説明

薫煙送風機

【課題】簡単な構造で低コストで製造できるとともに、使い勝手がよいうえ、例えば、床下や畑における農作物の害虫防除等広い場面で利用できる薫煙送風機を提供する。
【解決手段】密閉空間Sを有し、該密閉空間内に天然木竹材等の着火発煙材を収容し煙を発生させる密閉容器12と、密閉容器12に内部連通して接続された送煙管14と、送煙管14内に導入される煙を送煙対象に向けて大きな送出力で送出させる大送出機構16と、を有することを特徴とする薫煙送風機10から構成される。密閉容器12内で発生させた煙を大出力機構16を介して送煙管14から大きな送出力で送出させることで、床下等の離れた位置の送煙対象まで有効に煙を送出でき、煙による害虫防除を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、床下や屋外で害虫防除を行う際に使用される薫煙送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
床下は高湿になりやすく、白蟻や百足等の害虫も発生しやすい。従来、床下の白蟻等の害虫を駆除する際には、例えば、床下に薬液を散布していた。床下空間は面積が広いが高さがほとんどない窮屈な空間であるので、作業者が中に入って薬液を散布する作業は困難で労力が大きい。これに対して、例えば、特許文献1には白蟻駆除装置が提案されている。特許文献1の白蟻駆除装置は、複数の継手体を介して多数の孔が設けられたホースを床下全体に配設されている。継手体には散布用ノズルが設けられている。そして、外部に配置された薬剤ポンプからホース内に薬液を送り、ホースの多数の孔や継手体のノズルから該薬液を床下に散布して、床下全面の白蟻駆除を図るものであった。
【特許文献1】特開2003−116443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の白蟻駆除装置では、多数のホースを多数の継ぎ手を介して床下全体に配設するものであるから、窮屈な床下空間内に作業者が入って設置作業を行わなければならず、該設置作業が煩雑で労力がかかっていた。さらに、装置構造が複雑でコストも高くなっていた。また、床下に固定的に設置されるので、定期的なメンテナンスの際に床下へ入る必要があり、メンテナンス作業も重労働となっていた。また、白蟻駆除装置は、1軒の家屋の床下で使用するのに限られ、同装置を他の場所や、畑の害虫駆除等の他の用途で使用することはできなかった。さらに、白蟻駆除用の薬液には有毒性があり、土壌汚染、水質汚染等を含む環境悪化や人間への健康被害を及ぼすおそれが高い等の種々の問題があり、実用性が低いものであった。
【0004】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡単な構造で低コストで製造できるとともに、使い勝手がよいうえ、例えば、床下や畑における農作物の害虫防除等広い場面で利用できる薫煙送風機を提供することにある。また、他の目的は、環境や人への悪影響を及ぼさない薫煙送風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、密閉空間Sを有し、該密閉空間S内に天然木竹材等の着火発煙材Mを収容し煙を発生させる密閉容器12と、密閉容器12に内部連通して接続された送煙管14と、送煙管14内に導入される煙を送煙対象に向けて大きな送出力で送出させる大送出機構16と、を有することを特徴とする薫煙送風機10から構成される。密閉容器12の大きさ、形状等は任意でよく、例えば、底が平らな安定的に自立できる形状で設けると、支持用の脚部等他の部材を必要とせず、簡単に密閉容器を地面に設置できる。
【0006】
また、密閉容器12を支持台として送煙管14と大送出機構16とを支持させた状態でこれらを一体的に組み付けて構成されたこととしてもよい。送煙管からの煙の吹き出し方向は横向きであると送煙対象に向けて有効に送出できるが、送煙管を縦向き、その他任意の方向に配置させてもよい。
【0007】
