説明

薄葉紙を製造する装置および薄葉紙ウェブを製造する方法

ウェットセクション(2)と、押圧セクション(3)であって、押圧ニップ(N1)を形成する第1および第2の押圧エレメント(12,13)と、押圧ニップを通って、繊維ウェブ(1’)と接触しながら走行する押圧フェルト(17)であって、第2の押圧エレメントが押圧フェルトのループの内側に配置されている、押圧フェルト(17)と、前記押圧ニップを通って、繊維ウェブと接触しながら走行する平滑ベルト(14)であって、第1の押圧エレメントが当該ベルトのループの内側に配置されている、平滑ベルト(14)と、乾燥表面(20)とともに搬送ニップ(N2)を形成するベルトのループの内側に配置された搬送ロール(16)であって、これによって押圧ニップと搬送ニップとの間で平滑ベルトが繊維ウェブを運ぶ、搬送ロール(16)と、を含む押圧セクション(3)と、を備えている。さらに、装置は、繊維ウェブ(1”)の最終的な乾燥のための乾燥セクション(4)を有している。本発明によれば、繊維ウェブが押圧ニップを走行する前に、15−30%の乾燥量まで繊維ウェブを脱水するため、事前脱水機器(25)が押圧部の上流に配置されており、また、水に対して不透過性のものとなっている押圧フェルトおよび平滑ベルトは、押圧ニップの出口の後で直ちに互いに分離されるとともに、それらの間に、押圧された繊維ウェブが再湿潤するのを防ぐために少なくとも5度となっている所定の角度αを画定するよう構成されている。本発明はまた、薄葉紙を製造するための方法、および、エネルギー必要量を低減する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉紙ウェブを製造するための薄葉紙製造装置であって、
繊維ウェブを成形するためのウェットセクションと、
繊維ウェブを押圧するための押圧セクションと、を備え、
前記押圧セクションは、
1つの押圧部であって、
第1の押圧エレメントおよび第2の押圧エレメントであって、それら押圧エレメントの間に所定の圧力で押圧ニップを形成する、第1の押圧エレメントおよび第2の押圧エレメントと、
複数の案内ロールのまわりを、前記押圧ニップを通って、循環ループで、成形された繊維ウェブとともに、繊維ウェブと接触しながら走行する押圧フェルトであって、第2の押圧エレメントが押圧フェルトのループの内側に配置されている、押圧フェルトと、
複数の案内ロールのまわりを、前記押圧ニップを通って、循環ループで、成形された繊維ウェブとともに、繊維ウェブと接触しながら走行する平滑ベルトであって、第1の押圧エレメントが当該ベルトのループの内側に配置されている、平滑ベルトと、
平滑ベルトのループの内側に配置された搬送ロールと、を含む押圧部と、
押圧ニップにおいて押圧された繊維ウェブの最終的な乾燥のための乾燥セクションであって、押圧された繊維ウェブの最終的な乾燥のための乾燥表面を含む乾燥セクションと、を備え、
前記搬送ロールは、繊維ウェブを乾燥表面へ搬送するため乾燥表面とともに搬送ニップを形成するよう配置されており、この際、平滑ベルトは、押圧された繊維ウェブを押圧ニップと搬送ニップとの間で運ぶよう構成されていることを特徴とする薄葉紙製造装置に関する。
【0002】
また本発明は、薄葉紙製造装置によって、従来の方法により得られるものよりも高い容積および柔軟性を有する薄葉紙ウェブを製造するための方法であって、
ウェットセクションにおいて、繊維ウェブが成形され、そして事前に脱水される工程と、
繊維ウェブが押圧セクションにおいて押圧される工程であって、押圧セクションは、
1つの押圧部であって
押圧ニップと、
複数の案内ロールのまわりを、前記押圧ニップを通って、循環ループで、成形された繊維ウェブとともに、繊維ウェブと接触しながら走行する押圧フェルトと、
複数の案内ロールのまわりを、前記押圧ニップを通って、循環ループで、成形された繊維ウェブとともに、繊維ウェブと接触しながら走行する平滑ベルトと、
平滑ベルトのループの内側に配置された搬送ロールと、を含む押圧部を含む、工程と、
押圧ニップにおいて押圧された繊維ウェブが、押圧された繊維ウェブの最終的な乾燥のための乾燥表面を含む乾燥セクションにおいて最終的に乾燥される工程と、を備え、
繊維ウェブは、搬送ロールおよび乾燥表面によって形成される搬送ニップによって乾燥表面へ搬送され、
押圧された繊維ウェブは、押圧ニップおよび搬送ニップの間で平滑ベルトによって運ばれることを特徴とする方法に関する。
【0003】
本発明はまた、上述のタイプの薄葉紙を製造する装置におけるエネルギー消費量を低減するための方法、および、従来の装置を改造する方法に関する。本発明はまた、比較的に高い容積(bulk)を有し、かつ非常に柔軟な、クレープされた薄葉紙ウェブを製造するための平滑ベルトの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
ここで、従来の薄葉紙とは、一般に25g/mよりも低い、例えば15−25g/mの坪量と、坪量に応じた6から8.8cm/gの容積と、を有する柔軟な紙を意味している。薄葉紙は、様々な単一層および複数層の紙製品、たとえばナプキン、ハンドタオル、およびトイレットペーパーのロールのためのベースの紙となっている。また薄葉紙は、7−10cm/gの容積と、従来製造されていた薄葉紙よりも優れた柔軟性とを有している。本発明により製造される薄葉紙は、12−42g/m、好ましくは15−25g/mの坪量と、130−240μmの厚みと、60−500kN/mのMD強度と、40−250kN/mのCD強度と、7−10cm/gの容積と、を有している。使用されるパルプは、好ましくは、70%の短繊維と、30%の長繊維との混合物から構成され得る。パルプは、“未加工”のものからなっていてもよく、すなわち、純粋な繊維素、および、広葉樹パルプと針葉樹パルプ、すなわち短繊維と長繊維の混合物からなっていてもよい。本発明による方法および薄葉紙の製造装置において、その他のタイプのパルプ、例えば、再利用された繊維が用いられてもよい。様々なパルプが様々な製品に使用される。トイレットペーパーを製造するためのパルプとして、化粧紙、および、50−90%の広葉樹および50−10%の針葉樹の混合物のパルプなどが用いられる。タオルにおいては、パルプは、0−50%の広葉樹と、100−50%の針葉樹と、を含んでいる。
