説明

薄膜状ワークの積層方法および積載装置

【課題】薄膜状ワークの吸着支持あるいは開放動作の安定性および信頼性に優れ、薄膜状ワークを効率良く積層できるようにした積載方法を提供する。
【解決手段】薄膜状ワークW1,W2同士の間に薄膜状のセパレータSpを介在させながらワークW1,W2をセパレータSpとともに多段にわたって積層する方法である。第1の工程として、吸着パッド15にてセパレータSpを吸着支持したならば、それと重ね合わせるようにワークW2を吸着支持した上で積層位置P3にある既存ワークの上に積層する。第2の工程として、吸着手段パッド15にてセパレータSpを吸着支持したならば、それと重ね合わせるようにワークW1を吸着支持した上で積層位置P3にある既存ワークの上に積層する。これらの第1の工程と第2の工程を交互に繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜状ワークの積載方法と積載装置に関し、特に二種類の薄膜状(箔状)ワーク同士の間に同じく薄膜状のセパレータを介在させながらそれらのワークを多段にわたって積層するのに好適な薄膜状ワークの積層方法および積載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン電池を構成することになる積層部材として薄膜状の正極および負極同士の間に同じく薄膜状のセパレータを挟み込みながらそれらの部材を多段に自動積層したいとの要請がある。この場合において、薄膜状のワークを確実に吸着支持したり、逆に確実に開放できる技術が重要な要素となり、例えば特許文献1に記載のようなハンドリング治具が提案されている。
【特許文献1】特開2004−39712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されたハンドリング治具は、薄膜状のワークの全面を多孔質の板材で吸着支持する負圧吸引式のものではあっても、手作業での積層作業を前提としているため、積層作業の効率化(高速化)および作業性向上の上でなおも改善の余地を残している。
【0004】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、とりわけ薄膜状ワークの吸着支持あるいは開放動作の安定性および信頼性に優れ、薄膜状ワークを効率良く積層できるようにした積載方法および積載装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、二種類の薄膜状ワーク同士の間に同じく薄膜状のセパレータを介在させながらそれらのワークを多段にわたって積層する方法として、吸着手段にてセパレータを吸着支持したならば、そのセパレータと重ね合わせるように一方の薄膜状ワークを吸着支持した上で積層位置にある既存ワークの上に積層する。次いで、吸着手段にてセパレータを吸着支持したならば、そのセパレータと重ね合わせるように他方の薄膜状ワークを吸着支持した上で積層位置にある既存ワークの上に積層する。そして、上記のような二つの工程を交互に繰り返すものとする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、それぞれのワークとセパレータを個別に積層する場合と比べて、セパレータとワークを二枚重ねにして積層する方式であるため、積層効率が飛躍的に向上し、積層作業の効率化(高速化)および作業性向上に大きく貢献できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1はリチウムイオン電池を構成することになる積層体たるスタックSの一例を示し、正極側の電極として機能することになる一方の薄膜状(箔状)ワークW1と負極側の電極として機能することになる他方の薄膜状(箔状)ワークW2とを両者の間に同じく薄膜状(箔状)のセパレータSpを介装しながら多段にわたって積層したものである。
【0008】
ここでは、正極として機能することになる一方のワークW1として例えば厚さが84μm程度のアルミ箔を使用し、負極として機能することになる他方のワークW2として例えば厚さが82μm程度の銅箔を使用している。さらに、セパレータSpは例えば厚さが25μm程度の絶縁性を有した樹脂フィルムであり、セパレータSpは同時に通気性を有している。いずれのワークW1,W2およびセパレータSp共にいわゆる腰が弱く、それ自体の剛性がきわめて乏しいという特殊性を有している。なお、それぞれのワークW1,W2およびセパレータSp共に例えばその大きさが120mm×210mm程度のものであるが、各ワークW1,W2の大きさに比べてセパレータSpの大きさが一回り大きいこともある。
