説明

薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法

【課題】アルゴンガスなどの不活性ガスを鋳鉄溶湯に吹き込んで精錬することにより、5mm未満の肉厚の球状黒鉛鋳鉄を容易に得ることが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】誘導炉内で所定の鋳鉄組成の溶湯を作製し、1500℃以上の温度に昇温した後、前記溶湯内に不活性ガスを吹き込み、チル試験により溶湯が十分に精錬されたことを確認し、1500℃以上の温度で、取鍋に出湯し、マグネシウム又はマグネシウム合金を添加し、次いでフェロシリコン又はこれに類する接種剤で接種を行って、鋳型に鋳込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法に関し、特に薄肉球状黒鉛鋳鉄製品を簡易な方法により製造できる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開平7−138627号公報に記載されているように、肉厚が0.5mm〜5mmの薄肉球状黒鉛鋳鉄は公知である。ここで、鋳鉄とは、高炭素・高珪素の鉄合金のことである。これに関し、特開平7−138627号公報には、「減圧タンク中で鋳鉄熔金を脱ガスして大気の気圧に戻し極く微量の希土類元素又は亜希土類元素を挿入することにより球状黒鉛鋳鉄を製造する方法」が開示されている。具体的には、希土類元素、亜希土類元素を0.005〜0.010質量%含有する鋳鉄溶湯を1400℃以上の温度で減圧タンクに挿入して、水銀柱10mmHg以下の減圧化で処理する。これにより、溶湯中に含まれるガスが脱却されて、表面張力が低下し、粘性も低下し、湯走りが良くなり、前記厚みの薄肉鋳鉄を製造できるとされている。また、減圧タンク内の処理で、溶湯に過冷現象が発生して共晶黒鉛を生成するとされている。
【0003】
また、特開平7−138627号公報には、「アルゴンガスを鋳鉄熔金に挿入して共晶黒鉛鋳鉄を製造することが従来技術にあるが、方法が複雑で、肉厚が2〜5mmと範囲が狭い」ことが記載されている。しかし、その詳細は不明であり、アルゴンガスを鋳鉄熔金に挿入して共晶黒鉛鋳鉄を製造する方法については、具体的開示がなされていない。したがって、具体的に実施することは困難である。
【0004】
また、アルゴンガスを鋳鉄溶湯に吹き込んで球状黒鉛鋳鉄を製造することは特開平7−138627号公報に記載されていない。
【0005】
他方、減圧タンク中で鋳鉄溶湯を脱ガスして大気の気圧に戻す工程を有する前述の方法では、減圧タンクの設置や真空作業が製品のコスト低減や歩留まり向上に対する障害となっている。この点、アルゴンガスを鋳鉄溶湯に吹き込んで球状黒鉛鋳鉄を得る製造方法が採用できれば、減圧タンクや真空設備が不要であり、操作も簡単となり、製品のコスト低減や歩留まり向上に有利といえる。
【0006】
【特許文献1】特開平7−138627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、アルゴンガスなどの不活性ガスを鋳鉄溶湯に吹き込んで精錬することにより、5mm未満の肉厚の球状黒鉛鋳鉄を容易に得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る薄肉球状黒鉛鋳鉄製品は、黒鉛がほぼ均一に分布しており、かつ、黒鉛が95%以上球状化、すなわちほぼ100%球状化しており、さらに、黒鉛の大きさが25μm以下で、ほぼ20μmである。
【0009】