【0005】
比較的に高い容積とは、前記の7−10cm/gの範囲にある柔軟な紙の容積を意味している。当該紙は、130−240μmの範囲内の厚みを有しており、前記厚みは、印刷物加工の前に測定されるものである。柔軟性は、0−100のTSAスケールにおいて、最大で90となっていてもよい。
【0006】
US6,743,339の図3は、請求項1のプリアンブルによる薄葉紙装置を示している。すなわち、平滑で、かつ本質的に不透過性のベルトが、薄葉紙ウェブとともに、薄葉紙を製造する装置における押圧セクションの1つの押圧部を通って、乾燥表面に対向する搬送ニップへ走行する。しかしながら、この装置配列に関する課題は、多量の水がニップにおいて押圧フェルトによって引き起こされ、かつ押圧ニップにおいて紙の繊維ウェブのいわゆる粉砕が生じうるので、走行性が著しく劣っているということである。この課題に対する解決策の1つは、押圧ニップにおける圧力を低減し、同時に、1つまたは2つ以上の追加の押圧ニップを押圧セクションに導入することによって、結果として低減された脱水を補償することである。そのような装置の配列が、前記明細書の図1,2および4に記載されている。しかしながら、この解決策は、紙の繊維ウェブの十分な容積、すなわち厚みを形成することを困難にするという欠点を有している。なぜなら、紙の繊維ウェブが通らなければならない各押圧ニップは、より多くの繊維のクラスターをウェブに生成することにより容積に負の影響を及ぼし、そして、必要な品質を有する最終的な製品を実現することを困難にするからである。
【0007】
US6,287,426B1において、押圧ニップを通ってループを走行する平滑ベルトを備えた薄葉紙装置が記載されている。ここで、ウェブは、平滑ベルトからクロスへ搬送され、このクロスは、乾燥セクションにおいてウェブをさらに搬送ニップへ運ぶ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、改善された薄葉紙を製造する装置を提供することである。この装置においては、良好な走行性および良好な品質および完成した薄葉紙ウェブにおける十分に高い容積および柔軟性が、低いエネルギーおよび投資コストにより実現される。本発明は、従って、成形セクションと最終的なドライヤーとの間で乾燥量を増加させるために水を繊維ウェブから取り除くための事前のドライヤーとしてのいわゆるTAD技術を省くことができる。若しくは、TAD技術が、最終的な乾燥ユニットとしてのヤンキーシリンダーを置き換えることができる。とりわけ、本発明の目的は、代替的な、より単純かつ安価な、押圧技術を用いる薄葉紙の製造装置を提供することである。この場合、高価な型付け加工および構造化用のクロス(clothing)が、完全に省かれ得る。また、ウェブにおける十分な容積および柔軟性が、妥当な価格で実現され得る。
【発明を解決するための手段】
【0009】
本発明による薄葉紙の製造装置は、繊維ウェブが押圧部の押圧ニップを走行する前に、好ましくは15−30%の乾燥量まで繊維ウェブを事前に脱水するため、事前脱水機器が押圧部の上流に配置されている、ということと、押圧フェルトおよび平滑ベルトが、押圧ニップの出口の後で直ちに互いに分離されるとともに、それらの間に、押圧された繊維ウェブが再湿潤するのを防ぐために少なくとも5度となっている所定の角度αを画定するよう構成されている、ということによって特徴付けられている。前述の事前の脱水は、好ましくは、繊維を圧縮することなく生じる。
【0010】
平滑ベルトは、より良い接着性をヤンキーシリンダーに提供する。なぜなら、繊維ウェブにおいては、平坦に形成された表面が大部分の比率を占めており、このことが、乾燥表面へのより良い接着性、より平坦なクレーピング(creping)、および、より高い容積(約150μの厚み)およびより良い柔軟性に寄与するからである。
【0011】
ここで、最終的なドライヤーとは、乾燥シリンダー、ヤンキーシリンダー、好ましくはフードを有するヤンキーシリンダー、あるいは、TADロールを意味している。
【0012】
好ましくは、薄葉紙の製造装置により製造される薄葉紙ウェブは、従来の薄葉紙の製造装置において得られるものよりも高い容積を有している。好ましくは、繊維ウェブは、事前の脱水の間または乾燥表面への搬送の間に圧縮されず、また容積は、前記搬送ニップにおいて著しくは影響されない。好ましくは、前記平滑ベルトは、水に対して不透過性のものとなっている。
【0013】
薄葉紙の製造装置の一形態によれば、平滑ベルトは、水に対して不透過性のものとなっている。
【0014】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、薄葉紙の製造装置は、圧縮することなく繊維ウェブを15−30%の乾燥量まで事前に脱水するための事前脱水機器を有している。
【0015】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、薄葉紙の製造装置は、吸引機器を有する事前脱水機器を備えている。
【0016】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、押圧部は、拡張されたニップを有するプレスからなっている。
【0017】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、押圧部は、シュープレスからなっている。
【0018】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、押圧ニップにおける所定の圧力が4−6MPaとなっており、線形負荷が400−600kN/mとなっている。