【0009】
そして、本実施の形態では、後述する吸着パッド15にてセパレータSpを吸着支持した上でそれに重ね合わせるように他方のワークW2を吸着支持して二枚セットとし、これを所定の積載位置までハンドリングして積層する。続いて、吸着パッド15にて再度セパレータSpを吸着支持した上でそれに重ね合わせるように一方のワークW1を吸着支持して二枚セットとし、これを所定の積載位置までハンドリングして既存ワークの上に積層する。このようなセパレータSpと他方のワークW2とをセットとした積層作業と、セパレータSpと一方のワークW1とをセットとした積層作業とを交互に繰り返すことで、図1に示したように双方のワークW1,W2同士の間にセパレータSpを介装した状態でこれらのワークW1,W2をセパレータSpとともに多段に積層することになる。なお、先に例示した厚さのワークW1,W2およびセパレータSpの場合には、総厚が例えば7〜15mm程度になるまで積層する。
【0010】
図2は上記のような積層作業を司るシステムの概略平面図を示しており、同システムはハンドリング手段としてのいわゆるスカラ型の2台の産業用ロボット(以下、単に「ロボット」という。)1,2を主要素として構成してある。第1,第2のハンドリング手段としてのロボット1,2の周囲には2台のワークパレット3,4のほか、セパレータ待機位置として機能することになるワーク置き台としてのベルトコンベヤ5、および積載位置P3として機能することになる積載パレット6をそれぞれ配置してある。
【0011】
一方のワークパレット3には一方のワークW1の積層体(第1の積層体)、すなわち一方のワークW1,W1‥を整列した状態で多段に積層してなる一方のワークW1の積層体7を搭載してある。同様に、他方のワークパレット4には他方のワークW2の積層体(第2の積層体)、すなわち他方のワークW2,W2‥を整列した状態で多段に積層してなる他方のワークW2の積層体8を搭載してある。
【0012】
図3は上記ワークパレット3,4の詳細を示し、水平なパレット本体9上に複数のガイドピン10を突設してあるとともに、パレット本体9の一つの対角線の延長線上に平面視にてアングル状の一対の位置決めガイド11を正対するように突設してある。複数のガイドピン10よりも一対の位置決めガイド11の方がパレット本体9からの突出高さが大きく、それらの複数のガイドピン10および位置決めガイド11で囲まれた領域がワークW1またはW2の積層体7,8の搭載スペースとなっていて、それぞれにワークW1またはW2の積層体7,8が整列された状態で搭載されている。
【0013】
なお、ワークパレット3,4におけるワークW1またはW2の積層体7,8の最上面レベルは各ガイドピン10の上端よりも高く且つ位置決めガイド11の上端よりも低くなるように予め設定されていて、後述するようにワークパレット3,4からのワークW1またはW2の取り出しによりそのワークW1またはW2の積層体7,8の最上面レベルが各ガイドピン10の上端に近付くことになるが、一定の周期でワークパレット3,4上のワークW1またはW2の積層体7,8が図示外のリフト手段により所定量だけリフトアップされることで、ワークW1またはW2の積層体7,8の最上面レベルは常に各ガイドピン10の上端よりも高く且つ位置決めガイド11の上端よりも低い位置に維持することができる。
【0014】
図2において、ベルトコンベヤ5にはセパレータ裁断装置12を隣接配置してある。このセパレータ裁断装置12は、図示外のロール状のセパレータ素材から二枚のセパレータSp,Spをセットとして切り出すものであり、切り出されたセパレータSp,Spは同図に示すセパレータ待機位置P1,P2までベルトコンベヤ5にて搬送されて待機することになる。
【0015】
