説明

薄膜形成用治具、薄膜形成装置及び薄膜形成方法並びに液滴吐出ヘッドの製造方法

【課題】膜厚ムラの発生を抑制する。
【解決手段】開口部Kを有し下地膜S上に薄膜が形成される処理対象物1を支持してめっき液に浸漬される。開口部Kを閉塞する閉塞部73を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成用治具、薄膜形成装置及び薄膜形成方法並びに液滴吐出ヘッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)においては、アクチュエータ基板を駆動する駆動回路と接続するために、封止基板表面にスパッタ等により金属配線を設けている(例えば特許文献1〜3参照)。封止基板上への配線形成方法としては、まずNi−Cr合金を基板全面にスパッタし、続いて、AuをNi−Cr膜上にスパッタする。その後、レジストパターニングを行い、残ったレジストをマスクとしてAu及びNi−Crをエッチングする。最後に例えばOプラズマアッシング等の方法によりレジストを剥離除去することにより、基板上に配線パターン(薄膜)が形成される。
【0003】
上記のスパッタ配線は、スパッタ時の加熱により、積層されたスパッタ膜(Au/Ni−Cr)中の下地膜(Ni−Cr)の拡散が起こり、配線(Au)抵抗上昇や応力発生により基板(ウエハ)が反るという問題が生じる。
そこで、プロセス耐性があるスパッタ下地膜(Ni−Cr)を配線に用い、その上に低温成膜プロセスであるめっきによりAu配線を厚膜化することで低抵抗化及び応力低減を図っている。
【特許文献1】特開2000−127379号公報
【特許文献2】特開2000−135790号公報
【特許文献3】特開2000−296616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
Auめっきは、めっき析出速度が遅く、めっき槽内で液流が生じると液流の速い部分はめっき析出が抑制されるため、局部的に膜厚ムラが発生してしまう。この場合、膜厚の薄い配線は、膜抵抗(電気抵抗)が上昇し、電圧降下を招くという問題を生じさせる。
【0005】
そのため、めっき処理中にはめっき液を静止させる必要があるが、熱対流により生じる液流は抑えることが極めて困難である。特に、封止基板用ウエハには多数の開口部が形成されており、開口部近傍には複雑な液流が発生するため、ウエハ全面で一様な流れを作り出すことは困難である。このように、液流が生じた状態でめっき処理を行った場合、開口部近傍に位置するスパッタ膜に対しては、めっき膜の形成が抑制され膜厚が薄くなる。そのため、最低膜厚を確保しようとした場合、他の位置にある配線の膜厚が大きくなり、後工程での不具合の発生、めっき材料の使用量増加、プロセス時間の増加によるコストアップ等の問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、膜厚ムラの発生を抑制できる薄膜形成用治具、薄膜形成装置及び薄膜形成方法並びに液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の薄膜形成用治具は、開口部を有し下地膜上に薄膜が形成される処理対象物を支持してめっき液に浸漬される薄膜形成用治具であって、前記開口部を閉塞する閉塞部を有することを特徴とするものである。
従って、本発明の薄膜形成用治具では、処理対象物の開口部が閉塞されてめっき液の液流が阻止されることから、開口部近傍に位置する下地膜上に成膜される薄膜が他の位置の薄膜と比較して薄くなることを防止できる。そのため、本発明では薄膜の膜厚ムラが抑制されることから最低限の膜厚で薄膜を形成することが可能になるため、処理時間を短縮でき、スループットを向上させることができるとともに、めっき液の使用量も減らすことができ、地球環境保護にも貢献できる。
なお、本発明に係る開口部とは、処理対象物を貫通するものはもちろんのこと、処理対象物の周辺部外側も含むものである。
【0008】
前記薄膜が、前記処理対象物の一面側に形成される場合、前記閉塞部としては、前記処理対象物の他面側から前記一面側に向けて前記開口部に挿通して設けられる構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、めっき液が開口部内に流れ込むことで液流が生じることを阻止でき、より確実に液流を抑えることが可能になる。そのため、本発明では、より確実に開口部近傍に位置する下地膜上に成膜される薄膜が他の位置の薄膜とに比較して薄くなることを防止できる。
【0009】
また、上記構成の場合、前記閉塞部としては、前記下地膜の表面よりも前記一面側に突出して設けられる構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、処理対象物の一面に沿った開口部近傍の横方向の液流を閉塞部が阻止するため、開口部近傍に位置する薄膜が他の位置の薄膜とに比較して薄くなることを効果的に防止できる。
【0010】
また、上記構成の場合、前記閉塞部としては、前記処理対象物の一面と略面一の高さに設けられ、且つ頂面に前記下地膜と同一材料で形成されたダミー下地膜を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、ダミー下地膜が存在することにより、ダミー下地膜を含めた下地膜の分布が処理対象物上で一様となるため、開口部の近傍も含めた液流状態を処理対象物上で一様にでき、より均一に薄膜を成膜することが可能になる。