本発明に係る薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法は、溶解炉内で所定の鋳鉄組成の溶湯を作製し、1500℃以上の温度に昇温した後、前記溶湯内に不活性ガスを吹き込み、チル試験により溶湯が十分に精錬されたことを確認し、1500℃以上の温度で、取鍋に出湯し、マグネシウム又はマグネシウム合金を添加し、次いでフェロシリコン又はこれに類する接種剤で接種を行って、鋳型に鋳込むことを特徴とする。なお、本発明において所定の鋳鉄組成とは、一般的に鋳鉄と称せられる高炭素・高珪素のFe−C−Si系合金の組成のことである。
【0010】
前記所定の鋳鉄組成は、C:2.5〜4.0質量%、Si:0.5〜4.0質量%、S≦0.02質量%、Mn≦0.2質量%、P≦0.08質量%であることが好ましい。
【0011】
また、前記不活性ガスを吹き込んだ後の溶湯中の全酸素量が質量比で10ppm以下であることが好ましい。さらに、前記不活性ガスを吹き込んだ後の溶湯中の全酸素量が質量比で4〜6ppmであることがより好ましい。
【0012】
前記不活性ガスとして、例えばアルゴンガスを採用できる。
【0013】
なお、前記チル試験は、上下に開放穴を有する所定形状の砂型の下側開口を純銅製水冷チル板に突き当てて、溶湯を該開放穴に注入して、凝固させて試験片を作製し、該試験片中央部の破面のマクロ組織でチル状況を判断することにより行う。これにより、簡単に、鋳鉄の精錬状態を知ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法によれば、比較的単純な工程により、5mm以下、特に1.5〜3mmの薄肉球状黒鉛鋳鉄を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る鋳鉄の製造方法の各構成要件について、数値限定理由等を説明する。
【0016】
(鋳鉄の成分)
鋳鉄が共晶組成となるように、所定の鋳鉄組成となるようにすることが望ましい。そのため、本発明の製造方法に用いる鋳鉄組成は、C:2.5〜4.0質量%、Si:0.5〜4.0質量%、S≦0.02質量%、Mn≦0.2質量%、P≦0.08質量%であることが好ましい。
【0017】
Cは、鋳鉄の流動性に影響を与え、全C量が多いほど融点が低下するため、流動性を増し、鋳物をつくりやすくなる。Siは、セメンタイトFe3Cを分解する働きがあり、鋳鉄中に含まれるCを黒鉛化するのに寄与する。
【0018】
CとSiの含有量は、鋳鉄が共晶組成となるための適正な量とバランスとすることが最も好ましい。そのため、C:3.5質量%、Si:2.5質量%とすることが最適であるが、本発明の実施に際しては、CとSiの含有量は、C:2.5〜4.0質量%、Si:0.5〜4.0質量%であれば適用することができる。
【0019】
Sは、球状化黒鉛の生成を阻害するものであるから、本発明に係る鋳鉄の組成においては、できるだけ少なくすることが好ましく、Sの含有量は0.02質量%以下とすることが好ましい。
【0020】
Mnは、鋳鉄の伸びに影響を与え、Mnの含有量が少ない方が鋳鉄の伸びがよくなる。したがって、Mnの含有量は、0.2質量%以下であることが好ましい。
【0021】
Pは、鋳鉄の流動性を良好にする働きがあるが、その効果はCの約1/3である。一方、鉄と化合してステダイト(Fe3P)を形成し、鋳物を脆くする。このPの弊害を小さくするためにP量は0.08質量%以下とすることが好ましい。
【0022】
(鋳鉄の精錬)
本発明における鋳鉄は、高炭素・高珪素のFe−C−Si系合金である。このようなFe−C−Si系合金では、珪素が含まれているので、珪素酸化物の含有量が多くなる。
【0023】
鋳鉄溶湯中の酸素は、主に、珪素酸化物の形で存在するが、溶湯中の溶解酸素の形でも存在する。鋳鉄溶湯中の珪素酸化物は、黒鉛発生の核となり得る。また、鋳鉄溶湯中の溶解酸素は、Cと反応してCOとなり、脱酸が行われ、黒鉛の析出・成長に悪影響を与える。したがって、球状黒鉛鋳鉄の製造においては、酸素含有量を制御する必要がある。
【0024】
