説明

薄膜形成方法、カラーフィルタの製造方法

【課題】溶媒の蒸発のしやすさに応じ、液状体を吐出する受容部の大きさを制御することで、均一な厚みで高品質な薄膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】複数の吐出ノズル160と基板本体41とを相対的に走査させながら吐出ノズル160から薄膜の形成材料を溶媒に溶解又は分散させた液状体Lを吐出し、基板本体41上に設定された有効領域が含む複数の所定領域78に対して液状体Lをそれぞれ配置して、薄膜を形成する薄膜形成方法であって、各々の所定領域78の周囲に隔壁73を設け、複数の受容部79を形成する工程と、複数の吐出ノズル160から、それぞれ対応する複数の受容部79に液状体Lを配置し、薄膜を形成する工程と、を備え、受容部79を形成する工程では、有効領域の周縁部AR2に配置された受容部79は、有効領域の中央部AR1に配置された受容部79よりも、受容部79の平面視面積を小さく形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出法を用いた薄膜形成方法と、それを用いたカラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液滴吐出法を用いた薄膜の形成技術が注目されている。液滴吐出法は、用いる液滴吐出ヘッドの解像度に応じて微少な液状体を所望の位置に塗布することが可能であることから、微細なパターンの形成や、所望の膜厚を備えた薄膜の形成が容易であるという特長を有する。この特長を利用し、例えば着色層(薄膜)の形成材料を溶媒に溶解または分散させた液状体を吐出することで、微細な色の塗り分けが必要なカラーフィルタの製造に利用されている。
【0003】
液滴吐出ヘッドによる液状体の吐出特性(吐出量)には、成形誤差等に起因して、わずかながらもノズル間でバラつきが存在する。この吐出量バラつきは成形する薄膜の膜厚の差(膜厚ムラ)を引き起こす原因となるため、個々の吐出ノズルの吐出量を制御しバラつきを抑制する様々な方法が提案されている。例えば特許文献1では、液滴の吐出量が所定値と大きく異なるノズルにおいては液滴吐出を規制し、全体として吐出量の差の少ない液滴吐出ヘッドとすることを提案している。
【特許文献1】特開2003−159787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、形成する薄膜の膜厚ムラは、吐出ノズル間の吐出量バラつき以外の原因によっても引き起こされる。
【0005】
例えば、液滴吐出法を用いた薄膜の形成においては、微少な液滴を高解像度で吐出、塗布することができるものの、薄膜を形成する基板上に吐出された液状体の乾燥は極めて速い。加えて、基板上の塗布領域における周縁部では、基板上の塗布領域における周縁部では、塗布領域の中央部よりも液状組成物から蒸発する溶媒分子の分圧が低い、言い換えると溶媒蒸気濃度が低いため、より速く溶媒の蒸発が進行する。溶媒の蒸発に従い、配置した液状体では、例えば液状体内部から表面に向かって液状体の流動が起こるが、この流動の状態が、溶媒の蒸発が活発な領域とあまり蒸発しない領域とでは異なるため、結果、形成される膜の状態に差が生じる。
【0006】
図10は、溶媒の蒸発の様子が異なる環境化において、受容部200に薄膜形成材料を含む液状体Lを配置し薄膜を形成する様子を示す模式図である。図10(a)は溶媒があまり蒸発しない環境下での成膜の様子を示し、上述した塗布領域の中央部における成膜の様子に対応する図である。図10(b)は溶媒の蒸発が活発な環境下での成膜の様子を示し、上述した塗布領域の周縁部における成膜の様子に対応する図である。
【0007】
図10(a)に示すように、溶媒があまり蒸発しない環境下では、配置した液状体の内部で液状体の流動があまり起こらないため、形成される薄膜Fの形状は、配置した液状体の液滴形状を反映し、中央部FCが凸状に盛り上がったものとなる。
【0008】
対して、図10(b)に示すように、溶媒の蒸発が活発な環境下では、配置した液状体Lの内部で例えば液状体内部から表面に向かうような流動が活発に起こる。また、配置した液状体においても上述の理由と同様に、液状体Lの中央部よりも液状体Lの周縁部の方が溶媒の蒸発が活発となる。したがって、液状体Lの内部では中央部から周縁部へ向かう流動が発生するため、周縁部では薄膜Fの形成材料が多く蓄積し、結果、周縁部が厚く中央部FCが凹状に凹んだ薄膜Fが形成される。
【0009】
このように、溶媒の蒸発の様子により形成される膜の状態に差が生じる。そして膜の状態の差は、薄膜中央部の凹凸に起因する膜厚の差(膜厚ムラ)となって表れるため、表示不良(表示ムラ)の原因となってしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液状体に含まれる溶媒の蒸発のしやすさに応じ、液状体を吐出する受容部の大きさを制御することで、均一な厚みで高品質な薄膜を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の薄膜形成方法は、複数の吐出ノズルと基板とを相対的に走査させながら前記吐出ノズルから薄膜の形成材料を溶媒に溶解又は分散させた液状体を吐出し、前記基板上に設定された有効領域が含む複数の所定領域に対して前記液状体をそれぞれ配置して、前記薄膜を形成する薄膜形成方法であって、各々の前記所定領域の周囲に隔壁を設け、前記隔壁と前記隔壁に囲まれた領域の底部とに囲まれた複数の受容部を形成する工程と、前記複数の吐出ノズルから、それぞれ対応する前記複数の受容部に前記液状体を配置し、前記薄膜を形成する工程と、を備え、前記受容部を形成する工程では、前記有効領域の周縁部に配置された前記受容部は、前記有効領域の中央部に配置された前記受容部よりも、前記受容部の平面視面積を小さく形成することを特徴とする。