同じく図2において、積層パレット6はベルトコンベヤ13に載せられた状態で同図の積載位置P3で待機していて、後述するように一方のロボット1によるセパレータSpと一方のワークW1の積層と、他方のロボット2によるセパレータSpと他方のワークW2の積層とを交互に受けることになる。セパレータSpおよびワークW1,W2の積層数が所定数に達すると、図1に示すスタックSができ上がったことにほかならないから、積層パレット6はベルトコンベヤ6によりその積層位置P3から次工程へと送り出されるとともに、代わって空載状態の積層パレット6が積層位置P3まで搬入される。
【0016】
図4は2台でセットとされた図2のスカラ型ロボット1,2の一例を示し、そのアーム14の先端に吸着手段たる吸着ハンドまたは吸着グリッパとして機能することになる吸着パッド15を旋回可能で且つ昇降可能に支持させてある。
【0017】
この吸着パッド15は、図5に示すように、例えばアルマイト等の非鉄金属製の平板からなるパッドホルダ16に同じく平板状で且つ多孔質のカーボン(ポーラスカーボン)製のパッド本体17をエポキシ系の接着剤等により固定支持させたものであって、パッド本体17についてはパッドホルダ16との接合面および吸着面17aを除く外周面(側面)には封孔処理を施してある。
【0018】
パッド本体17は、図3にも示すように、セパレータSpやワークW1,W2の大きさよりも一回り大きな矩形状のポーラスカーボン基板のうち一方の対角線上にて正対する隅部を三角形状に切除した変形六角形状のものであって(切除部を符号C1で示す。)、パッドホルダ16もまたこのパッド本体17よりも一回り大きな相似形のものとなっている。そして、パッドホルダ16に形成したバキュームポート18をパッド本体17に臨ませてあるとともに、バキュームポート18は図示しない真空ポンプ等の負圧吸引源に接続してあることから、バキュームポート18からパッド本体17に及んだ負圧吸引力は吸着面17aの全面に作用し、結果としてパッド本体17の吸着面17aの全面でセパレータSpやワークW1またはW2を吸着支持することができる。
【0019】
すなわち、図3に示すように、吸着パッド15のパッド本体17の形状がワークパレット3,4上のワークW1またはW2の形状よりも一回り大きな形状であっても、切除部C1があることによって吸着パッド15とワークパレット3,4上の位置決めガイド11との干渉を無理なく回避できるようになっている。
【0020】
ここで、吸着パッド15は、パッドホルダ16にパッド本体17を接着接合したものであることは先に述べたとおりである。そして、パッドホルダ16またはパッド本体17の接合面にはバキュームポート18につながる図示外の多数の放射状の通気溝、あるいはバキュームポート18に臨むバスタブ状の凹面部を形成してあり、当該通気溝または凹面部以外の部分においてパッドホルダ16とパッド本体17を接着接合してある。これにより、パッドホルダ16とパッド本体17との接合面での通気性が損なわれることがなく、先にも述べたようにバキュームポート18からパッド本体17に及んだ負圧吸引力は吸着面17aの全面に作用し、結果としてパッド本体17の吸着面17aの全面でセパレータSpやワークW1またはW2を吸着支持することができる構造となっている。
【0021】
なお、上記吸着パッド15のパッド本体17としては、ポーラスカーボン製のものに代えて、例えば金属製、非鉄金属製あるいは樹脂製の空洞状態のパッド本体に多数の細孔を形成したものでも良い。要は、パッド本体の全面でワークW1,W2またはセパレータSpを吸着支持できる機能があれば良い。
【0022】
このように構成されたシステムでは、図2に示した二台のロボット1,2の交互自律動作に基づいて図1のスタックSの積層作業を行うものとする。
【0023】
より詳しくは、図2に示すセパレータ待機位置P1,P2にはセパレータ裁断装置12によって切り出された二枚のセパレータSp,Spが予め待機しているとともに、ベルトコンベヤ6上の積載位置P3には積載パレット6が待機している。さらに双方のロボット1,2共に例えばワークパレット3,4と正対する原点位置で待機している。
【0024】
この状態で、最初に図2に示す他方のロボット2がセパレータ待機位置P2まで移動して、そのセパレータ待機位置P2にある一方のセパレータSpを吸着パッド15の負圧吸引力にて吸着支持してピックアップし、次いでそのままワークパレット4まで移動して先に吸着パッド15が吸着支持しているセパレータSpと重ね合わせるようにしてそのワークパレット4上の一枚の他方のワークW2を吸着支持してピックアップする。
