説明

薪ストーブ

【課題】デザイン性を損ねることなく大掛かりでないコンパクトで簡単な仕組みの2次燃焼・3次燃焼システムを作ることである。
【解決手段】
耐熱性の高いダクタイル鋳鉄を使用し、2次空気・3次空気を取り入れる部品を一体化してコンパクトにすることによって2次・3次燃焼システムを構築し、同時に薪ストーブ本体も同じ耐熱性の高いダクタイル鋳鉄で一体化することで、部品点数・組立工数を削減する事ができ、薪ストーブ全体の省スペース化を図る。そして削減できたコストを装飾性の高い部品の製造に用いることでよりデザイン性に優れた薪ストーブを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一体型の2次燃焼・3次燃焼方式を有し、また耐久性をあげるための材質と形状を有する薪ストーブに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、白金触媒を使わない薪ストーブとしては、下記の特許文献1(特許公開2004−077060)が知られている。これにより簡単な構造で、十分な空気の供給によって未燃焼ガスを高効率で燃焼させ、未燃焼ガスの発生を低減し、製造コストの削減を図るとしている。
【0003】
また下記の特許文献2(特許公開2007−285660)においては燃焼室の上部に2次燃焼筒を設けて外気を取り込み燃焼させる方法が考案されている。
【0004】
しかしながら、どちらの方法も従来の薪ストーブと比較すると機構が大掛かりであり、インテリアとしての薪ストーブとしてのデザインを損ねている可能性がある。
また面を張り合わせて薪ストーブの形状を形成してるため、部品点数が多くなり組立工数も多い。
【0005】
消費者は薪ストーブを選ぶ際にはまず部屋にあったデザインを重視する傾向が強いため、性能は二の次になっている現状を考慮すると、デザインを限定してしまうような燃焼方法の設計は輸入品が大半を占める薪ストーブ市場において受け入れられない可能性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許公開2004−077060
【特許文献2】特許公開2007−285660
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、デザイン性を損ねることなく大掛かりでないコンパクトで簡単な仕組みの2次燃焼・3次燃焼システムを作ることである。その上で薪ストーブを形成する複数部品の一体化を進め、デザインの自由度の高い設計ができるようにし、装飾性の高い部品に力を入れられるようにしてデザイン性を上げることである。そのためには鋳鉄で製造する必要があるが、従来の材質が普通鋳鉄製であり、温度変化に弱く、加熱冷却を繰り返すことにより鋳鉄部品が成長し伸びてしまうため、薪ストーブには向いていないと考えるため、部品を一体化し点数を減らすためには鋳鉄材質の変更をしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、耐熱性が高く熱による歪みの発生しにくい鋳鉄材料を使用することで、複雑な形状の部品を一体成型できることから2次燃焼・3次燃焼をコンパクトに製造し、かつ本体部品も耐熱性の高い鋳鉄材料で一体化させて製造することでデザイン性が高く、高耐久性であり、また設計の自由度が高い薪ストーブを開発できることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の薪ストーブの燃焼システムは、一つのパーツで2次燃焼のための2次空気、3次燃焼のための3次空気を薪ストーブ内に別々に送る事が可能な薪ストーブである。またコンパクトな部品でありながら部品内部の空気取り入れ口から燃焼部までの距離を確保しているため(図1)、十分に暖められた新鮮な空気を燃焼室に送り込めるような構造であることから、排気をきれいにし高効率であるという機能を保ちながら、デザインの自由度が高い薪ストーブを設計することができる。
【0010】
薪ストーブ本体も耐熱性の高い鋳鉄部品で製造するため、従来ならば複数の部品を使用する燃焼部品を一体化できることから、組立コストを削減でき、日本国内で製造しても十分に採算の取れる価格で薪ストーブを製造できるようになる。
また、燃焼部品を削減できることにより装飾性の高い付属部品にコストをかけることができるようになり、たとえば好みの装飾パーツを数種類選択してカスタマイズし、自分だけのオリジナル薪ストーブを作ることができるようになる。それに装飾性だけでなく機能性も高められる部品を追加することもできる。例えば(図3)では薪の燃焼によるストーブの輻射熱に加え、フィン形状の部品を装飾を兼ねて取り付けることにより、フィン部の冷却速度の差により熱の対流が起こり早く部屋が暖まる。またフィン部品と本体部品の隙間を作ることでストーブ下部の冷たい空気を暖めて上空に送りことができ、対流を起こすことにより速く部屋全体を暖めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は2次・3次燃焼部品の設計図である。
【図2】図2は薪ストーブの全体図であり、パーツを選択することにより好みの薪ストーブを作ることができる例である。(実施例1)
【図3】図3は薪ストーブの断面図であり、空気の流れを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1のように薪ストーブ背面全体を燃焼システムにし、下部に空気取り入れ口を設けて2次空気・3次空気を取り入れて、それぞれに区切られた経路で2次空気は燃焼室上部へ送られ未燃焼ガスと2次燃焼をし、その後2次燃焼後の未燃焼ガスは煙突へ向かう途中経路で燃焼システムの3次空気と接触し3次燃焼をして煙突へ送られる。高効率と排気の清浄化を簡単な部品で実現した。
【実施例1】
【0013】
図2は、本発明の燃焼システムを利用した実施例の薪ストーブの全体図であり、フィンなどいろいろな装飾を施した例である。
【0014】
図3は薪ストーブの断面図であり図中1は薪ストーブ本体、2は2次燃焼・3次燃焼システム、3はバッフル板である。
【0015】
またフィン形状はフィン先端の温度はフィン根元より低くなるため、ストーブを設置する際には従来の薪ストーブに比較してより壁に近づけることができるので、狭い部屋など制約が多い場所でも薪ストーブを設置することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
耐熱性が高く、歪みの小さい鋳鉄材料を使用することにより薪ストーブ自体の耐久性が向上するので、家庭用薪ストーブでの利用にとどまらず、工場の作業場や農業ハウスの暖房など連続使用の多い産業用暖房器具としての利用が見込まれ、二酸化炭素の発生減少が期待できる。
【符号の説明】
【0017】
1 薪ストーブ本体
2 2次燃焼・3次燃焼システム
3 バッフル板
4 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薪投入口・燃焼室・煙突を有する薪ストーブで、高効率化・排気の清浄化を目的としたコンパクトで一体化された耐熱鋳鉄製2次燃焼・3次燃焼システムを備えた薪ストーブ。
【請求項2】
従来面を張り合わせた構造であった薪ストーブ本体部品や複数部品を、それぞれ一体成型することにより部品点数を減らし組立工数を減らした薪ストーブ。
【請求項3】
側面・背面にフィン形状の部品を取り付けることにより、冷却速度の違いから対流を起こさせ、同時にフィン部品とストーブ本体の隙間を利用し対流を起こさせ空気の循環を促す薪ストーブ。
【請求項4】
フィン形状の部品を使用することにより、従来よりも壁に近づけて設置することが可能な薪ストーブ。
【請求項5】
カーボン3.0〜4.0、シリコン2.0〜5.0、ニッケル0〜4.0%、クロム0〜4.0%、モリブデン0〜2.0%などの成分元素を含んだ、耐熱ダクタイル鋳鉄製薪ストーブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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