この方法によれば、有効領域の周縁部に設けられた受容部においては、配置した液状体が外部に露出する表面の表面積が、有効領域の中央部よりも小さくなる。露出表面が小さくなると、液状体が含む溶媒が蒸発する面積が小さくなるため、その分、溶媒の蒸発が抑制される。したがって、有効領域の周縁部と中央部とに設けられた受容部において、溶媒の蒸発量の差が低減し、乾燥速度の差に起因する膜厚ムラが解消され、均一な厚みで高品質な薄膜を形成することができる。
【0012】
本発明においては、前記受容部を形成する工程に先立って、前記複数の所定領域の各々について、所定の吐出条件で前記液状体を吐出する際に形成される前記薄膜の膜厚の測定値を得る工程を備え、前記受容部を形成する工程では、得られた前記測定値に基づいて前記受容部を形成することが望ましい。
この方法によれば、受容部の形成前に得られる測定値により各所定領域で成膜される薄膜の様子が分かるため、膜厚ムラが発生する所定領域に対応する受容部の大きさを確実に変更することが可能となり、確実な膜厚ムラの解消が可能となる。なお、本発明において「膜厚の測定値」とは、実測値のほかに計算やシミュレーションの結果得られる計算結果による推定値も含むものとする。
【0013】
本発明においては、前記受容部を形成する工程に先立って、前記複数の吐出ノズルの各々について、前記所定の吐出条件における前記液状体の吐出量を測定する工程を備えることが望ましい。
この方法によれば、吐出ノズル間の吐出量バラつきを考慮して受容部を設計し形成することができるため、より精度良く膜厚ムラを解消した薄膜を形成することができる。
【0014】
本発明においては、前記吐出量を測定する工程では、前記液状体に対する接触角を制御した測定基板上に前記液状体を吐出し、光干渉法を用いて前記吐出量を測定することが望ましい。
この方法によれば、接触角を制御した条件で光干渉法を用いた測定を行うことにより、液状体の吐出量を正確に測定することができ、得られた測定量に基づいて受容部を形成することで均一な厚みの薄膜を形成することができる。
【0015】
本発明においては、前記光干渉法は、白色光干渉法であることが望ましい。
測定光に単色光を用いる場合、光路差が測定光の波長の整数倍となる複数の位置において干渉光の強度が最大となるため、干渉光の強度が最大となる位置を薄膜の厚みとして一義的に規定することができない。しかし、白色光は複数の波長の単色光が集合したものであることから単色光のように周期的に干渉光の強度が最大となることがなく、光路差が無い場合にのみ干渉光の強度が最大となる。このため、薄膜の厚みを一義的に規定し正確に薄膜の厚みを測定することができ、正確に吐出量を求めることができることから、均一な薄膜を形成することができる。
【0016】
本発明においては、前記吐出量を測定する工程では、吐出した前記液状体に含まれる溶媒を蒸発させて前記形成材料の薄膜を成膜し、測定する該薄膜の体積から前記吐出量を算出することが望ましい。
この方法によれば、吐出量の測定において、液状体の溶媒が蒸発することによる体積変化に起因する測定誤差が無く、信頼性の高い測定を容易に行うことができる。
【0017】
本発明においては、前記隔壁は、光硬化性樹脂を用いて形成することが望ましい。
一般に光硬化性樹脂は硬化収縮が小さく成形精度が高いため、隔壁の微妙な大きさおよび位置の調整が可能であり、精度良く大きさを制御した受容部を形成することができる。
【0018】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板と前記基板上に予め設定された画素領域の周囲に配置された隔壁部とで囲まれた複数の受容部と、前記複数の受容部が配置された有効領域と、前記受容部内の前記画素領域に形成された着色層と、を備え、電気的作用によって発光あるいは光の状態を変化させる電気光学素子を備えた電気光学装置において、前記電気光学素子と前記画素領域とが平面的に重なって取り付けられるカラーフィルタの製造方法であって、前記受容部の前記隔壁部に係る側壁の深さ方向の一端部の平面視面積が、前記電気光学素子が備える画素電極の平面視面積以上で、且つ、前記深さ方向の他端部の平面視面積以下であり、前記有効領域の周縁部に配置された前記着色層は、前述の薄膜形成方法を用いて、前記着色層の形成材料を溶媒に溶解又は分散させた液状体を前記受容部に配置し形成することを特徴とする。