【0019】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、押圧部は、繊維ウェブにおける12−42g/m、好ましくは15−25g/mの範囲の坪量のため、押圧部の後に繊維ウェブが46−52%の乾燥量を有するまで繊維ウェブを脱水するよう設計されている。
【0020】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、平滑ベルトは、平滑ベルトに対する繊維ウェブの良好な接着性を可能にし、これによって、装置スピードが1300−2200m/minへ増加され得る。
【0021】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、押圧部は、押圧ニップの出口における繊維ウェブの厚みの回復、例えば厚みの10−20%の回復を可能にする。
【0022】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、事前脱水機器は、押圧フェルトのループの内側に配置された吸引ロールと、押圧フェルトのループの外側で吸引ロールに対向して配置されたスチームボックスと、を備えている。
【0023】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、薄葉紙の製造装置は、繊維ウェブが乾燥表面に到達する前に繊維ウェブの温度を増加させるよう押圧部の下流に配置された事前加熱機器を備えている。
【0024】
薄葉紙の製造装置のその他の形態によれば、繊維ウェブが、押圧の後かつ乾燥の前に45−52%の乾燥量を有する場合、乾燥セクションのエネルギー要求量が、同一の装置スピードおよび同一の装置寸法、または最終的なドライヤー(乾燥キャパシティ)における比例して低減された寸法による従来の装置に比べて、20−35%低減され得る。
【0025】
薄葉紙の製造装置のその他の形態は、繊維ウェブが、乾燥前に45−52%の乾燥量を有する場合、最終的なドライヤーの寸法が、同一の装置スピードおよび同一のエネルギー消費量における従来の装置に比べて減少され得る、という点により特徴付けられる。
【0026】
薄葉紙の製造装置のその他の形態は、繊維ウェブが、乾燥前に45−52%の乾燥量を有する場合、装置スピードが、同一の装置寸法および同一のエネルギー消費量における従来の装置に比べて増加され得る、という点により特徴付けられる。
【0027】
本発明による方法は、
繊維ウェブが平滑ベルトとともに押圧ニップへ走行する前に、繊維ウェブが、押圧部の上流に配置された事前脱水機器において、圧縮されることなく15−30%の乾燥量に脱水される工程と、
押圧フェルトおよび平滑ベルトが、押圧ニップの出口の後で直ちに互いに分離され、これによって、押圧された繊維ウェブが再湿潤するのを防ぐ、工程と、により特徴付けられる。
【0028】
比較的に高い品質および柔軟性を有する薄葉紙ウェブが、これによって好ましくは製造される。好ましくは、平滑ベルトは水に対して不透過性のものとなっており、または、平滑ベルトは低い水の透過性を有している。好ましくは、ウェブは、著しく圧縮されることなく押圧部の上流で事前に脱水される。
【0029】
前記方法のその他の形態によれば、押圧フェルトおよび平滑ベルトは、押圧フェルトおよび平滑ベルトがそれらの間に少なくとも5度の所定の角度αを画定するよう、押圧ニップの出口の後で直ちに互いに分離される。
【0030】
前記方法のその他の形態によれば、薄葉紙ウェブは、1300−2200m/minの範囲内の所定の装置スピードで製造される。
【0031】
前記方法のその他の形態によれば、繊維ウェブは、繊維ウェブが押圧部の押圧ニップに入る前に、15−30%の乾燥量まで事前脱水機器において脱水され、これによって、繊維ウェブが、押圧部の後で45−52%の乾燥量を得る。このことにより、乾燥表面における繊維ウェブの最終的な乾燥のためのエネルギー要求量を低減することができる。
【0032】
前記方法のその他の形態によれば、前記エネルギー要求量は、同一のスピードにおける従来の薄葉紙製造装置の対応するエネルギー要求量よりも20−35%小さくなっている。
【0033】
従来の装置を、高い容積および柔軟性を有する薄葉紙の製造のための装置に作り直すための方法は、装置における最後のプレスと最終的なドライヤーとの間で従来の押圧フェルトを平滑ベルトに置き換える工程を含んでいる。平滑ベルトは、この場合、好ましくは、水に対してほぼ不透過性のものとなっており、また、金属、ポリマーおよびポリウレタンのうちの少なくとも1つからなっており、ポリウレタンは、織って作られるか、または押し出されて作られている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の第1の形態による薄葉紙の製造装置を示している。
【図2】図2は、本発明の第2の形態による薄葉紙の製造装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および2において、本発明による、脱水のためにスルーエアドライング(TAD)を用いることなく薄葉紙ウェブ1を製造するための薄葉紙の製造装置における様々な形態が示されている。様々な形態における共通の特徴は、それらが、薄葉紙が成形される場所におけるウェットセクション2と、最終的な乾燥の前にウェブの乾燥量を増加させるよう脱水するための押圧セクション3と、乾燥セクション4と、を備えているということである。示されている形態による各薄葉紙の製造装置におけるウェットセクション2は、ヘッドボックス6と、成形ロール7と、成形ロール7のまわりを走行して成形ロール7に当接する第1の成形クロス8と、を含む二線式の成形部5を備えている。成形部5はまた、複数のガイドロール10のまわりおよび成形ロール7のまわりを循環ループで走行するファブリック(fabric)からなる第2の成形クロス9を含んでいる。この第2の成形クロス9は、第2の成形クロス9と第1のクロスとの間にヘッドボックス6から原料の射出(stock jet)を受け入れるために、第1のクロス8に当接している。その後、原料は、大抵はクロス9を介して、成形された繊維ウェブ1’を形成するよう脱水される。成形フェルト8を洗浄するため、直径1mmの1つまたは2つ以上の横断ニードルノズルパイプ(traversing needle−nozzle pipes)を備えた高圧(20barまでの所定の圧力)の水の噴射機(ニードルスプレー)55が、成形ロール7の上流において成形クロス8の外面を横断するよう配置されている。