また、大送出機構16は、送煙管14の横向き基管部32であって密閉容器12との連通部分の近傍において送風口を直接に連結させた送風機36を含むこととしてもよい。基管部32は、例えば、直管、L字管、その他曲成された管を含む任意の構成でよいが、直管構造が送風機からの風のロスが少なく、煙を遠方位置まで送出できる。
【0008】
また、密閉容器12内の煙を送煙管14内に導入させて送煙対象に向けて送出させるための誘引機構48が設けられていることとしてもよい。
【0009】
また、密閉容器12には外部からの着火操作を行う点火口42が設けられ、送風機36からの風を分流させて吹き込ませるように送煙管14と密閉容器12の点火口42近傍間を連通接続させる発煙促進管54が設けられていることとしてもよい。
【0010】
また、誘引機構48は、基管部32に設けられたベンチュリ部46と、ベンチュリ部46の直上流側に吐出口34aを位置させるように密閉容器12内に二重管状に密閉嵌挿された負圧誘引管(34)と、を備えたこととしてもよい。
【0011】
また、基管部32には、送風機36からの風を密閉容器12表面に向けて吹き出す吹出孔60が設けられていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の薫煙送風機によれば、密閉空間を有し、該密閉空間内に天然木竹材等の着火発煙材を収容し煙を発生させる密閉容器と、密閉容器に内部連通して接続された送煙管と、送煙管内に導入される煙を送煙対象に向けて大きな送出力で送出させる大送出機構と、を有することから、例えば、天然木竹材等の着火発煙材から木酢、竹酢成分等の成分を含む煙を発生させつつ、送煙対象に向けて送出させて、例えば、シロアリやムカデ、ダニ等の害虫を防除することができる。特に、煙を大送出機構を介して大きな送出力で送出するのである程度広い空間や、比較的離れた位置の送煙対象にも煙を送出でき、例えば、床下空間等の窮屈な空間であっても作業者が入る必要がないので有効に害虫防除することができる。さらに、構造が簡単で低コストで製造できるとともに、例えば、持ち運びして屋内、床下、屋外等種々の場所で適用でき、簡易で使い勝手が良い害虫駆除装置として利用でき実用性が高い。また、天然木竹材等の着火発煙材からの煙は有毒性が少ないので、例えば、土壌や水質等の環境や人体へ悪影響を及ぼすことなく安全に使用できる。
【0013】
また、密閉容器を支持台として送煙管と大送出機構とを支持させた状態でこれらを一体的に組み付けて構成されたことから、薫煙送風機全体をまとめて取り扱うことができ目的の現場への設置、撤去及び搬送を簡便に行え、使い勝手が良い。
【0014】
また、大送出機構は、送煙管の横向き基管部であって密閉容器との連通部分の近傍において送風口を直接に連結させた送風機を含む構成とすることにより、密閉容器内で発生させた煙を送風機からの送風によって送出力を有効に増大させて、送煙対象に煙が届くように送出できる大送出機構の構成を、比較的簡単でコンパクトな送風機を用いて具体的に実現できる。
【0015】
また、密閉容器内の煙を送煙管内に導入させて送煙対象に向けて送出させるための誘引機構が設けられている構成とすることにより、誘引機構によって密閉容器内で発生させた煙が、例えば送風機からの送風により逆流するのを確実に防止して、該煙の送煙管内への導入をスムーズに行わせながら、有効に送煙対象に送出することができ、確実に送煙対象の害虫防除を行える。
【0016】
また、密閉容器には外部からの着火操作を行う点火口が設けられ、送風機からの風を分流させて吹き込ませるように送煙管と密閉容器の点火口近傍間を連通接続させる発煙促進管が設けられている構成とすることにより、例えば、密閉容器の外部から発煙材へ着火した際に、点火口近傍の着火された発煙材に風を送って発煙を促進させて、煙を送出可能な状態に短時間で準備できる。
【0017】
また、誘引機構は、基管部に設けられたベンチュリ部と、ベンチュリ部の直上流側に吐出口を位置させるように密閉容器内に二重管状に密閉嵌挿された負圧誘引管と、を備えた構成とすることにより、ベンチュリ部において送風機からの風の流速を高めて低圧部分を形成し負圧誘引管から煙をスムーズに負圧誘引して、密閉容器から送煙管内に確実に煙を導入し、送煙管から送煙対象に向けての煙の送出を確実かつスムーズに行える。