この方法によれば、有効領域の周縁部と中央部とに設けられた受容部において、溶媒の蒸発量の差が低減し、乾燥速度の差に起因する膜厚ムラが解消され、均一な厚みで高品質な着色層を有するカラーフィルタを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1〜図8を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る薄膜形成方法について説明する。以下の説明においては、本発明の薄膜形成方法をカラーフィルタの製造方法に適用した場合の例について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0020】
図1は本実施形態の薄膜製造方法を用いて製造するカラーフィルタ70を備える液晶表示装置(電気光学装置)100の構成を説明する概略断面図である。なお、以下の図面において、R、G、Bの各文字は、赤、緑、青を示すものとする。
【0021】
図に示す液晶表示装置100は、画素電極60や駆動素子等を備える素子基板30と、素子基板30に対向配置される対向基板40と、素子基板30と素子基板40との間に挟持された液晶層50と、液晶層50の周囲を囲むように素子基板30と対向基板40との間に設けられ、素子基板30と対向基板40を貼り合わせるシール材80とを備えている。対向基板40の液晶層50側には、カラーフィルタ層71が配置されており、その上には共通電極62が配置されている。画素電極60、共通電極62及びこれらに挟持される液晶層50とで、液晶素子(電気光学素子)90を構成している。この液晶表示装置100は、素子基板30から照明光が照射される構成となっている。
【0022】
素子基板30は、光透過性を備えた基板本体31を備えている。基板本体31を形成する材料には、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。
【0023】
素子基板30の装置内面側(液晶層50側)には、素子層32が形成されている。素子層32は、液晶表示装置100を駆動させるための駆動素子や、各種配線、更には層状に積層される無機物または有機物の絶縁膜などを備えている。駆動素子や各種配線はフォトリソグラフィによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッタ法など通常知られた方法により適宜形成することができる。
【0024】
更に素子基板30の装置内面側の面には、画素電極60が形成されている。画素電極60は、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料で形成されている。画素電極60は、不図示の駆動素子と接続されており液晶の駆動を制御する。
【0025】
一方、対向基板40は、基板本体(基板)41と、基板本体41の液晶層50側に設けられたカラーフィルタ層71と、カラーフィルタ層71を覆って設けられる保護層42と、保護層42上に形成される共通電極62と、を備える。基板本体41とカラーフィルタ層71とで、本実施形態の薄膜製造方法を用いて製造するカラーフィルタ70を構成している。
【0026】
基板本体41を形成する材料には、基板本体31と同様の材料を用いることができ、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。
【0027】
基板本体41上には、カラーフィルタ層71が設けられている。カラーフィルタ層71は、着色層が配置された画素部72と、画素部72の周囲に設けられた隔壁73と、を備えている。画素部72は画素電極60と平面的に重なって配置しており、画素部72の平面視の大きさ(平面視面積)は、画素電極60以上の平面視面積を備えている。図では、破線で示すように画素部72は画素電極60よりも大きい構成となっている。
【0028】
図では隔壁73は断面形状が矩形となっており、隔壁73の側壁の一端部と他端部の平面視面積は同じである。しかし、図2(a)、(b)に示すように、隔壁73の断面形状が順テーパ状または逆テーパ状のようなテーパ状である場合には、隔壁73の側壁の一端部または他端部の平面視面積が異なる。このような場合には、隔壁73の側壁の一端部または他端部の平面視面積のうち、小さい方の平面視面積が画素電極60以上の平面視面積を備えている。このような構成のため、画素電極60に重なる液晶層50を透過した光は、余さず画素部72を透過することとなる。カラーフィルタ70の構成については後述する。
【0029】
カラーフィルタ層71の表面を覆ってカラーフィルタ層71の表面を保護する保護層42が設けられている。保護層42は、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの透明性を有した樹脂材料を用いて形成することができる。
【0030】
更に、保護層42の表面には、共通電極62が形成されている。共通電極38は、ITO等の光透過性を備えた導電性材料にて形成されている。
【0031】
その他、素子基板30および対向基板40には、液晶層50に含まれる液晶分子を所定の方向に配向させる配向膜や、入射光や透過光の偏光を制御する偏光板や、必要に応じて各層を接着するための接着層などがあるが図示を省略している。
【0032】
(カラーフィルタ)
次に、カラーフィルタについて詳述する。図3に示すカラーフィルタ70は、液晶表示装置100のカラー表示に用いられるものであり、図3(a)は平面図、図3(b)は周縁部での概略断面図を示す。