【0036】
押圧セクション3は押圧部11を備えており、押圧部11は、第1押圧エレメント12および第2押圧エレメント13を含んでいる。第1押圧エレメント12および第2押圧エレメント13は、それらの間に押圧ニップを形成するよう互いに協働する。さらに、押圧セクション3は、複数の案内ロール15のまわりを循環ループで走行し、平滑な搬送ロール16のまわりで乾燥セクション4に隣接して配置された平滑ベルト14を備えている。乾燥セクション4は、ウェブ1’の最終的な乾燥のための乾燥シリンダー19を備えている。平滑ベルト14は、ウェブ1’が押圧ニップN1を走行するとき成形された繊維ウェブ1’を脱水するため、成形された繊維ウェブ1’に当接して繊維ウェブ1’とともに押圧部11の押圧ニップを通り、これによって、脱水された繊維ウェブ1”が押圧ニップN1を離れる。繊維ウェブ1”は、搬送ロール16と乾燥シリンダー19との間の搬送ニップN2まで、そして搬送ニップN2を通り抜けて、ベルト14によって運ばれる。この場合、ニップN2においては、好ましくは、押圧および脱水が発生せず、乾燥シリンダー19の表面20への繊維ウェブ1”の搬送のみとなっている。さらに、押圧セクション3は、水を受け入れる押圧フェルト17を備えており、押圧フェルト17は、z方向において弾性的に変形可能かつ圧縮可能となっており、複数の案内ロール18のまわりを循環ループで走行し、また、形成された繊維ウェブ1’とともに、繊維ウェブ1’に当接しながら押圧部11のニップN1を通って走行する。第1押圧エレメント12は、ベルト14のループ内に配置されており、第2押圧エレメント13は、第2の押圧フェルト17のループ内に配置されている。図1および2に示されている形態において、第1押圧エレメント12および第2押圧エレメント13の両方は、押圧ロールとなっている。従来の押圧ロールの代わりに、長いニップを形成するロール、例えば、シュー(shoe)プレスロールおよび長いニップを有するその他のタイプのプレスが用いられてもよい。押圧フェルト17は、繊維ウェブ1”が再湿潤するのを回避するため、押圧ニップN1を通り抜けて走行した後、直ちに繊維ウェブ1”を離れる。さもなければ押圧フェルト17が繊維ウェブ1”を再湿潤させるかもしれないので、このことは重要である。
【0037】
繊維ウェブ1”の接着を確実にし、かつ、装置の優れた走行性を確実にするため、ベルト14は、好ましくは、水に対して不透過性のものとなっている。しなしながら、様々な作動状況のもとで、水に対する所定のわずかな透過性は許容され得る。例えば、ベルト14は、前述のUS6,743,339に記載のタイプのものとなっていてもよい。すなわち、ベルト14は、50−97の範囲のショアA硬度と、非圧縮状態におけるR=2−80μm(ISO4287、パート1に基づいて測定)の間隔の表面粗さと、圧縮状態におけるR=0−20μm(印加された20−200kN/mの線形負荷のため)の間隔の表面粗さと、を有する外側層を備えていてもよい。ベルト14は、好ましくは、ポリウレタンなどの適切なプラスチック材料からなっている。
【0038】
金属ベルトまたは複合材ベルトなど、平滑なウェブ接触面を有するその他のタイプの平滑ベルトが代替で用いられてもよい。
【0039】
図1および2による形態において、押圧フェルト17は、成形部5における、第1の、内側の成形クロス8としても利用され、この結果、成形ロール7もまた押圧フェルト17のループの内側に配置されている。成形部5は、図1および2に示されるようにいわゆるC形の成形部となっているが、いわゆる半月形の成形部などの様々なタイプのもので代替されていてもよい。
【0040】
押圧フェルト17と案内ロール18との間のくさび形の先細空間の内側に純水を供給するため、押圧部11の後、第1の案内ロール18の直前に、スプレーノズル53が押圧フェルト17の内側に配置されており、前記水は、押圧フェルト17に押し付けられている。前記水は、押圧部11における押圧の後、押圧フェルト17が案内ロール18の周りを走行するとき、押圧フェルト17を介して押圧フェルト17から、押圧フェルト17に存在する汚染された水と入れ代る。隣接する案内ロール18の上流において、押圧フェルトがウェットセクション2に到達する前に押圧フェルトから水を吸引するため、押圧フェルトの外側に吸引ボックス54が配置されている。
【0041】
ベルト14が搬送ロール16を離れた後であって、ベルト14が押圧部11に到達する前、ベルト14は、繊維ウェブ1’に当接しているベルト14の表面を洗浄するための洗浄セクション30を通り抜けて走行する。
【0042】
乾燥セクション4は、少なくとも1つの乾燥シリンダー19を備えている。示されている形態において、乾燥シリンダー19は、有利にはヤンキー乾燥シリンダーからなる唯一の乾燥シリンダーとなっている。従来の乾燥シリンダーまたは金属ベルトによる乾燥など、乾燥セクションのその他の変形形態が用いられてもよい。乾燥シリンダー19は、これとともに搬送ロール16が乾燥ニップN2を形成しているが、繊維ウェブ1”を乾燥するための乾燥表面20を有している。最終的に乾燥されクレープされた薄葉紙ウェブ1を得るよう、乾燥された繊維ウェブ1”’を乾燥表面20から剥がすとともに縮める(crepe off)ため、乾燥表面20から下流側の位置にクレープドクター21が配置されている。乾燥シリンダー19は、フードによって覆われている。上述の搬送ロール16および乾燥表面20は、それらの間に搬送ニップN2を形成しており、ベルト14および45−52%の乾燥量まで脱水された繊維ウェブ1”は、この搬送ニップN2をともに通り抜けるが、搬送ニップN2から別個に離れるようになっている。なぜなら、繊維ウェブ1”が乾燥シリンダー19の乾燥表面20に接着し、そして乾燥シリンダー19の乾燥表面20へ搬送されるからである。ロール16および乾燥シリンダー19によって形成された搬送ニップN2における線形負荷は、好ましくは30−60kN/mとなっており、このニップにおいてウェブの脱水または圧縮が起こらないようになっている。繊維ウェブ1”が乾燥表面20へ搬送されるのを確実にするため、スプレー機器23によって、クレープドクター21と搬送ニップN2との間の所定の位置であって乾燥表面20が使用されていない位置において乾燥表面20に適切な接着剤が塗布される。その他の形態において、搬送ニップにおける線形負荷は、10kN/mに低減され得る。