【0025】
なお、先に述べたように、セパレータSpはそれ自体が通気性を有していることから、吸着パッド15の負圧吸引力にてセパレータSpが吸着支持されている状態で、さらにそれに重ね合わせるようにして他方のワークW2を吸着支持することが可能である。
【0026】
こうして吸着パッド15がセパレータSpと他方のワークW2とを吸着支持してピックアップすると、ロボット2は積載位置P3まで移動して、その積載位置P3にある積載パレット6の上にそれまで吸着支持していた他方のワークW2とセパレータSpとをワークW2を下側にして移載して解放する。この解放動作は、吸着パッド15のバッド本体17の内部を含むそれまでの負圧吸引通路を大気開放することにより行う。
【0027】
このような他方のロボット2の自律動作の開始よりも所定時間遅れてもう一方のロボット1が自律動作を開始して、ロボット2側と同様な動作を繰り返す。このロボット1の自律動作は、最初にロボット1がセパレータ待機位置P1まで移動して、そのセパレータ待機位置P1にある一方のセパレータSpを吸着パッド15にて吸着支持してピックアップし、次いでそのままワークパレット3まで移動して先に吸着パッド15が吸着支持しているセパレータSpと重ね合わせるようにしてそのワークパレット3上の一枚の一方のワークW1を吸着支持してピックアップする。
【0028】
こうして吸着パッド15がセパレータSpと一方のワークW1とを吸着支持してピックアップすると、ロボット1は積載位置P3まで移動して、その積載位置P3にある積載パレット6の上にそれまで吸着支持していた一方のワークW1とセパレータSpとをワークW1を下側にして移載して解放する。
【0029】
このようなロボット2の自律動作による積載作業とロボット1の自律動作による積載作業とを交互に繰り返すことで図1に示すスタックSが積層されることになる。
【0030】
ここで、一台のロボット1または2の自律動作に着目した一連の動きを図示すれば図6のとおりとなる。例えばロボット2の場合、ベルトコンベヤ5上のセパレータ待機位置P2において吸着パッド15にてセパレータSpを吸着支持してピックアップしたならば、続いてワークパレット4まで移動し、既に吸着支持しているセパレータSpに重ね合わせるようにしてそのワークパレット4上のワークW2の積層体8から最上面の一枚のワークW2を吸着支持してピックアップすることになる。そして、ロボット2はベルトコンベヤ13上の積載位置P3で待機している積載パレット6側に移動し、その積載パレット6上にのワークW2とセパレータSpとをワークW2を下側にして移載して解放することになる。これらの自律動作はロボット1側についても同様である。
【0031】
また、セパレータSpとセットにしたワークW1,W2の積層を司る吸着パッド15の詳細を図5に、その吸着パッド15がワークパレット3,4上のワークW1またはW2を吸着支持する際の吸着パッド15とワークパレット3,4との相対位置関係を図3に示してある。
【0032】
図3から明らかなように、ワークW1またはW2を吸着支持するための吸着パッド15の形状がワークW1またはW2の形状よりも一回り大きく設定されていたとしても、吸着パッド15には切除部C1を形成してあるために、ワークW1またはW2を吸着支持してピックアップする際にその吸着パッド15がワークパレット3,4側の位置決めガイド11と干渉することはなく、吸着パッド15のパッド本体17にてワークW1またはW2を確実に吸着支持してピックアップすることが可能である。また、吸着パッド15に切除部C1を形成してあることによって、その部分ではワークW1,W2またはセパレータSpが露出していて、ワークW1,W2またはセパレータSpを吸着支持する際に負圧吸引力が及ばないが、その負圧吸引力が及ばない面積は負圧吸引力が及ぶ面積に比べてきわめて小さいためにワークW1,W2またはセパレータSpの積層作業の支障となることはない。
【0033】
さらに、図6から明らかなように、一般的には吸着パッド15に吸着支持されてセパレータSpと二枚重ね状態にあるワークW1またはW2を積載パレット6上に移載して解放した後に吸着パレット15を上昇させると、吸着パッド15の急激な動きに伴う空気の流れあるいは圧力変化により移載したばかりのワークW1またはW2あるいはセパレータSpが引っ張られたり、あるいはめくれが生じ、その移載したばかりのワークW1またはW2あるいはセパレータSpのほか、既存のワークW1,W2またはセパレータSpにたるみやずれが発生して、積層トラブルにつながる可能性がある。