【0011】
また、本発明の薄膜形成用治具は、前記処理対象物と略同一の線膨張係数を有する材料で形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、薄膜形成用治具及び処理対象物が熱膨張(または熱収縮)した場合でも変形量が略同一となるため、熱変形量の差に起因して処理対象物に歪が生じることを防止でき、高精度の処理対象物を得ることが可能になる。
【0012】
そして、本発明の薄膜形成装置は、めっき液が貯溜されるめっき槽と、前記めっき液に浸漬可能な先に記載の薄膜形成用治具とを有することを特徴とするものである。
従って、本発明では、処理対象物の開口部が閉塞されてめっき液の液流が阻止されることから、開口部近傍に位置する下地膜上に成膜される薄膜が他の位置の薄膜とに比較して薄くなることを防止できる。そのため、本発明では薄膜の膜厚ムラが抑制されることから最低限の膜厚で薄膜を形成することが可能になるため、処理時間を短縮でき、スループットを向上させることができるとともに、めっき液の使用量も減らすことができ、地球環境保護にも貢献できる。
【0013】
一方、本発明の薄膜形成方法は、開口部を有し下地膜上に薄膜が形成される処理対象物に、先に記載の薄膜形成用治具を装着する工程と、前記薄膜形成用治具に支持された前記処理対象物をめっき液に浸漬する工程とを有することを特徴とするものである。
従って、本発明では、処理対象物の開口部が閉塞されてめっき液の液流が阻止されることから、開口部近傍に位置する下地膜上に成膜される薄膜が他の位置の薄膜とに比較して薄くなることを防止できる。そのため、本発明では薄膜の膜厚ムラが抑制されることから最低限の膜厚で薄膜を形成することが可能になるため、処理時間を短縮でき、スループットを向上させることができるとともに、めっき液の使用量も減らすことができ、地球環境保護にも貢献できる。
【0014】
また、本発明では、前記薄膜は、前記処理対象物の一面側に形成され、前記閉塞部は、前記処理対象物の他面側から前記一面側に向けて前記開口部に挿通して前記処理対象物の一面と略面一の高さに設けられ、且つ頂面に前記下地膜と同一材料で形成されたダミー下地膜を有し、前記薄膜形成用治具に前記処理対象物を支持させて、前記下地膜及び前記ダミー下地膜を一括して成膜する工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、ダミー下地膜が存在することにより、ダミー下地膜を含めた下地膜の分布が処理対象物上で一様となるため、開口部の近傍も含めた液流状態を処理対象物上で一様にでき、より均一に薄膜を成膜することが可能になる。
また、本発明では、処理対象物に下地膜を成膜する際に、薄膜形成用治具にダミー下地膜を同一工程で成膜することが可能になり、別途ダミー下地膜の成膜工程を設ける必要がなくなり、生産性の向上に寄与できる。
【0015】
また、本発明では、前記下地膜が、Ni、Cr、Cu、Au、Ni含有合金、Cr含有合金、TiW合金またはこれらのうち2種以上の組み合わせで形成されている構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、Ni、Cr、Cu、Au、Ni含有合金、Cr含有合金、TiW合金またはこれらのうち2種以上の組み合わせで下地膜を形成することで、例えば配線パターンの構成部材として良好に用いることができる。
【0016】
また、本発明では、前記薄膜が、Ni、Cu、Auのうちの少なくとも1つで形成されている構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、Ni、Cu、Auのうちの少なくとも1つで下地膜上の薄膜を形成することで、例えば配線パターンの構成部材として良好に用いることができる。
【0017】
そして、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法は、配線パターンが形成された基板を有し、前記配線パターンを介して供給される信号に基づいて液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、先に記載の薄膜形成方法により前記配線パターンを形成することを特徴とするものである。
これにより、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、配線パターンの形成工程に係る処理時間を短縮でき、スループットを向上させることができるとともに、めっき液の使用量も減らすことができ、地球環境保護にも貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の薄膜形成用治具、薄膜形成装置及び薄膜形成方法並びに液滴吐出ヘッドの製造方法の実施の形態を、図1ないし図6を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
(薄膜形成方法)
まず、本発明に係る薄膜形成方法により配線パターン(導電膜パターン)を形成する方法について図1を参照して説明する。
ここでは、開口部を有するシリコン基板に対して、薄膜として配線パターンを成膜する方法について説明する。
図1(a)〜(e)は、配線パターン(導電膜パターン)の形成方法の工程を示す図である。
【0020】