【0043】
押圧部11は、ロールプレスであってもよく、この場合、2つのロールエレメント12,13は、平滑な包絡面を有するロールからなっている。または押圧部11は、好ましくは、様々な形状の長いニッププレス、例えばシュープレスからなっていてもよく、この場合、第1押圧エレメント12は、平滑なカウンターロールからなっており、また第2押圧エレメント13は、プレスシューと、シュープレスの押圧ニップを通って走行する循環ベルトと、を備えている。循環ベルトは、ベルトの内側およびカウンターロール12に対して所定の圧力を及ぼすプレスシューに摺動するよう接触している。従って、プレスシューは、拡張された押圧ニップを形成する機器となっている。押圧部11がシュープレスからなる場合、押圧部11の最大圧力は、好ましくは約4−6MPaとなっており、またその線形負荷は、好ましくは約400−600kN/mとなっている。押圧部11のさらなる好ましい形態において、第1押圧エレメント12は、平滑なカウンターロールとなっており、第2押圧エレメントは、拡張された押圧ニップを形成する機器となっており、当該機器は、カウンターロールに向かう方向において押圧するよう構成された弾性的な支持体を備えている。その他の形態において、押圧エレメント13は、平滑なカウンターロールからなっており、一方、第2押圧エレメント12は、上述のタイプの拡張された押圧ニップを形成する機器を備えている。
【0044】
押圧部11は、従って、押圧セクション3における唯一のプレスを構成しており、この結果、簡易な、安価かつ信頼性の高い装置配列となっている。しかしながら、押圧部11が唯一のプレスであるので、押圧部11における圧力は、繊維ウェブ1”が乾燥表面20に搬送され、そしてウェブ1”が十分な強度を有するよう十分な数の結合部が繊維ウェブ1”の繊維の間に形成されるとき、繊維ウェブ1”の十分に高い乾燥量を達成するため、比較的に高くなっていてもよい。そのような装置の形態において、押圧ニップN1においてフィルターウェブ1”に十分な数の繊維の結合部が設けられるということが、ミル(mill)において繊維を摩滅させることの必要性を低減し、これによって、装置のエネルギー消費量もまた低減される。繊維ウェブ1”が乾燥表面20に搬送されるとき、好ましくは、繊維ウェブ1”は、45−52%の範囲内の乾燥量を有している。
【0045】
図2による形態は、繊維ウェブ1”が乾燥シリンダー19に到達する前に繊維ウェブ1”の温度を上昇させるため押圧部11の下流側に事前加熱機器27がさらに追加されている点を除いて、図1による形態と同様となっている。ウェブは、85度と110度との間の温度を有する乾燥表面から剥がされるとともに縮められる。
【0046】
本発明によれば、薄葉紙製造装置は、繊維ウェブ1’を脱水するために押圧部11の上流側に配置された事前脱水用の吸引機器24を備えており、これによって、繊維ウェブ1’は、繊維ウェブ1’が押圧部11に入るとき、15−30%までの十分に高い乾燥量を得ることができる。押圧部11に入る前に繊維ウェブ1’が十分に高い乾燥量を得ず、また、押圧フェルト17が多くの水をニップN1にもたらす場合、繊維ウェブ1’が損傷される危険があり、また最悪の場合、押圧部11の押圧ニップN1においていわゆる粉砕が生じることがある。この場合、繊維ウェブ1’が裂かれる危険がある。図1および2による形態において、事前脱水する吸引機器24は、押圧フェルト17のループの内側に配置された吸引ロール25(または、30−50kPaの真空度を有する同様の既知の一般的な機器)と、形成された繊維ウェブ1’の水を加熱するため押圧フェルト17のループの外側で吸引ロールに対向するよう配置され、紙1トンあたりに対して0.1−0.8トンの蒸気の容量を有するスチームボックス26と、を備えている。または、従来技術において知られているその他の脱水機器が用いられてもよい。そのような吸引ロール25およびスチームボックス26により、形成された繊維ウェブ1’および押圧フェルト17における水の量が低減され、これによって、繊維ウェブ1’の乾燥量が8−12%から20−25%へ、または30%までさえも増大される。このことにより、形成された繊維ウェブ1’は、押圧部11の前に所望の増大された乾燥量を得ることができ、また、フィルターにおける水の量が、押圧部11における効果的な脱水を達成するよう低減される。図1および2に示される装置配列において、繊維ウェブ1’の乾燥量は、繊維ウェブ1’がニップN1を走行するときに少なくとも約15−30%となっている必要がある。事前脱水機器24の吸引ロール25は、この乾燥量を、繊維ウェブ1’が押圧部11に入るときに好ましくは少なくとも約20−30%となるよう増大させる必要がある。示されている装置配列において、事前脱水機器は、成形部5と押圧セクション3との間で繊維ウェブ1’の経路に沿ってウェットセクション2に配置された吸引ロール25およびスチームボックス26を備えている。その他の事前脱水機器、例えば吸引ボックスが、繊維ウェブ1’が押圧部11に入る前に繊維ウェブ1’に所望の乾燥量を与えるために用いられ得る、ということが留意される。
【0047】