【0018】
また、基管部には、送風機からの風を密閉容器表面に向けて吹き出す吹出孔が設けられていることから、薫煙送風機を作動させている際に、内部に収容した発煙材や煙からの熱により高温となる密閉容器の外面を風をあてて冷却することができる。その結果、作業性を向上し、例えば、作業者のやけど防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面を参照しつつ本発明の薫煙送風機について説明する。本発明の薫煙送風機は、天然木竹材等の着火発煙材から薫煙を発生させ、該薫煙を室内空間、床下空間や畑の農作物等の送煙対象に向けて送出する薫煙送出装置であり、該煙を利用して害虫防除等を行える。図1ないし図5は、本発明の薫煙送風機の第1の実施形態を示している。本実施形態において、薫煙送風機10は、図1、図2、図3に示すように、密閉容器12と、送風煙管14と、大送出機構16と、を含む。
【0020】
密閉容器12は、内部に密閉空間Sを有した中空の容器であり、密閉空間S内に着火発煙材Mを収容し煙を発生させる薫煙発生部となる。図1、図2、図4に示すように、密閉容器12は、例えば、底が平らで安定的に自立しうる耐熱金属製の中空タンクからなる。密閉容器12は、例えば、円形状の底壁の周縁から胴部が立設され、さらに該胴部から連続して形成される肩部から上部側に胴部より小径の円筒状の首部18が突出して一体的に形成されており、該首部18には内部の密閉空間Sと連通する開口20が設けられている。該首部18には、開口20を開閉自在に閉鎖する蓋部22が連結される。蓋部22を離脱した際に、開口20を介して密閉容器内に発煙材Mを出し入れできる。蓋部22は、密閉容器12の首部18に対して内部連通状態で嵌合連結させる中空の連結筒部24と、該連結筒部24の上端側を蓋状に閉鎖するように固定される閉鎖板部26と、を含む。連結筒部24は、例えば、金属円筒管からなり、下端部を嵌合部24aとして筒外径を密閉容器12の首部18の開口20内径と略同じ大きさに形成されており、該首部18に内部連通状態で着脱自在に嵌合させる。閉鎖板部26は、例えば、金属板部材からなり、連結筒部24の上端側からフランジ状に横に広がって形成されている。閉鎖板部26は、送煙管14の誘引管部34が密閉嵌挿されており、送煙管14内部にのみ連通させた状態で密閉容器12を閉鎖している。さらに、密閉容器12には肩部から縦に立設された2本のボルト支柱28が固定されており、閉鎖板部26には2本のボルト支柱28を貫通する孔が設けられている。蓋部22は、連結筒部24の下端が密閉容器12の開口20に嵌合した状態で、閉鎖板部26にボルト支柱28に貫通させ、ナット30により固定される。本実施形態では、蓋部22には、後述の送煙管14と送風機36とが一体的に組み付けられてユニット化されて、送煙ユニット40を構成している。蓋部22を密閉容器12に接続させた状態では、密閉容器12が支持台となり送煙管14と大送出機構16とを支持させた状態となって、密閉容器12と送煙管14と大送出機構16とが一体的に組み付けられて構成される。なお、本実施形態では、密閉容器12本体と着脱連結される蓋部22の接続口を出し入れ開口としたがこれに限らず、例えば、密閉容器12に送煙管14、大出力機構16を固定的に支持させ、密閉容器12の胴部側壁や底部側に発煙材Mの出し入れ口を設けることとしてもよい。また、同径の開口20を有して容量の異なる密閉容器12を複数容易しておけば、一つの送煙ユニット40をそれぞれ容量の異なる密閉容器12に交換しながら使用することもできる。
【0021】