図1(a)に示すように、まず、開口部Kを有し熱酸化したシリコン基板(基板、処理対象物)1の表面(一面)1aにNi−Cr合金(Cr20%)をスパッタ(または真空蒸着法等)によりNiCr膜(下側金属膜)2を形成し、該NiCr膜2上にAu膜(上側金属膜)3を積層する。ここで、前記NiCr膜2の膜厚としては0.03〜0.2μm程度が好ましく、本実施形態では0.1μmとした。また、前記Au膜3の膜厚としては0.1〜0.3μm程度が好ましく、本実施形態では0.2μmとした。
これらNiCr膜(下側金属膜)2及びAu膜(上側金属膜)3により、下地膜Sが構成される。
なお、下地膜Sを構成するNiCr膜2及びAu膜3は、スパッタ法に限らず、蒸着法などによって形成されてもよい。
【0021】
次に、パターニング工程を行う。ここでは、下地膜Sが形成されたシリコン基板1上にレジストを塗布し、これを露光、現像してパターニングすることで、図1(b)に示すようにレジストパターン4を形成する。このとき、レジストパターン4の開口形状は、後述する配線パターン7を形成しない非形成領域に対応した位置の下地膜Sが露出すると共に、配線パターン7を形成する形成領域に対応した位置の下地膜Sがレジストパターン4で被覆されるような形状となっている。
この場合、例えば点状のレジストパターン4を形成することにより、例えばパッドとして用いられる配線パターンを形成することが可能になり、線状のレジストパターン4を形成することにより、配線として用いられる配線パターン7を形成できる。
【0022】
そして、レジストパターン4をマスクとしてウェットエッチング処理をシリコン基板1のAu膜3に施す。このとき使用するエッチャントとしては、例えばI(ヨウ素)とKI(ヨウ化カリウム)とをベースとしたエッチャントが挙げられる。このウェットエッチング処理により、レジストパターン4で被覆されていない非形成領域に位置するAu膜3がエッチングされる。
【0023】
さらに、レジストパターン4をマスクとしてウェットエッチング処理をNiCr膜2に施す。このとき使用するエッチャントとしては、例えばHNO3(硝酸)とCe(NH(NO(硝酸第二セリウムアンモニウム)とをベースとしたエッチャントが挙げられる。このウェットエッチング処理により、レジストパターン4で被覆されていない非形成領域に位置するNiCr膜2がエッチングされる(図1(c))。
【0024】
その後、バレルアッシャーを使用したOプラズマアッシング等のプラズマ処理により、前記Au膜3上のレジストパターン4を剥離する。これにより、図1(d)に示すように、シリコン基板1上に形成すべき配線パターンに応じたNiCr膜2及びAu膜3が露出する。なお、レジストパターン4の除去には、シリコン基板1を剥離液に10分程度浸漬させ、レジストパターン4を除去する方法を用いてもよい。
【0025】
この後、前記Au膜3に対しめっき処理を行う前処理として、前記Au膜3の表面に対して活性化処理を行う。
具体的に、このような表面活性化処理としては、例えば酸素プラズマ等の乾式方式や硫酸過水等の湿式方法を採用することで、前記Au膜3の表面に付着している有機物の除去を行うことができ、また希硫酸等の湿式法を採用することで、前記Au膜3の表面に形成された酸化物などの不活性部分を除去することができる。
このような前処理を行うことで、露出するAu膜3の表面に形成された不純物(有機物、酸化物)等を除去しつつ、後のめっき処理時において、めっきとAu膜3との間の密着性を高めることができる。
【0026】
この後、薄膜形成装置である、図2に示されるめっき装置51を用いて、図1(e)に示すように、前記Au膜3に対してAuめっき膜(薄膜)6を析出させる。
このめっき装置51は、めっき液Lが貯溜されるめっき槽52と、シリコン基板1を支持してめっき液Lに浸漬されるめっき治具(薄膜形成用治具)71とから構成されるものである。
【0027】
めっき治具71は、図3(a)に示すように、シリコン基板1の裏面(他面)1bに当接して支持する支持部72と、シリコン基板1の開口部Kに対向する位置、及びシリコン基板1の周辺部外側に支持部72から突出して設けられた閉塞部73とから構成されている。閉塞部73は、図3(b)に示すように、支持部72がシリコン基板1の裏面1bと当接したときに、裏面1b側から開口部Kに挿通して、下地膜S(Au膜3)の表面よりも大きな突出量で一面1a側に突出する高さで設けられている。そして、このめっき治具71は、シリコン基板1と同様にシリコン材で構成されており、異方性エッチングにより凸形状の上記閉塞部73を形成し、その後に熱酸化をさせて表面にSiOの酸化膜を形成したものである。
なお、上述した表面活性化処理においても、このめっき治具71を用いることが可能である。
【0028】
上記のめっき装置51を用いてシリコン基板1に対して無電解めっき処理を行う際には、図3(b)に示したように、めっき治具71の閉塞部73で開口部Kを閉塞するとともに、周辺部外側の空間を閉塞したシリコン基板1を、図2に示したように、複数(ここでは2つ)めっき槽52内のめっき液Lに浸漬させる。ここでは、45〜65℃に加温した自己触媒還元無電解Auめっき浴中にシリコン基板1を1〜5時間浸漬し、下地膜Sを構成するAu膜3上にAuからなるAuめっき膜6を析出させる(図1(e)参照)。ここで、Auめっき膜6の層厚は、例えば0.7〜1.0μmとなっている。ここで、予めレジストパターン4が除去されており、まためっきは等方成長するため、Auめっき膜6はAu膜3の側面及び上面を覆うようにして成膜される。