押圧部11の後で繊維ウェブ1”の十分に高い乾燥量を達成するため、押圧部における所定の圧力は、好ましくは4−6MPaとなっており、また線形負荷は、好ましくは400−600kN/mとなっている。6MPaという所定の圧力において、押圧部11の後、16−25g/mの範囲内における繊維ウェブ1”の坪量、および乾燥量46−52%が得られる。本発明による薄葉紙製造装置における高い乾燥量の理由は、押圧部11の押圧ニップN1において繊維ウェブ1”から平滑ベルト14へ水が全く搬送されず、または非常に小さな量の水が搬送され、そして全ての水が押圧フェルト17によって運び去られるということ、および、押圧部11と搬送ロール16との間で繊維ウェブ1”が再湿潤することが本質的に生じないということ、である。なぜなら、押圧フェルト17およびベルト14がニップN1の出口の後で即座に互いに分離されるからである。再湿潤することが防がれていることは、繊維ウェブ1”が平滑ベルト14によって搬送ロール16へ運ばれ、ここで平滑ベルト14は水を吸収せず、そして、押圧部11の押圧ニップの後で即座に押圧フェルト17が繊維ウェブ1’から離れる、という事実の結果となっている。このことの更なる結果として、繊維ウェブ1”が、z方向において拡張することができ、また、搬送ニップN2に到達する前に部分的にその容積または厚みを回復し、例えば厚みの約10−20%を回復し、このようにして比較的に高い容積を維持する、ということもさらに生じる。
【0048】
押圧部11を通り抜けて走行した後の繊維ウェブ1”の比較的に高い乾燥量、および、平滑ベルト14が繊維ウェブ1”を再湿潤させることはないという事実は、搬送ロール16と乾燥シリンダー19との間の搬送ニップN2における繊維ウェブ1”の脱水が必要ではない、ということを意味している。このことは有利となっている。なぜなら、その後に搬送において用いられ得るより低いまたは低い線形負荷は、繊維ウェブ1”が搬送ニップN2を通り抜けて走行し、そして繊維ウェブ1”がさらには圧縮されないとき、繊維ウェブ1”が多大な程度で維持される、ということを意味しているからである。上述のように、搬送ニップにおける線形負荷は、好ましくは30−50kN/mとなっている。搬送ニップN2における低減された線形負荷は、さらに、搬送ロールおよびヤンキーシリンダーの両方におけるより単純かつ安価な構造に寄与しており、ここで、後者(ヤンキーシリンダー)は、その後に大きな負荷に耐える上でもはや必要ではなく、また、乾燥表面における変形が回避され、そして、乾燥表面において上反りになること(cambering)の必要性、または、本質的には上反りになることの問題における敏感さが低くなり、そして、より良い走行性能が達成される。このことはまた、好ましい方法によるクレープ処理に影響を及ぼし、これによって、ウェブのより一様な水分および坪量のプロファイルと、薄葉紙それ自体のためのより一様なクレープおよびより一様な厚みが得られる。
【0049】
押圧セクション3を通って走行の後の繊維ウェブ1”の高い乾燥量のため、乾燥表面20上での繊維ウェブ1”の最終的な乾燥のためのエネルギー要求量は、同一の装置スピードおよび同一の装置寸法の際の従来の薄葉紙製造装置における対応するエネルギー要求量よりも20−30%低くなる。また、同一の装置スピードおよび同一のエネルギー消費量の場合、ヤンキーシリンダーの寸法が低減され得る。同一の装置スピードおよび同一のエネルギー消費量の場合、装置スピード(製造能力)が比例して増大され得る。
【0050】
繊維ウェブにおいて、平滑に形成された表面であって、搬送の際にヤンキーシリンダーの表面に接触するであろう表面の割合が高くなっているという事実によって、すなわち、横断面(z方向)から見てとれるように繊維ウェブがより均一な厚みを有しているという事実によって、平滑ベルトによりもたらされる繊維ウェブ1”の良好な接着性が、ウェブの破裂を生じさせること無く薄葉紙製造装置のより良い走行性を生じさせる。このことが、装置スピードを1300−2200m/minまで増大させることを可能にする。さらに、乾燥表面への繊維ウェブ1”の高い接着性が、改良されたクレープ結果、すなわち、クレープされた薄葉紙および最終製品の柔軟性を生じさせ、また、柔軟性を改善するためのその後のカレンダー仕上げ(calendering)が回避され得る、ということを可能にする。より一様にクレープされた繊維ウェブは、柔軟性のより良い感触を与える。すなわち、繊維ウェブは、従来の装置によって製造された薄葉紙に比べて、より高い製品品質を低いエネルギー消費量で有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄葉紙ウェブ(1”’)を製造するための薄葉紙製造装置であって、
繊維ウェブ(1’)を成形するためのウェットセクション(2)と、
繊維ウェブ(1’)を押圧するための押圧セクション(3)と、を備え、
前記押圧セクション(3)は、
1つの押圧部(11)であって、
第1の押圧エレメント(12)および第2の押圧エレメント(13)であって、それら押圧エレメント(12,13)の間に所定の圧力で押圧ニップ(N1)を形成する、第1の押圧エレメントおよび第2の押圧エレメントと、
複数の案内ロール(18)のまわりを、前記押圧ニップ(N1)を通って、循環ループで、成形された繊維ウェブ(1’)とともに、繊維ウェブ(1’)と接触しながら走行する押圧フェルト(17)であって、第2の押圧エレメント(13)が押圧フェルト(17)のループの内側に配置されている、押圧フェルト(17)と、
複数の案内ロール(15)のまわりを、前記押圧ニップ(N1)を通って、循環ループで、成形された繊維ウェブ(1’)とともに、繊維ウェブ(1’)と接触しながら走行する平滑ベルト(14)であって、第1の押圧エレメント(12)が当該ベルト(14)のループの内側に配置されている、平滑ベルト(14)と、
平滑ベルト(14)のループの内側に配置された搬送ロール(16)と、を含む押圧部(11)と、
押圧ニップ(N1)において押圧された繊維ウェブ(1”)の最終的な乾燥のための乾燥セクション(4)であって、押圧された繊維ウェブ(1”)の最終的な乾燥のための乾燥表面(20)を含む乾燥セクション(4)と、を備え、
前記搬送ロール(16)は、繊維ウェブ(1”)を乾燥表面(20)へ搬送するため、乾燥表面(20)とともに搬送ニップ(N2)を形成するよう配置されており、この際、平滑ベルト(14)は、押圧された繊維ウェブ(1”)を押圧ニップ(N1)と搬送ニップ(N2)との間で運ぶよう構成されており、