【0033】
図3(a)に示すように、基板本体41の表面に、R、G、Bの各色に対応して着色された着色層75を備える画素部72と、画素部72の間に形成された隔壁73とを有したカラーフィルタ層71を備えて構成されたものである。また、カラーフィルタ70は、矩形の画素部72がマトリクス状に整列されて形成されたものである。このマトリクスの配列は、図中の縦列が同色の画素部72によって形成され、横列が、R、G、Bの順に画素部72が並ぶ、いわゆるストライプ型の画素配列となっている。なお、本発明においては、例えばR、G、B以外の色要素を含むものであってもよい。
【0034】
カラーフィルタ70の画素部72が配置している有効領域ARは、大きく中央部AR1と周縁部AR2とに分けることが出来る。図3(a)では、周縁部AR2にはカラーフィルタ70の最外部に配置している複数の画素部72が含まれるものとして図示している。
【0035】
図3(b)に示すように、隔壁73は、基板本体41上に設けられて、平面視矩形の画素部72を区画形成するもので、光を遮光する遮光部(ブラックマトリクス)76と、遮光部76上に設けられた隔壁部77とからなっている。遮光部76は、例えばクロム等の遮光材料によって基板74上にパターニングされたもので、隔壁部77は、この遮光部76上に形成された樹脂製のものである。画素部72は、隔壁部77によって区画された画素領域(所定領域78)に形成されたもので、該所定領域78上にR、G、Bの各色のカラーフィルタ材料からなる着色層75(75R、75G、75B)が配置され、図3(a)に示したR、G、Bからなるカラーフィルタ70を構成するものである。
【0036】
着色層75は、後述するように、着色層75の形成材料を溶媒に溶解または分散させた液状体を、隔壁部77で区画された所定領域78を底部とする受容部79に配置して形成する。ここで、液状体が受容部79内に正確に配置されるように、液状体の配置前に、所定領域78を形成する基板74の露出面にOプラズマ処理を行って親液化処理を施し、また、隔壁部77の表面にCFなどのフッ化炭素のプラズマ処理を行って撥液化処理を施しておくことが好ましい。
【0037】
形成する受容部79の大きさは、中央部AR1と周縁部AR2とで異なっている。図3(b)には、周縁部AR2に3つの受容部79が配置されている状態を示すが、中央部AR1から遠ざかるにつれて受容部79が小さくなるように形成されている。図では隔壁73の幅が変わることで受容部79の大きさが変化している。
【0038】
このような構成のもとにカラーフィルタ70は、R、G、Bに着色された画素部72の1つまたは複数に光が選択的に通過させられることにより、フルカラー表示をなすようになっている。
【0039】
続いて、図4には、本実施形態の薄膜形成方法に用いる液滴吐出ヘッドの概略図を示す。図4(a)は概略断面図を示し、図4(b)は液滴を吐出する面(下面)の構成を示す説明図である。
【0040】
図4(a)に示す液滴吐出ヘッド151は、複数の吐出ノズル160を備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドである。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド151の下面に一方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド151の吐出ノズル160からは、液状体の液滴が吐出される。吐出される液滴の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0041】
本実施形態では、液滴吐出ヘッド151には電気機械変換式の吐出技術を採用したものを用いる。本方式では、液状体を収容する液体室161に隣接して圧電素子162が設置されている。液体室161には、液状体を収容する材料タンクを含む液状体供給系163を介して液状体が供給される。圧電素子162は駆動回路164に接続されており、この駆動回路164を介して圧電素子162に電圧を印加し、圧電素子162を変形させることにより、液体室161が変形して内圧が高まり、吐出ノズル160から液状体の液滴が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、圧電素子162の歪み量を制御し、液状体の吐出量を制御する。
【0042】
図4(b)に示すように、液滴吐出ヘッド151は、その下面に吐出ノズル160が整列配置した、例えば180個の吐出ノズル160からなるノズル列170を備えている。ここでは、吐出ノズル160は平面視略矩形の液滴吐出ヘッド151の下面の長軸方向と並行に配列している。なお、図では吐出ノズル160が1列に配列されているものとしているが、例えば千鳥状に2列配列されたものであってもよく、3列以上配列されたものであってもよい。また、ノズル列170を構成する吐出ノズル160の数についても、特に限定はない。
【0043】