【0029】
本実施形態では、めっき処理を無電解めっきとしているので、Auめっき形成時の温度上昇を抑制することが可能となり、シリコン基板1の反り発生を防止することができる。
なお、上記の化学処理と化学処理との間では、純水による洗浄を3〜5分間行っている。
このようにして、シリコン基板1には、NiCr膜2、Au膜3が積層され、前記Au膜3の上面及び側面がAuめっき膜6によって覆われてなる配線パターン7が形成される。
【0030】
このように、本実施形態では、めっき治具71で支持したシリコン基板1の開口部Kが閉塞部73で閉塞されるため、従来では図2に二点鎖線で示すように、開口部Kの近傍に生じていためっき液Lの液流を阻止することが可能になる。結果として、本実施形態では、シリコン基板1に形成されるAuめっき膜6の膜厚むら、より詳細には、開口部Kの近傍に位置する下地膜Sに形成されるAuめっき膜6と、他の領域の下地膜Sに形成されるAuめっき膜6との間で膜厚に差が生じることを抑制できる。
また、本実施形態では、めっき膜の膜厚ムラが抑制されることから最低限の膜厚で薄膜を形成することが可能になるため、処理時間を短縮でき、タクトタイムを短くしてスループットを向上させることができるとともに、処理液の使用量も減らすことができ、地球環境保護にも貢献できる。
【0031】
加えて、本実施形態では、めっき治具71における閉塞部73が下地膜Sの表面よりも突出させているため、シリコン基板1の表面1aに沿った方向(図2では上下方向、図3では横方向)の液流を阻止することができ、開口部Kの近傍に位置するAuめっき膜6が他の位置のAuめっき膜6に比較して薄くなることを効果的に防止できる。
また、本実施形態では、めっき治具71をシリコン基板1と同一材料で形成しているため、めっき治具71とシリコン基板1との線膨張係数も同一とすることができ、熱膨張(または熱収縮)した場合でも両者の変形量が略同一となる。そのため、本実施形態では、熱変形量の差に起因してシリコン基板1に歪が生じることを防止でき、所望の特性を発揮できる高精度のシリコン基板1を得ることが可能になる。
【0032】
また、本実施形態における配線パターン7の電気特性は、スパッタで形成した配線に比べて低温成膜プロセスであり、Ni−Crの拡散が少なくAuの成長粒子が大きいため抵抗値は小さく、また配線パターン7が形成されたシリコン基板(ウエハ)1においては、低温成膜プロセスを用いたためパターン形成後の反りを半減させることが可能になる。
【0033】
続いて、めっき治具71(めっき装置51)の第2実施形態について、図4を参照して説明する。この図において、図1乃至図3に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
この図に示すように、本実施形態におけるめっき治具71は、閉塞部73の頂面73aがシリコン基板1の表面1aと略面一の高さに形成されている。そして、この頂面73aには、シリコン基板1の下地膜S(NiCr膜2及びAu膜3)と同じ材料で、NiCr膜2D及びAu膜3Dからなるダミー下地膜SDが成膜されている。NiCr膜2D及びAu膜3Dの成膜方法は特に限定されないが、シリコン基板1の下地膜S(NiCr膜2及びAu膜3)と同様の成膜方法を採ることができる。
【0035】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、ダミー下地膜SDが存在することにより、ダミー下地膜SDを含めた下地膜Sの分布がシリコン基板1上で一様となるため、開口部Kの近傍も含めた液流状態をシリコン基板1上で一様にでき、より均一にAuめっき膜6を成膜することが可能になる。
【0036】
このダミー下地膜SDのNiCr膜2D及びAu膜3Dを成膜する際には、シリコン基板1をめっき治具71に支持・装着して、当該シリコン基板1に下地膜S(NiCr膜2及びAu膜3)を成膜する工程で一括して成膜することが、別途ダミー下地膜SDの成膜工程を設ける必要がなくなり、生産性の向上に寄与できる。
【0037】
なお、ダミー下地膜SDに成膜されるAuめっき膜6は、例えば0.7〜1.0μm程度の微小量であるため、複数のシリコン基板1に対するめっき処理に繰り返し使用(再利用)することも可能である。また、シリコン基板1上の下地膜分布をより高精度に一様にするためには、めっき治具71上のダミー下地膜SD及びAuめっき膜を一旦、エッチング等で除去した後に、新たなシリコン基板を支持して下地膜S、ダミー下地膜SD、Auめっき膜を一括的に成膜してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、めっき治具71に凸形状の閉塞部73を設け、この閉塞部73がシリコン基板1の開口部Kに挿通することで閉塞する構成としたが、これに限られるものではなく、例えば図4(b)に示すように、凸形状を設けずに、平板状のめっき治具71の支持部72がシリコン基板1の裏面1bに密着することで、閉塞部としてシリコン基板1の開口部Kを閉塞する構成としてもよい。
この構成においても、開口部Kを通過する液流を阻止することができるため、上記実施形態と同様の作用・効果が得られるが、開口部K内に流れ込む微弱な液流が生じる可能性があるため、開口部Kに挿通して閉塞する構成を採ることが好ましい。
【0039】
(液滴吐出ヘッド)