密閉容器12の胴部下部側には、密閉容器12の外部から密閉空間S内の発煙材Mに着火操作を行う点火口42が設けられている。本実施形態では、点火口42は、例えば、密閉容器12内部へ先端側を突出させて内外を連通させた両端開口の横向きの円筒管からなる。円筒管の外部側の突出端部には着火操作時以外は着脱自在なキャップ43で閉鎖される。着火操作する際には、キャップ43を取り外した状態で、例えば、図示しないバーナー等の着火手段を介して発煙材Mに着火操作される。なお、点火口42は、密閉容器12の一部を開口して外部から着火操作できる構成であれば任意でよい。密閉容器12には、取っ手44が固定されている。取っ手44は、例えば、金属杆を略コ字状に折り曲げて形成されており、両端部を胴部側面に溶接等で固定されている。取っ手44を介して薫煙送風機全体を移動させたり、密閉容器を反転操作して内部から発煙材Mを取り出したりできる。なお、取っ手44の取り付け構成、形状や個数等は任意でよい。例えば、コ字状の取っ手の両端部を密閉容器に回動自在に枢支させる構成としてもよく、比較的小さな取っ手を密閉容器の肩部等の対向位置に2個取り付けても良い。なお、密閉容器12の下に車輪を直接に接続したり、密閉容器12を台車等の移動体に載置固定してもよく、薫煙送風機10の搬送を楽に行える。
【0022】
密閉容器12内に収容される発煙材Mとしては、例えば、カシノキ、マツ等の落葉樹、桜、ヒノキ、スギ等の天然木材、天然竹材等を細かく粉砕したチップ、鋸屑等からなる。発煙材は発煙量や発煙時間等により素材を適宜選択するとよい。天然木竹材等の発煙材Mには例えば、シロアリ、ムカデ、ダニ、ナメクジ、青虫、毛虫等の害虫忌避効果のある木酢、竹酢成分等を含んでおり、着火されると木酢、竹酢成分を含む煙を発生する。発煙材Mからの煙を、例えば床下空間の木材や土壌、或いは畑の農作物等の対象物に吹き付けることで害虫等の防除を図ることができる。また、天然成分に由来するので、農作物等の対象物、周辺環境及び人体に悪影響を及ぼしにくい。
【0023】
図1、図3に示すように、送煙管14は、密閉容器12に内部連通して接続されており、本実施形態では、密閉容器12内で発生させた煙を外部に導く通路であり、大出力機構16を介して噴流状の煙として外部に送出させる。本実施形態では、送煙管14は、蓋部22に固定支持されており、蓋部22の密閉容器12への装着時に該密閉容器12と内部連通して接続される。
【0024】
本実施形態では、送煙管14は、基管部32と、密閉容器12に内部連通し密閉容器12内で発生した煙を基管部32内へ導入する誘引管部34と、を含む。誘引管部34は、例えば、略L字状に曲成された金属製円筒管部材からなり、基管部32内への煙の吐出口34aを横向きとしL字横部分を延長させつつL字縦部分の下端を閉鎖板部26の略中央に嵌挿させて密閉容器12内へ密閉嵌挿させた状態で溶接等により固定されて支持される。基管部32は、例えば、誘引管部34より大きな内径で横向きに配置される金属製の円筒直管からなる。基管部32は、その中間位置において誘引管部34のL字縦部部分を直交状に貫通させつつ、該基管部32内に該誘引管部34の横方向延長部分を二重管状に配置させている。基管部32は、誘引管部34のL字縦部部分の貫通部位を溶接等により一体的に固定されている。基管部32には、後述の大出力機構16を構成する送風機36の送風口を連結されており、基管部32内には送風機36で発生された風が送られる。すなわち、送煙管14は上述のように二重管状の構造となっているので、誘引管34の吐出口34aまでは基管部32内には送風機36からの風が大きな出力で流れる一方、内側の誘引管34内には密閉容器12からの煙が流れることとなる。そして誘引管34の吐出口34aから基管部32内に吐出した煙は、該基管部32内に流れる送風機36からの風の大きな風圧によりある程度勢いのある噴流状の流れの煙となって送出される。本実施形態では、基管部32の誘引管部34の吐出口34aの直下流側には、その内径を縮小させたベンチュリ部46が設けられている。すなわち、ベンチュリ部46の直上流側に誘引管部34の吐出口34aを位置させている。ベンチュリ部46では、送煙管14内の風の流速が増加し圧力が低下する。この圧力が低い部分に誘引管部34の吐出口34aを近接配置させているので、負圧誘引力が作用されて密閉容器12から送煙管12内に煙をスムーズに導入させ、送煙管14から煙を送煙対象に向けて確実に送出させる。すなわち、誘引管部34は密閉容器からの負圧誘引管となり、ベンチュリ部46と、負圧誘引管34と、が密閉容器12内の煙を送煙管内に導入させて送煙対象に向けて送出させるための誘引機構48を構成している。なお、誘引機構の構成は、任意でよく、基管部32内の任意の中間位置に低圧となるベンチュリ部やオリフィス等の絞り部分を設け、該絞り部分に誘引管34の吐出口を設置させた構成としてもよい。また、単に誘引管34の吐出口を基管部の中間位置に接続させて誘引管と基管部とをT字状に連結し、該接続位置にベンチュリ部等を設ける構成としてもよい。