通常、液滴吐出ヘッド151が備える複数の吐出ノズル160からは、同じ印加電圧で同量の液滴を吐出可能となるように設計するが、成形時の加工誤差等に起因するノズル特性により、ほとんどの場合において各々の吐出ノズル160から吐出される液適量は同量とならない。そのため、全てのノズルに同じ印加電圧をかけて液滴の吐出を行うと、各々のノズル特性の差により吐出量に差を生じ、形成する薄膜の厚みムラの原因となる。この課題は液滴吐出ヘッド151自体が備える特性に起因するものであり、液滴吐出法を上記の電気機械変換式に替えて、帯電制御方式、加圧振動方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などの吐出技術を用いるものとしても同様に発生する。
【0044】
本実施形態では、上述のような吐出ノズル160が備える吐出量バラつきをも考慮して着色層を形成する。そのため、まず各々の吐出ノズル160からの正確な吐出量を測定することとしている。そこで、まず吐出ノズル160の吐出量の測定方法について説明した上で、カラーフィルタ70の製造工程の説明を行う。
【0045】
図5は、本実施形態における吐出量測定に適用される垂直走査方式の白色光干渉法(または白色干渉法)の原理を説明する概略図であり、吐出量の測定装置が備える光干渉計の概略図である。光干渉法の中でも、光源に白色光を用いる白色干渉法では、可干渉距離が短い白色光の性質に起因し、正確な値が得られるため好ましい。図に示す光干渉計は一例であり、ミラウ型と呼ばれる方式の光干渉計であるが、マイケルソン型、リニーク型と呼ばれる方式の光干渉計を用いることもできる。
【0046】
図に示すように、白色干渉法においては、白色光源からの平行光を集束させるための対物レンズ21と、この対物レンズ21により集束された光を分離するためのビームスプリッタ22と、このビームスプリッタ22からの光を反射させるための反射鏡23と、から構成される光干渉計を用いて実施される。また、このビームスプリッタ22と反射鏡23とは、一体として光干渉レンズ24を構成しており、光軸方向に微小移動して、測定基板TP上の検査対象物10との距離(W1)を変化させることができる位置調節機構を備えている。
【0047】
測定基板TPは液状体に対する接触角が90度未満となっている。例えば、液状体に対する接触角が測定基板TPと同じであるダミー基板を用いて液状体の接触角を測定しておき、接触角の測定結果から測定基板TPを選択しても良い。接触角の測定方法としては従来公知の測定方法を用いることができる。例えば、液滴を球の一部と仮定し、液体配置面における液滴の輪郭と液滴の頂点とを結ぶ直線の配置面に対する角度を2倍した角度を接触角とするθ/2法や、液体配置面の法線に平行な液滴の断面の形状を円の一部と仮定し、求められる円の接線と液滴配置面とがなす角度を接触角として求める接線法を測定原理として接触角を求めることができる。その他にも、真円フィット法、楕円フィット法といったフィッティング法を用いることができる。
【0048】
撥液性の異なる測定基板TPは、ベースとなる基板の表層部を、異なる種類の撥液材料を用いて撥液膜(不図示)を形成することにより用意する。例えば、フルオロシラン化合物により基板表面を撥液処理する場合には、側鎖の長さや、分子に含まれるフッ素原子の数が異なるフルオロシラン化合物を用いて撥液膜を形成することにより、異なる撥液性を容易に実現できる。他に、撥液処理の処理時間を短くする、または使用する撥液材料の量を減らすなど、撥液膜の形成量を減らすことによっても撥液性を変化させることが可能であるが、撥液膜が少ないとまだらに撥液性が異なるおそれがあることから、撥液材料の種類を変えるほうが容易かつ確実で好ましい。
【0049】
このような光干渉レンズ24において、まず、白色光源から出射された入射光は、対物レンズ21に対して照射されて集束光となる。この集束光は、対物レンズ21の下方に配置されたビームスプリッタ22によって、光の入射側であるビームスプリッタ22の上側に反射する参照光L1と、検査対象物10の配置側であるビームスプリッタ22の下側に透過する測定光L2とに分離される。
【0050】
参照光L1は、ビームスプリッタ22の上側に配置されている反射鏡23でビームスプリッタ22の方向に反射し、更にビームスプリッタ22の上面で反射することで参照光路をたどり、対物レンズ21の方向へと照射される。一方、測定光L2は、検査対象物10の表面で反射し、更にビームスプリッタ22を透過することで測定光路をたどり、同じく対物レンズ21方向へと照射される。これら参照光L1と測定光L2とは、それぞれ一部異なる光路をたどった後には同一光路上で重なり、互いに干渉して干渉光を形成する。
【0051】
白色干渉法では、可干渉距離の短い白色光を用いていることから、参照光路と測定光路との光路差が無くなり光路の長さが一致する場合に干渉光の輝度が最大となる。そしてこの光路差は、ビームスプリッタ22と検査対象物10との間の距離(W1)と、反射鏡23とビームスプリッタ22との間の距離(W2)と、の距離差ΔW(=W1−W2)に対応し、距離差ΔWが0となるときに干渉光の輝度が最大となる。距離差ΔWが0となる位置より距離W2を計測し、検査対象物10の形状を測定する。
【0052】
このような測定原理の吐出量の測定装置を用い、各々の吐出ノズルからの吐出量を測定する。図6は、各吐出ノズルの吐出量の測定を示す模式図である。まず、測定基板TPに、吐出ノズル160から液状体を吐出し、乾燥させて薄膜形成材料の検査対象物10を形成する。その後、白色干渉法を測定原理として検査対象物10の形状を測定する。