次に、上記薄膜形成方法により、配線パターン(導電膜パターン)が形成された基板を有するデバイスによって構成された液滴吐出ヘッドについて図5を参照して説明する。図5は、液滴吐出ヘッド(液体噴射ヘッド)Hの断面構成図である。
【0040】
本実施形態の液滴吐出ヘッドHは、インク(機能液)を液滴状にしてノズルから吐出するものである。図5に示すように、液滴吐出ヘッドHは、液滴が吐出されるノズル開口15を備えたノズル基板16と、ノズル基板16の上面(+Z側)に接続されてインク流路を形成する流路形成基板10と、流路形成基板10の上面に接続されて圧電素子(駆動素子)300の駆動によって変位する振動板400と、振動板400の上面に接続されてリザーバ100を形成するリザーバ形成基板(保護基板)20と、リザーバ形成基板20上に設けられた前記圧電素子300を駆動するための駆動回路部(ドライバIC)200A〜200Bと、駆動回路部200A〜200Bと接続された複数の配線パターン(膜パターン)34とを備えて構成されている。
【0041】
液滴吐出ヘッドHの動作は、各駆動回路部200A〜200Bに接続された図示略の外部コントローラによって制御される。流路形成基板10には、複数の平面視略櫛歯状の開口領域が区画形成されており、これらの開口領域は、ノズル基板16と振動板400とにより囲まれて圧力発生室12を形成する。また、上記平面視略櫛歯状の開口領域のうち、リザーバ形成基板20と流路形成基板10とにより囲まれた部分がリザーバ100を形成している。
【0042】
流路形成基板10の図示下面側(−Z側)は開口しており、その開口を覆うようにノズル基板16が流路形成基板10の下面に接続されている。流路形成基板10の下面とノズル基板16とは、例えば接着剤や熱溶着フィルム等を介して固定されている。ノズル基板16には、液滴を吐出する複数のノズル開口15が設けられている。具体的には、ノズル基板16に設けられた複数(例えば720個程度)のノズル開口15はY軸方向(紙面と直交する方向)に配列されている。
【0043】
圧力発生室12とノズル開口15とは、各々対応して設けられている。すなわち、圧力発生室12は、複数のノズル開口15に対応するように、Y軸方向に複数並んで設けられている。圧力発生室12は、X軸方向に関して互いに対向するように配置されており、それらの間には隔壁10Kが形成されている。
【0044】
複数の圧力発生室12の基板中央部側の端部は上述した隔壁10Kによって閉塞されているが、基板外縁部側の端部は互いに接続するように集合され、リザーバ100と接続されている。リザーバ100は、機能液導入口25と圧力発生室12との間で機能液を一時的に保持するものであって、リザーバ形成基板20にY軸方向に延びる平面視矩形状に形成されたリザーバ部21と、流路形成基板10に形成された連通部13とから構成されている。そして、連通部13において各圧力発生室12と接続され、複数の圧力発生室12の共通の機能液保持室(インク室)を形成している。図5に示す機能液の経路をみると、ヘッド外端上面に開口する機能液導入口25より導入された機能液が、導入路26を経てリザーバ100に流れ込み、供給路14を経て、複数の圧力発生室12のそれぞれに供給されるようになっている。
【0045】
流路形成基板10とリザーバ形成基板20との間に配置された振動板400は、流路形成基板10側から順に弾性膜50と下電極膜60とを積層した構造を備えている。流路形成基板10側に配される弾性膜50は、例えば1〜2μm程度の厚さの酸化シリコン膜からなるものであり、弾性膜50上に形成される下電極膜60は、例えば0.2μm程度の厚さの金属膜からなるものである。本実施形態において、下電極膜60は、流路形成基板10とリザーバ形成基板20との間に配される複数の圧電素子300の共通電極としても機能するようになっている。
【0046】
振動板400を変形させるための圧電素子300は、下電極膜60側から順に圧電体膜70と、上電極膜80とを積層した構造を備えている。圧電体膜70の厚さは例えば1μm程度、上電極膜80の厚さは例えば0.1μm程度である。
なお、圧電素子300の概念としては、圧電体膜70及び上電極膜80に加えて、下電極膜60を含むものであってもよい。下電極膜60は圧電素子300として機能する一方、振動板400としても機能するからである。本実施形態では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板400として機能する構成を採用しているが、弾性膜50を省略して下電極膜60が弾性膜50を兼ねる構成とすることもできる。
【0047】
圧電素子300(圧電体膜70及び上電極膜80)は、複数のノズル開口15及び圧力発生室12のそれぞれに対応するように複数設けられている。
圧電素子300を含む振動板400上の領域を覆って、リザーバ形成基板20が設けられており、リザーバ形成基板20の上面(流路形成基板10と反対側面)には、封止膜31と固定板32とを積層した構造のコンプライアンス基板30が接合されている。このコンプライアンス基板30において、内側に配される封止膜31は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さ6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルム)からなり、この封止膜31によってリザーバ部21の上部が封止されている。他方、外側に配される固定板32は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さ30μm程度のステンレス鋼)からなる板状部材である。