【0034】
これに対して本実施の形態では、先に述べたように吸着パッド15に切除部C1を形成してあって、その分ではワークW1,W2またはセパレータSpが露出するようにしてあるため、吸着パッド15がワークW1,W2あるいはセパレータSpを解放した後に直ちに上昇動作しても、その上昇動作に伴う空気の流れあるいは圧力変化の影響を少なくすることができ、移載したばかりのワークW1またはW2あるいはセパレータSpが引っ張られたり、あるいはめくれが生じるのを抑制でき、結果としてその移載したばかりのワークW1またはW2あるいはセパレータSpのほか、既存のワークW1,W2またはセパレータSpのたるみやずれを未然に防止できるようになる。
【0035】
加えて、図7に示すように、吸着パッド15に吸着支持されてセパレータSpと二枚重ね状態にあるワークW1またはW2を積載パレット6上に移載して解放した後に吸着パレット15を上昇動作させる際に、それまでの負圧吸引力に代えて吸着パッド15のパッド本体17から圧縮空気を吹き出すとともに、吸着パッド15の上昇ストロークの途中、例えば解放したばかりのワークW1,W2またはセパレータSpから数十ミリ程度上昇した時点で吸着パッド15の動きを一旦停止させるものとする。
【0036】
こうすることにより、吸着パッド15がワークW1,W2あるいはセパレータSpを解放した後に直ちに上昇動作しても、その上昇動作に伴う空気の流れあるいは圧力変化の影響を一段と少なくすることができ、移載したばかりのワークW1またはW2あるいはセパレータSpが引っ張られたり、あるいはめくれが生じるのを抑制でき、結果としてその移載したばかりのワークW1またはW2あるいはセパレータSpのほか、既存のワークW1,W2またはセパレータSpのたるみやずれをより確実に防止できるようになる。
【0037】
このように本実施の形態によれば、いわゆる腰が弱くて剛性がきわめて低いためにとかくその取り扱いが厄介とされるワークW1,W2あるいはセパレータSpの積層作業を人手に頼ることなく効率良く行うことができる。
【0038】
なお、図2の例では、セパレータ裁断装置12にて裁断したばかりのセパレータSpをベルトコンベヤ5上のセパレータ待機位置P1,P2にて待機させるようにしているが、ワークパレット3,4側のワークW1またはW2の積層体7,8と同様に、予め裁断して積層してあるセパレータ積層体をセパレータ待機位置P1,P2に待機させておき、このセパレータ積層体から一枚づつセパレータをピックアップするようにしても良い。
【0039】
図8は本発明の第2の実施の形態を示す。この第2の実施の形態では、図2と比較すると明らかなように、ベルトコンベヤ13をはさんで略左右対称となるように、ロボット1,2のほかワークパレット3,4、ベルトコンベヤ5およびセパレータ裁断装置12を増設配置したものである。
【0040】
したがって、この第2の実施の形態によれば、図2のシステムと比べて積層能力が実質的に2倍に増強されたことになり、ワークW1,W2あるいはセパレータSpの積層作業を一段と効率良く行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る積層システムにより積層されたスタック(積層体)の一例を示す図で、(A)はその概略斜視図、(B)は同図(A)の要部拡大断面図。
【図2】本発明に係る積層システムの全体構成を示す平面説明図。
【図3】図2のワークパレットの詳細を示す図で、(A)はその平面説明図、(B)は同図(A)の正面説明図。
【図4】図2のロボットの詳細を示す正面説明図。
【図5】図4の吸着パッドの詳細を示す図で、(A)はその正面説明図、(B)は同図(A)の平面説明図、(C)は同図(A)の下面説明図。
【図6】図4の一台のロボットの動きに着目した作動説明図。
【図7】ワーク解放時の別の挙動を示す説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態として図2のシステムの変形例を示す平面説明図。
【符号の説明】
【0042】