繊維ウェブ(1’)が押圧部(11)の押圧ニップ(N1)を走行する前に、好ましくは15−30%の乾燥量まで繊維ウェブ(1’)を事前に脱水するため、事前脱水機器(25)が押圧部(11)の上流に配置されており、
押圧フェルト(17)および平滑ベルト(14)は、押圧ニップ(N1)の出口の後で直ちに互いに分離されるとともに、それらの間に、押圧された繊維ウェブ(1”)が再湿潤するのを防ぐために少なくとも5度となっている所定の角度αを画定するよう構成されていることを特徴とする薄葉紙製造装置。
【請求項2】
平滑ベルト(14)は、水に対して不透過性のものとなっていることを特徴とする請求項1に記載の薄葉紙製造装置。
【請求項3】
圧縮することなく繊維ウェブ(1’)を15−30%の乾燥量まで事前に脱水するための事前脱水機器(25)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薄葉紙製造装置。
【請求項4】
吸引機器を有する事前脱水機器(25)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薄葉紙製造装置。
【請求項5】
押圧部(11)は、拡張されたニップを有するプレスからなっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項6】
押圧部(11)は、シュープレスからなっていることを特徴とする請求項5に記載の薄葉紙製造装置。
【請求項7】
押圧ニップ(N1)における所定の圧力が4−6MPaとなっており、線形負荷が400−600kN/mとなっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項8】
繊維ウェブにおける12−42g/m、好ましくは15−25g/mの範囲の坪量のため、押圧部は、押圧部(11)の後に繊維ウェブ(1”)が46−52%の乾燥量を有するまで繊維ウェブ(1”)を脱水するよう構成されていることを特徴とする請求項7に記載の薄葉紙製造装置。
【請求項9】
平滑ベルト(14)は、平滑ベルトに対する繊維ウェブ(1”)の良好な接着性を提供しており、これによって、装置スピードが1300−2200m/minへ増加されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項10】
押圧部(11)は、押圧ニップ(N1)の出口における繊維ウェブ(1”)の厚みの回復をもたらすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項11】
事前脱水機器(19)は、押圧フェルト(17)のループの内側に配置された吸引ロール(25)と、押圧フェルト(17)のループの外側で吸引ロール(25)に対向して配置されたスチームボックス(26)と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項12】
繊維ウェブ(1”)が乾燥表面(20)に到達する前に繊維ウェブ(1”)の温度を増加させるよう押圧部(11)の下流に配置された事前加熱機器(27)を備えていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項13】
繊維ウェブ(1”)が、乾燥の前に45−52%の乾燥量を有する場合、乾燥セクションのエネルギー要求量が、同一の装置スピードおよび同一の装置寸法、または最終的なドライヤーにおける比例して低減された寸法において、従来の装置に比べて20−35%低減されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項14】
繊維ウェブ(1”)が、乾燥前に45−52%の乾燥量を有する場合、最終的なドライヤーの寸法が、同一の装置スピードおよび同一のエネルギー消費量における従来の装置に比べて減少されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項15】
繊維ウェブ(1”)が、乾燥前に45−52%の乾燥量を有する場合、装置スピードが、同一の装置寸法および同一のエネルギー消費量における従来の装置に比べて増加されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の薄葉紙製造装置。
【請求項16】
乾燥表面(20)における繊維ウェブ(1”)の乾燥のためのエネルギー要求量が、同一の装置スピードおよび同一の装置寸法における従来の薄葉紙製造装置よりも20−35%小さくなっていることを特徴とする請求項13に記載の薄葉紙製造装置。
【請求項17】
薄葉紙製造装置によって、従来の方法により得られるものよりも高い容積および柔軟性を有する薄葉紙ウェブ(1”’)を製造するための方法であって、
ウェットセクション(2)において、繊維ウェブ(1’)が成形され、そして事前に脱水される工程と、
繊維ウェブ(1’)が押圧セクション(3)において押圧される工程であって、
押圧セクション(3)は、
1つの押圧部(11)であって
押圧ニップ(N1)と、
複数の案内ロール(18)のまわりを、前記押圧ニップ(N1)を通って、循環ループで、成形された繊維ウェブ(1’)とともに、繊維ウェブ(1’)と接触しながら走行する押圧フェルト(17)と、
複数の案内ロール(15)のまわりを、前記押圧ニップ(N1)を通って、循環ループで、成形された繊維ウェブ(1’)とともに、繊維ウェブ(1’)と接触しながら走行する平滑ベルト(14)と、
平滑ベルト(14)のループの内側に配置された搬送ロール(16)と、を含む押圧部(11)を含む、工程と、
押圧ニップ(N1)において押圧された繊維ウェブ(1”)が、押圧された繊維ウェブ(1”)の最終的な乾燥のための乾燥表面(20)を含む乾燥セクション(4)において最終的に乾燥される工程と、を備え、
繊維ウェブ(1”)は、搬送ロール(16)および乾燥表面(20)によって形成される搬送ニップ(N2)によって乾燥表面(20)へ搬送され、