この固定板32には、リザーバ100に対応する平面領域を切り欠いてなる開口部33が形成されており、この構成によりリザーバ100の上部は、可撓性を有する封止膜31のみで封止され、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部22となっている。
【0048】
通常、機能液導入口25からリザーバ100に機能液が供給されると、例えば、圧電素子300の駆動時の機能液の流れ、あるいは、周囲の熱などによってリザーバ100内に圧力変化が生じる。しかしながら、上述のように、リザーバ100の上部が封止膜31のみよって封止された可撓部22を有しているので、この可撓部22が撓み変形してその圧力変化を吸収する。したがって、リザーバ100内は常に一定の圧力に保持される。なお、その他の部分は固定板32によって十分な強度に保持されている。そして、リザーバ100の外側のコンプライアンス基板30上には、リザーバ100に機能液を供給するための機能液導入口25が形成されており、リザーバ形成基板20には、機能液導入口25とリザーバ100の側壁とを連通する導入路26が設けられている。
【0049】
リザーバ形成基板20は、流路形成基板10とともに液滴吐出ヘッドHの基体を成す部材であるから剛体とすることが好ましく、リザーバ形成基板20を形成する材料として流路形成基板10と略同一の熱膨張率を有する材料を用いることがより好ましい。本実施形態の場合、流路形成基板10がシリコンからなるものであるから、それと同一材料のシリコン単結晶基板が好適である。シリコン単結晶基板を用いた場合、異方性エッチングにより容易に高精度の加工を施すことが可能であるため、圧電素子保持部24や溝部700を容易に形成できるという利点が得られる。その他、流路形成基板10と同様、ガラス、セラミック材料等を用いてリザーバ形成基板20を作製することもできる。
【0050】
リザーバ形成基板20上には2個の駆動回路部200A〜200Bが配設されている。
駆動回路部200A〜200Bは、例えば回路基板あるいは駆動回路を含む半導体集積回路(IC)を含んで構成されている。各駆動回路部200A〜200Bは、複数の接続端子(図示せず)を備えており、一部の接続端子がリザーバ形成基板20上に形成された配線パターン34に対してワイヤーW1により接続されている。駆動回路部200A〜200Bの他の一部の接続端子は、リザーバ形成基板20の溝部700内に配置された上電極膜80に対してワイヤーW2により接続されている。
【0051】
リザーバ形成基板20のうち、X軸方向に関して中央部には、Y軸方向に延びる溝部700が形成されている。
溝部700によってX軸方向に関し区画されるリザーバ形成基板20のうち、回路駆動部200Aと接続される複数の圧電素子300を封止している部分を第1封止部20Aとし、駆動回路部200Bと接続される複数の圧電素子300を封止ししている部分を第2封止部20Bとする。これらの第1封止部20A及び第2封止部20Bには、それぞれ圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保するとともに、その空間を密封する圧電素子保持部24が設けられている。圧電素子300のうち、少なくとも圧電体膜70は、この圧電素子保持部24内に密封されている。
【0052】
第1封止部20Aの圧電素子保持部24によって封止されている圧電素子300のうち、上電極膜80の−X側の端部は、第1封止部20Aの外側まで延びて、溝部700の底面部に露出している。溝部700における流路形成基板10上に下電極膜60の一部が配置されている場合においては、上電極膜80と下電極膜60との短絡を防止するための絶縁膜600が、上電極膜80と下電極膜60との間に介挿されている。同様に、第2封止部20Bの圧電素子保持部24によって封止されている圧電素子300のうち、上電極膜80の+X側の端部が、第2封止部20Bの外側まで延びて、溝部700内に露出しており、この露出側の端部にも、上電極膜80と下電極膜60との間に絶縁膜600が介挿されている。
【0053】
本実施形態では、上記配線パターン34、駆動回路部200A、200B等が設けられたリザーバ形成基板20及び圧電素子300が設けられた流路形成基板10がそれぞれ本発明に係る薄膜形成方法を用いて形成されたデバイスの一部を構成し、これらのデバイスを組み立て、固定することにより、液滴吐出ヘッドHが製造される。
【0054】
上述した構成を有する液滴吐出ヘッドHにより機能液の液滴を吐出するには、当該液滴吐出ヘッドHに接続された外部コントローラ(図示略)によって機能液導入口25に接続された不図示の外部機能液供給装置を駆動する。外部機能液供給装置から送出された機能液は、機能液導入口25を介してリザーバ100に供給された後、ノズル開口15に至るまでの液滴吐出ヘッドHの内部流路を満たす。
【0055】
また外部コントローラは、リザーバ形成基板20上に実装された駆動回路部200A、200B等に例えば配線パターン34を介して駆動電力や指令信号を送信する。指令信号等を受信した駆動回路部200A、200Bは、外部コントローラからの指令に基づく駆動信号を、各圧電素子300に送信する。