【0053】
ここで、測定基板TPとしては、液状体に対する接触角が50度以上70度以下の範囲内の値を示す基板を選択すると、形成する検査対象物10の端部形状が白色干渉法による測定に適したものとなる。形成される検査対象物10の端部形状は配置した液滴の端部形状を反映したものであり、また、垂直走査方式の白色干渉法においては液滴の端部形状が測定の正確さに関わる重要な要素となっているからである。
【0054】
例えば、図7(a)に示すように、液状体に対する接触角が50度未満の測定基板TP1を用いると、塗布した液状体は薄くぬれ広がる。この場合には、形成される検査対象物10は薄くぬれ広がるために輪郭が不明確となり、加えて、検査対象物10の表面の各測定箇所間において、厚みの差が小さくなるため測定が困難となる。また、図7(b)に示すように、液状体に対する接触角が70度より大きく90度未満の測定基板TP2を用いると、形成される検査対象物10の端部が急峻に切り立っているため、測定される形状において検査対象物10の表面が不連続となりやすく、測定誤差が出やすい。図7(c)に示すように接触角が90度以上の撥液性を示す測定基板TP3を用いる場合には、形成される検査対象物10の端部が切り立ち、端部に垂直方向からは光が照射されない影の部分SA(図中の破線で丸く囲む箇所)が生じるおそれがある。そのため、白色干渉法を用いた測定結果に狂いが生じる。
【0055】
このように、測定に適した表面性を備えた測定基板TPを用いることで、白色干渉法を用いて検査対象物10の形状を正確に測定することができる。検査対象物10の形状から明らかとなる検査対象物10の体積と、測定する液状体の濃度から、液状体の吐出量を算出することが可能であり、正確な吐出量が得られる。
【0056】
続いて、図8には本実施形態の薄膜形成方法を用いて製造するカラーフィルタ70の製造工程図を示す。本実施形態では、前述の吐出量の測定方法を踏まえ、まず各々の吐出ノズル160からの正確な吐出量を測定し(吐出量を測定する工程)、所定の成膜条件における着色層の膜厚を測定し(測定値を得る工程)、測定量に基づいて隔壁を形成して液状体の受容部を設け(受容部を形成する工程)、各受容部に液状体を吐出し着色層を形成することとしている(薄膜を形成する工程)。その結果、有効領域の周縁部と中央部とにおいて着色層75の厚み差(膜厚ムラ)が無いカラーフィルタ70の製造を実現している。以下、図を適宜参照しながら、各工程について順に説明する。
【0057】
(吐出量を測定する工程)
まず、図8(a)に示すように、カラーフィルタ70の製造に用いる液滴吐出ヘッド151が備える各々の吐出ノズル160から、着色層75の形成材料を溶媒に溶解または分散させた液状体Lを測定基板TPに吐出して、吐出量測定装置131で吐出ノズル160毎の吐出量を測定し測定量を得る。この測定により、液滴吐出ヘッド151が備える吐出ノズル160間の吐出量バラつきが明確になり、液滴吐出ヘッド151の吐出特性が明らかになる。
【0058】
(測定値を得る工程)
次いで、所定の成膜条件で着色層を形成した場合の着色層の膜厚を測定する。具体的には、同条件で図3に示す中央部AR1と周縁部AR2とに着色層を成膜した場合の、着色層の膜厚を測定し測定値を得る。
【0059】
ここで測定値は、例えばあらかじめ、着色層を形成する基板本体と同じ素材からなる基板に、所定領域に対応する複数の検査領域を設定し、検査領域の周辺を隔壁で囲んで均一な大きさの検査受容部を設けたダミー基板に対し、実際に着色層を形成して中央部と周縁部との膜厚の差を実測し得ることができる。このような膜厚は、前述の光干渉法を測定原理とすることで測定することができる。また、溶媒を蒸発させる所定の乾燥条件において、成膜される膜形状を計算しシミュレーションした結果から算出しても良い。
【0060】
(受容部を形成する工程)
次いで、図8(b)に示すような隔壁73を設け受容部79を形成する。受容部79の大きさは、前述の工程で得られた測定値に基づいて設定され、後の工程で形成される着色層の厚みが均一となるように、周縁部AR2の受容部79が中央部AR1の受容部79よりも平面視面積が小さくなるように形成する。図では中央部AR1に配置された隔壁73の幅よりもが周縁部AR2に配置された隔壁73の幅が広くし、受容部79を小さく形成している。また、周縁部AR2には3つの受容部79が配置されているが、中央部AR1から遠ざかるにつれて受容部79が小さく形成されている。このような受容部79を形成する隔壁部79は、例えば光硬化性樹脂を用いたフォトリソグラフィ技術により形成することができる。光硬化性樹脂は形成時間が短い上に、硬化収縮が小さく位置精度の向上が可能であるため、隔壁の形成材料として好ましい。
【0061】
(薄膜を形成する工程)
次いで、同じく図8(b)に示すように、液滴吐出ヘッド151を基板本体41に対し相対的に走査させながら、同一の吐出条件にて吐出ノズル160から液状体Lを吐出し、形成した受容部79に配置する。受容部79に対し、複数の吐出ノズル160から液状体Lを配置することとしても良い。受容部79の大きさによって、配置された液状体Lの液面は盛り上がり方が異なる。周縁部AR2に形成された受容部79においては、中央部AR1に形成された受容部79よりも、配置された液状体Lの液面が盛り上がったものとなる。