珪素酸化物中の酸素は、非溶解酸素であり、1460℃より高い温度で、溶湯中の炭素によって還元される。溶解炉として誘導炉を採用した場合、炉の中央部に向かう溶湯の流れが生じ、炉の中央部で溶湯の流れがぶつかり合い、撹拌が生じ、炉の中央部において溶湯中の炭素と酸化物の衝突確率が高まり、還元反応が促進される。これに加えて、アルゴンガスなどの不活性ガスを吹き込むと、更に撹拌が促進されるとともに、介在物である酸化物は気泡の表面に付着して浮上分離するので、Cによる珪酸または珪酸塩の還元反応が促進される。また、アルゴンガスなどの不活性ガスの気泡内のCO分圧が低いため、不活性ガスを吹き込むとCO反応が促進され、溶湯中の酸素が減少する。
【0025】
このようなメカニズムにより、アルゴンガスなどの不活性ガスを吹き込むと脱酸効率が向上し、溶湯中の全酸素含有量は4〜6ppmにまで減少させることができる。
【0026】
溶解酸素濃度は、酸素活量を表し、溶湯の温度上昇と共に増加し、1510℃で1.2〜1.8ppmとなるが、球状化処理、すなわちマグネシウムまたはマグネシウム合金の添加で0.2〜0.3ppm程度にまで減少する。また、溶解酸素は、溶湯中の炭素と反応して、COガスとなって浮上分離し、これにより脱酸が行われる。
【0027】
(溶解)
本発明において用いる溶解炉は、誘導炉(高周波誘導や低周波誘導の電気溶解炉)でも、キューポラでもよい。誘導炉を用いる場合、アルゴンガスを溶湯中に吹き込むことで、溶湯中の酸化物の還元精錬を促進し、溶湯中の全酸素含有量を10ppm以下、好ましくは4〜6ppmの範囲に制御することができる。キューポラを用いる場合、1500℃以上の溶湯を取鍋に出湯し、カルシウムカーバイドを添加して脱硫処理をするとともに、アルゴンガスを溶湯中に吹き込むことで、溶湯中の酸化物の還元精錬を促進し、溶湯中の全酸素含有量を10ppm以下、好ましくは4〜6ppmの範囲に制御することができる。このようにして溶湯中の全酸素含有量を制御することにより、溶湯中において適切に球状黒鉛を発生・成長させることができる。このため、溶湯の流動性が向上し、肉厚が5mm以下、特に2mm以下の薄肉球状黒鉛鋳鉄も容易に製造できる。
【0028】
誘導炉としては、具体的には、50〜60Hzの低周波炉や500Hz以上の高周波炉を用いることができる。低周波炉は、撹拌力が強いので炭素による還元精錬が促進され、1500℃に5分間保持することで精錬効果が得られるが、溶解開始時に特定の材料装入方法が必要になる欠点がある。高周波炉は、材料装入が簡単であるが、撹拌力が弱いので、低周波炉と同じ精錬効果を得るには1500℃に20分間以上保持することが必要で、精錬時間が長くなる欠点がある。精錬時間に長短があるが、どちらの炉を用いても溶解温度は1500度以上とすることが必要である。1500℃以下では、鋳鉄中の酸化物が十分に還元されなくなるからである。
【0029】
(不活性ガス吹き込み)
アルゴンガスなどの不活性ガスを鋳鉄溶湯に吹き込み、気泡を発生させることで、精錬効果を上げることができる。アルゴンガスなどの不活性ガスを鋳鉄溶湯へ吹き込む条件は、例えば、圧力:0.5〜1.0kg/cm2、流量:20〜30リットル/分、時間:5〜8分である。鋳鉄溶湯に吹き込まれたアルゴンガスなどの不活性ガスの気泡は、鋳鉄溶湯の撹拌を促進するとともに、介在物の酸化物を浮上分離させて炭素と酸化物の衝突を多くさせ、酸化物の還元を促進する。さらに、吹き込まれた不活性ガスの気泡内のCO分圧が低いため、不活性ガスの吹き込みによりCO反応が促進され、溶湯中の酸素は減少し、精錬効果が向上する。
【0030】
このような働きをする気体であれば、溶湯中への吹き込みに用いることができ、不活性ガスとしては、アルゴンガスの代わりに、例えば窒素ガスを使うこともできる。
【0031】