すると、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧が印加される結果、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜70に変位が生じ、この変位によって各圧力発生室12の容積が変化して内部圧力が高まり、ノズル開口15より液滴が吐出される。
【0056】
本実施形態では、上記リザーバ形成基板20に形成された配線パターン34、及び流路形成基板10に形成された圧電体膜70、上電極膜80が、上述した薄膜形成方法により形成されている。
そのため、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドHにおいては、配線の膜厚のばらつきが小さいことから、駆動電圧を小さくすることが可能になり、またノズル間での吐出量のバラツキも小さくすることができる。また、低温プロセスであるめっき積層により、抵抗値の低減、応力の低減が可能となり、基板の反りを緩和できることから、反り等による駆動回路部200A、200Bの接合不良等が生じず、安定した液滴吐出動作を確保することが可能になる。
【0057】
(液滴吐出装置)
次に、上述した液滴吐出ヘッドHを備えた液滴吐出装置の一例について図6を参照しながら説明する。本例では、その一例として、前述の液滴吐出ヘッドを備えたインクジェット式記録装置について説明する。
【0058】
図6に示す液滴吐出ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載されている。図6に示すように、液滴吐出ヘッドを有する記録ヘッドユニット61A及び61Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ62A及び62Bが着脱可能に設けられており、この記録ヘッドユニット61A及び61Bを搭載したキャリッジ63が、装置本体64に取り付けられたキャリッジ軸65に軸方向移動自在に取り付けられている。
【0059】
記録ヘッドユニット61A及び61Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ66の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト67を介してキャリッジ63に伝達されることで、記録ヘッドユニット61A及び61Bを搭載したキャリッジ63がキャリッジ軸65に沿って移動するようになっている。一方、装置本体64にはキャリッジ軸65に沿ってプラテン68が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン68上に搬送されるようになっている。上記構成を具備したインクジェット式記録装置は、前述の液滴吐出ヘッドHを備えているので、小型で信頼性が高く、更に低コストなインクジェット式記録装置となっている。
【0060】
なお、図6では、プリンタ単体としてのインクジェット式記録装置を示したが、本発明はこれに限らず、係る液滴吐出ヘッドを組み込むことによって実現されるプリンタユニットに適用することも可能である。このようなプリンタユニットは、例えば、テレビ等の表示デバイスやホワイトボード等の入力デバイスに装着され、該表示デバイス又は入力デバイスによって表示若しくは入力された画像を印刷するために使用される。
【0061】
また上記液滴吐出ヘッドは、液相法により各種デバイスを形成するための液滴吐出装置にも適用することができる。この形態においては、液滴吐出ヘッドより吐出される機能液として、液晶表示デバイスを形成するための液晶表示デバイス形成用材料、有機EL表示デバイスを形成するための有機EL形成用材料、電子回路の配線パターンを形成するための配線パターン形成用材料などを含むものが用いられる。これらの機能液を液滴吐出装置により基体上に選択配置する製造プロセスによれば、フォトリソグラフィ工程を経ることなく機能材料のパターン配置が可能であるため、液晶表示装置や有機EL装置、回路基板等を安価に製造することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、本発明に係る薄膜形成方法を液滴吐出ヘッドHに用いられる基板に適用する構成としたが、これ以外にも、半導体配線形成や、非接触型カード媒体におけるアンテナ回路、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子の薄膜形成等にも適用可能である。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、処理対象物であるシリコン基板1と、めっき治具71とがそれぞれ同一材料で形成される構成としたが、これに限定されるものではなく、互いに異なる材料で形成される構成としてもよい。ただし、この場合も熱変形によって生じる歪を抑えるために、線膨張係数が略同一の材料を用いることが好ましい。
【0065】
また、上記実施形態で示した下地膜Sを構成する金属膜としては、Ni−Cr合金やAuの他、Cu(銅)やNi、Cr、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、W(タングステン)、またはこれらにAuを含めた少なくとも2種以上で構成された合金など、他の金属材料であってもよい。