【0062】
次いで、図8(c)に示すように、液状体が吐出された基板本体41を、例えばセラミックヒーターやホットプレートのような温度制御装置を用いて加熱するなど、所定の乾燥条件にて、液状体が含む溶媒を蒸発させて着色層75を形成する。各受容部においては、配置された液状体Lの液面の盛り上がり方や、外部に露出した液面の表面積が異なっており、平面視面積が小さくなるように形成された周縁部AR2の受容部79においては、小さくしなかった場合と比べて溶媒の蒸発速度が遅くなる。その結果、中央部AR1と周縁部AR2とで溶媒の蒸発速度差が解消され、形成される着色層75はいずれも同様に中央が凸状に盛り上がったものとなる。したがって、厚みを均一な着色層75とすることができる。以上のようにして、本実施形態の薄膜形成方法を用いてカラーフィルタ70の製造を行う。
【0063】
以上のような構成の薄膜形成方法を用いたカラーフィルタの製造方法によれば、有効領域の中央部AR1と周縁部AR2とに設けられた受容部79において、溶媒の蒸発量の差が低減し、乾燥速度の差に起因する膜厚ムラが解消され、均一な厚みで高品質な着色層75を形成することができる。
【0064】
また、本実施形態では、予め所定の成膜条件で着色層75を形成した場合の着色層75の膜厚を測定することとしている。得られる測定値により各所定領域78で成膜される着色層75の様子が分かるため、膜厚ムラが発生する所定領域78に対応する受容部79の大きさを確実に変更することが可能となり、確実な膜厚ムラの解消が可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、複数の吐出ノズル160の各々について、所定の吐出条件における液状体Lの吐出量を測定することとしている。そのため、吐出ノズル160間の吐出量バラつきを考慮して受容部79を設計し形成することができ、より精度良く膜厚ムラを解消した着色層75を形成することができる。
【0066】
また、本実施形態では、液状体Lに対する接触角を制御した測定基板TP上に吐出ノズル160から液状体Lを吐出し、白色光干渉法を用いて吐出量を測定することとしている。接触角を制御した条件で光干渉法を用いた測定を行うことにより、液状体の吐出量を正確に測定することができる。また、白色光は複数の波長の単色光が集合したものであることから単色光のように周期的に干渉光の強度が最大となることがなく、光路差が無い場合にのみ干渉光の強度が最大となる。測定量を一義的に規定し測定することができ、正確に吐出量を求めることができることから、精緻な測定に基づき均一な着色層75を形成することができる。
【0067】
また、本実施形態では、吐出量を測定する工程では、吐出した液状体Lに含まれる溶媒を蒸発させて形成材料の薄膜(検査対象物10)を成膜し、該薄膜の体積を測定して吐出量を算出することとしている。そのため、吐出量の測定において、液状体Lの溶媒が蒸発することによる体積変化に起因する測定誤差が無く、信頼性の高い測定を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、隔壁73は光硬化性樹脂を用いて形成することとしている。一般に光硬化性樹脂は硬化収縮が小さく成形精度が高いため、隔壁73の微妙な大きさおよび位置の調整が可能であり、精度良く大きさを制御した受容部79を形成することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、白色干渉法を用いて吐出ノズル160からの吐出量を測定したが、これに限定されない。例えば、微少量を秤量可能な電子天秤を用いて、所定の吐出条件にて吐出される液滴の例えば50滴分の吐出重量から平均吐出量を算出することとしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、本発明の薄膜形成方法をカラーフィルタの製造方法に適用したが、本発明はこれに限定されることなく、隔壁に囲まれた所定領域に薄膜形成材料を含む液状体を配置する種々のものに適用することが可能である。具体的には、有機EL装置における有機機能材料、すなわち発光材料や正孔注入輸送材料等を所定領域に配置する際に、本発明の薄膜形成方法を適用することができる。
【0071】
[電子機器]
次に、本発明の薄膜形成方法を用いて形成した電子機器の実施形態について説明する。図9は、本発明の薄膜形成方法を用いて形成したカラーフィルタを備える電子機器の一例を示す斜視図である。図9に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。これにより、本発明の薄膜形成方法により形成された濃淡ムラの無いカラーフィルタを備え、表示品質に優れる表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
【0072】
上記各実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々のカラーフィルタを用いてカラー表示を行う画像表示手段として好適に用いることができる。かかる構成とすることで、表示品質が高い表示部を備えた電子機器を提供できる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】カラーフィルタを備える液晶表示装置の構成を説明する概略断面図である。