押圧された繊維ウェブ(1”)は、押圧ニップ(N1)および搬送ニップ(N2)の間で平滑ベルト(14)によって運ばれ、
繊維ウェブ(1’)が平滑ベルト(14)とともに押圧ニップ(N1)へ走行する前に、繊維ウェブ(1’)が、押圧部(11)の上流に配置された事前脱水機器(25)において、圧縮されることなく15−30%の乾燥量に脱水される工程と、押圧フェルト(17)および平滑ベルト(14)が、押圧ニップ(N1)の出口の後で直ちに互いに分離され、これによって、押圧された繊維ウェブ(1”)が再湿潤するのを防ぐ工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
押圧フェルト(17)および平滑ベルト(14)は、押圧フェルト(17)および平滑ベルト(14)がそれらの間に少なくとも5度の所定の角度αを画定するよう、押圧ニップ(N1)の出口の後で直ちに互いに分離されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
薄葉紙ウェブ(1”’)は、1300−2200m/minの範囲内の所定の装置スピードで製造されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
高い容積および柔軟性を有する薄葉紙ウェブ(1”’)を製造するための薄葉紙製造装置におけるエネルギー消費量を低減するための方法であって、
ウェットセクション(2)において繊維ウェブ(1’)が成形される工程と、
繊維ウェブ(1’)が押圧セクション(3)において押圧される工程であって、
押圧セクション(3)は、
1つの押圧部(11)であって
複数の案内ロール(18)のまわりを、前記押圧ニップ(N1)を通って、循環ループで、成形された繊維ウェブ(1’)とともに、繊維ウェブ(1’)と接触しながら走行する押圧フェルト(17)と、
複数の案内ロール(15)のまわりを、前記押圧ニップ(N1)を通って、循環ループで、成形された繊維ウェブ(1’)とともに、繊維ウェブ(1’)と接触しながら走行する平滑ベルト(14)と、
平滑ベルト(14)のループの内側に配置された搬送ロール(16)と、を含む押圧部(11)と、を含む、工程と、
押圧ニップ(N1)において押圧された繊維ウェブ(1”)が、押圧された繊維ウェブ(1”)の最終的な乾燥のための乾燥表面(20)を含む乾燥セクション(4)において最終的に乾燥される工程と、を備え、
繊維ウェブ(1”)は、搬送ロール(16)および乾燥表面(20)によって形成される搬送ニップ(N2)によって平滑ベルトから乾燥表面(20)へ搬送され、
押圧された繊維ウェブ(1”)は、押圧ニップ(N1)および搬送ニップ(N2)の間で平滑ベルト(14)によって運ばれ、
繊維ウェブ(1’)が、繊維ウェブ(1’)が平滑ベルト(14)とともに押圧ニップ(N1)に入る前に、15−30%の乾燥量まで、押圧部(11)の上流に配置された事前脱水機器(25)において脱水される工程と、繊維ウェブ(1’)が、1つの押圧部(11)の後で、45−52%の乾燥量を獲得し、このことが乾燥表面(20)における繊維ウェブ(1”)の最終的な乾燥のためのエネルギー要求量を低減する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記エネルギー要求量は、同一のスピードにおける従来の薄葉紙製造装置の対応するエネルギー要求量よりも20−35%小さくなっていることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
従来の装置を、高い容積および柔軟性を有する薄葉紙を製造するための装置に作り直すための方法であって、
装置における最後のプレスと最終的なドライヤーとの間で従来の押圧フェルトを平滑ベルト(14)に置き換える工程を備えたことを特徴とする方法。
【請求項23】
平滑ベルト(14)は、水に対してほぼ不透過性のものとなっており、また、金属、ポリマーおよびポリウレタンのうちの少なくとも1つからなっており、ポリウレタンは、織って作られるか、または押し出されて作られていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
高い容積および柔軟性を有する薄葉紙ウェブ(1”’)を製造するための押圧部における、最後のプレスと最終的なドライヤーとの間での平滑ベルト(14)の使用。
【請求項25】
請求項17乃至21のいずれかに記載の方法により製造される、クレープされた薄葉紙ウェブ(1”’)であって、
巻取りの後であって、完成した消費製品に巻きなおされる前、12−42g/mの坪量と、130−240μmの厚みと、60−500kN/mのMD強度と、40−250kN/mのCD強度と、7−10cm/gの容積と、を有することを特徴とするクレープされた薄葉紙ウェブ(1”’)。
【請求項26】
薄葉紙ウェブは、50−90%の短繊維および50−10%の長繊維、好ましくは70%の短繊維および30%の長繊維を含むパルプから製造されることを特徴とする請求項25に記載のクレープされた薄葉紙ウェブ(1”’)。
【請求項27】
薄葉紙ウェブ(1”’)は、再利用された繊維を含むパルプから製造されることを特徴とする請求項26に記載のクレープされた薄葉紙ウェブ(1”’)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−503108(P2012−503108A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527778(P2011−527778)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051033
【国際公開番号】WO2010/033072
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(501337362)メッツォ ペーパー カルルスタッド アクチボラグ (8)
【Fターム(参考)】