【0025】
図1に示すように、基管部32の先側には、伸縮曲げ伸ばし自在なフレキシブル管52が接続されている。フレキシブル管52は基管部32に対して着脱自在に接続されており、例えば、数十cm〜数m或いはそれ以上の長さで設けられる。本実施形態では、送煙管14はフレキシブル管52を含む。図7に示すように、フレキシブル管52は、例えば、手で自在に伸縮曲げ伸ばし操作できるとともにその伸縮曲げ伸ばした形態を保持できるようになっている。これにより、必要に応じて基管部32からの煙の吹出し方向を簡便に変更することができる。なお、フレキシブル管52は、比較的柔らかい素材でホース状に長いもので構成してもよく、作業者がフレキシブル管52を手で保持した状態で、送出方向を自由に変更させながら使用することとしてもよい。又、フレキシブル管52は必ずしも接続しなくても良い。
【0026】
大送出機構16は、密閉容器12から送煙管14内に導入される煙を送煙対象に向けて大きな送出力で送出させる手段である。図1、図4に示すように、本実施形態では、大送出機構16は、送煙管14内に送風口を直接に連結させた送風機36を含む。送風機36は、例えば電源コード37を図示しない電源に接続され、作動時にある程度強い圧力の風を発生させて送煙管内に送風するブロワ等からなる。本実施形態では、上述のように煙の状態で送出するものであるので、液体を送出するような比較的大きな圧送力を必要とせず比較的コンパクトな構成で大送出機構16を構成できる。送煙管14に煙を導入しつつ、送風機36から送煙管内に大きな風圧の風を送出させることにより、送煙管内の煙を強制的に指向性のある速い流れの煙として、送煙対象に向けてジェット流状に吹き出すことができる。送風機36は、例えば、送煙管14の密閉容器12との連通部分近傍に配置されて、送風口を基管部32に連結しつつ送風機機枠を支持フレーム38を介して蓋部22に連結支持されている。支持フレーム38は、例えば、横に長い金属製のアングル材からなり、一端側を蓋部22の閉鎖板部26に溶接等により固定されており、他端側を送風機36の下部側に延長されて該送風機36を下から支持している。なお、送煙管14と送風機との組み付け構成は、煙を送風機の風で送出力で吹き出す構成であれば任意でよい。
【0027】
本実施形態では、送風機36からの送煙管12内に送出される風量を調整する風量調整機構が設けられている。風量調整機構は、例えば、基管部32内の送風上流側に介設された風量調整バルブ50からなり、操作ハンドル50aを介して基管部32内の送風量を加減できる。これにより、基管部32から送煙対象に向けて送出する煙の速度や到達距離等を調整できる。なお、送風機36本体に風量調整機構が設けられていても良い。
【0028】
図1、図3に示すように、本実施形態では、密閉容器12の点火口42近傍に風を吹き込ませる発煙促進管54が設けられている。発煙促進管54は、送煙管14と密閉容器12の点火口42近傍間を連通接続しており、送風機36からの風を分流させて点火口近傍に吹き込ませるようになっている。本実施形態では、発煙促進管54の送煙管14側接続部位となる一端部54aは、基管部32から二股状に分岐して接続されており、一端部54aの一部を基管部32内に若干突出させて、送風機36から基管部32内に送出される風を発煙促進管54内部に分岐導入させるようになっている。さらに、図2に示すように、発煙促進管54の密閉容器12側接続部位となる他端部54bは、密閉容器12内部にある程度の長さで突出させて接続されている。該内部への突出する他端部54bは、メクラ状に閉鎖しつつその側面に複数個の空気吹出孔56が穿孔されており、この吹出孔56を介して風が密閉容器12内に吹き出される。