なお、溶湯への吹き込みには、鋼製のランスパイプを使用することができるが、炭素含有量の多い溶湯ではランスパイプの消耗が激しいので、マグネシア等の耐火物のライニングが必要である。また、炉の底にポーラスなレンガを配した場合には、そのレンガを介して炉の底からアルゴン等の不活性ガスを吹き込んでもよい。
【0032】
(チル試験)
チル試験は、溶湯の還元状態を調べるための試験であり、溶湯中の全酸素量の定性的な測定を行うものである。図1は、チル試験用の砂型およびチルプレートを示す斜視図である。チルプレート1上にチル試験用の砂型2を設置し、この状態で、溶湯を砂型2に流し込む。砂型2は上下開放穴3を有しており、上下開放穴3の大きさは、高さ45mm、長さ80mm、幅10mm(上端)〜8mm(下端)である。砂型2の肉厚は20mmである。
【0033】
チル試験の内容について具体的に述べると、砂型2の下側開口を厚さ30mmの純銅製水冷チルプレート1に突き当てて、溶湯を上下開放穴3に注入して、凝固させ、冷却後試験片の長さ方向の中央部で縦に破断する。その破面のマクロ組織でチル状況を判断し、溶湯中の全酸素量を定性的に判断する。チルが三角形状に現れたとき、精錬が充分に進み、溶湯中の全酸素量が10ppm以下に低下したと判断できる。溶湯中の全酸素量が10ppm以下に低下すれば、流動性のよい球状黒鉛鋳鉄を最も確実に製造できる状態と判断できる。
【0034】
(黒鉛球状化)
チル試験により、溶湯の状態が、全酸素10ppm以下、好ましくは4〜6ppmであることを確認した後、温度1500℃以上の状態で取鍋に出湯し、取鍋中の溶湯にマグネシウムまたはマグネシウム合金(例えば、フェロシリコンマグネシウム)を添加する。これにより、珪素酸化物を主体とする介在物が除去され溶解酸素が低減し、黒鉛の球状化が進む。
【0035】
(溶湯の流動性)
チル試験で精錬状態(全酸素10ppm以下、好ましくは4〜6ppm)を把握してから前述のマグネシウム添加による黒鉛球状化処理を行うことにより、溶湯の流動性が良くなり1.5mm〜3mmの薄肉鋳鉄を容易に鋳造できるようになる。ミクロ介在物の減少や過冷等の影響で流動性が良くなるためと思われる。
【0036】
(接種)
温度1500℃以上の状態で加熱を止めて、取鍋に出湯し、前述のマグネシウム添加による黒鉛球状化処理を行った後、フェロシリコン(Si:75質量%)等で接種を行う。接種を行うことで黒鉛生成の核が増え、良好な球状黒鉛鋳鉄となる。なお、フェロシリコンと同様の効果を有する類似の接種剤として、その他にカルシウムシリコン等が利用できる。
【実施例】
【0037】
(実施例)
周波数3000Hz、容量100kgの高周波電気溶解炉(マグネシアライニング)内に、ダクタイル銑鉄、鉄スクラップ、フェロシリコン(Si75質量%)を装入して所定の鋳鉄組成に溶湯を作製した。1550℃まで温度を昇温させ保持した後、外径27.6mm、内径19.5mmのランスパイプにより炉中にアルゴンガスを圧力0.5〜1.0kg/cm2、流量20〜30リットル/分で7分にわたって吹き込んだ。チル試験により、溶湯が十分に精錬されたことを確認した後、1550℃の温度で加熱を止めて、取鍋に出湯した。そして、取鍋中の溶湯にフェロシリコンマグネシウムからなる黒鉛球状化剤を添加して(Mg換算で0.4質量%)黒鉛球状化を行い、次いでフェロシリコン(Si75質量%)で接種を行って、1350℃で鋳型に鋳込んだ。このようにして肉厚3mmの球状黒鉛鋳鉄鍋製品を製造した。
【0038】
チル試験は、具体的には、高さ45mm、長さ80mm、幅10mm(上端)〜8mm(下端)の上下開放穴を有する砂型(長さ方向の肉厚20mm)の下側開口を厚さ30mmの純銅製水冷チル板に突き当てて、溶湯を該開放穴に注入して、凝固させ、試験片の長さ方向の中央部で縦に破断した破面のマクロ組織でチル状況を判断することにより行った。チルが三角形状に現れたとき、精錬が充分に進み、溶湯の全酸素量が低下して球状黒鉛鋳鉄を良好に製造できる状態にあると判断した。