【図2】カラーフィルタを備える液晶表示装置の変形例を説明する概略断面図である。
【図3】本実施形態の薄膜形成方法を用いて製造するカラーフィルタの概略図である。
【図4】本実施形態の薄膜形成装置にかかる液滴吐出ヘッドの概略図である。
【図5】吐出量測定装置131が備える光干渉計の概略図である。
【図6】各吐出ノズルの吐出量の測定を示す模式図である。
【図7】好適な接触角でない場合の様子を説明するための模式図である。
【図8】本実施形態の薄膜形成方法を用いたカラーフィルタの製造工程図である。
【図9】本発明を用いて形成した部品を備える電子機器の一例を示す斜視図である。
【図10】溶媒の蒸発速度が異なる環境化で形成する薄膜の様子を示す模式図である
【符号の説明】
【0075】
41…基板本体(基板)、60…画素電極、70…カラーフィルタ、73…隔壁、75…着色層(薄膜)、78…所定領域(画素領域)、79…受容部、90…液晶素子(電気光学素子)、100…液晶表示装置(電気光学装置)、160…吐出ノズル、AR…有効領域、AR1…中央部、AR2…周縁部、L…液状体、TP…測定基板、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出ノズルと基板とを相対的に走査させながら前記吐出ノズルから薄膜の形成材料を溶媒に溶解又は分散させた液状体を吐出し、前記基板上に設定された有効領域が含む複数の所定領域に対して前記液状体をそれぞれ配置して、前記薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
各々の前記所定領域の周囲に隔壁を設け、前記隔壁と前記隔壁に囲まれた領域の底部とに囲まれた複数の受容部を形成する工程と、
前記複数の吐出ノズルから、それぞれ対応する前記複数の受容部に前記液状体を配置し、前記薄膜を形成する工程と、を備え、
前記受容部を形成する工程では、前記有効領域の周縁部に配置された前記受容部は、前記有効領域の中央部に配置された前記受容部よりも、前記受容部の平面視面積を小さく形成することを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項2】
前記受容部を形成する工程に先立って、前記複数の所定領域の各々について、所定の吐出条件で前記液状体を吐出する際に形成される前記薄膜の膜厚の測定値を得る工程を備え、
前記受容部を形成する工程では、得られた前記測定値に基づいて前記受容部を形成することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項3】
前記受容部を形成する工程に先立って、前記複数の吐出ノズルの各々について、前記所定の吐出条件における前記液状体の吐出量を測定する工程を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜形成方法。
【請求項4】
前記吐出量を測定する工程では、前記液状体に対する接触角を制御した測定基板上に前記液状体を吐出し、光干渉法を用いて前記吐出量を測定することを特徴とする請求項3に記載の薄膜形成方法。
【請求項5】
前記光干渉法は、白色光干渉法であることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成方法。
【請求項6】
前記吐出量を測定する工程では、吐出した前記液状体に含まれる溶媒を蒸発させて前記形成材料の薄膜を成膜し、測定する該薄膜の体積から前記吐出量を算出することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【請求項7】
前記隔壁は、光硬化性樹脂を用いて形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【請求項8】
基板と前記基板上に予め設定された画素領域の周囲に配置された隔壁とで囲まれた複数の受容部と、前記複数の受容部が配置された有効領域と、前記受容部内の前記画素領域に形成された着色層と、を備え、電気的作用によって発光あるいは光の状態を変化させる電気光学素子を備えた電気光学装置において、前記電気光学素子と前記画素領域とが平面的に重なって取り付けられるカラーフィルタの製造方法であって、
前記受容部の前記隔壁に係る側壁の深さ方向の一端部の平面視面積が、前記電気光学素子が備える画素電極の平面視面積以上で、且つ、前記深さ方向の他端部の平面視面積以下であり、
前記有効領域の周縁部に配置された前記着色層は、請求項1から7のいずれか1項に記載の薄膜形成方法を用いて、前記着色層の形成材料を溶媒に溶解又は分散させた液状体を前記受容部に配置し形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−178627(P2009−178627A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17874(P2008−17874)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】