発煙促進管54には、開閉バルブ58が介設されており、操作ハンドル58aを介して管内流路を開閉して密閉容器12側への送風・停止の切り替え、及び風量の調整を行える。この発煙促進管により、点火口42を介してバーナー等で発煙材に着火した発煙初期に着火された発煙材Mの周辺部分に風を送って発煙材からの発煙を促進させ、煙の発生を短時間で確実に行える。図5にも示すように、発煙促進管54は、例えば、その中間位置で螺合連結部571、572を介して2つに連結分離可能に設けられている。密閉容器12と送煙ユニット40とを分離する際に分離することができる。本実施形態では、発煙促進管54は、分割された送煙管14側が金属可撓管からなり、密閉容器12側には金属管からなる。
【0029】
図1、図3に示すように、基管部32には、送風機36からの風を密閉容器12表面に向けて吹き出す複数個の吹出孔60が設けられている。吹出孔60は、内部に収容した発煙材及び発煙材から発生した煙からの熱により温度が上昇する密閉容器12表面に風をあてて冷却する空冷手段となる。これにより、密閉容器表面の温度をある程度低下させて、作業性を向上し、例えば、発煙材が天然竹材等の場合には密閉容器の温度上昇が比較的穏やかとなるので、薫煙送風機の作動中に作業者が密閉容器12に触れた際のやけど防止を図ることができ、簡単な構造で安全性を向上させ得る。
【0030】
次に、図6、図7をも参照しつつ本実施形態に係る薫煙送風機10の作用を説明する。図5に示すように、ナット30を取り外し、送煙管14と大出力機構16とをユニット化した送風ユニット22を密閉容器12から分離し、密閉容器12の開口20を開ける。該開口20から例えば、木材や竹材等のチップ等からなる発煙材Mを密閉容器12の密閉空間Sに収容する。送風ユニット22を密閉容器12の開口20に連結させ、ボルト支柱28とナット30で固定し、密閉容器12と送煙管14と大出力機構16と一体化する。例えば、図6に示すように、家屋の床下空間Uの害虫防除を行う際には、例えば、密閉容器12を地面に置き、送煙管14を床下の風通し孔の1つから床下空間に入れる。この際、フレキシブル管は取り付けておらず、送煙管14は基管部32で構成されるが、必要に応じてフレキシブル管を基管部32に接続してもよい。なお、床下の他の風通し孔は閉鎖しておく。点火口42を介してバーナー等により密閉容器12内の発煙材Mに着火する。この際、送風機36を作動させるとともに、開閉バルブ58を開く。発煙促進管54を介して、点火口42近傍すなわち着火された発煙材Mの周辺部分に風を送られるので、発煙材からの発煙を促進させ、煙の発生を短時間で確実に行える。なお、発煙材からの発煙がある程度進んだら、開閉バルブ58を閉じて発煙促進管54への風の供給を停止してもよい。図3に示すように、密閉容器12内で発生された煙は誘引管部34を介して基管部32内に導入される一方で、基管部32内には送風機36より風が送られる。基管部32内ではベンチュリ部46により送風機36からの風が速度を速められるとともに圧力を低下させ、誘引管部34からスムーズに煙を基管部32内に導入し、該煙を風の送出力により送煙対象に向けて大きな送出力で送出させる。これにより、ある程度広がった床下空間U内全体に煙を確実かつスムーズに送出すことができ、確実に害虫防除を行える。さらに、基管部32に設けられた吹出孔60から送風機からの風の一部が密閉容器12表面に向けて吹き出されるので、密閉容器表面の温度をある程度低下させ、作業性を向上させる。発煙材が燃焼し、煙の発生が終わった後には、再び送煙ユニット40を密閉容器12から取り外して、密閉用器の開口20を介して使用済みの発煙材が取り出される。また、例えば、図7に示すように、畑の農作物Tの害虫防除を行う際には、畑上に薫煙送風機10を設置し、基管部32にフレキシブル管52を接続し、上記操作と同様にして行われる。図7のように薫煙送風機10を地面上に設置し、フレキシブル管52により方向を固定的に定めて煙を送出される。一定時間ごとにフレキシブル管52から吹出しを変更してもよい。なお、比較的柔らかい素材で長く形成されたホース状のフレキシブル管52を送煙管に接続させて作業者がフレキシブル管52を持ちながら畑上を移動して、煙を農作物に向けて送出させることとしてもよい。なお、広い場所で害虫駆除を行う際には、複数の薫煙送風機を同時に使用することとしてもよい。また、本実施形態に係る薫煙送風機は、上記の使用態様に限らず、例えば、屋根裏や室内、食料や荷物を収納する貯蔵庫の庫内空間、或いは樹木や庭園等の害虫防除等広く利用することができる。
