を防止するため、容器本体20の底部70に以下の如くにして凹み部74を形成する。
【0045】
容器本体20へ内容物を充填し、この容器本体20にキャップを封着して内容物を封止した後、容器本体20の底部70(傾斜部71、底板部72)を容器本体20の内側へ押し込んで凹み部74を形成する。
【0046】
即ち、図14、図15に示す如く、底部70においてピンチオフ部72A、両側勾配面72Fを有していて剛性の高い底板部72を押し込み、これによって傾斜部71を弾性撓み変形させることにより、傾斜部71及び底板部72を容器本体20の内側へ押し込む。容器本体20の底部70まわりに設けた胴部23との環状境界部(反転境界部B)に対して容器本体20における軸方向の内側にまで押し込まれた傾斜部71及び底板部72が凹み部74を形成するものになる。
【0047】
尚、底部70の傾斜部71は該底部70まわりに設けた反転境界部Bに対し、容器本体20における胴部23と底板部72の環状間隔の中を軸方向の内側深くにまで押し込まれるから、この押し込みによって形成される凹み部74をその後も安定維持できる。即ち、容器本体20の軸方向の内側へ一旦押し込まれた底部70の傾斜部71を容器本体20の軸方向の外側へ押し返して突き出すように復元するためには、傾斜部71の反転境界部B〜底板部72の距離を、一定周長で拡径しない胴部23と、高い剛性の底板部72とがなす環状間隔より小さい長さに撓み変形させる必要があるが、底部70に作用する内容物の重量によってその撓み変形を生じさせることはできない。
【0048】
従って、本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)容器本体20への内容物の封止後に、容器本体20に凹み部74を形成し、容器本体20の内圧を予め加圧しておく(内容物による空気の吸入容積に相当する内圧低下予想分だけ予め加圧しておく)。これにより、容器200の使用経過により、容器本体20における空気スペースの空気が内容物の例えばシリコンにより吸収されて減容したとき、予め加圧されていた容器本体20の内圧がその空気スペースの減容分だけ低減して常圧若しくは微陽圧になる。容器本体20は薄肉であっても、容器本体20の内圧が常圧若しくは微陽圧である限り、凹み変形しない。
【0049】
(b)容器本体20の凹み部74を底部70に設けたことにより、容器200の美的外観を損なうことがない。
【0050】
(c)容器本体20の底部70に設けた底板部72及び傾斜部71を容器本体20の底部70まわりに設けた反転境界部Bに対し、容器本体20における軸方向の内側にまで押し込むことにより、容器本体20の底部70に凹み部74を安定的に形成できる。
【0051】
(d)容器本体20がブロー成形体からなり、容器本体20の底部70の底板部72がピンチオフ部72Aを有することにより、底部70のピンチオフ部72Aを有していて剛性の高い底板部72を押し込み、これによって傾斜部71を弾性撓み変形させることにより、傾斜部71及び底板部72を容器本体20の内側へ容易に押し込みできる。
【0052】
(実施例4)(図16〜図18)
実施例4の容器300は、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体20の変形を防止するため、実施例1の容器10における容器本体20の胴部23の側面に凹み部84を形成するようにしたものである。容器300において容器10と実質的に同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
容器300において、容器本体20は、図16、図17に示す如く、胴部23の両側部に円形状凸部80を設けた。凸部80は、胴部23から突き出る筒部81と、筒部81の突出端に設けられて該筒部81を閉塞する側板部82とを有する。凸部80の筒部81は、胴部23から突き出て側板部82に至る筒面の中間部をくびれ状に縮径した縮径部81Aとしている。
【0054】
容器300の容器本体20にあっては、ブロー成形の当初から凸部80を構成する筒部81及び側板部82が胴部23の両側部から容器本体20の外側へ突き出されている。
【0055】
容器300は、容器本体20における空気スペースの空気が内容物に吸入されることによる容器本体20の変形を防止するため、容器本体20の胴部23の両側部に以下の如くにして凹み部84を形成する。
【0056】
容器本体20へ内容物を充填し、この容器本体20にキャップを封着して内容物を封止した後、容器本体20の凸部80(筒部81、側板部82)を容器本体20の内側へ押し込んで凹み部84を形成する。
【0057】