【0039】
表1に作製した薄肉球状黒鉛鋳鉄鍋製品の組成を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
図2は、本発明の方法により作製した薄肉球状黒鉛鋳鉄鍋製品の断面の顕微鏡写真である。黒い丸の部分は黒鉛であり、黒鉛はほぼ100%球状化している。その他の基地の部分のうち、灰色の部分はパーライトであり、白い部分はフェライトである。
【0042】
この顕微鏡写真からわかるように、黒鉛はほぼ100%球状化しており、かつ、その球状化した黒鉛はほぼ均一に分散しており、良好な黒鉛鋳鉄の組織となっている。さらに、黒鉛の大きさは20μm程度と小さく、薄肉の製品を作製するのに適した組織となっている。
【0043】
図3は、本発明の方法により作製した薄肉球状黒鉛鋳鉄鍋製品の断面を写した写真である。この鍋製品の厚さは1.5mm程度であり、薄肉化されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】チル試験用の砂型およびチルプレートを示す斜視図である。
【図2】本発明の方法により作製した薄肉球状黒鉛鋳鉄鍋製品の断面の顕微鏡写真である。
【図3】本発明の方法により作製した薄肉球状黒鉛鋳鉄鍋製品の断面を写した写真である。
【符号の説明】
【0045】
1 チルプレート
2 砂型
3 上下開放穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛がほぼ均一に分布しており、かつ、黒鉛が95%以上球状化しており、さらに、黒鉛の大きさが25μm以下であることを特徴とする薄肉球状黒鉛鋳鉄製品。
【請求項2】
溶解炉内で所定の鋳鉄組成の溶湯を作製し、1500℃以上の温度に昇温した後、前記溶湯内に不活性ガスを吹き込み、チル試験により溶湯が十分に精錬されたことを確認し、1500℃以上の温度で、取鍋に出湯し、マグネシウム又はマグネシウム合金を添加し、次いでフェロシリコン又はこれに類する接種剤で接種を行って、鋳型に鋳込むことを特徴とする薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法。
【請求項3】
前記所定の鋳鉄組成は、C:2.5〜4.0質量%、Si:0.5〜4.0質量%、S≦0.02質量%、Mn≦0.2質量%、P≦0.08質量%であることを特徴とする請求項2に記載の薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法。
【請求項4】
前記不活性ガスを吹き込んだ後の溶湯中の全酸素量が質量比で10ppm以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法。
【請求項5】
前記不活性ガスを吹き込んだ後の溶湯中の全酸素量が質量比で4〜6ppmであることを特徴とする請求項2又は3に記載の薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法。
【請求項6】
前記不活性ガスはアルゴンガスであることを特徴とする請求項2〜5に記載の薄肉球状黒鉛鋳鉄製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−63396(P2006−63396A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247845(P2004−247845)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(504327432)
【出願人】(592078597)タマチ工業株式会社 (6)
【出願人】(500077904)エスコム株式会社 (1)