1…産業用ロボット(ハンドリング手段)
2…産業用ロボット(ハンドリング手段)
3…ワークパレット
4…ワークパレット
5…ベルトコンベヤ(ワーク置き台)
6…積層パレット
7…ワークW1の積層体
8…ワークW2の積層体
14…ロボットアーム
15…吸着パッド(吸着手段)
17…パッド本体
P1…セパレータ待機位置
P2…セパレータ待機位置
P3…積層位置
S…スタック(積層体)
Sp…薄膜状のセパレータ
W1…薄膜状ワーク(一方のワーク)
W2…薄膜状ワーク(他方のワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二種類の薄膜状ワーク同士の間に同じく薄膜状のセパレータを介在させながらそれらのワークを多段にわたって積層する方法であって、
吸着手段にてセパレータを吸着支持したならば、そのセパレータと重ね合わせるように一方の薄膜状ワークを吸着支持した上で積層位置にある既存ワークの上に積層する第1の工程と、
吸着手段にてセパレータを吸着支持したならば、そのセパレータと重ね合わせるように他方の薄膜状ワークを吸着支持した上で積層位置にある既存ワークの上に積層する第2の工程と、
を含んでいて、
これらの第1の工程と第2の工程を交互に繰り返すことを特徴とする薄膜状ワークの積層方法。
【請求項2】
セパレータが通気性を有しているとともに、吸着手段が負圧吸引式のものであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜状ワークの積層方法。
【請求項3】
産業用ロボットを母機としてそのロボットアームに吸着手段として多孔質の吸着パッドを支持させ、産業用ロボットの自律動作により積層作業を実行することを特徴とする請求項2に記載の薄膜状ワークの積層方法。
【請求項4】
二種類の薄膜状ワーク同士の間に同じく薄膜状のセパレータを介在させながらそれらのワークを多段にわたって積層する装置であって、
それぞれに吸着手段を備えた第1,第2のハンドリング手段と、
通気性のあるセパレータが置かれたワーク置き台と、
一方の薄膜状ワークを積層してなる第1のワーク積層体と、
他方の薄膜状ワークを積層してなる第2のワーク積層体と、
上記薄膜状ワークを積み上げるための積層パレットと、
を備えていて、
第1のハンドリング手段は、吸着手段にてワーク置き台上のセパレータを吸着支持したならば、そのセパレータと重ね合わせるように第1のワーク積層体から一方の薄膜状ワークを吸着支持した上で積層パレット上の既存ワークの上に積層する一方、
第2のハンドリング手段は、吸着手段にてワーク置き台上のセパレータを吸着支持したならば、そのセパレータと重ね合わせるように第2のワーク積層体から他方の薄膜状ワークを吸着支持した上で積層パレット上の既存ワークの上に積層するようになっていることを特徴とする薄膜状ワークの積層装置。
【請求項5】
上記セパレータが通気性を有しているとともに、吸着手段が負圧吸引式のものであることを特徴とする請求項4に記載の薄膜状ワークの積層装置。
【請求項6】
上記第1,第2のハンドリング手段は産業用ロボットを母機とするものであって、そのロボットアームに吸着手段として多孔質の吸着パッドを支持させてあることを特徴とする請求項5に記載の薄膜状ワークの積層装置。
【請求項7】
上記吸着パッドが吸着支持している薄膜状ワークを開放する際に、それまでの負圧吸引力に代えて吸着パッドから圧縮空気を噴射するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の薄膜状ワークの積載装置。
【請求項8】
上記吸着パッドからの薄膜状ワークの開放は、吸着パッドから圧縮空気を噴射しながら当該吸着パッドを上昇動作させることで行い、その上昇動作の途中で吸着パッドの動きを一旦停止させるようになっていることを特徴とする請求項7に記載の薄膜状ワークの積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−1146(P2010−1146A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162764(P2008−162764)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】