即ち、図18に示す如く、凸部80において側板部82を押し込み、これによって筒部81を弾性撓み変形させることにより、筒部81及び側板部82を容器本体20の内側へ押し込む。容器本体20の筒部81まわりに設けた胴部23との環状境界部(反転境界部C)に対して容器本体20における軸直角方向の内側にまで押し込まれた筒部81及び側板部82が凹み部84を形成するものになる。
【0058】
尚、凸部80の筒部81は胴部23まわりに設けた反転境界部Cに対し、容器本体20における胴部23の中を軸直角方向の内側深くにまで押し込まれるから、この押し込みによって形成された凹み部84をその後も安定維持できる。即ち、容器本体20の軸直角方向の内側へ一旦押し込まれた凸部80の筒部81及び側板部82を容器本体20の軸直角方向の外側へ押し返して突き出すように復元するためには、筒部81の中間部の縮径部81Aより容器本体20の内側へ押し込まれている側板部82が、その縮径部81Aより容器本体20の外側へ向けて再び通過し得るように、それらの筒部81、側板部82を撓み変形させる必要があるが、筒部81及び側板部82に作用する内容物の重量によってその撓み変形を生じさせることはできない。
【0059】
従って、本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)容器本体20への内容物の封止後に、容器本体20に凹み部84を形成し、容器本体20の内圧を予め加圧しておく(内容物による空気の吸入容積に相当する内圧低下予想分だけ予め加圧しておく)。これにより、容器300の使用経過により、容器本体20における空気スペースの空気が内容物の例えばシリコンにより吸収されて減容したとき、予め加圧されていた容器本体20の内圧がその空気スペースの減容分だけ低減して常圧若しくは微陽圧になる。容器本体20は薄肉であっても、容器本体20の内圧が常圧若しくは微陽圧である限り、凹み変形しない。
【0060】
(b)容器本体20の胴部23に設けた凸部80の筒部81及び側板部82を容器本体20の胴部23の両側部に設けた反転境界部Cに対し、容器本体20における軸直角方向の内側にまで押し込むことにより、容器本体20の胴部23に凹み部84を安定的に形成できる。
【0061】
以上、種々の実施形態について説明したが、本発明は、上述する実施形態に限られるものではない。例えば、凹み部の位置は、デザインに応じて適宜変更でき、その数も、2箇所に限らず、1箇所でも3箇所以上でも良い。尤も、デザインの自由を阻害しない、あるいは通常の置きかたで外観に影響しないという点では、底部のみに設けるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、薄肉容器の容器本体を厚肉化することなく、容器本体における空気スペースの空気が内容物に封入されることによる容器本体の変形を防止することができる。
【符号の説明】
【0063】
10、100、200、300 容器
20 容器本体
23 胴部
24、60、70 底部
41、61、71 傾斜部
42、62、72 底板部
42A、62A、72A ピンチオフ部
44、64、74、84 凹み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の内容物の封止スペースに空気スペースを伴う薄肉容器であって、
容器本体に封止される内容物が空気を吸入する性質を有するものであり、
容器本体が、内容物の封止後に、該容器本体の内側へ凹まされた凹み部を備えてなる薄肉容器。
【請求項2】
前記凹み部が容器本体の底部に設けられてなる請求項1に記載の薄肉容器。
【請求項3】
前記容器本体の底部が、胴部につながり、該胴部に対して縮径かつ概ね傾斜状をなす傾斜部と、傾斜部につながる底板部とを有し、
前記底部の底板部及び傾斜部が容器本体の底部まわりに設けた反転境界部に対し、容器本体における軸方向の内側にまで押し込まれて凹み部を形成してなる請求項2に記載の薄肉容器。
【請求項4】
前記容器本体がブロー成形体からなり、容器本体の底部の底板部がピンチオフ部を有してなる請求項3に記載の薄肉容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の薄肉容器の製造方法であって、
容器本体に内容物を封止した後に、容器本体に凹み部を形成する工程を有する薄肉容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−240744(P2012−240744A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116010(P2011−116010)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】