【0031】
以上説明した本発明の薫煙送風機は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の薫煙送風機は、例えば、家屋や倉庫等の内部空間、床下空間、畑等の屋外において、害虫を駆除するのに好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る薫煙送風機の一部破断概略図である。
【図2】図1のA−A線断面拡大図である。
【図3】図1の薫煙送風機の一部破断図及び作用説明図である。
【図4】図1の薫煙送風機の側面図である。
【図5】図1の薫煙送風機の分解状態を示す説明図である。
【図6】家屋床下の害虫駆除を行う際の薫煙送風機の使用状態を示す概略説明図である。
【図7】畑の害虫駆除を行う際の薫煙送風機の使用状態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0034】
10 燻煙送風機
12 密閉容器
14 送煙管
16 大送出機構
32 基管部
34 誘引管部
36 送風機
42 点火口
46 ベンチュリ部
48 誘引機構
54 発煙促進管
60 吹出孔
M 発煙材
S 密閉空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉空間を有し、該密閉空間内に天然木竹材等の着火発煙材を収容し煙を発生させる密閉容器と、
密閉容器に内部連通して接続された送煙管と、
送煙管内に導入される煙を送煙対象に向けて大きな送出力で送出させる大送出機構と、を有することを特徴とする薫煙送風機。
【請求項2】
密閉容器を支持台として送煙管と大送出機構とを支持させた状態でこれらを一体的に組み付けて構成されたことを特徴とする請求項1記載の薫煙送風機。
【請求項3】
大送出機構は、送煙管の横向き基管部であって密閉容器との連通部分の近傍において送風口を直接に連結させた送風機を含むことを特徴とする請求項1または2記載の薫煙送風機。
【請求項4】
密閉容器内の煙を送煙管内に導入させて送煙対象に向けて送出させるための誘引機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薫煙送風機。
【請求項5】
密閉容器には外部からの着火操作を行う点火口が設けられ、
送風機からの風を分流させて吹き込ませるように送煙管と密閉容器の点火口近傍間を連通接続させる発煙促進管が設けられていることを特徴とする請求項3または4薫煙送風機。
【請求項6】
誘引機構は、基管部に設けられたベンチュリ部と、ベンチュリ部の直上流側に吐出口を位置させるように密閉容器内に二重管状に密閉嵌挿された負圧誘引管と、を備えたことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の薫煙送風機。
【請求項7】
基管部には、送風機からの風を密閉容器表面に向けて吹き出す吹出孔が設けられていることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の薫煙送風機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−17837(P2009−17837A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183798(P2007−183798)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(507237211)
【Fターム(参考)】