また、下地膜Sとして2種の金属膜を積層しているが、いずれか一方の金属膜みであってもよい。下地膜Sが1種の金属膜のみで構成される場合には、無電解めっき工程において、自己触媒還元無電解Auめっき浴中で無電解めっき処理を行う前に、60〜80℃に加温した無電解置換Auめっき浴中に封止基板を5〜20分浸漬し、1種の金属膜上に下地用のめっき層を形成しておく。ここで、下地用のめっき層の層厚は、例えば0.05〜0.2μmとなっている。このとき、シード層に無電解置換Auめっきが形成されにくい場合は、事前にPd触媒を付与し、無電解Niめっきなどの無電解置換Auめっきが形成しやすい素材を形成しても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、無電解めっき工程において形成されるめっき層をAuで構成しているが、NiやCu、Ag(銀)、Co(コバルト)、Pd(パラジウム)など、他の金属材料で構成されてもよい。このとき、めっき層を構成する金属材料に合わせて、下地膜Sを構成する金属材料を適宜変更してもよい。
また、上記実施形態では、液滴吐出ヘッドの製造方法について説明したが、本願の成膜方法を用いて形成された配線パターンを有する基板を備えていれば、液滴吐出ヘッドに限らず、他のデバイスに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】配線パターンの形成方法の工程を示す図である。
【図2】めっき装置の概略構成図である。
【図3】シリコン基板及びめっき治具の断面図である。
【図4】他の実施形態のめっき治具及びシリコン基板の断面図である。
【図5】液滴吐出ヘッドの断面構成図である。
【図6】液滴吐出装置の一例を示す斜視構成図である。
【符号の説明】
【0068】
H…ヘッド(液滴吐出ヘッド、液体噴射ヘッド)、 K…開口部、 L…めっき液、 S…下地膜、 SD…ダミー下地膜、 1…シリコン基板(基板、処理対象物)、 1a…表面(一面)、 1b…裏面(他面)、 2…NiCr膜(下地膜)、 3…Au膜(下地膜)、 6…Auめっき膜(薄膜)、 7…配線パターン、 34…配線パターン、 51…めっき装置(薄膜形成装置)、 52…めっき槽、 71…めっき治具(薄膜形成用治具)、 73…閉塞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し下地膜上に薄膜が形成される処理対象物を支持してめっき液に浸漬される薄膜形成用治具であって、
前記開口部を閉塞する閉塞部を有することを特徴とする薄膜形成用治具。
【請求項2】
請求項1記載の薄膜形成用治具において、
前記薄膜は、前記処理対象物の一面側に形成され、
前記閉塞部は、前記処理対象物の他面側から前記一面側に向けて前記開口部に挿通して設けられることを特徴とする薄膜形成用治具。
【請求項3】
請求項2記載の薄膜形成用治具において、
前記閉塞部は、前記下地膜の表面よりも前記一面側に突出して設けられることを特徴とする薄膜形成用治具。
【請求項4】
請求項2記載の薄膜形成用治具において、
前記閉塞部は、前記処理対象物の一面と略面一の高さに設けられ、且つ頂面に前記下地膜と同一材料で形成されたダミー下地膜を有することを特徴とする薄膜形成用治具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の薄膜形成用治具において、
前記処理対象物と略同一の線膨張係数を有する材料で形成されることを特徴とする薄膜形成用治具。
【請求項6】
めっき液が貯溜されるめっき槽と、前記めっき液に浸漬可能な請求項1から5のいずれか一項に記載の薄膜形成用治具とを有することを特徴とする薄膜形成装置。
【請求項7】
開口部を有し下地膜上に薄膜が形成される処理対象物に、請求項1から5のいずれか一項に記載の薄膜形成用治具を装着する工程と、
前記薄膜形成用治具に支持された前記処理対象物をめっき液に浸漬する工程と、
を有することを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項8】
請求項7記載の薄膜形成方法において、
前記薄膜は、前記処理対象物の一面側に形成され、
前記閉塞部は、前記処理対象物の他面側から前記一面側に向けて前記開口部に挿通して前記処理対象物の一面と略面一の高さに設けられ、且つ頂面に前記下地膜と同一材料で形成されたダミー下地膜を有し、
前記薄膜形成用治具に前記処理対象物を支持させて、前記下地膜及び前記ダミー下地膜を一括して成膜する工程を有することを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の薄膜形成方法において、
前記下地膜が、Ni、Cr、Cu、Au、Ni含有合金、Cr含有合金、TiW合金またはこれらのうち2種以上の組み合わせで形成されていることを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記薄膜が、Ni、Cu、Auのうちの少なくとも1つで形成されていることを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項11】
配線パターンが形成された基板を有し、前記配線パターンを介して供給される信号に基づいて液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
請求項7から10のいずれか一項に記載の薄膜形成方法により前記配線パターンを形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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